元横浜DeNAベイスターズ球団代表・三原一晃の一連の行動に対する蔑称。
昭和20年代~50年代においてDeNAの前身である大洋ホエールズや、巨人・西鉄・近鉄・ヤクルトで監督を、日本ハムで球団社長を務めた三原脩の智将ぶりを讃えた「三原マジック」という言葉から生まれたネットスラング。
概要
2018年オフにGMを辞任した高田繁の後任として横浜DeNAベイスターズの編成トップとなった三原は、地元重視のドラフト・横浜OBに偏ったコーチ陣組閣*1*2・他球団からの補強に消極的な点で以前から疑問視されていたが、2020年シーズン終盤からファンの神経を逆撫でするような行動を連発。それが2021年シーズン開幕直後の大不振、そしてその大不振を引きずり続けた結果のシーズン最下位を引き起こしたとされ、一連の三原の行動を「令和の三原マジック」と揶揄するようになった。
令和の三原マジック一覧
ホセ・ロペス退団
2020年11月16日、球団はロペスとスペンサー・パットンと来季の契約を結ばないことを発表。ファンの間に大きな衝撃が走った。
メジャー復帰が濃厚視されていたパットンは残当としても、ロペスは2014年オフの移籍以来、CS・日本シリーズ出場に大きく貢献した功労者であり、この解雇はファンからは到底受け入れられるものではなかった。同年のロペスは加齢による衰えで成績は落ちてきてはいたが、一軍である程度活躍*3しチームの精神的支柱となっていたため、下記の外国人不在の際には「ロペス再獲得しろ!」の声が非常に多く上がっていた。
ただし、球団側は
- 日米各1000本安打達成時にセレモニーを開催する。
- 他球団からオファーがかかりやすいよう、FA権取得まで一軍登録して日本人枠とする。
- 退団時には苦渋の決断であったことを明らかにするとともに、それまでの功績に感謝の意を示す。
など、最大限の配慮をしていた。また本人のNPBでの現役続行の希望に反し他球団との契約にはいたらなかった点*4、高齢かつ成績が下降線である点を考えると、人格はともかく戦力として手放すのが異常かというのは一概に言い切れないところである。
梶谷・井納ダブルFA流出
主力選手としてチームをけん引してきた梶谷隆幸と井納翔一がそろってFA宣言すると、三原は「マネーゲームはしない」と発言*5。その後、両者とも巨人入りを決断。巨人の破格の条件提示*6により最初からDeNAに勝ち目はなかったとはいえ、同一リーグへの2名同時流出は通常であればチームの弱体化(=ライバルの強化)に繋がるため、慰留の態度を強く示さなかった三原に対するファンの怒りは大爆発した。
井納については、FA取得年とわかっていたのにも関わらずCランクのままにしたため、タダ同然での放出となりその点でも批判された。
しかし井納は出先で打ち込まれた上、2年目も全く活躍できずオフに戦力外通告を受け、オファーはなくそのまま現役を引退した。梶谷についても、開幕直後は活躍していたがすぐに怪我で離脱*7し2021年は61試合のみ出場、翌2022年は左膝の手術を受け、一軍登録はされず、さらに複数年契約の途中にも関わらず同年オフには育成契約となるなど前評判通りのスペっぷりを存分に発揮しており*8、巨人の提示以上の待遇を出してまで引き留める必要があったかについては疑問が残る。
外国人ビザ取得ミス
外国人の就労ビザの取り扱いについては、ビザを維持したまま一時帰国させる場合と、1年ごとに新たにビザを取らせる場合があり、DeNAはユリエスキ・グリエルが起こした亡命事件を機に後者の方法によって就労ビザを確保していた。
しかし、2021年のキャンプイン直前に新型コロナウイルスの第3波が発生し、新規の外国人選手の入国は不可能となる。
事前に来日が難しくなると予想し、既存の外国人に早めにビザ取得を促した阪神や広島、前者の方法によって離日させることで少しでも影響を減らそうとした巨人・ヤクルト・オリックス等と異なり、日本ハム・DeNA・ソフトバンク・西武は普段通りのスケジュールで動いた結果、既存の外国人選手がほとんど入国できなくなってしまった*9。
その後、三原自身がわざわざ外務省まで直談判に赴いたものの却下され、茂木敏充外相(当時)には「プロ野球の外国人は再入国は認められている。新規申請も認める方向。DeNAは再入国なのに新規で申請しているプロセスの問題があるようなので、それをクリアすれば早くビザが出ると思う。」などと言われてしまい*10恥の上塗りになった。
その結果、DeNAは2021年シーズン開幕に外国人選手が1人もいない状態となり、開幕8試合連続勝利なし、10連敗などの惨状で最下位を爆走。これを受けて三原は自らの非を認めて謝罪している。
一方で、既存の外国人の再来日手続きに関してはエスコバーは身内の不幸で急遽の離日、ソトは契約切れもあって新規契約締結の時期からして困難である事を挙げオースティンとピープルズ以外は再来日手続きでも無理だったという意見もある。
