スズメバチ

Last-modified: 2023-12-12 (火) 01:07:58

スズメバチ【すずめばち】

  • ハチ目スズメバチ科の昆虫。見たまま大型のハチである。
    エリンではスカアハの海岸やシルバ森に生息する。
    • アルビ上級には「クモスズメバチ」という、クモなのかスズメバチなのかよくわからないものもいる。
  • 非常に攻撃的であり、ほぼすべての個体が先攻。索敵範囲に入るとかなり短い時間で警戒状態になる。
    ハチのくせしてウィンドミルを持っているというヤッカイなやつ。毒を持っている個体もいたり、種類も多種多様ではあるが、総じて移動速度がやや速く、攻撃力が高く、耐久力も高い。
  • …と、スペックだけなら単なるヤッカイな敵だが、実はフレイマーストンプによって容易に凍結状態にできる。また、タゲの上限が2匹までなので、多数戦に慣れている人は案外与しやすい敵だったりする。2匹以上の敵は攻撃予約の状態になり、順次攻撃態勢へ移行する。
    • この特性を利用して「複数の敵に○○で勝利する」という修練に利用されることが多い。同時攻撃の要求数がやたら多いヒュドラ錬成のトレーニングでお世話になった練成術師は意外と多かったりするのではないだろうか。
  • シルバ森には極地スズメバチという個体が存在しており、倒すと地面にキラキラとした塊を落とすことがある。これを素手状態でクリックするとホワイトハーブが採集できる。このハーブ株は短時間で消えてしまうが、これまでホワイトハーブ採集トレーニングはペットペッカ*1ダンジョンしかなかったため、多くの薬剤師や錬金術師、最近では魔法道具を扱うマジッククラフト職人もちらほら見られる。

余談

  • 現実のスズメバチは時速40キロメートルの飛行速度と1日100kmを移動する持久力を持ち、攻撃性が高く、世界最大級の4cmクラスの巨体を誇る。夏になるとスズメバチに刺されたというニュースがちらほら聞かれる。スズメバチに限らず、ハチに刺された際は適切な処置を行わないと、場合によっては生命に関わる重篤な症状に陥ることもある。虫刺されなどと甘く見てはいけない。年間平均25人もの死者が出るほどの危険生物なのだ。
  • 余談だが「黒い色に反応して攻撃してくる」と言われるのは、天敵であるクマの毛皮の色に反応して攻撃するように適応した結果であるとされる。アジア人の多くは頭髪が黒であることが多く、意識せずともハチにとっての攻撃色を持ってしまっている。そのため、夏場は黒を避け、白や黄色などの光を反射する色の衣服を身に着けたり*2、帽子をかぶるなどしてなるべく黒を出さないようにするとよい。
  • さらに余談だが、スズメバチの中でも特に危険な「オオスズメバチ」は強靭なアゴと堅牢な外殻を持った最強のハチであり、まれではあるが、人が襲われて命を落とすケースもある。このオオスズメバチは30匹で通常のミツバチ3万匹が住む巣を制圧できるほどの戦闘力を持つ。しかし世界で唯一、日本在来種である「ニホンミツバチ(アジアミツバチの一種)」は耐熱温度が48度であることを利用し、このオオスズメバチを取り囲み、蜂球(ほうきゅう)というフォーメーションを作って直接攻撃ではなく熱中死させるという類を見ない習性を持っている。これに捉えられたオオスズメバチは10分ほどで死滅するという。
  • そのヤバさたるや様々な武勇伝があり、かつてアメリカでアフリカナイズドミツバチ(通称Killer Bee=殺人蜂。攻撃性が高く、人間の死亡例も多数あることから付けられた異名。)が大発生し、養蜂家が壊滅的ダメージを受けた際にこれらを駆逐するために日本から輸入することを検討されたが、アフリカナイズドミツバチよりもヤバいということで導入が見送られたという逸話がある。日本原産のオオスズメバチは生態系を根こそぎ破壊しかねないほど危険なのだ。その脅威たるや、ニュースで報道された際に「Murder Hornet*3」と称されたことからもどれほど恐れられていたかがよくわかる。
  • しかし2019年にワシントン州でオオスズメバチの営巣が確認され、一時養蜂業者を中心にパニックが発生した。何しろその毒針や強靭なアゴは既存の防護服を突き破るほどの破壊力を持っており、本来は別の用途に用いられる堅牢な防護服が急遽手配され、一帯は騒然となったそうだ。年々オオスズメバチの発見件数は少数ながらも確認されており、現地では「リーサル・ウェポン」とも呼ばれ都度徹底的な駆除・根絶に神経を尖らせているという。いわく、被害を受けた養蜂場の数万匹のミツバチが犠牲になり、大半が頭と胴が切り離された状態で見つかったとか。オオスズメバチの駆除後もかなりの期間にわたってミツバチが寄り付かなくなり、経営に大打撃を受けた業者もあったらしい。
  • このオオスズメバチがどのようにして流入したのかは定かではないが、ヒトやモノが移動する以上、一緒に彼らも移動しうることはごく自然なことである。しかしながら、外来種として天敵のない環境に放り込まれた場合、その生存能力が暴走してしまい、在来種を駆逐し、環境バランスを崩壊させてしまうということは往々にして起きうるのだ。

