Spandex in the City

Last-modified: 2009-10-15 (木) 15:39:29
 
 

The Good Guys and the Bad Guys 3(2009.9.4)

by Sapphire

 

 正義の味方は約束を守る。Mind Slayerの言葉です。ありきたりなのだそうです。でも、悪人だってあきりたりなのです。
 私はMind Slayerと取引をして、Antiquities Museumの襲撃に関する情報を得る約束をしました。彼女は、Medusaが目を付けているのはAleister Crowleyコレクションの一部であるNecklace of Luvahと呼ばれるアイテムだと告げました。Crowleyコレクションは英国の博物館からの巡回展で、ネックレスがMillennium Cityにあるのはあと2、3日の間だけです。
 私は、Championsの他のメンバーに取引のことを話しました。Psimonを引き渡すというルールには誰も乗り気ではありませんでしたが、誰もそれを破るつもりはありませんでした。
 「我々に出来ることが非常に制限されることになるな」Defenderが言いました。
 「わかってる。でも、約束したの」
 彼は頷きました。「現在我々に出来ることは何もない。が、油断はできないな」
 「そうとも言えないんじゃないか?」Kinetikが訊ねました。
 私たちは計画を立て、博物館でPsimonとMedusaを待ち伏せました。Witchcraftと私は展示品のそばに潜み、彼女の呪文の一つによって姿が隠されていたので、彼らは私たちを見ることも、存在を感じることもできなかったでしょう。二人とも素晴らしい遠隔攻撃を持っていますから、これはとてもいいアイディアだと思いました。Kinetikは博物館の警備員に変装し、IroncladとDefenderは顔を隠す鎧一式を着て彫像のふりをして立っていました。
 準備は完了しました。Defenderは、博物館に侵入者があった場合に通知してくれるガジェットを私たちに与えました。;Witchcraftは、一旦PSIの連中が博物館に入ったら、その会話を私たちにも聞こえるようにする呪文を用意していました。
 確かに、彼らは午前0時15分過ぎに押し入ってきました。MedusaはPsionic Powerで博物館の警備員の動きを止めましたが、Kinetikを捕捉できるほど素早くはありませんでした。彼は走りました--そのスーパーパワースピードを隠せる程度の速さで。Psimonは、手下に「警備員」と言った後、すぐにこう命令しました--「助けを呼ばせるな!」
 「Psimon、動かないで。彼が一人だけなのか確認しないと」とMind Slayerが言いました。
 「行動はさっさとしなさい」Medusaが鋭く言いました。
 「イラついてパンツ引っ張ってんじゃねえよ(訳注: "Don’t get your panties in a twist" 。イライラするな、気にするな、の卑語的表現)」とMind Slayer。「Psimonを危ない目に遭わせてるわけじゃないだろ。わかんないの?」
 「彼と私を危険から守る、と言ってなかった?」Medusaは言います。私からMedusaの姿は見えませんでしたが、その声のトーンからすると、彼女の唇は忌々しげに歪んでいたに違いありません。
 「はい。その通り」Mind Slayerは背後に怒鳴りました。
 「まあ、Medusa、Mind Slayerは自分の仕事をしているだけだよ」Psimonが言いました。気取ったその声に、私は思わずぶん殴りたくなりました。彼が、互いにいがみ合う二人の女性を手玉にとっているのは明らかです。私はこういう男が、スーパーヴィランでなくても大っ嫌いです!
 Witchcraftの魔法のおかげで、Mind Slayerがこのエリアを素早く調査しながらつぶやきく声を、私たちは聴くことができました。「バカ女(訳注:原文 "Bimbette" 。頭の弱い尻軽女)がここにいらっしゃるわよ、ていうか、あたしMedusaにブーツを突っ込んでやりたいんだから、手を貸しなさいよ」
 私は了解し、Witchcraftと二人して、もう少しで笑ってしまうところでした。ただし、当然ですが、待ち伏せ中のスーパーヒーローはくすくす笑ったりしません--相手に居場所を悟られてしまいます。
 「問題無し」彼女が言いました。「お望みなら、あなたもチェックしてみたら」そうPsimonに告げました。Witchcraftが呪文で私たちの精神をシールドしたのは、これが理由でした。Psimonは、探す相手を感知できるのです。呪文は私たちをカバーするには充分でしたが、DefenderとIroncladはさほど幸運とは言えないようです。Psimonの探知範囲を、私たちは正確に掴んではいませんでした。
 「君は見事に務めを果たしたと信じているよ」Psimonは彼女に言いました。「そうだろう?」
 「時間よ」Medusaが怒鳴りました。
 「準備は?」Witchcraftが私に囁きます。
 「OK」
