あのGM

Last-modified: 2023-12-22 (金) 13:26:45

2019年オフに、当時楽天監督だった平石洋介が石井一久(当時楽天GM)のことを聞かれて放ったとされる台詞。転じて、楽天GM時代の石井の蔑称。


概要・経緯

楽天が最下位に終わった2018年オフ、監督代行・平石洋介の正式な監督就任と、石井一久のGM就任が発表される。
2019年シーズンは3位にまで順位を上げたが、オフには平石の監督退任が発表される。そして石井は10月11日、報道陣に「イーグルスの現状の課題について平石体制では改善が望めないから」という文書を配布する。
これが「則本昂大・岸孝之のダブルエースを怪我で欠きながら、前年最下位のチームを71勝68敗4分の貯金3でAクラスに導いている。監督の評価として適当でないのでは」「解任の理由を公開するのは異例だ」などと議論を呼ぶこととなった。

楽天 石井GMが異例「平石監督の退任経緯&ビジョン」文書で報道陣に説明 - スポニチ
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/10/11/kiji/20191011s00001173145000c.html


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原文書き起こし(誤字などについてもそのまま記載)

原文書き起こし(誤字などについてもそのまま記載)

まず、大前提としてイーグルスを中長期的に優勝を目指せるチームに作っていかないといけないと考えています。

その様なチームを作る時に昨年・今年と感じたことはバンドやスクイズなどの精度やサインミスなどの多さや走塁含め先の塁への意識改革が1年通して改善しきれなかったと感じました。
これは、今年起きた課題ではなく僕が見る中では長くイーグルスにある課題だと認識しています。

そこをどう改善していくのを考えた時に1軍の公式試合の中でもクオリティーを含めチームとして教育や意識改革を今のチームが徹底していかなければ隙のないチームの伝統をつくりあげられないのではないかと感じます。

今後5年・10年と選手やスタッフが変わってもチームカラーやプレーの伝統というものは受け継がれていきます。今のチームにはその改革やチームの伝統の基礎をうまく促進できる方にチームを預ける必要があるのではないかと考えています。

それを平石監督にできないから契約年数通り退任ということではなく、指導者にはそれぞれ得意分野があります。
細かい野球をする戦略家だったり
ダイナミックな野球で長所を伸ばす指導者だったり
チームの雰囲気をつくるモチベーション指導者など、その他にも色んな得意なカテゴリーが人それぞれ指導者にはあると思っているので、今回の長きにわたる課題に対しては、よりカテゴリーに合う方に来て頂くことが大事ではないかなと考えています。

ただ、平石監督とは昨年途中から意見交換をしっかりして戦ってきました。
僕の方から、若い選手の起用方法だったり、ブラッシュとかで言えば初年度と言うこともあり成績が出なくても150打席をバッファを持ってくれなど色々制約がある中お互い協力してやってきましたし平石監督の良い部分というものは多く見てきたつもりです。

それは、僕の中でも球団のデーターとしても平石監督の長所というものは保管できるものですし、僕は監督が最後の職という古い考え方は持っていません。

将来的にどんなポジションだろうとチームの組織で指導者として平石監督にやってほしいと思っています。そのために、今まで以上に広い視野を持っていただく場所をチームとしてオファーしました。

そして後任に自身がイーグルスに呼び寄せた三木肇*1二軍監督を所属2年目で抜擢。石井は関係ないもののこの年には応援歌一新騒動も起こっており、球団幹部への不信感が高まる中「自分へのイエスマンで周囲を固めようとしているのではないか」「お友達チーム作りではないか」などの声が楽天ファンから多く上がっていた。
そんな最中に報道されたのが以下の記事である。


該当記事

※現在は「あの」が削除されている。

【楽天】球団に退団を申し入れた平石前監督「今後は全く決まっていません。本当にさみしい」 - スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20191015-OHT1T50093.html


 ―今日、退団は石井一久GMに伝えたのか?
 「あのGMには会ってないですね。安部井(統括本部長)さんと(立花)社長とは話はしました」
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平石激怒?

【楽天】平石前監督、球団側から「2軍統括」新設ポストのオファーも退団 「それが全て」 - スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20191015-OHT1T50084.html


 球団側との会談を終えた平石前監督は「退団させてもらうことを伝えました」と明言。退団を決断するに至った経緯について聞かれると「僕は仙台が好きですし、宮城県、東北が好きです。楽天に来て15年ですけど、選手、スタッフ、球団の職員の方、またファンのみなさん。本当に誰にも負けないくらいの思い入れは持ってます。そんな私でも退団する決心をした。それが全てですね」と声を絞り出し、無念さをにじませた。

下記の通り「あの」の部分に関しては審議の余地があるが、こちらの発言から平石がブチギレているのは間違いないとされている。


あのGM、コーチ人事の理由を語る

楽天コーチ人事発表 石井一久GM「チームOBを入れたかった」 - 中日スポーツ
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/npb/news/CK2019101402100054.html(リンク切れ)


「三木監督が(情報を)共有できるような配置転換。楽天のOBを入れたかった*2」と意図を語った。

なお、平石に打診されたのは「二軍統括」という新設ポストであった。育成総合コーチなどの職は他球団でもよく見られるものの、それまで楽天にはなかったため当時のファンからは「お飾りの職ではないか」という疑惑の声が上がった。なお結局当該職は「ファームディレクター」に名を改め、サブローこと大村三郎が就任。一軍との情報交換や調整計画の作成、新人選手へのサポートなど一応ちゃんとした仕事ではあった模様


