用語等 
- 動作原理
- MOUSE TIPSを参照のこと。
- 対応解像度(分解能)
- 解像度の意味についてはMOUSE TIPSを参照のこと。
- センサーがハードウェア的に対応している解像度。
- 非対応の解像度をマウスが持っている場合、ソフトウェア処理で実現していることになる。マウスが「ハードウェア的に」対応していても、センサーがハードウェア的に対応しているとは限らないことに注意。*1
- 一般に、解像度をソフト的に実現するには、補間
処理が必要になり、対応解像度の整数分の1にする場合を除いて精度の問題が生じてくる。
- 最大認識速度
- マウスを動かしたとき、センサーが正確に認識可能な最高速度。
- この速度を超えると、センサーの性能限界を超え、ポインタが飛ぶなどの異常動作が起きる。
- 最大加速度
- マウスを動かしたとき、センサーが正確に認識可能な最大の加速度。
- この加速度を超えると、センサーの性能限界を超え、ポインタが飛ぶなどの異常動作が起きる。
- 最大サンプリングレート
- 意味についてはMOUSE TIPSを参照のこと。
- かつては、この数値によりマウスの性能を測るのが基本だった。
- 現在の高性能センサーは、いずれも6000Hz以上の走査を行っているため、この数値だけで性能を測ることは困難になりつつある。
- また、CypressやPhilipsのような原理の異なるセンサーでは、この数値を比べること自体が無意味である。
- センサーの性能限界
- 本項では、センサーの読み取り性能による制限を指す。
- 具体的には、ポインタがランダムに飛ぶ現象として現れる。
- 当然ながら、センサーに依存する。
- ネガティブアクセラレーション
- 本項では、データの飽和によるものを指す(マウスとPC間におけるものに限らず、マウス内部の飽和または演算性能の制約による制限も含むものとする)。
- 具体的には、ポインタは飛ばないが、高速でマウスを移動させた際にポインタ移動距離が本来よりも短くなる現象として現れる。
- センサーではなく、マウスに依存する。
- リフトオフ・ディスタンス
- マウスを持ち上げた際に読み取りが無効になる高さ。
- 詳しくは、MOUSE TIPSを参照のこと。
- 基本的にセンサーに依存するが、マウスごとの調整によっても変わり、個別に調整可能なマウスも存在する。
光学式センサー 
PixArt Imaging (旧Avago Technologies) 
ADNS-3090
系 
対応解像度(cpi) | 1800, 3500 |
最大認識速度(inches/second) | 60 |
最大加速度(G) | 20 |
最大サンプリングレート(Hz) | 6400 |
- 現在Avagoで最も新しい光学式マウスセンサー
- 補正は無しが主流だが、CM Storm Spawnでは補正の有無をFWで切り替えできる
- Avagoは補正有り無し両方のSROMをメーカーに提供している
- リフトオフディスタンスは長めだが、メーカーが独自のレンズを使用することで短くしたモデルもある。
- 独自レンズの場合、ネガティブアクセラレーションの発生や、マウスパッドとの相性問題がでることがある。
- G400の現行モデルに搭載されているS3095はロジクール向けの型番。Abyssus、Deathadder 3500に搭載のS3888はRazer向けの型番。
- 最新のSROMでは対応解像度が800/1600/3200/4000に変更された、対応製品はまだ少ない
Avagoの告知 PDFなので注意
http://www.avagotech.com/docs/AV02-3346EN
- 主な搭載マウス
- Abyssus
Deathadder 3500
Optical Mouse G400 (PID 13333以降)
ZOWIE AM
ZOWIE EC eVo
CM Storm Spawn
Valor Gaming mouse
Saphira Gaming Mouse
ADNS-3080
系 
- 現時点でもっとも高性能なセンサーの一つ。
- センサーの性能限界が極めて高く、ESReality MouseScore 2007
で測定限界以上となった唯一のセンサーである。
- 各種表面の読み取り性能も高く、マウスパッドとの相性問題も出にくい。ただし、光沢面では読み取りエラーを起こすことがある。
- メーカーの調整にもよるが、リフトオフ・ディスタンスは長めである。もっとも、ユーザーによる調整機能を搭載したマウスも存在する。
- これを搭載したマウスの中には、ハード的に対応していない800cpiの解像度を、ソフト的に実現しているマウスもある。もっとも、800cpiはハード対応解像度の整数分の1なので、大きな問題とはならないと思われる。
- 補正機能を搭載しており、この点は賛否が分かれる。
- Diamondback初期版には早期バージョンと思われるA3070、後期版にはA3080、PlasmaLE等の赤外線版にはマイナーチェンジ版と思われるS3088が搭載されている。
- 主な搭載マウス
- Diamondback
Krait
G3 Optical Mouse(MX518)
X-718
FG1000(FPSGUN)
DHARMA TACTICAL MOUSE OPTICAL (DRTCM02)
ADNS-3080E 
対応解像度(cpi) | 400, 1800 |
最大認識速度(inches/second) | 40 |
最大加速度(G) | 15 |
最大サンプリングレート(Hz) | 6400 |
Datasheetが公開されていないため、上記スペックは3080からの推測。 |
- 新MX518に搭載されているセンサー。
- Datasheetが公開されていないため詳細は不明だが、型番から推測するに、3080の最大解像度を1800cpiに向上させたものと思われる。
- 同様の理由から、基本的な性能は3080に準じると考えられる。
- なお、MX518(日本版)では、ネガティブアクセラレーションの発生やマウスパッドとの相性問題が指摘されている*2。しかし、この点は、SetpointをインストールしLogitech製ドライバを使用したことにより、時間あたりのカウント数飽和の制限(マウス内部におけるデータの飽和 )にかかりやすくなってしまった影響で、ネガティブアクセラレーションが発生したものと推測されており*3、センサーの性能限界自体は3080と同等であることが実測で判明している。
- 主な搭載マウス
- 新MX518
MX518(日本版)
ADNS-3060

