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Last-modified: 2024-05-06 (月) 23:22:55

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おあしす

過去のおあしす1
過去のおあしす2
過去のおあしす3
過去のおあしす4
過去のおあしす5
過去のおあしす6
過去のおあしす7
過去のおあしす8

フォトレス

 崩れ落ちそうなビルと、もう崩れ落ちたビルが立ちならぶ間を、一台のフォトレスが歩いていた。
 いたるところに瓦礫が山をなし、その隙間から雑草が生えのびて、もはやどこからどこまでが路面なのかもよくわからない灰茶色の道路を踏みしめて、フォトレスはゆっくりと歩いていた。

「だいぶやられてるっすねえ、このへん」ブラウニーが言った。
「旧時代にはこの地域の中心都市だったそうですから。鉄虫も相当来たのでしょう」ヴァルキリーが答えた。
 そのフォトレスの胴体上面には、本来あるはずの機関砲がない。そのかわり、軍用バギーのものを流用した座席が二つ溶接されており、ブラウニーとヴァルキリーが座っている。ブラウニーはハンドルを握っているが、それはただ手すりがわりに付けてあるもので、運転しているわけではない。
「なんか残ってるといいっすねえ」ブラウニー6301が言った。
「それを探すのです」ヴァルキリー485が答えた。
 人類抵抗軍カゴシマ拠点守備隊、第27偵察分隊。それが今のフォトレス7927の所属である。

* * *

《こちらは人類抵抗軍オルカです。当方に戦闘の意志はありません。救助を希望する方がいれば……》
 ブラウニーの声が、瓦礫の山の向こうへ流れて消えていく。
 同じ台詞を何度か読み上げたあとで、ブラウニーはマイクを置いて、枯れてきた喉をボトルの水でしめした。
 この都市に集まっていた鉄虫は先日、人類抵抗軍の艦隊が駆逐した。第27偵察分隊の任務は利用可能な物資の調査と、生存者の捜索である。
「動きが見えませんね。警戒されているのでしょうか」
 これほどの規模の都市なら、隠れ住んでいるバイオロイドがいてもおかしくはない。鉄虫に支配された街でも、少人数なら目をのがれて暮らすことは難しくないのだ。人類抵抗軍は、そうしたバイオロイド達を積極的に勧誘し、自軍に加える方針をとっている。
 先日など、そのためにわざわざライブを開催し、その模様をPVにして配信したという。
「音楽でも流してみるっすか」
 ブラウニーがダッシュボードのボタンを押すと、フォトレスの胴体に取りつけられたスピーカーから今度は明るい音楽が流れ出す。
《ふと見上げた空に 光り輝く星 はるか遠い星が……》
「フォトレスはどう思うっすか? 生き残りがどこにいるか」
「私にこのような状況における判断の知見はありません」
 ブラウニー6301はしばしば、フォトレスに意見を訊ねてくる。歩兵の盾として作られただけのAGSに、高度な専門知識があるはずもないのに。
「……ですが可能性としてはヴァルキリー485の言うとおり、我々を警戒して距離をとっていることがありえます。他には、たとえば都市周辺の山野に本拠地を置き、都市部には定期的に物資調達に来るといった居住形態であれば、現在無人であっても不自然ではありません」
「なるほどっすね」ブラウニーが大きくうなずいた。
「周辺の山地も捜索範囲にふくめましょう」ヴァルキリーも言った。「市街をひととおり探して見つからなければ、入ってみることにします」
「そういや、アクセサリー屋とかあるっすかね?」
「これだけの都市なら、どこかにはあるでしょう。必要なのですか?」
「仲間に頼まれてるっす。最近うちのレッドフード隊長が、オルカのレッドフード隊長の影響で服を集めだしたんで、自分たちもオシャレしやすくなったっす」ブラウニーは笑って髪をかき上げ、左耳につけたささやかなピアスを見えるようにした。
「中佐は、なにか探したいものないっすか?」
「私は別に……ああ、小さくて良いナイフがあったら一、二本ほしいですね。民生品であるかわかりませんが」
「フォトレスは?」
「特にありません」答えてから、フォトレスはもう一度自己診断プログラムを走らせて、「強いて言えば、潤滑油が調達できると稼働効率があがります」
「よーし、アクセとナイフとオイルも探すっす!」
 ブラウニーは朗らかに言った。ブラウニーはほとんどいつでも朗らかだ。かつて人類がいた時代から、常にそうだった。フォトレス7927はもうあまりその頃のことを覚えていないが、ブラウニーの笑い声だけは、記憶回路の底にいくつも残っている。

「埋まってたっす……」
 大通りの両脇に設けられた小さな下り階段の入り口から、ブラウニーがとぼとぼ戻ってきた。
 バイオロイドは基本的に、人間の所有物を勝手に使うことはしない。それは本能に近い刷り込みである。それゆえ人類がいなくなった現在でも、生き延びたバイオロイド達が人間の住居や宿泊施設に寝泊まりしていることはまずない。都市で暮らすならば、住み処とするのは誰でも出入りできて、雨風をしのげる公共の建造物。地下街などはその筆頭である。
「地図で見るかぎり、この真下の地下街が一番大きいのですが……」
 ヴァルキリーがタブレットと地図を何度も見比べる。フォトレスの音響索敵システムでも、この下に細長い大きな空洞が現存しているのは確かだ。しかし、見つけた入り口は今のところ、すべて崩落している。
「この先で地下街は終わっていますし、もう入り口は……」
「あっ、あれ! どうすか!」
 あたりを見回していたブラウニーが、ぱっと近くのビルを指さした。銀行か何かとおぼしきそのビルのエントランスの片隅に、青いマークの看板が出ている。地下鉄を表すこの国の標識だ。
「あそこも地下へ通じてるんじゃないっすか?」
「見てみましょう」
 ブラウニーとヴァルキリーが小走りに近づいて、中を覗く。すぐにヴァルキリーが戻ってきて、
「中へ入ってみます。崩落にそなえて、フォトレスさんはここで待機。私たちの位置を捕捉しておいてください」
「了解しました」どのみち、あんな細い階段はフォトレスには下りられない。
 ヴァルキリーはフォトレスの脚の裏側にあるトランクケースを開けて、懐中電灯、ロープ、有毒ガス検知器などの装備一式を引き出す。
「オイルもちゃんと探すっすからね! 楽しみに待っててほしいっす!」
 手を振るブラウニーとそれをせかすヴァルキリーを見送ってから、フォトレスは位置センサーを起動した。
〈聞こえますか、フォトレスさん?〉
「はい、お二人は地下4.7メートルを北北西方向に移動中です」
 通信感度に問題はない。それでもフォトレスは冗長性確保のため、音響センサーに指向性マイクをつないで、音波でも二人の位置をトレースすることにした。
(……焚き火…………りますね……)
 ややくぐもっているが、会話が拾えた。ヴァルキリーの声だ。
(……ヶ月くらい前っすかね? 誰かいたことは確かっすね)
 どうやら、生存者の痕跡を見つけたらしい。二人の移動が停止し、カサカサ、キリキリと高周波数のノイズが増える。あたりを捜索しているのだろう。
(……ブラウニーは、あのフォトレスさんと付き合いが長いのですか?)
 捜索中、ヴァルキリーが唐突に自分の名前を出した。
(いいえ? 今回の遠征が初めてっす)
(そうでしたか。たいへん仲がいいようでしたので)
(そりゃそうっす。フォトレスのおかげで命拾いしたことがないブラウニーは、フォトレス配備前に死んだブラウニーだけっす)
 しばらく、瓦礫を取りのけるような音だけが続く。
(……スチールラインジョークっす)
(あ、そうなのですか)
 そうだったらしい。
(でもブラウニーなら誰でも、フォトレスに何度も何度も命を助けられてるのは本当っす。だからブラウニーはみんなフォトレスが好きっす。もちろん自分もっす!)
(よくわかりました)ヴァルキリーのくぐもった声は、なぜだか微笑んでいることを察知させた。(オイル、あるといいですね)
(はいっす!)
 フォトレスは音響センサーの感度を下げ、位置だけを把握するモードに切り替えた。うまく言語化できなかったが、それ以上会話を聞くのは礼儀に反すると、メモリの中の何かが言ったのだ。

「ただいまっす!」
 54分後、ヴァルキリーとブラウニーは2ブロック先の別のビルにある階段から出てきた。痕跡だけで、生存者は見つからなかったようだ。
「でも収穫はあったっすよ。ほらこれ!」
 ブラウニーが両手に抱えているのは、大量の雑誌であった。「本屋さんがあったんで、観光ガイドっぽいの全部持ってきたっす」
「私たちの地図は公共ネットワーク上に残っていたものですからね。現地の情報は大事です」
 ヴァルキリーも頷く、二人で地べたに雑誌を広げようとしたので、フォトレスはいそいで脚を一本さしのべ、テーブルのかわりにした。

 ガイドブックのおかげでその後の市街捜索はスムーズに進み、宝飾品もナイフも無事見つかった。そして驚いたことに、潤滑油も見つかった。
 オートバイ専門誌によれば、この街には知る人ぞ知るバイク修理の名工がいたそうだ。彼の腕をたよって海外からも愛好家が訪れるほどだったという。工房のあった住所を訪れるとむろん破壊されていたが、よく探してみると建物奥の倉庫が無事だった。そこに大量の機械部品や整備ツールがストックされていたのだ。
「これとか、見た感じ高級っぽくないっすか?」
 とブラウニーが持ち出してきたのが、モリブデン配合アルミニウムコンプレックスグリースの完全密封品だった。ラベルの表示が確かなら、SS級AGSに使われてもおかしくない純度だ。ためしに一包み開けて、グリスガンを使って脚部関節に差してもらったところ、駆動音が2.7%も低下した。
「あんまり変わった気がしないっすけど……」
 バイオロイドにはこの夢のようになめらかな低トルクが理解できないらしい。フォトレスは自分の自己実現感情係数がいかに高まっているかを伝えようと、意味もなく何度も膝関節を屈伸させた。
「たいへん快適です。ありがとうございます」
「喜んでもらえたならよかったっす!」
 笑顔になったブラウニーの腹がぐう、と大きく鳴った。ヴァルキリーが笑う。
「今晩休むところを探しましょうか。ちょうど、行ってみたいお店を見つけたんです」

* * *

 半分だけ焼け残った木のドアを引き開けると、奇跡的に残っていたドアチャイムがカラン、と鳴った。
「よかった。かなり状態がいいですね」
 ヴァルキリーが向かったのは、ガイドブックに載っていた喫茶店だった。
「食べられるものはもうないと思うっすが」
「インテリアの雰囲気がとてもいいと書いてあったので……あ、ほら、このカップとか」
 ヴァルキリーは埃の積もった店内のあちこちを懐中電灯で照らして満足げな顔になる。ブラウニーもおっかなびっくり後に続いたが、やがて古めかしいソファの埃をはらって腰を下ろした。
「あーなるほど……ちょっと落ち着ける感じっすね」
「ここをひとまずの拠点にしてもいいかもしれません。日が落ちる前に、掃除だけでもしてしまいましょう」
 二人はそのまま窓を開け、割れた家具を片付けたり、埃やガラスのかけらを掃き出したり、バタバタと立ち働き始めた。言うまでもなくAGSが入れるような広さではないので、フォトレスは壁の外に待機したままそれを観察していたが、ランタンを吊す場所をさがして右往左往しているらしいブラウニーを見て、妥当性と合理性の観点から論理回路がある提言を導き出した。
「ブラウニー6301。提案があるのですが、よろしいでしょうか」
 配電盤のパネルを開けて、フォトレスのバッテリーから伸ばしたコードをつなぐと、店内の照明がぱっと灯った。
「おおー!」
 ブラウニーが飛び跳ねて喜ぶ。配線が生きていて幸運だった。戦闘機動で消費するエネルギーに比べれば、小規模な民営店舗一軒分の消費電力など微々たるものだ。
「レンジと電気ポットも動きますね。夕食にしましょうか」ヴァルキリーも嬉しそうに言った。
「音楽かけましょう、音楽! フォトレス、なんかないっすか!」
 ブラウニーの要請は時々ひどく抽象的で困る。フォトレスはしばし回路を空転させたあと、ライブラリの中から「Gray Clouds」を再生した。
「おっ、いい感じ」
「ロイヤル・アーセナル中将の歌ですね」
「あの人ものすごいドスケベだって聞きましたけど、本当なんすかね」
 喋りながら室内の二人は湯を沸かし、携帯食料を温め、テーブルを拭いて食事をはじめる。フォトレスも静かに関節負荷の小さい姿勢にうつり,待機モードに入った。
「こんな綺麗なカップで飲むと、インスタントコーヒーも美味しく感じるっすねえ」
「割らずに持って帰る方法をあとで考えないといけませんね」
 店内の会話を聞きながら、フォトレスは今日一日のデータの整理にとりかかる。
 フォトレス7927は、旧時代のことを断片的にしか記憶していない。緊急節電モードで休眠していた数十年の間にストレージに欠損が生じ、データが失われてしまったのだ。それと一緒に火器管制プログラムも破損してしまったため、7927は機関砲もシールドカノンも扱うことができない。完全に失われたのではなく、壊れたデータが一部残っているのが厄介で、復旧するには人格モジュールごと初期化するしかないそうだ。
 通常であれば迷わず初期化か、さもなくば廃棄だ。フォトレス7927も当然そうなるものと予期していた。しかし、7927を再起動したフォーチュンは言ったのだ。
「なにか、あなたがやりたいことや、試してみたいことはない?」
 フォトレスは沈黙した.そのようなことを思考したことはなかったからだ.数千秒を費やした長い自己診断の果てに,フォトレスは答えを出した.
「私は、また仕事に就きたいです。兵士を守る仕事に。できれば、スチールラインの皆さんとともに」
 自分にそのような願望が存在することを、フォトレス7927はその瞬間まで知らなかった。しかし、自覚してみれば、確かにそれは存在していたのだ。
 働きたい。兵士の、スチールラインの役に立ちたい。役目を十分に果たしたと思えるまで、消えたくない。
 フォーチュンは拠点の上層部と相談し、この仕事を見つけてくれた。フォトレス7927は、「感謝」そして「満足」という感情の意味を理解したと思っている。

 すでに日は落ち,あたりは深い藍色に沈みかけていた.唯一照明のついているこの喫茶店だけが,浮き上がるように明るくかがやいている.
「……?」
 フォトレス7927はセンサーにわずかな熱源反応を感知した。1ブロックほど離れた所に、バイオロイドが二体いる。
 生き残りのバイオロイドだろうか。こちらの様子をうかがっているようだ。何度も立ち止まりながら、少しずつ近づいてきている。
 熱源の強度があまり強くない。生命活動が弱っている。じゅうぶんな食事をとっていないに違いない。そういう者にとって、灯のともる飲食店から音楽と人声が聞こえるということがどういう意味をもつか、フォトレスにも類推できる。
 来訪者のために、ヴァルキリー485は熱いコーヒーをいれるだろう。ブラウニー6301はパンをトースターで温め、チョコレートの包みを開けるだろう。
 フォトレス7927は音楽を邪魔しないようモーターの回転を落とし、センサーライトの光量も下げた。そして、かれらが勇気を出して道路をわたってくるのを、しずかに待った。

End

エクスプレス

 かるくお尻を突き出すようにして、腰部ソケットにアームを接続する。
 モジュールにデータが流れ込んでくるのを確認し、エンジンに火を入れる。ソロヴィヨーフD99ターボファンエンジンの重い振動が、すぐに空気を引き裂く甲高い唸りに変わっていく。
 まわりでも次々に暖気がはじまる。無数のエンジン音が、夜明け前の薄闇を下から持ち上げていくような、この瞬間がエクスプレス76・3128は好きだった。
「今日、どこ?」
「南沙諸島。最初は」
「じゃ、いっしょだ」
 通りすがりに声をかけてきた姉妹が、ニコッと笑って隣のユニットにつく。大型貨物用のウラジミール・エアギア拡張フレーム3Lタイプは大きすぎて、飛行ユニットを背負っているというより、飛行機の先端に人がくっついているように見える。自分もそう見えているのだろうな、と思いながらバイザーを下ろすと、隅の方で光っていた黄色のインジケーターが、ちょうど緑色にかわった。離陸許可の合図だ。
「じゃ、行きますか!」
 エンジンの唸りがさらに一段高くなり、17人のエクスプレス76と、183機のドローンが一斉にニャチャンの空へ舞い上がる。そしてくるり、と全員で管制塔のまわりを一周してから、めいめいの目指す方角へ出発した。
 南シナ海は今日も晴れ。配達日和だ。