 その瞬間、私はエナジーブラストでMedusaを撃ち、Witchcraftは一時的に彼女の視界を奪う呪文を詠唱しました。私たちの姿が見えなければ、彼女には私たちをFreezeできないと賭けたのです。
 それは見事に成功しました。私の攻撃が背中を撃ち、Witchcraftは彼女の視界を奪いました。Mind Slayerは素早くPsimonをForce Bubbleで覆い、私たちを威嚇しました。Mental Bladeを投げてきましたが、誰にも当たりませんでした。
 「逃げましょう、Psimon」彼女が言いました。
 「Medusaを捕まえてくれ!」Psimonが叫びます。
 Mind Slayerは彼女の頭を掴んで揺さぶりました。「あんたはヤバすぎる状況よ」彼女はPsimonを捕まえて、そこから飛び出そうとしました、しかし、彼は拒否しました。
 「駄目だ、他の者も呼び戻したぞ」彼はMind Slayerの手から自由になり、Psionic Energy Blastを私に向けて発射しました。
 傷つきはしませんでしたが、私は動揺しました。そしてまた、それは私をMind Slayerとの約束から解放しました。「今よ!」私は叫んでいました。「彼を捕まえて!」
 そしてそれは、全ての混沌の始まりでした。IroncladがDefenderが姿を現しました。Psimonの手下がKinetikの追跡から戻ってきました。そしてKinetikも、もちろん、乱闘の中に舞い戻りました。私はEnergy Blastを撃ち、自分とWitchcraftをシールドで守りました。WitchcraftはPsionic Powerを抑える呪文を詠唱しました。手下の一人はtelekineticで、周りに散在する骨董品を投げつけてきました。Defenderはバックハンドで2人の手下を壁に叩きつけ、ノックアウトしました。
 その間中、Medusaは周りの床を手探りし、Psimonを見つけることができずにその名を呼んでいました。
 「あいつがたどり着く前に、Medusaを捕まえないと!」私は叫びました。
 Ironcladは即座に直行し、Medusaを急襲しました。
 「あっ!」Medusaは声を上げました。彼女はIroncladの大きな肩を押し返しました。「ああっ……」
 正直に言って、彼女はIroncladに捕まえられたいと半ば思ったのではないでしょうか。彼は、ある種の女性にそんな気を起こさせるのです。
 Psiomonはしかし、激昂しました。Psionicな意志力で作られた、強靭なバトル・アーマーのようなもので自分を覆い、Ironcladへと飛び掛りました。Ironcladは驚いたに違いありません。
 何もかも混乱した中で、PsimonはMedusaを取り戻しました。Mind Slayerは二人を抱えると上の窓の一つから脱出し、そして私たちはなんとか残った手下を全て捕まえることができました。
 では、これは成功と言えるのでしょうか? 多少は。私たちは、Medusaがその力を数倍にもするネックレスを手に入れるのを防ぎました。彼女が、直接会うこともなく人々をFreezeし、あるいは近くにいる人たちでさえそうしてしまうことを想像してみてください。それも、彼らが思考するだけで。そして、それが数日間も続くことを想像してみてください、同じことが何年も続くことも。世界がどうなるのかなんて、私は考えたくありません。
 しかし、私たちはMedusaを捕まえることができませんでした。Psimonも。手下は捕まえましたし、それは役に立つでしょう。あと、私たちは誰も怪我をしませんでした。
 でも……。彼らが逃げ去る前に、ブロンズ製リストバンドを保護するガラスケースを、Mind SlayerがMental Powerで破壊しました。コレクション目録によれば、クロウリーが愛人の一人のために作ったプレゼントだったそうです。噂では、正しい人が使えば、相当に情緒的な愛を呼び起こす能力があると言われています。
 そしてそれは、全ては策略だったのではないかという疑念を私に抱かせるのです。Mind Slayerは、私たちChampionsを騙したのでしょうか? PsimonとMedusaも知っていたのでしょうか? もちろん、Medusaは、Psimonと同様に私たちの存在にとてもうろたえた様子でした。では、Mind Slayerが私たち全員をはめたのでしょうか? 自分自身を博物館に侵入させるために、Medusaにネックレスのことを話したのでしょうか。そして、MedusaとPsimonの気を、自分のする事からそらすために、私たちに密告したのでしょうか? 全ては、彼女がPsimonにした以上に、もっと彼に愛してもらえるようになるチャンスを得るためだったのでしょうか?
 わかりません。考えてみても、彼女がなぜそうしたのか理解できません。その一方で、彼女は私と出来る限りフェアな取引をしたとも思います。彼女は嘘は言いませんでした。もし可能であれば、私たちにMedusaを捕らえさせたでしょう。でも。
 悪人はありきたりです。彼らがいつも大きなチャンスを探しているということを信じてもよいでしょう。彼らがあなたに対して誠実な時でも。彼らが約束を守る時でも。彼らはまた、他の人を利用します。それ以外の方法を知らないから。

