目次
概要
- モンスターハンターシリーズ初の実写映画化作品。ただの映画化ではなく、あのハリウッドによる制作である。
- 本来は2020年9月4日に日米同時公開を予定していたものの、
新型コロナウィルス流行の影響を受けて公開が大きく延期。
世界最速公開はオランダの2020年12月3日であり、アメリカ合衆国では同年12月18日に公開。
日本では大きく遅れてしまったものの、2021年3月26日に公開された。
上映時間は1時間43分。
- 主演は同じCAPCOM作品から実写化されたバイオハザードシリーズでも主役を務めたミラ・ジョヴォヴィッチ。
監督は彼女の夫で同じくバイオハザードの実写映画全作品でも監督を務めたポール・W・S・アンダーソン。
本作の脚本も務めている。
ストーリー・あらすじ
- 砂漠で消息を絶った軍人達を捜索する、アルテミス率いる特殊部隊は突如起こった異常な砂嵐に巻き込まれてしまう。
目を覚ました彼らが目撃したのは現代では考えられない強大なモンスター達。
次々と恐ろしきモンスター達に襲われる彼らは、果たして現実世界に帰る事は出来るのだろうか。
世界観
- モンスターハンターの野生的かつ本能的な世界観がメインとして描かれるのではなく、
現代の軍人がモンハン世界に飛ばされ、巨大なモンスター達に翻弄されるという内容になっている。
そのため、メインシリーズで描かれる様なモンスター達の生態系、ハンターとの命のやり取り……
というより、モンハン世界を舞台にしたモンスターパニック映画と言った方が近い。
特殊訓練を受けたレンジャー達が主人公である為、当然ゲーム本編では見られない様な現代兵器なども登場する。
- 舞台はおそらく大蟻塚の荒地と思しき砂漠地帯*1で、
大団長や受付嬢を始めとした新大陸古龍調査団の面々が確認できる。
よって、世界観上はMHW・MHW:Iに近い時系列の新大陸で繰り広げられる物語になっている模様。
ただし撃龍船が進む大砂漠や、MHFの天廊に似た古代文明の建造物*2が存在していたり、
荒地には登場しないネルスキュラやガレオスが棲息しているなど細部は異なる。
キャラクター・登場人物
- アルテミス
- この映画の主人公で、エリートの特殊部隊を率いる凄腕のレンジャー。本名はナタリー・アルテミスで、階級は大尉。
砂漠で行方不明になった兵士達を探していたところ、
黒雲と雷鳴を伴う不思議な砂嵐に巻き込まれてモンハン世界に転移してしまう。
異常事態に陥っても冷静にチームを導こうとするものの、
立て続けにディアブロス亜種、ネルスキュラの襲撃を受けて仲間を全員失ってしまう。
ただ一人になっても生き抜く事を決意するが、そんな折にこの世界で生きるハンターと出会う。
お互いの言葉も通じず敵対するものの、徐々に打ち解けともに協力する様になる。
ハンターやアドミラルらの力を借りて、元の世界に戻ろうと奮闘する。
- レンジャーらしく多種多様な現代兵器と道具を駆使してモンスター達の脅威から
生き延びる事ができる卓越した技術と、ハンターにも引けを取らない格闘術を持つ。さすがミラ・ジョヴォヴィッチ
ハンターと出会ってからは新しい装備と双剣を譲り受け、
鬼人化やスリンガーも使いこなしながら巨大なモンスターと渡り合う様になる。
劇中の描写を見ると、物語開始前にどうも大事な人を失っているようで、
形見と思われる銀色のペンダントを肌身離さず持っている。
- 強大なモンスターが蔓延るこの世界で生き抜くミステリアスなハンター。
撃龍船にてディアブロス亜種の猛攻を受けて転落し、調査団のメンバーから逸れてしまう。
この世界に迷い込んできたアルテミス達を見守り、手助けしようとする。
アルテミスとは出会い頭から戦闘状態になってしまうものの、共にこの世界で生き延びる為に協力するようになる。
この世界の怪物や武器に詳しく、アルテミスに知識と闘い方を教える。
- 大剣、弓、操虫棍など様々な武器を使いこなせるベテランで、
物語開始時も他の調査団メンバーより早くディアブロス亜種の襲撃を察知していた。
演じるのがトニー・ジャーというだけあって流石のアクションをこなし、
ディアブロス亜種の頭部破壊やネルスキュラの睡眠針切断などの芸当をやってのけた。
アルテミスは英語を話すが、彼はモンスターハンター世界の言語を喋る為に言語による意思疎通は殆ど出来ていない。
唯一通じるのは「ディアブロス」や「チョコレート」といった固有名詞のみという有様なので、
『(右手で角の形を作る)ディアブロス……!(左手で睡眠針の形を作る)ネルスキュラ……!