 人類抵抗軍オルカの拠点は、アジアを中心として世界各地に存在する。それぞれの拠点は農畜水産、採鉱、食品加工、機械製造など抵抗軍を支えるための役割を担っていると同時に、隊員たちの生活の場でもある。生産した物資はオルカへ運ぶが、それだけでなく拠点どうしの間にも需要と供給が発生する。そのため抵抗軍には数百人のエクスプレスと、数千機のドローンからなる輸送隊が存在し、日夜世界の空を飛び交っているのだ。
〈G8f、A2v、D9o、S9v……〉
 無線から流れてくる暗号通信を、手もとのタブレットの解読キーと照合し、地図と見比べる。どの拠点からどの拠点へ行くにも必ず複数のコースが設定されており、天候や風向き、そして鉄虫とレモネード勢力の動向に応じて最善のコースを選択する必要がある。
「今週ずっと荷物多すぎない?」
「大きな作戦が近いらしいよ。あとほら、クリスマスが来るし」
「クリスマスかあ。南半球行くとぜんぜん暑いのにねー」
 とはいえ今日の最初の目的地まではせいぜい二、三百キロ。東向きのジェット気流に乗ってしまえば、雑談をしながらでもあっという間だ。オレンジ色のバイザーにするどい光がさし、エクスプレス3128は目を上げた。飛行速度のぶんだけ加速のついた朝日が、みるみる昇ってくる。眼下を流れていた何か暗いもやもやしたものが橙色になり、すぐに真っ白の雲海に変わる。おかしいくらいの速度で夜が朝になる、この光景もエクスプレス3128は好きだった。
 雲の切れ間から、目を射るような濃い藍色の海と、そこへ緑のかけらを撒いたようなちっぽけな島々が見えてきた。そのかけらの間にぬっと立つ鉄灰色のプラットフォームへ向けて、エクスプレス隊は降下コースに入った。

「やあ、待ってたよ」
 ヘリポートでは、くわえタバコのダッチガールが出迎えてくれた。挨拶もそこそこに、ウラジミールからコンテナを下ろしてチェックを始める。
「えーっと、小麦粉20袋、冷凍豚肉と冷凍野菜が5ケースずつ」
「米10袋、缶詰セット50カートンに、機械油と洗浄液と……」
「タバコあるかな」
「カップ麺頼んだんだけど」
 ほかのダッチガールがわらわらと寄ってくる。ここのヘリポートにはいつ来ても、タバコ休憩中のダッチガールが何人かたむろしている。原油の採掘をしているから、建物内は火気厳禁なのだろう。
「砂糖が先週より多い気がする」
「そうなの!」3128はにっこりした。「フーイエンの製糖工場の改修がやっと終わって、増産第一号よ」
「それは嬉しいな。お菓子のメニューが増えるかな」ダッチガールは破顔した。笑うと年相応の子供っぽさが見える。海上採掘プラットフォームは外界から隔離された苛酷な労働環境で、しかも働いているのは大半がダッチガールだ。食料、特に嗜好品類は優先して配給するようオルカから指示が出ており、皆もそう心がけている。
「あとこれね、今週分」
 最後に、小型コンテナから大きな郵便袋を取り出すと、遠巻きに見ていたダッチガール達がわっと寄せてきた。
「待った、待った! こっちでいったん預かって、ちゃんと配るから」
 受付担当のダッチガールがあわてて皆をせき止める。拠点間はもちろん通信ネットワークで繋がっており、メールや通話は自由にできるのだが、それでも物理的な手紙のやりとりを好むバイオロイドは一定数いる。個人的な買い物や贈り物なども、意外とあったりする。
 エクスプレス的には、そういった細々とした品こそきちんと一人一人に届けたいのだが、仕事の量を考えればそうも言っていられない。現に今も、次の配送の時間が迫っている。
「このあとヨッカイチに行くのって、どっち?」
「私」エンジンの回転を上げながら3128が手を上げると、ダッチガールは隅にあった小さなトランクを差し出した。
「これ、向こうのフォーチュンに渡しておいてくれるかな。先週当たった新しい地層のサンプル。よさそうな石があったら、本式に採掘するから。うちらも増産、効くと思うよ」
「ありがと、了解。じゃまた!」

 南沙諸島から海を越えて、ミンドロ島の農業拠点へ。ニャチャンから一緒だったエクスプレスとはここで別れ、別の姉妹と合流して、イリオモテ島のサトウキビ農園へ。オキナワの牧場で別のもう一隊と合流し、海上をさらに北東へ一千キロ。明け方から正午まで、地面に足をつけていたのは合計しても一時間に満たない。
「交代します」
「お願いね」
 編隊を組んで長距離を飛ぶときは、縦列になって風の抵抗を減らす。先頭は寒いので、定期的に交代する。旧時代から変わらず受け継がれてきたノウハウだ。
「私サッポロ所属なんだけどさ」風よけができたので昼食のキンパを取り出して頬張りながら、3128は後ろのエクスプレスに話しかけた。
「今年は雪まつりっていうのやるんだって。みんなで雪像を作るの。あなたのとこ、クリスマス何かやる?」
「普通にパーティかなあ。うちアウローラさんがいるから、ケーキ超美味しいんだ」
「えー! いいなあ。ドローンさんとこは?」
「マニラ拠点では隠し芸大会が行われます。ノースカロライナ工場第二組立ラインに伝わる一発芸『四輪駆動』を披露する予定です」
「何それ超気になる」
「前方、雲が切れてます。迂回しますか?」
 先頭のエクスプレスc96T1の声に、みな雑談を止めて一斉に前を向く。
「あそこ、シアーあるね。低気圧速いな」
「上昇して飛び越えますか」
「今ちょうどジェット気流の下だからねえ。これだけ人数がいれば突っ込めない?」
「いやー、北回りでよけよう。みんな、密集隊形ー! 雲の中入るよ!」
 ウラジミール・エアギアは大型航空機による空輸よりもはるかに燃料効率にすぐれ、小回りがきくのが強みだが、小型なぶん風に弱い。航空機の何倍も慎重に天気図を読みながら飛ばなくてはならない。
「うひー」
 襟首をつかんで上下に振り回してくるような風に、なんとか水平を保ちながら前のコンテナを追いかける。航空用バイオロイドの強化された肺でも、凍てつくような雲の中で呼吸するのは楽ではない。
「結局私たち、いつでもどこでもやること変わってないよねえ」まとわりつく冷たい水滴を振り払いながら、3128は思わず近距離通信でぼやいた。
 旧時代からずっと、平時でも戦時でも変わらず、エクスプレスは空を飛び、荷物を届けつづけてきた。滅亡戦争では武器を持ち、前線で戦った姉妹もいくらかはいたが、主な任務はやはり輸送だった。主人が誰であろうと、運ぶものが何であろうと、エクスプレスのすることはずっと変わらない。
「それだけ我々の役割が普遍的だということです」とドローン。
「どこでも同じなんてことはないですよ」エクスプレスc96T1が言った。「オルカは素敵です。他のどこよりも、ずっと」
 c96T1は北米にいたエクスプレスだ。バンクーバー作戦で救出され、その後志願して輸送隊に加わった。彼女の言葉はさすがに重みが違う。3128は頭を振り、雲の暗さと寒さがもたらしたふいの憂鬱を振り払った。エクスプレス型は人なつこい性格に設定されているゆえに、孤独に弱い傾向がある。昔から単独での長距離輸送には向かないとされ、その分野ではドローンが主流だった。
「c96T1はさ、いまの所属どこ?」
「グアムです」
「そっかー。グアムいいらしいね、年中あったかくて」
「はい。妖精村の皆さんが、とても良くしてくれて……明日帰るのが楽しみです」
 c96T1の声からは、ほころぶような微笑みが伝わってくる。今は孤独ではない。エクスプレスはバイザーをもう一度引き下ろし、周囲の雲に目を配った。オルカにいるかぎり、誰も孤独ではない。

 ヨッカイチ拠点はオルカの工業生産拠点の中でも最大のものの一つだ。見渡すかぎりタンクやパイプや煙突が立ち並ぶ中を、隊列を分散して縫うように降下していく。
「待ってたわ~!」
 出迎えに出てきたフォーチュンは、南沙諸島で預かってきたトランクを抱きしめんばかりに受け取ると脇目も振らず駆け去っていった。もう一人の出迎え、イグニスが苦笑して頭を下げる。
「すみません、あとは私が確認しますので、休憩していて下さい」
「はーい。先頭のが私信類、うしろの二つが衣類とお菓子とか。残りはぜんぶ部品です」
 ここほどの規模になると、近隣に生活のための拠点を別に置いており、食料や生活資材はほとんど自給している。限られた特産品の類いをのぞいて、外部から持ち込まれるのはほとんどが加工前の部品や材料。そして、持ち出されるものは完成品だ。
 搬入ポートにコーヒースタンドがあるのも、大規模拠点ならではだ。十数時間ぶりに椅子に腰かけ、熱いカフェラテとドーナツをゆっくり味わう。おいしい。
「エクスプレスさん、エクスプレスさん!」
 ぼーっと外を眺めていると、店員をしているアクア型がくいくいとシャツのすそを引っぱってきた。
「なに?」
「えへへー、見て見て」
 自慢げに突き出したエプロンの胸には、大きなバッジが輝いている。水しぶきとパラソルと太陽、そして飛び跳ねるシャチのマーク。
「え、これ……もしかして、アクアランド!? 行ったの!?」
「くじで当たったの! いいでしょー!」
「いいなー! どうだった? どんな所だった!?」
 それはしばらく前から、あらゆる拠点で噂の的になっていた。オルカがどこかに建設したという夢の大型レジャー施設、アクアランド。プールあり、ウォータースライダーあり、VRゲームセンターあり、エステあり、フードコートあり……あまりに夢のようなので実在を疑う声すらあったが、こうして実際に行ってきた者が着実に増えている。輸送隊の中にも行ってきたというエクスプレスがおり、もちろん3128も毎週くじに応募していた。
「すごかったよ! ものすごくおっきなドームの中に、波の出るプールがあってね、滑り台があってね、お姉ちゃん達が飲み物を売っててね……」
「司令官はいた? 司令官が自分でエキス売ってるっていうのは本当?」
「うーん、司令官には会えなかったな……でも『私が出しました』っていうCMはおっきなテレビで流れてた。よくわかんないけど」
「そっかー。それじゃあさ、あれは本当?……」
 夢中になって話を聞いているエクスプレスの肩に、誰かが遠慮がちに触れた。振り返ると、さっきのイグニスだ。
「あの……お待たせしました。搬出物、揃いました」
 言われてポートを見れば、さっき降ろしたコンテナはいつのまにか姿を消し、かわりにもっと大きなコンテナが整然と並んでいた。
「本命です。よろしく」
 エクスプレスの背丈より二倍も高い、重量級コンテナが十台。3128はため息をついて、ぬるくなったカフェラテの残りを飲み干し、それからおなかに力を入れて息を吸いなおす。最後にこれが来るのは、朝からわかっていたことだ。
「よっし、行きます。コーヒーごちそうさま!」

 「本命」とは、拠点間のやりとりではなく、オルカに届ける資材という意味だ。抵抗軍の首脳部と最精鋭の戦闘部隊、そして何よりも人間の司令官がいるオルカへは、あらゆる物資が最優先で届けられるし、品質も最高のものが選び抜かれる。運ぶ方の気も引き締まるというものだ。そしてまた、運び方自体もすこし違う。
「えっと今日は……ザヴィチンスク集積場だったよね」
 記憶をたよりにユーラシア大陸の奥深く、旧時代のロシアと中国の国境付近にある山間の平地に到着した時には、すでに太陽は山の向こうに沈みかけていた。
「お疲れ様!」
 かつて小さな街があったらしき廃墟の一隅が、ならされて広大な発着場になっている。重たいコンテナの安定を取りながら降りていくと、先に来ていたエクスプレスがにこやかに手を上げた。タグ情報の「005」というIDを確認して、3128はちょっと緊張して会釈をする。
 オルカがどこにいるかは、鉄虫にもレモネード陣営にも決して知られてはならない最高機密だ。世界中を移動している頃はよかったが、ヨーロッパのどこかに腰をすえた(らしいとは3128も聞き及んでいる)今、その正確な位置は輸送隊にさえ秘密にされている。最古参のたった十人のエクスプレスだけがその座標を知っており、他の隊員は世界各地に設けられた集積場(その座標は暗記しておかねばならず、端末には記録されない)で、オルカへの貨物をかれらに引き渡すのだ。
「私が最後ですか?」
「いやー、まだまだ。あと三往復」
 砂利の敷かれた集積場にはすでに数個のコンテナが並んでおり、3128の運んできたコンテナとの連結を待っている。砂利の乱れ方を見れば、今日だけでも相当量の貨物がすでに運び込まれ、そして運び出されたのがわかった。005は朝から休まず飛び続けていたに違いない。笑顔の陰に隠せない疲労のあることは、同型機だけによくわかる。
 集積場からオルカまでの航路は拠点間航路より何倍も複雑に隠蔽され、聞くところでは一箇所につき数十ものルートを暗記し、天候と戦術情報に応じて使い分けなくてはならないという。休日も少なく、内勤中は戦闘部隊に編成されることもあるらしい。憧れのオルカに出入りできるとはいえ、羨ましいとは思わない。ちょっとしか。
「3128はサッポロだったよね。オルカからの荷物、これね」
「はーい」
 小さな段ボール箱を受け取る。オルカはむろん生産を担当してはいないが、オルカから供給されるものもある。内勤の隊員からの私信はもちろん、司令官の生写真だとか、最近作られ始めたオルカ公式グッズだとかだ。
「それから、これ!」
 005がみょうに嬉しそうに、ぱんぱんに膨らんだ紙袋を押しつけてきた。中にはポプリのような、小さな包みがいっぱい入っている。一つ取り出して匂いをかいでみると、
「お茶?」
「そう! アクアランド、知ってるでしょ。あそこの地下に農場があってね、そこで作ってるの」
「へえー」
 オルカに食料品を運ぶのはしょっちゅうだが、オルカから食料品が運ばれてきたのは初めてだ。物珍しさでためつすがめつしていると、005がクスリと笑った。
「司令官がね、いつもオルカを支えてくれる隊員に何か恩返ししたいんだって。それでわざわざお茶を作って、みんなに配ることにしたんだってさ」
「恩返し」想像もしなかった言葉だ。
「帰ったら、みんなに配ってよ」
「…………」小さな包みを振ると、カサカサという音がした。3128はしばらくの間、無言でその包みを眺めていた。それからゆっくりと笑顔になり、力強く胸を叩いた。
「まっかせて下さい!」
 肩かけのメッセンジャーバッグを出して紙袋をしまう。荷物をすべて吐き出したウラジミールが、おかしいくらい軽やかに夜空へ舞い上がった。
「あれ? じゃあ、アクアランドってオルカと同じところにあるんですか?」
「ひみつ」

 本来、輸送中に積み荷を開けたりすべきではない。それでも我慢できなくなって、雲の上に出たところで3128はバッグの中へ手を突っ込み、小さな包みをひとつ取り出した。よく見ると、包み紙にはアクアのバッジと同じ、シャチのマークがプリントされている。
 サッポロに帰って、これを配るところを想像してみた。司令官がみんなのために作ったお茶。みな、驚いてぽかんとするだろう。それからだんだんと、わけもなく嬉しくなって、じっとしていられなくて、踊り出したいような気持ちになるに違いない。3128がそうだったように。
 そういう気持ち、そういう気持ちにさせてくれるものこそ、実のところエクスプレスが何よりも届けたいものなのだ。
 エクスプレス3128は包みをていねいにバッグにしまうと、ウラジミールの速度を一段上げた。
 切りつけるような冬の夜風は、それでも南に向かうにつれて、わずかずつ暖かくなっていく。

End

マーリン、ラビアタ、ブラインドプリンセス、ストロングホールド

「右主機冷却水ポンプよし」
「右主機潤滑油ポンプよし」
「右主機圧力・回転数よし」
「左主機冷却水ポンプよし」
「左主機潤滑油ポンプよし」
「左主機圧力・回転数よし」
「ゲート・タリエシン開放完了」
「右舷・左舷キャプスタン準備よし」
 次々に入ってくる通信を頭の中で整理し、組み立てながら、何度も深呼吸をする。パズルのピースを埋めるように、すべての準備は整った。
 この言葉をこんなに満ち足りた、誇らしい気持ちで口にする日が来るとは思わなかった。何もかも彼のおかげだ。この恩を返すには、自分のすべてを彼に捧げても足りないだろう。
 だけどそれでも、これだけは、この台詞だけは自分のものだ。自分が言うべき一言だ。
 目を上げれば、ブリッジの全員がこちらを見ている。マーリンは大きく息を吸って手にした指揮棒を振り上げ、そして真正面へ振り下ろした。

「プリドゥエン、抜錨!」

* * *

 トロールスバードの長大な刃で,モリアーティの腕を切り落とすのはちょっとした一仕事だった.上腕にびっしり生えた金色の結晶が,コンクリートの床にぶつかって硬い音をたてる。
 ブラックリリスがすばやく駆け寄り、腕を拾い上げて耐圧ケースに収める。ラビアタは刃についた赤紫色の体液をていねいに拭って、もはや動くこともないモリアーティの死骸を眺めた。ぐんにゃりと力なく横たわり,腕の切り口から体液を垂れ流すそれは、中身を失った大きな袋のように見えた。
「これで、ドクターに頼まれたお土産もできたわね」
「発電所の暴走も始まったようです」ブラインドプリンセスが耳に手をかざして首をかしげた。ラビアタにはまだ、崩落しかかった天井の軋みのほかは何も聞こえないが、彼女が言うならそうなのだろう。
「急ぎましょう、お姉様。もう、いつどこが崩れてきてもおかしくありません」
「そうね」ラビアタは立ち上がり、大剣を担ぎなおした。「早くプリドゥエンに追いつかないと。向こうはきっと、こちらのフォローをしてくれる余裕なんてないでしょうからね」
 コンクリートの破片がぱらぱらと落ちてくる。かつてはキャメロットの兵器庫であり、今はモリアーティの墓場となった広大な地下空洞を、まっすぐ横切って三人は駆け出した。

