「へへっ、やったよ姉さん!」
「俺に出来ることがあったら何でも言って下さい♪」
「ひぃいい!💦」
「なるほど~!」
▼基本データ
キャラ作成者:ミコト(みこりん)
- 名前:ミコト(本名:リヒト・フィルマメント)
- 性別:男
- 一人称:俺(幼少期は僕)
- 二人称:〇〇さん/(姉のみ)姉さん
- 年齢:二十代(童顔)
- 身長:170cm
- 種族:魔力を持たない人間
- 所属:シエルクリールホープ
- 職業:弓術士(その他の仕事としては古書店の店番)
- イラスト・SS許可連絡:不要
▼詳細データ
- 見た目
:澄んだ空のような色をした髪色。姉とは反対に前髪を左に分けている(ミコトから見て右目が隠れる髪型)。
雰囲気のせいか、はたまた童顔のせいか、実年齢より年下に見られがち。 - 性格
:優しく真面目であり、年齢問わず基本的に敬語。これと言って高い能力もなく、全てにおいて平均的。恋愛においてはかなりの奥手。一つ年上の姉(メーア)をとても慕っている。
柔らかい雰囲気を持っている彼だが、実は「男らしい」に憧れているらしい… - 好きなもの
:姉(メーア)、彼女(かわうそ師匠)、甘いもの、本、動物 - 苦手なもの
:自室の片付け、姉の泣き顔、船内にいるマッチョさんたち - 戦闘スタイル
:あまり前に出ることはなく、主に皆のサポートととして動く
▼これまでとその先
- これまでのお話
僕の英雄《ヒーロー》
世の中を知るには狭すぎて、
5歳の子ども一人が過ごすには広すぎる部屋で
僕は静かな毎日を過ごしていた。生まれつき体が弱かった僕は、なるべく体に負担がかからないようにと屋敷の離れに住んでいた。
両親なりの想いがあってここにいるんだと分かっているけど、誰とも深く関われない色のない毎日に少し…寂しさを感じていたんだ。そんなある日、窓の向こうから君がやってきた。
2階に位置するこの部屋に。
最初は僕も驚いたよ。だって、貴族の長女が木を登ってくるなんて誰も想像できないよ。
でもその日から、君はたくさんのことを教え見せてくれた。
外の物やお屋敷での話、色んな表情で大切なことを教えてくれた。
大袈裟かもしれないけど僕にとって君は、色のない世界から救ってくれた英雄《ヒーロー》だったんだ。でも、しばらくしてそれは間違いだと気づいた。
部屋の近くで誰かが話していたその内容は、僕の知っている無邪気な君とは違う貴族らしい振る舞い、そして色んな人からの期待、嫉妬。
君は英雄なんかじゃない。
僕と変わらない小さな子どもで、かけがえのない家族で…僕の『姉さん』なんだ。貴族の子として生まれたからには当然のことかもしれない。
けど、僕がこんな体じゃなかったらもっと姉さんは自由に……数日後、父から別の場所での療養の話を言い渡された。
家を出る前には母から他所で権力争いに巻き込まれないように、フィルマメント家だと気づかれないよう『ミコト』という名前をもらった。今思えばこれが母からもらった最後のプレゼントだったのかもしれない。いつかは僕が姉さんを守れるように、姉さんが自由で、笑顔で過ごせるように…そのためにも僕はこの体を強くしなくちゃいけない。そう思って父の提案をのんで家を出ようとしたのに、別れる間際、姉さんの顔を見たら早速その決断に後悔して泣いてしまった。
姉さんも泣いていた。
もうあの涙を見ないためにも、絶対、絶対元気になってみせるんだ。揺れる馬車の中、初めての外の世界に希望を抱きながら改めてそう決意した。
決意
いつの間にか寝ていたようで、目が覚めた時には硬い床の上に横たわっていた。
家を出る前に父から聞いていた話では、療養の知識がある子供のいない夫婦の元へ行く予定だったはず。
この暗く扉に鍵のかけられた部屋に、そんな雰囲気はとても感じられない。あるのはボロボロのベッドとシーツ、水の置かれた机だけ。
ここはどこなんだろう。そこから僕の地獄は始まった。
どうやら夫婦は僕を預かる代わりとして、定期的に多額の金銭をもらっているらしい。その金銭が目的だったんだ。
療養どころか食事や衣服もまともにもらえず、色んな雑用を押し付けていた。僕がいなくなるとお金ももらえなくなるせいか、体調が悪くなればとりあえず医者だけは呼んで、この部屋に閉じ込められている。