(左手で右手を刺す様な動作をし、眠るジェスチャー)ディアブロス……スゥー……』
という感じでネルスキュラの睡眠針によってディアブロス亜種を眠らせる、という作戦が伝えられる事になる。
また、アルテミスから貰ったチョコレートが非常に美味しかった様で、
『チョコレート!チョコレート……?チョコレート!』とチョコレートを催促し、
無いとわかるとあからさまにガッカリするという一場面も。
彼もアルテミスと同じく大事な人を亡くしているようで、家族を模した人形に対して祈りを捧げている。
その仇と目されるリオレウスに対しては憎悪を燃やしている様だ。
- リンク
- ダッシュ
- マーシャル
- スティーラー
- アックス
- アルテミスと共に行動する特殊部隊の面々。全員が銃火器を携えたベテランのレンジャーなのだが、
モンハン世界の怪物達にそれは通用せず一人、また一人と襲われていってしまう。
殺害方法もディアブロス亜種の角に心臓を一突きにされる、ネルスキュラに頭から持っていかれる、
挙げ句の果てには身体にネルスキュラの卵を産み付けられ、
生きたまま身体から無数の小さな蜘蛛が這い出てくるというホラー映画さながらの死に方をする者も。
- 調査団を率いる大柄な男性で、冷静な判断力と実力によって調査団を導いている。
アドミラルとは英語で海軍将官、特に複数の艦隊を受け持つ司令官のことだが、
彼の場合は「船で新大陸にやって来た調査団全体をまとめる人物」といったところだろう。
英語が話せる上に、モンハン世界とアルテミス達の世界が別々に存在する事を把握しているようで、
アルテミスがこちらの世界に来た理由も理解しているという。
アルテミスやハンターと協力し、両方の世界を繋ぐポータルを生成するスカイタワーに挑む。
- 使用武器はスラッシュアックスで、属性解放斬りのエネルギーもしっかり描写されている。
演じるのがかのロン・パールマンであるというのもあり、顔の迫力が凄い。
というか野性味ある衣装に加え、戦いで汚れた様なメイクをしている事もあり、
ゲーム本編の大団長にも勝るとも劣らぬ威容を放っていると評判。
- 映画本編では英語が話せる理由を『過去にも転移者が居たから』と説明しているが、
MHW:Iとのコラボクエストの内容が正史とすると
未来からやって来たアルテミスの手製辞書を渡されたからである、という事になる。
詳しく説明されるわけでは無いので真相は不明。
- ハンターを確かな知識で支える編纂者。
スリンガーの扱いも熟知しており、アプケロスの暴走によって窮地に陥ったハンターを救出した。
ゲーム本編ほどの出番は無いものの、演じるのが山崎紘菜氏であり、
各国から来たキャストの実質的な日本代表でもある、という事で注目されている。
- 調査団に所属する、若手ハンターと調査員のコンビ。捕らえられたアルテミスを物珍しそうにしげしげと眺めた。
スカイタワーのリオレウス討伐作戦にも出向くものの、巨大リオレウスの猛攻によって劣勢になってしまう。
ゲーム本編における陽気な推薦組と勝ち気な推薦組にあたる登場人物で、
「エイデン」という名前はMHW:Iのミラボレアスのイベントにて言及されていたものの、
相方の「リア」の名前が明かされるのは初となる。
- 調査団の台所を一匹で仕切る隻眼のアイルー。
かつては大団長のオトモアイルーだったが、一線を退いてからは食欲旺盛なハンター達の腹を満たしている。
大団長に似て豪快な性格だが、料理に関しては繊細な様だ。
本作で唯一のアイルーでもあり、ゲーム本編と違って喋らず、低い猫の鳴き声しか出さないが、
アルテミスに向かって投げ接吻したり、スカイタワーの戦いに武器を持って参戦したりなど、
これはこれでコミカルかつ愛嬌のある仕上がりになっている。
登場するモンスター
- 本家のゲームシリーズの醍醐味であるモンスターも勿論登場する。
MHW準拠のモデルをベースに、実写映画化に当たって更に細部のデザインやバランスが調整された実質の新デザインで、
