作品/【Final Fantasy IX】

Last-modified: 2024-02-26 (月) 00:05:28
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クリスタル、再び

概要

2000年7月7日発売。FFTを含めるとPSでは4作目でありPS最後のFF作品。
FF8より今回は頭身が下がっており、また、背景やモンスターも非常に細かく書き込まれている。
ストーリーは盗賊であるジタンと黒魔道士(今回はジョブではなく製の人形)のビビが、命の在り方について考えていく物語である。(主にそういう話になるのはDisc3からではあるが)
EDは感動して、あっけにとられた人も多いようだ。
しかし、「原点回帰」や「クリスタル復活」がメインテーマなのに対し、クリスタルはラスダンの最深部で少し語られる程度でとってつけたようなので反発もある。
あとラスボスの異常なまでの唐突さは現在でも語り草。

何気ない流れの中で人は生きる。
不安を抱き、疑問を抱き、悲しみを抱えながら。
そして、人はなにかを求めようとする。
彼らがそうであったように。
ジタンは自分の守るべきものを。
ビビは自分の存在を。
ガーネットは自分らしさを。
霧がすべてを覆い尽くすこの世界で、
彼らは自分なりの「答え」を探し求めた。
ある時は戦い、ある時は手をとりあうことで。
その「答え」とは何だったのか。
彼等はそこになにかを見いだすことができたのか。
それは、この物語を紐解けばわかるかもしれない…

アイテムやサポートアビリティはFFTから派生したものが中心に登場。
システムは装備した武器や防具にアビリティがついておりそれにあったアビリティポイントをためることによりマスターすると装備を外しても使えるようになるというもの。
また、LVが上がるごとに成長ボーナスが加算されていき、装備特典のついた装備をつけたままLVが上がれば、その数値分だけ成長ボーナスが加算される。(素早さは装備特典の加算分しか上がらない)
町やダンジョン内の切り替えはやや速くなったが、戦闘に入る際のロード時間は長い。
戦闘システムはFF6以前のような簡単なATBで、演出のせいもあってか待ち時間が長く飽きやすい。

  • 実は文字フォントもFFTから派生したものが登場しており、モンスターデザインは同じ文字フォントが使われているサガフロンティア2のものに近い。

アーカイブスで、2010年5月20日に配信開始。

  • 戦闘開始前の読み込みはある程度改善されたことが確認されている。
    まったく気にならないという段階にはまだ遠いが、PS版のロードに辟易したプレイヤーには朗報かもしれない。
  • 現在のところ配信コンテンツの中ではFFが上位を独占している中で当作品が一番売れているようだ。
    (次点が7のインターナショナル版)
  • 森や一部のダンジョンでは戦闘中に結構処理落ちする事もある。

シナリオ

「絵本のような世界観」といわれることもあり、開始当初から演劇がおっぱじまるが、プレイヤーは終始演劇を見ているような気分にさせられる。
まるでコントのような演出や言い回しも多々ある。

  • 全体を通して演劇、文学ネタが豊富。
    シェイクスピア劇を知っていると冒頭からクスリとさせられる。
    西洋文化に偏っていると思いきや、ジタン関連はサンスクリット語が多用される。
  • 本作の世界観は映画「ダーククリスタル」も参考にしているとか。
    (当時の開発者インタビューより)

