プラチナゲームズ

Last-modified: 2010-10-30 (土) 01:53:56

http://www.platinumgames.co.jp/

NEWS

330 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 23:08:33 ID:1vkvZsZ10
真偽不明だがプラチナゲームス(元クローバー)が3本開発中で
セガから発売するらしい
ttp://sega-portal.de/blog/419/sega-schliest-publishing-vertrag-mit-platinumgames/
Bayonetta 機種不明
Infinite Line DS
MadWorld Wii

元記事はEurogamerだったようだが、なぜか消えている

337 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 23:58:31 ID:WMZqsEJ30
>>330
Kotakuにはまだ残ってた。

プラチナゲームズ(旧クローバー)がセガと協力
ttp://kotaku.com/5008698/sega-and-platinum-games-join-forces

パブリッシャーがセガで3本を開発する契約してるようだ。

・バヨネッタ(Bayonetta) 機種不明
 ディレクターは神谷。ジャンルは「魔女が天使と戦う」「スタイリッシュアクションゲーム」
 どうやら彼女の足には銃がついてるみたい。
・インフィニット・ライン(Infinite Line) DS
 SFRPG。宇宙船の艦長として、自分の船や乗組員をカスタマイズしてく。
・マッドワールド(MadWorld) Wii
 モノクロで血だけが赤いシン・シティのようなグラフィック。
 超々バイオレンス。死者がポストを誰かの頭に突っ込むように動く。
 右腕にはチェーンソー。

---
なんかこれかなりのシークレットっぽいから、すぐ消した気がする。

338 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2008/05/12(月) 23:59:43 ID:WMZqsEJ30
>>337
追記。
決算にもあったが、セガは外部クリエイターに依頼する方向で進めてるプロジェクトあるみたいだから、
それとも合致するな。

339 名前:名無しさん必死だな[sage] 投稿日:2008/05/13(火) 00:04:56 ID:YeFoU1B+0
セガが全面バックアップしろよ
アイデアがあっても金ないとろくなの作れんだろ

2007

元カプコン・クローバーの面々が集結、SEEDS株式会社

http://www.inside-games.jp/article/2007/02/15/20028.html

昨年10月頃にカプコンは開発子会社のクローバースタジオを解散し、在籍していた稲葉敦志、神谷英樹、三上真司といったスタッフはカプコンを辞めた、という風にお伝えしましたが、どうやら元クローバーの多くは大阪にSEEDS株式会社という会社を設立し、在籍しているようです。公式サイトが開設されています。

稲葉敦志。神谷英樹。三上真司。そして、選りすぐりのスタッフ達。

『バイオハザード』『デビル メイ クライ』『鉄騎』『ビューティフルジョー』『大神』といった色鮮やかな花を咲かせてきた種子たち(SEEDS)です。

新しい土壌に舞い降りた私たちですが、土が変わっても“遊び”を追求したいという心に変わりはありません。

いま、新たな気持ちでエンターテインメントの世界に大きな勝負を挑もうと思っています。 でも、それにはもっともっとたくさんの種が必要です。

そこで、私たちと『共に仕事をしてみたい』という人を広く募集します。これからの未来を築く人たち。いまどこかでゲームを作っている人たち。

私たちといっしょに、『めちゃくちゃ凄いゲーム』を作りませんか?

とのこと。現在、企画、プログラマー、デザイナー、サウンド、プロモーションという各職種の募集を行っています。名作を生み出してきた名クリエイター達が次にどのような"種"を生み出すのか、楽しみにしたいと思います。

社名 SEEDS株式会社
本社 大阪市北区梅田二丁目2番2号
   ヒルトンプラザウエスト オフィスタワー19階
設立 平成18年8月1日
業務内容 ゲームソフトの企画・開発
代表者名 稲葉敦志
スタッフ数 51名(平成19年1月現在)

プラチナゲームズ誕生―ODDとSEEDSが合併、元カプコン

http://www.inside-games.jp/article/2007/10/02/23956.html
元カプコンで『クロックタワー3』や『逆転裁判 よみがえる逆転』といったゲームを手がけてきた三並達也氏が2006年に設立したODDと、元カプコン、『ビューティフルジョー』や『大上』を開発したクローバースタジオの三上真司氏や神谷英樹氏や稲葉敦志氏といったスタッフが独立して設立したSEEDSが合併してプラチナゲームズが10月1日に誕生したそうです。

社名のプラチナには「劣化することなくその品質を保つことができる」という意味が込められており、ユーザーを裏切らない高いクオリティを保った作品・商品を供給していくという決意と熱意を表したものだそうです。今後は品質の高いオリジナルタイトルをメイドインジャパンとして世界に展開していくということです。

どのような作品が飛び出してくるか、名クリエイター揃いなだけに期待が高まります。

プラチナゲームズ株式会社
本社 :〒531-6109 大阪府大阪市北区大淀中1-1-30梅田スカイビル タワーウエスト9階
東京支社:〒106-0045東京都港区麻布十番2-14-11ルート麻布ビル5階
設立 :2006年2月
事業内容:家庭用テレビゲームソフトの企画制作
従業員数:70名(2007年10月時点)
代表者名:三並 達也

2009

『MADWORLD』開発秘話−「敵を殺すこと」と「笑い」を繋げるAI

http://www.inside-games.jp/article/2009/03/05/34011.html
注目作『MADWORLD』、その敵はどのように作られているのでしょうか。

プラチナゲームズの英語版公式Blogは「MADWORLDの敵たち」と題した記事を掲載。「敵を殺すこと」と「笑い」を繋げるための開発秘話が明かされています。

『MADWORLD』には敵を殺す様々なバリエーションが用意されており、「信じられないくらいにフレキシブルで自由なシステム」を搭載。

「例を挙げましょう。お金で一杯のブリーフケースを敵に投げると、敵は空中に舞ったお金を手に入れようとしてお互いに争うでしょう。そこにJack(ゲームの主人公)が近づいてチェーンソーをスイングすればどうなるでしょう?ガソリンで一杯のドラム缶を投げつけたら?これらのケースを列車に投げ込んだら?」と様々なリアクションがあることを紹介。

これらのリアクションを見ることで「あなたがすぐに笑うことを保障」するが、いかに敵を殺すことと笑いを繋げるかという点において、敵のAIが重要な働きをしているとしています。

敵は弱くしてあるが、その理由は「敵を殺すことが面白いゲームで難度を上げるのは面白くなくなることに繋がる」ため。そのかわり、敵をどのように殺すかで評価が変わるシステムを導入しており「AIが異なった反応や笑える反応を見せるかも知れないので、できるだけ多くのポイントをゲットすることに焦点を当てる」遊び方ができるようにされています。

もちろん、高い難度を好む人もいるため「grunt leaders」と呼ばれる強力な敵を用意。これには特殊なAIが準備されており、真剣なチャレンジを楽しむことができるようになっています。このゲームには大別して「grunt」「leader」「boss」の3タイプのAIが用意されており、ステージを遊ぶたびに様々な変化が見られるようになっていて、「私たちはあなたを忙しくすることを確認している」と締めくくっています。

先日公開された動画「MADWORLDスタジオツアー」では、お金に群がったり敵が倒されるのを見て笑ったりと「欲望丸出しの人間くさい挙動がAIとして盛り込まれている」というコメントが公開されていましたが、今回の記事で具体的なところがついに明かされた形。

ビジュアル面が注目されがちな『MADWORLD』ですが、屋台骨を支えているのは殺しと笑いを繋げるための確固たる設計思想である……といえそうです。

『MADWORLD』開発秘話−リモコンを振るとゲームのテンポが悪くなる?

http://www.inside-games.jp/article/2009/03/26/34410.html
無事に発売され様々なサイトで高評価を得た『MADWORLD』ですが、Wiiリモコンを振っての操作を導入するには様々な苦労があったようです。

プラチナゲームズの英語版公式Blogは「MADWORLD VS Wiiリモコン」と題した記事を公開しました。

『MADWORLD』ではWiiリモコンを回してジャイアントスイング、振り上げてアッパーカット、振り下ろしてチェーンソーの唐竹割り、横に振ってチェーンソーのなぎ払い……とリモコンの動作と連動したアクションを楽しめます。

こうした「ジェスチャーコントロール」は「開発中の最も大きな挑戦の内の一つ」であり、最終形に達するまでは長くハードな道のりであったと述懐します。
「ジェスチャーコントロール」を『MADWORLD』に導入する際の最も大きな問題はゲームのテンポが悪くなることであり、『マリオカートWii』のようにリモコンを横にターンさせるやり方も考慮されたが「これは早期に放棄された」とのこと。『BAYONETTA』を開発中の三上真司氏にも助言を求めたと言います。

こうした苦労の甲斐あって、プレイヤーの移動をヌンチャクに集約、Wiiリモコンにプレイヤーのアクションを担当させるという現在の操作形態が完成。更に敵にトドメを刺すための独自のジェスチャーが加えられたそうです。

操作の基本部分をボタンに割り振り、「ジェスチャーコントロール」をアクセントとして加えることによって『MADWORLD』は「良いバランスとなった」とのこと。
「操作はゲームの品質に影響を及ぼす。特にアクションゲームには重要であり、これはWii上のアクションゲームにも当てはまる」とWiiのアクションゲームでは操作性を重視すべきであるとの考えを明らかにしています。

「インサイダー情報」としてWiiリモコンを振るコツも解説されています。
全力でWiiリモコンを振ると腕が疲れるが、検知しているのはスイングされる角度なので、「フレイル(から竿)のように腕を振り回すまでやらなくていいから、ちょっと手首を弾いて行く手の敵をデストロイして欲しい。もちろん、Jack(主人公)的なキモチになってスイングするのは大歓迎!だけど部屋を破壊しないように気を付けてくれよな!」……とユーモア溢れるコメントで締めくくられています。

Wiiリモコンを振る動作と操作性を両立させ、ゲームをテンポ良く遊べるようにする。「ジェスチャーコントロール」の取り扱い、その難しさが分かる記事といえるでしょう。

【CEDEC 2009】セガ『ベヨネッタ』におけるアクションゲームの作り方

http://www.inside-games.jp/article/2009/09/07/37519.html
女性主人公、ハードでスタイリッシュなアクションなど個性的な要素を配し、発売前から話題となった『ベヨネッタ』。プラチナゲームズ株式会社の橋本祐介氏、西村栄治郎氏、齋藤健治氏はグラフィック面からのアプローチを語りました。

『ベヨネッタ』では流れるような操作性をテーマに、主人公の人並み外れた能力を描くために「魔女」というモチーフが採択されることになりましたが、そのデザインは相当に難航したとのことです。

主人公であるベヨネッタは「女性」「黒いボディ」「長髪」という三大要素を持ちますが、これが全てアクションゲームと相性が悪いものでした。女性は小柄であるためゲーム画面上では視認性が悪く、「魔女」モチーフ故の黒を基調としたボディがこれに拍車を掛け、特徴である長髪が身体にまとわりつくことが追い打ちに。橋本氏によればこれを解決するまでが「胃が痛い時期」であったといいます。

