概要
重巡洋艦は機動性・火力・生存性をバランスよく備えており、他の巡洋艦との撃ち合いはもちろん駆逐艦の掃討や空母の護衛など幅広く活躍することが可能な艦種である。一部の重巡洋艦は戦艦をも葬り去れる魚雷を装備している。
- アメリカ
基本的に砲戦に特化しており、高ティアの2艦はそれぞれ火力偏重型と重防御型に綺麗に分かれている。同格以下の艦艇に対しては圧倒的な制圧力を発揮してくれるだろう。
一方で砲戦主体ゆえに魚雷戦に関しては装備が貧弱・もしくは全く搭載していないため、戦艦に対する決定打に欠けがちである。 - 日本
中ティア以上の艦全てが長射程・高威力の酸素魚雷を搭載できる強力な艦艇。同時発射数も駆逐艦並みに多いため、立ち回り次第では戦艦を返り討ちにすることも可能である。
主砲も同格艦以下に対しては互角に撃ち合えるだけの性能は確保しており、バランス型と言えるだろう。 - ドイツ
強力な主砲を備えた砲戦型であるが、いかんせん装甲厚が軽巡洋艦並みに薄いため立ち回りには気を遣う必要がある。迂闊に接近戦をしてしまうと他国艦にボコボコにされるので注意しよう。
1880年ごろからワシントン海軍軍縮条約まで
この頃、重巡洋艦というカテゴリーは存在していない。
対概念として認識される軽巡洋艦は1910年頃から姿を見せるようになっていたものの、それは軽装甲の巡洋艦という意味であり、防護巡洋艦や装甲巡洋艦、巡洋戦艦に対する言葉として使われていた。
※本ゲームの艦種表示において防護巡洋艦や装甲巡洋艦は存在しないため、基本的には以下で解説するワシントン軍縮条約にて設定された分類が適用されている。
ワシントン海軍軍縮条約と古鷹の影響
1922年のワシントン海軍軍縮条約で明確な巡洋艦の分類がなされ、『砲口径5インチ(127mm)超過8インチ(203mm)以下で基準排水量10,000トン以下の艦』と定義された。これを一般に条約型巡洋艦という。
それ以前、大日本帝国海軍はアメリカ海軍のオマハ級軽巡洋艦の出現に脅威を感じていた。これに対抗すべく1923年計画艦として1922年11月に起工された新型の巡洋艦は、直前に締結されたワシントン条約に定義された砲口径制限のほぼ上限である20cm砲搭載のものとされた。後の巡洋艦『古鷹』である。
古鷹建造に刺激された列強は、この巡洋艦が条約上主力艦のような厳しい保有比率制限を受けない補助艦艇扱いであったため、これに着目して主力艦に匹敵しうる戦力として位置付けることとなった。各国は条約範囲内ギリギリの艦の開発・建造にしのぎを削り、巡洋艦の建艦競争に拍車がかかることになる。
巡洋艦は重量に余裕が無い為、特に後の枢軸国において、条約違反しているにも関わらず排水量1万トン以上の艦も建造された。
ロンドン海軍軍縮条約と《重巡洋艦》の誕生
ヒートアップする条約型巡洋艦の建艦競争の中、日本は古鷹型、そしてその発展改良型である青葉型に続き、さらに妙高型、高雄型と条約で設定された排水量の限界値(実際にはオーバーしていた)まで大量の武装を詰め込んだ巡洋艦の設計建造に着手する。日本巡洋艦の能力に脅威を抱いた列強は、補助艦艇も含めた新条約の締結を企図し、そのために新たに軍縮会議が開かれた。
こうして1930年に締結されたロンドン海軍軍縮条約では、主砲が6インチ以下のものが軽巡洋艦、6インチを超過し8インチ以下のものが重巡洋艦と定義され、歴史上はこの段階に至って初めて『重巡洋艦(Heavy Cruiser)』という言葉が登場する。
対概念である軽巡洋艦は従来の防護巡洋艦から発展した艦種として、それ以前から存在している。軽巡洋艦と重巡洋艦の違いは主砲の口径のみであり、古鷹型巡洋艦の誕生の過程を考えれば、重巡洋艦は軽巡洋艦から派生・発展した艦種と言える。
ソ連などワシントン条約に加盟していない国も、分類に関しては概ね条約にそって軽巡と重巡を区別している。
条約失効後
条約が失効した後も軽巡と重巡の分類は依然として海軍軍縮条約に則っており、主砲の口径が判断基準であった。しかし失効後に枠組みに囚われない重巡洋艦建造に踏み切ったのは列強の中でも日本とアメリカの二国に限られており、うち日本は結局第二次世界大戦が終了するまで新規の重巡洋艦を就役させるには至らなかった。