リオレウスやディアブロス亜種を筆頭に力強さと恐ろしさが強調されたモデルになっている。
また、MH4出身のネルスキュラやゴア・マガラも登場し、これらは更に大きくデザインが変更されている。
特にネルスキュラについては棲息地・生態が変更され、群れで登場し地下に巨大な蜘蛛の巣を作っているという、
モンスターパニックに登場するクリーチャーに近い生物になった。- モンスターのデザインについては映画の制作者らがゲームのものを元に制作し、
それをシリーズお馴染みの辻本プロデューサーや藤岡ディレクターらが監修して手直しを加えたものであるようだ。
モンスターの爪の形から目の色、モンスターの姿勢に至るまで、時には何時間も費やして調整する事もあったという。
- モンスターのデザインについては映画の制作者らがゲームのものを元に制作し、
- 登場するモンスターは上述の4種と、小型モンスターであるアプケロスとガレオスを加えた6種類。*3
メインで登場するのは予告編でも大きく取り上げられていた、
黒き砂漠の暴君・ディアブロス亜種と、空の王者・リオレウスの巨大個体の2体である。
- 巨大リオレウス
- 血を彷彿とさせる真っ赤な鱗と漆黒の甲殻に身を包んだ、炎を操る巨大なワイバーン。
その火竜の中でも更に巨大な個体で、通常のリオレウスの3倍近い体躯を誇る。
巨大な翼による圧倒的な飛行能力と力強く鋭い後脚による攻撃、
そして何より自在に炎を操るという能力を持ち、他のモンスターを遥かに超える脅威として君臨している。
ハンターの家族を奪った仇でもあり、強大な敵としてアルテミス達の前に立ちはだかる。
- モンスターハンターを代表するモンスターにして、シリーズの顔たるリオレウスもしっかり参戦。
予告編においても空中管制機を上から掴み、そのまま引き裂いてしまうという恐ろしい行動に出ている。
しかしこのリオレウス、ただのリオレウスではない。
通常のリオレウスが高さ5~6m程度なのに対し、この個体は高さ14mという異常にデカすぎる個体なのだ。
もはや金冠どころの話ではなく、全長は圧巻の45m超え。
これがどれほど大きいかというと、アカムトルムやミラボレアスを飛び越え
ゼノ・ジーヴァやマム・タロトに匹敵する大きさである。しかも通常の飛竜体型のモンスターが、である。
それゆえ空を飛ぶだけで地上に影が差し、火炎ブレス一つで森が阿鼻叫喚に陥るという有様である。
また、火球どころかMHRiseに先立ち地上を焼き払う火炎放射を習得しており、砂漠を焼き払う様な行動すら見せた。
このサイズなら正直古龍にすら勝てそう
- ストーリー上においてはアルテミスが探していた軍人達を焼き殺した強力な火炎、
ハンターの家族を奪った飛竜……という風に存在だけが示されており、後半までは登場しない。
ディアブロス亜種を倒したアルテミス達が森で休憩している際に飛来し、火炎ブレスで森を混乱に陥らせる。
その後アドミラル(大団長)の口からリオレウスの存在が語られるが、
このリオレウスは二つの世界をつなぐポータルを生み出している古代の塔:スカイタワーの番人であり、
彼を倒さなければ元の世界に戻れないどころかポータルから溢れるモンスターで現代世界が破滅してしまうという事態に。
スカイタワーにてアルテミスと調査団を待ち受け、圧倒的な攻撃力で調査団を蹴散らした上で、
ポータルを通じて現代の砂漠までやって来てしまい、現代の軍すら容易く屠ってしまうほどの猛威をみせた。
- この巨大なリオレウスとは実際のゲームでも戦うことができる。
MHW:Iにおける映画とのコラボクエスト「Our World 私達の世界へ」に登場する個体がそれ。
大きさについても百聞は一見に如かずなので、是非一度挑みに行ってみるといいだろう。
- ちなみに英名は「Greater Rathalos」。
ドスジャグラスが「Great Jagras」と呼ばれているように、
リオレウスの中でもまさしく異常に発達した長の様な存在なのかもしれない。
また、通常を遥かに超えた体躯を持ち、「グレート」以上の名前を持つ……という点では