国吉放出
そんな惨状を乗り越えチームは交流戦でなんとか復活、広島の逆噴射もありついに最下位を脱出した矢先、国吉佑樹をロッテの有吉優樹とトレードすることが発表される。
先発ローテが度重なる怪我・不振によって崩壊していたために先発要員の確保を狙ってのトレードであったが、2021年シーズンもロングリリーフ要員兼便利屋として活躍していた国吉に対して有吉は故障により2年間一軍で殆ど登板しておらず二軍でもイマイチ*11という有様にファンからは不安の声が続出。
そして有吉は7月9日の中日戦(バンテリン)で先発し、なんやかんやで7回途中まで投げファンを喜ばせたのもつかの間、エキシビション期間に打球直撃により故障・緊急降板。その後は結局一軍登板のないまま、ファームで爆発炎上を繰り返すという案の定な結果となった。
一方、ロッテに移籍した国吉は後半戦開始まで一切登板がなかったが*12、後半戦以降は時にクローザーを任されるなど便利屋として躍動し、最終盤まで縺れた優勝争いで大活躍を見せており、両者の明暗にトレードに対する批判が殺到することになった。
また、DeNAはシーズン後半に入り今永昇太の復帰、大貫晋一の復調、フェルナンド・ロメロの台頭等で先発投手事情については改善がみられた一方、三嶋一輝と山﨑康晃が不調によりともにクローザーを剥奪された挙句「日替わりクローザー」制を導入する等リリーフ陣に綻びが出てしまったことから、貴重なブルペン要員だった国吉を放出した間の悪さについても嘆かれることがあった。
ただし、国吉は指標上ではDeNA時代と比べて悪化の傾向が出ており、「ロッテの運用法と守備陣のお陰で活躍出来ているだけでDeNAにいてもここまでの活躍は出来なかった」とする声も少なからず存在する。
事実、シーズン最終盤に入ると国与四と揶揄された時期を彷彿させる投球を見せ始めており*13、翌2022年は一軍で6登板のみ、二軍では23登板で防御率11.28という成績に終わってしまった。
が、有吉は移籍後は一軍で2試合のみの登板に終わり、2022年シーズン終了後に戦力外通告を受けて引退した。
結局、このトレードはDeNAからすれば完全な失敗、ロッテからしてもイマイチと誰も幸せにならないタイプのトレードとなってしまった。
反論
上記を代表とした三原への批判に関しては、親会社がDeNAになる遥か以前から伝統的にフロントに対して不信感を抱いているファンが少なくない*14ために、必要以上にファンが感情的に叩いている側面が否定できない。前身のTBS時代*15を経験しているファンなら尚更であろう。
さらに言えば前任者の高田GMがドラフトやトレード、FA補強で次々に有力な選手を獲得していたことも、三原が相対的に評価を下げる一因になったとも言える。
現在では2021年シーズン序盤のDeNAの大不振は、先述の外国人入国遅れのほかに、先発ローテの大崩壊*16が原因であるとの見方が一般的である。そのため、外国人の入国ミスについては(コロナ禍で情勢が流動的であったとはいえ)擁護されることはほぼないが、その他の判断については上でも併記したとおり、結果はどうであれ意図は理解できるものとして擁護する意見も少なくない。
こうした背景から、一部には「ファンの不満のスケープゴートにされている」*17といった意見も見られている。
その後
三原本人は外国人入国ビザミスは言うまでもなく、梶谷・井納W流出についても大いに反省したようで、2021年オフはFA権を取得した宮﨑敏郎をはじめ、契約切れ・FA権取得を控えた主力選手のほとんどと複数年契約を結ぶことに成功*18。また、ファンから復帰を熱望されていた石井琢朗を筆頭に、98年V時の選手だった斎藤隆*19や鈴木尚典、相川亮二*20をコーチとして招へい。さらに楽天を戦力外となった藤田一也や日本ハムから自由契約となった大田泰示の獲得、FA宣言した中日・又吉克樹の獲得調査(最終的にソフトバンクが獲得)など、一転してファンの期待値の高い補強を連発。また、外国人選手の入国についても続く新型コロナの影響で来日が危惧されていたが、キャンプまでに育成含む7選手が無事来日。同じ轍を踏む事態を回避した。*21
2022年シーズン限りでGM職を退任することが決まったが、同シーズン2位と順位を盛り返し*22、最終的に評価を持ち直している。
また選手からも評価されていたようで、同年のファンフェスティバルの終了後にはサプライズでマウンドに呼ばれ、打席に立った南場オーナーと対戦し最後は選手たちに胴上げされた(記事)。
源
「源」は、この時期に生まれた三原に対するNG避け*23である。やや強引で分かりづらいためか、「源」以外にも「ミ原」「厵」「38rar」など様々なNG避けが作られている。