相性が悪いというので「魔女」のモチーフを変えるのではなく、デザイン面での工夫により解決が図られました。「手袋を白く」「手足を長く」「金のライン」「背中を露出」「銃は大きめに」「末端に記号的なもの」「髪は肘からなびかせる」といった改良により、「女性主人公」「魔女」という芯がブレることなく、メリハリのあるベヨネッタが誕生しました。

特に「長髪」はベヨネッタと他のキャラクターを差別化するポイント。キャラクターセクションのリーダーである西村氏によれば「髪の毛とはキャラクター性を構築する上で非常に重要なテーマ」とのことですが、その表現には試行錯誤がありました。

「人の髪の毛には切れ目がない」ことを表現すべく、「ポリゴンの短冊」を重ねる従来の方式を使用したものの満足行く結果は出ませんでした。そもそもポリゴンには厚みがないため、見る角度によっては量感が不足。隣り合うポリゴンの間に隙間ができたこともこの傾向を助長したといいます。

解決しやすい量感へのアプローチが行われ、「関節を持たせた髪の毛モデル」が使用されましたが、女性の髪特有のサラサラ感は出ませんでした。「試行錯誤の日々」(西村氏)の後、「関節を持たせた髪の毛モデル」はそのままに、テクスチャを操作することでサラサラ感が表現されました。髪の房どうしの距離により4種類のテクスチャを切り替え、そのアニメーション速度を変えたのです。

髪の房どうしの距離が遠ければ髪がなびいており、髪の毛の密度は低くなりますから、淡いテクスチャと早いアニメーションによりこれを表現。逆に距離が近い場合、濃いテクスチャと遅いアニメーションが髪の毛の密度が高いことを現します。こうして「女性」「黒いボディ」「長髪」という三大要素が解決を見たというわけです。

『ベヨネッタ』は60フレーム(1/60秒)単位で動作しています。スタッフにとって60フレーム動作は死守すべき点でしたが、「絵的な面で制約がある」(西村氏)ことを意味していたといいます。「次世代機では技術体系が変化したものの、根本的な作りは変わっていない」とするのが西村氏の認識。氏は『ベヨネッタ』のアニメーション作成時のワークフローを解説します。

『ベヨネッタ』のアニメーション制作は試行錯誤とフィードバックが特徴です。通常はディレクター、企画、アニメーターといった人々がお互いの職分を守るという方式。ディレクターがコンセプトを立て、企画が作成したリストからアニメーターがアニメーションを作成、プログラマーがゲームに組み込むという「整然とした流れ」が保たれます。

対する『ベヨネッタ』では、各セクションがネタ出しに参加し、それぞれの特性を活かしたアイデアが集められます。これはセクションどうしで強いコミュニケーションを保つことに効果があったといいます。

アニメーターがアニメーションを作成、プログラマーがこれを組み込むという流れは前述のものと同じですが、プログラマー自身が「ゲームの遊び心地」という視点に基づいて調整を行います。アニメーターがこだわりとして入れた余韻も、ゲームのテンポを損なうのであれば削られるなどするといいます。その後、アニメーションはアニメーターにフィードバックされ、プログラマーの意向をくむ形で再度の調整が行われます。これを更にプログラマーが調整し、アニメーターが直す……という試行錯誤が繰り返されます。

通常の方式はアニメーターのみで完結してしまい、シルエットなど絵的な部分を重視することに繋がりやすいと西村氏。「アニメーターにとって各々のアニメーションは大事なものだが、ユーザーにとっては一要素に過ぎない」(西村氏)ものであり、「アニメーションのためにキャラクターがいるのではなく、キャラクターのためにアニメーションがある」と締めくくりました。

齋藤氏は、HDゲーム機の高解像度グラフィックには、従来の直接光のみのライティングでは背景に馴染まない、と指摘します。『ベヨネッタ』では「60フレーム厳守」という制約の下、処理に負担を掛けない、環境マップによるイメージベースドライティング(IBL)が導入されました。

輝度値をマップテクスチャに焼き込むことで疑似的なHDRライトとすれば、光源がどれだけ増えても実行時の負荷は変わらないものとなります。その分、処理にパワーを必要とするリアルタイムライティングは銃口の光などエフェクトに使用することが可能となり、美しい背景と60フレームによる軽快な動作を両立できました。また、エフェクトは実機上で動くツールにより作成され、そこでは常に処理負荷を確認しながら60フレーム動作を厳守する方向性での作業が行われたといいます。齋藤氏はエフェクトではデザイナーで完結するフローの構築が重要であり、実機上で動作するエフェクトツールは少人数で高クオリティのゲームを作るためにとても有用である、と講演を締めくくりました。

特に興味深かったのは「60フレーム厳守」を始めとしてプレイアビリティを重視する旨の発言が繰り返し行われたこと。HD環境となり、絵的な表現力が増している中でこうした姿勢はある意味特徴的なものといえるでしょう。様々な困難を乗り越えて開発された『ベヨネッタ』は果たしてどのような評価を受けるのか。10月29日の発売日が楽しみになった人も多いのではないでしょうか。

【TGS2009】Wii『マッドワールド』は一切修正なしで発売!

http://www.inside-games.jp/article/2009/09/26/37828.html
日本国内ではスパイクから今冬に発売されることが決定したWii向け『マッドワールド』(MAD WORLD)ですが、セガのパートナータイトルブースでは映像が出展されています。

白黒赤の独特のトーンで描かれる過激な表現から、Wiiタイトルとしては初のZ指定(18歳以上のみ対象)となっています。TGSのブースも、逆にこのレーティングを前面に出したものになっていました。

その甲斐あってか、スパイクの担当者によれば、ローカライズが施され日本語化されている以外の修正は行わないとのこと。安心して日本での発売を待てそうです。

プラチナゲームズを徹底攻略 稲葉敦志プロデューサーインタビュー(1)・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第41回

http://www.inside-games.jp/article/2009/12/02/39125.html
ライトでポップなカジュアルゲームが巷にあふれる中で、『無限航路 -Infinite Space-』、『ベヨネッタ』と話題作を矢継ぎ早に切り出し、多くのゲーマーがガッツりプレイできる作品を提供してきたプラチナゲームズ。2010年には、ハードコアアクション好きの大人向けゲーム、『MADWORLD』が控えています。これまでの作品群で、みごとに自らのスタンスを明確にしたゲーム開発スタイルがとても気になり、早速訪問してきました。ここではその模様をお届けします。

■『ベヨネッタ』から、プラチナゲームズのアクションゲームに対するこだわりを感じ取ってほしい!

―――中村彰憲:これまで話題作が目白押しなわけですが、プラチナゲームズの目指すゲームとは何でしょう?

稲葉敦志プロデューサー(以下、稲葉):ゲームであるからには、「やってみたら面白いんだけどな」ではダメです。とはいいながらも、CM見て「すげえなっ!」って思って、映画を見に行ったら、CMが全部だった、なんていう映画もけっこうありますが、これもダメ。プラチナゲームズは、CMや雑誌でゲームを見て凄いなと思って買ってくれた皆さんが、ゲームを実際に触ったときにその期待感を凌駕するクオリティを目指しています。

―――『ベヨネッタ』はまさにそんな感じでしたよね。

稲葉:『ベヨネッタ』に関しては「全部入り」というのがコンセプトですから、もうお腹いっぱいになるまで許さない、という勢いで全てを入れました。サントラ(オリジナル・サウンドトラック)CDも150曲を収録しています。曲にこだわりの強い神谷英樹ディレクター(以下、神谷ディレクター)の意向であのようになりました。スタッフも音楽好きですからね。サントラは作品を気に入ってくれた皆さんが購入するわけなので、「完全なモノを提供したい」という思いからあのようになりました。ゲームは、買った人全員が最後までクリアするわけではないので、5000円出したのであれば、それ以上の価値があるものがいいわけです。途中でやめても、支払ったお金分の価値はあると感じさせるには、それ以上の価値を入れるということがサービスとしては適切かと思います。これはサントラについても同じ事ですね。

―――ベヨネッタもキャラクターとしてとても魅力的でしたね。

稲葉:『ベヨネッタ』は当初からスタイリッシュなセクシーさを前面に押し出すというコンセプトのもと開発されました。このスタイリッシュアクション系ゲームの開発経験は、過去にも神谷ディレクターをはじめ、本作品を手掛ける多くのスタッフが関わってきたものの、『ベヨネッタ』は、プラチナゲームズの中でゼロから開発しているということもあり、過去のしがらみが無く開発が出来ました。コンセプトにもクライマックス・アクションとあるように、映画におけるクライマックスが連続であるような、どこまでがデモシーンで、どこまでがプレイアブルなのか見分けがつかないような壮大なスケールの作品としてつくりあげました。映像としての迫力というよりは、体感する迫力という意味で新たな標準を確立できたと思っています。

■黒は今世代機だからこそ映える表現。本作品における神谷ディレクターの絶対的なこだわりがこの色にはあります!

―――『ベヨネッタ』は色にも大変こだわっていますよね。

稲葉:魔女という設定もあるので、黒と世界観は切っても切り離せないというのもありますが、黒という色は今作において神谷ディレクターが譲らなかったところです。黒を主人公のカラーにしたい、というのはどんなクリエイターでも欲求をもっていると思います。黒はカッコよく且つ一番スタイリッシュにしやすい色なので。ですが、見えにくい。暗い(笑)。主人公がどこにいるか分からなくなってしまう。特にアクションゲームでそれは致命的です。動きが生えない、存在認識が出来ないということで、プレイステーション2の世代までは、それを生かすまでのグラフィック描画能力が無かったんです。今回やっと神谷ディレクターが以前からやりたいと思っていた、黒をモチーフとしたキャラクターを主人公に据えたアクションゲームが出来たのです。黒をゲームで使うことについては、周りの人も反対しました。リスクを感じるのは確かなので。ただ、結果としては成功したので本当によかったです。

―――設定についてはいかがでしょうか?

稲葉:『ベヨネッタ』の面白さは、いわゆる勧善懲悪ではなく、それを逆転させたことにあります。悪の象徴である魔女が善の象徴である天使を倒しにいくというのが、面白さにつながるわけです。このギャップ、または新鮮味が神谷ディレクターの狙いです。天使のデザインについても、攻撃でやられていく度に、装甲がはがれていくイメージにしました。醜い中身が序々に浮き彫りになっていく感じですね。これは、外見は綺麗でも内面は禍々しい様態を示すためです。

―――ベヨネッタの影が蝶を模っているわけですがこの発想はどこからきたのでしょう?

稲葉:これも神谷ディレクターのこだわりですね。

―――ローディング時間にチュートリアルを入れるといったアイデアは秀逸ですね。

稲葉:ローディング時間はゲームという側面で見るとムダな時間なので、なんとか何かを入れたいと思うわけですが、ゲームを遊ばせるという特許は他社が既に取得しているので、それ以外の方法を考えた結果、チュートリアルが生まれました。これで何気にコントローラを触っているだけも楽しくなったと思います。

―――ここまで爽快感あるアクションを生み出した秘訣というのはなんでしょう?