窮賊、ハンターを噛む!のドスジャグラスの英名「The Greatest Jagras」を思い出させる。
- 強靭な一対の角を備え、黒く染まった甲殻を持つ繁殖期のディアブロス。
妊娠し、腹に卵を抱えているために非常に警戒心が高く、
目で見たものはおろか周囲で音を立てる者全てに襲いかかるほど気が立っている。
頑丈な甲殻には銃撃などもはや何の意味もなさず、
角を用いた体当たりで4tもある装甲車両を軽く転がせるほどの力を持つ。
- 映画前半でメインを張るのはディアブロスの亜種。
現代世界からやって来た特殊部隊の現代兵器が全く役に立たず、
次々殺される中もはや逃げるしか無い……というモンハン世界の厳しさを教える役割を与えられており、
装甲車両をすっ転がし、人間を角で串刺しにする等、非常に景気の良い暴れっぷりを見せてくれる。
ディテールもハリウッドスケールのクオリティで描かれており、筋張った角やトゲついた甲殻、
更に甲殻の隙間に砂が詰まっている様子までしっかりと緻密に描写されている。
また、本作では地味に史上初の大砂漠を泳ぐディアブロス亜種を見ることが出来る。
撃龍船を追いかけて複数のディアブロス亜種が角と襟飾だけ出して泳ぐ様子は実に興味深い。
- 劇中では特殊部隊を軽く蹴散らし、メンバーを死に至らしめるほどの猛攻でレンジャーを撤退させる。
ハンターと合流したアルテミスが装備を取り戻すには彼女のいる領域を通過せねばならず、
その為にハンターはアルテミスに狩人の武器と戦い方を教え込む。
また、秘策としてネルスキュラの睡眠針を切り落とし、
その毒を用いてディアブロスを眠らせるという作戦を敢行しようとする。
圧倒的な攻撃力の前にアルテミスもハンターもぶっ飛ばされ、
起死回生の一撃として放った毒矢によって作戦は成功したかに見えたが……?
- ディアブロスの通常種でなく亜種が採用されたのは繁殖期で気が立っており、
余所者のレンジャー達にも容赦なく襲いかかるという理由づけがしやすいからなのだろうか。
ディテールが更に向上したからか、黒い体に真っ赤な眼を持つ彼女が
登場人物を屠っていく様子は冗談抜きで怖い。まさに悪魔の如き暴虐である。
- 砂漠の地下に群れで巨大な巣を作る蜘蛛に似たモンスター。
腹先にある巨大な睡眠針と背中の結晶化した毒棘、そして長く鋭い前脚の爪を武器とする。
暗闇の中から無数に現れて獲物を連れ去っていくという悪夢の様な生態を持つが、
幸いにして日光に弱いために昼間は活動が抑えられる。
ディアブロス亜種から命からがら逃げ出してきた特殊部隊を襲い、
前脚で連れ去り、睡眠針で刺し、生きたまま貪り食い、
挙げ句の果てには巨大な巣に連れ込んで人間に直接卵を生みつけ、
生きた人間から無数の幼体が這い出してくる……という凄惨極める活躍をし、
結果的にアルテミスを除く特殊部隊を全滅させてしまう。
- MH4からは国内・海外の両方でも人気の高いネルスキュラが出演。
今作では前述の通り大きく変更が加えられており、
非常にホラーテイストかつグロテスクなシーンを作り出すことに貢献している。
ネルスキュラやヤツカダキなど、鋏角種のモンスターは蜘蛛そのままのデザインではなく
大きくディフォルメが加えられた独特なデザインをしている為に蜘蛛感が薄れているが、
こちらは現実の蜘蛛にそっくりなクリーチャーで、しかも大群で襲いかかってくるのである。
結果的に今作でも屈指のトラウマモンスターとなりかねないほどの仕上がりとなっている。
大群で画面に映るが、実はデザインには個体差が存在し、
他のモンスターの皮の纏い方や毒棘の生え方が一体一体違う様だ。
- 劇中ではディアブロス亜種に続いてレンジャー達を襲って壊滅させ、
アルテミスには睡眠針を打ち込んで昏睡させて巣に連れ込む。
目覚めたアルテミスは巨大なネルスキュラの巣の中におり、
僅かな道具で脱出しようとするものの仲間の身体から小さなネルスキュラが湧き出てくるという
陰惨な光景を目にしてしまい、心が折れかけながらも脱出する。
