エクスプレス76

ここに一人の少女が居る。

ロシア系の美少女らしい明るく透き通るような肌にパッチリとした目、艶のある黒髪を後ろで結んだ彼女は
個人用輸送装備"ウラジミール・エアギア・A"に乗り込み人々の望む物を運ぶ。
数百時間にも及ぶ連続飛行だろうと、困難な任務だろうと、彼女は決して笑顔を絶やさない。
贈り物を受け取った人たちの笑顔こそが彼女の喜びなのだから。

エクスプレス76は長時間の高々度飛行に必要な耐寒性と非常に高い肺活量、そして低空飛行に適したスリム
な体を持つ完璧な配達員として生み出された。
PECSの主要なメンバーであるウラジミール社は、彼女にポジティブな性格と快活さを与える事で最高の輸送
員とすることに成功した。彼女の明るく親切な普通とも言える性格は、ユニークなキャラクターの多いパブ
リック・サーバントの中ではむしろ珍しいと言える。

その生き生きとした様子が、彼女を見た目以上に輝いて見せる。彼女は何処にでも行くことでき、どんなに
遠く離れた国にも幸せを届けるのだ。

PECSコンソーシアムを構成する企業の内でも、ウラジミール社は独自の経歴を持っていた。
元々ロシアの航空会社だったこの会社は、大量輸送は出来ないものの維持費が安く滑走路も不要な輸送用バ
イオロイドの製造におけるパイオニアだったのだ。
PECSはロシアと同じく広い国土を持ち、かつ小規模輸送の需要があるアメリカにおいてもウラジミール社の
技術には需要があると考え、彼らに注目した。

交渉は簡単だった。バイオロイドを用いた産業ネットワークを強く望むPECSと、衰退したロシア市場を離れ
て世界で最も巨大な市場であるアメリカに参入したいウラジミール社の利害関係は完全に一致し、彼らは問
題なくPECSに参加する事ができた。

PECSにおいてウラジミール社の引き受けた産業は遠隔地への配送だった。彼らはその為のバイオロイドの開
発を行い、結果的に彼らにとって最高傑作となるバイオロイドが生み出された。そしてそれに彼らの前身で
ある航空会社が作り出した名作輸送機のナンバーを与えたのだった。

こうしてウラジミール社の最高傑作として生みだされたエクスプレス76は程なくしてアメリカの運送業界を
支配するまでになった。遠隔地への輸送においては既にバイオロイドの有効性が認められていたが、エクス
プレス76は通常の都市においても脚光を浴びたのだ。人々はこの明るく快活なバイオロイドからプレゼント
を受け取る事自体を楽しみ、エクスプレス76はPECSのベストセラーとなる事ができた。

その後に起きた連合戦争の時期には、戦闘を嫌うエクスプレス76は戦闘員にはならなかったものの、小規模
の部隊への輸送要因として非常に活躍した。彼女は戦争に対応する為に耐久性を強化され、滅亡戦争の時期
まで活躍し続けた。

1. 価値観

エクスプレス76は利他的で、他者の幸せを自分の幸せのように感じる。性格は明るく楽観的、ネガティブな
所が全くない。
贈り物を受け取った人と一緒になって喜ぶ彼女の可愛らしい面が評判となり、沢山の人が彼女に配達しても
らう事を望んだ。中には彼女の事をアイドルの様に思う者も居た。

その性格の為、彼女にちょっとした悪戯をしかける人も多かった。
セクハラになるような製品を配達させる悪戯がかつて流行したが、性的な教育を受けていなかった彼女は様
々な反応を返して人々を楽しませた。

2. 関係性

基本的に性格が良く、社交性も良いエクスプレス76の特性上、彼女と仲の悪いバイオロイドは殆ど居ない。
また一部の捻くれた性格を持つバイオロイドでも彼女を嫌う事は殆どない。
それに彼女は所有者に執着を見せることが無い為、主人に執着するバイオロイドからも競争相手としてみな
されない。それどころか自分の心を伝える為の協力を求める事さえあるほど、彼女はどんなバイオロイドと
も仲が良い。

3. 振る舞い

エクスプレス76は明るく元気な為、大抵の場合は他のバイオロイドから悩みが無いと思われている。
また所有者や他のバイオロイドを問わず誰に対しても親切な為、過去には所有者がそれに不満を覚える事も
あった。しかし、それらは彼女の内心を知らないが故の誤解だ。
彼女は皆の幸せの為に努力する事に強い義務感を抱いているが、それでも主人の事をとても大事に思ってお
り、たとえ激務に追われている時でもそれを忘れる事は無い。
ただ彼女はとても照れ屋で恋愛にも疎い為、それを上手く表現できないのだ。

荷物配送

エクスプレス76は直接的な戦闘能力を何も持っていない。その代わりに彼女は小柄な体格に比べて非常に大
きな力を使い、周囲の物を質量兵器として利用する事ができる。
戦闘機能は無くとも投げる事の出来る物が多くあれば、そこが彼女にとって最高の戦場になるのだ。

投擲物はランダムで変わる
廃車	ATM	H鋼

宅配便です！

エクスプレス76は、かつて自分の宅配がどれだけ人々を幸せにしたかを知っている。単純な輸送任務であっ
ても、彼女は過去の喜びを伝える為にかつて使われていた配送用の箱を製作して届けている。

宅配の様子

宅配物を受け取り嬉しそうなヴァルキリーさん

ワーカーホリック

エクスプレス76の義務感は少々行き過ぎている。
彼女は自分が他者を助ける事が出来たと感じた時に大きな幸せを感じ、そこから新たな力を得る。

宅配便かな？

彼女が仕事を始めると、その仕事を知る多くのバイオロイドが、ワクワクした気持ちになる。
特に司令官が彼女を使って物品の輸送を行う事はよく知られており、彼女から司令官のプレゼントを受け
取る事はバイオロイドにとって一つの憧れでもある。

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