生きるために…というよりも、死なないようにするので必死だった。いつしか僕は、姉さんと別れたあの日のことが遠のいていっていた。
ここにきて一年が経とうという頃、買い出しに出された僕は、自分ことを魔女だというある赤髪の女性に出会う。
顔立ちが整っていて少し気が強そうなその人は、僕がひょろいだの、男らしく生きなさいだの話をしながら買い物を手伝ってくれた。名前は聞きそびれてしまったけど、なぜか別れ際に言われたあの言葉だけは覚えている。
「あんたが本当に行きたい場所はどこなのよ?」
行きたい場所。それは今から帰ろうとしているあの夫婦の元じゃない、僕が行きたい場所…
あの日決意したことを思い出す。何のために家を出たのか。このままでは駄目だと気づいた僕は、夫婦の目を盗んで近くの森へ逃げ出した。
『魔神』
とりあえずフィルマメント家に戻らなければ、そう思って飛び出したけど…ここに来る時寝てしまっていたためどこに行けばいいかわからない。そして自分の家の場所もよく知らなかったということに気づく。そういえばなんだか体も重い…途方にくれた僕は、そのまま倒れ込んでしまった。
まどろみの中、声が聞こえる。
「Wow!こんなところにボーイがいるなんて、不思議なこともあるもんだね!」
変な言葉遣いをするその人に反応する間もなく、僕は意識を失った。目が覚めると、ふかふかのベッドの上で横になっていた。
部屋にはいい匂いをさせたスープと、それを温める男の人が一人。話を聞くと男は『魔神』だという。不思議な雰囲気を漂わせるその魔神に、僕はこれまでのことを話した。そして、彼は姉探しを手伝ってくれるという。でもその前に僕を鍛えてくれるとも言った。「それでキミの名前は?」
「僕は………俺は、ミコト。ミコトです、魔神さん」この日、俺はもう一度決意した。
姉さんの隣を目指して――目指す場所
魔神城での魔神さんとの修行の日々は、いろんな意味で凄かった。特にこの城に住む筋肉モリモリのマッチョさん達による追いかけっこはトラウマだ。おかげで今でもマッチョさんが苦手なんだけど…。そんなこんなで早数年、やっぱり戦うのは怖いけどそれなりに体も強くなった。体調を崩すこともなくなっていた。そして、今度は姉さんを探す魔神さんとの二人旅が始まったんだ。
いろんな所に行って、いろんな人に触れていって、昔の俺では想像できないような経験をいっぱいした。成長して見た目や身長も変わっていった。でも変わらないものもある。俺の行きたい場所…。姉さんは今頃何をしているんだろう、そんなことを考えながら先へと進んだ。
君の隣に
いつものように新しい街へと向かう途中、不思議なことが起きた。謎の光に突如包まれて、気づくと…
知らない世界に飛ばされていた。
そういえば魔神さんもいない。不安の中歩いているとジョバリの森の人たちと出会う。そこでお世話になったり、今度は街に向かったり…そしてようやく魔神さんに会った、謎の大きな船と共に。
魔神さんはこの壊れた船を直して、人を集め、旅を続けるつもりらしい。仕方なく俺も直すのを手伝って、人も集めた。
そして…しばらくしたある日、魔神さんに呼ばれて来た場所に――姉さんがいた。
まさかここで会うなんて想像もしてなかった。でも、よくやく…やっと見つけた。追いついたんだ。
話をしていて気づいたけど、どうやら姉さんは昔の俺の記憶がないらしい。それでも嬉しかった。ただただ、また姉さんに会えたことが嬉しくてしかたなかったんだ。
これで追いついた…はずだった。
動き出した時計
姉さんに恋人ができた。それはとても喜ばしいことで、実際嬉しかった。姉さんはもう一人で悩まなくて良くなったんだ。幸せなんだ…本当に良かった。
それなら俺の向かう場所は、そこじゃなくて…
…あれ、じゃあ俺はこれからどこに向かえばいいんだろう。
ずっと目指していた場所が、そこだけが自分の居場所なんだと思っていたものが…ある日突然なくなった。
そして、気づいたんだ。成長したと、大きくなったと思っていた俺だけど、中身はあの時と変わらない…姉さんと生き別れた“あの日の僕”のままで止まっていたことに。
また、一人……?
