アイズの小説

Last-modified: 2019-09-28 (土) 09:33:08

はじめに

ご来場ありがとうございます。
百合、自己満足、拙いナレーションとかありますが、嫌だったら温かく無視してください。
基本的に私は意欲がない時には書きません。
それでは、ここの復興を祈りつつ。(こないだ来たばかりだろお前)#br byアイズ

書きますよー

オリジナル、W中湊冬記

ときには二人が駄弁りながら帰ったり、クラス問題に足を突っ込んでみたり。
煩いクラスメイトは騒いだり悪乗りしたり、本当に大切な場面では黙ったり。
これはとある中学校のあるクラスを、とある男女視点から見たり、関係なく雑談するお話。

街門、下校中にて(W中湊冬記1)

受験が近い二人が駄弁りながら帰るだけ。
初小説にはちょうどいい。

人物紹介
湊(みなと):中学三年生。女子。がんばり屋風の性格。
冬樹(ふゆき):中学三年生。男子。よく湊と一緒に帰る聞き上手。


キーンコーンカーンコーン……
どことなく哀愁漂うチャイムの音。今日も長い1日が終わった。
「……いや……まだ終わってないよ。」
隣を歩く湊がツッコンできた。
「5教科+体育とか月曜日のスケジュールじゃないよな。だからこの解放感」
「しかしまだ月曜日。それ以前にまだ今日という日は終わってないよ」
「湊も地味に解放感感じてるだろ」
「あたりまえだよぉ……」
湊をよく見るとそこそこぼろぼろだった。
「お疲れさん」
「ん。そっちこそ」
もう恒例になったお疲れ様会だ。
「そうだ……冬樹君って高校どこいくの?」
「I高校は少し、いや、数学的に絶望だから……M高校?」
「えーっ!?もっといけるでしょ!」
「同じ事をよく先生に言われる。だが無理なものはある。」
「……私は……B高校が最低ラインかな……」
湊はよく頭文字をもじってバカ高と言われている高校を言った。
……そこまで頭悪くないよな……?
「ほら、私のテスト、冬樹君と同じくらい尖ってるから……」
なんだよそれ……って言いたい。だが尖っているのは事実だ。
一週間前のテストの最高が社会の88に対して、最低が数学の34(過去最低4回連続更新、初の30点台)なのだ。
湊は確か最高が70くらいで最低は40位だった気がする。
「……なぁ、暗い話は止めよう。」
「私も今言おうとしてた」
「最近、青山が骨折した事件あったじゃん。あれ、ケンカじゃなくて転んだだけだったらしい」
「そうそう、青山君って何か盛るよね」
「完全に同意」
クラスどころか担任まで認める事実。
「そういえば廣田君から聞いたんだけど、今年のインフルエンザは結構強いらしいよ」
「……病気と休み知らずの皆勤賞にはどうせ効かないよ」
湊も自分もインフルエンザには弱い。ほぼ毎年かかっている。
どうせならインフルエンザが人間のようだったら良いのに……そう思っていると、
ゴロゴロゴロ…………
なかなか近くからの雷鳴だ。
「……ぁ、すごい雲」
「折り畳み傘持ってきて良かったわ」
湊は凍りついた。
そのうちポツポツと雨が降りだし、傘を差さない湊を怪訝に思っていると、
「……えっと。」
雨がさらに強くなる。湊が濡れはじめる。
「ふ…冬樹君、……入れて?」
湊は傘を持っていなかった。
「いいよ、じゃあこっちに」
幸いにもこの折り畳み傘は90という驚異の広さだ。相合い傘など楽……ん?
相合い傘?
「あと何メートルだっけ」
心なしか湊の頬が染まって見える。
あぶない。これは危ない。
そしてそのあと数分間、無言で歩いた。

 

