さつまいも

Last-modified: 2021-12-02 (木) 02:13:56
 
 

ポテト好きの人間は信用できる
         ―A・A・ミルン―

 
 

噂によれば韓国では若者のさつまいも離れが深刻だという。
他国のことながらこれは全く嘆かわしい話で、さつまいもは決して蔑まれるような食品ではない。
さつまいもが好まれないとは、言い換えればその人達がさつまいものポテンシャルを引き出せていないという事に他ならない。
というわけで、ここではそういったさつまいもに関して無知ち無知な人達の為にさつまいも料理のイロハのイ、焼き芋の作り方について書いてみたいと思う。

 
 

焼き芋のメカニズム

 
 

彼を知り己を知れば百戦殆からず
            ―孫子―

 

まず焼き芋の魅力とはなんだろうか?
ほくほく感、ねっとり感など好みは人それぞれだが、誰もがあげる魅力と言えば、やはりその自然で優しい甘さだろう。英語でもさつまいもはスイートポテトだ。*1
だが生のさつまいもをガリガリと齧ってみても甘さなどは微塵も感じない。
そう、さつまいもの甘さは加熱する事で生み出されるのだ。

つまり?

つまり。
さつまいもの魅力はその甘さにある、だが生のさつまいもは甘くない。この甘くない生のさつまいもから如何に甘さを引き出すか、そこにさつまいも調理のトリックがある。
その鍵となるのはさつまいもに含まれるβ-アミラーゼという酵素。これがさつまいもに含まれるでんぷんを麦芽糖に変えてくれるのだ。
ほっくりと優しい甘さからねっとりと濃厚な甘さまでさつまいもの甘さは皆、こいつによっている。
だから焼き芋を活かすも殺すもこのβ-アミラーゼ次第ということになる。
そこでこの酵素を十分に活躍させなければいけないのだが、このβ-アミラーゼは割と気難しいタチで、糊化したでんぷんでないと麦芽糖には変えてくれない。その上熱にも強くない。
その為、美味しい焼き芋を作るにはさつまいもを加熱してでんぷんを糊化させつつ、アミラーゼを失活させない絶妙な温度帯で加熱する必要がある。

それじゃあ何度なのか?

でんぷんが糊化を始める温度が大体65~75℃、それでいてアミラーゼが失活してしまう温度は70度強。
つまり70度がさつまいもの甘さを引き出すのに最も適した温度と言える。
それなら70度のお湯に丸一日つけといたらめっちゃ甘くなるのでは?と思う人も居るだろう。
だが結局サツマイモがそのまま芋シロップになるわけでもないし、何よりさつまいもに含まれるペクチンがペクチナーゼという酵素によって硬化してしまう。
つまりそれでは柔らかい焼き芋にならないのだ。

どうしたらいいのか?

という事だが、ここでは普通にオーブンで焼く。
やり方は芋をアルミホイルで包んで150℃で90分以上じっくりと。長時間やるほどねっとり気味に傾く。
70℃はどこいったんじゃい!と思うかもしれないが、さつまいもの持つ水分の気化熱で温度が下がる為、問題無し。
逆に120℃を下回る温度で焼くと固くなってしまう。

纏め(実はここだけ見れば良い)

今までの内容をレシピの形でまとめるとこうなる

 

焼き芋の作り方
◆材料◆
さつまいも
◆調理方法◆
1.芋をよく洗い、アルミホイルで包む。
2.150℃に予熱したオーブンで90分~
(長時間やるほどねっとりした食感になる、求める仕上がりによっては3時間以上かける場合もあるようだが、その場合は温度を下げたほうが良いようだ。)
3.完成!

 
 

その他のさつまいもレシピ

◆適当マッシュポテト◆
◆調理方法◆
1.芋をよく洗い、ピーラーで皮を剥いて切る。
2.水から茹でて柔らかくなるまで待つ。
3.ボウルに上げてポテトマッシャーで潰す。
4.砂糖、バター、牛乳と混ぜて完成!
5.スイートポテトなら形成後に卵黄をハケで塗ってオーブンで焼くがそのまま食べても問題は無かったりする。

 
 

だれかかいて

 
 

*1 ちなみにもともとPotatoとはさつまいもの事を指す英単語だった、ジャガイモはその名を簒奪したに過ぎない。