コーエーテクモ/コーエーテクモNEWS2009

Last-modified: 2010-09-29 (水) 01:36:45

テクモとコーエー、統合へ一歩前進―株主総会で承認

http://www.inside-games.jp/article/2009/01/26/33294.html
テクモとコーエーは本日26日、それぞれ臨時株主総会を開催し、2009年4月1日をもって、株式移転方式でコーエーテクモホールディングス株式会社を設立し、経営統合することの承認を受けました。

テクモとコーエーは、スクウェア・エニックスがテクモに対して買収提案を行ったのに対して、従来より創業家同士で交流のあった2社で経営統合を行う方針を発表し、昨年秋に合意しました。ゲーム市場が広がる一方で、次世代ゲーム機では開発費用も高騰していることから各社はある程度の規模を目指して、今後もゲーム業界の再編が進みそうです。

また、本日付でテクモの社長に阪口一芳氏が就任し、創業家の柿原康晴会長兼会長は会長へと退きました。

コーエー、第3四半期決算を発表―本業好調ながら保有証券が下落

http://www.inside-games.jp/article/2009/02/03/33473.html
コーエーは平成21年3月期第3四半期の業績を発表しました(2008年4月1日〜12月31日)。それによれば、売上高は201億8100万円で第3四半期としては過去最高となり、営業利益は45億2700万円、経常利益は48億4500万円と好調だった一方、株価下落により保有証券に損失があり、純利益は10億2700万円の純損失を計上しています。

ゲーム事業はバンダイナムコゲームスから発売された『ガンダム無双2』が好調だったほか、『采配のゆくえ』(DS)や『無双OROCHI 魔王再臨』をPSPでリリースしました。中国で『信長の野望 Online〜破天の章』のサービスを開始したオンライン・モバイル事業、ネオロマンスイベントが好調なメディア・ライツ事業も順調に推移しました。

本業が好調だった一方、株価下落により多額の保有証券に損失が発生しています。コーエーは前年度末時点で約220億円の株式・債券・投資信託等を保有していました。

また、通期の業績予想は、一部タイトルに遅れが出ているなどの理由から、売上高282億円、営業利益60億円、経常利益65億円、純利益1億円と下方修正しています。

PS3版『大航海時代 Online 〜Cruz del Sur〜』4月28日発売に

http://www.inside-games.jp/article/2009/02/06/33551.html
コーエーは2009年2月6日(金)、同社が運営するMMORPG『大航海時代 Online 〜Cruz del Sur〜』のプレイステーション3版を、2009年4月28日(火)に発売することを発表した。価格は6,090円(税込)で、30日分のプレイチケットが付属する。

本作は、2005年3月よりWindows PC向けにシリーズ展開がスタートしたMMORPG。16世紀にヨーロッパで巻き起こった「大航海時代」の世界を舞台に、冒険家や商人、軍人などとなって、世界を股にかけた冒険へ旅立っていく。

ゲームでは他のプレイヤーと協力しながら、古代遺跡の探索や、交易品の売買、海賊の討伐などを行い、徐々にその名を世界に轟かせていく。そして、巨大な船を操る一人前の船乗りに成長した後は、考古学者として世界的な大発見を目指す、海軍士官として国家の勢力拡大を担う、世界の勢力図を塗り替える大富豪を望むなど、さまざまな生き方で自らの名を歴史に刻んでいくことができる。

PS3版『大航海時代 Online 〜Cruz del Sur〜』では、操作をコントローラーのみでも、USBキーボードを接続してでも行えるよう、ユーザーインターフェースが一新されている。また、ハードの能力を活かすことで、美しい遺跡や洋上、街並などがよりハイクオリティに描写される。

プレイヤーが生活をするワールド(サーバー)は、現在サービス中のWindows版と同じものとなる。これにより、PS3版で新たに航海者となるプレイヤーも、すでにWindows版を楽しんでいるプレイヤーと一緒に冒険することが可能となった。

なお、パッケージの同梱物などPS3版の詳細に関しては、後日続報が発表されるとのことなので、そちらをお待ちいただきたい。

テクモが第3四半期業績発表―ゲームは好調

http://www.inside-games.jp/article/2009/02/13/33661.html
コーエーとの統合を決めているテクモは、平成20年12月期通期業績を発表しました。それによれば、売上高70億3000万円(前年同期: 66億5900万円)、営業利益15億4600万円(16億2900万円)、経常利益11億5000万円(16億9800万円)、純利益1億9700万円(9億4700万円)となりました。ゲームは好調でしたが、その他の部門が足を引っ張りました。

本業であるゲーム事業では、全世界100万本を超えた『NINJA GAIDEN 2』(Xbox360)、任天堂との共同プロジェクト『零〜月蝕の仮面〜』(Wii)、『DS山村美紗サスペンス』(DS)、『ノストルジオの風』(DS)、『MosterFarm DS2』(DS)、『DS西村京太郎サスペンス2』(DS)、『アルゴスの戦士 マッスルインパクト』(Wii)を発売したほか、『NINJA GAIDEN Σ』のリピートやベスト版が好調で、231万5000本を販売しました。ゲーム事業は営業利益、営業利益ともに前年比プラスの成績でした。

一方で、オンラインゲームの『モンスターファームオンライン』のサービスを一時停止したほか、パチンコ・パチスロ、おりじんるキャラクターのライツ事業、アミューズメント施設などが苦戦し足を引っ張る形となりました。

コーエーとの統合に伴い、これまで12月を期末としていたものが3月末へと変更になります。よって、次の会計年度は2009年1月1日〜3月31日の3ヶ月間となります。

また統合に合わせて、ゲーム開発費をこれまで仕掛かりとして処理していたものを、発生時に費用計上する方式に変更することに伴い、たな卸資産約33億円を特別損失で処理するとのことです。これにより翌期の業績予想は、売上高14億7000万円、経常損失11億8000万円、純損失50億円となります。

コーエー、シンガポールの拠点を倍に拡充

http://www.inside-games.jp/article/2009/02/23/33815.html
コーエーのシンガポールにおける現地法人であるKOEI Entertainment Singaporeは、設立から4年が経過し、開発し運営中のMMORPG『三国志 Online』が順調に推移していることから、新しいフェーズとして規模を倍に拡大するプランを発表しました。

KOEI Entertainment Singaporeはインタラクティブデジタルメディアを新たな産業として考えるシンガポール政府の強い意向や支援を受け2005年に設立。シンガポールに進出した企業の中では最初のビッグネームとして活動を開始し、『三国志 Online』は日本以外でもアジア各地でサービスが実施されています。

コーエーの襟川恵子会長は「コーエーシンガポールは当初の計画を達成していますが、私達は更に先を見据えたいと考えています。規模とクオリティの両面でシンガポールスタジオは更に強化されていくでしょう。私達の目標は、世界を目指したい優秀で才能あるゲーム開発者が集うシンガポールで最高の場所にすることです」とコメントしています。

コーエーシンガポールでは特に教育に力を入れていて、約50名のスタッフの大半は現地での採用で、その後日本での研修などを受けているそうです。今後は新卒者も含めて採用を行っていくということで、今後数年以内で100人規模の体制となる見通しです。また、4月にはテクモとの経営統合を控えていますが、シンガポールは世界戦略の重要な拠点となるとしています。

テクモ、SeedCとの提携を解消―「Lievo」はSeedC単独事業に

http://www.inside-games.jp/article/2009/03/31/34498.html
テクモは、オンラインゲームメーカーのSeedCとの間で平成18年8月28日に締結していた業務提携契約を解消することを決定したと発表しました。

テクモとSeedCは共同でオンラインゲームポータル「Lievo」を運営するほか、オンラインミリタリーアクション『WarRock』を展開していましたが、これらはいずれもSeedCが単独事業として引継ぎます。SeedCの単独事業となるのは4月1日よりとなります。

提携解消の理由は明らかにされていませんが、テクモは4月1日よりコーエーと経営統合し、コーエーテクモホールディングスとなることから、従来から単独でオンラインゲーム事業を行ってきたコーエーと足並みを揃えたものと思われます。

コーエーテクモホールディングスが本日誕生

http://www.inside-games.jp/article/2009/04/01/34508.html
本日4月1日より、コーエーとテクモが経営統合を行い、コーエーテクモホールディングスが誕生しました。持株会社の下にコーエーとテクモの両社が入る形で、資本金は150億円。代表取締役会長にテクモの柿原康晴氏、代表取締役社長にコーエーの松原健二氏が就任しています。

