日本刀の基礎知識

Last-modified: 2015-06-02 (火) 00:12:00

日本刀とは?

・武器の一種
・片側にしか刃がない
・反りは切断力を高める
・反りの無い直刀もある
・片・刃と書いてか・たな
・突きに徹すると斬る用途には向かない
・突くには刃渡りが短い方が向いている
・斬る場合は反りが深く長い方が向いている

・日本刀は日本固有の鍛冶製法によって作られた刀の総称
・刀の寸法によって太刀・打刀・脇差・短刀に分けられる
・特徴として折り返し鍛錬法で鍛えられた鋼と刀身と茎(なかご)が一体となった構造がある
・茎(なかご)には刀身と柄を固定する目釘孔(めくぎあな)が設けられている
・外国の刀剣と違い外装(拵え)と別に刀身が美術的価値を持っている
・日本刀という名称は海外から見たもの

・古来の日本では刀、または剣(つるぎ)と呼んでいた
・日本刀という名称は幕末以降に広まった
・木刀・竹刀・模擬刀に対して刃落としされていないものは真剣と呼ばれる
・日本刀は刀身と拵え(こしらえ)に分けられる
・拵えは鞘(さや)と柄(つか)と鐔(つば)で構成される

日本刀にある部位の簡単な説明

柄(つか)

柄 刀を持つ部分
柄頭(つかがしら)柄の中で体に一番近い場所
柄糸(つかいと)刀を持つ時に滑らないよう柄に巻いている糸
茎(なかご)刀身の根本、柄の中に収まってる部分
目釘(めくぎ)茎の穴と柄の穴を通す釘
目貫(めぬき)刀の柄を飾るための金具
縁(ふち)刀身側にある柄の終わり
鍔(鐔、つば)刀を合わせた時に指を守るための止め具

刀身(とうしん)

切羽(せっぱ)鍔の両面に付ける楕円形の金物、
ハバキ 刀身側にある切羽の隣に嵌める金具
背(せ)/峰(みね)/棟(むね)刃の逆側にある刃の無い部分
刃文(はもん)/刃紋(はもん)刀を鍛刀した時に出来る波模様
棒樋(ぼうひ)/樋(ひ)刀身の峰側
長さ(ながさ)刀身の長さ
反り(そり)刀身の曲率

鎬(しのぎ)刀身の断面から見た時に左右に出っ張ってる部分
刃(は)斬るための刃
横手(よこて)刀身の先端の横部分
鋒/切先(きっさき)刀身の先端
巻止(まきどめ)柄に巻いた布を止める所
ものうち 刀身を4つに分けた先端の部分
刃先(はさき)刀身の刃側の先
帽子(ぼうし)刃先に被ってる部分

鞘(さや)

鯉口(こいぐち)鞘の入り口
栗形(くりがた)鞘を腰に止める金具
鵐目(しとどめ)栗形の下にある金具
下緒(さげお)鞘に巻いている糸
鞘(さや)刀を収める入れ物
鐺/小尻(こじり)鞘の先端

日本刀の歴史(要約)

古墳時代以前

・古墳時代以前の遺跡から鉄製の刀剣や大刀が出土している。
・青銅や鉄の精製からナイフや鉈が生まれ、長い刀身を持つ刀が生まれた。
・紀元前の日本でも直刀が作られていたが、製法が異なっている。

平安時代

・平安時代には反りをつけた、太刀と呼ばれる刀が生まれた。
・後に太刀を日本刀と呼ぶようになった。
・日本において両刃・片刃は刃先の形状を指していた。
・海外においては刃と峰を持つ物を片刃とし、線対称の形状を持つ物を両刃としている。
・反りをつける事で引いて斬れるようになり騎馬戦で使いやすくなった。
・馬上では敵と距離があるため寸法の長い太刀が使われる。

鎌倉時代~南北朝時代

・鎌倉時代初期から鎌倉幕府の武家政治によって刀剣類の作成が活発化した。
・鎌倉時代中期より短刀の製作が活発になった。
・南北朝時代では他の時代と違い、大太刀や野太刀のような寸法の大きい物が作られた。

室町時代

・室町時代から製鉄技術が進歩し大規模な製鉄場が作られた。
・室町中期以降には太刀から刃を上向きにして腰に差す打刀に変化した。
・太刀を身につけた時に外側になる面が表であり、刀工銘が入っているのも表である。

江戸時代

・江戸時代に入り、備前長船一派が吉井川の氾濫で壊滅した。
・備前長船一派の壊滅により各地の大名は、量産体制のある美濃の鍛冶をこぞってお抱えにした。
・慶長以降より古刀・新刀の区別がなされている。
・古刀は各地で生産した地方色のある鋼を使用しているが、新刀は全国的に均質な鋼を使用している。
・江戸中期以降から刀剣の需要が減り、鐔(つば)・小柄(こづか)・目貫(めぬき)・笄(こうがい)などの装具が発達した。
・装具の発達に反比例して鍛刀は衰退していった。

幕末動乱期

・出羽国から江戸へ上り、鍛刀技術を磨く者が現れる。
・新々刀の祖と呼ばれるのが水心子正秀(すいしんまさひで)である。
・幕末動乱期から明治維新までの刀を「新々刀」と呼ぶ。
・新々刀の特徴として製鉄技術の進歩により地鉄が無地に見える。
・西洋の製鉄技術も取り入れより無地に見える鉄が作られた。
・明治から第二次大戦には廃刀令が制定され、日本刀は衰退していった。
・市井では衰退したが、軍隊などではサーベル式の拵えに日本刀を仕込むのが普通となった。
・日露戦争等で日本刀の有効性が見直され、軍刀需要として復権を遂げた。

第二次大戦後

・銃刀法により日本刀は各県教育委員会に美術品として登録される。
・購入など所有者が変更した場合には登録県教育委員会に届け出る。
・現代では美術品、居合などの武道用、お守りなどとしての需要がある。
・現代でも日本刀の美術的価値を追求した様々な刀が作られている。
・イミテーションとして鋼質以外の金属で造られた模擬刀(模造刀)が作られた。