その後、打倒ディアブロス亜種にネルスキュラの睡眠針を利用する作戦が立てられ、
ハンターとアルテミスは再びネルスキュラの巣にやってくる事になる。
- 砂漠に登場する、体色が黒寄りの灰色である、という事から
今作のネルスキュラは亜種なのではないか?という推測も立てられている。
特に映画内ではディアブロス亜種の事を単に「ディアブロス」とだけ呼んでいるので、
こちらも実は亜種の方だった、というのはあり得る話だろう。
ただしパンフレットでは麻痺針ではなく睡眠針と書かれている為、どちらなのかは不明。
藤岡ディレクターへのインタビューを見ると、群れで登場するという案は
ポール監督によるもので「とにかく数を出したい」という思いからだったようだ。
このような大群はゲームでは実現不可能なので、映像作品でしか出来ない恐ろしいシーンになっている。
藤岡ディレクター曰く「気持ち悪さが気持ちいい」という仕上がり。
- 砂漠地帯に棲息する草食種。高い縄張り意識を持ち、
大きな体躯と棍棒のように発達した尾を用いて敵を威嚇する。
また、捕食者に襲われた際は集団で固まって防御壁を作る習性がある。
- 荒地を抜けた先のオアシスに群れで棲息している草食の小型モンスター。
ゲームでは気性の荒さからホーミング生肉などと言われていたが、
今作ではモンハン世界の生態系描写に一役買っている存在である。
巨大リオレウスの火炎ブレスによってパニックに陥ってしまい、アルテミスとハンターの身を危険に晒す。
なお、このシーンの際に逃げるアプケロスの群れが崖から落ちていく様子が映るが、
これはおそらく2005年PJ版の映画「キングコング」にて、
肉食竜から逃げるアパトサウルスのシーンがオマージュされているのだと考えられる。
- 平たい頭と大きなヒレを持つサメに似た生物。
砂中に潜み、背ビレを覗かせながら獲物を襲いに飛びかかる習性を持つ。
調理したガレオスの肉はおいしいらしい。
- 公開前には限られたメディアでのみ存在が明かされていたモンスター。
砂漠のオアシスに近づいたアルテミスを襲うものの一瞬でハンターに倒されてしまう。
本当に一瞬しか画面に映らないのでガレオスだと気付かなかった視聴者もいただろう。
また、このガレオスは肉を剥ぎ取られ、ハンターの手によってまさかの上手に焼けましたー!されてしまう。
このこんがり肉を作るシーンは予告編などでもプッシュされていたが、
それがガレオスの肉だとは誰も思わなかっただろう。
- 目撃例が非常に少ない、闇を纏ったかのような姿の謎のモンスター。
巨大リオレウスを倒した一行に対してスカイタワーが送り込んだ新たな刺客。
- なんとMH4のメインモンスターにして異形の竜であるゴア・マガラも参戦。
ただし大きな活躍が描かれた訳ではなく、映画終盤に登場する「新たな敵、終わらない脅威」としての演出担当。
最終的にゴア・マガラに挑む主人公達を映して映画が終わる為に、
公開前に期待危惧されていたような狂竜ウイルスによる脅威は描かれないままとなった。
隠しモンスターのような扱いなので、ゲスト参戦と言ったところか。
- これらのモンスター以外に、砂漠に晒された巨大な骨格が映し出されるが、
これがモーラン種のモンスターに非常に似ていると話題になっている。
付近には撃龍船で進めるような砂の海も存在する為、
かつての砂漠にはかの巨大古龍も棲息していたのかもしれない。
制作陣
キャスト
- アルテミス:ミラ・ジョヴォヴィッチ
- ハンター:トニー・ジャー
- リンク:ティップ・“T.I.”・ハリス
- ダッシュ:ミーガン・グッド
- マーシャル:ディエゴ・ボネータ
- スティーラー:ジョシュ・ヘルマン
- アックス:ジン・アウヨン
- アドミラル(大団長):ロン・パールマン
- ハンドラー(受付嬢):山崎紘菜
- エイデン:ヤニック・シューマン
- リア:ナンダ・コスタ
スタッフ
- 監督・脚本:ポール・W・S・アンダーソン
- 製作:ジェレミー・ボルト、ポール・W・S・アンダーソン、デニス・ベラルディ、ロバート・クルツァー、マルティン・モスコヴィッツ