公式サイトでは「ゲーム産業の黎明期から四半期以上に渡って、それぞれに育んできた文化とノウハウを、融合し、世界中でまだ誰も見た事の無い、斬新で力強いコンテンツとサービスを提供していく」としています。

また、本日コーエーテクモホールディングスのロゴも公開されています。こちらはコーエーのKとテクモのTをあしらった、力強いものとなっています。

これから統合によってどのようなラインナップが生まれていくのか楽しみです。

PC版からの引き継ぎにも対応『大航海時代 Online』PS3版サービス開始

http://www.inside-games.jp/article/2009/04/28/35004.html
コーエーは2009年4月28日(火)、MMORPG『大航海時代 Online ~Cruz del Sur~』のPS3版パッケージを発売するとともに、同日10時より正式にPS3版のサービスを開始したことを明らかにした。パッケージの価格は6,090円(税込)で、クライアントBD-ROMのほか、30日間のプレイ期間、および3種類の特典ゲーム内アイテムが付属する。

『大航海時代 Online』は、中世ヨーロッパを舞台に冒険者や商人、軍人となって七つの海を冒険していく「海洋MMORPG」。すでにPC版が4年にわたってサービスされているが、今回新たにPS3でもプレイすることが可能となった。

PS3版の特徴としては、まずワイヤレスコントローラでも快適にプレイできるよう、ユーザーインターフェースを一新。またCG表現やサウンドに関しても、PS3のスペックを活かし、より高いクオリティで楽しめるよう進化しているとのこと。また、PlayStation Homeのホームリワード機能にも対応しているほか、PS3版でゲームをスタートした場合、PS3版だけの特典ゲーム内アイテムがもらえるなど、オリジナル要素も盛り込まれている。

サーバーはPC版と共通で、Windows版をすでにプレイしている人はアカウントやキャラクタを引き継いで遊ぶことも可能。ただしハンゲームIDでプレイしている場合は、アカウント情報を引き継ぐことはできないので注意してほしい。

またこれに伴い、PS3版サービスの開始を記念して、オリジナルWebMoneyカードやUSBキーボードなどが当たったり、様々な特典を受けられたりする「『大航海時代 Online』をはじめよう! キャンペーン」も実施される。

コーエーテクモ、イタリア大地震に約300万円を寄付

http://www.inside-games.jp/article/2009/04/30/35024.html
コーエーテクモホールディングスは、4月7日にイタリア中部で発生した大地震での被災者への救援金として、ホールディングスおよび関係社員から寄付金として347万円を在日イタリア大使館を通じて寄付したと発表しました。

イタリア中部大地震を巡っては、スクウェア・エニックスと学研がつくるSGラボのWindows向けシリアスゲーム『D-Moment巨大地震編』のAmazon.co.jpでの売上金額の20%を寄付することが発表されています。

コーエーテクモ、出産祝金を拡充―第3子以降は200万円

http://www.inside-games.jp/article/2009/06/09/35728.html
コーエーテクモグループは、従業員に向けての福利厚生の一環として実施している、出産祝金制度を拡充し、第1子の子供が生まれた場合は10万円、第2子には20万円、第3子以降の子供には1人につき200万円を支給することに改めると発表しました。

同社では「、子供を多く持つことを望む社員の出産・育児に関する経済的負担の軽減を図り、家族を含めた社員が元気に働ける会社を目指し、社会的な課題である「少子化対策」に貢献」とコメントしています。

出産祝金制度(改定後)
・第1子 10万円
・第2子 20万円
・第3子以降 200万円

コーエーテクモ、海外販売網を再編

http://www.inside-games.jp/article/2009/06/23/35960.html
コーエーテクモホールディングスは、コーエーとテクモの経営統合後も重複して残ったままになっている海外の販売網を再編・統合する方針を決定したと発表しました。

北米地域ではKOEI CORPORATIONとTECMO INC.を統合。新設するTECMO KOEI AMERICA CORPORATIONの傘下に置きます。

欧州地域ではKOEI EUROPE LIMITEDを名称変更したTECMO KOEI EUROPE LIMITEDをコーエー傘下から、コーエーテクモホールディングス傘下に移管。

アジア地域ではいずれもコーエー傘下にあるKOEI KOREA CORPORATION(韓国)、TAIWAN KOEI ENTERTAINMENT SOFTWARE INC.(台湾)をコーエーテクモホールディングス傘下に移管します。また、いずれも名称変更を行い、TECMO KOEI KOREA CORPORATION、TECMO KOEI ENTERTAINMENT SOFTWARE TAIWAN INC.に変更します。

コーエーテクモ、英国に欧州市場を統括する販社を設立

http://www.inside-games.jp/article/2009/06/29/36064.html
コーエーテクモグループは、の欧州市場向けの流通・マーケティングを担う販社として、KOEI LIMITEDを、TECMO KOEI EUROPE LIMITEDに名称変更し新たなスタートを切りました。これは経営統合に伴う現地法人の改組の一環で、成長を続ける欧州市場に対応して、流通・マーケティングの効率化、販売タイトルの拡大を図っていくとしています。

第1弾タイトルとしてTECMO KOEI EUROPE LIMITEDが投入するのは「NINJA GAIDEN」シリーズの最新作、『NINJA GAIDEN Σ2』で、その後もテクモの『UNDEAD KNIGHTS』(PSP)、『QUANTUM THEORY』(PS3)、コーエーの『Warriors: Legends of Troy』(PS3/Xbox 360)、『TRINITY: Souls of Zill O'll』(PS3)などを投入していくとのこと。

TECMO KOEI EUROPE LIMITED
会 社 名: TECMO KOEI EUROPE LIMITED
代 表 者: President & COO 松原 健二
所 在 地: 英国
公式サイト: http://www.tecmokoei-europe.com/

出演声優は28人!コーエー「ネオロマンス」15周年イベントを9月開催

http://www.inside-games.jp/article/2009/07/07/36236.html
コーエーは2009年9月19日(土)から21日(月・祝)の3日間、同社の女性向け恋愛コンテンツ「ネオロマンス」シリーズの15周年記念イベント「ネオロマンス 15thアニバーサリー」を「パシフィコ横浜」にて開催する。

これまでにも何度かファンを招いて行われてきた「ネオロマンス」イベントだが、3日間続けての開催は今回がはじめて。期間中は公演日ごとに異なるテーマを設定し、キャラクタソングやドラマ、愛のメッセージなどテーマに応じたロマンスを表現。出演声優陣は3日間で合計28人にものぼり(1回の公演につき16人が出演)、3日間それぞれ独自の公演内容で、キャラクタとのディープな恋愛を体感することができるとしている。

入場料はSS席8,800円(税込)、S席6,800円(税込)、A席4,800円(税込)。なおSS席はコーエーのインターネットサイト「GAMECITY」優先販売のみとなっているので注意してほしい。

コーエー、「夏休み! 親子で楽しむゲーム講座」を開催

http://www.inside-games.jp/article/2009/07/27/36590.html
コーエーは25日(土)、ゲームに興味を持つ小中学生の親子を対象とした「夏休み! 親子で楽しむゲーム講座」を、本社のある日吉は「いきいき会館」にて開催しました。社会貢献の一環で行われたもので、松原健二社長や『モンスター☆レーサー』の制作スタッフが登場し、ゲームの制作過程や、ゲームとよりよく付き合うためには? というテーマで子供と親の両方が楽しめるプログラムが進められました。

挨拶に立った松原社長は「コーエーは日吉で育ち、30年間かかって大きくなることができました。このような機会を通じて恩返しをしていきたい」とコメント。また、日吉本町西町の長会長である酒井氏からは「ゲームの正しい遊び方を学んで、良い付き合い方をしてください」と挨拶がありました。

続いて登壇したのはコーエーでニンテンドーDS向け『モンスター☆レーサー』のディレクターを務めた三枝修氏。「ゲームクリエイターの仕事紹介」として、プランナー、プログラマー、CGデザイナー、サウンドクリエイターの4つに分けて解説がありました。それぞれ『モンスター☆レーサー』の企画書や仕様書を見せながら、実例を挙げての紹介は分かりやすく、集まった子供たちを楽しませていました。一言でゲームクリエイターと言っても様々な職種がありますが、普段遊んでいるゲームがどのようにして作られるか、少し理解が深まったのではないでしょうか?

