作品/【ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争】

Last-modified: 2022-07-14 (木) 14:57:49

全般

PS版FFTの移植作品。
ハードはPSP。2007年5月10日(木)に5040円で発売された。
新ジョブとしてたまねぎ剣士暗黒騎士が追加された他、ムービーや一部イベントシーンも新たなムービーとして作り直された。
また、新規キャラクター・新規イベントも追加され、バグの修正や仕様変更等も行われた。


オリジナル版では発生しなかった戦闘中の異常な処理落ちや、
サウンド面の変化などの理由から移植度が高いとは言い難いものになっている。
ただし一部の使い勝手の悪かったアビリティ(を持つキャラ)の実用性が上昇したことや
加入可能ユニット数が増えたことなど改善として評価された点もある。

また、追加要素(ジョブ、ユニット、アイテム)は強力なものが多く、
プレイヤーにとっては「おいしい要素」となっている。
ただ、全体的に追加要素は既存のものを多く流用して作られており
(追加アビリティが使い回しばかりなど)、その点は手を抜いているように見えて評判が良くない。

  • この処理落ちはゲーム速度を上げる改造をしてもPS版と同じ速度になるのが精一杯というぐらい遅い。

なお、タイトル名の獅子戦争とは黒の獅子を紋章とするゴルターナ公と
白の獅子を紋章とするラーグ公が戦ったことにより名づけられたもので、
モデルは1455年~1485年までイングランドで起こった赤薔薇を紋章とするランカスター家と、
白薔薇を紋章とするヨーク家の『薔薇戦争』だと思われる。
 
……ちなみに獅子戦争が始まる前の50年戦争のモデルは、
かのジャンヌ=ダルクが活躍した100年戦争だと思われる。


100、80、30、15、7年戦争と戦争の期間を冠する戦争は多くあるが、
劇中の50年戦争は畏国、鴎国、呂国の大国間のパワーゲームということで
モデルになったのはブルボン家、ハプスブルク家、ヴァーサ家が
ドイツの地で激突した30年戦争であると考えられる。

  • あえて30年戦争のみがモチーフということは無いだろう。
    「大国間のパワーゲーム」という点だけを取り上げればそうこじつけることもできるが、
    単純に○年戦争と名のつく戦争全体をモチーフと見るか、
    あえてどれか一つを挙げるにしても100年戦争の方が
    (直後に薔薇戦争が起きることなどから)自然に思える。

本作はPSよりスペックで遥かに勝るハードに移植しておきながら
「処置落ち」や「音ずれ」を発生させるという離れ業をやってのけた。

  • 仕様が違うのに、性能差に高をくくっていたのが原因だと思われる。
    速く動くようにしなければ、動くものも動かない。
    • 擁護するわけではないが、処理落ちに関しては、
      通信対戦での転送速度の都合という話をどこかで読んだ。
      • 改造ツールでフラグ制御できるということは、意図的なものなのは間違いない。普通に作ってたらこんなに処理落ちさせる方が難しいし。悲しいながら、迷走した挙句に変な仕様を作ってしまうのはよくあること。
      • 「if(通信対戦==false){Wait = 0;}」 とか思いつかなかったんかい! と開発者にツッコミを入れたいところだ。

処理落ちに関しては言うまでもないが、音質に関しては携帯機リメイクとしてはかなり良い
(GBAではなくPSPだからというのもあるだろうが)。

  • 効果音が変わってたりBGMのリバーブが無くなってたりするんだが。
    闇の剣なんてジャキーン!がミョーンですよええ。
  • 効果音は最悪レベルの改悪だろう。
    • 弓の攻撃音、サンダー系魔法、ルカヴィが消滅するエフェクトの音がしょぼくなった。
      弓→オリジナルの乾いた音は気持ちよかった。
      「宿命…」+バルで弓が使える用になったのにピュン!って… ピュン!って…
    • サンダー→ピチャーン!やすすぎるだろう?
    • ルカヴィ→ぴーぽーぴーぴー! 甲高すぎるだろ?
  • 効果音を変える必要性を教えてほしい。
    • 音に関しては内臓音源がPSとは異なるからではないだろうか。
      だったらメディア容量もメモリも増えてるんだからストリーミングにしろよ、と言いたくはなるが。

ちなみに移植を担当したのは毎回のごとくトーセ


今回開発に参加したスタッフの多くは原作のFFTに感銘を受けゲーム制作の側になったという。
何故こんなことになってしまったのだろう?