稲葉:やはり経験値のあるスタッフの存在です。ゲームにおける爽快感は、インターフェイスのしくみをつくりだすプログラマーと、キャラクターの動きを示すモーションデザイナーやアニメータとのやりとりで全てが決まるといても過言ではありません。ある程度の方向性はディレクターが決定しても、ひとつひとつの細かい動きを決めていくのはアニメータなので、そのコンビネーションが重要だということが言えるかと思います。

*  *  *  *

インタビューでも「全部入り」と言っていましたが、プラチナゲームズの『ベヨネッタ』にかける思いは、作品をやりこめばやりこむ程、その真意を実感することが出来ます。ゲームクリアのその瞬間まで、「手にとって遊ぶことのエンターテインメント性」について改めて納得させられるのです。そのような意味でも是非、エンドクレジットまで進んでもらいたい一作ですね。次回は、『MADWORLD』にプラチナゲームズが託した思いについて掲載する予定です。

【DEVELOPER'S TALK】"プラチナ"クラスの作品が完成~渾身のクライマックスアクション『ベヨネッタ』を手掛けたプラチナゲームズを直撃

http://www.inside-games.jp/article/2009/12/10/39317.html
セガとプラチナゲームズがタッグを組んだノンストップクライマックスアクション『ベヨネッタ』は『バイオハザード2』『デビルメイクライ』『大神』といった作品を手掛けてきた神谷英樹氏がディレクターを務める最新作です。ド派手なアクションや独特の世界観、魅惑的な女性主人公ベヨネッタで、東京ゲームショウ2009でも大きな注目を集めました。DEVELOPER'S TALKの最新号では大阪は梅田に赴き、開発元のプラチナゲームズにて開発秘話を伺いました。

参加者

プラチナゲームズ株式会社
・橋本 祐介 プロデューサー / プロジェクトの全体を統括
・神谷 英樹 ディレクター / ゲーム全体のデザインと開発を指揮
・山口 裕史 リードコンポーザー / 音楽を担当
・酒田 大亮 リードサウンドデザイナー / 効果音を担当
・大森 亘 リードプログラマー / サウンド周りのプログラムを担当

株式会社セガ
・藤本 光伯 CS研究開発統括部 CS R&D推進部副部長
PS3版ベヨネッタの移植開発を統括し、プラチナゲームズとセガの橋渡し的存在を務める。今回のインタビューにはオブザーバーとして参加。

―――発売から少し時間が経ちましたが、感触として作りたかったゲームをユーザの皆さんに届けられたと感じられていますか?

神谷: そうですね、ユーザさんからも良い評価をいただいているようなので、一安心といったところでしょうか。プラチナゲームズとして出来ることはやりきったという感触はあります。

―――『ベヨネッタ』というゲームはプラチナゲームズの中でどういう位置づけの作品だったのでしょうか

神谷: 『ベヨネッタ』はプラチナゲームズが出来て間もない時期に始まった、エース級のメンバーを集めた大きなプロジェクトだったので、社運が懸ったタイトルだというのは当然感じていましたし、「プラチナゲームズとはこういう会社だ」ということを宣言するタイトルに仕上げなくてはならないとも思っていました。

プロデューサーの橋本との会話の中で「神谷さんの作る3Dアクションを見てみたい」という言葉があって、それで企画書を作ってみたら好評で、実際に開発することになったんです。

プラチナゲームズの命運がかかったタイトルなので、正直に言うと、もうちょっと万人受けするような、商売を考えたゲームを求められるかと思っていたのですが、会社からも、コアなユーザを意識した歯ごたえのあるアクションゲームを作って欲しいと言われて意外でしたね。勝負に出るんだと。それで奮い立った面もあります。

―――神谷さんが言われるコアなゲームというのは

神谷: 最近のトレンドとして、簡単に遊べて、流してプレイすれば最後まで気持ち良く遊べる、ストレスなく快感だけを得られるといったようなゲームが増えていると感じたんです。

でも僕はゲームの一番の面白さは困難を乗り越えることだと思っていて、過去に作った『デビルメイクライ』も『ビューティフルジョー』も見た目はともかく、歯ごたえがあるゲームを制作したつもりです。アクションゲームでいえば、勝てそうもない強敵に向かって試行錯誤して、ようやく勝てたときに「やった」という快感が得られるものが王道だと思ってるんです。

ただ、それは昨今のユーザが求めているものとは若干違うのかな、という印象もあって心配もありました。それでも、ユーザに対しておもねるのではなく、面白さを提案していくのがクリエイターだと思っています。そういう作りが出来たので気持ち良く仕事ができました。

―――開発期間は約3年と聞いていますが、長かったという印象ですか?

神谷: 特段長いとは感じませんでしたね。今までのゲームと違って順調に進みました(笑)。今回は迷いはなくて、ただ単純に物量と求められるクオリティの高さで時間がかかったという印象です。

企画の仕事はあまり変わらないのですが、ハードの性能が上がれば、表現できる幅も広がるので、クリエイターとしては突き詰めたい部分も出てくるし、ユーザの皆さんも当然そういうものを要求されますよね。それに、プラチナゲームズとしては初めての現世代ゲーム機で、会社を立ち上げて間もない状態でライブラリから整備しなきゃいけないという二重苦もありました。それに加えて、我々のチームは、その場で思いついたことを肉付けしながら、クラッシュ&ビルドを繰り返すような作り方をするので、チームの負担はかなりのものがあったと思います。

本当に頑張ってくれたチームには感謝したいと思いますし、元々はカプコンの第4開発部で、クローバースタジオを経てプラチナゲームズに集まったチームの団結力というか馬鹿力というか、何かスピリットのようなものを感じましたね。

―――チームの人数はどのくらいだったのでしょうか

神谷: コアなスタッフは50人程度でした。恐らく、この規模のゲームでは少ない方じゃないでしょうか。その分、汗と涙と友情で・・・(笑)。

―――某マンガ雑誌ですね(笑)

神谷: いいところもあると思うんです。やはり人数が多くなると、作業も細分化されてシステム化されていってしまいます。その分、誰が何を作っているのか分からないような体制になっていきます。そういう意味では、僕らの作り方は血の通ったモノ作りができる体制だったと思います。代わりに寿命は縮んだと思いますが(笑)。

■譲れない一線

―――魅惑的な女性主人公が特徴的ですね

神谷: そうですね。よく聞かれることですが、アクションゲームで敵を倒すのは当然です。でも、単にパンチやキックの力押しで倒せばいいというだけでは面白くありません。どう倒すかというところで個性を演出したいと思っていて、その味付けを考えた時、最初に思い浮かんだのが女性キャラクターです。

チームの中では、女性キャラクターには感情移入できないという意見や、一般的に女性キャラクターのゲームはあまり売れた実績がないということで心配する声もありました。ただ、そう大きな反対はなく、会社から特に言われることもなかったです。キャラクターに魅力があれば作る側の人間も乗って仕事ができるので、楽しく仕事ができたのは「ベヨネッタが魅力的なキャラクターだったというのもあるんじゃないか」と今となって思いますね。

―――独特の戦闘スタイルはどのように作られていったのでしょうか?

神谷: ゲームのために考えた武器をメインに据えるということに僕はちょっと違和感を持っていて、何か実在する武器の斬新な使い方をさせたいと思ったんです。

最初の着想としては、銃そのもので敵をぶん殴ると。するとあれも鉄の塊だから相当痛いわけです。なので、ぶん殴って至近距離で引き金を引くというのはなかなか面白そうだと。そこで、『ビューティフルジョー』から一緒に仕事している、モーションデザイナーの甲斐(秀敏氏)に相談すると、足に銃を装備して蹴りで銃を撃つってのもどう? という話になって、せっかくなら、手の武器も足の武器もゲームを進めるにつれて入れ替えていくと攻撃のバリエーションも増えてゲーム的に面白そうだという風になりました。

それで最初は1つのボタンでパンチ、1つのボタンでキックという単純なアクションだったのですが、もう少しゲーム性を高めた方がいいという意見がありミーティングを重ねた結果、ボタンのコンビネーションで色々な攻撃パターンが出るという今のスタイルに落ち着きました。

―――ゲームを遊んでいると、シームレスかつノンストップでゲームが進行していくというのが強く印象としてありますが、そのあたりは意識されていますか?

神谷: シームレスということに関しては、昔から実現したいと思っていました。ただ、技術的な都合でどうしてもローディングが発生してしまうんですね。でも、繋ぎ目で画面が暗転することで、次はムービー、次は戦闘、という風に段取りのようなものができてしまうのが非常に嫌だったんです。ただ、技術的に難しいことは分かっていたので、今回は強くは言わなかったのですが、プログラマーが自主的に頑張ってくれて、出来上がったものを見たら非常にシームレスで僕も驚くようなものができていたという(笑)。ゲームの冒頭では、プレーヤーを、いきなり何の説明もないまま時計塔の落下のシーンに放り込んでます。とにかく無茶苦茶な状況に落として、もがいて学べというスパルタ方式です(笑)。

橋本: しかも制作当初はそのシーンにも体力ゲージがあり、ゲームになっていましたね(笑)。スタッフがテストプレイをしても何の説明もないままなので、いきなりゲームオーバーになっていたんです。最初に出来たクライマックスシーンでもあり、スタッフが「クライマックスとは?」ということの答えが出たシーンでもあります。

※ 製品版では当該シーンに体力ゲージがないのでゲームオーバーにはなりません

―――その気の抜け無さが『ノンストップクライマックス・アクション』の没入感を高めていますよね

神谷: 実は反省から生まれた面もあって・・・。最初に『バイオハザード2』を作った時、凄い演出を入れたいという欲が出てきて、ムービーシーンを多様して、エンディングにも立派なムービーを入れて、自分でも満足の行くものができたんです。でも、それって自己満足だったなって。だってエンディングの一番美味しい場面にプレイヤーはお茶飲んで画面を見ているだけですから。それはおかしいですよね。だから『デビルメイクライ』では脱出シーンではプレイヤーに渡して操作させたんです。別にムービーを突然終わらせてユーザーをいじめたいというわけではないんですが(笑)。

―――今回ももちろん・・・?

神谷: はい、お楽しみに(笑)。今回は特にノンストップクライマックス・アクションということをコンセプトにしています。本当にコントローラーを握りっぱなしになるようなエンターテイメントを目指したので、その辺りは技術的なサポートもあって上手く表現できたかなと思います。

―――シームレスなゲーム展開を実現するにあたって、技術的にはどのように実装されたのでしょうか?

