Sav m/43

Last-modified: 2020-08-24 (月) 17:21:29

Tier 4 スウェーデン 駆逐戦車

Sav m 43_0-min.PNG
↑ 7,5 cm kan m/02
初期状態。Sav m/43(試作型・戦時量産型)の史実装備。
正面の装甲厚は50mmにまで増やされたものの、傾斜が緩くなったので相変わらず貧弱。
Sav m 43_1-min.PNG
↑ 7,5 cm kan m/41 ikv L/50 (neglkrut)
最終砲候補その1。本車輌唯一の長砲身という事もあり、外観的には一番バランスが取れている印象を受ける。
Sav m 43_2-min.PNG
↑ 10,5 cm kan m/44 sav
最終砲候補その2。Sav m/43(戦後改修型)の史実装備。
チェコからライセンス生産権を取得して量産されたStrv m/41の車体を流用している。
つまりPz.Kpfw. 38 (t)及びLT vz. 38と同系統の車輌であり、ガレージで見比べてみるのも一興である。

スペック(v1.10.0)

車体

耐久値415
車体装甲厚(mm)50/15/15
最高速度(前/後)(km/h)43/20
重量(初期/最終)(t)12.4/12.44
実用出力重量比(hp/t)13.03
主砲旋回速度(°/s)40
視界範囲(m)310
本体価格(Cr)135,500
修理費(Cr)
超信地旋回
 

武装

名称発射速度(rpm)弾種平均貫通力(mm)平均攻撃力AP弾DPM精度(m)照準時間(s)弾速(m/s)総弾数弾薬費(Cr)重量(kg)俯仰角
7,5 cm kan m/0214.29AP
HEAT
HE
63
115
38
110
110
175
1,5710.42501
501
501
9040
2,400
74
500-14°/+20°
7,5 cm kan m/41 ikv L/50 (neglkrut)13.64AP
AP
HE
107
130
38
110
110
175
1,5000.381.9690
740
650
9066
2,800
75
750
10,5 cm kan m/44 sav6.12AP
HEAT
HE
65
110
53
350
350
370
2,1430.563.5475
425
475
60140
4,400
240
500
 

エンジン

名称馬力(hp)引火確率(%)重量(kg)
Scania-Vabis 166414220485
Scania-Vabis L 60316220540
 

履帯

名称積載量(t)旋回速度(°/s)重量(kg)
Sav m/43 m/ä12.5303,200
Sav m/43 m/n14323,200
 

無線機

名称通信範囲(m)重量(kg)
25 W Sv/1 m/3929034
25 W Sv/1 m/39-4234534
Ra 10045514
 

乗員

1Commander(Radio Ooerator)2Gunner3Driver4Loader
 

拡張パーツ

改良型換気装置Class3装填棒×砲垂直安定装置×改良型旋回機構×改良型照準器×追加グローサーClass3
改良型無線機×車長用視覚システム×改良型モジュール構造×改良型装甲材Class3内張り装甲×
 

隠蔽性

非発砲発砲時
静止時22.46%5.84%
移動時13.51%3.51%
 

派生車両

派生元Strv m/40L(LT/4,170)
派生先Ikv 103(TD/10,800)
 

射界

射界左20°/右15°
 

開発ツリー

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7,5 cm kan m/02
(初期/16,500)
7,5 cm kan m/41 ikv L/50 (neglkrut)
(2,250/26,800)
10,5 cm kan m/44 sav
(3,800/32,300)
Ikv 103
(10,830/394,000)
25 W Sv/1 m/39
(初期/180)
25 W SV/1 m/39-42
(350/2,200)
Ra 100
(3,200/23,500)
Scania-Vabis 1664
(初期/1,050)
Scania-Vabis L 603
(160/1,430)
Sav m/43 m/ä
(初期/1,850)
Sav m/43 m/n
(1,040/4,400)
 

車両に関する変更履歴

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v0.9.17新規実装
v1.9.07,5 cm kan m/02の総弾数を60発から90発に変更
7,5 cm kan m/41 ikv L/50 (neglkrut)の総弾数を60発から90発に変更
10,5 cm kan m/44 savの総弾数を41発から60発に変更
修理費用を35%ダウン
収益性を10%ダウン
HPを270から415に変更
派生元車輌を変更

解説(v1.10.0)

