開発者向け文書の中から、基本のフォルダ構成と路線の基盤要素の構築を解説します。
モデリングソフトの設定
3DS maxでは、TS用のmaxプラグインの導入が可能です。
Blenderでは、有志作成のモデルデータ入出力アドオンがあります。
開発者名と製品名の設定
開発者名の設定
アドオンの開発者は、まずアドオンの開発者を識別できるフォルダを作成します。自分自身のハンドルネームやサークル名、企業名などが使われます。フォルダ名は特殊文字やスペースは使えません。
開発者名フォルダの例としては、RSC、DTG、Aerosoft、AP、DTM、G-Trax、Kuju、TrainTeamBerlin、UnionWorkshopがあります。
まずはRailWorksのインストールされたフォルダを開き、その中に「Source」と言う名の作業用フォルダを作り、その中に開発者名のフォルダを入れます。
RailWorksフォルダは、通常以下の場所にあります。
- C:\Program Files\Steam\steamapps\common\Railworks
開発者名が「Developer」の場合の例です。開発者名の直下にアドオン名の付く製品フォルダを入れます。
- \Railworks\Source\Developer\AddOn01
- \Railworks\Source\Developer\AddOn02
- \Railworks\Source\Developer\AddOn03
アドオンフォルダの構造
製品名フォルダから下は、任意のフォルダ名を設定できます。その中でもDovetailは以下のフォルダを用意することを推奨しています。このフォルダ名を使用すると、Blueprint Editorでその名称に合ったアイコンに変更して表示してくれます。
- Audio - 音声関係
- Environment - 環境表現
- Particles - パーティクル
- RailNetwork - 線路周り
- RailVehicles - 車両
- RouteMarkers - 路線マーカー
- Scenery - 風景
- Stations - 駅
- System - 地図表示など
- TemplateRoutes - 路線の設定雛形
- TimeOfDay - 昼夜変化
- Weather - 天候変化
風景素材を格納するScenaryフォルダ内は、以下の構成が推奨されます。
- Scenery
- Animated - アニメーション
- Billboards - ビルボード
- Buildings - 建物
- Characters - 人物
- Clocks - 時計
- Clutter - 散らかる物
- Procedural -
- Structures
- Vegetation
- Vehicles
- Wildlife
ファイル構成の書き出し
Sourceフォルダ内で製作したアセットは、青写真エディタを通じて出力することになります。フォルダとファイルが正しく設定してあれば、エディタを通じて同一構造で「Assets」フォルダに出力されます。
Assetsフォルダは、通常以下の場所にあります。
- C:\Program Files\Steam\steamapps\common\Railworks\Assets
出力後のAssetsフォルダでのファイルの直接編集は推奨されません。自作アドオンの手直しはSourceフォルダでの修正と再出力が最も合理的です。
TS内でアセットを使用する
Assetフォルダへの出力で、自作アドオンを使う準備は整いました。
TS本体を起動して路線エディタを開き、任意の路線を開くか新規作成。そしてエディタの青い四角形に右矢印のアイコンをクリックすると、右側に開発者名のプルダウンメニューと各開発者毎の製品名リストが出てきます。
この中から自身の作成した開発者名、その中のオブジェクトセット名を選んでチェックを入れることで、その路線でそのアドオンを使えるようになります。この有効化は各路線ごとに必要に応じて指定・解除できます。
新しい路線の作成
TSでは架空路線、実在路線の両方が再現できます。制作するにはTS本体を起動してBuild→Routesと進み、New Routeで新規作成できます。
導入済み路線の経緯度の雛形があり、実在路線の場合などに基点となる経緯度が設定されています。手持ちの路線の雛形で対応できない場合は、新たな雛形を用意することになります。
雛形を選んだら、Createをクリックすると新たな路線が作成されます。
路線雛形名 | 経緯度 |