 

原文

 

The Good Guys and the Bad Guys 2(2009.8.27)

by Sapphire

 

 何かを吹き飛ばすのは簡単です。悪党を壁に叩きつけるのは簡単です。敵を動けなくする呪文を詠唱することも、やはり簡単です。樹上から子猫を救うのも、ブルドーザーから小柄な老婦人を救うのも、爆弾から国連を救うのも。こういったことは全部、比較的、簡単です。誰かがこういったことをやったと言っているわけではありません。でも、これはとても単純なことなのです。
 難しいのは、主観的な判断です。もしかしたら、実は子猫はマインドコントロールを使うエイリアンで、小さな女の子を食べるのかもしれません--それを樹上から助けることで、恐ろしい凶行を続けさせる結果になるかもしれません。また、小柄な老婦人がマフィアのボスかもしれませんし、彼女を助けることで新たな血のバレンタイン(Valentine's Day massacre)が起きるかもしれません。そしてまた、国連ビルはLemirianに占拠されてしまい、連中をそこから追い出さなくてはならないかもしれません。こういうことがありそうだと言うのではありませんが、もしあったとしたら?
 ほとんどの場合、それほどはっきりとしていません。Mind Slayerに起きたことのように。
 短くなったディナーの後、Mayte SanchezとKinetikが彼女を追って捕らえることができたと、私に伝えてきました。私がそこに着いた時、彼女は不機嫌な顔で腕を組んでいました。
 「私たちには話したくないらしいわ」Mayteが私に囁きました。「あなただけに、ですって」
 私は頷いて、入りました。
 「遅かったじゃない、バカ娘(訳注:原文 "Bimbette" 。頭の弱い尻軽女)」
 「またお会いできて嬉しいわ」と私。「MayteかKinetikに話すこともできたでしょうに」
 「イヤよ」と彼女。「私はあなたと話をしてるの。他の誰でもなく」
 「どうして?」
 「グループの中では、あなたが大袈裟に同情する女(訳注:原文 "bleeding heart" )だからよ」彼女はそう言いました。「もちろんね」
 「ふうん、ありがとう。私と話がしたいのなら、どうしてあの日は逃げたの?」私はテーブルに腰を下ろして、ちょっとだけ足をブラブラさせました。
 「Foxバカ(訳注:原文 "Foxfart" 。fartはろくでなし、愚か者の意)。それにあなた。誰かが写真を撮って、そしてどこかの間抜けな雑誌のトップページに載るのよ。MedusaはあまりTVは観ないけど、誰と誰がデートしたなんて下らない雑誌はよく読むの。Fox坊主(訳注:原文 "Foxbrat" 。bratは小僧、悪ガキの意)とあなたの写真の中に私の顔が写ってるなんて、冗談じゃないわ。あの女は、私とあなたが話してるなんて知らないのよ、ご理解いただけた?」
 「ご理解させていただきました」
 そして、なぜ私と話したいと思ったのかMind Slayerが説明を始めて、私は更に理解することになりました。
 彼女は、Psimonのことが心配だと言いました。私は彼のことを、腐りきった大悪党だとなんとなく考えていましたが、彼女は彼を愛していることもわかりました。彼女はMedusaが彼を利用しているだけだと考えているために、心配しているのです。私はそのことについて議論できません;MedusaがPsimonのブレーンだったということを知っても、まったく驚きませんでした。彼女はそんな風な卑怯者なのです。
 Medusaは、Antiquities Museumに侵入し、メンタルパワーを集中させると噂される特定のアイテムを強奪するという計画を持っていました。Mind Slayerが言うには、これがあれば、MedusaはMillennium City全てを支配することができるというのです。
 問題は、Mind Slayerに関することです。Medusaは、彼女を完璧に嫌っているはずです。
 「あの女は、Psimonが自分の可愛い玩具だと思ってるけど、それは間違い。彼はもっと頭が良いわ」Mind Slayerは言いました。「もっともっと頭が良いのよ! あの女がいない時、私が彼の背中を支えているって彼はわかってるわ。わかってるのよ、あの女がそばにいなければ。これ以上あの女の好きにはさせないわ」最後には、Mind Slayerはほとんど怒鳴っていました。
 「取引よ」彼女は続けました。「何時、何があるか、教えてあげる。あなたはそれを暴いて、連中を止めて、Medusaを捕まえるといいわ。Psimonを逃がすのは、私にやらせて」
 「どうして取引しなくちゃいけないの? 私たちは、二人とも刑務所にぶち込みたいわ」
 「フン、二人ともぶち込むなんて無理ね」彼女は言います。「だって、あなたが約束してくれなかったら、私は何も教えてあげないもの。その上、あのクソったれ博物館全部を見張る時間なんてないし、私の情報が必要でしょう」
 「あと、どうして私との約束は信用するの?」私は訊ねました、彼女には私を信用する理由がない点を指摘することで、全部白状してくれるかもしれないと考えて。
 彼女は微笑みました。「あなたは正義の味方でいるのが好きだし、正義の味方は約束を破らないわ」
 そうして私は、自分が主観的な判断をしなければならないことに気づきました。彼女と私が何を約束したとしても、Championsはそれを尊重するでしょう。もし私がPsimonは捕まえないと言ったら、私たちはその通りにするでしょう。私は、自分自身だけではなく、チームメイトたちまで束縛することになるのです。私はそれを正当化できるでしょうか? そして、彼女を信用しても良いのでしょうか? 普通、スーパーヴィランを信用するなんて愚かなことです。同時に、彼女は正しいのです。私たちには彼女の情報が必要です。私たちのリソースは、もう手一杯なのです。
 「わかったわ」私は言いました。「あなたの言う通りにしましょう」
 彼女は笑顔になりました。
 「でも--」彼女が何か言おうとするのを手をあげて遮り、私は言いました。「もしPsimonが私や私の友人たちを攻撃したら、自分たちを守るために彼に対抗するわ。そしてもしその素振りが、たとえ1秒でもあったとしたら、彼は攻撃対象になって、あなたの手には渡らないでしょうね」
 彼女はただ無言で微笑みました。「あなたは同意してくれると思っていたわ。あなたはいつだってありきたりのタイプのスーパーヒーローだもの」
 きっと私たちはありきたりのタイプなのでしょう。きっと、自分の言葉を守ることは不利で、スーパーヴィランを有利にするのでしょう。でも、私は自分の言葉を守りたいと思います。それは容易く手段が目的を正当化する方へスライドし、やがて非合法な事をしている自分に気づくことになるでしょう。Mind Slayerのように誰かを、そして全ての人を傷つけるのです、我が身を守るために。自分の仲間を、私のような相手に手渡すことになっても。

