1 はじめに
Mun着陸船をちょっと拡大すればDunaに行けそうなものですが、基本方針を考えて宇宙船を設計しないと何か一つ
失敗するたび改造に不具合修正に打上げにてんてこ舞い!という事態になりかねません。なった。
このページは主にキャリアモードでMun往還に慣れてきた辺りのユーザーが、初めてのDunaサンプルリターンに挑
戦する際の手引になるように作っています。また、PoodleやSkipperを使って初めての大型機を作りたい!という
人向けに、なるべく低いScienceレベルで組める大型ロケットを作例に挙げています。
ここでは、飛行計画、宇宙船の設計例、運用例を説明します。
2 飛行計画
2-1
まずは目標の事をよく知りましょう。天体のページに有るDunaの特性のうち、飛行計画に重要なパラメータを抜き
出してKerbinと対比させました。(大気情報は英語Wikiを参照しました)
Duna-Kerbin主要パラメータ対比表
パラメータ | Duna | Kerbin | |
軌道特性 | 軌道長半径[m] | 20,726,155,264 | 13,599,840,256 |
軌道傾斜角[°] | 0.06 | 0 | |
物理特性 | 質量[kg] | 4.52×1021 | 5.29×1022 |
赤道半径[m] | 320000 | 600000 | |
表面重力[m/s2] | 2.94 | 9.81 | |
脱出速度[m/s] | 1372 | 3431 | |
大気特性 | 大気圏 | あり | あり |
大気圏高度[m] | 41446 | 69077 | |
大気圧[atm] | 0.2 | 1.0 |
物理特性・大気特性から以下のことが分かります
・DunaはKerbinと比べて小さく、軽く、表面重力は約1/3~1/4。 Munより重力は強いですが、推力の小さなエンジンでも離着陸できそうです。 ・高度42kmまでKerbinの1/5の気圧の大気が薄く存在する。エアロブレーキングが可能な他、 うまくパラシュートを用いれば着陸時のΔVも節約できるでしょう。 ・脱出速度は約1300m/s。乱暴ですがKerbinやMunでの比から推測すると 低軌道での軌道速度は1000m/s弱、離陸時に必要なΔVはざっくり2000m/s程でしょう。
また、軌道特性からDunaに行くのに必要なΔVが分かります。
オービタルマップで見てもらうと分かる通り、DunaとKerbinはどちらもKerbol系をそれぞれ固有の軌道で回る天体
です。簡単に考えればKerbin系で他の宇宙機とランデブーするときと同様、ホーマン遷移を使用して2度の軌道操
作で目的の軌道へと遷移する事が出来ます。帰りも同様です。
ホーマン遷移に必要なΔVは下記の通りです
ΔV1 = 927m/s ΔV2 = 834m/s ※
しかし繰り返しですがエアロブレーキングを用いて軌道速度を合わせることができるため、2回目のΔVは節約でき
ます。Pe高度の微調整まで考えれば、100m/s程有れば十分でしょう。
DunaからKerbinに帰還する時は、直接大気圏突入すれば同様にΔV1=927m/sが不要になります。
※(Duna軌道は完全な円軌道ではないため、Dunaの高度によって必要な速度は多少変化すると思われます。詳しい
人加筆・修正願います。)
2-2
今までの話を含め、必要なΔVを表にまとめました。この程度のΔVが有ればDuna往還が可能と考えられます。
フェーズ名 | 小項目 | 必要ΔV[m/s] |
①打上げフェーズ | - | 約4500 |
②Duna遷移フェーズ | 遷移軌道に乗るとき | 927 |
遷移軌道から降りるとき | 約100 | |
③Duna着陸・帰還フェーズ | 減速及び着陸 | 約500 |
離陸 | 約2000 | |
④Kerbin遷移フェーズ | 遷移軌道に乗る時 | 834 |
遷移軌道から降りるとき | 0 | |
⑤Kerbin着陸フェーズ | 着陸 | 0 |
3 宇宙船の設計例
上記のスペックを念頭に、宇宙船を設計していきます。このページを書いた人の設計例を以下に示します。
なお、この機体の制作に必要な主なテクノロジーは下記のとおりです
テクノロジー | 必要Science | 具体的なパーツ |
General Construction | 45 | EAS-4 Strut Connector |
Heavy Rocketry | 90 | Rockomax "Poodle" Liquid Engine |
Rockomax "Skipper" Liquid Engine | ||
Rockomax X200-32 Fuel Tank | ||
Fuel Systems | 90 | FTX-2 External Fuel Duct |
Advanced Construction | 90 | Rockomax Brand Decoupler |
3-1 着陸船
③Duna離着陸を担当します。
質量9.2t、真空ΔV 4272m/s、LV-909×1基
・推進系の他、電池※、科学パーツ、Duna着陸用パラシュート及び着陸脚を含みます。
KASAケルビン航空宇宙局考古学調査部の報告によると、失われた文明では世界初の月面離着陸を行うためにLOR(
月軌道ランデブー)方式が採用されていました。着陸船を別途設けるこの方式のメリットは
・④⑤分の燃料を抱えたまま目標天体を離着陸するより、燃料を節約できる。 着陸船のサイズ、エンジン出力を小さく出来る。 ・パラシュート位置や重心など、着陸のためだけに必要な機能・要素を航行船と独立して 設計でき、干渉設計を避けやすくなる
等と伝えられています。
デメリットとして、
・着陸船と航行船の両方にエンジン、制御系、着陸機構その他が必要になる
ことが挙げられます。
ここらへんは好みで良いでしょう。こんな選択肢も有るのだ、程度に思っておいて下さい。
※太陽電池(photovoltic panel)があれば、電池(battery)類はほぼ不要です
3-2 航行船(仮)
②④⑤を担当する重要な機体です。
質量42.5t(※)、真空ΔV 3406m/s(※)、Poodle×1基
・推進系の他、RCS、科学パーツ、Kerbin着陸用パラシュートを含みます。
・航行船という性質上、推力が求められる機会は多くありません。ただし②でLKOを離脱するときはTWR0.4以上が
望ましいです。
※着陸船重量を含みます。以下同様
3-3 2段目
①打上げのうち、高高度部分を担当します。この機体では高度約15kmからLKO迄を担当します。
質量199t、大気中ΔV 2774m/s、Skipper×7基
・TWRは1.5以上有ると効率が良いでしょう。
・高高度向けに、なるべくIspの高いエンジンを使いましょう。
3-4 1段目
①打上げのうち、地上から一定の高度までを担当します。この機体では高度約15km迄を担当します。
質量547t、大気中ΔV 1924m/s、LV-30×49基
大型タンクに7基の中型タンク、Fuel Duct、LV-30を組み合わせStrut Connectorで補強したものを7基クラスタに
しています。推力はLFB KR-1に劣りますが、Mainsailの代わりにはなるでしょう。
(頑張れば中型パーツのみ、Fuel Duct抜きでも同等の性能のものが作れます)
・上記全てと自分自身を持ち上げながらTWR1.5以上が必要であり、かなりの推力が求められます。
・機体がローテーションする場合、アングルスナップでの組み立てを検討して下さい。
・打上げ中に制御が効かない場合、外周のエンジンをジンバル付きにする、SASを追加する、諦める(2段目で何と
かする)、などの方法が有ります。
4 運用例
(以下編集中)
フェーズ① 打上げ
フェーズ② Duna軌道軌道へ
フェーズ③ Duna着陸・帰還
フェーズ④ Kerbin軌道へ
フェーズ⑤ Kerbin着陸