業界仕組みネタ2/CEATEC2009

Last-modified: 2010-09-27 (月) 23:31:59

【未来の技術はゲームを変えるか? CEATECレポート】Vol.1 3Dテレビ

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/13/38156.html
先週、幕張メッセにて国内最大のコンシューマーエレクトロニクスの祭典、CEATEC JAPAN 2009が開催されました。大手家電メーカーから部品メーカーまで多数のメーカーが出展し、今後の製品をアピールしました。

まず今年のCEATECで目立ったのは3Dテレビ(立体テレビ)。中でもソニーは「2010年に3Dテレビを家庭に」と大々的に展示。近年は映画館で3Dを楽しめる場所が増えていますが、こうした体験を家庭でも楽しめるようにすると打ち出しました。ソニーは過去、GDCやTGSで立体技術のデモを展示していますが、同様のものがCEATECでも体験できました。

ソニーブースではゲームや映画などを3Dで体験できました。メガネを装着する方式で、技術としてはGDCやTGSで展示されたものと同様のようでした。ゲームでは1分間の映像のみでしたが、『KIZLLZONE 2』『グランツーリスモ5』『リッジレーサー7』『WipeOut HD』『葛城ミサト報道計画』『MotorStorm Pacific Lift』など様々なタイトルが3D化されていました。典型的な例としては、メニューやHUDが前面に浮き上がる、野球ゲームでボールがプレイヤーに向かってくる、などの表現がありました。これは他社でもほぼ同様です。

東芝ブースが前面に押し出していたのはCELL REGZAで、これはPS3のメインプロセッサでもあるCELLの演算能力を活かしたテレビです。ブースでは単に3D表示に対応しただけではなく、CELLの能力を活かして通常の映像ソースを3D化する機能を備え、かつモーションによる操作に対応した最新テレビのデモンストレーションが行われていました。こちらもメガネを装着することで立体視ができるという技術です。高度な演算技術を手に入れることでテレビも変わっていきそうです。

三菱電機が展示していたのは、主にアミューズメント向けを想定した、82型の大型3Dテレビです。人の背丈よりも大きな大画面で、『バーンアウト パラダイス』『ミラーズエッジ』『Spore』『ギターヒーロー エアロスミス』『トゥームレーダー』といったゲームを3Dで鑑賞できました。こちらもメガネを使った技術です。アミューズメント施設であればメガネを使用するというハードルも簡単に越えられそうで可能性がありそうに思えました。

パナソニックも「FULL HD 3D」を2010年に発売するとして、ブースで大々的な展示を行っていました。こちらもメガネを使用する方式です。また、パナソニックブースではHDを超えた「4K2K」(3840×2160ピクセル)の超高精細テレビも展示されていて注目を集めていました。本当に綺麗なレース映像が映し出されていましたが、ゲームもこのような高解像度になる日がいずれ来るんでしょうね。

このように各社が力を入れて展示していた3Dテレビですが、課題はメガネでしょうか。現在確立されている技術ではメガネを用いることで最も綺麗な映像で3Dを実現できます。その一方で、メガネを利用することはそれだけでハードルを上げます。来年には3Dテレビが市場に出てきますが、どのように受け入れられるでしょうか(ゲームや映画はハードルは低めかもしれませんが)。

ちなみに情報通信研究機構(NiCT)では、メガネが不要な立体映像システムの開発も行っています。CEATECのブースではこちらも体験することができました。70型の大型ディスプレイで、左右に動けば異なる角度から映像を見ることができるというものでした。一方で、メガネを使ったものと比べると、鮮明さや浮き上がる度合という点では劣るようでした。

ともかく、来年には3Dテレビに合わせて、ゲームも3D対応が始まりそうです。どんな楽しみが増えるのか楽しみですね。

【未来の技術はゲームを変えるか? CEATECレポート】Vol.2 モーションコントロール

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/13/38169.html
Wiiで大々的にゲームに導入され、Xbox 360が「Project Natal」で、PS3も追随するモーションコントローラーですが、CEATEC JAPAN 2009の会場では、テレビに応用する例が多数見られました。

日立製作所は「ジェスチャー・リモコン」という名称で、手の動きで操作するテレビを参考出展していました。これはテレビの下に設置されたセンサー(カメラと赤外線)で手の動きを検知して、画面を操作できるというものです。デモでは地球を回したり、画像の拡大縮小を行ったりといったことが体験できました。

東芝ブースでは「3D CELL REGZA」でモーションコントロールもデモがされていました。実際に触ることは出来ませんでしたが、実演で写真を探したり、動画の再生バーを動かしたりといった様子が確認できました。こちらは距離センサー(空間モーションセンサー/赤外線)を用いた技術という説明がされていました。ただし、CELL REGZAのパンフレットには記載されておらず、こちらも技術展示のようでした。

沖電気ブースでも同社の画像認識LSI「NEX@EYE」を利用したジェスチャーリモコンが展示されていました。こちらはより技術デモに近い内容で、カメラの映像を認識して、両手の動きを補足して画面上に表示するほか、画面上のバーに触ることで、ブース内の電装が点いたり消えたりするという仕掛けが施されていました。