 

原文

 

The Good Guys and the Bad Guys(2009.8.20)

by Sapphire

 

 私は悪人というものを、本当の意味で理解してはいませんでした。白状します。私には、誰もがスーパーヒーローになりたいであろうというのが明らかでした。人々を救いたくないなんて思いますか? 愛や憧れは要らないのでしょうか? もちろん、私はロックスターであることについて、同じことを考えました。ですから皆さんは、私がスーパーヒーロー活動をすることに何らかの偏見があると言うかもしれません。
 でも、この週末、驚くような経験をしました。私はどんな悪人も本当に知りません。沢山の悪人と戦いました。でも、特によく彼らを知っているとは言えません。Foxbatについては、他の悪人よりも知っていると言えるかもしれませんが、それほどよく知っているわけではありません。そして、告白しなければなりませんが、彼は悪人というより狂人だと思います。
 今週、私はMind Slayerと夕食をともにすることになりました。
 その週の間に、彼女はネイルサロンで私を襲撃し、私のポケットにメモを滑り込ませて、私のお気に入りのレストラン、Bohemeで会おうと招待してきたのです。正直に言って、驚きました。
 私は他のChampionsに話しましたが、第一の懸念は、それが何らかの罠ではないかということでした。私を独りにして、安全と思わせる場所に誘き出し、Mental Bladeで始末するのです。少しして、私たちは、危険を冒す価値があると判断しました。Mind Slayerがサイオニック犯罪グループの一員であると、私たちは知っています。ですが、彼らに関して充分と言えるほどの情報はどこにも無いのです。無知は危険です。そうして、私は彼女に会いに行きました。Witchcraftが常連客のようにドレスアップし、私のバックアップとして別のテーブルに身を潜めていました。
 Mind Slayerは……、予想とは違っていました。彼女は常にタフでパンクな印象があります。いつも怒ってるし。私の向かいに座った時の彼女は、怒っているというより、ひどく緊張しているようでした。その目は、私たちの周囲をずっとチェックしていて、絶えず左右に動いていました。ここが安全だとは、彼女は明らかに思っていませんでした。
 「こんないかがわしい場所は嫌いよ」と彼女。
 「あなたがそんなここを選んだことに驚いたわ」と私。
 「あなたに来てもらいたいから、って言ったでしょう? あなたはここと、ここにいる金持ち連中全部が好きなのよ」
 私は瞬きをしました。そんな風に考えたことがありませんでした。「そうね、私はここの料理が好き。それから、私に構わないでいてくれるここの人たちが好きよ」私は言いました。
 彼女は冷笑しました。「あなたが目立ちたがり屋だからよ。どこか、とにかくどこかに行って、こんな所までカットしたショートパンツと、太腿まであるようなブーツを脱いだら、誰もあなたに構わなくなるでしょうね。髪をポニーテールにして、すっぴんで、フツーのTシャツとジーンズだったら、あなたが何者かなんて誰にもわからないわ」
 「別に身を隠したいわけじゃないんだけど」と私は言いました。