大森: 常にデータの裏読みを行っています。実は『大神』の頃からやっています。次の場面に必要なリソースの管理は独自で行っているのですが、実際のファイル読み込みやデータの流量管理はCRIさんのミドルウェアに任せています。『大神』の頃は、部屋などの空間自体は裏読みができなくて、その空間にあるオブジェクトやイベントシーンを裏読みしていたのを、今回は更に一歩進めて、あらゆるものを裏読みできるようにしました。

―――アクションではベヨネッタの黒髪も非常に魅惑的ですね

神谷: そこに辿り着くまでは大変でした。

ある日、誰かのアイデアで、攻撃ででっかい手とでっかい足を誇張として出すというネタが生まれたんです。凄く面白そうだと直感で思ったのですが、あまりにベヨネッタの戦闘スタイルに馴染まなかったので保留にしていたんです。

ちょうどその頃、ベヨネッタのデザインも悩みの種でした。僕は主人公を際立たせる、アクションを派手に見せる小道具があるべきだと思っていて、戦闘を美しくするスパイスがベヨネッタにも必要だと思っていました。今回は魔女なので、それが黒髪というのは絶対だなというのもありました。ただ、長い髪でアクションさせるとぐちゃぐちゃになってシルエットが崩れてしまうんです。それだと戦闘し辛いという声も上がって、ベヨネッタのデザイン自体の見直しをしていたんです。

髪の毛にこだわるのはやめてショートヘアにしたらどうか? とか、三つ編にくくったらどうか? という話もあったのですが、デザイナーが一番最初に描いた、長い髪の毛を腕に絡めたデザインは譲りたくなかったんです。そのデザインはベヨネッタが腕に髪の毛を絡めていて美しかったんです。最初はゲーム中で常にそうすることを意識したわけじゃなかったんですけど、悩んだ時には原点に戻ろうということで、魔女だから髪の毛を服にしていて、余った部分を腕から垂らしているという設定にしてみました。すると、そこからベヨネッタは魔法で髪の毛を何かの用途に使うという設定ができて、「でっかい手とでっかい足」というアイデアと結びついたんです。髪の毛を使って魔界から魔物の手足を召喚して攻撃するという「魔女」らしい設定やデザインとも合致しました。服が脱げるのは髪の毛を触媒として使うからですね。デザインは右往左往しましたが、最後の脱げる部分はパッと気づいたら出来ていましたね(笑)。

最後の最後で色々なアイデアが結びつきました。ゲームの神様っているんだなと(笑)。

―――なるほど。モーション(動き)に関してはいかがでしょうか?

神谷: モーションは前述の甲斐が担当しています。モーションキャプチャーをして、それをベースにしながら、ダイナミックな動きに膨らませていきました。ベヨネッタに関してはリアリティにとらわれるよりも、「けれん味をさらに誇張する」という点が、モーションも、デザインも、エフェクトも全部でこだわった点ですね。

―――あとは、眼鏡も譲れなかったと聞いています

神谷: 眼鏡も譲れなかったですね。キャラクターデザインは万人受けするに越したことはないですけど、みんなが納得するデザインを目指す必要もないんです。納得するというのは特に気に入っているという意味ではないですから。なので、デザイナーの島崎(麻里氏)とベヨネッタのデザインを詰めていって、最初に定例ミーティングで披露したとき、綺麗に賛否両論になったんです。それは余りに印象的で強烈なインパクトがあったからだと思うんです。その瞬間、僕はこのキャラクターはいけるなと確信しましたね。良い印象でも悪い印象でもどちらでも良くて、「まあいいんじゃない?」とか「どっちでもいいんじゃない?」はダメですね。心に引っかからないということなので。

その折角の「武器」にしている部分を取れという指示もありましたが、強烈に反発しまして今のスタイルに落ち着きましたね。

―――今回、セガさんと一緒にやられて、ちょっとニヤっとするネタも散りばめられていますね

神谷: そうですね。ゲームはやっぱりエンターテイメントなので、ユーザさんの喜ぶ顔が見たいですよね。そう考えると、色んなネタを仕込みたくなるんです。隙あらばという感じで(笑)。

それにプラチナゲームズとして僕らは過去の資産が全くないので、出来る事が限られるんです。でも今回はセガさんのネタは大手を振ってできたので、ゲームの中に『スペースハリアー』や『アフターバーナー』の曲を入れたり、ステージ構成も2つのタイトルをモチーフにしたり、勝手に夢の競演を楽しんでました(笑)。

藤本: セガの役員が集まる会議で「ベヨネッタにセガの楽曲を使わせてください」と提案をいただき実現しましたね。

神谷: 一番緊張したのは、HIRO(川口博史氏)さんという『アフターバーナー』『スペースハリアー』『アウトラン』といったゲームの作曲をされた方に話を通しにいった時ですね。僕が高校時代から大事に持っていた『アウトラン』のサントラにサインをお願いしようかと考えたものの、実際に会ってイヤな人だったらどうしようと悩んでたんですが・・・。全くの杞憂に終わりました(笑)非常に寡黙な人ですけど、「この曲もどうですか?」という提案ももらって、感動しましたね。

(実は『アフターバーナー』の曲が流れるシーン、通常はアレンジ版が流れるところ、ある特殊な操作をすることで、オリジナル曲を聴くこともできるのだそう。その方法は秘密ですが、ぜひ色々と試してみましょう。通常は上田(雅美氏)によるアレンジ版ですが、ある操作をすることで、『アフターバーナー1』のバージョンと『アフターバーナー2』のメロあり/メロなしの3つに切り替えることができるとのこと。『アウトラン』『ファンタジーゾーン』『スペースハリアー』の曲が流れるシーンでも、それぞれオリジナル曲を聴く事が出来るそうです」)

―――海外市場は意識されましたか?

神谷: あまりしなかったですね。当然、市場としてはワールドワイドを考えていましたが、ことさら海外向けにと考えても、やっぱり僕らは日本人なので、アメリカ人と同じ感覚は持ちようがないですよね。なので、ワールドワイドを目指すことは皆が共有していましたが、どちらかというと、変に意識することによってゲームの中身がおかしくなってしまうよりも、シンプルに自分達が思うものを形作っていこうと思っていました。

本当に魅力的なものは文化の違いを乗り越えられると思っていて、それはある程度今まで作ってきた作品で証明されているとも思います。

■技術的な側面

―――今回、CRIのミドルウェアを採用した経緯を聞かせてください。

酒田: 以前にサウンドリーダーをやっていた人間が、他のタイトルでCRIさんとやり取りをしていたんです。それで今回もCRIさんのミドルウェアを採用することになりました。個人的には今までにそういうものを使ったことがなかったのですが、CRI Audioのツール画面を見て、全てが1つの画面で操作できる利便性に驚きましたね。

山口: サウンドのエンジンを1から作るというのは現実的ではなかったので、CRI ADXに関しては『大神』のときから採用して慣れているという意味もあって決まりました。自分達で全部作るよりは、良い物が既にあるなら使えればいいという姿勢ですね。

大森: 慣れ親しんで信頼感があるミドルウェアだったので、特に他社のものとの比較検討などはしませんでしたね。立ち上がりのスピードも要求されたのですが、組み込みもかなり早い時期に出来ました。

―――マルチプラットフォーム制作でのミドルウェアはどうでしたか?

藤本: PS3版はセガが担当だったのですが、サウンドやムービー再生に関しては、マルチプラットフォーム対応のCRIさんのミドルウェアを使っていたので、開発は格段にやりやすかったです。もし各プラットフォーム独自のものを採用していれば、もっと大変だったでしょうね。

―――今回は、ADX、Sofdec、CRI Audio(※)という3つのミドルウェアを採用されていますが、それぞれどういった用途で使われたのでしょうか?

※CRIが提供するミドルウェア群
CRI ADX・・・マルチストリーム音声再生システム。複数の音声を再生しながらデータを高速に読み込むことができる。
CRI Sofdec・・・高画質ムービー再生システム。高画質なHDムービーをなめらかに再生できる。
CRI Audio・・・統合オーディオソリューション。効果音や環境音、ゲームの状況に応じて変化するサウンドなどをデザインし、再生できる。サウンドデザイナー主体の音楽制作が可能。

大森: 「CRI Audio」は音全般を鳴らすのに使っています。SE(効果音)、BGM、ボイスなど分け隔てなく全てCRI Audioを使っています。プリレンダムービー以外の音は全てということになります。Sofdecは過去の回想シーンのムービーに使っています。ADXは直接触っている箇所は少なくて、ムービー用の音声を再生させる手段として使っている感じです。また、ファイルの読み込みやバッファ管理、データの圧縮・パッキングなどは、CRI Audioに含まれているファイルシステムを使って行っています。

―――なるほど。ゲームを遊んでいると、リアルタイムとプリレンダのムービーの区別が全くつきません。見分ける方法ってあるんでしょうか?

大森: ゲーム中でプリレンダのムービー(Sofdec)を使っているのは、フィルムタッチで描かれている過去の回想シーンだけなんです。実はゲーム中のその他の現代の場面は全てリアルタイムです。これはベヨネッタが衣装を変更したり、武器を変更したりした際、デモに反映させたかったからです。

橋本: やはり女性主人公ならではの部分として、衣装を変えることで印象が結構変わってきます。男性だと余り大きな印象の違いはないんです。なるべくバラエティの富んだものにしたいと思うと作業量も増えますし、イベントシーンの尺も増えていって結構大変でしたね。その甲斐あって見応えのあるものになっていると思います。

酒田: 最初は1時間ちょっとという話だったのが、1時間半になり、2時間になり・・・。

―――Sofdecのプリレンダムービーの尺はどのくらいだったのでしょうか?

大森: そんなにはないですね。全部で10~15分くらいだったと思います。ムービーのビットレートは大体4~8Mbpsでクオリティが高くサイズが一番小さいものを採用しています。

―――ゲームのボリュームとしてもかなり盛りだくさんだと思いますが、ディスク容量が足りなくなるといった問題に直面しませんでしたか?

大森: 特にDVDメディアであるXbox 360はシビアでしたね。かなり減量しました。運良く入ってくれたという感じです。残りは10MBくらいしかなかったです。ディスクに収まらず溢れていた時期もあって、あと500MB削れ、とかやってましたね。定期的にディスクに焼いてチェックするんですけど、焼こうと思って全部のファイルを圧縮してみると、ディスク容量が足りないというのは良くありました。全セクションで無駄なデータを使ってないか総洗いしましたね。

橋本: 1枚では収まりそうにない、という心配が出てきたので、そうなる前にスタッフには釘を刺していたんです。「アクションゲームで2枚組はないぞ」って(笑)。なんとか1枚に収まって良かったです。

―――ディスクではどういったデータが多いのでしょうか?

大森: 多いのは、やっぱりムービーとサウンドでしょうね。意外に容量を使っているのは、サブ画面やコクピット画面で、圧縮後も150MBくらいあったりしました。あとは、最後に入ったおまけのムービーが・・・。

―――ファイルの圧縮やパッキングもされているようですね

大森: CRI Audioに同梱されている圧縮ツールを使ってパッキングしています。ストリームのデータを除いて、6つほどのファイルにパッキングしています。

―――圧縮率はどのくらいでしたか?

大森: 12~13GBあったものが6.8GBまで圧縮できました。圧縮率としては60%らいにはなったと思います。CRIさんの圧縮ツールがなければディスクに収めるのは無理だったでしょうね。

■こだわりのサウンド

―――次はサウンドに焦点を当てたいと思うのですが、今回、CRI Audioの新機能として「マトリックスサラウンド(逆相送出)※1」を採用されていますね。この技術はCRIが以前CEDECでご紹介し、お問い合わせいただいて実装された機能ですが、どのようにお使いいただいたのでしょうか?