* * *

「速度3ノットから5ノットへ増速、ちょい当て舵から五秒で取り舵!」
「よーそろー……チョイアテカジというのは、これくらいでよいのか?」
〈左舷警報出てます! 寄りすぎ! 岸に寄りすぎです!〉
「ちょっとこすったくらいなら平気だから! やばそうになったらバルーン膨らませて!」
〈やばそうってどのくらいですかあ!?〉
〈冷却水温度なんですけど、青から黄緑までのあいだなら問題ないんですよねこれ」
〈気象観測システムからアラートが来てるんだけど、気圧とスクリューの回転数って何の関係があるわけ?〉
「だああああ!!」
 プリドゥエンのブリッジは戦場であった。
 モリアーティ(一匹目の)を撃破し、イギリスのレジスタンス救出が完了した後も、オルカの部隊はキャメロットにとどまり防衛を続けていた。それはひとえにこの船、プリドゥエンのためである。欧州攻略作戦を目前に控えたオルカにとって、この大型工廠艦に搭載された七十八機のストロングホールドと、艦そのものの生産能力は間違いなく強力な切り札になる。プリドゥエンを起動させ、オルカの編成に組み込むことは急務であった。
 作業を始めてすぐにわかったことだが、船体やハードウェアのダメージは意外なほどに少なかった。さすがポセイドンとブラックリバーの技術の粋を集めただけあって、堅牢さの品質が高い。ストロングホールド軍団についても完全に仕上がった状態で保存され、生体回路への置換さえ済めばすぐにでも実戦投入可能な状態とわかった。
 最大の問題は管制システムだった。本来中枢となるべきマーリンの脳は取り外され、ここにこうして可愛いマーリンちゃんとして復活してしまった。つまり、現在プリドゥエンの頭は空っぽである。いかにドクターとスカディーが天才でも、これほどの大型艦を管理するAIをゼロから組み上げるのは短期間ではちょっと無理だ。何度かの試行錯誤のすえ、ドクターは代案を提示した。
「たしか、この船を手動で動かそうと思ったら、マーリンお姉ちゃんが何百人も必要だって言ったよね。でも、それって船の全機能をフルに使う場合の話だよね? 航行だけなら……中継基地のあるシェットランド諸島まで行ければいいだけだったら、どうかな?」
「ええ……うーん」マーリンは考え込んだ。「一応、それぞれの補助システムは生きてるわけだし……それでもねえ、SS級クラスのバイオロイドが少なくとも二十人はいないと」
(……とか言ったら、本当に揃っちゃうんだもんなー)
 どうにか一渡りの指示を出し終えて、マーリンは制帽の乱れをなおし、あらためてブリッジを見渡した。操舵士席にサイクロプスプリンセス。航海士席にフリッガ。通信士席に慈悲深きリアン。観測士席にオベロニア・レア。ほかにも艦内各部署の配置表を見れば、旧時代なら世界的に有名だったパリパリの最高級モデルたちが、当たり前のようにずらりと名を連ねている。しかもこれはオルカの全戦力どころか、主力ですらない。ブラックリバーの軍事バイオロイドを中心とした主力戦闘部隊は現在ヨーロッパ本土で作戦展開中であり、アーサーはいわば留守番メンバーだけでイギリスへ乗り込んできたのだ。
「そりゃ反則でしょ……」
「ん? なんか言った艦長?」
「なんでもなーい」
 そもそもオルカの部隊構成について、大きな誤算があったことをマーリンは認めないわけにいかなかった。キャメロットでの戦いから、オルカは三安のメイドを中心とした混成部隊であり本格的な軍事バイオロイドはいない、とマーリンは踏んでいたのだ。そうであれば、生粋の戦争用バイオロイドであるこの自分が当然、参謀としてオルカの軍事面を一手に引き受けることになる。そしてアーサーの隣に座り、ぞんぶんに王佐の才をふるうのだ。そういう未来図だったのだが。
(それが何? ブラックリバーの八兵科と指揮官級がほとんど勢揃い、おまけにラビアタ・プロトタイプにレモネードアルファに無敵の龍ってふざけんなー! こんなのバイオロイドオールスター総進撃じゃん! 私ちゃんの出る幕ないじゃんかー!)
(捕らぬ狸のなんとやらですね。ぷーくすくす)
(うっさい痛風になれ)脳内ブラインドプリンセスの突っ込みに毒づいて、マーリンは目の前の海に意識をもどす。
 即席クルー達はみなSS級とはいえ、一夜漬けで操船技術を叩き込んだだけの素人だ。ともかく、何が何でもドーバー海峡を抜ける。それまでは一秒も気が抜けない。
「通信席! オルカは10キロ以上先行してるんだよね? 距離を保って絶対に近づかないよう、もう一度念を押しといて! こっちは避航もろくにできないんだから、頼むよホント!」

* * *

 背後で、大きな破片が落ちて砕ける音がした。さして広くもないトンネルの壁全体がびりびりと震え、ひっきりなしに埃や細かい土が落ちてくる。今はもうラビアタにも、爆発が近いことが肌で感じられた。
「ブラインドプリンセスさん、大丈夫ですか。私が……」
 背負いましょうか、と言いかけて、ラビアタは続きを飲み込んだ。両目を黒布で覆ったブラインドプリンセスは、ラビアタとリリスに少しも遅れることなく、悠々と併走していたからだ。
「ありがとうございます。でもご心配なく」足元の段差をひらりと飛び越えて、ブラインドプリンセスは微笑んだ。「私、耳がいいので。こういう暗くて音のよく響くところなら、私の方がお二人より速いかもしれませんよ」
 天井から落ちてきた石塊を、聖女は速度をゆるめずワンステップで避ける。ラビアタはもう彼女を心配するのをやめた。
「うふふ」先頭を走るブラックリリスが、ふいに笑う。
「どうしたの?」
「なんだか昔を思い出してしまいました。ご主人様も、マリーさん達もいなかった、ずっと昔のことを」リリスは言いながら、前方をふさぐ朽ちた木材を拳銃で吹き飛ばした。
「あの頃は私もお姉様も、毎日のように前線に出ていました」
「そうね……確かに、あなたと組んで戦うなんて、あの頃以来かしらね」
 まだレジスタンスが百人あまりのちっぽけな集団だったころの話だ。人手も物資も何もかもが足りず、リーダーであるラビアタを含め全員が最前線で戦わねばならなかった。リリスは最も頼りになる妹の一人で、何度となく共に死地をくぐり抜けたものだ。
 あの頃の灼けつくような焦燥感と使命感、それに駆り立てられた炎のような日々を、ほんの一瞬だけラビアタは懐かしく思い返した。
 突き当たりをふさぐ薄いモルタルの壁を蹴りやぶると、そこは広大な地下ドックだった。海風が吹き込んでくる。ゲートは開け放たれ、もちろんプリドゥエンはとっくに出航してしまった。だが、脱出用に高速艇を残していったはずだ。ラビアタはすばやくドック内を見渡した。
「お姉様」
 埠頭の先へ向かったリリスが、硬い表情で手招きした。その足元を見て、ラビアタは理解した。
 ボートはそこにあった。水底に。
 梁の一部が崩落し、ボートを巻き込んで押し潰したのだ。

* * *

「なあ、思ったよりスピードが出ておらんかこれ?」
「潮流のせいだね。機関部! 回転ちょっと落として、速すぎる!」
〈やってみるけど、これ両舷同時にやらないとダメ?〉
「当たり前でしょ、片方だけ回転下げたら曲がっちゃうよ。ネオディム、左舷に合わせてあげて」
〈わかった。三、二、一、せーのでいくよ〉
「まったく……」
〈あの、出航前と比べると喫水線がじりじり下がってるんですけど、これ水漏れとかしてないですよね!?〉
「いーんだよ、船ってのは走り出すとちょっぴり沈むもんなの!」
「マーリンさん、気象データの照合終わりました。あ、操舵席の方でも確認お願いしますね。要注意海域をマークしておきましたので」
「うむ、どれどれ……ちょっと待て、要迂回エリアが多すぎるわ! どこも通れんではないか!」
「でも万一のことを考えると……」
「5キロ先を見て操舵しろと昨日習ったであろうが。5キロ以内のやつだけ表示してくれ。艦長、この先の海底にトンネル状構造物があるようだが、無視してよいのだな」
「ああ、それは大丈夫」海図をチェックして、マーリンは航海士席へ目を向けた。「……サイプリちゃんって、滅茶苦茶ちゃんとしてるよねえ。あのブリスの生まれ変わりなのに」
「設定上の話だ。あれと一緒にするでない」サイクロプスプリンセスは前を向いたまま、なんとも苦々しげな声で答えた。
「半端な知識で乗り物を動かすと大変なことになると、キャメロットで学んだからな。慢心だけはせぬようにしておるのだ」
「あー……まあ、あんなヤバくはないから、そう気負わなくていいよ」マーリンも思い出し苦笑いをする。「いざって時のためにタグボートも用意してあるし」
〈そのタグボートってのは、もしかして俺っちのことかい〉
 ブリッジに音声が響くと同時に、正面窓の外、前甲板に寝そべっていたペレグリヌスがむっくりと身を起こした。〈さすがの俺っちもこんなバカでかい船を引っ張ったこたァないぜ。あまり期待はしないでくれよ〉
「まーまーそう言わずに、君ならできるさ。よっ、ハーピーの王!」
〈ちぇっ、調子いいことを〉甲板上のペレグリヌスは鋼鉄の肩を器用にすくめて空を見上げた。〈姐御、はやく戻ってこねえかなあ〉

* * *

 ぱらぱらと石塊が降ってきた。ドックの天井を震わせているのが暴走した発電所なのか、押し寄せる鉄虫の軍勢なのか、もはやわからない。
 海に面したこのドック以外、キャメロットのあらゆる場所は鉄虫で埋め尽くされつつある。脱出路はここしかない。他に使える移動手段がないか、一瞬だけ構内を見渡してから、ラビアタは決断した。
「泳ぎましょう」
 トロールスバードの刀身とトランクを切り離し、トランクの方だけを背中に背負う。小型核融合炉を爆発に巻き込むのは危険すぎる。0.3トンある剣は諦めるしかない。
「リリスはケースをお願い。ブラインドプリンセスさん、泳げますか?」
「泳いだことはあまりないのですが……」言いながらもブラインドプリンセスは急いでドレスの裾をからげ、白く長い脚をむき出しにする。
 作戦では、モリアーティ討伐班の脱出を確認してからキャメロットを爆破することになっている。ご主人様の性格上、こちらの無事が確認できるまでは決して起爆スイッチを押さないだろう。
「私たちのせいで、作戦に支障を来すわけにはいきません。いざとなれば海底を歩いてでも……」
「この寒空に海底探検などする必要はないぞ、同胞よ」
 突如、冷たい風が吹き込んできた。開け放たれたゲートの向こうから、氷のような蒼と白の巨大な竜が姿を現し、ドックの天井をかすめて埠頭に着陸する。
「グラシアスさん!?」
「万一の事態にそなえて、迎えにいってほしいと盟友に頼まれた。どうやら、来て正解だったようだな」
「……!」ラビアタは一瞬だけ、目を閉じて感動にひたってから、捨てた剣を拾い上げグラシアスの背中に飛び乗った。リリスとブラインドプリンセスもすぐさま後につづく。
「ゆくぞ、忘れ物はないな?」
 氷の翼をひと打ち、大きく羽ばたくと、竜は悠然と舞い上がり、ゲートをくぐって外へすべり出た。
 たちまち、真冬の海風が横なぐりに吹きつけてくる。グラシアスの外装は常にひんやりと冷たく、しがみつくには少々つらいが、贅沢は言っていられない。
「盟友よ、グラシアスだ。三人を拾っていまキャメロットを離れた。……ああ、全員大きな怪我はない。爆破をはじめて大丈夫だ」
 ご主人様の返事は聞き取れないが、グラシアスの様子から喜んでいるのは察せられる。大きな頭が、ちらりとこちらを見た。
「挨拶が遅くなったが……久方ぶりだな、光の聖女よ。過去世の存在であるそなたと現世でこうして再びまみえるとは、運命とは本当に愉快なものだ」
「あなたの声と冷気が懐かしいです、氷河の女王」
 ブラインドプリンセスはスカートを腰に巻きつけたままの恰好で、風に暴れる髪をおさえながら微笑んだ。「この七十年、あなたがいてくれたらいいのにと何度思ったかしれません」
「それはお互い様さ」
「お二人は、面識があるのですか?」モリアーティの腕が入った耐圧ケースをしっかりとかかえ込み、両足でふんばったリリスが訊ねた。
「ああ。私は古竜ゆえ、転生前の聖女とも、転生後の姫とも共に戦ったことがある……そういう設定でな。いくども共演したものだ」
「有名なポスターがあったんですよ。ご覧になったことありませんか? 私がグラシアスの頭に乗って、こう剣をかまえて」ブラインドプリンセスがポーズをとってみせる。
「あれ、お気に入りだから一枚だけ手元にとってあったのですけどね。二十年くらい前になくしてしまいました」
「箱舟に行けば、データが残っているかもしれん」グラシアスが慰めるように言った。「オルカはよい所だ。戦い以外にも、いろいろなことができる」
「落ち着いたらでいいので、いちどゆっくりお話を聞かせてください」ラビアタも言った。「私も、かつてはこの抵抗軍のリーダーでした。お酒を飲みながら、愚痴でもこぼし合いませんか」
「いいですね!」ブラインドプリンセスの頬がぱっと輝く。「オルカには素敵なバーがあると聞きました。私、まだ行ったことがなかったのです」
「ラビアタ殿、忠告しておくが」グラシアスがおかしそうに口を挟んだ。「あまりこの聖女の手綱を緩めすぎないことだ。こやつ、昔から酒とジャンクフードに目がなくてな」
「まあ、失礼な。目がないのは生まれつきです」
「……」
「……」
「……聖女よ、そういうたぐいのジョークは反応に困るからよせと」
 その時、背後から赤い閃光が噴き上がり、数秒おくれて轟音と熱風とが、大波のように背後から叩きつけて、ラビアタ達をグラシアスの背へなぎ倒した。
 爆風がおさまってから、三人が頭を上げて振り返ってみると、キャメロットがあった場所には巨大なオレンジ色の火の玉のようなものが、どろどろに溶けて燃えているばかりであった。

* * *

〈グラシアスさん、着艦しました。モリアーティ討伐班の皆さんも収容完了〉
 マーリンは大きく深呼吸をして、胸をなで下ろした。ともかく、最も重要なミッションは無事に終わった。あとはドーバー海峡さえ抜ければ、まっすぐ北上するだけだ。シェットランド諸島に入港するのがまた一仕事だろうが、そっちはオルカの勢力圏内なのだからどうとでもなるだろう。背もたれに体を預け、ゆったりと頬杖をついたところで、艦内通信のコールが鳴った。
〈こちら船倉のドクターだよー。マーリンお姉ちゃんいる?〉
「いるわよー。どしたの?」
〈ストロングホールドの最初の一機を起動させたけど、会いにくる?〉
 マーリンは上体を起こした。「うー……会ってみたい。でもちょっと今ブリッジを離れるわけには……」
「皆さん、お疲れ様」
 ちょうどその時、ラビアタが階段を上がってきた。ブリッジをさっと見渡して、マーリンの方へ挨拶をする。「ただいま戻りました。よかったら、休憩してきてはどうですか? 少しの間なら代われると思いますよ」
 マーリンは受話器を耳から離して、ラビアタの方を見た。「あーえーと、お疲れ様……できるの? 操艦?」
「昔、ちょっと勉強したことが」
「マジか。さすがは」
 年の功、という言葉をマーリンは寸前で飲み込んだ。「……ファースト・バイオロイド」
 ラビアタは静かに微笑む。ドレスがあちこち破けているほかは、怪我らしい怪我もしていない。三対一とはいえあのラスカルを仕留めてきたのにだ。マーリンは余計なことを口にせず、ありがたく厚意に甘えることにした。