 「いつも隠れている奴もいるわ。あたしたちはそうしなきゃいけないし」椅子の背にもたれて、彼女はスティックパンを齧りました。「あなたはラッキーだったのよ。大勢の人の前で公表して。自分自身を守って、で、誰もが言ったわ、『おい、すげえぜ! こいつはいい! スーパーロックスターが悪と戦うんだ』って。あたしはどうだったと思う? 路上で暮らして。ある晩、路地裏で悪党どもがあたしを捕まえて、金も何もかも奪おうとして。そしたら、バン! あたしのブレードが奴らを切り裂いてたわ。これが最初。反吐が出そうなくらい怖かったわ。グッジョブって言ってくれる人なんて誰もいなくて。あたしを褒めてくれたり、大丈夫って言ってくれる人も。あたしと、死んだクズどもと、路地裏だけ」食べかけのスティックパンを、彼女は皿に戻しました。「これがあたしとあなたの差。100万人と、路地裏」
 私は動揺しましたが、不思議にも思いました。幸運でなかったとしたら、私は違う人生を歩んでいたでしょうか? 路地裏に行くことになったら、彼女がしたように、Energy Powerで同じように切り抜けたでしょうか? スーパーパワーが初めて発現したとき、私は相手を殺したでしょうか? そういったことは、あなたに傷を残すでしょう。そしてあなたは、怖い、怖い道を転げ落ちていくことになるのです。私は、十代の、道に迷って孤独な彼女を思いました。私はなぜ彼女が、常に自分のことを第一に考えるようなヴィランになったか理解できました。
 「どうして私と会いたいと思ったの?」料理が到着してから、私は訊ねました。
 彼女は肩をすくめて、背中を丸めました。「Psimonよ」
 ご存じない方のために説明すると、PsimonはPSIのリーダーで、長い、長い間私たちが捕まえようと追い続けているスーパーヴィランです。彼はまた、誰もが知っていますが、Mind Slayerの生涯の恋人でもあります。Psimonのことで、私に会いに来たというの?
 「彼が、何か嫌なことを企んでいるの。何か悪いこと。彼にとって悪いことを」
 しかし、彼女がもう少し何か言おうとしたその時、Foxbatが私たちのテーブルに飛び乗り、ドレスを着て、私に愛の告白をすることで遮ってしまいました。またしても。私が望むなら、自分の女性的な部分をもっと引き出すようにすると彼は約束して。そしてMind Slayerを指さし、宣言しました、「俺様はこんなクズには絶対負けねえぜ! 勝負しやがれこの極悪娼婦、そちらにいらっしゃる美しき乙女の愛を賭けて!」
 当のMind Slayerは、まったく賢明にも、お上品な集まりの中では申し上げられないようなことを言い放って、逃げてしまいました。Foxbatを追い払うことができたので(Whitchcraft、助けてくれてありがとう--混乱の呪文は驚くべき効果がありました)、残された私はMind Slayerが言ったことの全てについて考えました。
 ディナーで彼女と会ったことは、まんざら悪くはありませんでした。彼女との会話は、まるで怒りっぽい若い女性と話しているようでした。私には、なぜ彼女がそれほど表面上はタフなのか理解できました。自分が彼女の境遇だったらと想像でき、彼女に同情しました。それから、Psimonのこと。彼の企みが何であれ、彼女はとても悩んでいます。明らかに、彼のしていることが何であれ、彼を傷つけることになると彼女は確信していて、彼を守りたいと思っています。WhitchcraftがDefenderを守りたいと思う気持ちと、どう違うのでしょうか? あるいは、私が仲間のChampionsのみんなを守りたいと思うのと。
 私は疑問に思うようになりました。私たちは常に善人で、あるいは悪人でなければいけないのでしょうか? それは決して変わらないのでしょうか?