開発の規模についての話もあり、DSの『モンスター☆レーサー』の場合が26人程度であったのに対して、PS2とXbox 360で発売された『戦国無双2』の場合は75人という数字が紹介されると、会場からどよめきが起こりました。

最後に三枝氏は「もしこの中にゲームクリエイターになりたいと思った人がいたら、本を読んだり、映画を観たり、色々な場所に出かけたり、ゲーム以外にも色々なものを身に付けてください。そして、一番大事なのはコミュニケーション。ちゃんと話ができて、意志疎通のできる人。そういう人であれば立派なゲームクリエイターになれるでしょう」とコメント。未来のライバルにエールを送っていました。

続いては松原社長から、CEROのレーティング制度など、ゲームとの良い付き合い方についてお話がありました。

松原社長が提案したのは「おうちでゲームのルールを作る」こと。例えば、プレイ時間を決める、宿題が終わってから遊ぶ、1時間遊んだら15分くらい目を休める、といったことです。

また、CEROのレーティングについても説明がありました。挙手で聞いたところ、レーティングの認知度は半数程度。レーティングはゲームソフトの表現内容に対して審査を行い、対象年齢を定めたもので、パッケージに記載されています。また、内容の種類を表すディスクリプションアイコンも記載されています。松原社長は「家庭の方針や、"少し背伸びをさせたい"ということもあるので、親子で話し合って欲しい」と話していました。

授業で使われるゲームについても話がされました。コーエーの提供する『大航海時代Online』は、香川県の詫間電波工業高等専門学校の世界史の授業で用いられているそうです。学生は、ゲーム内でどんな歴史の出来事に立ち会ったかをレポートするそうです。そして、この授業では、受けた学生と受けなかった学生の間に明らかな成績の差があったそうです。松原社長は「今後もゲームは色々な事に使われていくのではないか」と話して講演を締めくくりました。

1時間ほどの講座の後には会場で『モンスター☆レーサー』を体験できたほか、お土産の中にはゲームソフトも入っていたようです。親子にとって有意義なイベントになったのではないでしょうか。コーエーとしてこのようなイベントを実施したのは初だということですが、来年以降もぜひ実施を期待したいですね。

コーエーテクモホールディングス 松原健二社長に聞く

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/04/36733.html
コーエーからコーエーテクモホールディングスへ・・・。4月に経営統合を果たし、新たに代表取締役社長に就任した松原健二氏は、ゲームメーカーの経営者であると共に、CESA副会長兼技術委員長として、CEDECを牽引するリーダーでもあります。

そんな松原氏に、同社の戦略を尋ねると共に、ゲーム業界全体としての問題意識や、CEDECに対する意気込みを伺いました。

―――唐突ですが、「夏休み! 親子で楽しむゲーム講座」はおもしろい試みでしたね。

ありがとうございます。コーエーとして初めての取り組みで、不安な点もありましたが、まずは声をかけて始めたんです。正直、準備に手間がかかりましたが、約100名の親子連れに参加いただけました。機会があれば、またやりたいですね。

―――CEROレーティングの説明が興味深かったようです。

マークは知っていても、表現規制の内容については、なかなか知る機会がありませんからね。ほんのさわりだけでしたが、説明して、関心を持ってもらえたようでした。CESAでも業界団体として、倫理面の取り組みについての説明は継続的に行っていますが、地方自治体向けが中心です。エンドユーザーに直接というのは、なかなか機会がないんですよ。こうした活動は、こつこつとやっていかないと、いけないでしょうね。

―――ゲームの表現規制が注目されています。

世界的に規制が強化されつつある雰囲気は感じます。もっとも、一般常識や社会通念が時と共に動くのは当然のこと。私たちとしては、テレビゲームが安心できるコンテンツだということを、どのように伝えていくかが課題です。レーティングも大事ですが、それ以外のメッセージアウトも大事です。

―――親子で決めることが重要ですね。

一番怖いのは、親御さんのゲームリテラシーの欠如です。自分のお子さんがどんなゲームを遊んでいるのか、ブラックボックスになると良くありません。お子さんの背中越しに、ちょっと画面を見てもらって。どんなゲームを、どれくらい遊ぶのが良いのか、親子で話し合ったり、ルール決めをしてもらう環境作りをして欲しいですね。欲を言えば、そこから親御さんにもゲームのファンになってもらえば良いんですが。

―――コーエーの社長になって2年たちます。

あっという間でした。社長業は正直に言って、まだまだ奮闘中です。自分のスキルという点でも、会社の方向性という点でも、目標レベルまで到達していません。

―――最大のトピックスは?

やはり、テクモとの統合でしょう。去年の今頃はかけらも意識していませんでしたが。

―――今はどういうフェーズですか?

4月に経営統合して、6月に両社の各事業を束ねる統合役員を決めました。現在は日常のオペレーションと中期経営戦略の作成、それからシナジー効果をいかに出していくか、この3点に取り組んでいるところです。年末をめどに新しい御報告ができると思います。日々業務を進めながら、進めているところです。

―――両社の合併まで踏み込む可能性は?

同じゲームソフト事業や、オンラインモバイル事業などをやっているのに、バラバラのままでは統合した意味がありませんよね。この事業をどうやってまとめましょうか、というところからスタートしています。事業同士の連携も、できるところから進めています。組織改変は、その次の話です。

―――両社で開発の棲み分けはありますか?

それぞれ得意な分野をのばして、補えるところはサポートしあうのが基本ですが、棲み分けは特に考えていません。両社を足しても売上規模で400億円くらい。今はどうやって二つをくっつけて、伸ばすかを考える段階で、棲み分ける余裕はないでしょう。

―――海外子会社については?

それは逆にやりやすかった。もともとテクモは販社をあまり持っていませんでした。国内はコーエーネットが扱っているし、アメリカだけは両社ありますが、ヨーロッパと台湾、韓国はコーエーのみ。そこで、まずイギリスにあるKOEI LIMITEDを、TECMO KOEI EUROPE LIMITEDに改変して、テクモブランドのタイトルを扱うことにしました。欧州第1弾として『NINJA GAIDEN Σ2』を発売します。

―――今後も規模の拡大をめざしますか?

2012年3月で売り上げ700億円をめざす計画です。世界同時不況で影響は受けると思いますが、北米も欧州も非常に高い成長率を保持しています。日本にいるからといって同じ規模に留まっていては、相対的に負けてしまい、生き残っていけません。その根底には、世界ナンバーワンのエンターテインメントコンテンツプロバイダーになるというビジョンがあります。スケールをある程度増やしていくことは今後も続くでしょう。

―――注力している市場はありますか?

日本市場はこの10年間、ゲームソフトの市場規模が3千億円前後と横ばいが続いてきました。これをもう一段、上に伸ばすことは、ハードウェアも含めた、ゲーム業界全体の課題です。かたやワールドワイドで見ると、アメリカは8千億円市場で日本の約3倍。ヨーロッパも10年前は日本と同じ規模だったのが、約2倍に成長しました。そのため現時点で言うなら、海外市場できちんとビジネスをしていかないと、生き残れませんし、ビジョンにも近づけません。もちろん日本市場がこのままで良いというわけではありませんが、海外市場の強化は大きなテーマです。

―――秘策はありますか?

いや、あったら教えて欲しいですよ(笑)。コーエーでも「新しい柱の創造」と「海外ブランドの確立」が数年来のキーワードで、挑戦を続けていますが、一朝一夕には難しいですね。一方でテクモは「NINJA」「DEAD OR ALIVE」など、海外の売上本数の方が多くて、コーエーとは全然違うビジネスをしています。ここはもっと伸ばしていきたいし、コーエーでもノウハウを吸収していきたい。

―――交流などはありますか?

もう始めていますよ。コーエーのタイトルを北米のテクモインクに評価してもらうなどは、その一例です。テクモタイトルをTECMO KOEI EUROPEで扱うことで、欧州のディストリビューターの評価を直接テクモ側に返すこともできるようになりました。さらに、その評価をコーエー側でも参考にしたり。海外ではどのようなゲーム内容や仕様にすれば喜ばれるのか。どんなマーケティングやプロモーションが求められるのか。両社をまとめることで、総合的な見地から、海外での売り上げを伸ばしていきたいですね。

■新興市場への取り組み

―――新興市場については、どう取り組みますか?

アジアは非常に成長している地域ですが、オンラインゲームが中心で、コーエーも既に進出しています。一方でテクモは「DEAD OR ALIVE」のPCオンライン版のサービスを、今年から中国と台湾で始めました。オンラインゲームは両社ともに力を入れている分野で、ここを中心にのばしたいですね。パッケージゲームもある程度伸びていますが、ゲーム機の普及台数や、海賊版の問題などで、コンソールがなかなかビジネスとして成立しません。オンラインゲーム重視で取り組んでいきます。他にロシア・東欧地域でも、パートナー企業を通して、PCゲームを数タイトル展開しています。規模は小さいですが、これから成長する市場です。

―――ダウンロード販売への流れを、どう見ますか?