  • 彼らの名誉のために言うとオリジナル時点でそうするべきだった物(真言強化、保有ユニットの数等)はちゃんと改善されている。だからこそ色んなところの手抜きが目立つのだが……(改善点の殆どがパッチ修正レベルだし…)
  • 単純に能力が足りなかったから(新人、経験不足的な意味で)。
  • 獅子戦争の発売から2年後にPS版がゲームアーカイブスで配信された。
    PS版をエミュレートしているので処理落ちや音質変化は当然無い。
    本作もいっそPSP環境ではなくPS環境でリメイクしてPSPでエミュレートする形にすれば良かったのでは……

2011年8月3日に、iPhone・iPod touch向けにiOSへ移植された。PSP版との差異については当ページの最下段を参照。

  • 処理落ちに関しては改善している。
    • ただ、その弊害か全体的に動きが忙しない。非AT時等の足踏みはPS版のヘイスト状態かと見間違うほどにせかせかしている。イベントでも妙に動きが早く違和感を感じる部分も。
  • 通信要素であるコロシアムと共同戦線は無くなっている(イベントも起きない)。
    • そのため通信限定の追加アイテムはクリア後に毛皮骨肉店に入荷される。
      • 通信しなくても限定アイテムとり放題になる代わりに、PS版にはあった武器盾増殖ができなくなっている。そのためキャッチの有用性が復活し、棲み分けもできている。
    • 追加アイテム限定のため源氏シリーズは入手不可である。
  • iOS8.2だけど戦闘中によくアプリが落ちる。終盤になるとそうでもないけど序盤、中盤は結構落ちるので注意。特にチョコボのチョコアタックで落ちやすい。落ちても一度なら中断データから始まるので
    すぐに続行できるが一回の行動によって二連続で落ちると中断データが作られないので注意。後、データには関係ないから大した問題じゃないけど起動時のスクエニのロゴなんかが出てくる画面で連打してるとよくアプリが落ちる。
    フィールド画面で落ちることはあまりないし、終盤になると安定してくるので我慢できるレベルではある。ただ終盤では稀に画面が真っ青になって再起動されることがある。画面真っ青からのアップルのロゴには冷や汗タラタラである。

