ランデブー

Last-modified: 2023-02-14 (火) 22:23:15

ランデブーとは、2つの機体が軌道上で接近し、速度と進行方向を一致させることで、お互いがほぼ静止して止まったように見える状態のことです。

高速道路を走っているときを思い出してください。自分の車と隣の車線の車は、どちらも高速で走っていますが、どちらも同じ方向に同じような速さで走っているので、相手はほとんど止まって(或いはゆっくり動いて)いるように見えますね。これこそがランデブーです。
一方、対向車線の車は、自分の車に近づきますが、一瞬で離れていきます。位置が近くても、方向が違うと「相手が近くで止まって見える」ことはありません。こちらはランデブーとは言えません。
このように、ランデブーは「位置」だけでなく「(進行方向を含む)速度」も合わせる必要があります。やってみるとわかりますが、宇宙でこれを行うのは想像以上に難しいことです。
しかしながら、機体のドッキングにランデブーは不可欠です。ぜひランデブーの技術を習得しましょう。

KSPでは目標の機体、またはお互いの機体をターゲットして、軌道交点や通過マーカー、マニューバ・ノードと姿勢指示器を活用しながら、手順を踏んで行ないます。

 

ランデブーの手順

ランデブーした機体同士は、軌道上の位置と、軌道の形状がほぼ一致します。
この状態にするには、以下の3つの段階を踏むことになります。

第1段階は、目標機の軌道と同じ作用圏で軌道面を合わせ、軌道傾斜角の差をなくすことです。軌道面が交差していると、軌道交点のみが最接近位置になるうえ、軌道を重ねても傾斜角の差があるほど交点からの距離に比例して遠ざかることになり、接近機会が減ります。軌道面が一致すると、周回軌道ならばどの位置でも軌道高度を合わせれば接近位置ができ、脱出軌道でも接近範囲・時間を増やします。
軌道傾斜角を合わせる方法は軌道状況や自機が着陸しているかなどによって異なります。

第2段階は、接近位置をより近づけることです。周回軌道同士の場合は高度(=長さ)が違えば、お互いの周回速度が違うため、最も接近する機会が必ず訪れます。脱出軌道は能動的に接近位置を合わせる必要があります。その接近位置がより近づくように、速度調整(=軌道調整)を行ないます。

第3段階は、最接近したときに速度を合わせることです。これは必然的に軌道形状を等しくします。そしてまだ距離があるようであれば近づきます。

まとめると、以下の通りになります。

  1. 軌道面を合わせる
  2. 最接近位置をより近づける
  3. 最接近位置で速度を合わせ、遠ければ近づく

軌道面を合わせる

目標機をターゲットして、自軌道上のAN/DNマーカーの昇交点度数を0°にします。
ノーマル・アンチノーマル方向への加速によって軌道傾斜角を変更する場合、速度が遅い(≒高度が高い)ほど少ないΔvで行なえます。なるべく高度の高い軌道で傾斜角を合わせてから軌道を合わせると、燃料消費を抑えられます。

  • ターゲット
    Mキーを押してマップビューに切り替え、目標機体を探してクリックし「ターゲットに設定」を押します。相手機体の軌道が黄色にハイライトされます。
    目標機の軌道と同じ作用圏に自軌道や自機がない場合は、同じ作用圏を通る軌道にする必要があります。つまり、例えば相手がムンの周回軌道にいるなら、自機もムンの周回軌道に移動するということです。
     
    同じ作用圏に目標機と自機がいれば、自軌道にAN/DNマーカーが表示されます。これは、この位置で相手軌道と自機軌道が交差していることを示しています。ANは「昇交点」、DNは「降交点」と呼ばれ、マーカーにマウスカーソルを合わせると何度のずれがあるかが表示されます。軌道面を合わせるとは、これを0°にすることです。
    ちなみにこの角度が150°などの大きな数字になっている場合、それは相手と逆方向に周回していることを意味しています。これだけ角度が大きいと修正に非常に燃料を食うので、打上げや相手機がある作用圏への移動からやり直した方が良いかもしれません。
    gyakko.png