地名、人名では、今までのFFの中でどこかで聞いたような名前がよく出る。
古参のファンがちょっとニヤッとする場面もある。そういう部分でも原点回帰であろう。

  • 赤い月とか、仲間をかばって石化とか、敵が兄とか、4との共通点が多いね。
    • 女兵士がレオタードだったりなw
    • 他にも主人公は実は異星人、スタート地点の国の国王が性格が変わり他国に戦争を仕掛け始める、他国に行くが既に王国に攻撃された後で、次の国を救いに行くもやっぱり攻撃されてしまい負ける、王に狙われた召喚士の少女を助け出す、ファイアで氷を溶かして進めるようになる初期のダンジョン、仲間を人質にとられて敵が求める宝石を取りに行く(しかもそのためのダンジョンが行動が制限されるダンジョン)、最後の飛空艇は異星の技術で作られた船、主人公の親分的な豪快な親父がいて飛空艇を持ってる、終盤で敵の本拠地である異星に乗り込むなど、細かい類似点を上げるとキリがない。
  • あと皆も知ってるように、カオスとかガーランドとか、ヒロインの本名など1との共通点も多い。
    FC、SFCそれぞれのハードの初期作に関連したものがよく出てるね。
  • この作品の前後にリメイク作品が出始めている。
    うがった見方をすると、それらを売るための物と考えられる。
  • 他作品との繋がり(といっても小ネタレベル)に関してはコチラを参照。

FF9といえば、どの場所であっても初めて訪れる時に、
必ずユニークなデザインの文字が表示されるのが、特徴の一つだと思う。
辺境の村 ダリ」とか「古根の道 ガルガン・ルー」とか「禁断の地 ウイユヴェール」とか。

  • チョコボの森」はポップなロゴで印象に残る。
  • この地名ロゴ、実は施設の性質によってフォントが違う。街や自然ダンジョンの場合は隷書体、遺跡などでは古印体、テラ関係の施設は明朝体、チョコボやモーグリらマスコットに関わる施設は丸ゴである。
    英語のフォントはさらに複雑で、一般にはTimes系のフォントを使いつつ、古い施設は筆記体、テラ関係の施設はサンセリフを使っているがこれという法則性がない。特にマスコット施設の英字フォントは独特。

シリーズ1、3、5のクリスタル物語(特に1)をやってからじゃないと、クリスタルの知識についていけないと思う。
4種類のカオスなど、9ではザコ扱いっぽいのが残念だった。
ただ、「命」の巡りについては良くできている。
先行されて公開された幻獣の登場シーンは、作中ではほとんど街等の建物の崩壊のシーンとして登場している。
結構後味が悪い。

  • ↑でも触れられているようにFF7やFF8の召喚獣演出を見た際に
    「バハムートならミッドガルとかデリングシティ吹っ飛ばせるんじゃね?」と思った人も多いと思うが、
    今回は実際にアレクサンドリア艦隊やアレクサンドリア城下を破壊してくれた。
    が、そんな戦略兵器級の召喚獣をザコ戦闘時に普通に使えたりしてちょっと落ち着かなかったり。
  • クリスタルについてはイベントデザイナーの青木和彦氏がこう明かしている。
    “クリスタルの復活”というテーマがはじめにあって、
    それでちょっと昔の雰囲気を出そうっていうのは決まっていたんで。
    でもあまりに昔過ぎてもしょうがないので、
    知っている人をニヤリとさせられるようなテイストを目指しました。

Disc1~2はガーネットとビビを中心とした王国との戦いで、仲間も当事者や自分から戦いに身を投じる立場が多かったが、Disc3からは一転、ジタンとクジャのSFチックな戦いに移行するため、それに伴いジタン以外のメインキャラの影が薄くなっていき、単に「ジタンの仲間」という役割になってくる…。

  • そうかな?
    ガーネットとエーコがいないとアレクサンダーは召喚できないし、ビビは黒魔道士達とのやり取りがあるし、スタイナーは成長著しいし、サラマンダーもジタンを理解しはじめるし、それぞれ見せ場はあると思うけどなぁ。
    確かにジタン中心にはなるけども。
  • デザートエンプレスの辺りでは何故か、ジタンの独り言(のつもりではないんだろうけど周りが何も言ってくれない)か、
    ジタンとクジャ以外台詞が少ないシーンがちらほらあって、存在感が薄れてる気はするね。
    それまでは皆どんなシーンでもよく喋ってたから、違和感がある。

Disc4ではFF8程では無いものの多くの町やダンジョンに行けなくなってしまう。
行けなくなった場所は巨大なイーファの根が絡み付いている。
FF8同様、テラ突入前にサブデータを温存しておくと良いが
FF9ではDisc4に入手できるアイテムが多い。

  • FF8とは逆で、行けなくなる場所は人がいない場所が多い。

フライヤの恋人イベントなど、サブ的な存在の主人公に関するイベントが未消化気味。
本編のストーリーが良いだけに残念なところ。


この世界には、西暦のような暦が設定されていたと思う。
元年には何があったんだろう?


