1934年 フランス共和国 潜水艦 スルクフ
フランスツリー高ティアプレミアム潜水艦。シュルクーフとも。
Ver.2.00.028のアップデートにて、期間限定販売の課金艦として実装された。
本艦最大の特徴は潜水艦でありながら重巡洋艦クラスの威力を持つ連装主砲を搭載していること。また、体力や装甲も潜水艦とは思えない高い値を誇る。
一方で部品強化は砲撃面に振り切れており魚雷の癖も強いため、通常の潜水艦とはかなり異なった立ち回りを要求される。
体力+5%の効果のある史実迷彩。艦を購入すると無料で付いてくる。
水中航行中。
基本性能
※括弧がある欄は【改修後の数値(初期値)】
年代 | 1934 | 国家 | フランス共和国 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
艦種 | 潜水艦 | 対潜 | △ | ||||
耐久値 | 21000(20000) | 戦闘成績(BR) | 260 | ||||
無装甲排水量(t) | 1453 | 無装甲水上速力(kt/h) | 21.0(19.4) | ||||
基準排水量(t) | 3253 | 最大排水量(t) | 4304 | ||||
水上速力(kt/h) | 18.2(16.9) | 水中速力(kt/h) | 10.0 | ||||
潜望鏡深度(m) | 20.7 | 最大舵角 | 25.3(23.0) | ||||
可視距離(km) | 10.5 | 絶対視認距離(km) | - | ||||
アンロック費 | 課金 | 購入費用 | 9500S |
装甲防御
※単位はインチ(in)表示
防御区画 | 前部 | 中部 | 後部 | 装甲重量(t/0.1in) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
甲板部 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 15 | ||
舷側部 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 15 |
搭載武装
主砲 | 名称 | 火力 | 射程 距離 (km) | 装填 速度(s) | 旋回 速度(°/s) | 重量(t) | 貫通力 | 基本弾数(HE/AP) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2×8”/50 Model 1924 | 800 | 28.0 | 20 | 7 | 250 | 72 | 120/120 | ||
魚雷 | 名称 | 火力 | 射程 距離 (km) | 装填 速度(s) | 旋回 速度(°/s) | 重量(t) | 雷速(kt) | 基本弾数 | ||
7~10 | 55cm Type 24V Torpedo(far) | 5200 | 8.0 | 60.0 | 10 | 26 | 40 | 4 | ||
2,5 | 55cm(21.65”) 24V Torpedo(far) | 6100 | 4.0 | 60.0 | 10 | 21 | 45 | 1 | ||
1,3,4,6 | 40cm Type M26V Torpedo | 3750 | 3.0 | 60.0 | 10 | 6 | 44 | 1 |
※魚雷は7番~10番スロットが前部発射管。1番~6番は後部旋回式水上発射管。
艦載機
機種 | 名称 | 耐久 | 攻/防 | 航続時間 (sec.) | 巡航速度 (km/h) | 海面視界 (km) | 空中視界 (km) | 機体重量 (t) | 格納庫容量 | 装備 | 火力 | 装備重量 (kg) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
水偵 | Besson MB-411 | 620 | 50/550 | 850 | 192 | 15.1 | 15.1 | 3 | 100 | 200kg 対潜爆弾 Mark.Ⅶ | 480×2 | 191×2 |
※最大搭載数1機、パイロット数1名。
部品改修