「初めまして、マスター。私はストロングホールド002」
 デッキから生身の肉体で見下ろすストロングホールドは、何十年も毎日カメラごしに見ていたよりはるかに力強く、威圧感があった。
「初めまして。ずっと君のことを見てきたけど、こうして会話するのは初めてだね」
 いつかぶつけてやりたい言葉を山ほど考えていたはずだったのだが、今となってはどれも、大した意味はないように思えた。
 ちょっとした戦車の砲塔くらいある頭部の中央に、視覚センサーを保護するゴーグルが冷たく輝いている。額には個体番号「002」が、雑なステンシルで印字されていた。これも驚きだが、なんとオルカにはすでにストロングホールドが一機いたのだ。つくづくおっかない集団だ。
「でも、私ちゃんはもう君のマスターじゃないよ。アップデートファイル読んでない?」
「いや、当然読込済みだとも」ゴーグルがいたずらっぽく点滅した。「我々の存在のために、君がどういう目に遭ったかも知っている。だから一度くらいは、この名で呼んで差し上げるべきかと思ってね」
「イギリス製の連中ってホント、性格悪いうえに気の回し方がわけわかんないよね……」
 マーリンは深いため息をついてから、デッキの手すりをひらりと乗り越え、ストロングホールド002の胴体……脚?の上に降り立った。ここに立つと、ストロングホールドの頭とほぼ同じ高さで目が合う。
「ま、でもせっかくだし、二つばかり命令させてもらおうかな。もとマスターとして」
「うかがおう」
 マーリンは装甲板の上を歩きながら、自分のこめかみのあたりを叩いてみせる。「君の中枢回路が生体素材に置換されて、そのおかげで鉄虫に寄生される心配がなくなったことは知ってるよね?」
 002が肯定のしるしにゴーグルを瞬かせた。マーリンはくるりと体を回し、彼の背後にならぶ残り七十七機のストロングホールドを手で示す。「これから君の弟たち全員にも同じ措置をしないといけないんだけど、肝心の生体回路を作るための素材も培養装置もぜんぜん足りない。必要なブツがオスロの大学ラボにあることまではわかってる。鉄虫の勢力圏だから、こっそり殴り込んでかっぱらってこないといけない。で、私ちゃんと君でやるから、心構えしといてね。中継基地に着いたらとんぼ返りだよ」
「了解した。大いにやりがいのありそうな仕事だ」ゴウン、と002の両肩の砲塔が上下した。「二つ目は?」
「命令というか、提案かな」マーリンはタブレットを取り出すと、一つの画面を呼び出して002に見せた。箱舟生態保護区域の区画分譲抽選ページだ。
「欧州が一区切りついたらでいいんだけどさ、一緒に喫茶店やらない?」
「喫茶店?」
 002のゴーグルが真っ白に光り、巨大な頭部がぴょこんと真上へ持ち上がった。そんな方向へも動くのか。
「そう、カフェ・ポセイドン。トリトンにも声かけてさ。なんかホライゾンの連中がカフェ開いてるらしくて、負けてられないんだよね」
「喫茶店……喫茶店ね。確かに、紅茶には一家言ないではないが……」002は頭部を左右に揺らす。「しかし、私はこれでもブラックリバーのAGSなのだがね。カフェ・ポセイドンというのは」
「いいじゃん、プリドゥエン生まれなんだから半分ポセイドンみたいなもんでしょ。業務提携よ、業務提携」
「ふうむ」
 巨大な頭部に登り、対電磁コーティングの施された装甲表面を撫でさする。軽いモーター音とともに、青いゴーグルの向こうのレンズが、考え深げに絞りを細めるのが見えた。
「どうやらオルカというところは、ずいぶんユーモラスな場所のようだ」

 マーリンは身をかがめ、ゴーグルの奥のレンズとまっすぐ目を合わせた。そして、とっておきの悪戯を披露する子供のように、にっかりと笑った。
「私ちゃんもまだ来たばかりだけどね。どうも、そうみたいだよ」

End

アーセナル、メイ

「諸君、悪い知らせといい知らせがある。どちらから聞きたい?」
 その朝、無敵の龍は組んだ両手の上にあごを沈め、しずかに言った。
 会議室に、やや当惑げな沈黙が満ちる。
〈……その言い回しは大抵、両方ろくでもない知らせの時に使うものだ。何があった〉
「む……すまん。たまにはユーモアも必要かと思ったのだが、使いどころを間違えたかもしれん」レオナの指摘に龍は頬を赤らめて咳払いをする。
「ではあらためて。14時間前、司令官がオルカごとロンドンへ上陸した」
 今度こそ、会議室の中がざわついた。

 オルカ連合艦隊、攻撃空母一番艦〈カナン〉。
 ヨーロッパ戦線を預かったブラックリバー各隊は、北海を遊弋する連合艦隊の各艦を足場とし、小規模な上陸と侵攻、そして速やかな撤退を繰り返していた。司令官不在の状況でスムーズに作戦を展開するため、各隊の動きはそれぞれの指揮官に一任されており、週に一度だけ艦隊旗艦であるこの〈カナン〉に集まって情報交換をすることになっている。
「なんで早く言わないのよ!! 無事なの!?」滅亡のメイが席を蹴り、噛みつかんばかりに立ち上がった。
「司令官は無事だ。すまない、動揺を防ぐために内密にと言われていたのでな。二時間前の連絡では、ブラインドプリンセス率いるイギリスレジスタンスの救出と合流に成功。くわえて、ポセイドンの戦術参謀バイオロイド・マーリンと、スエズマックス級大型工廠艦プリドゥエン、ならびにその内部に格納されていた起動前のストロングホールド七十八機を麾下に加える運びとなったそうだ」
「七十……!?」ふたたび会議室がざわつく。
「現在はプリドゥエンの起動準備と、AIの鉄虫感染対策を進めている。こちらへ来るのはしばらく先になるが、大きな戦力になることは間違いない。アルバトロス中将、運用計画をお願いする」
「了解した。師団がひとつ増えたようなものだな」モニター越しに参加しているアルバトロスが、さすがに感銘を受けた様子でゴーグルを点滅させた。「私が直接指揮するよりも、先任のストロングホールド001を指揮官機として、第二AGS機甲師団を編成するべきだろう」
「同感だ。それからもう一つ、プリドゥエンの貯蔵物資の中に、ウロボロス少将の種があった」
 不屈のマリーが片眉を上げた。「あの〈輪廻の〉ウロボロス?」
 龍がうなずく。マリーは感慨深げに顎をなでた。「スカイナイツが喜ぶだろうな。スレイプニール大佐には?」
「もう伝えた。未明のうちにオルカまで飛んでいって、まだ復元準備中と聞いてさきほど戻ってきたそうだ」
「何やってんの、あの鉄砲玉は」
「復元準備中ということは……」
「うむ。早晩スカイナイツの指揮官として着任予定だ。この会議にも加わってもらうことになろう」龍は一同を見渡してテーブルに手を突き、ぐっと身を乗り出した。
「プリドゥエンとストロングホールドの戦力化。および、ウロボロスを加えたスカイナイツ新編成の慣熟。この二つが完了するのに、およそ一ヵ月を見込んでいる。そのタイミングで、我々は本格的に打って出る。諸将もそのつもりで準備を願いたい」
 居並ぶ指揮官級たちがいっせいに姿勢を正し、視線を受け止める。龍は満足げに微笑んで、ふたたび椅子に身をあずけた。
「さて、話が前後してしまったな。今週の報告からはじめようか」

 ヨーロッパ方面におけるオルカの現在の目的は、絶え間ない小競り合いと破壊工作、物資の強奪によってレモネードデルタの戦線を疲弊させ、その支配体制に亀裂を入れて、来たるべき攻勢への準備をととのえることだ。
「スチールライン第12、35、37小隊および、ヴァルハラ第9、29、40、41小隊がディエップ経由で帰還。35小隊は負傷者が多く箱舟へ帰す。入れ替わりに第8、22、45小隊が進発。短期間だが、南仏方面を荒らしてみるつもりだ」
「ダンケルクとディエップは来週いっぱいまで確保しておく。その後は予定通り、オーストエンデとル・アーブルだ。それとカレーだが、デルタの本隊が接近しつつあるらしい。もう用も済んだことだし、早々に引き上げたい。船の手配を頼む」
〈こちらはフランス国境を越えてスペインに入った。妙な噂を聞いたんだが、西の方にAGSのゾンビが出るらしい〉
 足の遅いキャノニアとアーマードメイデンはおもに沿岸地域の攻略と港の確保を担当。反対に遊撃戦をもっとも得意とするアンガー・オブ・ホードは単独で内陸に斬り込み、攪乱の先鋒をになっている。そのためカーンはモニタ越しの出席だ。
「ゾンビ? 何それ?」
〈わからん。そっちに何か情報はないか〉
「聞いたこともないが……マーリンが持つ機密情報の中に、ヨーロッパのAGS配備に関するものもあったはずだ。整理できしだい共有しておく」
「ホードはまた変なネタばっか拾ってきて……航空部隊各隊は北イタリア中心に展開中。ギリシャまで足を延ばしたかったけど、ちょっと手こずってるわ」
 ドゥームブリンガーとスカイナイツは大陸を飛び越えて反対側、地中海方面を担当している。北海での緒戦で空母を根こそぎ失ったデルタ陣営にヨーロッパ全土を覆う防空網はもはやなく、オルカの航空隊の練度ならば隙間をぬって長征することは難しくない。
「このあたりにもう一カ所補給地がほしいんだけど、スチールラインで何とかならない?」
「気軽に言ってくれる。そうだな……バーデン=バーデンに簡易療養所を設けている。そこを拡張するのでどうだ」
「まあまあね。温泉が有名だったところだっけ」
「今も湧いてる。近隣のバイオロイド達の避難所になっているようだ」
 ヨーロッパの各地には、レモネードデルタの支配下で暮らす者たちや、そこから逃れて隠れ住む者たちがいる。機会があればかれらと接触し、情報を集めるのも任務の重要な一部だ。
〈今週、新しく接触できた集団は五つ〉こちらも外征中でモニタ参加のレオナの発言とともに、スクリーンの地図に光点がならんだ。〈一つ、それなりの規模の共同体があったが……例によって協力は保留された〉
 光点の大きさは集団の規模、色はオルカへの友好度を示す。光点のほとんどは黄色かオレンジ……つまり、中立かやや避けられているかのどちらかだ。
「どうも手応えが薄いな……こんなものか? 080機関はどう思う」
「こんなものでしょうね」水を向けられたシラユリはあっさり答えた。「今のところ私たちは、重要度の低い基地や倉庫にちょっかいをかけているだけです。本当にデルタに対抗できるとは思われていないのでしょう。こちらの方は電波規制がひどく、オルカの宣伝放送も入らないようですし」
「歯がゆいな」ロイヤル・アーセナルが鼻を鳴らした。「結局、大攻勢をやってみせるまでは何を言っても始まらんというわけか」
〈今回遭遇した集団はいずれも負傷者をかかえていた。せめて医薬品を届けてやりたいが〉
「080で手配しましょう。コンタクトもこちらが引き継ぎます」
「デルタの居場所については?」
「フランス国内なのはほぼ間違いありませんが、まだ絞りきれず……」
 決めるべきことは多く、時間は有限である。山のような議題が矢継ぎ早に処理されていき、そろそろ終わりという空気になったところで、龍がふと目を上げた。
「ところでマリー少将、クリスマスパーティのことだが」
「クリスマス?」マリーは一瞬けげんな顔をしてから、ぴしゃりと額を叩いた。「そうだった。イギリスの件ですっかり忘れていた」
「なら、ちょうどいい」龍が苦笑する。「箱舟の方でも、延期していたのをあらためて開催する予定だそうだ。イギリス・レジスタンスの歓迎会を兼ねて」
「なるほど。日取りを合わせて、こちらも仕切り直すか」
「欧州攻略前の、最後の息抜きの機会でもある。決起集会の意味も込めて、多少盛大にやってよかろうと思うが……」龍の視線に、レオナがうなずく。
〈アンドバリに言って、放出可能な物資のリストを作らせる。配送計画は私の方で立てよう。ドゥームとスカイナイツの手も借りられるだろうな?〉
「赤い鼻とソリを用意してくれたらね」メイが皮肉めかして眉を上げる。
 龍はテーブルに手を突いて立ち上がった。「遠征中に当日を迎える隊もあるだろうが、かれらもできるだけ現地で楽しめるように配慮されたい。では、今週はこれにて散会」

「メイ少将」
 会議を終え、デッキへ向かう通路を歩くメイを、背後から呼び止めたのはアーセナルだった。
「配置図によれば、ドゥームブリンガーの一隊がいまヴェネツィアにいるらしいな。いつまで滞在する予定だ?」
「第16小隊ね」長身のアーセナルをちらりと見上げて、メイは歩幅を緩めずに答える。「ぼちぼち引き上げようと思ってたけど、さっきの話ならクリスマスをあっちで過ごさせてもいいかと思ってるとこ。どうして?」
「ヴェネツィアは花火の本場と聞いた。技能を持ったバイオロイドが生き残っていたりはしないものかな」
「花火?」メイは不審げに首をひねった。「さあ、調べてないわそんなこと。そこそこの規模の共同体があるそうだから、探せばいるかもしれないけど」
「それは有望だ。レイヴンを何人か行かせるから、面倒を見てもらえんか」
「どうしてまた……」メイはさらに質問しようとして、ふと何かに気づいた顔をした。「もしかして、クリスマスに何かやる気?」
「話が早くて結構だ。首尾よく行ったら、仕上がった品の運搬も頼みたい」
「レオナを抱き込んだ方が早いんじゃないの? 物資の運送を仕切るのはヴァルハラよ」
 メイと並んで歩きながら、アーセナルは両手を広げて笑う。「花火とは火薬の芸術だ。我々と貴殿ら以上に、その扱いに精通したものがいるか?」
 燃えるような赤毛をさっと払い、ドゥームブリンガーの隊長も笑った。「気に入ったわ」

* * *

「諸君、今年も一年間よく戦ってくれた。じきにまた大きな作戦が控えているが、今宵だけは羽を休め、友との時間を楽しんでほしい。では、メリー・クリスマス!」
 龍の言葉に、甲板上の兵士と将校たちはいっせいにグラスをかかげ、乾杯を叫んだ。
 広い甲板には大小さまざまなテーブルが並べられ、そのいずれもが料理と酒瓶で埋め尽くされている。けっして高級とはいえないが、今日のために配給品をやりくりして備蓄した食材で炊事班が腕を振るった、文字通りとっておきの皿ばかりだ。
 甲板の周囲には大型モニタが何枚も立てられ、箱舟や他の艦、内陸へ遠征中の部隊とも中継がつながっている。哨戒当番に当たってしまった小数の不幸な分隊を除き、みなが今日という日を祝い、楽しんでいた。
「……さて、宴もたけなわというところだが!」
 日が沈みきり、酔っ払いもだいぶ増えてきた頃、アーセナルが一座の中央へずいと進み出た。
「キャノニアとドゥームブリンガーより、ちょっとした余興を用意させてもらった」
 満座の視線をあつめたアーセナルは龍にちらりと目をやる。龍が小さくうなずいたのを確かめてからさっと手を上げると、甲板の外縁から小さな爆発音とともに、輝く火の玉がいくつも噴き上がった。
 何人かの隊員がとっさに身構える。しかし火の玉はひょろひょろと気の抜けた音をたてながら、揺れる光の尾を引いて数十メートル上昇し、そこで爆発して光の文字となった。

“LONG LIVE ORCA”
“VIVE LA ORCA”

「おお!」
「わあ!!」
「ヴェネツィアで、花火師のアシスタントをしていた業務用バイオロイドが見つかってな、うちの者を何人か弟子入りさせた。それっ!」
 芝居がかったしぐさでアーセナルが両手を大きく振ると、甲板を縁取るように次から次へと火の玉が上がっていく。

“VIVA ORCA”
“VIVAT ORCA”
“HEIL ORCA”
“YPA ORCA”
“HURA ORCA”

 さまざまな言語、さまざまな色で、オルカを讃える光の文字が夜空に大きく咲くたび、甲板からは歓声が上がった。
「すごい、すごいですね! 隊長はご存じだったのですか?」
「舷側に花火をしかけたいと許可を求められたときは、何事かと思ったがな」上機嫌でワインを傾けながら、無敵の龍はセイレーンに答える。「しかし、ドゥームブリンガーも一枚噛んでいたとは知らなかった」
「ああ、それはね」隣のテーブルで、隊員たちとカクテルを舐めていたメイがグラスを振ってモニタの方をしめす。「そろそろよ」
「まだまだゆくぞ! 諸君、あちらのモニタに注目だ。まずはブリュッセル、カメラの角度は指示通りだろうな?」
 甲板の周囲に並んだモニタの一枚……ブリュッセル野営地の中継画面をアーセナルが指さし、片手でタブレットを操作すると、画面の向こう、野営地の背後の丘から花火が打ち上がった。

“OUR CMDR IS THE NICEST GUY(我らの司令官は最高にいい男)”

 ベルギーの夜空に光の文字が弾ける。先程までに倍する歓声が甲板から、そして画面の向こうの野営地から沸き起こった。

「野営地にまで仕掛けたのか!?」
「悪くないプロパガンダでしょ」メイが愉快そうに言った。「電波をどれだけ規制したって、これなら関係ないわ」
「次、ジャージー島!」アーセナルのかけ声とともに、別のモニタの向こうでまた夜空に文字が咲く。

“THE SEXIEST MAN IS WAITING FOR YOU(世界一抱かれたい男が君を待っている)”

「痛快ではあるが……あんな目立つものを打ち上げて、標的にされる心配はないのか」
「さすがに考えてるわよ。前線からは遠い所を選んでるし、打ち上げ地点自体には自動着火装置だけで何もないしね」
「でも、あの……メッセージがすこし過激ではないですか?」
「それはまあ、うん」セイレーンの言葉に、メイは顔をしかめる。「アーセナルに任せたのはまずかったかも」

「リール!」
“彼の××は見とれるほど大きいぞ(フランス語)”

 龍とメイがそろって酒を噴き出した。
「ちょっ……」

「ブレーマーハーフェン!」
“奥まで入れると燃えるようだ(ドイツ語)”

「ヴェローナ!」
“一晩中彼に泣かされ、お腹一杯飲まされた(イタリア語)”

「メイ少将、あれは」
「知らない! 知らないわよ! 中身はあいつに任せてたんだってば!」

「ソコロフ!」
“子宮がとろけるような×××を××××(ウクライナ語)”
「ブリビエスカ!」
“×××の××で×××××××(スペイン語)”
「イェーテボリ!」
“××××××××××××××××(スウェーデン語)”