追加要素・変更点

  • 汎用ジョブに「たまねぎ剣士」「暗黒騎士」が追加。
    • 暗黒騎士」はダークナイトを強化したような性能。
      そして5つのアビリティの戦闘エフェクトは、全て既存の物の使い回し。
      隠しキャラであるクラウドだけのために数種類ものエフェクトを
      わざわざ作っていたPS版と比べて、明らかに制作者のやる気が感じられない。
      実は計算式も、の『引き出す』とダークナイトの『暗黒剣』の使いまわし。
      Faithが関係したりしなかったりややこしい。
      • 引き出すのように魔法ATのみを参照にする技は無く、
        暗黒剣の計算にも補正が掛けられている。
        また、暗黒の技にFaithが影響する技は無い。
      • 性能自体は強力で、どのユニット(特に汎用キャラ)でも
        剣技持ちユニット並の活躍が可能になった。
      • また、女性キャラにも「Move+3」が習得できるようになったのは地味に嬉しい。
    • たまねぎ剣士」は非常に使いにくい性能。
      一切のアビリティが装備できず(メリットアビリティも無い)、
      ジョブ自体も能力が低くExpも獲得できないが、
      全ての装備品(女性専用の香水なども)を装備可能であり、
      他のジョブを2つマスターすることによってジョブLvが上がり、
      Lv8に達すると高い能力値が発揮できるという特徴を持つ。
      だが、アビリティを装備できないことがあまりに痛く、
      高い能力値もレベル上げ下げの方法で他のジョブでも十分得られて
      しまうので、実質全装備可能なだけが長所の性能である。
  • 固有ジョブを持つキャラクター(ユニット)も追加。
    FF12よりバルフレア、当時未発売のFFTA-2の主人公ルッソが追加キャラクターとして登場。
  • イベント部分でムービーが流れる。
    トゥーンシェードという手法のムービー。
    原画の筆の細かい書き方の違いがムービー中でいい味を出してる。
    ただ、日本版はボイスがはいっていない口パクであり賛否が分かれるかもしれない。
    • ムービーが流れるのはラムザやディリータ絡み(と追加キャラ)のイベント。
      ほかのキャラもムービーで見たかった。
  • 戦闘エフェクトが処理落ちする。
    極めつけは すでに述べられてはいるが、PSからPSPでスペックが高くなったはずなのに、
    戦闘エフェクトの処理落ちが発生する。
    特に算術CT4ホーリーなど使ってしまうと無茶苦茶待たされることに。
    次の行動が始まるまでにトイレに行けてしまうほど。
    「通信モードで使用不可」以外のお咎めが無かった算術だが、このせいで使いづらくなったといえる。
    …だからといって誰も喜びはしないだろうが。
  • 通信要素としてはコロシアムと共同戦線が追加されている。
    共同戦線の中にはかなり難易度の高いものもあり、
    やりこんだプレイヤーでも歯ごたえを感じられるだろう。
    • ただし、もともとの処理落ちに加えてレスポンスが壮絶に悪い。
      テストプレイ段階で何かおかしいと思わなかったのだろうか。
    • 名前の通り2人でないとプレイできない。内容としてはルカヴィ軍団や神殿騎士団勢揃い、主人公軍団のようなドリームマッチも多いと言う良さはあるが・・・。さらにものによっては10連戦もある。当然中断できるわけもなく、公式ガイドには"バッテリーに気をつけろ"というようなことまで書かれている。1人でもプレイできると良かったのだが。
  • 自軍ユニット枠が16→24に増加。
    固定キャラを除名することなく汎用ユニットを育成できるようになった。
    • 枠増加はありがたいんだが、追加2名除名されがちだったキャラまで加えると、それでもキツキツだったりする。
      ラッドら半固有のユニットを除名(アリシア&ラヴィアンはティンカーリップ入手後に)すればいいんだが、せっかく枠が増えたのにそれではあまりにも忍びないし。
      どうせなら倍の32名や、キリよく40名にしてくれれば……。
  • 追加イベント
    全体的にPS版の内容が補完したもの。
    また、追加戦闘では強力なアイテムを盗めることもある。
    • ウィーグラフが神殿騎士団に勧誘される場面が追加。
    • ディリータとオヴェリアの二人の様子を描いたイベントが増えた。
      描写が丁寧になったといえる。
    • ムスタディオがアグリアスに贈り物をする「賢者の贈り物」が追加。
      強力アクセサリが手に入るのだが、やや賛否両論。
      なお、贈り物の代金はタダではない(最も本作はそんなにお金要らないが)
    • レーゼたちの関係に横恋慕したブレモンダのイベントが追加。
      元々PS版から、司祭ブレモンダの設定は存在していたが、
      終盤の追加イベントにライオネルの新城主として登場する。
      またもレーゼをベイオウーフから奪って我がものにしようとする
      ブレモンダとの決着がつく。
    • アグリアスとオヴェリアが会話を交わすイベントも追加。
      どうやらEDの伏線にもなっている。
    • 盗賊の砦で北天騎士団の残党と戦闘するイベントが追加。
    • また、バルフレアやルッソなどの追加ユニットが
      加入する戦闘イベントも追加されている。

一応、PS版から進化した(と思う)点を挙げておく。

  • 暗黒騎士の追加。汎用キャラの活躍の場が広がった(エフェクトはアレだが…)。
  • 真言、裏真言、剛剣の強化。
    ガルテナーハ兄妹(特にラファ)は普通に使っていける程度には進化し、
    メリアドールは元々の攻撃力の高さもあって、一気に主力級に昇格。
    真言・裏真言の強化のついでか同種のランダム攻撃を行うホーリーブレスとハイドラ、ティアマットの特技強化された。彼女達は元々強力だったがさらに強化されたことになる。

なんか否定意見が多いので、両方やってみた立場から一応擁護を。

  • 追加要素
    • 上記でも挙がっている自軍ユニット枠強化、新ジョブ(暗黒騎士・たまねぎ剣士)、
      新キャラクタ(バルフレア、ルッソ)。
      • 賛否両論だけど、ユニット枠が増えたのは素直にうれしい。
        固定キャラ以外も安心して育てられる。
    • 要所要所で流れるムービーの存在。
      • FFTの素朴なタッチの設定画がそのまま動いているかのよう。吉田ファン必見の出来。
    • レーゼ、ベイオウーフ、アグリアス、ムスタディオ、ディリータ、オヴェリア、アルガス、
      北天騎士団等旧キャラクタに関る追加イベントとステージ。
      • 特にレーゼとベイオウーフ、北天騎士団関係のイベントは一見の価値があると思う。
        原作で足らなかった部分のフォローがしっかりされている。
    • 新武装の追加
      • 主に通信対戦用。いずれも強力な武装ばかりなので、
        バランスブレイクに拍車をかけているかも。
      • 試着室バグが消えてるから、バルフレアの存在やアビリティの強化も考慮するとプラマイ0になると思う。
      • 源氏装備も入手可能になりました。
    • 通信対戦、共同戦線の追加
      • ラグは確かに問題だけれど、それを補って余りある存在だと思う。
        特に協力プレイ(共同戦線)は、ディープダンジョンより難しいステージもあって、
        育てたキャラクタを生かせてうれしい。
  • バランス調整
    • 上記でも挙がっている真言、裏真言、ドラゴン、剛剣の強化。
      • 剛剣がモンスターや武装のないユニットにも使用できるようになった。
        メリアドールの存在がグッとあがった。
    • リオファネス城三連戦で敵のLvが下がった。
      • 特にウィーグラフのSPはレベル低下による変動以上に下がっている。
      • 詰まる人が少しは減ったかも
  • バグ修正
    • 毛皮骨肉店バグ、密猟バグ、Jp9999バグ、試着室でアイテム増殖バグの修正
      • 正直これらは残してほしかったorz
      • 中でもJp9999バグの修正と暗黒騎士の追加が同時に発生したことにより、
        黒魔道士での膨大なJp稼ぎが必要になってしまった。
    • オイル状態バグの修正