- 製作総指揮:松岡宏泰、エドワード・チェン、ハワード・チェン
- 撮影監督:グレン・マクファーソン
- プロダクション・デザイン:エドワード・トーマス
- 編集:ドゥービー・ホワイト
- 衣装:ダニエル・ノックス
- 音楽:ポール・ハスリンジャー
- 視覚効果スーパーバイザー:デニス・ベラルディ
- アソシエイト・プロデューサー:辻本良三、藤岡要
評価
- 結論から言えば全世界において賛否両論である。
そもそも現代世界と繋げる必要性はあったのか、という点は発表初期から指摘されており、
シリーズファンの殆どはモンハン世界に根付いたハンターとして見に来ているのに、
現代世界の銃火器だの戦車だのが登場してしまってはモンハンらしくない、という第一印象がまず来てしまう。
また、モンスターについても生態系の一員である生物としての面はあまり見られず、
凶悪で残虐な「パニック映画のクリーチャー」に成り下がってしまっている、という評価が多い。
これについてはデザイン・生態まで変更されたネルスキュラと、スカイタワーの番人という生物ではなく
ただのエネミーとしての役割が与えられていたリオレウスとゴア・マガラを指して言われていることが多い。
特にインタビュー等で「モンスターを一方的な悪役にはしたくない」と言われていたにもかかわらずの仕上がりな為、
そのモンスターのファンからの否定の声も上がっている。- 日本のファンについてはアメリカなどより三ヶ月以上も遅れた公開となってしまい、
アメリカからの低評価レビューやネタバレなどが嫌でも目に入って来てしまっている為に
映画を観るモチベーションも下がっていった中での公開になってしまっている。
これに関しては製作陣ではなく新型コロナウィルスによるもので仕方ない所なのだが、
日本での公開前には大きな逆風が吹いていたということは事実である。 - 総じて、モンスターハンターの実写化というより、
モンスターが出演する「モンスターパニック映画」の様な出来上がりになっており、
大体のファンが見たがっていた「生態描写や生活・文化が息づいた映画」ではなかった…
という評価に落ち着いてしまっている。
批評家からもアクションや迫力ある画面構成については評価されているものの、
脚本や演出については批判されている。
- 日本のファンについてはアメリカなどより三ヶ月以上も遅れた公開となってしまい、
- もちろん悪いところばかりではない。
ハリウッドの特大スケールで描かれる新世界、画面いっぱいに暴れるモンスター達は
確かに大迫力かつ爽快な暴れっぷりを見せてくれるし、
ゲーム本編では出来ないだろうモンスターによる殺人描写やゴア描写は
モンハン世界の本当の恐ろしさ・厳しさを実感できる演出となっている。
また、アルテミス・ハンターの二人はしっかりキャラが立っており、
コメディチックに描かれる掛け合いは純粋に面白く微笑ましい。
特にカタコトのトニー・ジャーはセリフ・アクション共に人気が高い。- シリーズファンからすると気になる点もあるかもしれないが、
それでもロッテントマトによる観客からの評価は70%*4である。
批評家からの評価は46%であるものの、大多数の観客が楽しめる映画になっているのは間違いない。
- シリーズファンからすると気になる点もあるかもしれないが、
余談
- 本作にはモンスターのグラフィックデザインや登場人物、スリンガーなどを始め、
MHWが作品の土台となっている節が見受けられる。
特にMHWは過去シリーズと比べて一気に世界中で大ヒットした作品なので、
ハリウッド製作となると人気的にも時期的にもそうなるのが必然だったと言えるだろう。
また、MHW:Iとのコラボクエストも配信されており、
前編は「The New World 新世界にて」、
後編は「Our World 私達の世界へ」がそれぞれ該当するクエストになっている。
かつてのコラボクエストにおけるゲラルトと同じく、アルテミス本人を操作して行うクエストになっており、