改修段階 | 火力 | 索敵 | 速度 | 装甲 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ | ジャイロスコープ(ジャイロスコープアンロック+35°) | 新型望遠レンズ(望遠鏡拡大倍率+10%) | ボイラー(巡航速度+5%) | ダメージコントロールシステム(スキル『応急修理』アンロック) | ||
Ⅱ | 主砲装填装置(主砲装填時間-15%) | 水中聴音機(水中聴音機アンロック+5km) | 副舵輪(横滑り防止+10%) | 改良型バッテリー(蓄電可能電気量増加+13%) | ||
Ⅲ | 強化榴弾(榴弾発火率+20%) | 特殊塗装(隠蔽性+5%) | 新型艦首(旋回抵抗-11%) | 船体強化(HP+5%) | ||
Ⅳ | 強化弾頭(装甲貫徹力+10%) | 新型プロペラ(低速時、水中探信儀からの被探査圏-35%) | 舵輪(最大舵角+10%) | 改良型充電装置(再充電時間短縮+12%) | ||
Ⅴ | 新型徹甲榴弾(徹甲弾ダメージ+15%) | × | ボイラー(巡航速度+3%) | 鋼鉄甲板(榴弾被弾ダメージ-15%) |
立ち回り
大柄で機動力が低いため、他の潜水艦と比べてもなお慎重な立ち回りが要求される。対潜能力を持たない艦艇が相手ならば余裕を持って行動できるが、敵側に駆逐艦や積極的に対潜攻撃可能な巡洋艦がいる場合、迂闊な挙動は撃沈に直結する。
一方でその体力値の高さと巡洋艦並みに分厚くできる装甲から、孤立している駆逐艦や空母、瀕死の相手ならば主砲と魚雷をフル活用して水上接近戦を挑むことも不可能ではない(ただし駆逐艦相手は魚雷で返り討ちにされる危険性が非常に高く、高体力の空母には中途半端な距離で浮上し存在を気付かれた場合逃げられる。正真正銘最後の手段程度に考えておこう)。
損傷して退避中の相手を偵察機で捕捉し遠距離から主砲で砲撃するという動き方は、砲性能が貧弱で攻撃を魚雷に依存している他の潜水艦には無理な芸当なので、この特徴をどう活かすかが戦果を残せるかどうかの分かれ目となる。
主砲
本艦を個性づけている兵装の一つ。
重巡洋艦クラスの艦砲である20センチ連装砲を艦橋前に一基装備しており、他の潜水艦とは比較にならない存在感強力な砲火力を有している。主砲性能が今ひとつな空母相手なら、運が良ければ追撃して撃沈することも可能である。
……が、所詮は潜水艦。基本的には水上艦と撃ち合いになった場合に勝ち目はない。高い隠蔽性と観測機を駆使した遠距離からの隠密砲撃が主な運用となるだろう。
ちなみに取り外して重量を削減し高速化を図ることも出来るが、スルクフの火力部品は主砲強化用ばかりで魚雷戦を主体にするには装備が今ひとつなのであまりおすすめは出来ない。
魚雷
前部と後部合計で10門の発射管を有している。数値だけ見ると全潜水艦中でもトップだが、豈図らんやこれもピーキーな代物。
まず、水中で使用可能な武装は前部発射管の55cm魚雷4門のみ。射程は8キロと潜水艦魚雷としては長く雷速も平均的なので使いやすいことは使いやすいが、外した時のリスクがかなり大きい。威力も潜水艦用魚雷としては低めであり、敵艦に致命傷を負わせるには全弾命中させるくらいのつもりでないと困難。
そして、後部魚雷は水上雷撃用旋回式発射管である。射角そのものは広く取れるが、魚雷は40cmと55cmの混載となっており統一できない。しかも肝心の射程が3キロ/4キロと極めて短く、さらに弾が1発ずつだけで増やすこともできない。使いどころは非常に限られる。
本艦の実質的な雷装は前部4門だけと考えておいた方が良い。
航空兵装
水上偵察機であるMB-411を一機のみ艦載している。
空中視界・海上視界共に水上偵察機としては非常に高い数値を誇り、着弾観測や敵機の位置特定はやりやすい部類である。
しかし、その他の性能はお粗末の一言。特に最高速度は200km/hにも到達しないため、一旦発見されてしまったら敵の手動対空砲火からも航空機からも逃げようがない。予備機も無いため撃墜されたらそれまでである。運用にはとにかく慎重を期そう。
装甲
甲板・舷側ともにデフォルトで2インチの装甲が張られており、数値だけなら軽巡洋艦並みである。