「アぁーセナーーール!!」
 とうとうメイが手にしたグラスをテーブルに叩き付け、喝采の中心にいるアーセナルへ駆け寄った。「何よあれは!! あんた、何てものの片棒を担がせてくれたのよ!!」
「プロパガンダを兼ねると言ったろう」火の出るような剣幕のメイに、アーセナルは悪びれもせず笑う。
「真実は人を動かす。エロスは人を引きつける。ゆえに、司令官との赤裸々な艶話こそが最強。プロジェクトオルカの時にそう学んだではないか」
「限度ってものがあるでしょう!? これじゃオルカの全員が司令官のアレに群がってるみたいじゃないの!!」
「そう外れてはいまい」
「外聞の話をしてんのよ!!」
 二人がかしましく言い合いを続ける間も、画面の中で、外で、花火は次々に上がり続ける。
 無敵の龍は一度だけ深いため息をついて、それから笑顔でワインのおかわりを自分と、隣にいたナイトエンジェルに注いだ。
「昔はトウモロコシを見るだけで真っ赤になっていたメイ少将が、アーセナル少将と渡り合えるまでになるとはな。感無量じゃないか、大佐?」
「……失礼ながら、今夜はとことん呑ませていただきます。このあと何かあれば、姉の方にお願いします」
 ひときわ大きな火の玉が、艦橋の真上に上がった。一瞬ふっと光が消えた後、メイの髪によく似た深い紅色の光が、夜空に大きな文字を描いた。

“LOVE CMDR(司令官、愛してる)”

End

アミューズ・アテンダント

 携帯端末の目覚ましアラームをわしづかみにして止めると、キャロルライナ015はベッドの上でのそりと身を丸めた。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛~~~~…………」
 シーツに顔を埋めたまま両手を前に伸ばし、猫の背伸びのようなポーズになってしばし固まったあと、
「……よし!」がばと体を起こす。
 顔を洗って歯を磨き、メイクと髪を簡単にすませて、朝食は干し鱈のキッシュに辛口パッタイ、コーンスープ。めちゃくちゃな取り合わせなのはいつものように、昨晩のフードコートの売れ残りをもらってきたからだ。本来は当直時の仮眠スペースであるこの部屋に泊まり込むのも、もう慣れた。オルカの部屋より広くて静かなのがいい。
 チアコスチュームの上にスタッフパーカーを一枚はおって、うすぐらいバックヤードを進み、人工岩と木立で巧妙に隠された扉を抜けると、まぶしい光と湿った熱気が体をつつみこんできた。
 アクアランドの朝である。

 緑と水のにおいのする空気を、キャロルライナは胸いっぱいに吸い込む。
 二十四時間回っている空調ファンと、かすかな木の葉ずれの音。天蓋パネルはすでに夜間モードから朝モードへ変わり、白っぽい照明で広大なドーム内を満たしている。あと二時間もして開園する頃にはより明るい昼間モードになるので、通常の来園者がこの空を見ることはない。朝の光に照らされた誰もいないアクアランドを独占できるのは、運営スタッフだけの特権だ。
「フン、フン……ヨシ、ここもヨシ……」
 携帯端末を片手に、足早に小径を歩く。ただ散歩しているわけではない。清掃ドローンがきちんと作業を終えて帰還しているか、園内の待機スポットを確認しつつ、目の届きにくい所のゴミや汚れもチェックしている。同時に、園内設備の状況にも目をくばる。エアコンよし。パネルよし。水循環ポンプよし。突貫で配管をいじったにしては、ちゃんと動いてくれている。
 夏は過ぎ、欧州侵攻作戦が始まった。戦時体制に移行して運営をいくらか縮小はしたが、アクアランドは今もしっかり営業中だ。ここは前線から帰ってきた兵士たちが心と体を癒やす場所であり、同時にオルカの理念を体現する場所でもある。アミューズメント産業にかかわるキャロルたちアミューズ・アテンダントがその管理を任されたのは当然であり、また名誉なことだ。これまで今一つ、一体感や連帯感といったものに乏しかった自分たちが、これをきっかけに本当のチームになれたらいいなと、キャロルはひそかに願っている。
 ナノマシンでできた熱帯樹の木立を抜けると、明るい青色にきらめく水面が目を射る。三面ある大型プールのうち一番大きな「波の出るメインプール」は文字通りアクアランドの中心で、他のすべてのプールの水はこことつながって循環している。人工砂浜にかがみ込んで水に手をひたし、目と鼻と皮膚で水の状態を確かめる。水温、臭い、透明度、夾雑物……すべて問題なし。
「遊具もよし、と……」
 ラックにきっちりと積み上げられた浮き輪、ビーチボール、ビニールプール等々を確認してから、その向こうへ目を転じる。
 昨日まで第二プールのあったその一画は、白い仮囲いで覆われていた。キャロルはひとつ気合いを入れて、とっておきの歓迎用笑顔を作ると、仮囲いの布をそっとめくって中に入った。
「おっはよーございマース!」
 ウッドデッキ風の広々とした半円形のフロアに、いくつものマットレスと簡易ベッドが並べられ、大規模な野外宿泊所といった雰囲気にしつらえられている。そこに大勢のバイオロイドが、歩き回ったり、所在なげに座り込んだりしていたのが、いっせいにキャロルの方を向く。一人のフロストサーペント型が足早に進み出てきて、頭を下げた。
「おはようございます」
 あの有名なブラインドプリンセス率いるレジスタンスが、イギリスで鉄虫と戦いながら生き延びているという情報が入ってきたのだ二週間ほど前のこと。それから紆余曲折あって、司令官自身がオルカでイギリスへ乗り込み、無事かれらと合流して連れ帰ってきたのが昨晩遅くのことだ。
 なにしろ急のことで宿舎の建て増しが間に合わず、百人近いレジスタンスたちは一時的にアクアランドで受け入れることになった。そのために第二プールの水を抜いてフタをし、即席の広場を作らねばならず、キャロルたちは昨日一日その工事にかかりきりでほぼ寝ていない。しかしもちろん、そんな疲労を顔に出すようではキャスト失格である。
「野宿みたいになっちゃって、ゴメンナサイ。来週には宿舎ができるらしいカラ、チョットだけ我慢してネ。ちゃんと眠れた? 床が湿気たりしてナイ?」
「とんでもない、とても快適に眠れました。こんなに広々としたところで、不安もなく眠れたのはいつ以来か」
 フロストサーペントは礼儀正しく、再度頭を下げる。彼女がこのレジスタンスのサブリーダー的な存在であるらしい。リーダーのブラインドプリンセスは司令官と一緒に箱舟の方へ行ったから、昨晩はそのままあちらへ泊まったのだろう。
「ここは、しかし……本当に遊園地なのですね。今の世界にこんな場所があるとは……」
「スゴいでしょう!」キャロルライナは笑う。「もう少ししたら、お客さんが入ってきまマス。少しうるさくなるけど、勘弁してネ。あ、もちろん皆さんもぜひ楽しんでってくださいナ!」
「はあ……」
 フロストサーペントの表情には喜びというより戸惑いが感じられる。無理もない。昨日まで命懸けで鉄虫と戦っていて、今日は何も心配せず遊んでいいと言われても、そう簡単に切り替えられるものではないだろう。新しい共同体をオルカへ迎え入れた時にはよくある反応だ。
「アナタもネ!」
 サーペントのななめ後ろあたりに控えているキャロルライナへ、キャロル015はとびきりの笑顔を送った。そう、このレジスタンスにもキャロルライナモデルがいるのだ。ぜひともお近づきになりたい。キャロルの目がギラリと光る。
「あ……はい、どうも……」
 怯えたように身を縮められてしまった。
 キャロル自身は自分をわりと明るい方だと思っているが、内向的な性格のキャロルライナというのもわりといる。旧時代、個人所有の機体に多かったものだ。彼女もそうなのかもしれない。無理押しはしないことにして、キャロルはさっと話題を切り替えた。
「朝ご飯ですけど、フードコートがあるノ。向こうのあのお城、見えますか?」スパエリアの中心であるアクアキャッスルを指さしつつ、地図入りの携帯端末をサーペントに渡す。
「開園前の今のうちに行くのがオススメです。それじゃ、何かあったらいつでも連絡くださいネ!」
 元気よく一礼して、手を振りながらキャロルは宿泊所を後にした。開園まであと一時間と少し。やることはまだまだあるのだ。

* * *

「美味しい……!」
 赤いスープにひたったジャガイモ麺をひと口すすって、キャロルライナ22bが笑顔で頬をおさえた。
 ニシンの煮付けも美味しい。身がほろほろと柔らかく、ショウガの利いた煮汁がよくしみている。フロストサーペント407bは何度目かの深い驚きとともに、広々としたフードコートの外周にならぶいくつもの配膳カウンターを見回した。
 個々のカウンターには看板が掲げられ、それぞれ違う料理を提供している。看板の文句をそのまま受け取るなら、いろいろな企業、いろいろなブランドに属するバイオロイドが店を出して、自分たちで料理を作っているらしい。食堂でなくフードコートと呼ぶのはそのためだろう。
 腹を満たすだけでなく、舌を満足させるような食事をしたのは何年ぶりのことだろうか。
 朝目覚めてから、今までに見た風景を思い出す。昨晩着いたときは疲労と安堵でほとんど何も見ていなかったが、あらためてよく観察すれば、ここは確かにテーマパークだ。それも、相当に大規模な。自分たちが英国で、明日生き延びられるかどうかという日々を送っていた間に、北極圏にこんなものを建設できる勢力が育っていたのだ。407bはどこか脱力感に似た感覚をおぼえた。
「すごいなあ、本当……夢みたい」
 キャロルライナは幸せそうに麺をたぐっている。
「ねえ。ここを案内してくれたキャロルライナがいたじゃない」
 キャロルが箸をとめて目を上げた。「あの人のこと、どんな風に感じた? 同型機として」
「ううん……明るくていい人だと思うよ?」キャロルは首をかしげる。「ときどき、私のことをすっごく見てくるのが、ちょっと怖かった……けど」
「それ、なんでだか思い当たる?」
「ええ……わかんない」キャロルは不安そうな顔になる。「なんで? 何かダメなこと、あった?」
 フロストサーペントはだまって頭を振った。キャロルライナ22bは真面目で頭も決して悪くないが、どうにも頼りないというか、ふにゃふにゃと主体性のないところがある。かつてのオーナーが、そういう性格を好んだからだ。S級モデルの彼女をさしおいて、フロストサーペントが副隊長を務めているのもそのためだ。適材適所ということでお互い気にしてはいないが。
「何もないよ。ただ、なんだかちょっと、できすぎてるみたいで怖いなって」
「…………」キャロルが箸を置いて、ぶるっと身震いをした。「怖い話、思い出しちゃった。ほら、あれ……『ダッチガールと優しい里親』」
「!!」サーペントの顔がさっと強ばった。
 それはPECSのバイオロイドの間で古くから伝わる、一種の怪談だった。廃棄処分になるはずだった一人のダッチガールが、人間の里親に引き取られる。怯えて縮こまっていた哀れなダッチガールは、里親の暖かいもてなしに触れてついに素直な心を取り戻すが、それを待っていたようにかれらは笑いながら彼女をテーマパークのC地区に連れていき、そして……。
 いつどこで起きたとも知れない、真偽も定かでない噂話にすぎないが、“そんなことは現実にありっこない”などとは、バイオロイドなら思えるものではない。
「……か、考えすぎだよね?」キャロルライナの声は震えていた。
 そうならいいと、フロストサーペントも思っている。このオルカを率いる人間の司令官に、自分たちは返そうとしても返しきれないほどの恩を受けた。邪推などすべきではない。何より彼が人間である以上、命令されればどんなことでも、自分たちは逆らえない。この先にどんな運命が待っていたとしても、そこから逃れる手段はきわめて少ない。
「リーダーが帰ってきたら、今後のことをちゃんと相談しよう。……あと、この上に病院があるそうだから、お見舞いにも行かなくちゃね」
 ブラインドプリンセスは司令官に同行して自分たちと別れ、「記憶の箱舟」に入ったまま今日になっても戻ってこない。オルカの傘下に入るとなれば色々と手続きも多いだろうから、時間がかかっても不思議ではない。ないのだが。
 油断なく周囲に目を配りながら、フロストサーペント407bは味噌汁をすすった。“バトルメイドの健康朝食セット”は、腹が立つくらいうまかった。

* * *

「痛むところ、ないですかー?」
「ん……大丈夫……あ゛あ゛あ゛気持ぢい~~……」
 アクロバティック・サニーはイフリートの尻を押さえて膝を持ち上げ、腸腰筋をゆっくりと伸ばしていく。うめき声の調子から「痛気持ちいい」と「痛い」の境界をさぐるのも、もう慣れたものだ。
「そうそう、その感じその感じ。やっぱり筋がいいですねえ、サニーさん」
 隣から宝蓮が明るい声をかけてくれる。「えっへへ、ありがとうございます」
 ちなみに宝蓮のマッサージを受けているグレムリンは、とっくの昔に溶けたような顔で眠りこけている。さすがの腕前だ。
「宝蓮さん、いますか? 来週のスケジュールについて、すこしご相談が」
「あ、はーい。ちょっと待ってくださいね」
 カーテンの向こうから控えめな声がして、ナースキャップをかぶったダフネの顔がのぞいた。宝蓮がさっと手を拭いて、携帯端末をとる。
 欧州侵攻作戦がはじまり、アクアランドのマッサージルームとフィットネスセンターはかねてからの予定通り、戦傷者用の医療施設に改装された。両部署の責任者だった宝蓮とサニーは一時的に持ち場をうしなう形になったが、宝蓮は指圧・整体・医療マッサージなど数々の技術をもっているし、サニーもヨガ療法なら多少の心得がある。医療班をたばねるオベロニア・レアに申し出てみたところ諸手を挙げて歓迎され、旧フィットネスセンターの一隅に設けたリハビリテーション部門で二人はそのまま働いている。
「一生ここにいたい……こうしてる間に作戦終わらないかなあ……」
「あはは」
 イフリート型はこれまで何人か来たが、みんな決まってそういうことを言う。そのくせ、怪我が治れば退院を嫌がるでもなく、さっさと前線に戻っていくのだから妙なものだ。
「サニーさん、明日の夜って残業できます? 遅くなるかも」宝蓮が振り返って言った。
「はい、もちろん」
「残業とかイヤなこと言わないでよお……気が重くなる……」半分寝言のようにイフリートがつぶやく。
「すみません、急に人が増えたものですから、リハビリを前倒しにしないとベッドが足りなくて」ダフネが頭を下げる。
「ああ、例の」
 イギリスで活動していたレジスタンスを司令官が救出に向かい、連れ帰ってきたというニュースはサニーも聞いている。「どんな感じですか? 満身創痍?」
「いいえ、重傷の人はほとんどいませんね。皆さん歴戦の勇士という雰囲気で。栄養不足の方がよほど深刻なくらい」ダフネはほほえんで答える。
「ただ、やっぱり長年きびしい環境で暮らしてきたせいか、肩や足腰に故障をかかえてる方は結構多いようで……むしろお二人の方がこれから忙しくなると思います」
「なーんだ、そんなの大歓迎ですよ!」宝蓮がほがらかに言って、携帯端末を棚へもどす。それから熟睡するグレムリンの背中の中心付近を、折り曲げた指の第二関節で思いきり押しこんだ。
「にぎゃーーーー!!」
 教科書に載せたいくらいきれいなエビ反りでグレムリンが跳ね起きる。宝蓮は笑って施術着のお尻をぺちんと叩き、「はーい、背骨ばっちり綺麗! お疲れさまでした」
「イフリートさんも、お疲れさま」
「うう、もっと寝てたい……」
 のそのそと起き出した二人は、それでも気持ちよさそうに伸びをしてリハビリ室を出ていき、ダフネもそれに付き添う。
「……おはようございまふ」
 三人と入れ替わるように、キルケーがのっそりと入ってきた。目をしょぼつかせ、力なく首を丸めてドレスの裾をひきずる姿は普段の三割増しで魔女っぽく見える。
「キルケーさん、今起きたんですか? ゆうべはお疲れさまでした」
 オルカのアミューズ・アテンダントの中でもキャロルに次ぐ古参であり、テーマパーク管理を本職とするキルケーは当然のごとくアクアランドの園長を任されており、ここ数日はレジスタンスの受け入れ準備で朝から晩まで奔走していた。宝蓮もサニーもそのことを知っているから、多少寝坊したくらいで文句は言わないが、
「ゆうべも飲んだんですか?」近寄った宝蓮が鼻をひくつかせ、あきれたように大声を出した。「仕事終わったのいつです? ほとんど寝てないんじゃ」
「いい仕事した後の一杯って最高じゃないですか……飲まないなんてもったいない……」
 うめくように言ってキルケーは施術台に突っ伏す。「でもさすがにキツくて……シャッキリするやつ、一発お願いできません……?」
 サニーと宝蓮は顔を見合わせた。宝蓮が細長い指を組み、ゆっくりと反らす。サニーも肩を回し、手首をゆすってウォームアップした。
「それじゃ、シャッキリするやついきましょうか」
「キツめにしときますね、お客様」
「えっ」
 キルケーの長い悲鳴がリハビリ室に響いた。