アルテミスの双剣と劇中でアルテミスが着ていた装備を手に入れることが出来る。
- 日本版の公式Twitterアカウントは、
公開後に「観覧年齢制限はございません」だとか、「ファミリーでの一狩りも大歓迎!」などと発信している。
…が、その圧倒的に恐怖を掻き立てる恐ろしい内容を既に観てきた人からは「どこがだ」とのツッコミが相次いだ。
さすがカプコン、映画でもドSである。
- 本作の存在が明かされたのは2016年のゲームショウでの事だが、
製作初期のコンセプトアートとして公開された空港で飛行機を鷲掴みにするリオレウス、
出所不明ながらショッピングモールのような場所で相対するリオレウスとゴア・マガラの映像が存在していた。
モンスターが現実世界に入ってきて暴れる内容の映画なのかと物議を醸したが、
これは本作製作初期におけるクライマックスの案だったようだ。
初期案では、青年がパラレルワールドであるモンハンの世界に行ってしまい、
モンスターとの戦いの中で人間的にも成長していき、最後には現実世界に帰還、
現実世界に現れたモンスターとの戦いで活躍する…というものだったとの事である。
メインターゲット層としてはヤングアダルトを想定していたが、本作の製作が
長引いている間にこうした結末の映画が乱発されて安っぽくなってしまった事もあり、
ポール監督は若者が冒険を通して成長する物語ではなく、
勇気ある主人公が異界の脅威に巻き込まれる……という内容に改めたようである。
上述したファミリー層向けの宣伝についてもおそらくこの変更を受けての事と考えられる。
- アンダーソン監督によればすでに次回作の構想があるようだ。
劇中でもスカイタワーの脅威は払えておらず、
ポストクレジットシーンにはフードを被った謎の男が映されるなど、
本編にも続編の伏線は多く貼ってある。
次回作ではどのようなモンスターが出演するのか楽しみなところだ。- ただし前述の通り映画の評判は芳しく無い。
6000万ドルの製作費に対して、全世界での興行収入は4078万ドル*5と、
惨敗と言えるような結果になってしまっている。
また、劇中で差別的な用語が使用されたと中国で問題になった事もあり、
中国では僅か1日で公開中止にまでなってしまっている。
コロナ禍によって映画館に行くと言う行為そのもののハードルも高く感じる人が多い点も厳しいところ。
世界的にも逆風が吹いてしまっている中で、続編の制作はもしかしたら難しいかもしれない。
明らかな次回作へのフリで終わっておきながら結局打ち切りというのも洋画にはよくある話である。
- ただし前述の通り映画の評判は芳しく無い。
- 日本語吹き替え版では、宮野真守、中村悠一、花江夏樹といった主役級の声優たちが
特殊部隊の面々に声を当てたが、上述の通り序盤で死亡するため、豪華声優の無駄遣いとも称された。
一方でこれまた主演級俳優の松坂桃李が声を当てたハンターは、アルテミスと
言語での意思疎通が出来ないため、セリフのほとんどはうなり声や叫び声である。
このため松坂には、本作の関連イベントで「トニー(・ジャー本人の声のまま)でよかったじゃん」と言われてしまった。
関連項目
システム/オープニングムービー - 本家のゲームシリーズにおける映像パート。
システム/生態ムービー - 同上
システム/登場ムービー - 同上
イベント・メディア展開/モンスターハンターストーリーズ RIDE ON - モンスターハンターシリーズで初めて全国規模でテレビ放送されたアニメーション作品。
イベント・メディア展開/モンスターハンター:レジェンド・オブ・ザ・ギルド - 実写版より先に発表されていたが公開はこれより後となったモンスターハンターシリーズ初のCG映像作品。
クエスト/実写映画コラボシリーズ - 本作に先駆けて配信されたイベントクエスト。
武器/アルテミスの双剣 - 主人公が使用する武器。
防具/アルテミスシリーズ - 主人公が着用する防具。
シリーズ/モンスターハンター:ワールド - 設定と世界観を共有している。