よそ見事件

Last-modified: 2024-04-13 (土) 15:02:56

試合中のよそ見が原因で騒動になった事件のこと。
なんJでは以下の7つの事例がネタにされる。


宮崎よそ見事件

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2014年4月26日の横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース戦(横浜スタジアム)で起こった。
9回表無死1塁の場面、送りバントを処理するためDeNA二塁手の宮崎敏郎は一塁ベースカバーへ入るも、送球が来ないと思い込み目線を切ってスルー。当然、ピッチャー・山口俊からの送球を取れず、ボールはファールゾーンを転々とし、その間に一塁走者は生還し打者は三塁へ進塁する宮崎の適時失策となった。
既に1-5と敗戦ムードだったとはいえエラーどころか送球が直撃しかねず危険な論ずるに値しないプレーであり、試合後に中畑清監督は「野球の世界にないボーンヘッド」とコメント*1。宮崎は即日二軍降格となり、以後しばらく守備難を理由に干され続けることになる。

塁審工藤よそ見事件

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2014年5月29日、DeNA対ソフトバンク戦で発生。
4回表に2死一塁の場面でソフトバンクが盗塁を仕掛け、打者明石は空振り、二塁への送球は微妙なタイミング。しかし工藤和樹二塁塁審*2この時ホーム方向を見ており二塁捕球の瞬間を見逃ししばらくしてからセーフ判定を出した。このことに中畑監督も猛抗議に出るが判定は変わらず。なお、明石はこの打席は三振、試合展開に影響は無かった。

工藤が見逃した理由として「明石の空振りを三振チェンジと勘違いした」「ちょうちょ」などの説があるが、何にせよ二塁への送球に気付かないのは職務怠慢でしかない。

なお工藤自体2010年5月13日のロッテ対横浜戦で福浦和也の放ったポール際への大飛球をファウルと一時判定、ビデオ判定でホームランに覆ったものの、誤審未遂のトラブルを起こす等問題があり、2013年シーズン後半からは出場機会が激減した上でこの事態に至った事から、NPB審判部は2015年のオフの工藤の契約更改を行わず事実上解雇、工藤は35歳の若さで引退となった。

塁審山本よそ見事件

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2016年のCSファーストステージ第1戦、読売ジャイアンツ対横浜DeNA戦(東京ドーム)で起こった事件。

8回裏二死2塁、2-3の場面でDeNA・三上朋也は球審の「プレイ」のコール直後に二塁へ牽制。
タイミングは微妙だったが、二塁塁審・山本貴則はプレー自体を見ていなかったのかコールをしなかった
結局インプレーではなかったとして試合を再開、打者を打ち取り9回裏も抑えたDeNAが勝利し大きな問題にはならなかったが、一歩間違えば試合結果がまるごと入れ替わっていた可能性もあるプレーだったため、山本には非難が殺到した。
なお、この日は地上波中継解説に二度のよそ見事件を経験した監督である中畑が、またスタメンにはよそ見事件以降に守備が上達し三塁手のレギュラーになった宮崎が名を連ねていた。

 

また、問題の審判である山本は「テレビの映りが悪いんじゃないですか事件」の二塁塁審を務めていた過去がある。

佐藤&京田&高橋よそ見事件

こちらを参照。

塁審今岡よそ見事件

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2019年4月21日、中日対ヤクルト戦で発生。
スコア5-4、5回表1死二塁の場面でヤクルト・上田剛史がセカンド後方への小フライを打ち上げ、これを中日のセカンド・堂上直倫が直接捕球。立ち止まりながらなぜか余裕でアウトになる位置にい続けたランナー・雄平を刺そうと二塁へ送球し、誰がどう見てもアウトのタイミングで捕球された。
しかし二塁塁審・今岡諒平はなぜか一塁方向を見ていて二塁捕球の瞬間を見逃し、その後何事もなかったかのようにセーフと判定
明らかな失態に中日・与田剛監督は当然猛抗議し審判団に確認を求める*3も、異議はリクエスト制度で行うように返されやむなく権利を行使*4。ナゴヤドームの大型ビジョンによそ見をする様子が晒され観客から失笑が漏れた後、判定は無事アウトに覆った。上記の事があったにも関わらず今岡は試合後「見ていました」とコメントしている。
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その後、NPBは中日に対して「打球判定の確認で他塁審とアイコンタクトしているうちに、当該プレーへの確認が遅れてしまった」と回答をしたが「この回答は論点ずらしである」と批判を受けることになった。しかしこの状況下(二塁塁審が内野手の前にいる)では二塁塁審が打球の判定をしないため、打球の判定を行う一塁塁審を確認することは当然のことである。実は今岡は三塁へ踏み出したもののすぐ止まった雄平を確認しており、当然雄平が二塁に余裕で戻ると思い込んでしまった可能性が高い。

