元阪神タイガース・今岡誠(真訪*1)が2005年に5番打者として猛威を奮い記録した驚異的な打撃成績のこと。よく「萌える成績」としてなんJでも話題に取り上げられる。
解説
シーズン147打点はNPB歴代3位の記録であり、また同年のアンディ・シーツ(85打点)、金本知憲(125打点)、今岡のクリーンアップ3名による計357打点は球団史上最高記録だった*2*3。
ちなみにシーズン打点歴代10傑の中で打率が3割未満だったのは今岡と1963年・野村克也のみ(下記一覧参照*4)、また30本塁打未満に至っては今岡のみであることから、いかに異質な成績であるかがお分かりだろう*5。
この記録の背景には、今岡の前に同年MVPの金本、そしてシーツがいた事が挙げられる。さらに1番・赤星憲広、2番・鳥谷敬の存在もありチャンスで打順が回りやすかったこともあるが、何よりも得点圏打率.371という今岡の並外れた勝負強さが大きかった。
なお、今岡は2003年には1番打者として首位打者を獲得しているが、その事がまるで嘘に思えてくるようなクラッチヒッターぶりであった*6。
ランナー状況別打率
- 走者なし
.225(276-62) 10打点 - 1塁
.274(113-31) 14打点 - 2塁
.278(36-10) 12打点 - 3塁
.286(14-4) 6打点 - 1・2塁
.293(58-17) 26打点 - 1・3塁
.448(29-13) 22打点 - 2・3塁
.500(8-4) 8打点 - 満塁
.600(25-15*7) 49打点
以上のように、走者が増える・本塁へ近づくにつれて成績を伸ばす異常ぶり。同年の記録は典型的な打点乞食の一例とされ、3倍打点がネタにされる時などによく取り上げられる。
シーズン打点歴代10傑のシーズン成績一覧
ここでいう「ラビット」とは、戦後1949年から50年にかけ使用されたジュン石井製ラビットボールを指す。
順位 | 名前 | 所属球団 | 記録年 | 出場試合 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 小鶴誠 | 松竹ロビンス | 1950 | 130 | .355 | 51 | 161 | 本塁打王・打点王 ラビット時代 |
2 | ロバート・ローズ | 横浜ベイスターズ | 1999 | 134 | .369 | 37 | 153 | 首位打者・打点王・最多安打 |
3 | 今岡誠 | 阪神タイガース | 2005 | 146 | .279 | 29 | 147 | 打点王 |
4 | 藤村富美男 | 大阪タイガース | 1950 | 140 | .362 | 39 | 146 | 首位打者 ラビット時代 |
落合博満 | ロッテオリオンズ | 1985 | 130 | .367 | 52 | 三冠王・打点パリーグ記録 | ||
6 | タイロン・ウッズ | 中日ドラゴンズ | 2006 | 144 | .310 | 47 | 144 | 本塁打王・打点王 |
7 | 藤村富美男 | 大阪タイガース | 1949 | 137 | .332 | 46 | 142 | 本塁打王・打点王 ラビット時代 |
8 | トニ・ブランコ | 横浜DeNAベイスターズ | 2013 | 134 | .333 | 41 | 136 | 首位打者・打点王 |
9 | 西沢道夫 | 中日ドラゴンズ | 1950 | 137 | .311 | 46 | 135 | ラビット時代 |
野村克也 | 南海ホークス | 1963 | 150 | .291 | 52 | 本塁打王・打点王 |
逆打点乞食化
高い得点圏打率と打点を記録した今岡であったが、打点とホームラン以外の成績は首位打者を獲得した2003年よりも低いか横ばいだった。この他にも上記の打点10傑の表でわかる通り、3割打者がひしめく中での打率.279は平凡な数値と言わざるを得ない。その一因であるランナー無しでの打率が悪いことは、前の打者の好不調によって今岡の調子も左右されることを意味しており、実際に同年の日本シリーズでは、前の打者が機能しなかったために今岡も全く打てず、チームの敗退の一因となった。
そこで翌2006年には打率3割を目指すべく打撃フォームの改造に着手した*8が、不振や故障で打率は2割台前半に低迷。それ以降は手術の影響もあり、2005年とは逆に得点圏で打てない逆打点乞食となった。
関連項目
- .208 22 37 - 別の意味で萌える成績。
- 10勝7敗 防御率6.26 - 「萌える」でもあり「燃える」でもある成績。
- 3倍打点 - 三倍打点ニキがこの年の金本共々絶賛した稀有な例。
- 打点乞食
- モナ岡
- あへあへ単打マン - 打率は高いが打点などの数値が低くチームへの貢献度が低い選手を指す。「.279 29 147」とは対極の存在。
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