本編の開始からエンディングまでの時間経過は、2ヶ月程度しかないらしい。旅の中の出来事や終盤での仲間の繋がりを考えると、とても短く感じる。

戦闘

8人の操作キャラは、近い役割のキャラが2人ずついるバランスになっている。
()内は、既存作品ではこれに当たるだろう、というジョブ。
 
軽装備戦士 ジタンシーフ)、サラマンダーモンク忍者
重装備戦士 スタイナーナイト)、フライヤ竜騎士
回復+召喚魔法 ダガー召喚士寄り)、エーコ白魔道士寄り)
攻撃魔法 ビビ黒魔道士)、クイナ青魔道士

  • 逆に言えば、5~8のように、パーティ内での役割分担の柔軟性には欠ける。

ジェノム、人形、ク族、ネズミ族とパーティメンバーの非人間率がナンバリングの中で最も高い。
人間を入れないパーティが出来てしまうほど。

  • 詳細はアルティマニアに譲るが、FF9では人間の定義が広く設けられている。
    亜人種や半獣人は人間の種族に含まれるため、見た目だけで非人間と言うのは誤り。

バトル面では歴代最悪のテンポを誇る。

  • 戦闘開始のロードがシリーズ1長い。
  • 戦闘開始時にカメラが回転して敵が登場してコマンド入力が出来るまで約8秒、エンカウント確定の演出から数えると約15秒要する。
    BGMもカメラ回転、モンスターのクローズアップに合わせて調整されている。
    • この戦闘開始時のロード時間の長さはパーティ4人+モンスターという数をPS1が処理しきれなかったため。
      このハードの性能に引きずられてゲーム的な制約が発生してしまうというのはFF12の開発でも発生している。
  • 他のキャラクターやモンスターが行動している間にコマンド入力が出来るが、出来るだけ。
    入力順に行動していくが、魔法や特殊攻撃を「発動する時のモーション」がシリーズ1長いため、処理が渋滞し次のターンが来るまでに恐ろしく時間がかかる。
    これを利用していつでもリジェネで体勢全快する手もあるが。
  • 7・8は召喚魔法を使わなければ通常ここまでテンポが悪い事は無かった。
    • 最強武器を手に入れるのがタイムアタック的な要素があるため、この仕様のストレス度が上がった。
    • 8の魔法演出も長いが、ザコ敵で攻撃魔法を使うのはイカにも魔法タイプって敵くらいなもの。
      9はそこら辺の植物や昆虫まで演出の長い魔法を当たり前に使って来たり特殊攻撃してくるからテンポの悪さに拍車がかかってる。

PSに移行してからのFFでは唯一4人パーティが復活。
これもひとつの原点回帰か。

  • 装備が、武器・盾・頭・体・アクセサリもだね、グラの変化は武器だけだが。
    • 盾というよりは、腕輪とか小手とかだね。
  • ついでに、バトルのイントロがFF6以前のものに戻ったのも原点回帰かと。
    あれを聴いて燃えたのは俺だけじゃないはず。
  • ファンファーレの後半部分もだな。
  • 最後までメンバーごとにアビリティや役割が固定されているのは4以来である。
  • FF5以降続いていたダメージのインフレを止めた。
    乱れ打ち連続斬り系の必殺技限界突破技を無くし、
    1回の行動で1万以上のダメージを与える手段はかなり限定された。
    • その分、敵に設定されているHPの最大数値は65535までとなっており、更に10000以上与えられなくなったことでボスに暗黒回帰が設定された。

本作より、状態異常などの攻撃を受けた際に、耐性を持っているとGUARD表示がされるようになった。


地味いィィィィーーーに2人での協力プレイが可能。
といっても、バトル時の操作を2Pコントローラーに振り分けるだけだが。

  • SFC版FF5でも戦闘時のみ2人プレイ可能だった(6もだっけ?)。
    これも原点回帰?

