シールド製作

Last-modified: 2008-06-16 (月) 23:30:25

シールド製作

メーカ・品種により組み立て方・半田のつけ方が微妙に変わってくるので注意。
物によってははんだ不要のコネクタもある。ただし一般的に多少割高。

基礎知識

有色Hotの法則

勝手に法則名つけた記憶がある。
シールド線などでどれがHotでColdで(LiveとDeadとNeutralとか)、というのを統一するため。ほとんどの製品はこの法則になっている。パソコンの内部配線も。*1

基本的に白もしくは黒を無色として考える。白と黒のみの場合は白が無色として考える。
それだけ。
物によっては考え方を変える必要もある。

 

まぁ、結果として配線を間違えなければいいんですけどね。

はんだこて

http://rs-components.jp/techinfo/techmame/mame_200708.html

はんだこてには様々な種類があり、こて先の形状と発熱量によって最適な用途がある。
コネクタ類をはんだ付けする場合には、50W以上のこてでないときれいにできない。

 

基本的に加熱する際はこての先端部分を使うのではなく、腹の部分を使う。
加熱する部分にこてを力いっぱい押し付けたところで結果は変わらないので、置く程度で。

 

まず加熱してからはんだを乗せる。
加熱していない状態ではんだを付けてもはんだこてにはんだが溶けるだけで、つけたい部分には付いてくれない。このとき、はんだがつけたい部分に馴染まずに玉のようになってしまう。こうなったら玉になったはんだもきれいに落としてやり直し。

加熱しすぎると今度はキャノンの樹脂の部分が溶けたりシールドの皮膜が溶けたりとあまりいいことはない。

加熱の一応の目安は、はんだをつけたい部分にこてを置いて、少し遅めに3まで数えて、続けて5まで数える間にはんだを溶かし込む。うまく行くとはんだが導線の間に染込むように馴染み、端子にも薄く広がり光沢を持つ。
失敗すると大抵、はんだに不自然な段差が出来ていたり、焦げて黒い斑点みたいなものが表面に出て、光沢がでない。

一度加熱して冷えて固まったはんだは2度目の加熱では溶けにくく染込みにくく扱いにくい。なので失敗したらけちけちせず一度きれいに取り除いてからやり直した方が後々面倒なことにもなりにくい。

 

はんだこてを使い終わる際は、こて先にはんだを溶かして膜を作っておくと長持ちするようで。

wikipedia

はんだあげ

撚った銅線などをはんだでまとめておくこと。
これをするかしないかで作業効率と仕上がりはかなり変わる。

理想としては、はんだが撚った線の内部まで染み込み、外側は玉半田も無く撚り線であるとわかるくらいにうすーくはんだの膜が出来る状態。

綺麗に仕上げるコツとしては、

  • はんだを溶かす前に導線を十分に暖めておく。
  • はんだを溶かすときに、一箇所で溶かさない。
  • 念じてみる

とか。

はんだ

はんだは基本的に電気伝導性のある固定剤みたいなもの。はんだの成分によって溶け易さや食いつきなどが変わる。
要するに導線とコネクタはしっかり密着させておき、固定にはんだをつかう、というのが正しい考え方(だと思う)。

 

すたっふで主に使用しているはんだは和光テクニカル SR-4N 無鉛銀はんだ(銅が入っていない方)である。お値段3000円程度。一般のはんだに比べ、30%以上抵抗値が低下しているようで。
但し融点が高いのでこての温度には気をつけなければならない。

ただ、はんだ云々よりもはんだ付けの技術の方が影響としては大きいので、このはんだの恩恵を受けられているかは甚だ疑問である。
しかしながら、別のはんだを混ぜて使った時にどんな化学反応が起こるかわからないという問題もあったり。

あと、紙フェノール基盤(茶色っぽい基盤)で銀はんだを使用すると、銀が析出して電源方向に伸びていき、最悪ショートして故障する可能性があるらしい。
古い機材を修繕する際には注意しないといけないかも。

コネクタの種類と。

キャノンコネクタ

3PINあり、よく1番と2番がひっくり返ってしまうことが多いので注意。よく確認して、シールド線は皮膜を剥いてはんだあげしておき、ちゃんと長さ調整しておく等、はんだ付けの前の下準備はしっかりやっておいた方が良い。

neutrik.JPG

またコネクタのブッシングだけは必ず先に通しておくこと。これを忘れるとやり直しとなる。
(最近の)ノイトリック製ならブッシングのみで良いが、ITTなどになるとコネクタのハウジングなども先に通す必要が出てくる。

はんだ付けの際は樹脂製の部分を半田ごてで溶かしてしまわないように、やりやすい角度に調整しながら行うと良い。一人でやるのは結構骨が折れ、また出来上がりも悪くなりやすい。

ピンコネクタ

ピンは構造的にやられ易い・・・のかなぁ。抜き方が悪い為にあんなに壊れている気がするよママン。

ピンの中身のワニ口みたいになっているところは、シールド(編んである部分)を挟むのではなく、皮膜(ゴムの部分)ごと全体を挟むもんです。ゴムの部分をはがして挟むと、イマイチ固定が緩くなり、断線の危険性が高まるようです。
またワニ口の近くに穴が開いている(+穴の付近にくぼみが出来ている)のは、その部分にGND線を突っ込んで、裏側ではんだ付けをする様にしているため。このタイプだと、HOTとGNDがピンコネクタ内部でショートする可能性がぐっと減り、またはんだ付けの難易度も下がります。GND部分は少し面積が大きいので、暖める時間が少し余計に必要。