  • 火力
    俯仰角は-14°/+20°と優秀であり、スウェーデン戦車らしく地形対応力が非常に高い。左右の射界も比較的広く、射撃機会は得やすい。
    一方、DPMはどの砲も同格駆逐戦車の中では底辺レベルとなっている。
    • 7,5 cm kan m/02
      Sav m/43の試作車両の史実砲。
      AP・HEAT共に貫通力が低く、弾速は遅めで弾道も山なり気味。
      このTier帯の駆逐戦車の主砲としては性能不足であるため、できるだけ早めに換装しよう。
       
    • 7,5 cm kan m/41 ikv L/50 (neglkrut*1)
      搭載するには履帯換装もしくは改良型装甲材の装備が必要となるため注意。
      DPMが同格TD最下位だが、そのほかの性能は平均的で非常に扱いやすい。
      課金弾がAPCRではなく強化APのため貫通力の伸びが小さいが、実際のマッチング範囲で貫通力不足を感じる相手はごく一部。標準化が強いことから傾斜装甲相手にはむしろ有利と言える。
      ツリー上は中間砲となっているが、下記の榴弾砲はやや癖が強く自分に合わないと感じればこちらを最終砲にしてもよい。
       
    • 10,5 cm kan m/44 sav
      Sav m/43の史実砲。
      低~中Tier帯で猛威を振るう“10榴”の一種。ドイツの10榴と同様にAP弾を搭載出来るが、貫通力はHEともさほど変わらないため、勿論HE弾が主力となる。
      しかしながら、SAu 40HetzerT40と比べてHEの威力が40劣り、照準時間も駆逐戦車とは思えない程非常に長く、全体的なスペックではかなり下回っている。
      但し威力が劣っているのはHEのみで、HEATの運用には他車の10榴と威力に差はない上、貫通力に関してはごく僅かな差ながら他車を上回っている。
      利点はこのTierの榴弾砲にしては速い弾速。
      低Tierの大口径砲は弾速が遅く極端な山なり弾道を描く物が多いが、この砲はHetzerやTier5以上の駆逐戦車が装備する10榴と同程度の放物線で飛んで行く。
      とはいえ、普通の戦車砲に比べて遅い事には変わりなく、遠距離の偏差射撃はほとんど当たらない。
      最大の問題は上記の車両の10榴よりさらに低い精度と、HetzerやT40に比べると2倍以上も長い照準時間である。*2
      車両同士が接触するくらいの至近距離以外では、照準を絞りきるために長く足を止める必要があり、姿を見せ合った撃ち合いでは自分が先にダメージを受けてしまう危険が高い。相手に撃たれないために、優秀な俯角を活かしてどこから撃つかが非常に重要となる。
      この砲を装備するなら、改良型射撃装置(ガンレイ)は事実上必須といえる。
      装填が遅いのは大口径砲の常ではあるが、上記の車両に比べても劣っている。至近距離の撃ち合いでは、相手を倒しきれないと反撃をもらう危険がかなり高い。相手が1両で尚且つ確実に倒せる状況でもない限り、単独での接近戦は極力避けないといけない。
       
  • 装甲
    戦闘室正面と車体正面は50mm(一部は予備履帯により+10mm)、車体正面上部の傾斜面は30mmで55mm相当。
    正面の装甲厚は今までと比べれば改善されており、機関砲なら正面でほぼ完璧に防ぎ、榴弾の貫通フルダメージによる一撃爆散も起こり難い。
    ただし、戦車砲を防ぐには心もとなく、また側背面は13~15mmと極めて薄い。
    あくまでも正面装甲は保険として考え、極力被弾は避けた方がよい。
     
  • 機動性
    加速力、旋回性能のいずれも高くなく、機動性は並以下。最高速度の43km/hも基本的に発揮できず、平地でも35km/h程度がせいぜい。操縦手スキルにオフロード走行を付けておくと多少は最高速度に近づけることはできる。
    一方、後退速度は最高20km/hと退避が素早く行える。地味ながら命拾いすることも多いだろう。
    なお、軽い車体に重心の高さが合わさり、動きは遅いくせに転倒しやすいため、他の車両以上に移動中は周囲の地形に気を配る必要がある。
    特に後退中に壁や岩にぶつかると、かなり理不尽な転倒事故を起こすことも少なくない。
     