※マトリックスサラウンド・・・もともと2chのステレオデータを、疑似的にサラウンド化する手法。CRI Audioにも搭載されている。ステレオの音声データを、波形の位相を逆転しリアのスピーカーから出力する。

大森: ええ、僕がCEDECに参加して、資料を持ち帰って山口に渡したんです。

山口: 主に使っているのは、BGM及び、雨や風といったストリーム再生している環境音です。今回プラチナゲームズとしても5.1chのミックスをするという選択肢もありましたが、限られた時間の中で、作曲する事に最大限時間を使いたかったので、今回はステレオ素材を簡単にサラウンド化してくれるマトリックスサラウンドを有用な機能として使わせてもらっています。この機能のおかげで、かなり空間に広がりを持たせる演出ができました。加えて環境音では、カメラを回すと、それに合わせて各スピーカーから出ている音も回るように大森に実装してもらいました。こうすることで、例えば雨が降ったり風が吹いている場面で、カメラを動かすと、雨風の音も違った方向から聞こえるようになります。ステレオの素材で実現できるので、データ量も単純に減りますし、演出的にも面白いことができました。

―――効果音に関して、工夫したことや、現世代機になって制作で変わった部分があれば教えてください

酒田: 一番大きいのはサラウンドで作るということでしょうか。音の素材自体はモノラルもしくはステレオなんですが、空間の中に配置していくので大変でした。カメラが回れば音も回りますので。常に正面だけでなく、後ろ側の情報も頭の中で考えながら、カメラが動いたから、こっちを上げて、逆になったら今度はこっちを上げて、という感じですね。気を付けたのは、スピーカーの位置のまま配置すると、少しパンが気持ち悪くなってしまうんです。特に人物が発生させるSEに関しては、若干狭めのパンを取っています。逆に空間の音はフルレンジでダイナミックに使っています。

―――効果音にはリアルタイムでエフェクトなどはかけられているのでしょうか?

酒田: 例えば建物の中に入ったらリバーブやディレイを使ったり、ウィッチタイム(※)中ではディレイを使ってスロー空間を表現したり、周りの音を全てピッチを下げたりといった処理をしています。これはCRI Audioを使うことで簡単に実装できました。

(※ウィッチタイム 敵の攻撃を寸前でかわすことで発動する。限られた時間、敵の動きがスローになる)

―――なるほど。逆に困った部分はありませんでしたか?

酒田: マトリックスサラウンドは凄く良かったのですが、サラウンドヘッドフォンを使うと音が打ち消し合って変な音になってしまうんです。スピーカーだと距離が離れているので、気にはならないのですが。解決法としては、ヘッドフォンモードを用意して、オンにすると逆相成分を減らして鳴らすという方法を取ったのですが、ヘッドフォンモードに気づかずに遊んでしまう人もいるだろうというのが心残りでしたね。

もちろんステレオのヘッドフォンで遊んでらっしゃる方も、ヘッドフォンモードにしていただいた方が良いです。ヘッドフォン用にパンなどが調整されていますので。

―――技術的な面以外の音作りとして、ベヨネッタらしさ、クライマックス感を演出するような工夫をした点というのはありますか?

酒田: SEに関しては、迫力のある音、というのは繰り返し言われてきたことで、他のメーカーさんであればNGになりそうな低音もふんだんに使っています。

山口: オーケストラの曲なら、コーラスを入れてこれでもかというくらい壮大に、ベヨネッタらしいノリの良い曲なら、負ける気が全くしないというくらいイケイケに、プレイヤーのテンションを最高潮に持っていく為に、どれも力を入れて作りました。クライマックスの一つである四元徳戦では、最初は天使寄りのオーケストラによる壮大な曲調に圧倒されるんですけど、優勢になってくると徐々にベヨネッタ寄りの曲調になっていって、最後の大魔獣召喚を決めるときにはもうイケイケでとどめを刺す、というような、終止クライマックスな音楽の流れが、自分でも気に入っています。

橋本: 全体の音楽のコンセプトとしては、今回はギターサウンドを最初からナシにしようと言っていました。大人の女性が主人公なので、華麗でエレガントなキャラクターを象徴する音楽をというリクエストを出しました。余裕がありつつ優雅に戦う通常シーンと、オーケストラの派手な音楽のクライマックスシーンと、緩急をつけたバラエティに富んだ内容になっています。

山口: 『デビルメイクライ』の全編を通してロックでノリノリなギターサウンドとは対照的ですね。でも、ギターが入らないと、気持ちが高ぶるような音楽がなかなかできなくて、苦労しましたね。一番最初はスパニッシュから始まって・・・。

酒田: 次にジャジーな感じ。

橋本: ジャズの雰囲気は最後まで残ったよね。

山口: なんとか大人な雰囲気にはまとまったと思います。サントラも既に発売されていますので、是非聞いてみて下さい。

■神谷氏に聞く"次"

―――今後のベヨネッタについて考えてらっしゃることはありますか?

神谷: 『ベヨネッタ』というタイトルは大切にしていきたいですし、キャラクターや世界観などもっと広げられればと思うところはあります。作っているうちにとても愛着が湧いたタイトルでもあるので、一ファンとして続きを見てみたいというのもあります。

―――少々早いですが、続編も期待できるのでしょうか?

神谷: 単純に『ベヨネッタ2』という形でなくても、せっかくの世界観を掘り下げる方法というのは色々あると思います。ただ、僕の場合、今までのタイトルは巡り合わせが悪くて続編を作れませんでした。僕以外の人が続編を作って、それを傍から眺めているだけという歯がゆい思いも体験してきました。腰を据えてという言い方はおかしいかもしれませんが、今回くらいは、という気持ちもあります。

―――アクションゲームで神谷さんといったらブランドです。でも、他に挑戦したいジャンルなどはあるのですか?

次に手がけたいものとは
神谷: これまでは自分でも漠然となのですが、プレイヤーを選ぶゲームを作ってきたと思っています。100人が良かったと思うゲームじゃなくて、10人でもいいから好き過ぎて困るくらいのゲームを作りたいという気持ちが今まではありました。そう思って『デビルメイクライ』や『ビューティフルジョー』を作ってきたんです。『大神』はちょっと裾野を広げようという気持ちがあったもののあまり上手くいかず、『ベヨネッタ』で昔のやり方に戻した感じです、10人好きでいてくれたらいいやって(笑)。『ベヨネッタ』は作っていたら楽し過ぎて、はっちゃけ過ぎました。次は、贅沢に100人が100人もう好き過ぎると思えるようなゲームを考えてみたいですね。

―――最近だとiPhone向けのゲームアプリやソーシャルゲームのような軽く遊べるゲームが流行していますよね

神谷: そうですね。具体的には本当にぼんやりしているんですけど、より沢山の人に遊んで貰えるゲームを作る・・・いや、沢山の人に遊んで貰えるような呼びかけや働きかけをしていかなきゃいけないと思っています。『ベヨネッタ』にイージーオートマチックを導入したのも、ゲームが苦手な人にも触って欲しいという気持ちがあったからこそなんですね。沢山の人に遊んで欲しいというのは今までもありましたが、その気持ちはどんどん強くなってきてますね。

■最後に

―――では最後にDEVELOPER'S TALK恒例の質問なのですが、まだゲームをプレイされてないユーザさんと、同じ業界にいる同業者の方に、一言ずつコメントをいただけないでしょうか? まずはユーザさんにお願いします。

大森: まずはとにかく手に取ってもらって、この世界観を存分に楽しんで欲しいですね。他のゲームにはない、類を見ない世界観だと思いますので、どっぷり浸って欲しいというのが一番です。

酒田: ちょっとでも興味が沸いたら、とりあえず触ってみてください。体験版もリリースしていますので、気になればぜひ製品版もよろしくお願いします。

山口: 一見、好き嫌いが分かれてしまうゲームかもしれません。僕はこのゲーム、凄く元気の出るゲームだと思っていて、お馬鹿なノリもあり、下らないシーンもあり、でも滅茶苦茶カッコいいスーパーヒロインのベヨネッタが華麗に舞う姿には元気を貰えます。ぜひ多くの方に遊んでいただきたいと思います。

神谷: この記事を読んでいる方は、ある程度開発者に対しても興味があるのかなと思いますので、僕たちが今まで作ってきたものや、このインタビューで言っている事を見て、ゲーム選びの足しにしてもらえればと思います。

橋本: 見た目はちょっと敷居が高くて難しそうなアクションゲームに感じられるかもしれませんが、ワンボタンで華麗な技が繰り出せる初心者大歓迎の「イージー・オートマチックモード」、通称「おかんモード(ディレクター曰く、自分の母親でもプレイ可能!をコンセプトに制作したモード)」もありますので、インタビューを見て少しでも興味を持たれた方はぜひ手にとってチャレンジしてみてください。

―――では最後に、他のゲーム開発者さんに一言をお願いします

大森: 僕はプログラマーで技術寄りの人間なので、システムや効率化という言葉をよく言いますし、周りからも聞きます。でも結局ゲームで一番重要なのは、情熱とかこだわりとか、意外に職人的なモチベーションだと思うんです。安易に効率化みたいなものに走るよりは、一回死ぬまで本気でモノ作りに取り組めば、また開けてくるものもあるんじゃないかと思います。

酒田: 難しいですね・・・。あ、いまスタッフの募集もやっていますので、ぜひ一緒に面白いゲームを作りましょう(笑)

山口: 大阪で面白い事やってますので、チェキラ☆してみて下さい。

チェキラ☆

―――(一同笑)

神谷: それぞれの会社で色々都合があるとは思います。でも、たまには遊び心から生まれるゲーム作りもして欲しいと思います。ユーザのためにナンバリングタイトルも大事ですが、それ以外のこともやって欲しい。同じ事の繰り返しでは縮小再生産です。業界の発展のためにもなりません。ちょっと化学変化を起こすような新しいチャレンジがもっと色々な方向から起きることを期待しています。僕らも頑張ります。

橋本: 『ベヨネッタ』というタイトルは、我々の遊び心と持ちうる技術の集大成とも言えるタイトルです。国産と海外産のゲームの格差が言われる昨今ですが、僕らももっと良いタイトルをどんどん作って、皆さんと一緒にゲーム業界全体を盛り上げていければと思います。

―――本日は長時間にわたりありがとうございました!