余談の余談

  • オオスズメバチはアジア全域にしか生息していない。
    アジアミツバチは気性が穏やかで攻撃性が低く、一方で採集する蜜の量が少ない。しかも繁殖力があまり高くない。そこで日本の養蜂界は西洋種であるセイヨウミツバチの輸入を行った。セイヨウミツバチは活動的で集める蜜の量も多く、繁殖力が高いため、在来種であるアジアミツバチを駆逐してしまうのではないか、と懸念されたという。しかし天敵であるオオスズメバチによって適度に数を減らされているため、生態系のバランスは崩れていない。
  • ちなみにセイヨウミツバチもこのオオスズメバチを取り囲んで窒息死させる対抗手段を持っているらしく、1時間ほどかけて腹部を圧迫死させるそうだ。しかし前述のニホンミツバチに比べると時間がかかりすぎるため被害が大きくなりやすく、失敗して敗死することも少なくない。
    • ヒエラルキー上ではニホンミツバチを駆逐しうる位置にあるセイヨウミツバチに対し、最上位であるオオスズメバチは絶対的な優位を持っている。しかしその最上位のオオスズメバチに対抗しうる手段を持っているのは、セイヨウミツバチに対して下位であるニホンミツバチ、という絶妙の強弱関係になっている。まるでかつてのマビノギの戦闘システムである。