傾斜角を合わせるには、次のふた通りの方法があります。

  1. 離陸時にAN/DNマーカーで合わせる
    自機が発射前/着陸中のときに目標機が同じ天体作用圏を通るときは、発射前/着陸中に目標機をターゲットして、発進するタイミングを合わせ、上昇方向を合わせることで傾斜角を合わせることができます。
    天体の自転によって、自機や発射場の位置は自転に合わせて回転し、目標軌道と重なるタイミングがあります。それに合わせて発進し、目標機の軌道と同じ方向に上昇することで傾斜角を合わせます。上昇中でもマップビュー上の軌道にはAN/DNマーカーがあるので、その角度が少なくなるように上昇方向を調整します。
    また、この方法で合わせきれない場合は次のマニューバ・ノードを使って合わせますが、この方法と併用することで非常に少ない速度変更で合わせることができます。
  2. マニューバ・ノードで合わせる
    • AN/DNマーカーの位置にノード追加
      自機の位置から見て、先に通る方のAN/DNマーカーを右クリックして、角度を固定表示します。
      さらに左クリックして、「マニューバを追加」を押します。
      TABキーを押してマニューバ・ノードにフォーカスを合わせ、マウスホイールで拡大表示するとより正確にAN/DNマーカーと位置を合わせられます。自機にフォーカスを戻すには@キーを押します。
  • ノーマル/アンチノーマルにドラッグ
    マニューバ・ノードの△のマーカーを上下にドラッグすると、AN/DNマーカーの角度が増減します。昇降点(AN)ならアンチノーマル、降交点(DN)ならノーマル方向です。
    0°になる方向に伸ばします。微調整が必要なときは、ノードのマーカーにマウスポインタを置いてスクロールすることで可能です。
    このとき、0°に近づくに連れAN/DNマークが遠くに逃げていきますが、気にしなくて結構です。0.0°の表示になればマニューバノードの設定は完了です。
  • マニューバ実行
    姿勢指示器のマニューバマーカーに機首(中心点)を合わせます。
    ノード位置まで待つか、あるいは時間を加速させて、ノード前で時間加速を停止します。
    噴射インジケータに従って、噴射開始時間0秒から噴射を開始し、バーが空になり噴射量が0になるまで噴射します。
    完了直前にマニューバ・ノードを削除すると、AN/DNが0.0°になるか確認しやすくなります。不足していれば姿勢指示器の二つの△のどちらかの方向に噴射するか、もう片方のAN/DNマーカーまで待って同様に噴射します。
    • マニューバノード作成が面倒なとき
      マニューバノードの作成が面倒なら、AN/DNのすぐ近くで直接ノーマルorアンチノーマル方向にエンジンを吹かしてもOKです。
      昇降点(AN)ならアンチノーマル、降交点(DN)ならノーマル方向に機首を合わせ、噴射します。SASをオンにして、ノーマル・アンチノーマルをクリックすれば自動でその方向に機首を向けてくれます。
      normalantinormal.png
      あとは角度が0.0°になるまで噴射するだけ。できるだけAN/DNマーカーに近づいて行うのがコツです。上記手順と同様、AN/DNマーカーは逃げていきますが、気にせず噴射して0°にすれば軌道面が相手とほぼ同じになります。