「ありがとう。助かったよ」
別れる時湊がそんなことを言ってきた。
「あ、相合い傘のことは誰にも言わないで!」
「こっちが約束させたいんだよ……」
「……冬樹君、また明日ね」
「湊こそ。寝坊するなよ。最近眠たそうじゃん」
「……あはは……」
家までの10メートルを歩きながら、いつの間にか湊のことを考えている自分に気がついた。
今まで下手したら小学校の登下校班をあわせて千回程度一緒に帰っている。
……今さらか。そう考えるのは、悪いか。
その頃、湊はタオルで水滴を拭いていた。
母親の傘がなかったのに何でこれしか濡れてないの、という声を聞き流しながら。心は別のことを考えていた。
冬樹とは長い年月を過ごした。クラスが違う時でも、だいたい一緒に帰っていた。
周りからは恋人同士なんじゃないかという目を向けられているが、慣れっこで無視していた。
なのに。どうして私の胸は高鳴っているんだろう。

 

二人の気持ちはいかに。
処女作でした。

W中3-Dにて(W中湊冬記2)

まさかの続編。

湊(みなと):W中3年女子。冬樹が気になり始める。
冬樹(ふゆき):W中3年男子。湊が気になり始める。
東(あずま):W中3年男子。不良寸前グループのリーダー格。
叶(かなう)W中3年女子。湊の善き友人。


キーンコーンカーンコーン……
授業終了の合図のチャイムで湊は飛び起きた。
……やってしまった。
「……ぁぁぁああ……」
情けない声を上げながら教師の方に目を向ける。
「はいはい、今日はここまで。では」
相変わらず勝手に出ていく白饗先生に安心しつつ全力で後悔する。
昨日冬樹に言われていたことが今更に響く。
「湊……今日は真面目に早く寝ろよ……」
「久々にやっちゃったよぉ……」
教室は騒がしすぎる。受験期に入りかけてるのに。
……これも、治安が悪いW中学校3年生の特徴。
特にこの3-Dはこれまでの問題児が集まったようなクラス。
34人中の20人程度が常に騒いでいる。そのうち半分が授業でも煩い。
「はぁ……受験、頭の中に無いのかなぁ……」
「そういう湊も何にもしてないよな」
「冬樹君も何かないの?」
残る14人程度は小さいグループを作りそこで小さく話をしている。
廣田みたいな本をずっと読んでいる奴もいる。
ただ、やはり問題はたまに煩いグループが絡んでくることで、
「何読んでんの?」
煩いグループでは比較的まともな安藤が廣田に話しかけている。
「ん、銀河英雄伝説。読む?これはここで同盟がうんたらかんたら」
……まぁ独自のテリトリーにはかなわないよね、と湊が見物していると、
こっちに参りました面倒なやつ。
「何また話してんの?」
東。バカ。勘違い野郎。その性格も相まってかなりめんどくさい奴。
湊は心の中で論評した。
「あっ、お前らまさか付き合ってんの!?」
……このくだりも20回目。最初は周囲が色めき立ったが、だんだん繰り返す度に沈静化。
「何回目だよそのくだり……」
湊の代わりに冬樹君が突っ込んでくれた。
「そーやって受け狙いしてももう誰も相手してくれないよ?」
そして叶が引き継いでこき下ろした。
こういう時だけ本当に味方につけたい。
東はわずかに鼻白んで喧騒に戻って行った。
「じゃあ戻るわ」
冬樹君が戻って行った。そしてほどなく、
「おいお前らいつまでしゃべってんだよ!!!!」
ガチ切れ担任のご登場。あ、そうだ、次帰りの会だった。準備しないと。


そして解散。今週二回目の大目玉を残されて。
「とばっちりだと思うの」
「……まぁ」
冬樹君は苦笑している。
「それにしても、慣れちゃったよね、言われるの」
「……だな。いい傾向なのか悪い傾向なのか」
……よし。
「冬樹君って、そういうのを言われるの嬉しい?」
「へ?いや、冗談抜きで長い間一緒だからな……微妙」
「じゃあ私が今、好きって言ったらどうする?」
「……へ?」
「今のは冗談半分だよ。どうする?」
「……何か変わるのかね」
「……いや、いいや。忘れて」
……冬樹君って鈍感かも。
そしてまた今日も別れる。
「明日居眠りしたら公開相合い傘だぞー」
「…………」
「痛い。久々に殴られた」
「限度があるよ……まぁ、頑張るよ。」
「がんばれ。じゃあな」
その日の夜。
(冗談半分。じゃあ、もう半分は……)
今日も気持ちは曖昧に。

 
 

今日も今日とて帰るだけ。距離を短く……できるのかな?

