死の秘宝/36~終章

Last-modified: 2024-04-14 (日) 12:42:17


36章

裏目に出る

■日本語版 36章 p.534
「いいかリドル。ダンブルドアの最後の計画が失敗した事は僕にとって裏目に出たわけじゃない。お前にとって裏目に出ただけだ」

■UK版 p.594
"because Dumbledore's last plan hasn't backfired on me at all. It's backfired on you, Riddle."

■試訳

  • 「いいかリドル。ダンブルドアの最後の計画が失敗して困るのは僕じゃない、お前だ」

■備考

  • ヴォルデモートの「ダンブルドアの最後の謀は、ハリー・ポッター、失敗に終わったのだ!」に対する
    ハリーのセリフ。
  • 「裏目に出る」という言葉は、「よかれと思ってしたことが悪い結果になる」事を言うんだよ。
    「失敗したことが裏目に出る」何て日本語は無い。
    こう言う酷い文が多すぎる。常識のある読者は皆呆れてるんだよ。
  • 意訳になるが、「いいかリドル。ダンブルドアの最後の計画が失敗して困るのは僕じゃない、お前だ」はどう?

杖をピクピク動かした

■日本語版 36章 p.536
ハリーはサンザシの杖をピクピク動かした。大広間の目という目が、その杖に注がれるのをハリーは感じた。

■UK版 p.595
Harry twitched the hawthorn wand, and he felt the eyes of everyone in the Hall upon it.

■試訳

  1. ハリーはサンザシの杖をグッと引き寄せた。(略)
  2. ハリーはサンザシの杖をぐいっと動かした。(略)

■備考

  • ハリーの武装解除とヴォルデモートのアバダ・ケダブラがぶつかる直前の緊迫のシーン。
  • twitchは「(身体の一部を)ピクピク動く(動かす)、痙攣する」って意味も有るけど
    物に使う時は「ぐいっと(ちょんと)引く」という感じ。
    「ハリーはサンザシの杖をグッと引き寄せた。」とかそんなとこかな。
  • 擬態語とか擬音が多過ぎて幼稚なだけじゃなく、
    それが実際の情景と合ってない事が物凄く多いよね。

終章

悪文 その1

■日本語版 終章 p.551
「それじゃ、車は無事駐車させたんだな?」
ロンがハリーに聞いた。
「僕はちゃんとやったよ。ハーマイオニーは、僕がマグルの運転試験に受かるとは思っていなかったんだ。だろ?僕が試験官に『錯乱の呪文』をかける羽目になるんじゃないかって予測してたのさ」

■UK版 p.827(PB)
“Parked all right, then?”Ron asked Harry.“I did. Hermione didn't believe I could pass a Muggle driving test, did you? She thought I'd have to Confund the examiner.”

■備考

  • 邦訳では1行目と3行目のセリフの主が違う様にも読める。
    もしかすると「僕はちゃんと~」以下がハリーと思ってしまった人がいるのかも。
    (因みにその次のハーマイオニーのセリフは女性言葉なのでロンやハリーと間違いにくいのに一行で書かれている)
  • 誰のセリフか分かる様に~asked, ~said を訳してるのかと思ったら、気まぐれな改行でますます分かり難くしてる。
  • 英文だとセリフを分割するけど、こう言う時に翻訳では結合するのが定石なのに。
  • ロンの最初の問い掛けの訳が悪すぎる。
    「無事に駐車させられただろ?」ってハリーに確認してるニュアンスじゃなくなってるのが一番問題だな。

悪文 その2

■日本語版 終章 p.551(※原文は改行無し)
プラットフォームに戻ると、リリーとローズの弟のヒューゴが、
晴れてホグワーツに行く日が来たらどの寮に組分けされるかについてさかんに話し合っていた。

■UK版 p.604(※原文は改行無し)
Back on the platform, they found Lily and Hugo, Rose's younger brother,
having an animated discussion about which house they would be sorted into when they finally went to Hogwarts.

■試訳

  1. ホームに戻ると、リリーのそばにローズの弟、ヒューゴーがいた。
    二人は晴れて(略)について盛んに話している。
  2. ホームに戻ってみると、リリーがローズの弟ヒューゴと熱心にしゃべっていた。
    晴れてホグワーツに(略)

■備考

  • 最初、ヒューゴはリリーとローズの弟だと勘違いしてしまいました。
    この前までの文章でリリーはハリーの子、ローズはロンの子だろうっていうのが分かっていたので、
    矛盾を感じて思わず何度も読み返してしまいました。
    何度か読み返した後にリリーとヒューゴが話してたんだと理解しましたが、
    間際らしい書き方をしてるなぁって思いました。
    「ローズの弟であるヒューゴとリリーが」としてくれたらすっきり読めるのに。
  • あと、今気づいたんですが「プラットフォーム」って書かれてましたが、
    正しくは「プラットホーム」では無いでしょうか?
  • こういうの難しいと思うけど、流れとしてはリリーはもう紹介されているから先に出し、
    一緒にいるのはヒューゴー、この子はローズの弟だよという感じで紹介するのが自然。
    だから作者もその順番で書いているので、出来たら変えたくない所。
    「ホームに戻ると、リリーのそばにローズの弟、ヒューゴーがいた。」という感じで文を切り、
    「ふたりは~について盛んに話している」みたいに繋げるのがベターかもしれないね。

蹴りを入れた

■日本語版 終章 p.555
常識のない母親は困る、とばかりに頭を振りながら、ジェームズは気持ちのはけ口にアルバスめがけて蹴りを入れた。

■UK版 p.606
Shaking his head at his mother's foolishness, he vented his feelings by aiming a kick at Albus.

■備考

  • aiming a kick は本当に「(蹴る為に)狙いを定めた」という意味です。
    比喩的な意味はなし。
    ただし、実際には蹴ってない。というわけで「蹴りを入れた」は誤訳。
  • Shaking his head at his mother's foolishness, を
    「常識のない母親は困る、とばかりに頭を振りながら」というのもなんか下手だ。
    微妙なとこだけど、常識は関係ないわけで・・・
    「ママはバカだなあと言わんばかりに頭を振って、」とかのが自然じゃないかな。

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