 

原文

 

They say you can never go home again...(2009.8.13)

by Sapphire

 

 私たちはスーパーヒーローであるかもしれませんが、家から遠く離れて旅をしているかもしれません、私たちが誕生した質素な、あるいは壮大などこかから遠く……私たちは決して出自を忘れません。
 自分の出自にとらわれている者もいますし、それを強みにする者もいます。
 先週、Monster Islandで私のエナジーを使ったQularrテクノロジーの実験をいくつか手伝ってほしいと、Dr. Silverbackから頼まれました。もちろん私は喜んでと答えて、Ironcladは私たちをV-Jetで運ぶことに同意してくれました。
 さて、私はこれまでMonster Islandを訪れたことがありませんでした。私がどのくらい興奮していたか皆さんにはわかると思いますけど、Monster Islandはハワイのスーパーヒーロー・バージョンだと思ってください。火山があります! そしてピニャコラーダ(訳注:ラム、パイナップルジュース、ココナツミルクで作るカクテル)とカバナボーイ(確かに、ここのカバナボーイはManimalで、ちょっと普通とは違います、が、間違いなく--カバナボーイです!)(訳注:カバナはビーチリゾートで直接ビーチに出られる形式の客室)。蒸し暑いジャングルを散策できますし、美しい野生生物と、放射能を帯びた危険な恐竜たちも! 本当に素敵です!
 でも、私が驚いたのは、フライト中のDr. Silverbackがとても寡黙だったことです。私みたいにお喋りではありません。ですが、普段は喋ります。彼があまりに寡黙なので、Ironcladが社交的に見えたほどです! 彼は窓の外を眺め、私が何かを言うと、時々微笑んでいました。
 「彼、どうかしたの?」私はIroncladに囁きました。
 「Monster Islandまで彼を乗せるときは、いつも静かだ」Ironcladは言いました。「ここは彼の故郷だ。彼にとって、愛する者とともに忌まわしい思い出もある場所だ。彼はここでDr. Moreauに仕え、大いに害を及ぼした。彼はまたDr. Moreauから離反し、他のManimalを解放した」
 私は頷きました。その話は誰でも知っています。
 「そういった過去は、傷痕を残す」
 これは明らかなことだったと思います。でも、私はそのように真剣に考えたことがありませんでした。私にとって、Dr. Silverbackはいつも信じられないくらい聡明で、チャーミングな科学者でした。私が生まれる前からスーパーヒーローでした。実際、私の頭の中で、彼はスーパーヒーローであるのを定義する事に不可欠な要素になっています。彼は、人々を救うためにとんでもなく長時間働きます。とてもお茶目で愉快です。素晴らしいインタビューで、人々のスーパーヒーローに対する印象を向上させました。その彼が過去に悩んでいるなど、考えたこともありませんでした。
 しかし、それは事実です。私の見るところでは、そしておそらく世界中の人が見るところでは、彼はDr. Moreauの下で過ごした時間を十二分に取り戻しました。彼は沢山の人々を直接救い、そして何千もの--あるいは何百万もの--人々をその発明で救い、他のスーパーヒーローも支援しました。でも島での彼を見て、島に残るManimalたちに優しく、そして他に何か起こっていないかと彼らに聞く姿勢知って、あの頃のことを彼自身が許していないのだと理解するようになりました。彼はまだ、他のManimalたちに対して責任を感じています。本質的に、彼らが世界の一部となれるように、世界のほかの部分を安全なものにしようとしているのでしょう。
 私は自分の出自について考えるようになりました。私はLAのFigueroa(訳注:LAにNorth/South Figueroa Streetがあります)で育ちました。みなさんがその地域をよくご存知かどうかはわかりませんが、華やかで魅力的な所ではありません。それは辛い仕事や、家計のやりくり、姉妹との喧嘩、外にいたいのに母親と忙しいキッチンであくせく働くこと、全てです。それは切手サイズの公園にある錆付いた古いジャングルジムに登り、膝をすりむき、幼い兄弟を膝に乗せて子守唄を歌うことです。そしてそれは、あなたの食事と住処を保つために、夜明けから夕暮れまで働く両親を見ることです。そして多分、私を私たらしめる経歴の全てを見ることができる方法ではないでしょうが、それが私を形作っていると確信しています。私は自分の歌について考え、スーパーヒーローとして働くことがどれくらい辛いか考え、MayteやWitchcraftとの親交について考え、そしてそれら全てが子供の頃から私をどのように成長させたのか考えることができます。私は、私みたいな他の子供を守りたいと思います。私はこれらの思い出から力を得て、戦い続けるためにその強さを使います。
 それから、Ironcladもいますが、私は彼のことを全て知っているわけではありません。でも、彼は沢山の苦労を重ねていて、最も尊敬できる人間の一人であると私は知っています。彼と話をしたら、彼が多くの激戦を潜り抜け、そして多くの敗北を味わったことを知るでしょう。スーパーヒーローであることは、彼の全体を形成する重要な要素です。彼は他の人々を守るために戦い、彼らが傷つかない方法をとっています。
 私たちは皆、何らかの出自があります。皆が、自分にとって大事な、重要なもの、スーパーヒーローたらしめるものを持っているのです。私たちは自らの過去から完全に逃れることなどできませんが、きっと、それは良い事なのだと思います。