完全にオンラインに移行することはないと思いますが、オンライン流通が増えていくのは時代の流れでしょう。音楽などでは先行していますよね。映像が伴うコンテンツでは、帯域の問題もあるし、音楽に比べると敷居が高いかもしれません。それにしてもデジタルコンテンツでオンライン流通が増えていくのは世界中の流れだと思います。ただし既存流通との割合は、まだ見通しが分かりません。

―――そうですね。

また日本・北米・欧州では市場の慣行やレギュレーションが異なるので、総じてオンライン流通に進むといっても、さまざまな違いは出てくるでしょう。オンライン流通と違って、既存流通では地域ごとに物流コストも違います。パブリッシャーから見ると、一番大変なのがヨーロッパで、次がアメリカ、最後が日本。地域ごとの違いを見ながら、各社さんも取り組まれると思うので、我々もそれに乗り遅れないようにしたいですね。

―――小売りの良さもあると思います。

ええ。絶対なくならないと思います。お店に出かけて商品を手に取るというのは、どんな分野でも、それ自体がおもしろいですから。本などはデジタルコンテンツにしやすいと思いますが、それで本屋が消滅するかと言えば、そうではないでしょう。ページをめくること自体がおもしろいですからね。だからデジタルコンテンツが、すべてオンライン流通になるとは思いません。親子でゲームを買いに行くなんてのも、小売りならではの良さですし。見て触って楽しめるという環境が、いろんなところであればいいですね。

―――iPhoneについては、どう取り組まれますか?

タイトルは未定ですが、今期中にリリースする予定です。私もiPhone 3GSを個人的に買ったばかりです。楽しいですね。メールや電話はあまり使ってないで、もっぱらゲームばかり。シンプルなゲームが多いという印象です。

―――iPhoneには個人で作っているゲームもたくさんあります。これらをビジネスに載せていくスキームは考えられませんか?

それは、すごく良い質問ですね。良すぎて、答えられません(笑)。考えてます、くらいにさせてください。

―――ゲーム開発が長期化することで、人材育成の難しさはありませんか?

確かに1タイトルの開発期間は延びましたが、移植版や派生版を作る場合は、それほど時間はかかりません。そこで、まずそうしたタイトルで経験をつんで、一通り技術を身につけてから、新作ラインに移るといったことは、これまでにも行ってきました。

―――はい。

ただし、全体的に長期化しているので、以前よりそうしたことが、やりにくくなっているのも確かです。そのため技術を底上げするための仕掛けを、進めていきたいですね。当社では大学の新卒採用が多いのですが、ゲームデザインやプログラミング、CGなど、求められるスキルが上がっているので、なかなか即戦力というわけにもいきません。現場での人材育成に加えて、人事としての研修制度といった、システマチックな取り組みが必要です。さらに、現在はコーエーとテクモで違うやり方をしているので、双方をまとめると共に、効率も上げていきたい。人事面での研修や育成は大きな課題ですよ。

―――人を育てるのは大変です。

ええ。しかし、非常に重要だと思っています。現在もコーエーでは、入社前にさまざまな課題を出しています。4月は研修期間で、5月に配属が決まると、現場でのOJTと共に、フォローアップ研修を要所で行っています。昇格時のマネージメント的な研修に加えて、技術面での研修もあります。各部門での講座なども定期的にやっています。もっとも仕事の場なので、100%教育効果を満たすものではありません。そうなると学校になってしまいますからね。むしろ、どうやって自分自身で勉強していく意識を植え付けるか。それには社内だけでなく、GDCやCEDECに参加するなどもあるでしょう。そうした機会や、場の提供はやっていますし、これからも続けたいですね。

―――御社ではCEDECを受講したいと手を挙げれば、誰でも参加できますか?

誰でも、ではありません。部門にもよりますが、まず希望者を募って、理由を聞いて、フィルタリングをかけます。「なんとなく行きたい」とか「会社の命令だから」なんて理由では、絶対に行かせませんよ。そうではなくて、こういう知識を習得したいだとか、ネットワークを作りたいとか、目的意識が明確な人に行かせます。やはり会社ですから、予算面の制限もありますし。自分が勉強したいという気にならないとダメです。

―――ゲーム開発はどこまで大きくなりますか?

これは我々が決められることではなく、お客様が何を望むかですよね。お客様はパッケージゲームであれ、オンラインゲームであれ、「何か新しいこと」を必ず望まれます。その頻度と量でコストが変わっていくわけです。さらに技術が進歩すれば、コストも上がります。企業側も効率化の努力をするのですが、みなさん競争だから、やっぱり上がるんですよ。少なくともPS3やXbox360とPS2では、開発コストが違う。一方でお客様は、もっともっと刺激が欲しい。際限がありませんよね。ですから最終的には、ユーザーのプレイ時間とゲームソフトの価格帯。この2つのボリュームゾーンで決まってくると思います。

―――あとはゲームユーザーを増やす努力が必要でしょうか。

そうですね。ただ、今後も技術ドリブンの面白さは出てくるし、インターネットによる面白さも加わってくる。ホントに、どこまで行くんだろうという思いです。映画でもハリウッドの大作タイトルだと、製作費が数百億円クラスのものがあります。ゲームでも大作は、映画レベル、もしくはそれ以上になるかもしれません。率先して開発費を増やしたいとは思いませんが、結果として増える方向に行くのではないでしょうか。

―――企業の社会貢献が求められる時代です。

社会貢献といっても、さまざまです。企業の成り立ちからいうと、きちんと利益を上げて、税金を納めること。当たり前ですが、これが企業としての一番の責務です。コーエーは利益率が非常に高い会社で、約30年間、貢献してきました。それ以外の、社員が実際に汗をかくという意味では、先日の「親子で楽しむゲーム講座」などがあります。また社員のボランティア的な活動の支援もしています。コーエーには社員のクラブ活動があり、自転車部が昨年、富士山のゴミ拾いをしたんですよ。それに対して会社が補助金を出しました。

―――それはおもしろいですね。

実際、さまざまな取り組みをしているんですよ。創業者が設立した、「科学技術融合振興財団(略称:FOST)」があり、広い意味でのゲーム研究をする大学の研究者に対して助成金を出しています。また少子化対策については、産休や育児休暇の制度をきっちり整えています。実際に産休から復帰して働いている女性も何人かいますよ。さらに今年から始まった制度として、社員の出産時のお祝い金を拡充しました。1人目を生むと10万円、2人目が20万円、では3人目以降だといくらでしょう?

―――ええっと、この前ニュースで拝見したんですが・・・。

200万円です。まだ今年の6月から始まったばかりなので、3人目の適用事例はないんですが。ただし、ゲーム会社として社会にどうやって関わっていくのか、真剣に考えていきたいですね。もちろん企業は収益を上げていくことが最も重要ですが、その中で少子化対策もあるし、地域貢献などもあります。優先順位をつけて、一番良い形で、さまざまな取り組みをしていきたいですね。

―――昨年は京都に開発拠点も設けられました。

まだまだ、始まったばかりです。ただし、すでに2タイトルの開発が始まっています。これから単身者向けの寮を作るところで、来春竣工になります。だいぶ環境が整ってきました。

―――ご自身の課題は何ですか?

コーエーテクモの統合を、もっと進めるために何をすればいいのか、毎日考えて実行に移すことです。ホントに毎日、そればかり考えています。もっとも実際は、調整仕事ばかりなんですが(笑)。あとはテクモの事業をすべて把握しているわけではないので、それを把握しないと。統括役員という意味では、私自身もオンラインモバイル事業と海外営業事業を担当しています。7月の頭にアメリカに行きましたし、来月はGamesConというイベントでドイツに視察に行きます。

■CEDECについて

―――CEDECについては、いかがですか?

