ユーラシアカワウソ

Last-modified: 2025-03-16 (日) 11:44:21

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生態

ユーラシアカワウソは、食肉目イタチ科カワウソ属に分類される食肉類。

 

和名:ユーラシアカワウソ
英名:Eurasian Otter、Eurasian river otter、European otter、Eurasian river otter、European river otter、common otter、Old World otter
学名:Lutra lutra (Linnaeus, 1758)
体長:55~80cm
体重:4.1~16kg
尾長:35~40cm
主食:魚、両生類、鳥、小型の哺乳類、昆虫など
分布:中国ほかユーラシア大陸、イギリス、インドネシアなど(ただし生息地によって亜種が異なるとされている)

 

ニホンカワウソ

絶滅したニホンカワウソは、ユーラシアカワウソ Lutra lutra の一亜種として分類されている。
日本本土亜種 Lutra lutra nippon と北海道亜種 Lutra lutra whiteleyi に分ける考え方が有力である。

 

日本動物園水族館協会の管理するユーラシアカワウソの遺伝的多様性と繁殖計画

欧州亜種とされているA-lineとB-lineの血統の違い


ユーラシアカワウソ(Lutra lutra)はユーラシア大陸に広く分布する中型食肉目である。
本種には11の亜種がおり,欧州亜種L. l. lutra,東南アジア亜種L. l. barang,中国亜種L. l. chinensisなどが国内外の動物園や水族館で飼育されている。
欧州の動物園や水族館にはA-line(L. l. lutra)とB-line(L. l. lutraL. l. barangが交雑した可能性がある系統)という2つのlineが存在し、日本の動物園や水族館にも導入されている。
本来は同じ亜種内で繁殖がおこなわれるが,日本では本種の個体数が少ないためA-lineとB-lineで繁殖がおこなわれている。
実際にB-lineが東南アジア亜種の遺伝子を持っているか評価がおこなわれ,B-lineとA-lineの間に違いがあることが示された。
2015年現在,日本のB-line個体は全て本研究で解析したB-lineの子や孫である。
亜種間交雑が示唆された国内のB-lineは本種の繁殖・維持に活用できるが、A-lineや中国亜種の系統維持に活用することはできない。
和久大介, 穴田美佳, 小川博, 安藤元一 & 佐々木剛. (2016). 日本動物園水族館協会の管理するユーラシアカワウソの遺伝的多様性と繁殖計画. 60(3): 144-150.

 

国内のA-lineはドナウ(アクアマリンふくしま)まろん(アクアマリンふくしま)とそのペアの子供たちとされている。

今後はA-lineの繁殖に力をいれると見られている。

 

中国亜種の再導入

2024年の時点でユーラシアカワウソ中国亜種は広島市安佐動物公園で飼育される2頭のみとなった。

現在中国亜種の新規導入は非常に困難な状態にある。

韓国動物園水族館協会(KAZA)と日本動物園水族館協会(JAZA)は2016年、レッサーパンダの保全協力のための業務協約を締結した。
これによりレッサーパンダとトレードの形でソウル大公園の動物園が飼育するカワウソは2024年6月に日本に向け出発する予定だった。 
ところが、レッサーパンダを寄贈した直後に韓国文化財庁は2024年2月13日までに、ソウル大公園(京畿道果川市)の動物園から申請があったカワウソのつがいの日本輸出について、先ごろの文化財委員会の会議で不許可にしたと明らかにした。
これによりこの件での中国亜種の再導入は事実上不可能という事になった。

 

国内の園館では中国亜種と欧州亜種を飼育している。

ユーラシアカワウソを飼育している施設一覧

個体一覧(五十音順)

※個体名(施設名)で明記