---|---|
Default | 0.0 / 0.0 |
Bath to Templecombe | 51.3815 / -2.3669 |
Seebergbahn | 46.7241 / 7.62029 |
Hagen to Siegen | 51.3635 / 7.6206 |
Newcastle to York | 54.8546 / -1.5801 |
Oxford to Paddington | 51.5182 / -0.1848 |
Hedborough North | 53.6297 / -0.2515865 |
Castle Rock Railroad | 39.0917 / -104.873 |
Bastow to San Bernadino | 34.1042 / -117.31 |
路線雛形の作成
既存の雛形を使わず、新たに雛形を作れます。製作すれば新規路線作成時にその雛形が表示されます。
路線タイルとファイル
路線タイル
路線は1024m四方の正方形のタイルに分割され、タイル毎に個別の数字が割り当てられています。エディタではタイルの境界線を表示できます。エディタの左下隅には、現在現在地点のタイル名が表示されます。
プレイヤー列車がいない場合、路線は原点となるタイルの位置に読み込まれます。原点は000000-000000.xmlのタイルの南西角になります。
タイル名には、6桁の数字の値が2つ付与されます(xxxxxx-zzzzzz.xml)。最初のX軸6桁は原点タイル基準で南北方向の、次のZ軸6桁は原点基準で東西方向の数字が共通しています。Xの値が大きくなると東へ向かい、Zの値が大きくなると北へ向かいます。
路線フォルダの構造とファイル形式
路線関連のフォルダは、RailWorksフォルダの中からContent→Routes→個別のGUID(路線ID)別フォルダの中に格納されます。
各路線とも以下のようなフォルダ構成がなされ、各フォルダに各分野別でタイルが置かれています。
- MixMap - 地形テクスチャ関連
- Networks - 線路や道路、橋など連続配置物関連
- RouteInformation - 路線のゲーム内での説明文
- Scenarios - この路線向けに作成されたシナリオ
- Scenery - 風景オブジェクトの配置物関連
- Terrain - 地形関連
路線フォルダには、この路線の情報を格納するRouteProperties.xmlのファイルもあります。この中に路線名、季節、規定の天候、地形テクスチャの指定、UTM座標の情報、読み込むアセットの開発者名・製品名の情報が格納されます。
路線タイルはバイナリ形式(.bin)で保存されます。個別の編集が必要な場合、本体付属のSerzMaster.exeでバイナリからテキスト形式(.xml)へ変換することが出来ます。編集が完了したら、同じSerzMasterでバイナリに戻します。
Networksフォルダ
Networksフォルダには更に細分化したフォルダがあり、Loft(壁やフェンス)、Track(線路)、Roads(道路)の線形オブジェクトの配置データが入っています。
各分野の情報を格納するバイナリファイルがありますが、特にtracks.binは重要です。ここに線路のデータ全てと信号、速度制限、ホームなど各種施設の情報が格納されているためです。
路線の作成中は、tracks.binファイルとTrack Tilesフォルダの定期的なバックアップをおすすめします。
路線マーカーの作成
マップを作る際の目印として、マーカーを配置できます。
マーカーを生成する
マーカーを配置することで、その場所を目印にしてより効率よく路線を作れます。路線の重要地点や川、道路、踏切などに設定すると分かりやすいです。
指定された複数の経緯度を線で結ぶマーカーと、特定名称で単独配置するマーカーの2種類があります。各マーカーへエディタ内で一発で飛べます。
Google Earthで作りたい路線のマーカーポイントを配置して、TSで読み込む事が可能です。その際はGoogle Earthの設定を「度分秒」から「度」で出力するよう設定してください。
必要な場所に目印を配置し、個別に名前を付け、線形マーカーは順番通りに配置しましょう。単独マーカーの場合はバラバラでも構いません。
線状マーカーの作成
配置した線状マーカーは、KML形式で保存し、Microsoft ExcelなどのアプリでKMLを開きます。様々な情報が表示されますが、H列の緯度とJ列の経度を残して削除、A列とB列に集約します。