会社統合が1番だとすると、CEDECは2番目くらい(笑)。今年は会場がパシフィコ横浜になって、大きな教室でゆったり聞きたいというご要望が実現できました。セッション数も150個に拡大しています。とはいえ、そのためのコストも増えているんです。CESAは営利団体ではないので、利益を上げるつもりはないですが、赤字になるとCEDEC自体が行き詰まる(笑)。だから内容の充実はもちろんですが、運営面も去年より良くしたいし、収益面もトントンくらいにしたい。ただ、今年はスタッフが非常にがんばってくれています。アドバイザリーボードも去年は約20名だったのが、今年は約40名になりました。毎月1回ミーティングをする以外に、個別ミーティングや、メールのやりとりを大変頻繁に行っています。CEDECアワードも今年で2回目となります。

―――基調講演の人選も多様ですね。

1日目が東大名誉教授の原島博先生。2日目が「機動戦士ガンダム」の富野由悠季さん。3日目が「ドラゴンクエスト」の堀井雄二さん。アカデミック系、ビジュアル系、ゲーム系とバラエティ豊かになりました。中でもアカデミック系にお願いしたかったんです。それで東大でコンテンツ創造科学産学連携教育プログラムの旗振り役をされて、今年の3月で退官された原島先生に、お願いに上がりました。

―――正直、驚きました。

ええ。原島先生のように、ゲームに近い分野で研究をされていた先生でも、ゲーム開発者にとっては、ほとんど馴染みがないし、研究内容も知らないと思います。なので、先生には自分の研究の紹介も含めて、コンピュータサイエンスやITとゲーム業界のかかわりなど、さまざまなお話をしていただく予定です。アカデミックとゲーム業界の関係を深めていく上で、大きなステップが踏めると思います。アカデミック系のセッション、CEDECラボも去年から始めましたが、今年も強化したいと思っています。

―――なるほど。

また2日目は富野さん、3日目は堀井さんですからね。どちらも、なかなか決まらなかったので、はらはらしていました。基調講演は去年の宮本茂さんもそうでしたが、みんなが関心のある内容にしていきたいですね。

―――学生向けのイベントも増設されました。

業界研究フェア「ゲームのおしごと」ですね。先ほどもアカデミズムとの連携と言いましたが、CEDECラボの対象は、研究テーマとしてゲーム業界に関心を持っている方です。それに加えて、自分の仕事の対象として、ゲーム業界について知って欲しいという意味で企画しました。IT業界という意味でも、ゲームのプログラマーはシステム系のプログラマーやSEと比べると、やはりニッチです。そうなると情報が埋没してしまうのではないか、という問題意識がありました。基調講演に加えて、セッション総数が30個という規模にする予定です。こちらは入場無料で、約1000名くらいの方々に来て欲しいと思っています。

―――業界初のイベントですね。

ええ。これが成功すると、来年度は学生向けにCEDECのディスカウントなども考えられる。もしくは学会との連合シンポジウムなどを、CEDECの一部でやってもいい。そんな風に広げられます。

―――CEDECも技術だけでなく、たとえば純粋にアーティスト向けのセッションなどもあるといいかなと思います。参加者も増えて、属性も広がるのではないでしょうか。

もともとCEDECは「技術戦略説明会」が前身で、今でも業界的にプログラマー向けのイベントというイメージがあります。もっとも、ビジュアルアーツやゲームデザインのセッション数の割合も増えていますよ。ただし数だけではなくて、質も重要ですよね。確かにビジュアルアーツだと、モーションデザイナーやテクニカルアーティスト系のセッションが多く、キャラクターデザインなど、純粋にアーティスト向けのセッションはそうは多くないかもしれません。

―――ええ。そこがもったいないかなと。

ただ、これは国際化という側面ともリンクするのですが、日本の開発者が講演することで、メリットとデメリットがあります。というのも、日本では自分自身の開発経験だけを話されるクリエイターが多いんですね。一方でGDCでは、経験談もありますが、そこから一歩引いて、聴講者が自分の仕事に応用できるような、汎用性のある話も聞けるんです。もちろん、汎用的な話だけでは学校の講義になってしまうので、要はそのバランスですよね。これはCEDECでも、かなり意識しているところです。その中でも、プログラム面ではかなりバランスが取れたセッションが、増えてきたのではないでしょうか。

―――なるほど。

しかし、私の理解で言うなら、ゲームデザインやビジュアルアーツなどでは、もう少しコンテンツよりの話が多い。汎用性という意味では、やや課題が残るのではないでしょうか。クリエイターが「このように作りました。なぜなら、自分がそう作りたかったからです」という話だけにとどまらないようにしないと。これはCEDEC自身の質と量を上げていく中で、解決していく問題だと思います。

―――プログラム分野でも5~6年前は、まだまだだった気がします。それが、続けていくことでレベルが上がってきました。

その意味で、刺激にして欲しいのがCEDECラボです。アカデミックの領域では、当然ながら汎用性の高いテーマで話されます。このセッションを受講することで、講義内容に刺激やヒントが受けられるのではないでしょうか。それがCEDEC全体の底上げに繋がればとも思います。

―――最後にゲーム業界の経営者に対して、CEDECのメリットを伝えるとしたら? ご自身も経営者でありながら、CEDECの旗振り役をされていますね。

経営者の使命は、当然ながら自社を成長させることです。それには良いタイトルを作ることが重要で、そのためには開発者の育成が欠かせません。そのためにCEDECに参加することは、ものすごく価値があると思います。もし経営者の方で、CEDECをご存じない方がいらっしゃったら、この機会に、まずご自身で参加されてはいかがでしょうか。そのうえで、自社の優秀な社員の方々を、発表者としても、聴講者としても、送り出していただければと思います。

―――とはいえ、まだまだ浸透しているとは言えません。

経営者の立場でいうと、発表することで危惧されるのが、自社のノウハウの流出でしょう。しかし結論からいうと、出した情報以上のメリットは必ず得られます。もちろん、これは自社の全ての秘密をさらけ出せ、という意味ではありません。そうではなくて、聴講者の役に立つように、ある程度一般化、抽象化した形で話してください、ということです。本当に秘匿しておきたいことは、オープンにしなくても良いのです。これは、どんなシンポジウムでも同じことです。

―――なるほど。

そして、そのことによって、会社に対する評価も上がります。社員が講演することで、フィードバックが得られたり、ネットワークが広がるといった直接的な効果もあるだろうし、そうした活動をする会社なんだという認知が広がって、IRやリクルーティング、さらには社員の意識向上にも結びつくと思います。そもそも、これだけゲーム開発の進化が激しい中で、自社だけで情報を閉ざして進めることは、大企業であっても難しいのではないでしょうか。それよりも、さまざまな課題をオープンにして、互いに話し合うことが、解決策を導くことになると思うのです。これは残念ながら、日本よりも欧米の方がやり方がうまいと感じます。これを日本でも進めようというのがCEDECです。

―――そうですね。

CESAでは、東京ゲームショウとCEDECを、二本柱のイベントとして育てていく意識が共有されています。CEDECについても、各社の研究開発のトップの社員をボードメンバーとして、出していただいています。それだけCEDECの重要性は浸透しているんです。もちろん中小の開発会社の中には、予算や業務面で難しかったりされる場合があるかもしれませんが、それは各社でご判断いただければと思います。CEDECで話したり、聞いたりすることで受ける刺激の数々は、他では得られない価値があります。だから、ぜひご参加ください。

―――ありがとうございました。

「コーエーとテクモにとって『戦国無双3』は大きな意味を持つ」・・・Wii『戦国無双3』発表会レポート(1)

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/05/36758.html
コーエーは、昨年10月の任天堂プレスカンファレンスの席で衝撃的に発表したWii向け『戦国無双3』について記者発表会を本日午後14時より東京丸の内の丸ビルホールにて開催しました。待望のシリーズ最新作ということもあってプレス・流通関係者など多数の来場がありました。

一番最初に登壇したコーエーテクモホールディングスの松原健二社長は、4月に統合したコーエーとテクモの使命として「世界一のエンタテイメントコンテンツの発信」を挙げ、このことにとって「最初の年にリリースする『戦国無双3』は大きな意義を持っている」とコメント。「発表会で、私たちがこのタイトルに賭け、一丸となって開発してきた、意気込みを感じとって欲しい」と挨拶しました。

続いてコーエー専務執行役の杉山芳樹氏は「『戦国無双』は2004年に第一作目をリリースして、いきなりミリオンセラーという評価をいただいたタイトルで、2006年には2作目をリリースしました。流れでいけば3作目は去年発売されるはずだったのですが、新しいハードに注力するということで1年置いて今年の登場になりました」とコメント。Wiiを選んだのは、「一番売れているハードで、多くの人に遊んで欲しいから」という理由と「開発現場にWiiをやりたいという思いが強かった」という2つの理由を挙げました。そして「Wiiを代表するゲームと言われたとき『戦国無双3』と言われるようにしたい」と意気込みを語りました。

