【クヴェル】

Last-modified: 2024-04-23 (火) 21:59:50

SF2

無限の【アニマ】を内包する、【先行文明の種族】が作り上げた遺物。
ヴァイスラント語の「水源」にちなみ、クヴェルと呼ばれる。
先行文明の種族が乾燥地帯を苦手としていたため、【南大陸】では発見されていない。
例外は、他の知的種族に拾わせるためにわざと自分たちにとって過酷な環境に安置された【エッグ】くらいである。
 
現代【サンダイル】においてクヴェルは主に【術】の媒体として利用されており、先行文明の種族の高度な技術もあってその効力や物理的・術的強度は現代人類が模造した【ツール】を大きく上回る。
しかし、本来はそれぞれが火をおこす・水を生み出すなどの固有の効果を持っているとされ、現代における用法は、いわば高度な術機関の部品であったものを個人の術具に転用していると言える。
貴族たちの間では高値で取引される貴重品であり、かつてはクヴェルの所持がそのまま身分へと結びついていた。
【エッグ】にとりつかれた【ミスティ・レブソン】新たに作っていることから、先行文明の種族としての術力があれば作成は難しくない様子。
 
実はツールとは術具として使う際の仕組みが異なっており、あちらがツールそのものの素材からアニマを引き出すのに対し、クヴェルは使い手のアニマの動きに応じて動作し、使い手のアニマを増幅させる形で術の発動を補助する。
そのため、後の時代では【術不能者】に定義される人々であっても使用できる*1し、事実クヴェル文明が全盛期を極めた【ハン帝国】ではそうした貴族もいた。
ただし、増幅されたアニマの量に対して使い手の意志力やアニマ行使能力が足りない場合、術として制御しきれずに膨れ上がったアニマが使用者に逆流することとなってしまう。
逆流したアニマは術の暴走として使用者を傷付けたり、肉体と精神を変質させてモンスター化させてしまったりする。作中では後者を「アニマを食われる」と表現している。
クヴェルの増幅率や動作基準は様々であり、人間が扱えるスペックではないものも多数存在する。
極端なものになると単なる動植物の生存本能(による体内アニマの動き)にまで反応し、そうとは気づかない生物がクヴェルを暴発させてしまうという事故も起こり得る。
 
ハン帝国が崩壊した際、その南大陸にも【東大陸】から多数のクヴェルが流入し、その中に偽造品が混じっていたことで、のちのツール発明へと発展した。
ただし帝国時代はクヴェルのみが術を扱う道具であるという認識からか、クヴェルの力を発現させ続けることで稼動する散水塔や水道管理などの大規模な装置も作られていたが、ツールの発明による時代転換によってこれらの技術は失伝しているという側面もある。
 
なお、【ファイアブランド】【ギュスターヴの剣】の対比に代表されるように、本作の世界観ではアニマの働きを妨げる金属は忌み嫌われており、クヴェルの対極に位置付けられている。
現代サンダイルにおける金属の使用例は、アニマを妨げない金と、アニマを妨げる力の弱い銀、そして加工が容易で死者を葬るために敢えて用いられる【鉄】程度に限られている。
それ以外は、当時の人類の技術レベルでは材質不明とされ、加工などの利用はされていない。


*1 ギュスターヴ13世が使用できないのは、彼はアニマが一切ない特異体質であり、通常の術不能者と比べても完全に異質な存在であったため。