(C)SEGA

株式会社CRI・ミドルウェア
http://www.cri-mw.co.jp/

●記事に登場するミドルウェア「CRIWARE」についてのお問い合せ
http://www.cri-mw.co.jp/inquiry/
TEL: 03-6418-7081

●「CRIWARE」の採用タイトル一覧
http://www.cri-mw.co.jp/example/

2010

PS3版『ベヨネッタ』アップデート、HDDインストール機能追加

http://www.inside-games.jp/article/2010/01/27/40079.html
セガは、好評発売中のPS3版『ベヨネッタ』を2010年1月28日にアップデートを実施することを発表しました。

今回のアップデートはユーザーからの要望に応え、HDDインストール機能を追加。これを利用することでロード時間を短縮することが出来ます。

アップデート終了後にメインメニューにINSTALL項目が追加されるので、ここを選択するとHDDのインストールが開始します。

PS3版『ベヨネッタ』をプレイしている方は、このアップデートを済ませて快適にゲームをプレイしちゃいましょう。

PS3版『ベヨネッタ』は、好評発売中で価格は7980円(税込)です。

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セガ×プラチナゲームズ新作『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』2010年冬発売決定

http://www.inside-games.jp/article/2010/03/04/40786.html
セガは、プレイステーション3とXbox360向けに『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』を2010年冬に発売することを発表しました。

『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』は、セガとプラチナゲームズの最新作で、プロデューサー稲葉敦志氏、ディレクター三上真司氏のコンビで贈るシューティング・アクションゲームです。

本作は、残りわずかな資源をめぐり世界中が緊張状態にある近未来が舞台です。ロシア軍に占拠されたアメリカのスペースコロニーを舞台に、プレイヤーは政府機関のエージェントとして最新鋭のバトルスーツを身に着けた主人公サムを操作し、敵を殲滅していきます。アクションシューティングということで銃撃はもちろん、物陰に隠れる、高速移動、そしてパンチ・キックの近接戦闘まで、迫力あるアクションを楽しむことができます。

ディレクターの三上真司氏からのコメントも届いています。
「『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』はディレクターとして手がけた4年ぶりの作品で、今回セガ及びプラチナゲームズとともに発表できたことを大変嬉しく思います。『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』はシューターにアクションゲームの速いテンポを実験的に取り入れた作品です。ゲーム性や演出を"ハイテンション"というキーワードでパッケージしました。ロボットを撃ちまくって、こんなに気持ちよいゲームはあまり無いと思います。」

なお公式サイトではトレイラーが公開中です。まだ見てない方は是非チェックしてみてください。

『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』は、2010年冬に発売予定で価格は未定です。

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三上真司氏、新会社「Tango」を設立・・・4月1日に何が発表される!?

http://www.inside-games.jp/article/2010/03/18/41086.html
ゲームデザイナーの三上真司氏が新会社を立ち上げる事が分かりました。

三上氏は現在セガ×プラチナゲームズで開発を進めている『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』(プレイステーション3/Xbox360)を開発中です。過去にはカプコンで『バイオハザード』『デビルメイクライ』『逆転裁判』を手掛けました。

三上氏のTwitterによれば、新会社の名前は「Tango」。"分かりやすく、響きがよく、覚えやすいところから"名付けたそうです。オフィスは東京・お台場になるそうです。

MIKAMI SHINJI PROJECTという新サイトもオープンしています。カウントダウンがされていて、残り約300時間でオープンするということで、逆算すると4月1日となります。どのような作品が明らかになるのか、今から楽しみですね。

【E3 2010】『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』コンセプトは「シューター時々キャシャーン」 ― 三上真司が語る

http://www.inside-games.jp/article/2010/06/21/42787.html
シューターたまにキャシャーン=『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』、なんだそうです。

『バイオハザード』シリーズの初代ディレクターとして有名な三上真司氏の最新作『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』。セガとプラチナゲームズが共同開発中のサードパーソンシューティングで、当初から欧米市場を意識して制作されています。

主人公は新型バトルスーツARSに身を包んだ男性サム。太陽光発電コロニーを占拠したテロ集団「ロシアの星」のマイクロウェーブ攻撃でサンフランシスコが壊滅。アメリカの無条件降伏を要求する中、コロニーに潜入し、恩師カンディード博士を救出するという設定です。

E3セガブースで行われた、三上氏を囲んでの合同インタビューでは、おなじみの三上節が炸裂。中でもARSのフォルムについて「あれはキャシャーンだったんです。だから銃ではなくて、敵を殴って壊したかったんです。でも、それだと海外では厳しいですよね」などとコメントし、取材陣の笑いを誘いました。

もともとのコンセプトも「シューター時々キャシャーン」だったのが、次第にシューターの要素が強くなり、結果的に「シューターたまにキャシャーン」になったとか。また三上氏の前作『GOD HAND』が格闘メインのアクションゲームだったため、今回はシューターメインの内容になった経緯もありました。

なお平成生まれの読者のために、あえてキャシャーンすなわち昭和48年放映のアニメ「新造人間キャシャーン」のことだと補足しておきます。タイトルの『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』とは「征服者」の意味で、アンドロ軍団の鉄の悪魔を叩いて砕く・・・。ちなみにARSの白地に黒のラインや、ヘルメットが大きすぎないというデザインも、キャシャーンに影響を受けたとのことでした。
 
最近は『Gears of War』や『Call of Duty』といった海外ゲームに傾倒しているという三上氏。本作でも、そういった大作に負けない物を作りたいと抱負が語られました。めざすはPS3最高のグラフィックと爽快感。ただし残念ながら本作はシングルプレイのみとなっています。マルチプレイのノウハウがなかったため、中途半端な内容にするくらいなら、思い切って削られたそうです。

ゲームプレイはブーストを使った高速移動と、ステップから始まるスローモーションの戦闘が中心になっています。マップはオープンフィーウドで、敵の弾が四方八方から飛び交う中を、ブーストでカバーからカバーへと高速に移動。要所でスローモーションを駆使して、敵を撃破していくというイメージです。

なお、スローモーションはジャンプ中にも使用でき、スタイリッシュなアクションが楽しめますが、そのぶんエネルギーを消費します。エネルギーがゼロになるとオーバーヒートとなり、しばらくブーストもスローモーションも使えなくなるので、注意が必要です。

難易度は「イージーオートマ」「イージー」「ノーマル」「ハード」「ゴッドハード」の5段階で、ノーマルもゲーマー向けに難易度が高めとのこと。逆に「イージーオートマ」では照準がある程度オートになっており、ヘッドショットを連続して決められ、かなり気持ちが良いのだとか。総プレイ時間はノーマルだと7時間で、イージーオートマだと半分でクリアできるそうです。

「おまけのおまけ」で昨今のゲームには珍しく、スコアが導入されています。ヘッドショットを狙ったり、ボスキャラで部位破壊を決めたりすると、高得点が稼げる仕組み。ゲーマー向けにハイスコアを競って欲しいとのことです。

ストーリーは「基本的にはスカッと派でいきたいのですが、シナリオの終わり方はあんまり・・・言えません」とのこと。途中でちょっと重たいシーンがあるものの、全体的にはハリウッドのアクション映画的なんだとか。ロシアのテロリストに脅迫されるアメリカを舞台に、日本人が作ったストーリーで、どのような展開になるかも注目です。

また、マルチプレイを削った分シングルプレイのおもしろさやゲームバランスなどには非常に力を入れたとのこと。「人以外のものを撃ってこれだけの快感が味わえるゲームはそれほどないと思います」とアピールしていました。10月発売を予定しています。

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稲葉敦志と神谷英樹が語るプラチナ流開発、新作ゲーム開発スタッフを積極募集中

http://www.inside-games.jp/article/2010/08/30/44004.html

『無限航路』『MADWORLD』『ベヨネッタ』そして『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』。話題作を連発するプラチナゲームズで、新作タイトルに向けた開発スタッフを大募集中です。プロジェクトの中心を担うのは、稲葉敦志プロデューサーと神谷英樹ディレクター。これまで『デビルメイクライ』『ビューティフルジョー』『大神』など、さまざまなタイトルを送り出してきたお二人に、プラチナゲームズの社風や、求める人材像などを伺いました。

――――はじめに、お二人がこの会社に集まった理由から聞かせてください。

神谷:僕の場合は簡単で、稲葉に連れてこられたんです。

稲葉:またまた。もともと会社自体がカプコンで『デビルメイクライ』や『ビューティフルジョー』などを作っていた、当時は第4開発部と言われていた部署が中心になって立ち上がったんです。二人とも自然な流れでプラチナゲームズに集まっていた、という感じでしょうか。何か新しくて、刺激的な仕事がしたい連中の集団です。その筆頭の暴れん坊が神谷英樹なんですが。

―――見学させていただいて、まず社内がワンフロアになっていて、パーティションで区切られていないのに驚きました。

神谷:そのへんは第4開発部時代からの伝統ですね。なるべく情報が共有しやすくて、ちょっとした打ち合わせが机の周りで、すぐにできるようにしています。

稲葉:昔は、デザイナーチーム・プログラマーチームといったように、職種ごとに集まっていて、ビルのフロアが違う時代もありました。それだと効率が悪かったので、再編していったんですが、その中でも僕らのいた部署は極端で。どんどんお互いの距離を縮めていったんです。これ以上に良いスタイルが、いまのところ見つからないんですよね。

―――会社のめざす方向について教えてください。海外向けタイトルを意識されているように感じますが?

稲葉:何か特別に世界を意識しているんじゃなくて、自然にそうなっているんじゃないでしょうか。特に神谷が作るゲームなどは、日本だけではなくて、海外でも受けるテイストが濃いですし。そういったスタイルになじんでいて、昔から神谷と一緒に仕事をしていたスタッフが、自然に世界向けのゲームを作っている。そんな感じですね。もちろんプロデュースサイドからすれば、日本より世界市場の方が広いので、そこは絶対に切り捨てられない、というのはありますが。神谷さんはどうですか?

神谷:うーん、ただ単純に、なるべく多くの人に遊んで欲しいなと思っています。だから、そんなにニッチな部分を狙っているつもりもないんですよね。国も文化も関係なく、どんなユーザーにとっても面白いものを素直に提案していきたい。おまえら、こういうゲーム好きだろって。

稲葉:でも、マーケティング主導で、アメリカではこういったテイストが好まれるから、こんなキャラクターを作ってくれ、といわれたら嫌でしょ。

神谷:まあね(笑)。そこは自分たちの感覚を信じて、押し通したい。

稲葉:だから海外向けに合わせるんじゃなくて、自分たちの作るゲームで、世界をリードしていくタイプですね。ディレクターがみんなの言うことを聞いて、多数決でモノを作るという意味ではない。

神谷:幸いにも比較的自由な環境でゲームを作らせてもらっているので、ただの工業製品ではない、作品的な思いを込めて作っています。そうはいっても、自分一人でゲームを作ってるわけじゃないし、チームを完璧に管理しているわけでもない。そもそも、僕の言うことを丸呑みするような連中じゃないですからね。

稲葉:ほんと、そういう意味では生意気なんですよ、みんな。

神谷:たとえば『ベヨネッタ』の時でも、言ってみればあれは『デビルメイクライ』と同じ方法論で作った部分があるんです。それと同じディレクターが言ってるんだから、俺の指示通りに作れよって思う時もありましたけど、でもみんな「こうした方がおもしろくなる」って言ってくるんですよね。うるせえな、それくらいわかってるよ、なんて思いつつ、でも実際にそれで良くなった部分もいっぱいあるし。

稲葉:神谷は実績があるし、優秀なディレクターなんですけど、仮にスタッフから何も意見が出てこなくて、神谷の指示した作業だけをするというチームなら、100点はとれても120点はとれないでしょうしね。

神谷:そうですね。僕は意見のキャッチボールの中でアイディアを広げていくというスタイルなので。特にプロジェクトの立ち上げの時は、どんどん周りと会話をしていかないと、逆に作れないんですよ。ゲームのコンセプトが決まってからも、方向性さえずれなければ、話し合いの中でどんどん変えていきます。柔軟すぎるほどに。

稲葉:それで迷走することもあるんですけどね(笑)。

神谷:それから、例えば岩だけ、壁紙だけといったように、特定のデータだけを量産するような分業体制は基本的にしていません。ある特定のステージがあったら、その責任者を決めて、その全てが完成するまで任せるというスタイルをとっています。その方が自分の仕事に対して責任を持ちやすいし、達成感も得られやすい。このゲームのこの箇所は俺が作った、と言えるような作業分担にしています。

稲葉:ただ最近よく聞くんですけど、やっぱり異端みたいですよ、僕らみたいなやり方は。それよりも分業化をどんどん進めて、空いたラインにくるくる人を当て込んでいく方が、会社にとっては都合が良いですから。でもうちは、できるだけ、そういうやり方はしたくない。1本のゲームに愛着が持てるような作り方にこだわっているんです。だから、ちょっと効率的ではない部分もありますね。そのぶんチームの人数も、最近のゲームにしては少なめです。そもそも社員数も100名くらいですから。

神谷:『ベヨネッタ』でも最大で60人くらいです。中には200人くらいで作ったと思っている人もいるようですが。みんな1人で3~4人分の根性を入れて作りました。普通はもっと分業化するんでしょうけど、あえてそうしない方が、ゲームの厚みは増すと思うんです。

―――仕様書などは、どのように作られていますか?