なお今岡は2018年シーズン終了時点で一軍出場僅か9試合の若手審判であり、今回の件が堪えたのか後日行われた二軍戦で球審を務めた際に振り逃げの判定でキャッチャーのバッターへのタッチの空振りをしっかりと確認してからセーフ判定を下す姿を見せており、きちんと反省しているようである。加えて与田が最終的には今岡を慮るコメントを残したこともあり、今岡叩きは沈静化するとともに与田の株が上がる結果となった*5
2020年の登録審判員に猛誤賞杉本共々名前がなく、2019年限りで退職していたことが明らかになった。上記の事件に対する炎上が直接の引き金になったかの真相は不明だが、たった一度の誤審が彼の人生を狂わせてしまうという結果となってしまった。審判としては非常に若い30歳を前にした退職という結果に、なんJでは「人生をかけた50/50に負けた男」などと揶揄された。

二塁塁審嶋田よそ見事件(シュレディンガーの西浦事件)

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2021年9月13日、中日対ヤクルト戦で発生。
スコア1-0、9回表一死一、二塁の場面でヤクルト・川端慎吾がセカンドへのゴロを打つ。セカンド・堂上直倫は最初は一走の西浦直亨にタッチしようとしたが逃げられ、素早く一塁に送球。しかしセーフの判定となる。
ファースト・福田永将は、まだ一・二塁間に挟まれていた西浦を刺すべく改めて二塁のカバーに入った京田陽太に転送した。
この時京田は一塁のセーフに気付いていなかったのか*6西浦を追い掛けたものの、途中で一塁のセーフに気付き、二塁を踏んで一走西浦をフォースアウトにしようとする。本来なら一、三塁に走者が残ってプレイが終了する…と思われたのだが、二塁塁審・嶋田哲也*7はアウトを宣告せず、引き続き(本来なら既にアウトになっているはずの)西浦が一、二塁間で挟まれたままになった。
再び西浦との競走が始まった隙を突き、三塁に到達していた二走・古賀優大が本塁を狙った*8が、堂上は競走をやめて本塁の木下拓哉に送球、古賀はそのまま本塁封殺となった。
さらに与田監督のリクエストで二塁のフォースアウトが認められ、最終的に併殺で試合終了*9したのであった。
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二塁塁審の嶋田は二塁フォースアウトを宣告しなかったことについて「二塁塁審としては(二塁)ベースを踏んだことは確認していない。だから、一塁走者はそのまま生きていてセーフとして。ジャッジしていないのでアウトもコールしていない」とよそ見をしていたことを自供。ただし、画像や映像を見る限りでは嶋田は京田のベースタッチを確認しているようにも見えたせいか、野球ファンから批判を浴びてしまう*10
また、仮に二塁フォースアウトの宣告があれば二走の古賀の本塁突入もなかったため*11、嶋田のよそ見が試合結果を歪めることとなり、ヤクルト・高津監督は試合後も猛抗議。その後の審判団の不誠実な対応も火に油を注ぐこととなった*12
この試合の解説をしていた藤川球児は「中日の一塁送球がセーフになった事がまずミスで、それがこのプレーを誘発した」とこの事件の原因を説明した上で「あそこでアウトコールをしないのなら塁審の存在意義が無い」と嶋田の怠慢を断じている。

なお、嶋田は上述の「塁審山本よそ見事件」の際の球審として山本を擁護するような発言をしたりと、何かと問題が多い審判だったこともあり野球ファンからは改めて絶許認定されたのであった。

翌日に審判部の友寄正人審判長とセリーグ総括の杵渕和秀が謝罪。判定混乱の要因は「二塁審判の嶋田塁審が一塁のセーフを見落とした」と説明。嶋田は口頭で厳重注意を受けたがその日のバンテリンドームの試合で一塁塁審として出場している*13

また、嶋田のジャッジが無かったことにより、一塁走者である西浦が走者として生きているのか、死んでいるのかが分からなくなったことによりシュレディンガーの西浦*14事件とも呼ばれている。
また京田は上記の今岡にもよそ見されていたことでパルプンテ扱いされ、今岡、バーネットにブチギレられた橋本を合わせて「ヤクルト中日戦の二塁塁審はトラブルの呪いでもあるのか」という声も上がった。

なおこの年のヤクルトはこの事件以降13戦負けなしの9連勝、さらに優勝が決まるまでの間に22勝8敗6分、勝率.733という神懸かった快進撃を見せて大逆転リーグ優勝を果たした*15ため、「チームを結束させるための誤審だった」「嶋田ブースト」などとも言われ、一部のヤクルトファンからは「嶋田ありがとう」と感謝までされる始末であった*16