各社の技術を見ていくと、テレビでのモーションセンサーにはカメラによる平面的な動きの補足と、赤外線による距離の補足の組み合わせがキーになるようです(Natalも同様)。その要素技術としての画像認識技術はソニーやロームなどが展示していました。ソニーブースでは、カメラで撮影しながらリアルタイムで顔を認識したり、その顔の上にアニメのキャラクターを被せるといったデモが行われていました。高度な画像認識も次の技術として面白いものになりそうです。

【未来の技術はゲームを変えるか? CEATECレポート】Vol.3 位置+カメラ/AR

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/16/38231.html
iPhone向け頓知ドットが開発したアプリケーション『セカイカメラ』に代表されるようなAR(拡張現実)が注目を集めています。CEATEC JAPAN 2009の会場でも幾つかの事例を見ることができました。

au(KDDI)ブースにて展示されていたのは「実空間透視ケータイ」です。これは"液晶の向こう側を透視できる直感的ヒューマンインターフェース"で、6軸センサー(加速度、地磁気)から端末の姿勢を取得し、クリッピングするほか、加速度センサー、歩数計、基地局情報からユーザーの歩行、走行、停止、自転車(に乗っている)、電車(同)、自動車(同)、バス(同)という状態を推定するというものです。

これを応用したアプリケーションとしては、撮影した写真を地図の上にマッピングして足跡のように残す「地球アルバム」、自分の居る場所の名所や施設などの情報を取得する「トラベルビュアー」、居る場所の周辺のビル、公共施設、コンビニ、飲食店などの情報を直感的に配置する「MAWARIPO×実空間透視ケータイ」といったものが紹介されていました。

ライバルのドコモも空間を使ったコミュニケーションの提案として「友達レーダー、投げメール」というものを参考出展していました。友達レーダーは、待ち合わせなどをする際に、位置情報を利用して、カメラで写している画像の上に友達の場所をアイコンで重ねることで、簡単に友達を見つられるようにするというもの。投げメールは、同様に友達の方向を見ながらメールを「投げる」ことでメッセージの飛び方が変わるというものです。

また、Life Contents Frontierという複数社ブースでは、ヤマハと頓知ドットが開発している『セカイカメラ』とピアノ演奏アプリケーション『FingerPiano』を組み合わせたデモが行われていました。これは、ピアノを演奏するとその演奏情報と位置情報がセカイカメラのタグになるというもので、セカイカメラでタグをタッチするとその曲を演奏することができます。これにより、時間を超えて曲をその場所に残すことができます。

近年では様々な端末にカメラとGPSが標準搭載されていて、位置情報を取得するのが容易になっています。位置情報を使用しながら、カメラで写しだしている画像の上に情報を重ねるという手法はこれからも色々な方法で活用されそうです。

【未来の技術はゲームを変えるか? CEATECレポート】Vol.4 最終回

http://www.inside-games.jp/article/2009/10/16/38247.html
既に一週間前のイベントのレポートをだらだら書いているこのコーナー、早くも4回目で最終回を迎えようとしています。Vol.4では会場で見つけたその他の面白そうな展示を紹介していきます。

日立製作所が参考出展していたのは「よそ見」を感知するテレビ。設置されたカメラの映像を解析、ユーザーがよそ見をしている時にパネルを消灯し、省エネ効果につなげます。会場では女性がデモを行っていて、テレビから目を離して手元の雑誌を読むとパネルが消灯するという様子が見られました。凄くは無いけど、温かみを感じる技術かもしれません。

アルプス電気のブースで展示され注目を集めていたのは、感触フィードバックの技術です。画面を見ながら手元のボタンを操作するデモで、ボタンを押すと、その感覚が指先に伝わるというものです。通常の物理的な感覚に加えて、人工的な感覚を与えることで、決定、キャンセル、といった選択をより直感的に伝えることができそうです。

au(KDDI)のブースには次世代を見据えた、様々な実験的な技術が展示されていました。「ケータイカメラを利用した直感コントローラ2」は、携帯電話のカメラの部分に高弾性素材を装着して、それを動かし、カメラでその動きを感知、ゲームを操作するというものでした。また、携帯向けの3.9世代移動通信システム(LTE)では、高速回線を活かして、対戦ゲームのトラフィックを携帯電話で運搬するというデモが行われていました。

NTTドコモのブースでは、「眼で操作できるイヤホン」の展示がありました。これは、右を見る、左を見る、という2つの動作を組み合わせた様々なコマンドを用意、目の動きだけでボリュームの操作や再生/停止などを操作するというものです。イヤホンには電極が仕込まれていて、眼の動きを検出します。きちんと動作していて、面白い取り組みに感じました。

独立行政法人情報通信研究機構(NiCT)のブースでは、gCubik+iという裸眼立体映像ディスプレイも展示されていました。これは、立方体のガラスケースの中に、多数の小型液晶モニタがあり、観る方向によって異なる角度からの映像を見ることができます。手に取って観察できる距離での立体映像として楽しみになりそうです。

最新技術からは離れますが、ゼンリンは11月に発売予定のPSP向け『みんなのナビ』のデモンストレーションを行っていました。これは、ソニーのnav-u技術を採用したナビソフトで、いつでもどこでも簡単にナビを利用することができます。素敵なお姉さんがソフトを紹介していました。

技術の進歩によって進化してきたゲーム作り。これらの技術からゲームへと降りてくるものがどれだけあるか、楽しみですね。