理論

Last-modified: 2014-01-21 (火) 17:14:43

光とは


【光の三原色】

 RGB(赤、緑、青)をさす。
 黒を背景にRGBの三色を重ねることで白色を生成 → 加色混合法
 白を背景にCMYの三色を重ねることで黒色を生成 → 減色混合法

 ※プリンタは通常、補色であるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)を三原色としたインクを合成させ黒を生成するが、これではインクの色純度に限界があり、純粋な黒を生成できない為に、K(blac[K]黒)を用いてCMYKを用いている。

【色温度】

 視覚的な色を表している値。
 ※フィラメントの物理温度ではない。

     低い色温度 ←─────→ 高い色温度
        赤 ←───  白  ───→ 青

【逆二乗の法則】

 焚き火に近づいていくのと同じ原理で、離れている所から除々に近づいていくと少しずつ暖かさを感じ、正面まで行くと急に熱さを強く感じる。この原理を逆さまにした状態と同じ意味。
 照明が発する明るさは常に1の値であるが、
 照明から距離が離れるにしたがって逆二乗の明るさへ減衰していく。

 例)1の明るさを持つ照明から2m離れると、2m離れた地点での光の明るさは、1/2の二乗の明るさとなる。
 αm離れるとαm地点での光の明るさは、1/α二乗となる。

【反射の法則】

 サーフェース面(平らな面)に対して一定の入射角で入った光線は、同角度の反射角で反射される。

 → 3dsMAXでは、レイトレーシングと呼ばれる機能。

【スネルの法則】

 [屈折率 : IOR]
 この屈折率が1.0の場合、屈折は起きずサーフェース面に対して直線で光線は通過する。
 屈折率が高いと、視覚的に物質に歪みが見える。
  ◆典型的な屈折率(IOR)の設定

[媒質]-[IOR]
空気1.0003
アルコール1.329
1.330
1.333
ガラス1.500
エメラルド1.570
ルビー1.770
サファイア1.770
水晶2.000
ダイアモンド2.419
⇒2.0以上で歪みが発生する。

【光質】

 個性豊かなライティング・バリエーションのある光。

 ダリウス・コンジ(Darius Khondji)撮影監督
  「デリカッセン」「ロスト・チルドレン」「魅せられて」「ザ・ビーチ」「セブン」
 →荒涼としたカラーノワールを特徴とする表現主義と柔軟な証明テクニックで有名。

 ”光は柔らかさやシャープさだけで表現するのではない”

 ライトの強度、色、投影する形状やパターン、シャドウの動き
 これら全てが重要な役割を持つ。

 [光質のCGにおけるカテゴリ]

・強度
・色
・ソフトネス
・アニメーション
・シャドウ
・モチベーション

◆強度

  三点照明のシステム(映画撮影術で確立)

  最も目立つシャドウを投影する”キーライト”(主光源)
  →「ライトの色」「マルチプライヤまたは明度」「減衰」によってコントロールする。
  ※逆二乗の法則に従っているライトは決して”ゼロ値”に達しない。

◆色

 視覚的な手がかり - ”色”
 シーンを取り巻く光源の種類、時間帯、季節、天候 - ”それぞれが表す色”
 ほとんどの人が同じものを連想する - ”色”
  ・中間色は陰気な雰囲気を演出
  ・寒色、暖色の使い分けによるシーンの明確な表現
  ・青色光 : 憂鬱で不幸なシーン、静かで落ち着いたシーン
  ・赤色 : 危険、情熱を表す
  ・緑色 : 平和、肥沃、環境意識などのプラスイメージ、強欲、嫉妬などのマイナスイメージ
  ※特に緑色は、人工的な光に捉えやすく、科学的な雰囲気を持つ。

◆ソフトネス

  現実世界には、柔らかい光で溢れている
  ⇔CGのデフォルトのライトは、はっきりくっきりとした影の落ちるハードライトの設定

  ※太陽の光は、大部分が雲や汚染された空気の層を通して拡散される為、ソフトなエッジの影を落とす
  → 現実世界の光

◆投光

  ライトの光が形やパターンを描く → 木漏れ日

  [光が木の葉を通過した時のパターンを再現する場合]
   映画撮影時
     クッキー(別名:クッカリス)またはゴボ(go-betweenの略)
     クッキーやゴボをスタジオライトの前面に配置することで、多様な光と影のパターンに光を分散させる

   CG再現時
     グレースケールのテクスチャマップを使用
      - グレースケール値に応じて通過する光の量が決まる。
           純粋な黒は、すべての光を遮断する
           純白は、すべての光を通過させる
     この手法は、クッキーと同様の作業。

     ※窓(光が当たるオブジェクト)が見える場合、物理的にルーバー(窓枠)などのオブジェクトを配置させる。
     →白黒だけのテクスチャ表現ではない

◆アニメーション

  光は移動し、影も動くものである - ”光の変化”

  [方法]
  ・ライトのパラメータをアニメートする。
  ・ライトの正面のオブジェクトをアニメートする。
  ・風に揺れる木は、窓を通して面白い形状のシャドウを落とす。
  →シーンに変化をもたらす事がリアリティに結びつく

◆シャドウ

  シーンに”リアリズム”、”一貫性”、”関係性”、”構図”をもたらす

  [シャドウのデザイン]
    ハード、ソフト両方の作成に使用するアルゴリズムから、最も効率的に作成する方法を選択する必要がある。

    ※このアルゴリズムとは、事前に準備された3dsMAXに搭載されているプログラムの事で、シーンによってどちらかを選択し、そのプログラム上でシャドウのパラメータをいじっていく作業があるという事実を述べている。

◆モチベーション

  プラクティカルライト
   演劇または映画業界において、
   卓上ライトなどの実際の光源、窓の外からの照明といった必然性のある論理的な光のこと

  光の配置
   論理的な光だけの配置では、実際のシーンに面白味を持たせられない。
   → ピクトリアルライト(絵画的な光)が必要

   [ピクトリアルライト]
     シーンにドラマを生み出し、視聴者との感性的なつながりを作る事のできるライト