唯一アメリカのみが戦中戦後まで重巡洋艦を建造し続けたが、誘導弾技術の進歩により海上砲戦そのものが現実的な戦術ではなくなってしまったこともあり、1948~49年にかけて竣工したデモイン級を以って重巡洋艦の歴史には終止符が打たれることとなった。
最後の重巡洋艦の艦級であるデモイン級2番艦『セイラム』。弩級戦艦並みの巨体と高性能な砲装備を誇る本級は間違いなく最強の重巡洋艦だったが、彼女が就役した時には既に海上砲戦の時代は終わりを告げていた。現在は博物館船として余生を送っている。
主な役割
戦艦や空母に随伴しながらの敵駆逐艦、巡洋艦の警戒と排除が主な仕事となる。
重巡洋艦は砲火力が高いため最前線で敵巡洋艦と砲撃戦に縺れ込むケースも多いが、この際に突出し過ぎて敵戦艦から的にされないように注意。低~中ティア帯なら戦艦に対してもそれなりにダメージを与えられるが、高ティアともなると砲撃ではなかなかダメージが通らずジリ貧になりかねない。
日本の巡洋艦のように大量の魚雷を搭載していれば、戦艦などへの積極的な雷撃も視野に入れることが可能だが、そうでなければ敵戦艦に対しては味方戦艦と共に動きながら榴弾で砲撃を加えよう。
空母がいる場合、戦況次第では味方艦隊から分離して敵空母襲撃を行うことも考えておこう。日本以外の重巡洋艦はスキルとして『広域探知』を有している場合が殆どなので、隠蔽率が高い空母の所在を正確に把握することが出来る。ただし、この場合も独航だと航空機や護衛艦から返り討ちに遭う危険があるため、複数隻で行動した方が良い。
ラインナップ
プレミアム艦は艦名を黄色で表示
国籍 | 年代 | 艦名 | 耐久値 (基本値) | 排水量 (最大値) | 可視距離 (km) | 最大速力 (kt/h) | 航空機 (最大数) | 対潜 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 1908 | Washington | 18000 | 15715 | 13.5 | 22.0 | × | × |
1930 | Northampton | 22500 | 11420 | 8.95 | 32.5 | × | × | |
1942 | Baltimore | 26900 | 17031 | 9.25 | 33.0 | 4 | △ | |
1943 | Pensacola | 21850 | 11512 | 9.25 | 32.5 | × | × | |
日本 | 1904 | 春日 | 17000 | 8500 | 12.0 | 18.0 | × | × |
1924 | 青葉 | 22500 | 9820 | 8.75 | 34.5 | × | × | |
1928 | 妙高 | 19580 | 13280 | 7.85 | 35.5 | × | × | |
1935 | 最上 | 24000 | 13758 | 9.1 | 37.0 | 3 | △ | |
1939 | 高雄 | 25150 | 15490 | 10.0 | 35.5 | 3 | △ | |
1944 | 利根 | 25825 | 15200 | 10.8 | 34.5 | 6 | △ | |
1944 | 摩耶 | 28000 | 15490 | 11.0 | 35.5 | 3 | △ | |
イギリス | 1909 | Duke of Edinburgh | 18110 | 14189 | 9.3 | 23.0 | × | × |
1924 | Frobisher | 20110 | 12190 | 7.5 | 31.0 | × | × | |
1930 | York | 22550 | 10350 | 9.45 | 32.3 | × | × | |
ドイツ | 1936 | Admiral Graf Spee | 25700 | 16280 | 10.5 | 28.5 | 3 | △ |
1939 | Admiral Hipper | 22100 | 18210 | 9.75 | 33.0 | 4 | △ | |
フランス | 1934 | Algerie | 27020 | 13461 | 8.5 | 31.0 | 3 | △ |
イタリア | 1931 | Zara | 22100 | 14300 | 9.75 | 32.0 | 3 | △ |
中国 | 1900 | 海圻 | 15800 | 4515 | 10.25 | 25.5 | × | × |