ここでシリーズを振り返り、最新作へと続いていくプロモーション映像が上映された後、本作のプロデューサーを務める鯉沼久史氏が登場します。鯉沼氏は、シリーズコンセプトである「一騎当千のそう快感」を踏襲しながら「Wiiで始める一騎当千」というタイトルのコンセプトを説明しました。クラシックコントローラー(PROも)などに対応する従来の操作方法を使った本格的なアクションで、シリーズの特徴でもある、「敷居が低く、奥が深い」という特徴も踏襲するとしました。

さらにセールスポイントとして「戦国乱世をつなぐ武将たちの絆」を掲げ、3つのシナリオで過去最大のボリュームとなることを説明しました。シナリオは、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康による「戦国の三傑ストーリー」、戦国時代前半の武田信玄・上杉謙信らによる「関東三国志」、加藤清正・石田光成・直江兼続・真田幸村による「関ヶ原若武者ストーリー」の3つです。

キャラクターもプレイアブルで35人以上。新キャラクターとしては黒田官兵衛、甲斐姫、加藤清正が登場。真田幸村、石田光成、直江兼続といった過去に登場したキャラクターもアクションやイラストが一新されています。キャラクターたちがどのような活躍をするのか、発表会では余り触れられませんでしたが、期待が膨らみます。

コーエーテクモ 第1四半期業績を発表・・・メディア・ライツ事業など好調2009年8月6日(木)

http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=219
コーエーテクモホールディングスの発表した平成22年3月期 第1四半期業績は、売上高が69億7000万円、営業損失が5億1900万円、経常損失が1億9300万円、純損失が1億0200万円と市場の低迷を反映した結果になりました。

ゲームソフト事業では、『真・三國無双5 Empires』(PS3/Xbox )を世界で発売し好調だったほか、日本国内では『楽勝!パチスロ宣言6』(PS2)が堅調でした。また、昨年国内で発売した『ガンダム無双2』(PS3/PS2/Xbox360)や『真・三國無双 MULTI RAID』(PSP)が海外で発売され、好評でした。ただし、主力タイトルが下期になるため、開発費が先行し、売上高44億1500万円、営業損失5億1700万円という結果でした。

オンライン・モバイル事業はPS3として初の3D・MMORPG『大航海時代 Online ~Cruz del Sur~』を発売したほか、中国では『DOA ONLINE』の正式サービスが開始されています。第2四半期以降も『DOA ONLINE』『三国志 Online』の台湾でのサービス開始など、積極的な海外展開を進めていくとのこと。モバイルコンテンツでもiPhone向けに初めて3タイトルのアプリを投入するなどの展開を行っています。売上高は11億0600万円、営業損失1億1400万円という結果でした。

その他の事業ではTVアニメ「金色のコルダ ~secondo passo~ 第2楽章」などが好評を受けたメディア・ライツ事業や、パチスロ機向け液晶画面ソフト「Rio2 クルージング・ヴァナディース」、パチンコ機向け液晶画面ソフト「CR笑ゥせぇるすまん」をリリースしたSP事業が好調でした。

通期の業績予想は修正せず、売上高430億円、営業利益74億円、経常利益84億円、純利益47億円を見込んでいます。

コーエーがベトナムに子会社を設立-開発費の高騰に対処

http://www.inside-games.jp/article/2009/08/06/37013.html
コーエーテクモホールディングスは、コーエーがベトナムの首都ハノイに子会社を設立すると発表しました。

先日行われた取締役会で決議されたもので、社名は「コーエーテクモ ベトナム」で設立は今年9月を予定。資本金は50万ドル(約5000万円)でコーエーが100%の出資を行うとのこと。事業内容は「ゲームソフトの開発」とされています。

設立の理由に関してコーエーは「開発費の高騰」を挙げており、「グローバルベースでの開発効率の最適化及び費用低減を一層推し進めることが必要」としています。ベトナムである理由に関しては、若年層がアニメなど日本文化に馴染みがあることを挙げています。

開発費をいかに抑えるかは現在のゲーム業界の大きな課題の一つ。海外に子会社を作るという今回の試みがどのような結果となるか、注目すべき事例なのではないでしょうか。

【CEDEC 2009】『大航海時代 Online』の運営戦略、そして次のステージへ

http://www.inside-games.jp/article/2009/09/03/37452.html
コーエーのMMORPG『大航海時代Online』、その運営は山あり谷ありといったものだったようです。

コーエーの渥美貴史氏は『大航海時代Online』の運営プロデューサーを担当。ゲームの特徴は「定額制」(月額制)であり「大航海時代を舞台として」おり、「戦わなくて良い」ものであると解説します。

これまでのアカウント数の累計は34万人。そこから製品版へ移行したアカウントは11万6000人、現在の課金有効アカウントは3万2000人(いずれも2009年7月末現在の数値)。新規登録数も順調に伸び、現在の課金有効アカウントは「サービス開始以来最大級の会員数」(渥美氏)であるとされています。

渥美氏は『大航海時代Online』を運営時期からいくつかのテーマに分類、そのそれぞれを解説していきます(各時期のタイトルは氏によるもの)。

■第1期 出航(2005年3月~8月)

企画書に書かれた「海域を区切ってのアップデート」「ソロプレイの楽しさ」「スキルによる成長システム」などを実装でき、正式サービスのスタート直後にアップデートを毎月行ったにも関わらず「会員数は徐々に減少」(渥美氏)。アップデートはオープンβテスト(正式サービス開始前に、誰でも参加できるテストプレイ)に実装されたコンテンツをブラッシュアップするためのものであったといいます。

■第2期 嵐の国内運営(2005年9月~2006年3月)

前述の会員数減少と海外対応が重なった「非常に苦しい時期」(渥美氏)。なぜ会員が減ったかに関して仮説を立て、アンケートによって客観的な裏付けを取ることで立て直しが計られました。

離脱の原因を「コンテンツのやり尽くしによる離脱」「効率的な方法が発見されてプレイスタイルが硬直化」「プレイヤーどうしの海賊行為による離脱」と仮定。離脱したプレイヤーを対象にアンケートを取ったところ、前者二つがより深刻であるとする結果が出ました。プレイヤーが望む拡張について意見を集めたところ、「非常にソロ志向」かつ「競争要素のニーズは高くない」(渥美氏)という方向性が出たため、短期・中期・長期的なコンテンツを追加。ここでは費用対効果を優先することも重要であったといいます。

また、出航後にすぐに帰還することで交易品の購入や投資、クエストを有利に行う通称「ブーメラン」に関しては、単調でプレイの硬直化を生んでいたことからこれを無くす方向に。「代替手段を提供」「簡単なブーメランの防止」という対処の順番が重要であり、修正を受け入れてもらうためにもこれが逆であってはならないとする見解を明らかにしました。

■第3期 初の拡張パックと体制変更(2006年4月~2007年3月)

ゲーム開発と運営を分離するという新体制がスタート。この二つが兼任されていたため、繁忙期が重なることでクオリティが低下。拡張パック『La Frontera』では「調整や仕様の変更に失敗」したことが原因で評価点が大幅にダウンしたとされています。

これに対応するため、運営側に検収班を設置。新コンテンツをテストし、改良すべき点を「是正勧告」(アドバイス)として提出する仕組みを作りクオリティをアップさせたといいます。また「冒険」「商人」「ソロ」「グループ」などプレイスタイルの視点でも評価、今回のアップデートでフォローが薄かったプレイスタイルを次回でフォローするといったことも行われたそうです。検収班の効果は評価点のアップという形で現れたと渥美氏は語りました。

■第4期 新たなる挑戦(2007年4月~2009年3月)

この時期は気軽にゲームを楽しめる「Liteチケット」が導入され、韓国版が定額制からアイテム課金制へ転換。開発と海外現地運営との間を「運営支援」が取り持つスタイルとなりました。運営支援は現地のニーズを整理して開発へ届けると共に、現地運営とのコミュニケーションを定型化。担当者が変わっても問題のないシステムが構築されました。また、韓国版は日本版とは別仕様となるため、今後は「日本版との同一性をいかに守り、捨てるかという取捨選択」の視点が必要となりました。

国内では体験版から製品版に移行する人が減少しましたが、安価な「Liteチケット」を試験的に導入することで「課金転換率が大幅に回復」。これを恒久的な制度とすると同時「新施策は導入して終わりではない」という考え方の元に検証が行われたとのことです。

■第5期 ジパングを目指して!(2009年4月~)

