干支から削除された生き物の一覧

Last-modified: 2022-02-18 (金) 03:15:02

干支から削除された生き物の一覧(えとからさくじょされたいきもののいちらん)とは、様々な理由で十二支から除外された生き物の一覧である。

概要

元々干支には120種類の生き物が制定されていたが、「あまりにも数が多すぎる」「既に使われていて重複している」などの理由から、昭和53年の「動物愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)施行により、60種類に減らされた。
しかしその後も「ネズミは小さすぎて可愛くない」などの意見が続出するなどしたため、平成13年に再度追加され、最終的に合計130種類となった。だがそれでもまだ多いという声が高まり、最終的には「縁起が悪い」「他の動物との相似が多い」という理由で、11種が新たに追加された。なお、追加されなかった残りの85種は動物愛護法の対象外となり、現在の12種類に落ち着いた。そのため、特定生物の干支復活を求める声が今も絶えない。

削除された生き物


「猫は鼠を捕るので縁起が良い」とされていたにもかかわらず、実際には多くの家人が猫の被害に悩まされたため、昭和33年を最後に削除されることになった。また、当時の厚生省衛生局でも「猫による伝染病の発生頻度が高いため」として、昭和53年には削除する方針を固めていたとされる。
キリン
首が長いために、交通事故や衝突事故が多発したため、平成5年に削除された。

鼻が長くてバランスが悪く、転倒事故が相次いだため。(詳細は象年の項目を参照)
ライオン
肉食であるため。昭和45年に発生した天王寺動物園での事件が決め手になったと言われる。

馬車を引く姿が競馬を連想させるため。
ユニコーン
角があるせいで不浄なものとして扱われるようになり、昭和39年を最後に削除されることになった。
ハリモグラ
鋭い爪を持つため、工事現場などで作業員を傷つけることが多く、その度に怪我人が続出していたため。

「食べると長寿になる」と言われながらも、捕鯨に反対する団体の存在や鯨肉の不味さから、「鯨を食べるのは不謹慎だ」という意見が広まったため、昭和55年を最後に削除されることになる。
ダチョウ
足が速くスタミナがあるため、長距離トラック運転手などが轢き逃げ事故を起こしやすいとされた。平成14年に削除。2020年時点でもっとも最後に削除された生き物でもある。
ウシ
農耕用の労働力として期待されながら、牛糞に含まれるメタンガスが原因で農作物が枯れ果てたり、牛同士の喧嘩が頻繁に起こったりして害獣扱いされるようになった。平成5年に削除。
パンダ
毛並みが笹の葉に似ていること、白黒模様のために中国の皇帝しか使わない色であることから、中国からの輸入品と誤解されやすく、国際親善を阻害する恐れがあるとされた。
セイウチ
歯並びの悪さのため噛みつく癖があり、子どもが真似をする危険性が指摘され、昭和35年に削除された。
すやすや眠る猫
眠る猫の親子を描いた絵葉書が流行し、これを見た郵便局員が「眠ってばかりで仕事もしない怠け者の象徴」として昭和31年を最後に削除される。
イルカ
知能の高さと愛らしい姿から人気が高く、水族館ではショーを行うことが多かった。昭和54年を最後に削除。
金魚
金ピカの衣装を着たり、口が大きいことから「金の亡者」「銭ゲバ」というイメージが定着し、昭和37年に削除される。
犬と猫
イラストが描かれた切手が大量に発行されたことで、「猫アレルギーの人が増えた」とされて昭和49年を最後に削除される。

「サルモネラ菌を持っている」などの根拠のない噂が流れたことや、人間に対していたずらをしたり、飼育係の手を引っ掻いたりする行為が多かったため、昭和51年を最後に削除されることになった。
ハムスター
ペットショップで売られていることが多いため、引き取り手がないまま死ぬケースが増え、飼い主の精神衛生上良くないと考えられた。
クジャク
芸が面白い上に見た目も可愛いため「人気者の証」とされたが、実際は道化師のような格好をしているだけで笑いが取れず、昭和48年を最後に削除されることになった。

鳴き声のうるささに加え、ゴミ袋を漁ったり電線に止まって日光浴したりする姿が嫌われ、昭和43年を最後に削除されることになった。
スフィンクス
古代エジプトの服装をした女性が座っている姿を想像させるため、エジプト神話の神セトを連想させるとして昭和40年を最後に削除されることになった。
キリンの子供
「首が長い」という特徴が強調されて「長虫」と呼ばれ、昭和36年を最後に削除されることになった。
シマウマ
「走る姿が速い」という印象を持たれたものの、実際に走らせると遅く、昭和30年に削除される。
ハリネズミ
針だらけの外見から「怖いもの知らず」「無鉄砲」などのイメージが強く、昭和34年を最後に削除されることになった。
カンガルー
「ジャンプが得意な動物」というイメージが強すぎるあまり、交通事故や衝突事故が頻発したため、昭和50年を最後に削除されることになった。
うさぎ
「跳躍力に優れる」という理由で、昭和33年に削除されそうになったものの、後に「跳躍力は関係なく、ただ単に動きが素早いだけ」という説が広まり、昭和38年に削除されることとなった。
ネッシー
写真や映像の撮影技術の向上により、「湖の底に隠れている生物の姿を写したのではないか?」という憶測が広がり、昭和45年に削除されることになる。
海亀
産卵時に甲羅干しをして卵を保護する習性があることなどから、昭和41年を最後に削除されることになった。
モナリザ
謎めいた微笑みを浮かべていることから、昭和33年に削除されそうになるが、作者レオナルド・ダ・ヴィンチが否定したため、平成5年を最後に削除されることになった。
ミジンコ
プランクトンの一種だが、他の生き物の餌となるような小さな生き物ではないため、昭和44年を最後に削除されることになった。
ヒトデ
軟体動物の仲間であるため、足がたくさんあるように見える。昭和46年を最後に削除されることになった。

備考

昭和55年5月1日、郵政省は「動物の記号に関する省令」の一部改正を行い、平成2年11月28日には「郵便料金表一覧表記載事項等を定める規則の一部を次のように定める」とする通達を出した。これにより、昭和55年6月以降の料金区分については、「動物の絵入りの郵便物には、『(絵)』をつけるものとする」(第3項)、「動物の絵入り葉書・封筒等の郵送料は、『普通便』(第5項)、『速達便』(同第7項)又は『特定記録郵便』(同第9項)」とすることが決まった。また、動植物の絵が入ったハガキについても、平成5年12月からこの取り扱いが始まることになった。
平成5年4月20日の閣議において、平成6年度からの消費税率引き上げを決定した際、野党が反発。干支の中に「亥」が入っていないことを理由に、法案の修正を要求した。このため政府は、平成5年8月に「年賀状印刷の引き受け等に関する政令」を制定し、同年10月1日以降の年賀状の受け付けを停止した。
西暦2000年問題への対応について、郵政省では「特に何も問題は無いが、間違えてダチョウ年の年賀状を出す人はいるかもしれない」「今年の干支は馬だから、間違っても大丈夫」などと回答していた。
「十二支考」(『新字源』小学館刊)では、「い‐ね」を「子」としている。
なお、十二支のうち未と申を除いた十一の動物はすべて、干支の中に含まれている。