FF12
ラバナスタ・ダウンタウンにいるNPCの、元空賊サマルとの会話で聞けるセリフ。
全文は以下の通り。
空賊がスマートで格好いいってのはイメージだよ。 実際はそんなに甘いものじゃない。 命の危険にさらされて、安らぐヒマもない。
確かに自由かもしれない。 けれどそれは、すべての責任を自分で負って、初めて得られるものなんだ。 本当の自由とは何か、よく考えてみるといい。 今の苦しみから逃れることが、自由になるってことではないよ。決してね。
「自由」がFF12のテーマなので、元はイベントシーンで使われる予定だったのではと思ってしまうほど重要なことを言ってる。
これはNPCではなくフランかレダスあたりに言わせるべきだったんじゃなかろうか。
- NPCだからいいんだ。
FF12には「自由」の対比として「義務」というテーマもあるが、その両方を簡潔かつ明確に言い表している。
シナリオの要点がこのセリフに集約されているといっても過言ではない。
- 逆にこれをメインシナリオ上で言わせてしまったら、
核心となるテーマをそのまま言葉にさせるという、
作劇としてあまり上手くないことになってしまったように思う。
苦しみから逃れ~のくだりは、身内を亡くしたヴァンとアーシェ、豹変した父から逃げたバルフレアに関係し、
責任を~のほうは、森を出たがヴィエラの能力が衰えたフラン、ダルマスカに流れて務めを果たすバッシュ、
敵側にも、法の番人であるジャッジ達、弟のために汚れ役を買っているヴェイン、
兄に剣を向けて一人立ちをするラーサーなどに関係している。
深く考えるまでもなく、仕事(盗み)に励んでいない間に空を飛んでるだけの犯罪者である。捕まれば司法の手で投獄~処刑で当然。「普通」から自発的に足を踏み外すのなら「他人のせいにするな」という程度のこと。
- 戦争で家族と土地を失い、帝国兵相手にスリをして稼いでいるヴァンの現状はすでに「普通」ではない。
敗戦国で外民身分なので最底辺の扱いを受け、だからこそ自由な空賊に憧れを抱いている。
このセリフは「今の苦しみから逃れる」という部分が核心であり、
「本当の自由がほしいなら、今の苦しみと向き合え」という話である。
「自由」が本作のテーマである上に、辛い過去から逃げたり向き合っている最中のキャラが多いため、
このセリフがプレイヤーから重要視されるのも当然と言える。- ヴァンの苦しみは帝国の謀略に直結してるから、単に向き合ったところで答えはないんだよな。諦めることはできるけど。
- そもそも『普通』や『常識』という考え方は「思考の主体を、自分以外の多数意見や古くからある固定観念に預けている」ということに他ならないのだから無責任極まりない。
「ただの犯罪者」というのは考えることを放棄しているだけ…というより以前に、『現実の日本』という超安全圏からの物言いでしかない。
- そもそも『普通』や『常識』という考え方は「思考の主体を、自分以外の多数意見や古くからある固定観念に預けている」ということに他ならないのだから無責任極まりない。
- ヴァンの苦しみは帝国の謀略に直結してるから、単に向き合ったところで答えはないんだよな。諦めることはできるけど。
- 隣の芝生は青い。