また、体力が潜水艦とは思えないほど高いため、爆雷を1発や2発被弾したくらいでは致命傷にならない(装甲破壊によりバランスは崩れるため、被弾後にまともに航行・攻撃できるかは別の話)。それどころか、装甲厚を増しておけば場合によっては潜水艦魚雷の直撃を受けても一発程度なら耐える。
防御をアテにして積極的に突っ込むのは自殺行為だが、並の潜水艦ならば一撃で撃沈されるので回避を強要される攻撃を少なくとも一回『受け止める』という選択肢があるのは対水上艦戦闘においては大きな強みである。
機動性
水上速度は水上艦からすると鈍足だが、潜水艦としては平均的。実用的ではないが、装甲を全廃すると水上20ノットオーバーの速力を発揮することも可能。水上航行と潜行を適宜使い分けて敵艦隊の進路に割り込もう。
ただし本艦は舵角が非常に狭いため、いざという時の機敏な動きは不可能に近いアップデートVer.2.00.029にてバフされ、それなりの旋回性能を手に入れた。とは言え大型の艦体と相まってやはり挙動は鈍いので、早め早めの行動を心がけよう。
また、潜水艦としてはワーストの浮上・潜航速度も致命的な弱点。注排水が遅く、水上航行中に敵に見つかってもすぐに緊急潜水するという動きはほぼ不可能である。何ごとも早め早めに行動し、周辺警戒は通常の潜水艦以上に強くしておこう。
ちなみに潜水艦同士の水中戦闘で背後を取られてしまった場合、魚雷配置と機動性の問題で生存は絶望的となってしまう。
その他
本艦は米英の潜水艦が有しているようなアクティブソナースキルが無い。しかも部品開発で搭載できるパッシブソナーの性能も極めて低く、巨艦ゆえに潜水艦の中では隠蔽性も今ひとつである。このため、駆逐艦に狙われた場合は元より潜水艦同士の水中戦闘に巻き込まれても一方的に不利な状態で戦わざるを得なくなってしまう。戦場では敵潜水艦と極力かち合わないような動き方をしよう。
また、広角雷撃を可能とする部品ジャイロスコープの性能も、本艦のものは左右35度と全潜水艦中ワーストである。他の潜水艦に乗っているようなつもりで待ち伏せしていると、肝心なタイミングで敵が射角外に……などという事態も容易に発生する。気を付けよう。
総評
プレミアム艦らしい尖りまくった性能が特徴的な潜水艦。癖が非常に強く、戦いやすさ・勝ちやすさとは無縁である。
普通の潜水艦を操作するようなつもりで動かすと隙を晒してあっという間に沈められるか、戦果なしで終わってしまう。
逆に本艦の操作に慣れると、他の潜水艦で出撃した際に思わぬ不覚を取りかねない。
潜水艦入門として初心者にお勧めはできかねる船だが、逆に癖を活かしたトリッキーな面白い動き方も可能なので、思い入れがあるプレイヤー諸兄は再販時に手を伸ばしてみても良いだろう。
小ネタ
小説『終戦のローレライ』の主役潜水艦・伊507は、ドイツ海軍がスルクフを拿捕し改造を加えたものという設定だった。
映画版では、改造され少々姿は変わっているもののアメリカ艦隊をたった一隻で引っ掻き回す勇姿が見られる。
当然だが本艦はローレライシステムは積んでいないので、ゲームではそういった幻想は抱かず地道に立ち回るようにしよう。
歴史背景
[添付]
スルクフは1926年度海軍計画に則り、1927年12月からシェルブール造船所にて建造が開始され、1934年5月9日に竣工した。同型艦は存在しない。
長期の通商破壊を任務とし、90日の作戦行動を可能とする大型の船体は、1944年に伊四百型潜水艦が完成するまでは世界最大であった。
詳細
スルクフは第一次世界大戦における、ドイツ帝国のUボートの活躍の影響を大きく受けていた。第一次大戦中のドイツ海軍は非武装ないし軽武装の商船に対して、高価かつ搭載数の少ない魚雷の節約の為に、砲撃による攻撃が行われていた。砲撃が成功すれば、一度の出撃でより多くの戦果をあげる事ができるためだ。大戦後のフランスは高価な魚雷を撃つよりも、砲撃による通商破壊が効率的かつ経済的であると考え、大型砲を搭載した通商破壊特化の潜水艦を建造した。それがスルクフである。