対応解像度(cpi) | 400, 800 |
最大認識速度(inches/second) | 40 |
最大加速度(G) | 15 |
最大サンプリングレート(Hz) | 6400 |
- 3080の800cpi版。やや廉価。
- 性能面では、対応解像度が400, 800cpiである以外は3080とまったく同じ。
- これを搭載したマウスの中には、ハード的に対応していない1600cpiの解像度を実現しているマウスも多いが、おそらくソフトウェア処理により補間されたものと思われる。
- 主な搭載マウス
- Reaper Gaming Mouse
Ikari Optical
X-710FS
M-ERUP2R GAME COMMANDER
3G Infrared Sensor

対応解像度(cpi) | 1800 |
最大認識速度(inches/second) | 60-120 |
最大加速度(G) | 19 |
最大サンプリングレート(Hz) | 不明 |
- 型番はAvago S3668。
- 3080と並んで、もっとも高性能なセンサーの一つ。
- センサーの性能限界が非常に高く、このセンサーを搭載するDeathadderは、ESRealityの実測
の中で、ネガティブアクセラレーション耐性の点で、最も優れた成績を残している。
- 補正有り*4。
- AvagoからDatasheetが公開されていないため、対応解像度の詳細は不明。3080系との関係も不明。
- 同一のセンサーを積んでいるとされているにも関わらず、Deathadderでは450/900/1800cpi、Diamondback 3Gでは800/1800cpi、Boomslang Collector's Edition 2007では400/800/1800cpiと、選択可能な解像度に違いがある。
- これは、センサーチップが異なりハードウェア対応解像度に違いがあるからなのか(もっとも、DeathadderとDiamondback 3Gでは共に3668を搭載していることが確認されているので、この可能性は低い)、センサーは共通だがどれかの解像度でソフトウェア処理がされているためなのか、あるいは表記上の問題に過ぎないのか、いずれであるかは不明。Razerがnativeと公表している1800cpi*5以外の解像度については、ハードウェア処理とは断言できない。
- 主な搭載マウス
- Deathadder
Diamondback 3G
Boomslang Collector's Edition 2007
STMicroelectronics 
OS MLT 04 
- 性能としては3080等に劣るが、6010系よりも多くのマウスパッド上で安定したセンサーの性能限界を持ち、極端に高速に動かさない限り、カーソルが飛ぶことは少ない*6。
- サンプリングレートは光学式で最も高い。
- 補正は無いとされる。
- STMicroelectronicsからDatasheetが公開されていないため、詳細は不明。20ipsという数値は、2000fps時代のものの転記ミスまたは意図的な表記上の差別化である可能性がある。
レーザーセンサー 
PixArt Imaging (旧Avago Technologies) 
ADNS-6010
系 
- レーザーセンサーの初期世代。当時の光学式では実現できなかったハードウェア対応2000cpiという高解像度を達成した。
- 多くのハイエンドマウスに採用されているセンサーであり、これまでのレーザーセンサーについての評価は、基本的にこのセンサーに対して下されたものと言っても過言ではない。
- Copperheadに採用されているS6018やG3LS,G5,G7に採用されているS6006等、いくつかのバリエーションが存在し、まとめて6010系と呼ばれる。
- スペック上の性能は3080を凌駕するが、実測では大きく劣る。とりわけ、センサーの性能限界に関しては3080系の1/2程度の性能しか出ておらず、マウスを高速に動かすローセンシプレーヤーにとっては厳しい性能となっている。もっとも、スペック通りの性能は出ているため、3080等の性能限界がスペック以上に高いとも言える。
- マウスパッドとの相性も激しく、とりわけ出荷初期時には従来のマウスパッドでまともに動かないと言うことも多発した。レーザー対応マウスパッドというものを生み出す
原因となったセンサーでもある。
- 調整にもよるが、リフトオフ・ディスタンスは最長クラス。ただし、DHARMA TACTICAL MOUSEでは、調整機能が実現されている*7。
- 補正の有無は不明(未確認)。
- 搭載マウスには、センサーのハード的解像度を無視した、ソフト処理による解像度を用意するものも多い。このうち、600cpiや1200cpiと言ったハードウェア解像度の整数分の1でない解像度に関しては、補間による精度の低下があるので注意。
- 主な搭載マウス
- Copperhead
G7 Laser Cordless Mouse
G5 Laser Mouse
G3 Laser Mouse
SideWinder Mouse
Habu
X-750F
DHARMA TACTICAL MOUSE
ADNS-6090