最接近位置をより近づける

相手と軌道面を合わせたことで、同一面内の挙動だけを考えれば良くなりました。次に、相手機体に接近、つまり位置を合わせます。

  • 予測軌道を交差させる
    自機の先の近すぎない軌道上をクリックして、マニューバ・ノードを作成します。
    マニューバ・ノードの黄色い○の順行/逆行マーカーを前後にドラッグして、軌道を広げるか、せばめるかして、相手軌道と自軌道が交差するか十分に近づくマニューバをつくります。
    すると、軌道線の上下に、オレンジのみ1対、またはオレンジと紫の2対の通過マーカーが現れます。これは、自機と相手機体が最接近する位置を示しています。
    • コツとして、このとき自分の軌道と相手の軌道が似たような軌道・同じような高度だと、接近するのに手間取ります。そのため、相手軌道とある程度異なる高度の軌道にしておきましょう。
  • 通過マーカーを合わせる
    下側のマーカーにカーソルを合わせると最接近時の距離が表示されるので、右クリックして表示を固定します。
    マニューバ・ノードの中央円をドラッグして、ノードの位置を動かすと、通過マーカーが動きます。自機から一周の範囲内で動かして、上下同色の通過マーカーが近づき、数km程度まで接近できる位置を探します。
    kousa.png
    一周以上自機を越えて動かすとノードが無効化してしまいます。そのときは一度消去して作り直します。また、違う色のマーカーを合わせないように注意してください。
    一周の間に近づかないときは、ノードを右クリックして、サブモードに切り替えます。
    下の二つのボタンで周回を増減させて、通過マーカーの距離が最も近づく周回にします。
    マニューバ・ノードを右クリックして通常モードに切り替え、中央円をドラッグして位置を動かし、上下の通過マーカーが合うか、最も近づく位置を探します。
  • 距離を縮める
    マニューバ・ノードのすべてのマーカーをドラッグして、通過マーカーの距離を縮めます。細かい調整が必要になりますが、距離が縮まるほど接近しやすくなります。
    さきほどの軌道傾斜面を精度良く合わせていれば、マニューバノードの位置か順行・逆行マーカーをいじるだけでかなり近距離まで近づけるはずです。
    数kmまで近づければ上々です。
    ドラッグではなくマウスホイールを回せば、より細かく調整できます。
  • マニューバ実行
    姿勢指示器のマニューバマーカーに機首(中心点)を合わせます。
    ノード位置まで待つか、あるいは時間を加速させて、ノード前で時間加速を停止します。
    噴射インジケータに従って、噴射開始時間0秒から噴射を開始し、バーが空になり噴射量が0になるまで噴射します。
    通過位置までの間に、もう一度マニューバ・ノードを作成して距離が縮まるか試し、縮まればマニューバを実行します。このときの噴射量はわずかな場合が多いため、エンジンやスラスターのアクションメニューから推力を制限して行ないます。

最接近位置で速度を合わせ、遠ければ近づく

慣れないうちは、ここから先は、適宜F5キーでクイックセーブしながら行なうことをお奨めします。
接近できる軌道に投入できたら、最接近位置手前に来るまで待つか、時間加速で飛ばします。

  • 相対速度を0m/sにする
    姿勢指示器の「軌道速度」と書かれているところをクリックし、「ターゲット相対速度」に変更します。
    いよいよ最接近位置に自機が近づいたら、姿勢指示器の逆行マーカーに機首を合わせます。
    なるべく最接近位置に近い場所で相対速度が0m/sになるように噴射します。最接近位置通過までの残り秒数と速度の数字を合わせながら噴射するのが分かりやすい方法でしょう。
  • 距離確認
    速度が0m/sになったらMキーでフライト画面に切り替え、目標機体を探し、距離を確認します。F4キーを押すと距離が固定表示されます。
    このときに距離が数十mであれば、船外活動(EVA)で乗換えなどが十分にできる距離のためここで終えてもよいです。船外活動に慣れている場合はもっと遠くても大丈夫でしょう。
    それ以上の距離である場合や、もっと近づきたい場合は、以下の手順で近づきます。
  • 接近
    Vキーを数回押して、カメラを「固定」にします。
    姿勢指示器のターゲットマーカーに機首を合わせます。これで機体が相手機体の方向に向きました。
    スロットルをわずかに開いてすぐ閉じるか、RCSで前進噴射し、相手機体に近づきます。相手機体との距離にもよりますが、相対速度5~10m/sもあれば十分でしょう。
    十分に近づいたら逆行噴射して減速します。数十mから数mの任意の範囲で、相対速度を0m/sにすればランデブー完了です。
    • カービンのように重力の大きな天体を周回しているときは、自分・相手ともに時間での軌道の変化が大きく、相手の方向を向いて噴射しても、近づく頃には相手が別の場所に移動していることがあります。
      そんなときでも、上記手順「相対速度を0m/sにする→相手機体の方向に向き直して噴射する」を1~2回繰り返せば、相手機体の直ぐ側まで近づけるでしょう。

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