稲葉:一般的なゲーム会社だと仕様書が発注書を兼ねている感じで、仕様書をきちんと書かないと、下が動いてくれないケースが非常に多いですよね。そういう意味での仕様書は、うちは作っていません。というのも、ちょっとした立ち話で仕様が変わることが多々あるんです。ちょっとできあがったら、周りに見せて感想を聞いて。その場で「これいいじゃん」「こういうアイディアはどう?」といった一言で、ころっと変わる。

神谷氏
神谷:なので、仕様書はたたき台を決めるレベルですね。あるいは話し合いによってアイディアが決定した後の覚書。そもそもチーム内の会話が多ければ、あんまり仕様書って必要ないと思うんですよ。たとえば、うちのプログラマーって勝手にモーションデータを増やしたりしますからね。勝手に部内発注して、勝手に実装している。他の会社ではまずプランナーが仕様書を書いてから、それに合わせて周りが動くんでしょうけど。うちはプランナーの数が少なくて、『ベヨネッタ』でも僕を入れて3人でしたから。他のセクションスタッフにもどんどん動いてもらってます。

稲葉:プランナーにはもっと大事なことをやって欲しいんです。プランナーの数が少ないほうがディレクターから示される方向性を共有しやすい。それからプランナーの数が増えすぎると、専門化が進みすぎてしまって、できる仕事が限定されるスタッフが増えてしまう。たとえばスクリプトしか書いたことがないとかね。それって、あまり本人にとっても、会社にとっても良くないんです。まあ、うちは極端に少ないけど。

―――2年目の若手の方で、メインキャラクターのモデリングを担当されているデザイナーもいると伺いました。

神谷:いますよ。なかなかの手練れなので、即戦力として重要なキャラクターのモデリングを任せてます。時にデザインも同時にしてもらって。

稲葉氏
稲葉:年齢や経験は関係なくて。若くても優秀なら、どんどん仕事を振っていきますよ。効果音担当のサウンドデザイナーで、プラチナ入社前に営業をやっていたスタッフもいます。奴はうちの採用試験に一回落ちてるんですよね。曲作りで一回落ちて、二回目に効果音で採用されて。

神谷:あいつは思いもよらなかった音を出してくるんで、おもしろいですよ。『ベヨネッタ』のシューティングステージで、無線通信のようなノイズ混じりのボイスを鳴らしたいと言ってきたんです。そのアイディアがきっかけで、いきなり通信ボイスが流れるのも変だから、ベヨネッタの耳元に魔法のインカムが出現するカットを追加して、それで喋るという設定にしました。そんなふうに、サウンドの立場からゲームを良くするアイディアが出せる奴なんですよ。

稲葉:生々しい話ですけど、『ベヨネッタ』で実績を出して、周りからの評価がすごく上がったんです。それで給料面でも、最初は二等兵くらいだったのが、一気に7階級くらいアップました。今では小~中尉クラスです。ホントに極端な上げ方をしましたよ。でも腕は確かだから、みんな納得しているんです。

―――ちなみに今回は、プラチナゲームズの新作タイトル向けスタッフ募集とのことですが、どんなゲームなんでしょう?

稲葉:未発表の開発ラインが複数あるのですが、ごめんなさい!全然しゃべれません。神谷も、皆さんをアッと驚かすようなゲームを企画制作中です。

神谷: すごいプレッシャー(笑)。

―――そういったタイトルに係わりたい人は、ぜひと。

神谷:そうですね。ちょっと変わった、個性的なゲームを作ってみようかなと。今まで話したように、全部が全部、僕一人で作るゲームではないので。その中で自分の味が出せる環境だと思うので、俺ならこんなネタが出せるぜ、という人はぜひ。

―――具体的に、どんな人に来て欲しいですか?

神谷:できる奴です。

――― 一口で「できる奴」といっても、いろんなベクトルがありますよね。たとえば、夜出社して朝帰る人でも大丈夫ですか?

神谷:ああ、それだと会話ができなくなっちゃうから、ダメですね。

稲葉:ある程度の腕と素質があるのは前提になるんでしょうけど・・・。少なくとも、がんがん自分から意見をぶつけられるような、積極性のあるタイプが向いているかな。『ベヨネッタ』でも、みんなでガンガンにバトルしていましたし。

神谷:だから、こんなんやりたい、という思いが強くある奴ですよね。僕自身がそうでした。カプコンに入った時も、こういうゲームを作りたい、という思いが人の10倍くらい強く、それも明確にあった。入社直後から同期に対してもライバル心剥き出しで目をギラギラさせてたし、先輩たちを見て「お前ら何をつくってきた、どうせ大したことねえだろ」って、今思えば恐ろしいことを考えていました(笑)。

稲葉:これ、まったくリアルな話です。

神谷:そんな昔の僕みたいに頭のおかしい奴じゃなくても結構ですけど、ちゃんとビジョンがある奴がいいですね。

稲葉:あとは、持っている素質にもよるんですけど、もっと自分の技術を伸ばしたい、という奴でも良いと思うんです。さっき言ったように、新人で入ってすぐにメインのキャラクターモデリングを任された奴もいますし、実務経験ゼロから転職してきた奴もいますから。

―――ちなみに開始時刻と終了時刻は?

稲葉:定時は9:30から18:00です。東京だとフレックス制の会社が多いので、よく「早い」っていわれますね。でも、フレックスだと昼ごろの始業になりますから、何もなくても20時まで会社にいないといけない。それは、ちょっとまともじゃない気がします。

神谷:ナイターも始まってるし。まあ、僕は見ないですが(笑)。

稲葉:そういえば、うちは社員の飲み代を出しているんですよ。

―――ええっ? 会社が飲み会の代金を負担してくれるんですか?

稲葉:全額じゃないですけどね。でも居酒屋で飲むくらいなら、そんなに大きな金額じゃないし、コミュニケーションの一環にもなるので、会社で一部を負担しようと。

神谷氏
神谷:それ、僕も申請していいんですよね。どうしたらいいの? 明日5人で飲みに行くんだけど。

稲葉:神谷枠じゃなくて、プランナー枠としてあるんです。じゃあ5人x5000円といったイメージですかね。ちなみにこれ、やらせじゃなくて、ガチの会話ですから(笑)。

神谷:その制度のことすっかり忘れてた。これまで、たいてい自腹を切ってたんですよ。せっかくだから、使ってみようかな。

―――他にそうした、社員向けの取り組みはありますか?

稲葉:うーん、なんだろう。そういえば会社が入っているビル(梅田スカイビル)のフィットネスジムは無料で使えるようにしています。たまに疲れた日は、昼休みに風呂に入ったりしますよ。大阪が一望できて、すごく気持ちが良いんです。あとはゲームや資料の購入についても、あまり制限していません。ゲーム作りが大変だから、それ以外のことでストレスをかけたくないんですよね。

―――では、最後に応募を考えている人にメッセージをお願いします。

神谷:・・・うーん、難しいな。

稲葉:なんでもいいですよ。暖かい言葉でも、厳しい言葉でも。

神谷:・・・良い会社ですよ。たぶん、皆さんが今いる環境より、うちの会社の方が良いと思います。

稲葉:じゃあ僕もそれで。さっき異端という言い方をしましたが、こんな会社は日本でも他に知らないので。まだまだ係わっていける余地も充分あります。

―――ちなみに何名くらい採用されますか?

稲葉:それはもう、いい人がいればいっぱい。採りたいだけ採ります。

神谷:いけてる奴なら、いくらでもですね。いけてる奴が欲しいですね。

―――ありがとうございました。

【TGS 2010】セガ×プラチナゲームズは「次のタイトルも」

http://www.inside-games.jp/article/2010/09/17/44476.html
セガとプラチナゲームズはこれまで、『無限航路』『MADWORLD』『ベヨネッタ』そして10月発売の新作『VANQUISH』と4本のタイトルを共同開発してきましたが、その次もあるようです。

17日に開催されたセガブースでの『VANQUISH』タイトルステージで、プラチナゲームズの稲葉敦志プロデューサーが明らかにしたもので、ステージの締めくくりの挨拶で、「セガとプラチナゲームズの関係は『VANQUISH』で終わりではなく、ワールドワイドを狙える次のタイトルも準備していまので、お楽しみに」とコメントし、次回作の存在を明らかにしました。

どのようなタイトルかは不明ですが、これまでのタイトルを見る限り、期待できるのはまず間違いなさそうです。

Vanquish pre-orders get free Bayonetta 9/30

http://www.mcvuk.com/news/41128/Vanquish-pre-orders-get-free-Bayonetta
Play.com bundle previous Platinum Games hit with the studio’s upcoming sci-fi action title

Gamers who pre-order Sega’s Vanquish from Play.com will receive a free copy of Bayonetta.

Their copy of Vanquish will also be presented in an exclusive lenticular sleeve featuring artwork of the main character.

Play.com warns that stock for this special bundle is limited, with free copies of Bayonetta only available while stocks last.

Vanquish is the latest Sega title to be developed by Platinum Games, who also created the acclaimed MadWorld, Infinite Space and, of course, Bayonetta.

Bayonetta was released to critical and commercial success in January. It is a hack and slash adventure, considered by many to be the spiritual successor to the popular Devil May Cry series.