一部のキャラクターだけだが、装備している武器によって戦闘中のモーションが変わる。
FF7でも武器による攻撃のモーションが変わるというのはあったが、
戦闘中の全てのモーションが変わるのは初めてである。
ちなみに、これ以降の3D作品でモーションが変わるのはFF11やFF12ぐらい。


特殊な計算式を持つ攻撃が充実し、敵のHPのインフレも抑えられた本作は、戦闘の難易度は高くない方である。
ただし、何故か確率系の魔法や技の命中率が軒並み悪く、雷鳴剣、グラビデ拳、メテオなど多くの地雷技が存在する。

  • 敵の強さが抑えられている割に強力なアビリティが多いので、大抵のボスは特技やトランス攻撃の連発であっさり沈む。
    ボスを倒すよりもアイテムを盗むのにかかった時間の方が長いなんてことも。
    • 一方でカウンターを受けたり、攻撃演出の際に行動ゲージを満タンにする仕様は敵側も同じなので、返しのターンで攻撃を受けるなどで防戦一方になると中々ダメージを与えられない局面に陥ることもある。

戦闘PTはFF6でも序盤~中盤辺りは多少固定だがある程度自由に編成できたのに対し、本作はDisc1~2終わり辺りまでほぼ完全固定メンバーで、Disc3辺りからやっと自由にメンバー編成できるようになる点は、キャラそれぞれにストーリーもあることだしご愛嬌。
これは「原点回帰」というより昔のゲームだけでなく最近にもありがちな気はする。


スタッフ曰く、これまでのFFの戦闘では攻撃や魔法のモーション中はATBのゲージが止まってしまっていたが、FF9ではどんな時も常にゲージが動き続ける為、FFの「アクティブタイムバトル」はFF9でやっと完成したとのこと。

  • だが、その常に時間が進み続けるという仕様と、モーションなどの演出の長さが合わさり、ゲーム後半になるとボスの攻撃の演出中に減っていたHPがリジェネだけでフル近くまで回復してしまうなどの弊害もあったのだが。
    更に煮詰めることが出来たら、戦闘開始時はともかく実際の戦闘中はもっとスピーディなバトルになっていたかもしれない。
  • どんな時でも動き続けるATBゲージって6の時点でとっくに完成されてたような……。
    • ウェイトにすると、魔法やアイテムウィンドウを開いている間は時間が流れない。
    • FF7、8では敵のモーション中などに時間が止まってたので、それに対しての発言なのかもしれない。

オーソドックスなATBであり、堅実な作りではあるが目新しい要素は少ない。
そのため、テンポの悪さやトランスの使いづらさなどの難点が余計に目立つことになった。
正直なところ、戦闘面の評価は歴代でかなり低い部類に入る。

評価

前作に比べ、売り上げが大幅に落ちてしまった。
その要因として

  • ドラゴンクエストVIIの発売日が一ヶ月半後に控えていた(400万本以上売り上げ)
    • その余波か、発売日が7月19日から7月7日へ2週間前倒しされた。
  • 作品に関する情報の公開が少なかった
  • 前作FF8が賛否両論の作品であり、多くのユーザーが新作(本作)の購入に慎重な姿勢を示した
  • FF7での大胆な路線変更によりFF6以前のファンタジーを求めるファンが離れる→FF9で再びファンタジー路線に戻す→FF7、FF8のリアル路線を好むファンからは購入を見送られ、リアル路線に愛想が尽きた従来のファンも戻ってこなかった
  • 既にPS2が発売済みであり、FFに限らずPS1のゲームの売上そのものが減少傾向にあった

などが挙げられる。
もっとも、全シリーズ中3位の国内売上
(1位VII400万本以上(注:INT版含む) 2位VIII369万本 3位IX282万本)を記録しているが。