いや、違う。
「あなたの居場所は、もうここにあるじゃないですか」
そう教えてくれたのは、他でもないこの船の皆だった。そうか、そうだったんだ。
僕は…俺は、最初から一人なんかじゃなかった。
両親、執事、魔女、魔神さん…姉さんや船の皆。思い返せばいろんな人の助けが、想いがちゃんとあった。
俺は…一人じゃない。もしかしたら、俺に必要だったのは何かを掴み取ることじゃなくて、気がつくことだったのかもしれない。
ありがとう、皆。
その日から、俺の中の時間がゆっくりと動いた気がした。
今度は俺が…
そして…さらに数年。
同じように姉さんを追いかけてきた人が現れる。
一人を怖がり、ただ一つの道筋だけを目指してきた…まるで昔の自分に似た人が。たぶん俺とは少し違うのかもしれない。それでも君に対して何かしたいと思ったんだ。
迷惑だったらこの手を振り払ってくれても構わない。でももしこの手が必要なら、まずは俺と友達になってくれないかな。
もし君の力になれたなら、嬉しいんだ。俺が皆に救われたように…今度は俺が。
- その先へ…
もう俺は姉さんを追いかけるのをやめた。
追いかけるんじゃなくて、並んで一緒に歩きたいから。でもまだ今は…姉さんが全てを思い出すまでは、一歩後ろで守らせて欲しい。大丈夫、俺はちゃんとここにいるよ。
全部思い出したその時は――
そうだ。まずは「ただいま」を言おう。
『リヒト』としてのただいまを。そして今度こそ姉さんの隣に並んで、一緒に前に進んでいこう。
▼他のキャラとの関わり
- メーア
:一つ年上の姉。幼い頃に生き別れとなるが、 シエルクリールホープにて再会。
しかし、姉はミコトが弟である事を理解していても、当時一緒にいた頃の記憶を失っていた。記憶が戻れば姉は苦しい思いをしてしまうかもしれない、生き別れた時のように再び泣かせてしまうかもしれない、という考えからミコトはあえて昔の事を話さないようにしている。 - 萌え魔神
:姉と生き別れになった後出会った人物。戦い方などは全て彼から教わり、ミコトの姉探しに協力してくれた人でもある。萌え魔神がシエルクリールホープを設立後、姉が見つかってからも船の一団員として関わり続けている長い間柄。 - かわうそ師匠
:ミコトの彼女。彼女を大切にしたいという想いからか、なかなか前に進めず、結果ヘタレてしまうことが多い。 - ユナ?
:同郷仲間。姉のことを気にかけ探し続けてくれたことに深く感謝しており、少し親近感を抱いている。過去の自分と重ねているようでもあり…もっと彼と色々な話をして仲良くなりたいと思っている。唯一敬語無しで話せる相手。 - ロッサ
:シエルクリールホープとは別にミコトが働く本屋の店主。オネェ口調で自身のことを「世界一美しい魔導士」と言っている(自称)。店にいることが少なく、だいたいミコトが店番をしている。 - セーリオ
:ロッサの経営する本屋に住み着く猫(♂)。口と足元、お腹部分が白く、あとは黒い毛並みをしている。魔力を持っているがその力は弱まる一方で、今は高い魔力を持つ者としか話せない。そのため、普通の人間にはただの猫と同等であり、話すこともできない。魔力を持たないミコトも普通の猫だと思い、看板猫として可愛がっている。 - リンリン
:桃饅頭を売っている露店の売り子。少しカタコトな話し方で、愛嬌たっぷりの明るい笑顔を振りまくポジティブカンフーガール。甘党のミコトもそこの桃饅頭を気に入っており、よく買っている。