余談の余談の余談

  • なお、スズメバチはハチの世界だけではなく、昆虫界で最強といって差し支えない戦闘力を有しているが、実はこのスズメバチを脅かす他種族も存在している。というのも、スズメバチの武器は強靭なアゴと強力な毒針であり、言い換えればこの武装が届かない部位……つまり背後からの攻撃に弱いという弱点を持っている。
    • これにはまずカマキリが該当する。マビノギでは登場していないが、草や高い木に潜んで音もなく奇襲するという。人呼んで静かなる暗殺者(Silent Assassin)。カマキリは見た目通り攻撃的で獰猛、肉食のため、鎌で捉えられるものは何でも捕食するという。ちなみにカマキリは翅を持っており短時間の飛行ができるため、空を飛ぶスズメバチに跳びかかって狩るのだそうな。
    • ほかにはオニヤンマ(トンボの一種)もこれに該当する。トンボは幼虫の頃は水中で暮らし、そこでは敵なしの最強の座に君臨している。メダカなどの小型の魚すらもトンボの幼虫の前ではエサにすぎない。そんな彼らが空に出ておとなしくなるはずもなく、スズメバチも狩ってしまうそうだ。マビノギのトンボが先制を持っているのはこうした点を踏まえているのだろう。
    • また、シオヤアブ(塩谷虻)というアブもスズメバチを狩ることがある。シオヤアブは猛烈な速度で獲物に体当たりしながら強靭な口吻で獲物を突き刺し、消化液を流し込んで獲物を体内から溶かし、これを啜って栄養を摂取する。さしものスズメバチも弾丸のような突撃を受けてはたまったものではない。
    • 一応クモ類もスズメバチを捕食することはできるが、基本的に網にかかった獲物はその時点で無力化されているので、別にスズメバチに限ったことではない。
  • しかし、最強の座を脅かすといっても基本的には奇襲を受けて背後を取られない限りスズメバチの優位性は揺るがない。カマキリは奇襲に特化している分だけ固い外殻を持たず、飛行能力も大きく劣る。初手を逃してしまえばそこから押し込むのは難しいだろう。
    オニヤンマは飛行速度は優れているもののスズメバチの機動性には及ばす、強靭なアゴという対等の武器を持つが、スズメバチの必殺の毒針のような切り札がない。速度を活かせる状況に持ち込まなければ苦しい。
    シオヤアブは一撃必殺の突撃が頼みの綱だが、これをかわされた場合機動力や武器ではスズメバチには全く歯がたたない。何しろ相手に対処されてしまえばそのへんのミツバチにすら負けてしまうくらいの戦闘力しかないのだ。
  • このように、基本的に奇襲されないかぎりスズメバチと正面切って戦うことができる昆虫は自然界にはほぼ存在しない。前述したニホンミツバチくらいである。そう考えるとマビノギのスズメバチはこれでもおとなしいほうではないだろうか。
    • 数少ない正面切って戦える昆虫と言えば、まず上がるのがカブトムシ等の大型甲虫である。彼らの強靭な外骨格の前には、さすがのスズメバチの顎や毒針が通用しない。関節の隙間を狙って毒針を撃ち込むような芸当が出来れば倒せるかもしれないが、その為には相手の上に乗らなければならないので、巨体とパワーで向かってくる大型甲虫にそのようなチャンスに恵まれることは中々無い…のだが、近年カブトムシを撃退する映像が撮影された。真正面からやり合うのではなく、足に噛みついて撃退する様子が確認されたのだ。大型甲虫とはいえ、足は体に比べればかなり細い。執拗に噛みつき、相手が嫌がって立ち去るよう仕向けるのだ。1,2回程度では足で振り払うが、何度も噛みつかれるとさすがのカブトムシも鬱陶しいのだろう。餌場を諦めて飛び去ってしまう。こうなると他の大型甲虫にも果敢に挑むかと思いきや、オオクワガタとヒラタクワガタに対してはさっさと退散する傾向が強い。理由は「自身を簡単に真っ二つに出来る怪力の持ち主」だからだと思われる。オオクワガタは好戦的な性格ではなく避ける傾向にあるが、一度闘争心に火が付いたら誰にも止められないパワーで迫ってくる。その力は日本在来甲虫類最強レベル。ヒラタクワガタは非常に気性が荒く、自分から真っ向勝負を挑んでくるほど。オオクワガタには届かないものの、自身を体を両断するには十分すぎる力の持ち主。
      また、意外な昆虫もスズメバチを撃退する事で有名。その名は「オオムラサキ」。日本の国である。名前の通りオスは鮮やかな紫色の羽根を持つ。メスは地味な茶色。蝶類では大型であるが甲虫の様に頑丈ではないし、スズメバチのように強力な顎や毒針のように武器なるものは一つもない。ではどうやって撃退するのか?
      答えは「迫力で迫って強引に追っ払う」。オオムラサキは羽ばたく力が非常に強く、小鳥が飛んでいるかのようにバタバタと音を立てることが出来る。羽ばたきながら相手に迫り、その迫力でもって撃退するのだ。下手すればその勢いで叩き落すこともあるとか。その迫力の前に、攻撃力でも防御力でも自身に勝るカブトムシすら追い払うこともある。オオムラサキは縄張り意識が強く、縄張りであり餌場となる樹液が流れ出る場所を護る行為なのだ。ちなみに、オオムラサキの幼虫は一部界隈で「カワイイ」と有名である。気になる方は画像をググってみよう。意外な姿を拝めるぞ。
    • そして同種のスズメバチである「チャイロスズメバチ」も候補に挙がる。スズメバチ類では比較的小柄であるが、チャイロスズメバチは非常に頑丈なキチン質の外骨格を有しており、キイロスズメバチは勿論の事、スズメバチ界最強のオオスズメバチの大顎と毒針ですら容易には貫通出来ないくらい、防御力に特化したスズメバチである。あまりの頑丈さ故、巣を襲うオオスズメバチの本隊(襲撃部隊の事)ですら消耗戦に持ち込まれて撤退を余儀なくされるほど。
      チャイロスズメバチは寄生性のスズメバチで、女王が他のスズメバチの巣の女王を殺害して巣を乗っ取る際、この防御力が優位に働くという。巣を乗っ取るという事から巣を作らないと思われがちだが、全く出来ない訳ではない。作れはするが、子育ても居住性も悪そうなグチャグチャで滅茶苦茶不器用な歪な巣に仕上がる。
  • 堅い鎧と強力な武器、そして必殺技を持った最強のボスモンスター、それがスズメバチだ。だが自然界はそんなボスをただ君臨させたりはしない。正面切って戦う者、徹底したメタ能力で対抗する者、自身の得意な土俵に引っ張り込む者、絡め手の変化球で挑む者。まるでマビノギにおける歴代ボスとミレシアンの姿のようですらある。

*1 1文字違いだがその違いは天地ほどもある。
*2 そもそも夏場に黒は光を反射しないため暑い。白や黄色はハチが見えない色なのだそうな。
*3 英語でKillerは殺人者の意味以外にも他の生物を殺す、という意味も含まれているため、前述のアフリカナイズドミツバチは「ハチを狩るハチ」というやや大げさなニュアンスがあったのだが、Murderは完全に人間を対象とした意味になるため、本当の意味での「殺人蜂」として認識されている。