  • 国内版のみだと1位VIII368万本 2位VII328万本となる。
  • もちろん、上記は「本作単体の出来映え」を除いて考察した場合の要因。
    ATB仕様の破綻、原点回帰の看板倒れ、前作とは比較にならない程低評価のミニゲームなど「本作単体の出来映え」による要因も少なからず存在する。
  • 国内のセールスはむしろ良かった方で、海外受けが非常に悪かったみたい。海外の売上はⅦ以降のオフライン作品では最下位(2020年現在)。前後のⅧやⅩと比べて半分くらいしか売れなかったらしい。

昨今は一本道さで叩かれる事が多くなったFFだが、発売当時はムービーとか長い演出とかいるか?という感じで叩かれていた。
人を選ぶ内容のFF8の影響もあって、PSで発売されたFF7,8は多大なバッシングを受け続けていたが、そんな中でもFF9は割と存在をスルーされる存在だったと記憶している。
8に失望して敬遠していた人が多かったせいもあるだろうが、あらゆる面で尖った部分が無く、悪く言えば地味な作品だったのが原因かと思われる。
だが発売から10年がたった今もなお、根強いファンがいるのも事実。
ストーリーの出来においてはFFシリーズ屈指だと思う。


クリスタルはラスダンの最深部で少し語られる程度でとってつけたようなので反発もある。
ある意味、FFTの方がクリスタルを巡る物語のように思えるのだがこれ如何に?

  • FFTは愛の物語じゃね。
  • クリスタルを「物語上集める石」と考えれば、9におけるクリスタルポジは4つの宝珠だともいえる。
    少なくとも、ガイアにおいてはかなり重要なものだろう。SFには勝てなかったけど。

「ファイナルファンタジーであること」

  • このCMを見て「卑怯だぞ!」と思ったプレイヤーは30万人は下らないと思われる。
  • 実際には「ファイナルファンタジーの原点回帰」ではなく
    「『ファンタジー』の原点回帰」だという説を見たことがある。
    4つのクリスタルやジョブが出る訳じゃなく、姫をさらって魔法使いと騎士と一緒に冒険の旅に出る、
    という点で。

作中で使われる「いつか帰るところ」は名曲。
ファンも多い。


この作品世界には、悪人といえる人物がほとんど登場しないように思う。
おだやかで住み心地のよさそうな世界だ。


PS1三部作の中でもぶっちぎりで取り逃し要素が多い。マップを総当たりで探さないと気付かないようなアイテム、入手期間が短いアイテム、ぬすむ限定の装備品など。見逃しやすいATEも多く、取り逃しなくプレイしようとすると結構なストレスになる。幸い殆どが自己満足レベルの集めものだが。他と両立の利かない早解き要素もあり、やり込みプレイヤーにとっては悩ましい作品。

  • この重箱の隅まで突つかせるような探し物要素は後に「ブルードラゴン」に更にストレスのかかる形で継承されてしまう…。

BGMの曲数が非常に多い分、ゲーム中の限られた場面でしか流れない曲が多く、サントラを聴いていると「こんな曲あったっけ?」と思うようなものもいくつかある。

余談

8の「粒子の粗い八頭身」を反省したのか今回は等身を下げている。
ゲーム誌のインタビューで、坂口氏と皆葉氏が頭身を下げた理由を明かしている。

坂口:『VII』『VIII』というのは、2作ともちょっとサイバーな世界観で頭身も上がっていったし。
    だから、『IX』はさらに頭身の高いリアルな世界を期待されてしまう。
    そうすると多分『X』『XI』あたりでがんじがらめになって、
    何も作れなくなってしまうと思ったんです。
皆葉:『VIII』がリアルサイズだったんで、『IX』でも同じでもいいんじゃないかっていう
    風潮もあったんですが、同じ事を続けてもインパクトがないし、
    『FF』を作るという本意と違うなと思って、頭身を下げたんです。
  • でも10以降は普通に頭身高くなったな…。

2020年7月30日に発売されたファミ通ではFF9が発売20周年ということで特集でスタッフインタビューが組まれていたが、その時の坂口氏は以下のような回答を出している。(一部抜粋)