2009年4月に発表されたプレイステーション3版の効果は「退会率の抑制」「帰参者の増加」「Windows版の新規参入者の増加」であったといいます。
新たなプラットフォームからの参入者で世界が賑わうことでゲームを止める人が減っただけでなく、これをきっかけとしてゲームに帰ってくる人も増加。また、プレイステーション3版の新発売で露出が増えたことにより、Windows版の会員も増えるなど、プラスの影響は多角的なものであったとのこと。家庭用ゲーム機版はどのオンラインゲームでも取れる戦略ではないものの、機種を越えて互いに影響を及ぼしている辺りは興味深い現象といえるでしょう。

「評価点の低下」や「会員数の減少」といったネガティブ要素も率直に公開された今回の講演、特に「ブーメラン」関連は物議を醸しただけに当時を知るプレイヤーとしては懐かしいところではないでしょうか。アンケートの重要さも改めて浮き彫りにされたのが印象的でした。なお、渥美氏によれば、東京ゲームショウでは次期拡張パック『El Oriente』の陸戦要素がプレイアブル公開されるとのことで、ファンとしては続報に期待といったところでしょう。

Wii『戦国無双3』発売日11月19日に決定!和風テイストなクラシックコントローラPRO同梱版も発売に

http://www.inside-games.jp/article/2009/09/03/37465.html
コーエーは2009年9月3日(木)、Wii向けタクティカルアクション『戦国無双3』の発売日を正式発表しました。

『戦国無双3』は、シリーズ最新のタクティカルアクション。シリーズ伝統のアクション「通常攻撃」「チャージ攻撃」「特殊技」「無双奥義」などを駆使して闘いますが、本作ではあらたに画面左下に「練技ゲージ」が追加され、豪快な新技が繰り出せます。

注目の発売日は「2009年11月19日(木)」に決定。またオリジナルデザインのクラシックコントローラPROと『戦国無双3』ソフト本体を同梱した「特製クラシックコントローラPROセット」、さらに冊子やCDやミニフィギュアが同梱の「TREASURE BOX」も同時発売されることが発表されました。特製コントローラは、黒字に金の筆致をあしらった、和風テイスト溢れる仕上がりとなっています。

ソフトのみの通常価格は6,800円 (税込7,140円)。『戦国無双3特製クラシックコントローラPROセット』が8,300円 (税込8,715円)。さらに秘伝攻略法+設定画集、オリジナルサウンドトラックCD、ミニフィギュア(甲斐姫)も同梱された『戦国無双3 TREASURE BOX』が11,300円 (税込11,865円)となっています。

(C)KOEI Co., Ltd. All rights reserved.

コーエーテクモHD『北斗無双』発表で株価前日比17%高に・・・朝刊チェック(10/15)

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/15/38197.html
日経産業新聞20面「コーエーテクモHD、人気マンガゲーム化で株価上昇」
コーエーテクモホールディングスは14日、人気マンガ「北斗の拳」をテーマにした新作ゲームを発表しました。主力の「歴史もの」以外でも積極的にソフトを展開する姿勢を示し、14日の終値は前日比17%高の784円でした。「名作をゲームにできて興奮している」とコーエーテクモHDの松原健二社長がコメントしました。ゲーム名は『北斗無双』でプレイステーション3とXbox360の2機種で2010年発売予定。

日刊工業新聞11面「携帯ゲーム情報サイトソネットが開設」
ソネットエンタテイメントは携帯電話向けゲームの情報サイト「一撃!アプリマニア」を15日に開設しました。携帯専用サイトとして運営し、大手携帯キャリア3社の端末から無料で利用出来ます。5000本を越えるタイトルからジャンルなどを検索できる機能も提供します。

コーエーテクモ、米国販売2社を合併に・・・朝刊チェック(10/28)

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/28/38449.html
日経産業新聞4面「コーエーテクモ、米2販社を来年1月に合併」
コーエーテクモホールディングスは27日、米国販売子会社2社を2010年1月1日付けで合併すると発表しました。販売組織を一元化し、効率的な体制を敷く狙いです。合併する販売会社は「コーエーコーポレーション」と「テクモインク」。合併後は「テクモコーエーアメリカコーポレーション」になります。

日経産業新聞4面「mixiアプリ携帯版を提供開始、ゲーム100本公開」
ミクシィは27日、外部のコンテンツ事業者が提供したゲームなどを会員が利用できるサービスの携帯電話版を開始しました。育成型ゲームなど会員同士が交流できるコンテンツ約100本を公開。利用が拡大している携帯電話版の投入で、会員数の増加や課金モデルの構築を進めます。

日経流通新聞6面「タカラトミー、乗れるチョロQ新商品のPR用に開発」
タカラトミーはタレントの所ジョージさんがデザインを監修した実車大の「チョロQ」を幕張メッセで開催中の「東京モーターショー2009」で公開しました。ガソリンや電気を使用せずにゼンマイの力で動く仕組みで、人が乗っても実際に運転することが出来ます。これで11月28日に発売する「チョロQ ポンコチックシリーズ」の発売前に知名度を高めます。

コーエーテクモ、業績予想を上方修正2009年11月2日(月)

http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=593
コーエーテクモホールディングスは平成22年3月期第2四半期の業績予想を上方修正しました。

それによれば、売上高150億円(修正前 140億円)、営業損失7億円(16億3000万円)、経常損失3億5000万円(14億3000万円)、純損失4億円(13億8000万円)となっています。

上半期は『真・三國無双5 Empires』(PS3/Xbox360)や『NINJA GAIDEN Σ2』(PS3)の販売が好調だったほか、旧作のリピート販売も堅調でした。また、「ネオロマンス15thアニバーサリー」も過去最大の観客動員数でした。さらに、グループ全体としてマーケティング活動や購買活動の統合を行い、コストの削減に務めたということです。

通期の業績予想は据え置いています。

コーエーテクモホールディングスQ2業績・・・主力タイトルが揃う下期に期待2009年11月10日(火)

http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=635
コーエーとテクモが合併してから最初の期となる、コーエーテクモホールディングスは平成22年3月期第2四半期業績を発表しました。

それによれば、売上高152億6400万円、営業損失6億4100万円、経常損失3億4900万円、純損失4億1500万円となりました。主力タイトルが下期に集中しているため先行投資が発生しているほか、経営統合に伴うのれんの償却費が計上されていることから損失を計上する結果となりましたが、数字自体は当初予想を上回る水準で推移しています。

ゲームソフト事業では『NINJA GAIDEN Σ2』が37万本を販売し、シリーズで400万本を突破。Windows向け『信長の野望・天道』も順調でした。海外では『アンデッドナイツ』を先行発売したほか、『無双OROCHI 魔王再臨』などのリピート販売も好調でした。しかしながら、主力タイトルが上期に予定されているため開発費が先行し、売上高96億1400万円に対して営業損失8億3900万円という結果でした。

その他の事業では、新作の投入を予定しているオンライン・モバイル事業が開発費先行で営業損失を計上したほかは、過去最大の動員数を記録した「ネオロマンス15thアニバーサリー」を開催したメディア・ライツ事業、パチスロ/パチンコ機向け液晶画面ソフトをリリースしたSP事業、共に好調でした。また、アミューズメント施設運営事業も不採算店舗の閉鎖や合理化を通じて黒字を確保しています。

通期の業績予想は売上高430億円、営業利益74億円、経常利益84億円、純利益47億円を据え置いています。

コーエーテクモ、中間持株会社コーエーテクモゲームスを設立

http://www.inside-games.jp/article/2009/12/14/39366.html
コーエーテクモホールディングスは、来年4月を目処に、傘下のコーエーとテクモ及び海外の開発子会社6社の上に、ゲーム事業を統括する中間持株会社コーエーテクモゲームスを設立する組織改編を行うと発表しました。

同時に、現在はコーエー傘下のゲーム流通を担うコーエーネットをコーエーテクモネットとした上でホールディングスの直下に、現在はテクモ傘下でアミューズメント施設運営のテクモウェーブをコーエーテクモウェーブとした上でホールディングスの直下に置きます。それぞれの傘下にある海外販社もホールディングスの直轄となります。

コーエーテクモゲームスはパブリッシャー機能(事業推進、広報宣伝、デザイン制作、業務機能等)、ゲーム開発における共通機能(技術研究、CG制作、BGM制作、マニュアル制作、海外開発、品質管理等)、攻略本出版事業を担当し、傘下のコーエーとテクモはゲームソフトの開発、オンラインゲーム・モバイルコンテンツの開発・運営に特化します。

コーエーテクモウェーブでは、グループのメディア・ライツ、スロット・パチンコ、アミューズメント施設運営の機能を統合します。コーエーテクモが保有する資産を幅広い分野に活用していく中心的な役割を果たすことになります。なお、現在テクモウェーブにはテクモ以外の少数株主がいますが、100%子会社化が行われる予定です。