  • その他
    駆逐戦車としては静止時の隠蔽率は良好と言える。ただし不用意に発砲すればまず見つかるため、茂みを使った15mルールを活用していきたい。
    視認範囲は310mと広くない。拡張パーツである程度補強しておくか、視界は味方を頼る必要がある。
    最終無線は次のIkv 103の初期無線なので、Ikv 103の開発完了と同時に開発済みとなる。
    そのため最終無線よりもIkv 103の開発を優先する選択肢もあるのだが、中間無線でも345mと明確に通信範囲が不足しており、逆サイドの味方との通信途絶は頻繁に発生する。
     
  • 総論
    スウェーデン戦車らしい優秀な俯角を有した、ハルダウン重視の駆逐戦車である。
    最終砲によって攻撃面は大きく変わるが、いずれも優秀な地形適性と低DPMという点で共通している。
    7,5 cm kan m/41 ikv L/50はDPM以外が無難にまとまっており、10,5cm砲には難しい狙撃もこなしやすく、駆逐戦車としては扱いやすいだろう。
    一方、大口径榴弾砲の10,5 cm kan m/44 savは高い単発火力を優れた俯角で使えるという強みがあるものの、それ以外の性能がかなり悪く、次のIkv 103にも通ずる癖の強い砲となっている。
    どちらの主砲を選ぶかは好みによるが、迷うなら扱いやすい7,5cm砲を選ぶのが無難と言える。
    装甲は格下相手なら使えなくもないが、基本的に隠蔽や地形を活かして粘り強く戦っていこう。
     

史実

詳細

Stormartillerivagn_m43_history1.jpeg
Sav_m43_history.jpg

 

Stormartillerivagn modell/43
(ストームアーティレリヴァグン モデル フュルティトレ)
とは、戦時中から戦後初期にかけて量産された突撃砲である。

 

1941年9月、スウェーデン陸軍首脳部は突撃砲の導入を決定した。
牽引式野砲を搭載した突撃砲は、戦車部隊が持ち得ない機動性と柔軟性を以って砲撃支援ができると予想されたからである。
これは1939年から1940年にかけてドイツとソ連がそれぞれ使用していた、突撃砲と自走砲から大きな影響を受けていた。
先立つ1941年4月時点において、スウェーデン軍備調達部(KAFT)は新型自走砲の開発を軍部から依頼されていた。
この自走砲の目的は「歩兵にとって危険と思われる目標(機関銃や迫撃砲など)の破壊」であり、これは戦後に開発されたIkv系列に通ずる思想であった。
その為、以下の設計要件が設けられた。

 

①HE(榴弾)は最低でも軽野砲レベルの火力がある事。
②主砲は一定の対戦車能力を有している事。
③直接射撃を目的とし、射程は4~5kmを想定する事。
④高い発射速度を達成する為、主砲はセミオートマチックである事。
⑤直接射撃だけでなく、間接射撃もできると望ましい。
⑥歩兵に追従できる機動性・走破性がある事。
⑦隠蔽性を考慮し、主砲の取り付け位置は可能な限り低い方が望ましい。
⑧偶発的な接近戦を考慮し、搭乗員を保護できる装甲を可能な限り持たせる事。

 

この要件に基づき、1941年6月にKAFTはボフォース社に自走砲の試作を依頼した。
まずはStrv m/38をベースにしたFörsöksbandpv(対戦車装軌実験車輛)が製作され、これには75 mm kan m/40 L/40歩兵砲が搭載された。
この主砲はボールマウントを使用し、1.75mほどの高さに設置されていた。なお、車体正面から40cmほどはみ出ていたが、これは通常時は車体側に主砲を引っ込める事で法律*3をクリアしようとしていたらしい。当時の技術者たちの苦労が伺える話である。
そしていざ射撃試験をしたところ、搭乗員区画が狭すぎた為、射撃の反動によって砲尾が後壁にぶつかってしまった。この問題により、主砲が0°から上に持ち上げられず、仰角が全く付けられないという欠陥が発覚した。
もっともそれ以外のテスト結果は特に問題が無かったらしく、開発は継続される事になった。車体はStrv m/38およびm/39を使用しつつ、軍から使用されなくなっていた75 mm kan modell 1902を再利用する計画が立案され、試作車輌の上部構造の改良が行われた。
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↑ 後壁にぶつからないようにした結果……。

 