その後も嶋田による不可解な判定で大騒動を起こしており、NPB審判のレベルの低下を嘆く声は多い。

一塁中田よそ見事件

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2023年8月10日の巨人対阪神戦で発生。
スコア1-0、7回無死一、三塁の場面で先発の戸郷翔征が一塁への牽制球を投げる。しかし、一塁の中田翔が打者である木浪聖也のほうを向き、ボールから目線を切っていたため、牽制球に反応出来ず、捕球し損ない、ボールの処理をする間に三走島田海吏の生還を許して同点となり、続く近本光司の勝ち越し2ランホームランの呼び水になった。

捕球ミスをした中田に非難が集まる一方で

  • 一走の梅野隆太郎はほとんどリードをしていない
  • 梅野はここまでシーズン2盗塁と単独スチールは考えにくく*17、阪神の岡田彰布監督の采配傾向からしてダブルスチールの可能性も低い
  • 三走は俊足の島田なので下手に一塁への牽制球を投げたらホームに突っ込まれる可能性がある
  • スクイズやホームゲッツーも考えられる場面なので中田が打者に集中するのは当然のこと

という一塁への牽制球がほぼ不要な状況*18でアウト欲しさに一走を刺す気満々な早いモーションで牽制球を投げ、結果的に中田の不意を突く形になった戸郷のほうが悪いのではないか、という意見も多い*19

試合後に巨人の原辰徳監督はこのプレーに関して「生涯しないでしょうね、そういうミスは。彼はね」というコメントを残している。

関連項目


*1 山口が一塁に送球しかけた時点で既に一塁ランナーは二塁に到達しており、また一塁で捕球できればバッターは楽勝でアウトになるタイミングだった
*2 元阪神の工藤一彦の息子。関大一高では久保康友の控え投手だった。
*3 与田曰く抗議ではなく確認に行った。「協議したほうがいい。審判のためですよ」と仲間のつもりで言いに行ったという。
*4 審判の判断でリプレイ検証できるのは本塁打の判定のみと決まっているため、リクエストを使うしかなかった。ただし判定が覆ればリクエスト権は消費されない。
*5 そんな与田の評価も長続きはしなかったのだが、それはまた別のお話
*6 一塁からの送球とセーフのジャッジのタイミングが重なったからではないかと推測されている。また、この時福田が京田に二塁を踏むよう指示しており、京田は中日公式You Tubeでの動画で「福田さんのおかげです!」と発言している。
*7 元・阪神投手。現役時代古田敦也にビーンボールを投げて乱闘を誘発した事件で有名。
*8 西浦がフォースアウトにならなかったことで打者の川端がアウトになったと誤認。その状態で西浦がタッチアウトになると試合が終わるため、やむなく本塁突入を強行したものだと思われる。
*9 記録上はセカンドゴロ+古賀の走塁死で、一塁の川端が残塁したことになる。
*10 「見ていない」と言い訳するなら「一塁のセーフ判定を確認していない」と言うほうがまだ自然であるという声は試合直後からあり、後述の通り翌日にはそのように釈明している。
*11 実際、三塁コーチの福地寿樹は一度古賀を三塁で止め、挟殺プレイになってから古賀を本塁突入させていることから、フォースアウト宣告がなく、プレイが止まらなかったので「審判の判定が出ていないときに選手の判断でプレイを止めてはいけない」という野球の大原則に従って本塁突入させたのだと思われる。
*12 場内でアナウンスされたのは「リクエストにより二塁フォースアウトを確認した」という内容で、前述のジャッジしていないことについての説明は試合後。
*13 通例、一軍では審判は5人で一つのユニットとして行動し、三塁→二塁→一塁→球審→控え→の順でローテーションする。従って前日二塁塁審の嶋田が次試合で一塁塁審を務めるのは通常通りではある。
*14 由来は量子力学における思考実験の一つであるシュレーディンガーの猫。量子論のもとでは、猫を観測できるまでは生きている状態と死んでいる状態が重ね合わせの状態になっていて決定できず、確認して初めて生死が確定するというもの。勘違いされやすいが、「生きた状態と死んだ状態が重ね合わさった猫」が存在しうると主張するものではなく、「そんな状態の猫は常識的に考えてありえないのに、今の量子論ではそれが正しいことになってしまう」と従来の学説の不十分さを指摘するための設問である。
*15 ヤクルトの終盤戦のスローガンとなった「絶対大丈夫」のフレーズも、この負け試合のあとに高津監督がチームを鼓舞するために発している。
*16 ただし嶋田はこの後阪神対広島戦で阪神に対して有利な誤審をしており、野球ファン(特にこの誤審が原因で4位が決定的になった広島ファン)から大顰蹙をかっている。
*17 行けるなら自己判断で行ってよしと言う方針の前年までとは違い、岡田の指揮下では赤星憲広レベルでないとノーサインでの盗塁は許されていない。
*18 こういう場面で投手が一呼吸おきたいのであればプレートを外して擬投をするケースが多い。
*19 無論、牽制球のサインが出ていてそれを中田が見落としていたと言うなら中田が全面的に悪いのだが。