TPSの形をした日本的アクションの最新形態『VANQUISH』稲葉敦志プロデューサーに聞く・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第11回

http://www.inside-games.jp/article/2010/10/29/45342.html
三上真司氏といえば、『バイオハザード』シリーズの生みの親として、また『バイオハザード4』で、シリーズの雰囲気はそのままに、欧米で主流になっていた、FPS、TPSといったアクションシューティングゲーム的要素をうまく加えながら新境地を切り開いたことで知られる世界的なクリエイター。

その三上氏の最新作がこの『VANQUISH』です。以前から期待していたこともあり、作品をさっそくプレイ。近未来、スペースコロニー、ロシア対アメリカという往年のハリウッド製アクション映画や、日本のSFアニメで培われた文脈を継承しつつ、先端技術やCG、VFXをふんだんに用い、壮大なスケールとリアリティでプレイヤーを圧倒します。

ただし、実際にコントローラを握ってプレイして実感したのは、『VANQUISH』は紛れもなく純正の国産アクションゲームである、ということです。一見、欧米的なシューターでありながら、筆者が感じたこの日本的な感覚はどこから来るのかを確かめたくなりさっそく大阪にあるプラチナゲームズを訪問。同作品のプロデューサーである稲葉敦志氏を訪ねました。

―――まずどのようなきっかけで『VANQUISH』が生まれたのか教えてください。

稲葉敦志(以下、稲葉):開発がスタートしたのは2年半位前ですね。『BAYONETTA』の開発がピークを迎えていた時期なので。最初に三上ディレクターから、宇宙を舞台にした、具体的にはスペースコロニーを舞台としたゲームをつくりたいという企画があがって、そこに僕らの経験をベースに何か新しいモノを生み出していこうという気持ち、そして会社としてこれまでチャレンジしたことがないシューターをやってみようという思いが重なりあい、最初のドロドロとしたアイデアの塊のようなものが生み出されたという感じで開発がスタートしました。

開発チームとしては最終的にはのべ70-80人位の体制になっていました。コンポーザーとして『killer7』『ゴッドハンド』の楽曲を担当した高田雅史氏や、キャラクターデザインとして『戦国BASARA』シリーズで数々のメインキャラクターをデザインした土林誠氏といった外部のクリエイターの方も参加しています。

―――ソビエト連邦が解体されている未来において敢えてロシアとアメリカ間での対立構造を持ち出したわけですが、それを説明するうえでどのような工夫を凝らしたのでしょうか?

稲葉: 実は当初はもっと複雑な世界観だったんです。いろんな国の間に対立構造があって、みたいな。で、宇宙で決着をつけるというストーリーを構想していたのですが、やはりいまいち分かりにくいというのがあって、ここの構図はシンプルにしたほうがいいよねという意見が、当社の国内スタッフならびに外国人スタッフ双方からありました。それで、最終的に「古き良き構図」とも言える、一番誰もが理解できる大国対大国といった構図にしたんです。近未来だからといってそれに合わせた世界構造を考えても誰もがなじめるわけではありませんから。同時に、本作はロシア人が国としてアメリカと対立しているというよりは、一部の過激派が引き起こした事件としているのでロシアに対して悪意を感じさせることはありません。プロモーションなどで、ロシア人も関わっているのですが、非常に楽しんでやってくれていますよ(笑)。

■日本アニメや往年のハリウッド映画で培われたストーリテリングの文法を『VANQUISH』で生かす

―――スペースコロニー内部の巨大さには圧倒されました。登場するステージもバラエティ豊かですよね。

稲葉:もともと、巨大なシリンダー形であるコロニーは生かそうと思っていました。大自然ではなく巨大な人工物の雄大さを出したいという思いがあったので。ただ、人工的な建築物だけだと飽きると思うんです。特に宇宙を舞台にしたりすると同じ様なシーンが続いてしまうので、変化は絶対に必要ですね。「宇宙」というテーマを最初に印象づけているからこそ、森のシーンが逆に生きるんです。そして森のシーンを潜り抜けた後の宇宙的シーンがより印象深いものになる。同時に、『ガンダム』の宇宙世紀のようなアニメ的な文脈で育ってきたひとたちも、SF映画の中で育ってきたひとたちにも理解してもらいたいのでこれらの人たちがスペースコロニーに感じる文脈はしっかりと押さえたつもりです。

―――主人公サムが装着する特殊スーツ(ARS)のデザインも非常に先鋭的なのですが、これについては、三上氏も日本アニメからインスピレーションを得たとおっしゃっていましたね。

稲葉:アニメ版「新造人間キャシャーン」です。僕らのスタッフは、リアルタイムではないにしても「キャシャーン」を知っている世代がメインなんです。子供の頃に見たカッコ良さ、僕らの血となり肉となっているカッコ良さを追求しようとした結果として「キャシャーン」が選ばれました。ブーストを随所に入れられる設定も三上ディレクターが様々なメディアで語っているように、「シューティングときどきキャシャーン」を地でいってます(笑)。

普通のシューティングゲームのテンポは本作と比較して割とゆっくりとしたテンポになります。カバーして敵弾を逃れ、攻撃して、カバー、といった繰り返しで、点と点を結ぶようなゲーム展開ですが、『VANQUISH』はステージを面として使ったゲームプレイが出来るアクティブなものになっています。従来のシューターにこの側面を加えたのがゲームデザインとしての変革だと思っています。

―――ブーストなどに見られるような日本的アクションゲームの爽快感とシューターの醍醐味が見事に融合していますが、この辺のバランスはどのようにつくりあげてきたのでしょう?

稲葉:『VANQUISH』でデザインしたテンションは、ある意味シューターとは別モノであると考えています。 シューターの面白さも当然入っていますが、ガンガンと前に出て行って自分の力で倒すというのがこのゲームが生み出した新しい爽快感です。隠れるのではなく前に出る。接近して何かを行うというのがこのゲームの迫力につながっていますし、敵に倒されかけても素早くブーストによって回避が出来たりと、自分のテンションとペースで戦場を支配できるのが、本作のアクションゲーム的側面だと思っています。そこはすごく大事なところですね。巨大なボス戦もアクションゲーム好きにとって本当に楽しめる作りになっているんです。

―――それに対して脇を固めるキャラクターはいかにもアメリカ人という感じですね。

稲葉:もともと「男くさい」というのも重要なコンセプトだったんです。サムの横で常に戦っている
ロバート・バーンズもめちゃくちゃ男っぽいんで、スタイル自体はスマートなサムもコンセプトはどちらかといえば、「カッコ良いおっさん」だったんです。JRPGにあるような髭も生えないしご飯も食べていなさそうなキャラクターではなく、しっかりと生きている、生物的な強さをもったおじさんというのを思い描きました。分かりやすく言えば、若いときのクリント・イーストウッドですね。渋さと強さをキャラクターデザインに求めました。

―――そう言われると、タバコもサムのトレードマークのように使われていますよね。

稲葉:タバコはもともと「カッコ良さ」を演出するための男のアイテムですよね。三上ディレクターもすごいヘビースモーカーですし。また、タバコやお酒といった嗜好品を様々な事情からゲームに登場させにくくなっているという状況があります。そのような現状に対して、僕らはこういう形で「カッコ良さ」を描くんだ、といった気概を示すというのも三上さんの中にはあったと思います。

―――ロックオンレーザーをはじめ各種武器のエフェクトも一般的なシューターのそれとはまったく違いますね。

稲葉:ミサイルやレーザーのカッコ良い表現というのは自然に出てくるものなんです。アニメの世界では、割とこのような表現は使われているのですが、本作のようなハイパーリアルな映像でこのような表現が使われたことはなかなかないことだと思います。リアル系近未来ミリタリーモノの『VANQUISH』に日本のアニメ的な誇張表現が重なったことで本当に面白い効果になったと感じています。「糸ひきミサイル」とかね(笑)。 たくさんミサイルが飛ぶとなったらやっぱりそうなりますよ!

―――サウンドエフェクトも特殊ですよね。

稲葉:もともとこのゲームは四方八方から銃弾が飛び交うようになっているので音もその中で目立たないと自分で撃っている感覚が出ないのでそうしています。そこのデザインはすごく大事ですね。戦争ゲームではありながら近未来ということをふまえた、「このような音がありそう」という雰囲気も大切にしました。音、グラフィックともにそうですが、それぞれ面白さは感じてもらえてもそれがウソ臭さにならないように注意しました。

―――初回限定のダウンロード専用コンテンツ(以下、DLC)として、ブーストマシンガン、レーザーキャノン、そしてアンチアーマーピストルが使用できるわけですが、これらの兵器は通常兵器よりも特徴が際立っていますよね。

稲葉:ゲーム中はオーソドックスな武器から序々に近未来的な兵器を登場させるようなゲームデザインになっているのですが、DLCではそういったことは切り離して、単純に「これ、面白え~!」と言ってもらえるようなインパクトがあるものを選別しています。

■シューターをベースにしつつも本質は日本のアクションゲーム

―――作品をプレイして20~30分程度でボス級の巨大兵器アルゴスを登場させていますが、なぜそのようにしたのでしょうか?

稲葉:デザインのケレン味でいうとすごく日本人の感性が出ていると思います。ロボットというところに対しての日本人の得意さ、海外の作り手が直面してしまうリアルを追求した結果地味になってしまいがちなところをアニメ的なテイストを入れることと、アクションゲームの文法ですよね。巨大な敵を倒すことで爽快感を感じるというのは。僕らのスタジオが作ってきたアクションゲームの得意さはそこにあると思うのですが、この2つの得意な部分を掛け合わせて『VANQUISH』が生まれたと思っています。

―――ライバル的な存在である赤色のバトルスーツで身を包んだボギーは日本の敵キャラクターっぽいですよね。

稲葉:このゲームがアクティブなゲームである、アクションを駆使すべきゲームであるということは敵にもそれなりのアクティブさが必要になってきます。だとすれば、自分だけがヒーローというわけではなくそれを鏡に映すような存在がゲームの中で必要となってきますよね。更に自分の装備を凌駕するものが登場するゾクゾク感も忘れてはいけません。これはアニメでもよくある状況ですが、定番でもワクワク出来る状況はゲームに取り入れました。

―――総じて、作品としてアニメ好きな方もかなり意識したイメージがあるのですが、その辺のこだわりについても教えてください。

稲葉:昔のアニメと言わずに今にいたるまでのロボットモノのアニメが好きな幅広い世代が楽しめる作品になっていると思います。『ガンダム』シリーズや『マクロス』シリーズで育ってきた世代がこのゲームを遊ぶと、思わず笑ってしまうようなシーンがいくつか出てくるかもしれません。そんな人たちにも是非遊んでもらいたいですね。

また、一見、「難しそうなゲーム」というイメージがあるかもしれませんが、アニメ好きだろうが、アクションゲーム好きだろうが、最初から入り込めるゲームデザインになっています。「カジュアルオート」モードを選択すると自動照準になるので、楽なプレイではなく面白いプレイが出来るようになっています。楽なプレイだと面白みがごっそりと抜けてしまいますので。上級者でも一回目はカジュアルオートでプレイすることをオススメする位です。ゲーム進行は早くなりますが、その分ドラマを十分楽しめるんです。またクリア後にノーマルでプレイすることで得られる楽しみも残しています。

―――また、三上真司ディレクターのテイストも全編にわたって感じることが出来るんですね?

稲葉:三上真司ディレクターもいまでこそ東京にいますが、当時は大阪在住でずっと開発チームに張りついてもらいました。ゲームのクオリティ、撃って敵を倒す面白さや激しいアクション、全てにわたって三上ディレクターのこだわりが貫かれています。「キャシャーン」的要素に関しても、三上ディレクターはリアルタイムで見ているので、そのテイストと面白さを存分に『VANQUISH』につめこんでもらえたと思っています。

―――では、最後に読者の皆さまにも一言。

稲葉:TPSのようなシューターというと一般的に日本のみなさんには敬遠されがちですが、『VANQUISH』は前に出て行ってアクションを楽しむゲームです。アクションゲームファンだろうが、シューターファンだろうがアニメファンだろうがだれもが遊べる間口の広い作品となっているので恐れずにやってほしいなと思います。プレイさえしてもらえば満足してもらえる自信はもっているので是非一度プレイしてみてください。

―――ありがとうございました!