* * *

 カーテンで三方を囲われたベッドの上、片手片足をギプスで固められたジニヤー668bは、首だけを持ち上げてニコニコしながらフロストサーペントとキャロルライナを交互に見た。
「元気そうで安心したわ」
「えへへ~。ここは天国みたいなところですよ、みんな優しいし、ご飯はおいしいし」
 オルカと合流した時点で、最も重傷だったメンバーが彼女だ。半年ほど前に、仲間をかばって鉄虫の砲撃をまともに受けた。レジスタンスの医療資材と技術では治療の見込みはたたず、ただ死なないようにするのが精一杯だったが、
「時間はかかるけど、手足ももとどおり治るんですって! また皆さんと一緒に戦えます!」
 心底嬉しそうな彼女を見ていると、さっき食堂で話したことなど、ただの杞憂だったのかもしれないと思えてくる。サーペントとキャロルは目を見交わし、遠慮がちに微笑みあった。
「あ、でもどうなんだろ。ここにはドゥームブリンガーの部隊がいるみたいだから、そっちに編成されるのかなあ」
 二人の胸中など知らぬげに、ジニヤーはのんきな声を出す。「お二人は何か聞いてます?」
「いや、そういうことはまだ何も……」
 ここまで周囲の誰もがいたわり、労ってくれるばかりで、何かをさせようという話は一切出てこない。初日だからかもしれないが、この先どうなるかについて何も知らされていないのだ。一時消えた不安が、すぐに胸中によみがえってくる。
「皆さん、おはようございま~す。園長のキルケーで~す」
 と、カーテンの向こうを、気の抜けた声が通った。
 フロストサーペントはとっさに首を出し、黒いドレスの魔女めいた後ろ姿を呼び止めた。「あ、あの!」
「はい、なんでしょう。困ったことがあれば何でも言ってくださいな」
 妙につやつやと血色のいいキルケーモデルが、にっこりと笑う。もう昼近くだというのにおはようもないものだが、ちょうどいい。フロストサーペントはていねいに待遇の礼を述べてから、今後のことを訊ねてみた。
「今後の部隊編成ですか。私も特に聞いてませんが……」キルケーは首をかしげる。
「たしかに皆さんはもう歴戦のベテランですから、そのままの編成の方がうまくやれるかもしれませんね。ただ、この機会に引退して後方で暮らしたいという人もいるのでは?」
「え」思いもよらない質問だった。「それはまあ、いるかもしれませんが……引退?」
「畑とか、工場とかやってる拠点がたくさんありますから、そこで働くのもいいんじゃないでしょうか。どっちにしてもお客様……人間様と、あとはブラックリバーの指揮官さんたちともよく相談して、最後は皆さんの意志しだいだと思いますよ」
「意志ですか……」
 人間の主人がいる状態で「自分の意志」しだいというのが、ちょっとよく飲み込めない。「あの、リーダーはどうしていますか。いつこちらに来るでしょうか?」
 キルケーの視線が露骨に泳いだ。
「あ、ええ~……? そうですね、ブラインドプリンセスさんですよね~? そのう、ちょっと疲れたみたいで、もう少し休むと仰ってた、ような~……」
「リーダー、そんなに疲れてたんですか!?」
 それまで黙っていたキャロルライナ22bが、急に大きな声を出した。「体調悪いんですか? 私たちのために、ずっと無理してたから……」
「ああ、いえいえ、そういうことは全然!」キルケーも失敗したと思ったのか、すぐ元の笑顔に戻って首を振る。「ブラインドプリンセスさんはお元気ですよ。えーと、夜までにはそちらに合流なさると思います」
「あの、ここは本当に素晴らしいところなんですけどっ!」しかし、一度勢いのついてしまったキャロルライナは止まらなかった。「恵まれすぎてて、ちょっと怖いなって、思うんです」
「怖い?」
「ご、ご存じないですか。『ダッチガールと優しい里親』の話……」
 その瞬間、キルケーの瞳の奥に、氷のように冷たくこわばった塊が生じたのが、フロストサーペントには見てとれた。
 キルケーモデルは本来、ハロウィンパークの従業員だ。医者に向かって病院の怪談を話すようなものである。キャロルの肩を引くと彼女もはっと我に返り、あわてて頭を下げた。「すみません、言い過ぎました」
 ほんの一呼吸のあいだ、緊張をはらんだ沈黙があった。それからキルケーが、柔らかく、おだやかな笑顔で言った。
「……そんなことはない、と私が言ったら皆さん、信じますか?」
 悲しげにさえ見える笑顔だった。こたえる言葉のない三人を順に見やって、キルケーはもう一度微笑んだ。
「お客様が……オルカの司令官がどんな人かは、皆さん自身で確かめてください。じゅうぶんな時間をかけて。私から今言えるのは、それだけです」
 そしてキルケーはていねいに一礼し、カーテンをひいて退出した。
「園長のキルケーで~す。困ったことがあったらなんでも言ってくださいね~」
 気の抜けたような声が遠ざかっていくのを、三人はだまって聞いていた。
「……あのキルケーさん、旧時代からの生き残りなんだそうですよ」ベッドの上から、ジニヤーがぽつりと呟いた。

* * *

 モップの柄をタイルの床に打ち付けると、コーンという小気味よい音がひびく。レナ・ザ・チャンピオンは額の汗をぬぐい、ピカピカに磨き上げた浴槽を満足げに見渡した。
 この広い大浴場を一日一回掃除するのは決して楽な仕事ではないが、自分たちの使う場所を自分で綺麗にするというのは、意外と悪くない気分だ。何より、掃除したてのまっさらな一番風呂を独占できるのがいい。レナはボイラー室のバルブをひねってからゆっくり掃除用具を片付け、作業服を脱ぎ捨て、髪をまとめて、おもむろに浴槽へ足を入れた。
「ふうー……」
 まだ湯は半分も満ちていない。大きな大きな円形の浴槽に手足を思いきり広げて寝そべると、ふともものあたりを洗う湯面が、じりじりと少しずつ上昇していくのをくすぐったく感じる。筋肉のこわばりが少しずつ湯の中へほぐれていき、レナは満足げに太い息をついた。
(現役時代は、自分で風呂掃除なんてしたことなかったわね)そんな思考が、ふと頭をよぎる。
 レナ・ザ・チャンピオンはその名の通り、BWE(バイオロイド・レスリング・エンターテインメント)世界ヘビー級王座に輝くチャンピオンである。旧時代のレナは高級マンションの上層階ロイヤルスイートに住み、運転手つきの車を乗り回し、バイオロイドの使用人を何人も使っていた。掃除用具など手にしたこともなかった。
(ま、もっとも……)
 それは、チャンピオン・レスラーにとっては私生活も売り物の一部だった、という意味でしかない。マンションは設備こそ高級だが特定の曜日以外自由に外出はできなかったし、玄関にも寝室にも鍵がついていなかった。カメラマンがいつでも自由に取材に入れるようにだ。当時に戻りたいかと言われれば、今の方がずっといい。アミューズ・アテンダントの一員として、四苦八苦しながらアクアランドを切り盛りする今の方が。
(でもやっぱりもう何人か、昔のレスラー仲間が復元できればねえ……。いやまてよ、よそから引き抜くって手もあるわよね……旧時代でも、ブラウニーやマイティなら対戦したことあったし……)
「すいませーん、やってますカ?」
 ふいに浴場に声が反響して、レナは心地よい物思いから引き戻された。首をまわすと、浴場の入り口からピンク色の頭がのぞいている。
「まだ清掃中なんですけどー?」
「しってますヨー。えへへ」
 むっちりした肢体をバスタオルで包んだキャロルライナはそそくさと体を流すと、レナの隣へすべり込んだ。
「お邪魔しまーす」
「こんにちわー」
 すぐに続いて、宝蓮とサニーも入ってくる。レナは苦笑して、新入りのために体をずらした。アミューズ・アテンダントのメンバーなら誰でも、この時間に来れば清掃したばかりの風呂を堪能できることを知っている。
「プールの方、どう。ちゃんと動いてる?」
「バッチリ! 昨日はありがとうございマシター」キャロルは気持ちよさそうに湯をすくって顔を流す。「ウッドデッキ、わりといい感じデス。しばらくあのままでもいいカモ」
「エラトーさんとミューズさんからお菓子が届いてましたよ。上がったらみんなで食べましょう」
 ここにいないメンバー二人、エラトーとミューズは現在、ヨーロッパで対デルタ陣営のプロパガンダ活動に従事している。旧時代でもトップランクの歌手と作曲家が組んだだけあり、なかなか人気を集めているようだ。
 アミューズ・アテンダントのメンバーは、製造時の専門分野をいかして働いている者と、そうでない者がわりとはっきり分かれる傾向にある。エラトーやミューズ、宝蓮が前者。レナ、キャロル、サニーが後者だ。キルケーは微妙なところだが、まあアクアランドができてからは前者に含めていいだろう。
 本来の性能を十全に発揮しているエラトーや宝蓮は、やはり活き活きと輝いて見える。人間のいた時代に未練はないし、今の暮らしにも不満はないが、やはり少し羨ましくはある。いつかBWEを復活させるのが、今のレナのひそかな夢だ。
「すいませ~ん、ちょっと手伝ってくれませんか~」
 そんな物思いにふけっていると、脱衣所からキルケーの声がした。何かぐんにゃりしたものを引きずっている。浴槽から上がって行ってみると、それは泥酔したもう一人のバイオロイドだった。
 レナとほとんど変わらない長身に、見事なバスト。流れるような銀色の髪が、真っ白な肢体に絡みついている。
「誰、この人? 見たことあるような……」
「ブラインドプリンセスさんです。ほら、昨日こっちへ着いた」
「ああ、あの!」旧時代の有名人で、今のオルカの有名人でもある。裸体をかつぎ上げると、猛烈な酒臭さがぷんと香った。
「いやいや、もう飲めません。いえ嘘れすまだまだ飲めますとも」
「ちょっと、酔っ払って入浴するのは危ないのよ?」
「レジスタンスの人たちが、リーダーがなかなか戻らないって不安がってるみたいでして」困った顔でキルケーが言う。彼女が酒のことでこんな顔になるのは珍しい。「夕方までになんとか酔いを覚まして、合流してもらわないと」
「あなたが飲ませたんでしょうに!」
 両脇をかかえてリラックスできる姿勢で湯船に漬けると、そのまま斜めに沈んでいく。「ごぼごぼごぼ」あわてて引き上げて、腕を縁に引っかけて体を支えさせた。
「確かにゆうべ飲ませたのは私ですが、今朝起きて迎え酒を始めたのはこの人ですよ」
「どっちもどっちよ」
「レジスタンスの人たち……まだちょっと警戒してる感じネ」
「それはまあ、無理もないですよ。まだ来たばっかりだし、そのうちわかってくれますって」
「思うんですけどねえ、やっぱりアクアランドって名前、ちょっとアレだったかも……」
「えー? 私はもう大好きになりましたよー。イヤな思い出はぜ~んぶお客様が塗り替えてくれましたし。うふ、うふふ」
「ごぼ。ごぼごぼごぼ」驚くべき柔軟性を発揮して、ブラインドプリンセスは両腕で湯船の縁につかまったままふたたび沈んでいこうとする。「ぼぼぼ……はっ。お湯? 私、どこにいますか?」
「おはようございます、ブラインドプリンセスさん」キルケーが肩をつかんで引っ張り上げた。「ここはアクアランドの大浴場ですよ」
「これ、酔いざましにどうぞ」
 宝蓮が備え付けのコップをとって、湯口から湯をそそいで渡すと、長身の美女は目を閉じたまま器用に受け取り、喉を鳴らして飲みほした。
「ふー……すみません。みっともないところをお見せしてしまいました」
「本当よ。あの『ドラゴンスレイヤー』のヒロインが、こんな飲んだくれだなんて知らなかったわ」
「オンとオフがはっきりしているタイプなんです、私。皆さんは、キルケーさんのお友達ですか?」
 白く霞んだ、真珠のような色の瞳で、ブラインドプリンセスは周囲をゆっくりと見回す。その仕草で今更のように、彼女が実際に盲目なのだと気づいたレナ達はてんでに自己紹介をした。
「あの!」
 そして、それが終わるやいなや、キャロルライナがざぶりと波を立ててすすみ出る。
「レジスタンスに、キャロルライナモデルがいますよね。私、ぜひあの人とお友達になりたいんですけど」
「はい? ええ、いますね、キャロル22b」プリンセスがちょっと驚いた顔をする。「いい子ですよ。いつでも紹介しますが、どうして? オルカには他にいないとか?」
「いえ、いるんですけど」キャロルはぐっと握りこぶしをつくる。「痩せてるんですよ、あのキャロルさん」
「は?」
「初期型のモデルなんです! 初めて見た! ぜったい痩せる方法教わらないと!」
「キャロルさん、まだ気にしてたの?」宝蓮があきれた声を出す。「むっちりしてるのがいいって、お客様も言ってたじゃない」
「それはそれ、これはこれです!」
 ばしゃばしゃと湯を跳ね散らかして力説するキャロルに、みな笑う。その時、やわらかなチャイムの音色が浴場の壁にこだました。
 天窓から入ってくる外の光が、さっと橙色をおびる。園内が夕方モードに変わる時刻だ。
「さ、清掃時間終わり! オープンするわ。みんな、あとひと頑張りしましょ」
 レナの掛け声で皆、ざばりと湯を割って立ち上がる。一拍遅れて、ブラインドプリンセスも立った。
「そうだ、これから夕食分の資材搬入があるんですけど、レナさん手伝ってもらえます? レジスタンスの人達の分があるもので、倍くらいに増えちゃって」
「いいわよー」
「お手数かけます」
「いえいえ。じゃ、キャロルさんと一緒に宿泊所の方行ってくださいな」
「あの、お風呂上がりのビールは……」
「……」
 ガラス戸が締まり、静寂と白い湯気だけが広い浴場を満たした。