集約した表は、CSV形式で保存します。保存先の例は以下の場所です。
- RailWorks\Source\開発者名\製品名\RouteMarkers
このマーカーで指定した地点を結ぶ直線が引かれます。地点が多ければ多いほど細かくなります。
単独マーカーの作成
線上マーカーと同じく、Google EarthからKML形式で保存。保存後はExcelでH列の緯度とJ列の経度、そしてN列のマーカー名を残して削除し、A・B・C各列に集約します。そしてCSV形式で保存します。
マーカー青写真の作成
青写真エディタでRouteMarkersフォルダに移動、GPS Marker Set blueprintをクリックして青写真を作ります。
Named & Series GPS Markerの節で、CSVのマーカー設定を指定します。マーカー名称は RouteMarkers\NamedMarkers.csv や RouteMarkers\SeriesMarkers.csv が一般的です。
TSへのマーカー出力
ソースフォルダで作った青写真は、青写真エディタで出力します。エディタ上部のExportで出力、成功するとSuccessfulのメッセージが出ます。成功しない場合はファイル指定ミスなどがないか確認を。
トラックルールの設定
Track ruleは、線路を使用する路線の設計規範となる要素を指定するものです。
トラックルールの作成
青写真エディタから「Track rules blueprint」を選んで作成します。名称はそれを使用する路線の名称に近いものを使うことをおすすめします。
青写真には以下の項目があります。
- Track Types
- このトラックルールで用いる線路の青写真を指定。路線エディタの線路一覧で上位に優先表示されます。
- Default line type
- 既定の路線対応をプルダウンメニューで指定します。以下の4つです。
- Mainline(本線)
- Yard(操車場)
- Passenger(旅客)
- Freight(貨物)
- Default speed limit
- 規定の制限速度。PrimaryとSecondaryの2段階があります。
- Default line direction
- 規定の線路の進行方向。ドロップダウンメニューで指定。
- Up(上り)
- Down(下り)
- Both(両方向)
- Default electrification
- 規定の電化状況。ドロップダウンメニューで指定。
- None(非電化)
- Overhead Wires(架空電車線)
- Third Rail(第三軌条)
- Fourth Rail(四軌条)
- Gradient value
- 規定の勾配の単位。ドロップダウンメニューで指定。
- One in X(分数。主にイギリス)
- Percent(パーセント。主にアメリカ)
- Per mill(パーミル。主にドイツ、日本など)
- Speed unit value
- 規定の速度の単位。ドロップダウンメニューで指定。
- MPH(マイル毎時。主にイギリスとアメリカ)
- KPH(キロメートル毎時。ドイツ、日本など世界各地)
- Track gauge
- このトラックルールで用いる軌間。数値を変えても見た目は変わりませんが、別の軌間を設定したトラックルールを使った線路とは接続不可になります。
- Parallel distance
- 複線以上区間における線路の中心同士の「軌道中心間隔」。既定値ではイギリスの3.14m。日本ではJR在来線で主に3.8m、新幹線では4.2mか4.3mが採用されています。
- Min Radius
- 線路の最小曲線半径をline typeごとに指定。
- Catenary blueprint
- 電化時の架線モデルの青写真。
- Third rail blueprints
- 第三軌条のモデルの青写真。
- Fourth rail blueprint
- 第四軌条のモデルの青写真。
- Manual Junction Entity
- 線路の分岐部分で、手動ポイント切替器のモデル、青写真、表示距離、アニメーションを指定。
- Automatic Junction Entity
- 線路の分岐部分で、自動ポイント切替器のモデル、青写真、表示距離、アニメーションを指定。
トラックルールの使用
トラックルールを使うには、TSの路線エディタから線路ツールを開き、その中から必要なトラックルールを選んで線路を敷きます。
参照元
- DTG公式の解説文書 - Content Basics