1/4 Phone (標準)

構造的にはピンコネクタと似ている。但し、TRS Phone(チップ、リング、スリーブがある)の場合はリング部分の端子が増えるので少しややこしくなる。
内部で端子同士が接触しやすいので、ビニテや熱収縮チューブなどを用いて絶縁しておいたほうが良い。

ケーブルの種類

バランスケーブル

2本の電線とそれを覆うシールド(編み線または金属箔)で構成されているケーブル。
S.T.A.F.-1が通常購入したり使用するのはこの種類のシールド線である。
シールド部分が編み線の物は曲げに対して強いので、こちらの方を通常は使う。金属箔は固定設備用なので普通は購入していない。

よく購入するCANAREのケーブル(L-4E6S)は中に青と白の皮膜の線が2本ずつあるが、これをコネクタなどに接続する際は同色のものを2本まとめて接続する。2本ずつある理由は、ツイストペアにすることによりシールド線の抵抗値とリアクタンス値を下げ、ノイズの耐性を向上させるためである。

この種のシールド線をアンパランス用途に使用する際は、coldの線をGNDと共に接続させる。これによりわずかにノイズの耐性が高まる。

アンバランスケーブル

1本の電線とシールドで構成されている。別名同軸ケーブル。
ギターやベースやらピンコネクタのケーブルにはこれが使われている。

S.T.A.F.-1では面倒なのでバランスケーブルのcoldをGNDに落とすことにより、アンバランスケーブルとして使用していることが多い。

スピコン(スピーカーケーブル)製作

スピコンはコネクタの名前です。

コネクタ

スピコン(SPEAKON)

おそらくPA業界ではスピーカ用のコネクタとしては最も普及しているのではないかと。
結構頑丈なコネクタ本体であったりロック機構がついていたりメンテナンスがしやすかったり。
S.T.A.F.-1では4Pのものが用いられる。他に2Pや8P(Alphaはこれを使ってる)があるが、サイズが明らかに違うしこれを使う機材も無いので使用していない。

ケーブルとの接続は6角ネジを締めることによる圧着。古いものは銅板の筒も使用する構造になっているが、一度ネジを締めると変形するため再利用が結構困難。新しいものはこれがないので楽。

似たような物に電源用のパワコンというものが存在する、が(大阪の)店頭で見かけない。東京では見た。

標準(1/4 Phone)

(結構)昔はよく使用されていた。

接続時にシールド線を使ってしまう危険性があることや(これをやると非常に危険、というか火事)、スピコンと比較して接点面積が小さくなるため、接点部分でのロスが大きいというあまりよくないところがある。

機材では古いスピーカやMR902,905の本体にパラ用に残っている。
ケーブルは(ほぼ)電源線なので、コネクタの隙間から2本のケーブルが確認できれば大体スピーカケーブル。

キャノン

標準と似たような状態。
シールドとの区別が紛らわしいので使わない方がいい。

ケーブル

基本的に電源線のような太さの電線を使用する。というか電源線だな、あれは。
決してシールド線を使用してはいけない。燃えるよ。

すたっふでは4芯のケーブルを大抵使用。

PS15の説明書によればAWG#12以下の(AWG#12よりも太い)ケーブルが推奨されていた、はず・・・?
※AWGは値が小さくなるほど導体の太さが大きくなっていきます。

薀蓄

どうでもよさそうなこと

金メッキコネクタについて

金メッキのコネクタのメリットは

  • コネクタの腐食・錆が起きない
  • 接点の抵抗が減少

といった感じ。

金は基本的に化学反応が起き難い物質であるのでこんなメリットがある。
また銅・銀に次ぐ抵抗率の低さなので悪いことはない。
金メッキコネクタだからといって音が良くなる!!とかそういう期待は良くない。
あくまで”転ばぬ先の杖”程度に考えておくのが吉かと。
シールドの抵抗値なんて半田付けの良し悪しの方が影響がデカイ。

何故今ノイトリック製のキャノンコネクタを使っているのか

実は過去にもノイトリック製のキャノンコネクタは使用していたのですが、プッシュのロックにプラスチック製の部品を使っていたこともあり破損が多発した模様。
そのため2002年頃ITTのキャノンに統一しようという動きとなっていました。

しかしながらノイトリックも馬鹿ではないので改良された製品を発売。
ITT製に見られる小さなネジを使用しないことからメンテナンスが非常に容易となり、2005年頃から事ある毎にノイトリック製に切り替え。
本体が黒塗装されたものは見栄えも良い。

ちなみに、各所でちらほら見かける他メーカーのキャノンコネクタについてはなんとなく使用しないことにしてます。デザインが多少気に食わないのと耐久性に少々不安があるので。
でも安いけど。
またはんだフリータイプの物はなんだかんだで使ってません。多少価格が上がるのと、導線の太さによって色々微妙な感じがするので。



*1 CANAREが販売するキャノンケーブルはこの法則を無視している