指摘されがちなあのGMの行動

  • 球団の顔であった嶋基宏に減俸制限を超える減額を提示。最終的に嶋は自由契約を選択し、ヤクルトに入団した。
    • もっとも同年の嶋は腰痛の影響もあって盗塁阻止率が1割を切るなど走られ放題で、二軍でも精彩を欠いていた。また減額とはいえ来季契約の提示はしており、自由契約はあくまで嶋側が行使した権利である。球団側はコーチの椅子を用意するなど功労者に配慮はしていたが、嶋が現役続行の上で戦力としての評価を希望していたための結果であり、どちらが悪いという話でもない。
    • 一方で、嶋がいなくなると楽天の捕手陣でキャリアがある選手はプロ年数のわりに一軍出場数が少ない山下斐紹*3と外野手登録の期間が長かった岡島豪郎*4の2人のみで他はプロ年数5年以下の若手捕手という布陣になるため、編成面を不安視する声もあった。
    • 2020年シーズンでは太田光・足立祐一の若手が躍動し安泰かと思われたものの、中盤に太田が左肩の負傷で今季絶望、足立も成績を落としたため、巨人から田中貴也を金銭トレードで獲得することとなった。
  • 高卒2年目の西巻賢二に戦力外通告を行い、育成契約を打診。明かされていた理由が「チーム編成上の方針」という曖昧なものだったことも荒れる原因となった。
  • GM職にあった4年間で9回もの交換トレードを敢行するも、獲得したほとんどの選手が1軍で活躍できず。
    • 小物伸び悩んでいた選手同士の交換が多かったため放出した選手が活躍することも少なかったが、ゼラス・ウィーラーと池田駿、高梨雄平と髙田萌生のトレード(ともに対巨人)は両名が移籍先で活躍したため波紋を呼んだ。
      • もっとも、ウィーラーについては外国人枠の都合で出場機会が限らており、選手の意向を尊重したトレードとして擁護する声も多かった。高梨についても楽天時代は制球難に加え変則フォームが研究されたことで成績が悪化していたうえ、近年では否定的な意見も多い左のワンポイント枠であったことなどから放出は仕方ないとする意見もある。


真相?

河北新報スポーツ部の記者が、「あのGM」という表現は誤りで、実際には「あのー、GM」だったと証言した。

https://twitter.com/yusaku_hazama05/status/1186066269587394561


ネットで話題の「あのGM」っていうのは「あのー、GM(には)」が正確なところです。会見の現場に居合わせましたし、周囲の記者とも見解は一致しています。当事者の名誉のためにご指摘しておきます。

はたして報知の記事が正しかったのか河北の記者が正しかったのか、真相は不明。
取材中は録音もしているはずなので公開すれば真偽ははっきりとするが、活字媒体のマスメディアは通常取材映像や音声の公開はしないため今後明らかになる可能性は低い。


その後

そして三木監督のもと迎えた2020年シーズン、楽天はスタートダッシュこそ成功するも徐々に失速。FA補強元の西武やロッテにも抜かれる体たらくで、「実質Bクラス」と放言した前年をさらに下回る本来の意味どおりのBクラスに転落。当然ながらネット上では三木と石井の更迭論が飛び交うことになる*5。その最中、楽天はオンライン会見にて一軍監督を務めた三木を二軍監督に戻すこと、石井自身が来季GM兼務で一軍監督に就任することを発表。あのGMはあの全権監督となった*6

全権監督として迎えた2021年シーズンも、開幕直後こそ首位に立つものの最終順位は「実質Bクラス」の3位で、CSでも1stステージ敗退。2022年には、球団新記録の11連勝を記録し首位を独走するもののその後急失速し、またしても本来の意義通りのBクラス(4位)という結果に終わった。
同年オフ、球団は石井がGM職を降りて監督専任となることを発表。迎えた2023年は序盤から黒星を重ね最下位に落ちてしまう。終盤に追い上げを見せるもBクラスの4位で終戦。このシーズンをもって石井は監督を退任したため、自身がGM・監督を勤めたシーズンにおいてチームの最終順位が平石監督時代を上回ることはついになかった。

監督辞任後、石井が球団シニアディレクターに就任したことであのSDと呼称されることもあるが、タレント・歌手のあのに則って「あのちゃん」と呼ばれることが多い。


関連項目



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*1 元ヤクルト→日本ハム。外れの外れながらドラ1でプロ入りしているものの、度重なる故障で成績を残せなかった実績の弱さも石井の傀儡と目される遠因である。ただし、三木は二軍監督就任直後に球団史上初のイースタン優勝・ファーム日本一を達成するなど、楽天ファンからも「指導者としては優秀」と評されている。
*2 本記事で修正が入ったのかどうかは不明であるが、一部媒体向けの中日スポーツソースでは「楽天OBをもうちょっと入れたかった」となっている。
*3 プロ9年目となる2019年シーズン終了時点で通算111試合出場。
*4 2014年~2018年は外野手登録。2019年シーズンは怪我の影響もあって一軍出場なし。
*5 ただしこの年の失速は絶対的守護神の松井裕樹が先発転向していた影響も大きく、石井はともかく三木に関しては先述の通り擁護論も多かった。
*6 GMを兼任した監督としては2005年ソフトバンク・王貞治以来であるほか、正式にGMの肩書は付いていないが2019年以降は原辰徳も実質兼任している。ちなみに王はこの翌年に激務が祟って倒れ、早実の後輩達の夏の甲子園決勝再試合→全国制覇も病院で見届ける羽目になった。