 ───『FFⅨ』は"原点回帰"と謳われていました。
    この"原点回帰"に、坂口さんはどのような意味を込めていたのでしょうか。
 坂口:ファイナル"ファンタジー"であるということ。
    また、一作目でキャラクターを作り出したときに、石井浩一(初代『FF』では
    企画とグラフィックを担当)のなんとも言えない、かわいらしいデザインを
    起用しましたが、あのイメージを想起させるような
    世界形成とデザインを、3Dになった『FF』の中でやることでした。
   (以下略)

ということは、本作がデフォルメ路線に振り切ったのは石井氏のあの絵柄のタッチから大きなインスピレーションを受けたからなのであろう。
また、同紙の質疑応答では原点回帰ということで過去シリーズの要素を取り入れたことに関して「自分の中で懐かしいものを登場させたいという思いが強かったのだと思います。それが原点回帰につながらないとは思いますが、開発者の中に郷愁のような感情が宿ればいいなという気持ちもありました」と述べている。


坂口博信氏によれば、FFVIIやFFVIIIのようなサイバー路線にする案もあったらしい。


このゲーム最大の特徴の一つとしてゲーム雑誌などでの攻略規制があったことも有名。
ユーザーが独自のやり取りで、攻略することの楽しさを求めたと言っているが、実際はある裏事情があった。

  • 攻略本「アルティマニア」が本ではなく公式サイトで作られていた。
    当初「これからは攻略本は攻略サイトに代わり、攻略本の役目は終わるだろう」と予想したかららしいが、「書籍で出して欲しい」という声が結構あったため、FF10のアルティマニアと一緒にFF9のアルティマニアも発売された。
    てなことがFF9のアルティマニアに書かれてある。
    • それから10年近くの時を経た今もなお、攻略本の需要は失われていない。
      むしろ、当時よりもゲームの情報量が増えたからこそ必要とされている節もある。
      典型的な例がポ○モン。開発者の田尻氏もゼビウスの独自の攻略本を作ったことがある。
    • パソコンはインターネットに接続するのに時間が掛かるし、携帯では画面が小さくてマップが分かりにくかったり、画像が表示できなかったり(最近のはそうでもないだろうけど)するので、手軽にすぐ開ける本の方がやっぱり便利。
      そして何よりネット環境ゼロのプレイヤーにとって、ネットのみというのは死の宣告に等しい。
    • 20年近くの時を経ると、常時接続やスマートフォンの普及で「接続するのに時間がかかる」とか「画面が小さい・画像が表示できない」という問題は過去のものとなり、攻略情報はインターネットで見るのが主流になった。これが坂口氏の見ていた未来なのだろうか。
      • 確かに2020年現在でも攻略本の需要は途絶えてはいないが、無料で複数の攻略サイトから簡単に情報が得られるようになったため、攻略目当てで攻略本を買う人は明らかに減った。現在の攻略本の需要はどちらかといえば、裏設定資料集や未公開原画など「公式解説本」を求める層がメインである。
    • 攻略本には誤植を修正できないという欠点はある。
  • なんだかんだで本作の情報規制が、ファンサイドによるネット上攻略を加速させる要因になったのは紛れもない事実ではある。
  • 情報統制のなされていた当時でも同人の攻略本はあった。
    • 統制といっても攻略本を出さなかっただけで、ユーザーが攻略情報を公開することを禁止していたわけではない。むしろインターネットの普及でユーザー間の情報共有が活発になると予見していた。
  • 情報統制されていながらも、公式サイトのPlayOnlineには一部のダンジョンの攻略サイトが出されていた。
    つまりは、当時スクウェア側に公式サイトを見るついでにあわよくば別のゲームのコーナーも見てプレイしてほしいという目論見があり、
    ネットの普及も併せてプレイヤーを公式サイトに誘導したかったため、というのが紙媒体の攻略本を出さなかった理由の本音に近いと思われる。