 

原文

 

You Can’t Have it All, Or Can You?(2009.8.6)

by Sapphire

 

 デートについて書くことで、私は、究極的に、根底にある大きな問題について考えるようになりました。(念のために言っておきますが、デートに関してお話ししたいトピックはまだ沢山あって、でも今日はちょっと真面目なお話です)私たちスーパーヒーローが家族を持つのは危険すぎるでしょうか? 恋に落ちたり、親交を深めたりしてもいけないのでしょうか? それとも、そんなことは利己的で不注意なのでしょうか?
 それは、一生のうちいくつかのポイントで向き合わねばならない事です;スーパーヒーローとして、私たちは危険を呼び込んでしまいます。私のカオス関係理論(訳注:nexus of chaos theory。2009.7.9のSpandex in the City参照)は別にして、私たちはターゲットなのです。スーパーヴィランたちは様々な理由から、常に私たちを倒そうとしています。例えば、TalismanはWitchcraftを狙っています。それは二人が子供の頃から続いている個人的な復讐で、互いに競い合うことで生じたものです。Witchcraftは非常に個人的に姉妹の災いから世界を守る必要を感じており、その姉妹の方は非常に個人的にWitchcraftを破滅させようとしているのです!
 つまり、Witchcraftが大事に思う誰もがターゲットなのです。TalismanはWitchcraftを苦しめるためだけに誰かを付け狙っていると考えた方がよいでしょう。WitchcraftがDefenderと恋に落ちた理由の大部分は、もしTalismanからの電話があったとしても彼自身で対処できると彼女にはわかっていたからではないかと、私は考えています。
 でも、スーパーヒーローではない人と恋に落ちてしまった者はどうでしょうか? Mayteの夫はスーパーヒーローではありません。確かに彼はPRIMUSで働いていますが、工作員ではありません。彼は訓練を積んでいますが、彼女が毎日やっているのと同じ事をしているわけではありません。彼女の敵の一人が彼を付け狙うか心配になったことはないのかと、私は彼女に訊ねたことがあります。。
 「ああ、そりゃあね」と彼女は言いました。「もちろんあるさ。もちろんそれは危険だもの。けど、それは分かりきっていることだし。それに、危険を冒す価値があると、私たちは思っているしね」
 「誰かが彼の生命を脅かしたら、あなたはやめてしまう?」私は訊きました。
 「いいえ。できないわ。私が自分の仕事をやめてしまったら、彼が絶対許さないから。敵が私を支配するくらいなら、自分は犠牲になるって、彼は言っていたもの。そして、お嬢さん、彼は本気なのよ」
 「子供については、どう?」私は訊ねました。「二人は、子供が欲しいと思わないの?」
 彼女はその時、悩ましげな目つきになりました。「子供は欲しいわ。でも、今すぐ子供を持つことができるかどうかは分からない。私がスーパーヒーローでいる間は無理ね。多分、私が引退した時かな。けど、人々が私の力を必要としているのがわかっているのに、引退できるかしら? わからないわね」
 これは難しい事態です。スーパーヒーローではない人に、その身が危険になる事を求めるのはフェアでないと考えるため、そのような危険を負いたくはないという人もいます。Kinetikがそう考えている事を、私は知っています。私は彼に訊ねました、「スーパーヒーローとデートしていたら、それは違うの?」
 「違うね」と彼は言いました。「俺たちは悪との戦いの最前線にいるんだよ、Sapphire。俺たち全員。つまり、全員が危険に晒されているということさ。これは難しいね。弱点が増えるわけだ。俺に対する脅威のために、別のスーパーヒロインが仕事をやめるようなことにはなってほしくないよ。それに、俺に何かあったら、どうだろうね? 俺は、悲嘆に暮れる誰かを置き去りにしたくはない。それは優しいとは言えないね」
 それをなんとか成し遂げた人々もいます。RadiotronとSpell Keyは幸せな結婚をして、家族を作りました。でも、私の記憶が確かなら、二人がともに仕事から引退するまでは、結婚もせず、子供もいませんでした。彼らの引退の背景にどんな理由があったのかは知りません。ですが、とても難しい決断だったと思います。今でもまだ、彼らはスーパーヒーローではない人々以上に、ターゲットになっていることでしょう。でも、明らかに、彼らにとっては、危険を冒す価値があるのです。
 しかし、私が訊ねた時に一番興味深いことを言ったのはIroncladでした。
 「俺たちはしなければならないんだ、Sapphire。他の人々を大事にしなければならないし、親交は深めなければならないし、家族を持たなければならない。そうしないのであれば、俺たちは何を守るために戦っているのか忘れてしまうだろう。心のないヒーローは真のヒーローではない、なぜなら、彼には失うものがないからだ」