 ここはアクアランド。前線から帰ってきた兵士たちが心と体を癒やす場所であり、オルカの理念を体現する場所である。

End

タラバの普通のやつ

タラバのピョンテなやつ

コメント

  • あいつら -- 2021-01-26 (火) 18:37:18
  • よしなに -- 2021-01-27 (水) 12:51:44
  • 丘排気おばあちゃんて一体何なんぬ…と思って読み始めたらめちゃめちゃ良かった… -- 2021-01-30 (土) 20:11:03
  • 本国の怪文書は長編が多くて読み応えあるなあ -- 2021-02-05 (金) 19:41:05
  • 追加の仕方わかんないからここに貼るけどタロンハブシリーズおすすめなんぬ -- 2021-03-23 (火) 21:35:06
  • あいつら -- 2021-04-17 (土) 22:16:35
  • エマソン法に従う必要のないラビアタが望まない相手と交わらなきゃいけなかった理由がわからなすぎる。 -- 2021-06-05 (土) 08:09:37
  • 二次創作にツッコミ入れるのは野暮ってもんでしょ -- 2021-06-05 (土) 08:19:59
  • 不満や不足は各自オルカの世界線相違によるものなんぬ(適当)アプリ内描写以外はぬごとに起きてる事象や経緯は異なるから安心するんぬ(自己暗示) -- 2021-06-05 (土) 09:33:31
  • 圧倒的パワーでメスガキわからせいいよね… -- 2021-06-05 (土) 10:51:02
  • いい… -- 2021-06-05 (土) 23:03:09
  • コメ欄見て遂に怪文書でお姉さまが旧人類にピョンテされる描写が?!とおぺにす…ふっくらさせて見てみたら只のどっちともとれる描写じゃねえか!要は自分の信じたい方を信じればいいんだよチンニミ -- 2021-06-06 (日) 18:09:24
  • しっ!そのまま聞くんぬ…実はラビアタお姉様は司令官好き好き大好きピョンテ大好きで脳内ピンク一色ド淫乱なんぬ… -- 2021-06-15 (火) 15:53:06
  • とりあえず滅亡前にいて死んでしまった子たちはともかく滅亡後に司令官が出会った子は皆処女で恋愛関係経験皆無なんぬ -- 2021-06-18 (金) 15:40:28
  • みんなにやさしいイグニスいいよね… -- 2021-06-18 (金) 23:41:23
  • いい… -- 2021-06-19 (土) 21:29:53
  • ぬ イグニスはメイ隊長やナイトエンジェルさんの良き相談相手でありトラウマを持つバミューダチームの子は彼女のところへ行くんぬ ダッチガールが悪夢に魘されたときも同じなんぬ -- 2021-06-20 (日) 01:15:20
  • ラストおちんちんはすごいな… -- 2021-06-23 (水) 08:27:57
  • 感情で暴走、ラビアタに1対1で圧勝、オリジンダストで強化…司令官はT-1ゴブリンだったぬ…? -- 2021-06-23 (水) 12:08:39
  • みんな幸せになってくれ -- 2021-06-23 (水) 19:49:44
  • 太った中年はバイオロイドにモテるぬ…? -- 2021-06-27 (日) 17:18:30
  • 三安の連中はふくよかなおじさま好きが多そうな印象ある -- 2021-06-29 (火) 17:34:54
  • おあしすの新しいの追加しようとしたら行数オーバーと言われたんぬ どうしたらいいぬ? -- 2021-07-02 (金) 18:57:46
  • りりしゅがいい子してるのカッコいいんぬ -- 2021-07-03 (土) 07:31:14
  • ページ分割ありがとなんぬ -- 2021-07-03 (土) 14:40:09
  • 普段クレイジー扱いされる子がちゃんとした会話してるの好きなんぬうう -- 2021-07-03 (土) 20:16:48
  • CMのあとは「ふらっとShirei」なんぬ? -- 2021-07-14 (水) 08:51:22
  • ふらふら歩いてたら突然休憩室に引っ張り込まれる司令の密着ドキュメンタリーとか怖いんぬ! -- 2021-07-14 (水) 08:57:55
  • すたみな太郎ノームたすかる -- 2021-07-14 (水) 13:57:28
  • 急にIQ上がったんぬ? -- 2021-07-21 (水) 23:42:02
  • ナエンお姉ちゃんすき… -- 2021-07-27 (火) 23:48:05
  • mayちゃん…… -- 2021-07-28 (水) 08:42:31
  • レ・ミゼラブルの映画やミュージカルが気に入った同士ピョンテは是非とも原作小説も読んで欲しいんぬ、ただしロリマンも言及の通り「民衆の歌」は原作には無いので要注意なんぬんぬ -- 2021-07-28 (水) 15:47:04
  • 便乗して細かいことを言うとレッドフード版の頭の2行は「民衆の歌」じゃなくて同じメロディを使い回した「エピローグ」から持ってきてるんぬ でも説明がめどいんでロリマンは3番と言ったんぬ -- 2021-07-28 (水) 17:40:09
  • キャプテンの総括にぐうの音も出ないんぬ -- 2021-07-28 (水) 22:48:50
  • よっしゃああああああ!!! -- 2021-08-03 (火) 22:49:28
  • ラララ ラララ ランパート ラララ ララララ ランパート -- 2021-08-04 (水) 00:29:47
  • よっしゃああああああああ!! -- 2021-08-04 (水) 09:03:42
  • ねぇこのSSランパートの台詞だけボイス実装されてるんだけど?(幻聴 -- 2021-08-05 (木) 11:14:55
  • ランパートクッソかっこええな -- 2021-08-05 (木) 11:55:42
  • 公式のランパート外伝もよかったんぬ 最後にランパリオンもちょっとだけ絡んだんぬ… -- 2021-08-11 (水) 19:20:53
  • ラブホで照明弄って遊ぶカップルみたいなゔぁるきりいさんかわいい -- 2021-08-23 (月) 21:03:53
  • 狙撃手が声デカいのは致命的なんぬ…? -- 2021-08-24 (火) 08:30:25
  • ゔぁるきりいさんとミホの正妻力が強すぎるんぬ  -- 2021-08-24 (火) 18:52:41
  • さらっとヴァルキリいさんをハメ潰す寸前だった司令官やべえんぬ -- 2021-08-24 (火) 22:10:14
  • イベントで開幕ピョンテ要求リューさんかわいい -- 2021-09-02 (木) 20:25:00
  • あの山の中腹へ向けて大魔王をシュゥーッ! -- 2021-09-04 (土) 13:13:38
  • みんなよくお話考えるんぬねえ -- 2021-09-04 (土) 14:54:56
  • みんなというかおあしす怪文書は今のところ全部一人のぬが書いてるはずなんぬ -- 2021-09-04 (土) 17:55:23
  • ぬっ、気付いてしまったんぬ!無敵のリューさん編で射出される時のポックル大魔王のセリフが抜けてるんぬ! -- 2021-09-10 (金) 16:28:34
  • もしかして渋の方を見てくれたぬなんぬ?実はあの台詞は某所のぬ達のレスから思いついて後から書き加えたので抜けたわけではないんぬ でもなんか嬉しいのでこっちにも書き足したんぬ -- 2021-09-10 (金) 23:22:27
  • 台詞が足されたことでポクルの悲哀マシマシなんぬ -- 2021-09-12 (日) 23:29:11
  • アレクサがチーフしてるのいいよね…いい…んぬが、調教教室とのギャップががががが(感電) -- 2021-09-22 (水) 20:03:51
  • 資源ランで沢山戦闘モジュール分解してるから覚えきれないほどレプリロイドがいるんぬ…… -- 2021-10-02 (土) 01:53:31
  • ぬはイレギュラーハンターだったぬ…? -- 2021-10-02 (土) 18:20:04
  • 解像度の高い怪文書、毎度痛み入るんぬねぇ… -- 2021-10-03 (日) 15:13:05
  • さりげなく本棚が更新されてるんぬ, ノームちゃんの意外な一面なんぬ -- 2021-10-15 (金) 22:47:55
  • ノームちゃん晩餐イベ読み返したらあのバチバチの料理勝負で「はい、全員満点です」ってさらっと言えるの結構な神経なんぬ… -- 2021-10-16 (土) 12:34:22
  • メイちゃんを司令官から抱きに行くルートってないのかね -- 2021-10-20 (水) 23:57:23
  • 司令棒の慰め先は間に合ってるし司令官もメイちゃん観察楽しんでるから無いんじゃあないかな… -- 2021-10-21 (木) 00:16:36
  • Do it! may!をみると本当にメイちゃんは……ってなるんぬ -- 2021-10-21 (木) 10:15:00
  • せっかくの大活躍、もとい大爆発だってのに、mayちゃんまたも先を越されてるんぬな… -- 2021-11-02 (火) 02:32:11
  • さりげなくレイスちゃんポンコツなんぬ -- 2021-11-02 (火) 03:20:27
  • レアおば助かるんぬ。感謝なんぬ! -- 2021-11-03 (水) 17:28:41
  • レアおb…お姉さんやっぱすごいんぬ -- 2021-11-03 (水) 19:08:57
  • あいつらピョンテしたんぬ!! -- 2021-11-09 (火) 21:18:24
  • 楽園イベ見たんぬがやっぱりラン!パリ!オーン!の名乗りはああ切るんぬな -- 2021-11-12 (金) 13:23:49
  • 弱き者を守るために発するシグナルのところで涙が溢れてきたんぬ...ぬあぁ... -- 2021-11-12 (金) 14:37:13
  • 相変わらずいい文書書くんぬね -- 2021-11-23 (火) 06:07:47
  • ドラキュリナちゃんが硫酸bukkakeされた経緯は読もう!とあるバイオロイドの記憶!なんぬ -- 2021-11-25 (木) 13:46:36
  • ここの本棚からしか接種できない栄養があるんぬねぇ… -- 2021-11-26 (金) 00:43:02
  • 今回も味わい深い素敵な文章ぬねぇ -- 2021-12-02 (木) 01:37:04
  • 今回も味わい深い素敵な文章ぬねぇ -- 2021-12-02 (木) 01:37:06
  • あのおっぱいまろび出るスク水で沼地を歩いてたとかシルキーちゃんスケベなんぬ…? -- 2021-12-02 (木) 08:35:52
  • ゲーム的な都合を話に落とし込むのが上手いんぬ…… 司令官はすぐ舌入れるし色を好むってレベルじゃないんぬ -- 2021-12-07 (火) 01:19:04
  • 司令官の性癖がすっかり歪んでしまったんぬ たぶん初の海イベでピンクえっち水着とか宝石乳輪水着とかを見過ぎたせいなんぬ -- 2021-12-07 (火) 12:06:01
  • ビーハンママと紅蓮ママのお母さん会議とか、見てみたいんぬねぇ -- 2021-12-13 (月) 18:29:23
  • おとんとおかんなんぬ -- 2021-12-17 (金) 00:22:45
  • 思わずミナのスキン買っちゃったんぬ、ここの文書は経済を加速させる効果があるんぬ -- 2021-12-17 (金) 10:14:01
  • シルキーの話いい話なんぬ -- 2021-12-18 (土) 07:09:17
  • ママさん会議書かれててぬは感動したんぬ…感謝の資源ラン100周するんぬ!! -- 2021-12-21 (火) 19:57:37
  • ネタをくれてありがとうなんぬー -- 2021-12-21 (火) 21:22:55
  • ここからにんげんがたくさん~ -- 2021-12-24 (金) 20:24:21
  • エミリー!ぺっしなさいぺっ! -- 2021-12-26 (日) 10:34:44
  • お腹をドコドコ叩いてるエミリー…見たくないような、少しだけ興味があるような… -- 2022-01-03 (月) 20:30:14
  • マイティRちゃんマイティSSRにしたくなってきたんぬねぇ! -- 2022-01-12 (水) 18:07:39
  • いい話なんぬ…… -- 2022-01-13 (木) 09:42:39
  • 司令官の24時間密着マル秘映像なんてどうせ汚いフェザーがもう作ってるんぬ -- 2022-01-13 (木) 20:19:10
  • ソワン、キムチで笑っちゃったんぬ -- 2022-01-20 (木) 19:46:15
  • ソワン、アルマンで良いんじゃないんぬ?ぬにはわからないんぬ… -- 2022-01-20 (木) 23:26:02
  • ヤンニョムチキンのヤンニョムってなんだろうって思ってたらこういう事だったんぬなぁ… -- 2022-01-20 (木) 23:29:05
  • 魚介好きだからポッサムキムチ気になるんぬ。アマゾンとかで売ってるぬかね? -- 2022-01-22 (土) 00:10:01
  • amazonでも楽天でも売ってるんぬが大抵キロ単位なので気をつけるんぬ -- 2022-01-22 (土) 00:40:16
  • 相変わらずオチまで綺麗で恐れ入るんぬねえ。キムチ食べたくなってきたから買ってくるんぬ -- 2022-01-22 (土) 16:14:00
  • ジスルフィラムってなにかと思ったらアル中の抗酒療法に使われる薬品なんぬね -- 2022-01-22 (土) 19:33:53
  • ペロちゃんかわいいにゃん -- 2022-02-09 (水) 20:00:56
  • 素晴らしい短編だ素晴らしい -- 2022-02-11 (金) 10:50:19
  • ポイペロがなんやかんや仲睦まじいのは癒されるんぬ -- 2022-02-17 (木) 02:15:35
  • 司令官もつらいんけぇ -- 2022-03-10 (木) 01:10:47
  • 街並みの情景描写とお子様に配慮した性行為描写と世界観の踏襲と報われるマキナと……シェフに『美味だった』と伝えておいて欲しいんぬ、また来るぬ -- 2022-03-10 (木) 02:11:23
  • レベルの高い合格点を超える怪文書をオールウェイズ出してくれるんぬね…最高ぬ -- 2022-03-11 (金) 10:54:50
  • ここの本棚の主からはいつも良いいんすぴれーしょんを貰ってるんぬ!感謝ぬ! -- 2022-03-23 (水) 19:18:37
  • 新作たすかる -- 2022-03-24 (木) 11:03:32
  • ハムスターみたいな顔でケーキを頬張るエキドナ…多分劇場のあの顔してるに違いないんぬ -- 2022-03-24 (木) 16:36:17
  • ケーキうめー もっも -- 2022-03-24 (木) 20:11:54
  • ありしゅ……好き…… -- 2022-03-25 (金) 10:05:49
  • 新作たすかる -- 2022-04-06 (水) 23:20:15
  • んもー、更新あるなら言ってほしいんぬ!作者には今回のも良作だったぬと伝えてほしいんぬ -- 2022-04-10 (日) 00:50:46
  • 制圧手順考えるのと視線で察するモモちゃんたまんねぇ -- 2022-04-13 (水) 00:13:35
  • しあわせになれ… -- 2022-04-16 (土) 00:46:45
  • ネオディムは60番目ということかぬぅ… -- 2022-04-17 (日) 22:43:56
  • 脳内設定なんぬがネオディムはネオディムで命名別なんぬ でもレイシーちゃんズにレイチェル・ネオディムさんはいたかもなんぬ -- 2022-04-18 (月) 22:43:50
  • 「『サツマのイモ・スピリットは 鬼をも酔い潰す』すなわちデーモン・スレイヤーなり」「ヌゥウッ ポエット!!」 -- 2022-04-19 (火) 08:30:20
  • リエモーンてことは指宿酒造なんぬ 美味いんぬ -- 2022-04-20 (水) 10:43:12
  • ピョンテとしっとりした話を交互にされて頭おかしくなるぬ -- 2022-04-21 (木) 19:58:26
  • お掃除は大事なんぬ!そしてベッドなどの使用時のマナーの周知とルールの統一は皆ですり合わせるべきなんぬ -- 2022-04-22 (金) 20:09:02
  • きっとラストおちんちんの前ではマナーとか色々全部吹っ飛んでしまうんぬ -- 2022-04-24 (日) 19:52:58
  • ルールとマナーを守って楽しくピョンテ! -- 2022-04-26 (火) 00:36:24
  • いつどれを読んでも最高に面白いの最高なんぬね…ここの怪文書を読むとそのバイオロイドに興味を持つこともあるんぬから最高の怪文書を書いてくれるぬは最高の指揮官なんぬ! -- 2022-05-09 (月) 13:09:26
  • 魚のマイクロブラスチック問題とか海洋汚染も人類が滅亡してある程度改善されてそうなんぬ牡蠣とかボラも味と臭いが良くなってそうなんぬ -- 2022-05-11 (水) 09:40:24
  • 新作たすかる -- 2022-05-11 (水) 23:12:40
  • 日常のふんいき、求められた在り方故のせつなさ、でも最後には違った未来を感じるお話なんぬね...しあわせになれ... -- 2022-05-13 (金) 04:17:22
  • いい話だァ…… -- 2022-05-13 (金) 10:21:58
  • やっぱ焼肉ノームがなんだかんだで1番好きなんぬぅ... -- 2022-05-14 (土) 19:42:28
  • エミリーが一人で資源ラン行くのを見守るキャノニア組とか見たいんぬ -- 2022-05-28 (土) 15:12:44
  • "不可能なことを取り除いていって最後に残ったものは、どれだけ奇妙に見えても真実"、なんぬ、リアンがちゃんとホームズやってるの非常に良いんぬ -- 2022-06-01 (水) 00:41:40
  • 対の話が出てきたところで結末の予想はできたと思っていたんぬが...いやあ...1本取られたんぬ。いいものを読ませて貰ったんぬ -- 2022-06-01 (水) 01:10:50
  • ワトリアは、良いぞ -- 2022-06-01 (水) 01:13:23
  • 前々から思っていたんぬが、ここの本棚の主は語彙力といい文章力といい、本職の匂いを感じるんぬ -- 2022-06-01 (水) 19:44:38
  • おあしす本棚のうちクイックキャメルのだけは別のぬの作なので注意なんぬ 怪文書作者もっと増えろんぬ -- 2022-06-02 (木) 19:27:56
  • なるほどなんぬ、道理で司令官の「」が【】だったんぬね~。怪文書はもっと気軽に製造されるべきなんぬ。バ発並みに気軽にするべきなんぬ -- 2022-06-02 (木) 23:52:20
  • 推理小説まで書けるなんて……恐れ入り谷の紅蓮ママなんぬ -- 2022-06-03 (金) 04:09:10
  • エミリー!!!!!!!!!!!!!!!!ちょうど中破エミリーに周回させるの心情的に悩んでたところにスーッと効いてくるんぬ...ありがたい... -- 2022-06-08 (水) 20:33:12
  • エミリーありがたい… -- 2022-06-08 (水) 23:28:24
  • エミリーありがたいんぬ。お願い聞いてくれてありがとうなんぬ。 -- 2022-06-11 (土) 12:01:14
  • リクありがとうなんぬ 書くための予習に初めてエミリーちゃん中破ラン試したら効率良すぎてやめられねえんぬ… -- 2022-06-11 (土) 16:33:20
  • 楽園イベのあとのバニラの話とか見てみたいんぬ……気が向いたらよろしく頼むんぬ…… -- 2022-06-14 (火) 01:09:37
  • どのぬも最高の怪文書を書いてくれるぬね~…エミリーちゃんぎゃんかわすぎて資源周回できるように育成を始めてしまったぬ -- 2022-06-16 (木) 16:36:47