本作の開発は過去PS作品(VII・VIII)とは全く別ラインの、旧スクウェアのハワイスタジオで行われた。
元々劇場版FF制作用に設立されたスタジオで常駐スタッフが殆どグラフィッカーばかりであったため、当時手が空いていたFFTの一部スタッフがプログラマーやプランナーとして参加した。
ナンバリング作品でありながら、一部フォントがTと同じであったり、アイテムの名称などにそれまでのナンバリングでは馴染みの薄い由来のものが多いのはそのためである。


詳細はこちら参照。


本作の「解体新書」の発売は大幅に遅れた。
ネット上にプラットホームを設置し、そこで情報交換をさせようとした戦略のあおりである。
しかし、結局非ネットユーザーが多かった時代でもあったため、
結局紙媒体である解体新書は発売された。
WIKIなど攻略サイトが充実し、スマホの普及でネット環境が揃うPS2~PS3時代までこの問題は続く。
(出典:FFIX解体新書内のコメントから抜粋)

移植版

対応機種
iOS版
(対応OS 7.0以上)
iPhone5siPhone6iPhone6PlusiPhone6siPhone6sPlus
iPad(第4世代)iPad AiriPad Air2
iPad mini Retina ディスプレイiPad mini3iPad mini4
iPod touch(第6世代)
Android版Android 4.1以上搭載機種(※一部機種未対応)
Windows版Windows® 7/8/8.1/10 (32bit/64bit)

2016年2月10日からスマートフォン(iOS&Android)で配信開始。

  • 「オートセーブ機能」「倍速機能」「デバッグ機能」「アチーブメント機能」が追加されている。
  • バトル開始時の演出カット(on/offあり)や倍速機能により、オリジナル版の難点だったバトルのテンポの悪さはかなり軽減されている。
  • またPS版と比べてエンカ率が下げられている。

2016年4月14日からSteamでのWindows版のダウンロード販売が始まった。

  • ベースはスマホ版で追加機能も搭載されているが、当然ながらPC向けなので大画面でプレイできる。
    • キャラクターは高画質なのだが、背景はオリジナル版を引き伸ばしているためやや荒く、多少浮いてしまって見える点は気になるが、プレイすれば慣れてくるのでさほど問題ない。
      • これについては2019年に出たMoguri Modという高解像度化Modがオススメである。ディープラーニングを使った超解像技術でキャラクターが違和感なく溶け込むスグレモノ。
  • Steam実績やトレーディングカードにも対応。
  • Steamストアでの対応言語表には日本語の記載がないのだが、日本ストア向けにはページ内に別途注意書きがなされており、
    日本のSteam公式ストアから購入した場合に限り、日本語字幕対応となる。
    • 海外の外部サイトで購入したりした場合は日本語が無く、追加の手段もないため、Steamで外部サイトをよく利用している人や海外在住者は注意。
    • なお余談だが、FF1~8も実は海外ではSteamで配信されているのだが、何故かそちらは日本ストアでは販売されておらず、海外サイト経由で購入してもやっぱり日本語は無い。いわゆるおま国という奴である。
      • FF9以降は無事日本のSteamでも配信されるようになったのだが、それ以前の作品も解放して欲しいところではある。

2017年9月19日からPS4向けにダウンロード販売が始まった。

  • ベースは上記Windows版。画質についてもほぼ同様。
  • 当然ながらトロフィー対応だが、Steam版の実績と同じくキング・オブ・ナワトビやアスリート・クイーンなどが含まれており、全トロフィー獲得は困難を極める。
    • ブースター機能のうち、「アビリティマスター」「レベル魔石MAX」「ギルMAX」を使用したセーブデータでは、以後トロフィーを獲得できなくなる。もちろん他のセーブデータでは獲得できるし、この3つ以外のブースター機能を使っても影響しない。
  • 購入特典で板鼻利幸氏描き下ろしの背景イラストも含むオリジナルテーマがもらえる。
    BGMは「いつか帰るところ」、カーソルと選択音もFF9仕様になっているのでファンは見逃せない。

2019年2月14日より、Nintendo Switch版とXbox One版の配信が開始。