対応解像度(cpi) | 800, 1200, 1600, 2000, 2400, 3000 |
最大認識速度(inches/second) | 65 |
最大加速度(G) | 25 |
最大サンプリングレート(Hz) | 7200 |
- 6010で問題となったセンサーの性能限界の低さ、リフトオフ・ディスタンスの長さなどを改善しつつ、さらなる解像度の向上を実現した。
- 依然として3080等のセンサーの性能限界には追いついていないと思われるが*8、ポインタ飛びは大幅に低減されている。
- 補正は無いようである。
現在のところ、G9への独占供給契約が有効なため、他のマウスには搭載されていない。Logitech以外での他社製でも採用されるマウスが出てきました。- なお、G9は200~3200cpi(200cpi刻み)で解像度を調整できるが、対応解像度以外はソフトウェア処理によるということになる。
- 主な搭載マウス
- G9 Laser Mouse
GM-M8000
ADNS-9500

対応解像度(cpi) | 5040(90cpi Step) |
最大認識速度(inches/second) | 150 |
最大加速度(G) | 30 |
最大サンプリングレート(Hz) | 11750 |
- 詳しい説明については割愛する。
- 主な搭載マウス
- G9x Laser Mouse
G500 Laser Mouse
Cypress 
CYONS1001x

対応解像度(cpi) | 1~3200(1刻み) |
最大認識速度(inches/second) | 50 |
最大加速度(G) | 10 ただし、Ikari Laserでは20Gと記載されている ![]() |
最大サンプリングレート(Hz) | 40000 |
- OvationONS Iと呼ばれるシリーズ。従来のセンサーと異なり、CMOSで読み取ったデータを4つの要素に単純化することで、40000Hzという驚異的なサンプリングを実現している。
- 1cpi刻みで自由に解像度をハード的に調整でき、ソフトウェア処理による補間の問題も生じない。
- 性能に応じていくつかのバージョンがあるが、Ikari Laserに搭載されているものの型番はCYONS10820-LBXC*9。CypressのサイトではDatasheet未公開であり、Ikari Laser専用品である可能性が高い。
- CYONS10820-LBXCの性能限界は、6010系と同等程度のようである*10。
- リフトオフ・ディスタンスは短く、従来のレーザーセンサー(つまり6010系)に対する、「リフトオフ・ディスタンスが長い」という評価を一変させるものとなっている*11。
- 補正の有無を切り替えることが出来る。
- 主な搭載マウス
- Ikari Laser
Philips 
3G Laser Sensor

- 従来の撮像素子を使ったセンサーとは根本的に原理が異なり、2本のレーザー光線の反射時のドップラーシフトを測定して、移動を判定するセンサー。原理が異なるため、サンプリングレートは800万という桁違いの数値になっている。
- 非常に小型なのが特徴。
- ハードウェア解像度4000cpiという驚異的な解像度を実現している。
- CYONS1001xほどでは無いものの、ソフト処理による補間無しに、ハードで解像度を細かく調整できるのも特徴。
- センサーの性能限界は6010系を始め従来のレーザーセンサーとは一線を画し、3080系にこそ及ばないもののOS MLT 04等を上回る、高いものとなっている。*12
- 反面、ホコリに弱く、レンズが少しでも汚れると異常動作が頻発する。
- また、凹凸の激しい面では、凹凸も読み取るため、ポインタの動きががたがたになってしまう。この特性により、マウスの上下動にも過敏に反応し、不安定な動作をすることもある。
- これらの事情から、安定して性能を発揮できる条件はきわめて限定されており、現状では、その高性能を限界まで享受できる場面は少ない。*13
- 補正は無い。
- PhilipsもRazerも公開しておらず、センサーにも書かれていないため、型番は不明。
- Razerの手による詳細な解説はこちら
。
- 主な搭載マウス
- Lachesis
3G Laser Sensor2?(名称不明、Philips公式では3D Motion Sensor)

対応解像度(cpi) | 5600(刻み不明、25刻み?) |
最大認識速度(inches/second) | 236.22(6m/s) |
最大加速度(G) | 50 |
最大サンプリングレート(Hz) | 8MHz(XY各軸) |
- 現状、Philips公式ページおよび50G対応Twineye搭載機のみで確認。
- 主な搭載マウス
- R.A.T.7