3-D喧騒争議(W中湊冬記3)

湊(みなと)W中3-D女子。心境の変化に戸惑う。
冬樹(ふゆき)W中3-D男子。聞き上手だが混乱するとおかしくなる。
廣田(ひろた)同上。趣味の話が出たら別人のように喋る。
叶(かなう)W中3-D女子。湊の友人であり廣田の幼なじみ。ただ噂話流し癖に注意。


今日も地獄の一日が終わる。
「だからまだ終わってないって、あと今日は水曜日、早帰り」
左隣の湊が1日ぶりの突っ込みをした。
「そうだな……あぁ何するか。」
「ねぇ、いつもこんなやり取りしてるの?」
叶が後ろから質問した。なぜか今日は帰るタイミングがかち合ったのだ。更に、
「……僕に関係無いならいい?」
いつも最速で教室を出る廣田が担任に捕まり出遅れたところをこの叶に捕まったのだ。
廣田の早歩きはクラス最速なのだが……
「どうせ帰り寂しいんでしょう?」
叶によって黙らされる。
「ん、こんなもん。他愛のない話。」
「……なぁ、叶の家通りすぎたぞ?」
「あ、ほんとだ。湊、じゃあねー」
嵐のように去っていく。
「……廣田君。どうする?」
「帰るよ?」
「「どうぞ」」
「……そこまで揃うと何かありそうなんだけど」
だが廣田はいつもの速歩きではなく横道に入って行った。
「……ここまで崩されて会話に入れたらすごいと思う」
湊は小さくあくびしながら言った。
「まぁしょうがないだろ。」
「善意の塊かな?」
「人の善意を100%信用してはならない」
「……………………」
「腐った魚の目で見ないでくれ」
「……(せっかく褒めたのに)」
「……真面目な話、うちのクラスはうるさ過ぎる気がする」
「…そうだね。」
3-Dは前にも書いた通りとにかくうるさいクラスだ。
30秒以上黙っていられない東と星野と野上。
頭は良いくせに罵倒と悪乗りの宝庫の柳沢。
直接は関係ないがいつも言われる関口。
その他乗っかりの中野、藤山、斉藤。
「女子にもいっぱいいるよ。もしかしたらカーストまで出来てるかも」
常に話している塩竈、大野。
中心は上の二人だが小グループの力がほぼ女子の全員をうるさくさせている。
竹沢、鈴置グループも遅刻、注意の常習犯。
……そこまで考えて冬樹は頭が痛くなった。
「湊……よくこんなクラスで中立を勝ち取れるな……」
「冬樹君もあの中でよく静かになれるよ」
冬樹の席は左前が廣田なこと以外、鈴置が隣、東が右後ろ、柳沢が左後ろとまさに地獄絵図手前だ。
「廣田に言えよ、俺は中立でもないし周りと比べて静かなだけだ」
「それでもだよ。」
その後、しばらく二人はどうしたらどうにかなるのか議論した。
「……無理、どこにやっても誰か障壁になる」
「……結局受験の自覚任せか」
「仕方ないよ。いじめられたくないし」
「…………だな」
「ん。じゃあまた明日ね」
「じゃあな」
果たしてその議論には意味はあるのか。
果たして二人は成功できるのか。
今日も今日とて議論会話。

3-D会議-班決め(W中湊冬記4)

人物紹介
湊(みなと)…3-D女子。騒動には弱い。
冬樹(ふゆき)…同男子。騒動には普通。
柳沢(やなぎさわ)…同。3-D学級委員。

コメント

  • やはり死んだか -- アイズ 2019-09-28 (土) 09:33:08