mabinogi-マビノギ-

Last-modified: 2016-09-18 (日) 20:27:19

mabinogi-マビノギ-

別冊少年マガジンで連載されていた漫画作品。
作画は虎雨マサカリ(とらう・まさかり)、原作はもちろんNEXON。
2013年9月号から連載され、2014年に8月号にて連載を終了。
少年漫画らしい力強いペンタッチと細かな描写が注目され、大コマや迫力のある構図を多用してアクション部分を表現し、物語は王道、というわかりやすさで好評を博した。

概要

  • 時系列的にはG1女神降臨の前日譚にあたる漫画版オリジナルストーリー。主人公としてルエリを中心に、イメンマハから物語は始まる。
    ルエリが旅に出る前からの物語で、G2G3とも絡み、部分的にストーリーをミキシングして描かれている。そのためゲーム版とは幾分異なる展開となっているが、既存のNPCやオリジナルキャラクターを配置し、マビノギを知らない読者に対してもわかりやすくなるよう配慮されている。
  • イメンマハ聖騎士団に所属するルエリは領主の長男でありながらも前線に立ち、団長リダイアをはじめ、同僚の騎士には技量と人柄を高く評価され、領民達からも慕われている。一方で彼自身は次期団長と目されながらも現領主(ルエリの父)への忠誠を嫌い、一兵卒として人々を守る立場にこだわりがあった。
  • ある日、イメンマハに通りがかった旅人の少女「アニエ」と出会い、彼女に自分と同じ痣――「魔物を呼ぶ痣」の存在を知る。この痣は「クロウクルアフの刻印」であり、痣が全身に広がりきったそのときクロウクルアフの生贄として連れ去られる宿命にあった。目の前でアニエをさらわれたルエリは彼女の救出と、自分自身も侵食されつつある「クロウクルアフの刻印」を解くために旅立つ。
    • このように、部分的にゲームとの軽度の齟齬が生じてしまっている箇所もあるにはあるが、無理のないストーリー展開のための許容範囲であり、そもそもマビノギ自体齟齬が生じている箇所が大量にあることから「マビノギには良くあること」で充分に説明がつく。本当はそれで説明がついてはいけないのだが……。
    • mabinogi-マビノギ-ではゲームにも登場するキャラクター、特にエスラスの扱いが格段に良くなっており、エスラスのファンが大歓喜であったという。しかしそのエスラスはG2でラスボスとして……。
    • マリータルラークも登場する。G1クエスト「消えた三戦士」の前日譚という位置づけになるだろうか。
その結末(ネタバレ注意)
  • ・・・とまあ、プレイヤーからすればそれなりに期待を受けていた作品ではあったのだが、原作通りダークロード、マウラス、偽モリアン(キホール)が待つあの世Dに向かった3人はキホールの指示によって全滅する事になるのだが・・・ここで物語が終わってしまっている。これなんてBADEND
    最後のコマには「TO BE CONTINUED TO G2」という文字、そしてゲームのURLが貼られていたのだが、
    多くのミレシアンにとっては周知の通り、G2どころかG1すら終わっていない。むしろ始まってすらいない。ミレシアン(らしき少女)は上記の顔見せのみの出演である。
    このように、いいところで終わってしまうため「ゲームへの導入」という意味では是としたいところだが、ファンとしてもひとつの漫画としても物足りないことは否めない。
    テレビアニメであれば第2期が期待される「ヒキ」であったことを考えれば、読者の声次第で続きも、という意見もあった。
  • 余談だが最終決戦では真っ二つにされ死亡するダークロードやマリーに対して容赦をしないマウラスなど新鮮な光景が見られる。
  • しかし打ち切り説には諸説あり、そもそも原作ありの作品が1年続いて打ち切りということはあまり考えられない*1。ストーリー展開から見てもこの後G1本編、クロウクルアフまで扱うのならG3までを扱わなければならず、その期間を考えれば数年単位を要するか、超駆け足のダイジェスト展開になるかのどちらかしかない。
    あるいはよほど大幅な改変が必要になるが、昨今のコミカライズでは原作を尊重する傾向にあるため、それも考えづらい。
  • また、デビュー直後の新人作家が長期間に渡って原作ありの連載を行うことは、作家としての発展性を阻害する可能性も極めて高く、あまり望ましいことではない。昨今の出版業界ではあまり作家を大切に育てるということがなく、そこそこ描ける人を何年か使ってふるいにかけていくケースが多いのでなんとも言えないが、虎雨氏の作画精度とページ数で数年単位の長期連載は負担が大きいことは容易に推察できる。
    • これらを考慮すれば、なんとも言えない終わり方ではあるが、1年という連載期間やストーリーの区切りから「当初の予定通り連載を終了した」と見るべきであり、まして心ない「打ち切り」という表現は慎むべきではないだろうか。

余談

  • 作画を担当した「虎雨マサカリ」氏は「マビノギを題材にしたなかばパラレルワールド」を公言しているが、一方で大きな矛盾が出ないようにも配慮されているあたり、よほどストーリーに理解があると思われる。もしかしたら氏もミレシアンなのでは、という噂も……?
    • ちなみに虎雨マサカリ氏は商業デビュー後初の掲載で新連載、原作つき、第一話は巻頭カラーを含む71ページ(!)という、大型新人といってもいい扱い。絵柄には好みが分かれるものの、細部まで細かく書き込まれる緻密さと、パワフルなペンタッチは評価が高い。マリーもかわいい。
  • マビノギのコミックといえばマビノギ スタッカートがすでに存在しているが、本作も「スタッカート」も原作ゲームをもとに、かなり独自解釈の作品となっている。これは他にリリースされているマビフェス!?などにもいえることだが、公式はよほどゲームの雰囲気を壊さない限りは描写や解釈を作家の自由にさせているのだという。そのため作家ごとの作風が色濃く出る傾向にあるらしい。

*1 MMOを題材にしたコミカライズは「THE OUT OF ORDERS ファイナルファンタジー XI」(国産MMOの金字塔、FF11のコミック版。奇しくもこちらも時系列的に前日譚にあたる作品。)が存在するが、こちらは3話で休載、その後正式に連載中止となった。この例から考えれば、当時人気絶頂にあったタイトルですら3話での「打ち切り」である。「mabinogi-マビノギ-」は連載終了後は単行本も出版されていることからも「採算が取れている」ことは明らか。