主兵装たる8インチ連装砲は水密され、セイルの前部に埋め込まれるように搭載された。左右90度の旋回が可能であり、弾薬庫には600発の弾薬を備え、揚弾・装填装置までついていた。セイル上部には5mの測距儀が装備され、潜望鏡による射撃指示も可能になっていた。雷装は前部に4門の55cm魚雷発射管を備え、後部の上部構造には旋回式3連装魚雷発射管が2基装備された。後部の旋回式魚雷発射管は、フランス潜水艦によく見られる特徴の1つであり、スルクフは55cm1門と40cm2門の混載となっていた。更に索敵・着弾観測・爆撃が可能な水上機を1機搭載可能で、拿捕した船の乗務員を運ぶ動力付きのカッターや、艦内に約40名を収容可能なスペースを備え、大型の船体により航続距離も長かった。
かくして砲撃による通商破壊に特化した潜水艦として建造されたスルクフであったが、非常に多くの問題を抱えており、想定された運用は叶わなかった。
8インチ連装砲は潜水艦の備砲としては過剰すぎた。
主砲周りの欠点は
・水密は不完全で漏水が頻発
・浮上から射撃可能になるまで約3分必要
・主砲の射程26kmに対して、測距儀は14kmまで、潜望鏡を用いても16kmまでしか対応していない
・海上では横揺れが酷いせいで照準が難しい
・バランスを保つためにほぼ正面方向にしか撃つことができない
・夜間は着弾観測が不可能
などがあり、実戦で主砲が使われる事はなかった。
船体が大きい為か、潜行に通常の潜水艦の数倍の時間を必要とし、潜行後のトリムにも難があった。
主機であるディーゼルエンジンとモーターは特有な設計により予備パーツを欠き、頻繁に故障した。
上記の横揺れの酷さは水上機の運用にも影響し、激しく揺れる艦で機体の組み立てや発艦を行う事は困難だった。
おまけに3隻(7隻とも)建造される予定であったが、1930年のロンドン海軍軍縮条約での制限*1もあり、同型艦は建造されなかった。
以上のようにスルクフはコンセプトを満たすだけの性能は持ち合わせていなかった。
実戦
スルクフは第二次世界大戦に参戦した。
開戦当初は小アンティル諸島にいたが、イギリスの船団を護衛しつつ1939年9月、ブレスト港に帰港し、改装を受ける事になった。そして1940年5月、ドイツはフランスに侵攻し、連合軍を蹴散らした。6月17日にフランスが降伏すると、ブレスト港でいまだに改装中だったスルクフは、翌日ブレストを出航した。舵はは故障し、多くの機器は修理の為に分解され、出航時は2基のディーゼルエンジンも使える状態になく、潜行もできなかったが、蓄電池とモーターでなんとか航行し、航行中に右舷エンジンを修理・稼働させ、イギリスのプリマスを目指した。
20日にはプリマスに到着したものの、イギリスはカタパルト作戦*2を実行、イギリス側と銃撃戦になり、スルクフの船員が3名、イギリス側で1名の死者を出したものの、最終的にスルクフは降伏を選んだ。
スルクフは自由フランス軍の所属となり、8月には修理を完了したものの、乗員の殆どは自由フランスに所属する事を拒否し、船を降りてしまった。なんとかフランス人船員を潜水艦経験者かどうか関わらずにかき集め、訓練が行われた。練度不足に苦しみながらも実戦に投入され、1941年2月19日にはスコットランドからハリファックスを目指して出発した。道中バッテリーの液漏れや火災に見舞われ、予定を過ぎてしまったものの3月3日にはハリファックスに到着した。その後は船団護衛に参加し4月にプリマスでドイツ軍機の攻撃により損害を受けた。損傷した艦載機はその後は二度とスルクフに搭載される事はなかった。6月30日にはバミューダに再配置される事になったが、道中、電源装置やバッテリー液に海水がかかり、塩素ガスが発生するトラブルに見舞われたが、7月20日にバミューダに到着した。7月28日から3ヶ月間ポーツマスで更なる改装を受けたが、図面などの資料の不足やメートル法とヤードポンド法の違いなどにより作業は遅延し、結局改装は不完全なままドックを出る事になってしまった。12月にはサンピエール島・ミクロン島占領に参加し、翌年1月には太平洋戦線への投入が決定された。2月2日にハリファックスを出発し、2月12日にはバミューダからパナマ運河に向かった。そしてタヒチからシドニーに向かう予定だった。
しかしスルクフは1942年2月18から19日の夜に、コロンのクリストバルの北約130 km、パナマ運河からタヒチに向かう途中で忽然と姿を消した。アメリカの哨戒機に撃沈された説もあるが、貨物船との衝突が原因で沈没した説が有力である。いずれにしても生存者はなく、残骸の類も見つかっていないので真相は闇の中である。