なにより、持ち運びができ、通信によってふたりでも楽しめるようになったのは良い点。


PSPのセーブデータ管理画面で吉田氏の絵が見られる。
各ジョブ汎用男女のほか、ゴルターナ公とラーグ公、アグリアスとオヴェリア、
黒鎧ラムザとアルマなど基本二人一組の絵。
絵はセーブデータを更新するたびに替わるようだ。
この絵はどの程度まで収録しているのか結構気になる。

雑感・感想など

ただでさえ使えるアイテム・アビリティの差が激しかったのに、
更に強力な追加要素でバランスが悪化してしまった。
個人的には新規の追加よりもドラゴンロッドや象牙の棒といった、
苦労の割に使えないアイテムを強化してほしかったのだが。
(一例として前者は追加効果にときどきフレア、後者はノックバックが出やすい、など)


下位魔法や反撃タックルですら平気で発生する処理落ちは到底擁護できない。
とはいってもこちらはホーリーと比べればよいほうだが、
スケルトン系のモンスターが使う各種ソウル攻撃は見るに堪えない酷さである。

  • 初プレイ時、OPのガフガリオンの闇の剣を見て嫌な予感がしたものである…。
    「投石」でも「体当たり」でも何でも、とにかくエフェクト中は
    スローモーションになるため快適さが大きく削がれている。

意外と批判多いのね…
マラークファンの自分としては裏真言強化してくれた点が好評価なんだが

  • 評価できる点が多いのは事実なんだ。
    ただ、悪い部分がミスやうっかりではなく手抜きに見えるので余計に悪く見えるんだ。
  • むしろ、評価点が有るからこそ余計に批判が多いとも言える。
    評価点が無ければ即刻黒歴史にして「移植など無かった」と言えるのだが。
    • 逆にいえば黒歴史にならない出来というポジティブな考えもできる。
      欠点が多いことに変わりはないが。
      • 黒歴史にならないが欠点はすこぶる多い。ある意味一番始末が悪い。

最大の問題点は処理落ちとSEの劣化に尽きる。
追加要素については手抜きや好みの問題はあっても遊ぶ分には大きな問題になるわけではなく、ゲームバランスについても強力な追加要素のほとんどが終盤まで入手困難なのでそういう意味ではストーリー攻略への影響は少ない。しかし前者2つはプレイアビリティを大きく損ねる要素である。

iPhone版

PSPで発売された「獅子戦争」を、iOS用に移植した作品。
PSP版と異なる内容は以下の通り。(一部、機種依存の内容を含む)

メリット・グラフィックの処理落ちが改善されている
・通信要素は削除されたが、共同戦線やコロシアムの報酬だった新規アイテムを取り放題
(ゲームクリアしたデータがある場合、同一端末のどのデータでも毛皮骨肉店で購入できる)
デメリット・共同戦線やコロシアムといった通信要素が削除され、強力な新規アイテムがクリア後に手に入っても使い所に欠ける
・通信要素の削除に伴い、一部のレアアイテム(ローブオブロード、源氏シリーズ等)は量産できず個数限定や入手不可になっている
・オートセーブが行われないため、不慮の事故が起こると、そのバトル中のデータが消失する

散々不評だったたまねぎ剣士の仕様などは変更なし。

Android版

iOS版から約4年後、2015年6月にAndoroid版もリリース開始。


iOS版とは異なり、バトル中での中断セーブは出来ない。
(端末本体のホームボタンを押してアプリを一時中断することでバトル中の中断自体は可能だが、時間経過や複数のアプリを同時に立ち上げているとタイトル画面に戻ってしまうことが多々ある)。
エフェクトグラフィックの速度やレアアイテムの入手環境など、ゲームの内容はios版と同じ。