作業は1942年6月までに終了すると推定され、費用は35,000クローナと見積もられたが、KAFTは貧弱な装甲や超信地旋回の欠如などの面から満足のいく性能に達していないと判断し、別の案も模索するようになった。
そこで代替としてL-62対空自走砲をベースにする案、ランツヴェルク社が計画していたTerro軽戦車をベースにする案がそれぞれ提示されたものの、いずれも装甲不足や生産準備に時間がかかりすぎる等の問題から却下された。
一方でStrv m/42をベースに開発中だったPvkv m/43(対戦車砲車輛)を突撃砲にする計画も持ち上がったが、こちらも何かしらの理由で流れてしまった。

 

最終的にTNH戦車ことLT vz. 38(Pz.Kpfw. 38 (t))、そのスウェーデン仕様であるStridsvagn m/41の車体を流用する事が決定され、これを完成させたものがSav m/43となった。
ちなみにこのm/41のライセンス生産は、バスやトラック、ディーゼルエンジンの製造*4で活躍していたスカニア・ヴァビス社が受け持っていた。というのも、当時のスウェーデンの主要戦車メーカーであるランツヴェルク社は、Strv m/40やStrv m/42といった自国製戦車の開発・量産にかかりっきりであり、ライセンス生産まで手が回らなかったのである。
その為、同じライセンス生産車輛をベースにしたSav m/43の開発もまたスカニア・ヴァビス社が行う事になった。
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1942年10月13日には木製のモックアップがKAFTの担当者に披露されると、15日にはいくつかの変更を盛り込んだ試作車輌の発注が行われた。
試作車輌はStrv m/41の車体をベースに約12トンの戦闘重量を維持しつつ、装甲強化を施されたStrv m/41 S-IIと高い互換性を有していた。
なお、KAFTはリベット接合ではなく溶接装甲にするようにスカニア・ヴァビス社へ希望した*5が、製造経験の浅い同社は難色を示し、結局はご覧のようにリベット尽くしの車輛になった。
試作車輌の正式名称はPav m/43(装甲砲兵車輛)と名付けられ、量産にあたってSav m/43(突撃砲兵車輛)へ改められた。
全部で36輌が発注され、16輌はStrv m/41からの改修、残り20輌は新規生産となった。当初はいずれも75 mm L/31を装備していたが、戦後には全車輌が105 mm m/44榴弾砲へ換装した。
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Sav m/43は砲兵部隊に配備されるとクリスチーネハムンに配置されたA9連隊により使用されたが、1950年代にはスウェーデン北部の歩兵旅団へ移送され、当初の目的通り歩兵支援車輌として運用された。6輌1組で一個突撃砲小隊が編成されたが、1956年頃からより軽量で扱いやすいIkv 102・103が配備され始めると、重量のあるSav m/43は南部のスコーネ県の歩兵旅団へ転属となった。
1960年代に入り、ほぼ同期に開発されていたPvkv m/43のエンジンが信頼性の面から交換となった為、Sav m/43のScania-Vabis 603/2エンジンが剥ぎ取られ、当のSav m/43は低出力(142馬力)のScania-Vabis 1664/13エンジンになってしまった。最終エンジンから初期エンジンへ降格した例はかなり珍しい。
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これらの車輌は1973年に退役し、後継として歩兵科の突撃砲部隊に振り分けられたのはStrv 74(ようは機甲科のおさがり)であった。この旧式だらけの歩兵科の窮状がのちにIkv 91やStrf 90(CV 90)の開発に繋がるのだが、それはまた別の物語である。
Stormartillerivagn_m43_history2.jpeg
↑ スウェーデンに3輌、ベルギーに1輌、フランスに1輌が現存しているとの事。
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↑ 映画『プライベートライアン(原題:Saving Private Ryan)』に登場したMarder III Ausf. M 風に改造されたSav m/43。

 

参考1参考2 参考3

情報提供

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マスター(M)バッジ報告専用スレができましたのでそちらへお願いします
使用感や装備など、アーカイブスペック解説に表記されています。

アーカイブ1

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*1 「neglkrut」は、英語に直訳すると「nail pound」となる。「pound a nail」は「釘を打つ」という意味。よって、「徹甲」「対装甲」というほどの意味であろうか。
*2 SAu 40に比べても1.2秒も長い。
*3 戦前・戦中のスウェーデンには「車体から主砲がはみ出てはいけない」という時代錯誤すぎる法律があった。
*4 当然ながら戦車製造の経験は無く、敷居の低いライセンス生産で初参入した。
*5 被弾時にリベットが車内へ飛散し、搭乗員を殺傷してしまう為。