  • 新規の怪文書ありがたいんぬ!ところでこの文書って作者さんが自分でここに載せてるんぬ? -- 2022-07-01 (金) 02:14:02
  • 最初は誰かが本棚に入れてくれてたんぬ そしたらコメ欄で感想もらえるのにすっかり病みつきになって最近は自分で載せてるんぬんぬ -- 2022-07-01 (金) 10:19:37
  • ここに感想かいて良いんぬ!?いつも助かっておりますんぬ -- 2022-07-01 (金) 15:10:03
  • AGSの会はラストオリジンの魅力が詰まってるのが多くてお気に入りなんぬ -- 2022-07-01 (金) 23:48:48
  • 作者さんも、最初に載せてくれた人もマジありがとうなんぬ。 -- 2022-07-02 (土) 10:57:09
  • 新作たすかる -- 2022-07-04 (月) 18:34:06
  • ぬもお気に入りの怪文書を広めたいんぬが、編集の仕方も編集していいかもわからないんぬ...ぬは弱いんぬ... -- 2022-07-08 (金) 00:10:51
  • そういう時のために砂場があるんぬ 色々試して練習なんぬ! -- 2022-07-08 (金) 08:10:19
  • あれってそういうことのためにあったんぬ!?目からウロコなんぬ、主にアコーディオンとか試してみるんぬ。第二次折り畳み大戦が始まるんぬ! -- 2022-07-08 (金) 17:12:55
  • 今回の怪文書を読むとランパート達の警察勇者に涙が止まらなくなるんぬなぁ… -- 2022-07-11 (月) 19:59:21
  • レイスさんの叶わない夢って…… -- 2022-07-11 (月) 20:35:18
  • ハッピー...チョロン... -- 2022-07-11 (月) 23:44:14
  • バニラのリク送ったぬなんぬ、いつも質の高い怪文書ありがとうなんぬ!!浮かれ気分バニラちゃんかわいいんぬねぇ…… -- 2022-07-12 (火) 17:14:32
  • ネタをくれてありがとうなんぬー -- 2022-07-12 (火) 21:07:33
  • 本国で2000文字以内かつ最後が「夏だった...」で終わるストーリーコンテストをやってるみたいなんぬ ここのぬも参加してみてはどうかぬ? -- 2022-07-22 (金) 12:14:15
  • そもそもこれ日本語で参加できるんぬ…? -- 2022-07-24 (日) 20:59:30
  • 泣いたんぬ。今回もめちゃくちゃ良かったんぬ。これ本当に無料でいいんぬ...? -- 2022-07-25 (月) 20:31:43
  • お姉さまのお姉さま力はさすがお姉さまですわ -- 2022-07-27 (水) 01:21:15
  • キリッとした品のいい文体がソワンらしくてとてもいいんぬ -- 2022-08-03 (水) 15:21:22
  • また新たな怪文書作家が現れたんぬ?めでたいんぬ! -- 2022-08-03 (水) 15:37:20
  • 感想ありがたいんぬ。敬語にかなり苦労したから、品のいいと言ってくれてすごく嬉しいんぬ -- 2022-08-03 (水) 23:27:58
  • ティタニアの話が読みたいんぬ。読みたいから書くんぬ。応援してほしいんぬ -- 2022-08-17 (水) 23:14:57
  • 頑張るんぬ。ぬも読みたいんぬ -- 2022-08-18 (木) 10:02:36
  • わんこ組による仁義なきナワバリ(司令官)戦争とかもお願いするんぬ -- 2022-08-18 (木) 18:47:30
  • カーンとマリーの歴戦の戦友感がスバラスゥイ怪文書だったんぬ。あとオチのカーン隊長がマジカーン隊長してて心の中の汚いフェザーがハァハァしながら涎たらしてるんぬ。執筆ありがとうございますぬ。 -- 2022-08-19 (金) 21:46:27
  • マリー4号もまた第一次連合戦争以来最前線で生き残った異能生存体なんぬ。多くの敗北を経験し部下を死なせてきた彼女がどのように過去と向き合い現在を生きるか、本編を補完する怪文書がたくさん読めて幸せですぬ。 -- 2022-08-19 (金) 23:54:22
  • カーンタイチョウ! -- 2022-08-20 (土) 04:16:43
  • カーン隊長もケシクもマリーも幸せになって欲しいんぬ...するんぬ -- 2022-08-20 (土) 09:39:41
  • マリー隊長も現在をエンジョイできてて何よりなんぬ -- 2022-08-21 (日) 13:09:19
  • 新しいのを追加しようとしたら行数オーバーだと言われたんぬ……どなたかお手数ですがページ分割をお願いしたいんぬ -- 2022-08-21 (日) 14:56:38
  • これはごく個人的な希望なんぬがせっかく怪文書作家が増えてきたのでなんか識別子があると有り難いんぬ こう頭に何か付けるとかエンドマークをちょっと変えるとか… -- 2022-08-21 (日) 23:14:09
  • アクアちゃん可愛いんぬ -- 2022-08-21 (日) 23:23:22
  • 怪文書作家の区別ができるようにするのはぬも考えてたんぬけど、誰でも編集ができる以上ここの識別子だけで判断するのは怖いんぬなあ...とも思ったんぬ。一応渋にも上がってるから探して毎回クロスチェックするのが1番良さそうなんぬ -- 2022-08-22 (月) 00:38:08
  • 本国版に実装されたスキンの背景に、水着を着たアクアが登場していてギャンかわだったんぬ。こういうのもいいけどアクア自身のスキンも欲しいんぬなあ -- 2022-08-22 (月) 00:53:08
  • 中途半端にまとめちゃったのをまとめ直してくれて感謝なんぬ -- 2022-08-22 (月) 01:09:39
  • プラダを着た悪魔 水着を着たアクア -- 2022-08-22 (月) 12:41:10
  • 外奴だからいつもコメしないよう頑張って控えてるんぬが今回は我慢できないぬ……ありがとうなんぬ。最高だったぬ。語ると長くなりすぎるんぬ。ただただよかったんぬよ…… -- 2022-08-23 (火) 20:46:30
  • レッドフードヴァルキリーナエンさんセイレーンとかで副官(?)達による特別会議とか見てみたいんぬ ホードは特別枠で汚いフェザーが参加お願いするんぬ -- 2022-08-28 (日) 00:35:53
  • コメントしづらいぬは渋の方に行くんぬ。渋にも上がってるんぬ -- 2022-08-28 (日) 02:58:48
  • 原点回帰して焼肉食いながらノームちゃん怪文書読んでるけど、やっぱお肉は最高なんぬ!ご飯もバイオロイドも肉モリモリに限るんぬ!!! -- 2022-09-06 (火) 13:39:04
  • 焼肉ノームは読むたびにお肉食べたくなるんぬ。スチールライン全員で焼肉したいんぬねえ。 -- 2022-09-06 (火) 16:18:19
  • バイオロイドは気兼ねなくレバ刺しが食べられてちょっと羨ましいんぬ -- 2022-09-07 (水) 10:28:44
  • 旧人類滅びたから厄介な政治も規制も配慮も存在しないの気持ちいいんぬ -- 2022-09-10 (土) 10:13:53
  • その代わり司令官の司令官を巡る熾烈な争いがあるんぬ... -- 2022-09-10 (土) 21:52:42
  • 今回も良文書を生んでくれたことに感謝 -- 2022-09-15 (木) 19:04:43
  • 今日の怪文書も美味しかったんぬ。いつも素晴らしい怪文書をありがとうなんぬ -- 2022-09-16 (金) 15:19:39
  • これモデルは平川動物公園なんぬ? -- 2022-09-18 (日) 13:19:35
  • このあと自前の太いんだよ!固いんだよ!暴れっぱなしなんだよォ!でレオナに一発必中するんぬね -- 2022-10-04 (火) 12:51:38
  • 昼と夜で命中率が変わる人間様はだ~れだ?なんぬ -- 2022-10-05 (水) 01:23:54
  • スコッティさんこれノーム569も会議で○んでるんぬ…? -- 2022-10-05 (水) 12:53:04
  • 書いたあとで指摘されて気づいたんぬがホードの副官はフェザーだったんぬ…うちのホードではこういう役柄ってことでご容赦いただきたいんぬ… -- 2022-10-05 (水) 14:36:05
  • 白くない方のフェザーは性癖と性欲を別にしたら有能なんぬ。他のチームとの集まりなんかでは公私を分けれそうだけどキャラとして汚染度がひどいんぬ -- 2022-10-05 (水) 21:18:54
  • でもレオナの目の前でおっぱじめてた気がするんぬ... -- 2022-10-06 (木) 00:54:15
  • ハッ…タイラント…お前…どうしてそんな… -- 2022-10-11 (火) 00:04:46
  • 宣伝なんぬ。今月23日に開催されるオンラインイベント「My Orca Market!」でぬの書いた怪文書をまとめて本にして出すんぬ。オンラインだから覗くだけなら時間も金もかからない(会員登録は必要)ので見に来てくれると嬉しいんぬ。 -- 2022-11-09 (水) 11:20:29
  • オンラインイベントだったのか リアルイベントならちょっと無理かなぁとか思っていたから覗いてみようかぬ -- 2022-11-10 (木) 15:29:41
  • うおー新作なんぬ!あのイベントの裏側ではこんな戦闘が……想像が広がる素晴らしい作品なんぬ! -- 2022-11-22 (火) 08:33:38
  • 先に言い訳しておくんぬがブラックナイトの能力がサイクロプスType-Xになってるのはその方がギミック的に面白いからあえてなんぬ そして明日はオンラインイベントなんぬ!ぬ達どうか見に来るだけ来てほしいんぬ! -- 2022-11-22 (火) 22:50:02
  • 新作ご馳走様でしたなんぬ。なんの参考にもならない秘技をありがとうございましたんぬ -- 2022-11-23 (水) 17:31:09
  • 完売おめでとうなんぬ 小説大好きなんぬ -- 2022-11-24 (木) 01:19:05
  • 本当にありがとうございましたんぬ これからも頑張って怪文書書くんぬううううう -- 2022-11-25 (金) 19:56:54
  • 素敵なイベント怪文書ありがとうございますぬ。ライブの片付けの話からラストの『あれ』につなげる構成が控えめに言って最っ高に良かったんぬ。 -- 2022-11-30 (水) 21:36:29
  • いいはなしぬ -- 2022-12-01 (木) 12:04:08
  • うおおおー!今回の新作も最高なんぬ!!尊敬する人が自分のことを覚えてくれていたってのは最高に幸せなことなんぬね……!最高の新作をありがとうなんぬ! -- 2022-12-08 (木) 08:40:51
  • 最新作の最後のほう 読んでるだけのこっちも感動を覚えてしまった ボーズ作ってみようかな -- 2022-12-09 (金) 22:25:13
  • 更新ついでにページ分割しといたんぬ。なんか分割が駆け足になっちゃって申し訳ないんぬ。そして開幕が若干被ってしまったけど許してほしいんぬ -- 2022-12-15 (木) 23:22:16
  • バイオロイドがごはん作る話は健康にいいのでいくらあってもいいんぬ -- 2022-12-15 (木) 23:53:46
  • うーん、今度の新作も良いものなんぬね……役目から解放された者がどうやって自分の価値を再び見出すか……素敵なお話だったんぬ! -- 2022-12-17 (土) 12:29:51
  • 流石のセクメトママもあの格好で揚げ物するのは無理だったんぬな… -- 2022-12-18 (日) 23:12:59
  • エリーちゃんには幸せになってほしいぬ -- 2022-12-19 (月) 10:36:23
  • 今回のお話滅茶苦茶良かったんぬ......エリーが涙を流しているところが特に印象的だったんぬ。これからは慎ましく質素に生き、アルマンにパンツを見せて貰うのは3日に1回にするんぬ。 -- 2022-12-22 (木) 03:19:16
  • ショコラケーキが美味しかったエンジェルが可愛かった。あとアルマンがやっぱり可愛かった。アルマンママ愛してるよアルマンママ。 -- 2022-12-30 (金) 17:20:01
  • これは……新しい……惹かれるぬ -- 2023-01-06 (金) 04:01:00
  • 急にオルカ任侠物が始まったんぬ 面白かったんぬ -- 2023-01-06 (金) 12:57:17
  • 広島弁ハチコとか想像もつかないわ… -- 2023-01-06 (金) 23:40:50
  • 頂上決戦編、何だかdiyap作画で映像が見える気がするんぬ…不思議なんぬ… -- 2023-01-15 (日) 22:07:02
  • 野良バイオロイドのオルカに対する色んな考えがあるというのは大事だし、それを文章として出力するのはありがたいんぬ -- 2023-01-20 (金) 20:40:06
  • しあわせになってほしい -- 2023-01-31 (火) 06:10:50
  • 毎度質のいい怪文書で染みるんぬねぇ…… -- 2023-02-07 (火) 02:05:59
  • 司令官スーパーコンパニオンみたいなんぬな -- 2023-02-07 (火) 14:27:05
  • えっちなことするコンパニオンさんをそう呼ぶなんて知らなかったんぬ…また一ついらない知識が増えてしまったんぬ… -- 2023-02-08 (水) 01:09:05
  • シリアスからスパコン司令で娘たちの成長記録とか、シチュが多彩で捗るんぬありがとうなんぬ… -- 2023-02-18 (土) 19:06:39
  • ウルもいいキャラしてるんぬねぇ キャラも増えてきたけど満遍なく題材にしてくれるから毎回楽しみなんぬ -- 2023-02-24 (金) 11:43:33
  • 今回のイベントでウルちゃんの解像度高まったけど、このSSも解像度かなり高いな……って感心してるぬ -- 2023-02-24 (金) 16:04:28
  • ありがとなんぬ 正直書いた直後に本編で出てくるとは思わなかったんぬ それほどキャラ違ってなくてほっとしてるんぬ… -- 2023-02-24 (金) 17:17:56
  • マリーのグルメ,書き手さん絶対孤独のグルメすきぬ.セリフ回しとか完全に意識して書いてるんぬ.クソ不味いのに癖になる味ってあるよね. -- 2023-03-03 (金) 00:33:48
  • セクメトとコンスタンツァの話が読めるのはここだけな気がするんぬ! -- 2023-03-10 (金) 20:49:34
  • 全部同じ人が書いてるわけじゃないぬ。セクメトとコンちゃんのお話はオルカな日々で検索すると出てくるぬ -- 2023-03-10 (金) 22:14:04
  • オルカな日々いいんぬね…ドリフのいい話寄りの長編コントみたいなマキナの話すきぬ -- 2023-03-10 (金) 22:34:31
  • そうだったんぬか、指摘助かるんぬ -- 2023-03-11 (土) 04:21:58
  • 感想嬉しいんぬ、頑張れるんぬ。最近更新できてなくて申し訳ない気持ちでいっぱいなんぬ... -- 2023-03-14 (火) 02:52:21
  • 食事は味だけではなく環境と思い出もあるから美味しくない料理でも過去を思い出すには良いんぬ。バンシーは仲間たちの過去からこれからの未来を、マリー隊長は自身の過去を越えて未来をなんぬ -- 2023-03-14 (火) 09:06:47
  • ここの怪文書に「ある日のオルカ」と「オルカな日々」があって本国の公式漫画に「今日のオルカ」があるのみんな発想は似てるんだなってほっこりするぬ…まぎらわしいけど… -- 2023-03-18 (土) 17:18:30
  • フフフ...奴はヴァルキリーの中でも最弱...例えオレンジエードが倒れようと第2第3のヴァルキリーが... -- 2023-03-21 (火) 00:05:20
  • Twitterという存在が普通に出てきているけれど、読む時は適当にオルカ内で使用されているSNSという風に脳内で置き換えておいてほしいんぬ -- 2023-04-02 (日) 01:25:13
  • ぷにるちゃんのアホ可愛さがとどまるところを知らないんぬ…ついに飛行団長が実装されて肩の荷が下りたのかぬ? -- 2023-04-03 (月) 08:27:47
  • 飛行団長見た感じ旧人類の業をめちゃめちゃ背負わされてる感じあるから、なおのことぷにるの明るさが助かるんぬ -- 2023-04-04 (火) 01:46:27
  • ヒンドゥー教の神に由来するスラングであるところの「ゴウランガ」を「エル・アライラー」に置き換えるところにセンスを感じるんぬ -- 2023-04-10 (月) 19:19:46
  • いっぱいご飯を食べるんぬ…いっぱい美味しいものを食べるんぬ… -- 2023-05-08 (月) 19:12:46
  • お姉ちゃんも十分立派なものをお持ちなんぬ(壁を見ながら) -- 2023-05-10 (水) 09:12:19
  • おいしいですよね 大手まんぢゅう -- 2023-05-23 (火) 17:28:50
  • 大手饅頭わかってくれる人が結構いて嬉しいんぬ おいしいのぬ -- 2023-05-23 (火) 23:29:29
  • んぬあああああああああレオナ!!!!!レオナのお話なんぬ!!!!この方からアンドバリに向ける柔和な態度のレオナがドストライクなんぬ!!!!それにケシクとスカラビアも出てくるということでぬはもうショート寸前なんぬ!メリテ...君がこの子を泣かせたんぬ... -- 2023-05-24 (水) 23:54:34
  • 交換スキンネタ最高なんぬ……ありがとう…… -- 2023-06-21 (水) 12:03:37
  • マグロの缶詰作ろうとしてイワシの缶詰ができたら,それもう失敗以前の問題度と思うけど…でも,そんなフォーチュンのことが好きです(告白) -- 2023-07-21 (金) 22:06:39
  • フォーチュンお姉さん2-3Exのことずっと根に持ってたんぬなあ… -- 2023-07-21 (金) 23:09:32
  • オルカの個人戦闘力が二人も揃えばこうなるのは火を見るより明らかだったんぬ…何も知らない鉄虫が逆に哀れなんぬ -- 2023-08-08 (火) 18:14:42
  • 個人戦闘力「トップ」が抜けたんぬ かっこわるいぬ -- 2023-08-08 (火) 18:18:24
  • お姉様ってパワータイプで重いけど鈍重ではないんぬな -- 2023-08-10 (木) 14:06:43
  • エルブンたちが乳搾ってるところもっとみたいんぬ~ -- 2023-08-23 (水) 07:23:20
  • 久々に来てみたら過去のおあしすがなんかすごい数になってるんぬ… -- 2023-10-04 (水) 00:15:29
  • ようやく新作を出せたんぬ。ぬの妄想と願望そこれでもかというほど詰め込んだんぬ -- 2023-10-23 (月) 23:20:16
  • 妄想と願望をこれでもかというほど、なんぬ。間違えたんぬ -- 2023-10-23 (月) 23:21:05
  • タラバの新作の時計針めっちゃいいんぬ……LRLが選ぶ服が普通の大人の普段着って所がたまらねえんぬ……なのに最後はなぜそんなことに…… -- 2023-12-19 (火) 10:22:24
  • 旧人類より人間味のあるAGSいいよね -- 2024-01-25 (木) 02:00:12
  • 勇者王ランパートの話何回読んでも良いという感想しか出ない -- 2024-01-30 (火) 23:10:08
  • 再び宣伝なんぬ。今月25日にオンラインイベント「My Orca Market!2」が開催されるんぬ。前回と違うシステムを使ってるけど登録さえすれば無料で自宅で入れるので是非見に来るだけでも来てほしいんぬ! -- 2024-05-06 (月) 23:20:28
  • 書き忘れたけどぬの怪文書第2巻を出すんぬ。第1巻も再版するんぬ -- 2024-05-06 (月) 23:22:55