コーエーテクモネットでは、国内の営業・販売統括を行います。既にテクモ商品でもコーエーネットでの流通を行っているとのことです。

加えて、グループの総務・人事・財務経理、情報システムをホールディングスに統合、さらなる効率化とコスト管理を徹底化していくとしています。

テクモ、オンラインゲーム『BASTARD!! -ONLINE-』開発中止を発表

http://www.inside-games.jp/article/2009/12/18/39480.html
テクモは、兼ねてより開発中だったオンラインゲーム『BASTARD!! -ONLINE-』の開発を中止することを発表しました。

『BASTARD!! -ONLINE-』は、「BASTARD!!」らしい魅力あるオンラインゲームをユーザーに届けるべく開発を進めていましたが、予想以上の開発時間を要しても完成のメドが立たず、今後の見通しを勘案した結果プロジェクトを中止に決定。

テクモは「サービスを心待ちにしていた皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともに、これまで『BASTARD!! -ONLINE-』をご支援いただいたことを心よりお礼申し上げます」とコメントしています。

【SIGGRAPH ASIA 2009】ゲーム開発の現場で今何が起きているのか―大手メーカーの技術担当者が議論

http://www.inside-games.jp/article/2009/12/22/39541.html
パシフィコ横浜で開催されたシーグラフアジア2009で17日、社団法人コンピュータエンタ-テインメント協会(CESA)はスペシャルセッション「日本のビデオゲーム開発の現場で今何が起きているか?」を実施しました。ステージではCESA副会長で技術委員長の松原健二氏(コーエーテクモホールディングス社長)ら、CEDECのアドバイザリーメンバーが登壇し、日本のゲーム産業におけるビジュアルアーツの最新動向を紹介。主な聴衆であるCG研究者に産学連携を呼びかけていました。

シーグラフアジアの本家である米シーグラフは「CGとインタラクティブ技術の祭典」とも呼ばれており、特に近年では後者の比重が高まっています。中でも日本はゲーム大国ということもあり、「シーグラフアジア2009」でもゲーム関連のセッションが目立ちました。ただし、欧米のゲームシーンのように産業とアカデミズムの風通しが、必ずしも良くないのも事実です。今回のセッションはそうした状況を払拭するかのように、まずはゲーム業界側から学術関係者に向けたプレゼンテーションとも言うべき内容でした。

トップバッターとなったのは、CESA副会長でCEDECの旗振り役でもある松原健二氏。松原氏は最新の市場データを示しつつ、PS3とXbox360をあわせた販売台数では、日本と欧米の差が9倍に開いている現状を紹介。ハイエンドゲーム機向けの市場では、完全に欧米中心であることを示しました。また日本と欧米の違いとして、欧米では技術性の高いゲームが好まれることと、リアル性の高いグラフィックや人間らしく振る舞う敵キャラクターなどが好まれるとことを解説しました。そして業界全体での技術レベル向上の向上として、CEDECについて紹介しました。

欧米市場の伸びは一目瞭然ハイエンド機は欧米中心だ
SIGGRAPH ASIA 20091.jpgSIGGRAPH ASIA 20092.jpg

続いて登壇したのはバンダイナムコゲームスの斉藤直宏氏です。斉藤氏は国産ゲームのビジュアル表現の流れについて、歴史と背景、技術潮流、現在のトレンドについて語りました。

歴史的に見ると日本の3Dゲームは、まず業務用が牽引し、次いで家庭用に受け継がれていった経緯を持ちます。旧セガの「バーチャファイター」と旧ナムコの「リッジレーサー」シリーズなどは、その好例です。その後PSが登場し、RPGなど家庭用ならではのゲームジャンルでも3Dゲームが主流となり、「FF VII」に見られるようなレンダリングマップ上で歩き回る3Dキャラクターなどの表現が流行しました。

技術潮流として説明されたのが「ビジュアルアーツのテクニック」「データ圧縮」「事前計算」です。ビジュアルアーツで重要なのは、あくまで「格好いい絵を作ること」で、しかも少ないデータでそれ以上の表現をすることが必要です。またゲーム機という限られたメモリ上では、データの最適化と圧縮が必須となります。またリアルタイムにすべて表現するわけにもいかず、モーションデータやビジュアルエフェクトなど、事前計算されたデータを逐次読み出して使う、という処理も必要になります。

その上で現在のトレンドは「フォトリアリステック」「アーティスティック」「他メディアで価値の確定された表現」だとしました。「フォトリアリスティック」は欧米のゲームシーンで主流で、国産では「メタルギアソリッド4」などが上げられます。「アーティスティック」の例は「ICO」「大神」などで、ゲーム機の性能向上と共に可能になり、日本ならではの表現として、クリエイターから高い注目を集めています。最後の「他メディアで価値の確定された表現」は、アニメ原作などの例があげられます。

この「アニメ原作」の例を実験的なゲーム映像と共に紹介したのが、「ドットハック」「NARUTO-ナルト-」シリーズなどを手がける、サイバーコネクトツーの松山洋社長です。松山氏はPS3版「ナルティメットストーム」を開発するにあたり、社内で実験用に開発したゲーム映像「NARUTO-ナルト-CINEMA 4D」のデモを披露しながら、インタラクティブならではのゲームメディアの特徴を解説しました。

松山氏が紹介したのは、「ナルティメットストーム」の守鶴戦を題材にしたインタラクティブムービーです。リアルタイム3Dでバトルアニメーションを再生しつつ、ボタン操作でカメラアングルを切り替えたり、ザッピング演出などで立体的な映像体験が楽しめます。また2Dアニメの誇張した演出を、3Dでどのように表現しているかが一目でわかる「種明かしカメラ」が搭載されているのもポイントです。

続いて登壇したのはKONAMIの植原一充氏で、日本のゲーム開発シーンとシーグラフとの関係について紹介しました。

最初に植原氏は、日本のゲーム業界の技術開発がアーケードとコンソール中心で進み、PCベースでの技術開発が傍流となっていた経緯について紹介しました。そのため1900年代初等までは、2Dのスプライト表現が主流だったこともあり、ほとんどのゲーム開発者にとってシーグラフは無縁の存在でした。

これが1990年代後半になると、まずプリレンダームービーの品質向上のために、シーグラフへの参加が目立つようになりました。続いて2000年代中期になると、積極的にシーグラフの論文をゲーム内表現に取り入れる例が増えていきます。そしてPS3・Xbox360においてはシェーダの活用が前提となり、シーグラフの論文などを読みこなさなければ、競争力のある画像表現が不可能な時代となりました。

この具体例について解説したのが、バンダイナムコゲームスの今給黎隆氏です。例として上げられたのは「リッジレーサー6」「塊魂」「のびのびBOY」「ワンダと巨像」「ソニック ワールドアドベンチャー」「メタルギアソリッド4」「PixelJunk Shooter」です。例として「リッジレーサー6」では双方向反射率分布関数(BRDF)やダイナミック環境マッピングといった、シーグラフで発表された論文を元にした技術が、ゲームに適した形に応用して実装されています。他のタイトルについても同様です。

最後に登壇したスクウェア・エニックスの吉岡直人氏は、「会社の戦略とは関係ないが」と前置きした上で、10年~20年先の未来という視点で、ゲームのビジュアル表現と最先端研究の関係についてビジョンを提示しました。吉岡氏自身もSERC(SquareEnixResearchCenter)のチーフテクノロジストとして、次々世代の技術リサーチを担当しています。

吉岡氏はまず、ゲーム機のハードウェアから歴史をひもとき、ゲーム機を構成するアーキテクチャがどんどん複雑になっている様子を示しました。そして玩具から生まれたゲーム機が、今やコンピュータサイエンスの実装が求められるようになっている現状を示し、今後もこの流れは加速していくと指摘しました。

続いて吉岡氏は近未来のゲームテクノロジーをグラフィックス、アニメーション、パイプライン、パフォーマンス、マンマシンインターフェイス、オーディオの6カテゴリに分類しました。その上でゲームは大衆娯楽で、限られたリソースの中でキチンと動作することが求められるため「cutting-edge(最先端)」ではなく「state-of-the-art(最新式)」のジャンルだと指摘。Believability(もっともらしさ、説得力)、Productivity(生産性)、Scalability(柔軟性、拡張性)の3点がポイントだとしました。

なお、セッションの最後にCEDEC2010の発表もありました。場所は昨年そしてシーグラフアジアと同じ横浜パシフィコで、日程は8月31日から9月2日まで。また講師の公募期間は来年3月31日までとのことです。。