火星圏への行き方

Last-modified: 2014-06-02 (月) 22:45:48
 

1 はじめに

Mun着陸船をちょっと拡大すればDunaに行けそうなものですが、基本方針を考えて宇宙船を設計しないと何か一つ

失敗するたび改造に不具合修正に打上げにてんてこ舞い!という事態になりかねません。なった。
このページは主にキャリアモードでMun往還に慣れてきた辺りのユーザーが、初めてのDunaサンプルリターンに挑

戦する際の手引になるように作っています。また、PoodleやSkipperを使って初めての大型機を作りたい!という

人向けに、なるべく低いScienceレベルで組める大型ロケットを作例に挙げています。

ここでは、飛行計画、宇宙船の設計例、運用例を説明します。

2 飛行計画

2-1

まずは目標の事をよく知りましょう。天体のページに有るDunaの特性のうち、飛行計画に重要なパラメータを抜き

出してKerbinと対比させました。(大気情報は英語Wikiを参照しました)

Duna-Kerbin主要パラメータ対比表

パラメータDunaKerbin
軌道特性軌道長半径[m]20,726,155,26413,599,840,256
軌道傾斜角[°]0.060
物理特性質量[kg]4.52×10215.29×1022
赤道半径[m]320000600000
表面重力[m/s2]2.949.81
脱出速度[m/s]13723431
大気特性大気圏ありあり
大気圏高度[m]4144669077
大気圧[atm]0.21.0

物理特性・大気特性から以下のことが分かります

	・DunaはKerbinと比べて小さく、軽く、表面重力は約1/3~1/4。
	 Munより重力は強いですが、推力の小さなエンジンでも離着陸できそうです。
	・高度42kmまでKerbinの1/5の気圧の大気が薄く存在する。エアロブレーキングが可能な他、
	 うまくパラシュートを用いれば着陸時のΔVも節約できるでしょう。
	・脱出速度は約1300m/s。乱暴ですがKerbinやMunでの比から推測すると
	 低軌道での軌道速度は1000m/s弱、離陸時に必要なΔVはざっくり2000m/s程でしょう。

また、軌道特性からDunaに行くのに必要なΔVが分かります。
オービタルマップで見てもらうと分かる通り、DunaとKerbinはどちらもKerbol系をそれぞれ固有の軌道で回る天体

です。簡単に考えればKerbin系で他の宇宙機とランデブーするときと同様、ホーマン遷移を使用して2度の軌道操

作で目的の軌道へと遷移する事が出来ます。帰りも同様です。
ホーマン遷移に必要なΔVは下記の通りです

	ΔV1 =	927m/s
	ΔV2 =	834m/s ※

しかし繰り返しですがエアロブレーキングを用いて軌道速度を合わせることができるため、2回目のΔVは節約でき

ます。Pe高度の微調整まで考えれば、100m/s程有れば十分でしょう。
DunaからKerbinに帰還する時は、直接大気圏突入すれば同様にΔV1=927m/sが不要になります。
※(Duna軌道は完全な円軌道ではないため、Dunaの高度によって必要な速度は多少変化すると思われます。詳しい

人加筆・修正願います。)

2-2

今までの話を含め、必要なΔVを表にまとめました。この程度のΔVが有ればDuna往還が可能と考えられます。

フェーズ名小項目必要ΔV[m/s]
①打上げフェーズ-約4500
②Duna遷移フェーズ遷移軌道に乗るとき927
遷移軌道から降りるとき約100
③Duna着陸・帰還フェーズ減速及び着陸約500
離陸約2000
④Kerbin遷移フェーズ遷移軌道に乗る時834
遷移軌道から降りるとき0
⑤Kerbin着陸フェーズ着陸0

3 宇宙船の設計例

上記のスペックを念頭に、宇宙船を設計していきます。このページを書いた人の設計例を以下に示します。
220200_screenshots_2014-06-02_00001a.jpg

なお、この機体の制作に必要な主なテクノロジーは下記のとおりです

テクノロジー必要Science具体的なパーツ
General Construction45EAS-4 Strut Connector
Heavy Rocketry90Rockomax "Poodle" Liquid Engine
Rockomax "Skipper" Liquid Engine
Rockomax X200-32 Fuel Tank
Fuel Systems90FTX-2 External Fuel Duct
Advanced Construction90Rockomax Brand Decoupler

3-1 着陸船

③Duna離着陸を担当します。
質量9.2t、真空ΔV 4272m/s、LV-909×1基
・推進系の他、電池※、科学パーツ、Duna着陸用パラシュート及び着陸脚を含みます。

KASAケルビン航空宇宙局考古学調査部の報告によると、失われた文明では世界初の月面離着陸を行うためにLOR(

月軌道ランデブー)方式が採用されていました。着陸船を別途設けるこの方式のメリットは

	・④⑤分の燃料を抱えたまま目標天体を離着陸するより、燃料を節約できる。
	 着陸船のサイズ、エンジン出力を小さく出来る。
	・パラシュート位置や重心など、着陸のためだけに必要な機能・要素を航行船と独立して
	 設計でき、干渉設計を避けやすくなる

等と伝えられています。
デメリットとして、

	・着陸船と航行船の両方にエンジン、制御系、着陸機構その他が必要になる

ことが挙げられます。
ここらへんは好みで良いでしょう。こんな選択肢も有るのだ、程度に思っておいて下さい。

※太陽電池(photovoltic panel)があれば、電池(battery)類はほぼ不要です

3-2 航行船(仮)

②④⑤を担当する重要な機体です。
質量42.5t(※)、真空ΔV 3406m/s(※)、Poodle×1基
・推進系の他、RCS、科学パーツ、Kerbin着陸用パラシュートを含みます。
・航行船という性質上、推力が求められる機会は多くありません。ただし②でLKOを離脱するときはTWR0.4以上が

望ましいです。

※着陸船重量を含みます。以下同様

3-3 2段目

①打上げのうち、高高度部分を担当します。この機体では高度約15kmからLKO迄を担当します。
質量199t、大気中ΔV 2774m/s、Skipper×7基

・TWRは1.5以上有ると効率が良いでしょう。
・高高度向けに、なるべくIspの高いエンジンを使いましょう。

3-4 1段目

①打上げのうち、地上から一定の高度までを担当します。この機体では高度約15km迄を担当します。
質量547t、大気中ΔV 1924m/s、LV-30×49基

大型タンクに7基の中型タンク、Fuel Duct、LV-30を組み合わせStrut Connectorで補強したものを7基クラスタに

しています。推力はLFB KR-1に劣りますが、Mainsailの代わりにはなるでしょう。
(頑張れば中型パーツのみ、Fuel Duct抜きでも同等の性能のものが作れます)
・上記全てと自分自身を持ち上げながらTWR1.5以上が必要であり、かなりの推力が求められます。
・機体がローテーションする場合、アングルスナップでの組み立てを検討して下さい。
・打上げ中に制御が効かない場合、外周のエンジンをジンバル付きにする、SASを追加する、諦める(2段目で何と

かする)、などの方法が有ります。

4 運用例

(以下編集中)
 フェーズ① 打上げ
 フェーズ② Duna軌道軌道へ

 フェーズ③ Duna着陸・帰還
 フェーズ④ Kerbin軌道へ
 フェーズ⑤ Kerbin着陸