 

原文

 

The Art of Sidekicking(2009.7.30)

by Sapphire

 

 昔々、もし工芸技術を学びたかったら、あなたはその達人に弟子入りしたことでしょう。大工になりたい? 大工に師事するため就職してください。ガラス吹き工になりたい? ガラス吹き工の弟子になってください。一般に、今日では徒弟制度の流行は終わっています。ですが、スーパーヒーローは、実際に誰かに師事することができる、残存する数少ない分野の一つです。もしあなたがスーパーヒーローになりたかったら、助手(Sidekick)になってください!
 明確な公知の事柄ではありませんが、私は友人の助手を務めました。スーパーヒーローになって間もない頃、何をするのかまるで判らなかった時、Mayte Sanchezが彼女の対犯罪活動に2、3回私を同伴させてくれたのです。これは公式なものではありませんし、私たちも周りに広めることはありませんでしたが、私は彼女の手伝いをして、経験を積みました。
 この事実は、なりたてのスーパーヒーローのほとんどは、自分が何をするのかわからないということです。最初はそんなものです。あなたとしては、まだ沢山学ぶことがあります。姿を変える相手を追跡する方法や、氷柱の中に閉じ込められるのを避ける方法や、Power Armorを着込んだ相手のどこを攻撃すれば動きを遅くできるか、といった要領を既に知っていている人が周りにいるというのは大いにあり得ます。
 私の場合、2、3回Mayteの助手を務めただけです。私が必要としなかったので、進行中の取り決めはありませんでした。彼女の助手を務めるまでに、既に私には多少の経験がありました。私が欲しかったのは、戦略における指針でした。プラス、一般的な経験です。ですが、より長い期間に渡って続く師弟関係も沢山あります。
 Amphibianは、例えば、最初の頃Sea Kingの助手を務めました。これはごく自然で、当然の選択でした、Sea Kingが彼の養父であり、二人とも水中のスーパーパワーを持つことは既知の事実だったからです。だからAmphibianは最初の頃、Sea Kingに同行し、手助けしたのです。時が経つにつれ、彼はより多くの責任を負い、より多くの決定を下し、最終的には助手ではなくSea Kingのパートナーになりました。
 スーパーヒーローとして確立した者にとって、助手を持つことは有り難いことと言えます。戦いで頼ることの出来る相手、一緒にブレーンストーミングをしてくれる相手、共にスムースに動く訓練を積んだ相手がいます。いくつかの点で、パートナーを持つよりも良い事でしょう。悪と戦う自分なりの方法論を既に編み出したスーパーヒーローは、必ずしも巧く共闘できるわけではありません。助手とともに訓練を積んだあなたならば、ほとんどの場合問題無いでしょう。
 さらに、助手をそばに置くことは、スーパーヒーローであることにおいてごく自然な成り行きです。これも仕事の一部です。撃破と防護を誓う我々は、単に悪人と戦い、自然災害を防ぐだけではありません。助手を受け入れ、彼らに戦い方を教え、スーパーヒーローとしての最初期を生き延びさせるのは、私たちの防衛力を未来へと伸ばしてゆく方法の一つなのです。

 

原文

 

To Date or Not to Date, Part Deux(2009.7.23)

by Sapphire

 

 私はあなたに誓います、大好きなスティレットヒール(訳注:細くて高いヒールの靴)に懸けて、スーパーヒーローとしてデートすることについて、こんなに話すべきことがあるなんて考えもしなかったんです。履物を履いたら、それが深刻であるとあなたにもわかります!
 目立つ社会的人格を持つことに関する問題については、既に触れました--プライバシーの侵害に対処できないボーイフレンドと、個人的利益のためにあなたのプライバシーを侵したいボーイフレンド。それから、時間不足と、スーパーヒーローであることと同時に信頼性、それ以外は本当に素敵な小さな恋愛関係がどうやって壊れてしまうのかについて触れました。
 でも、まだ沢山残っています!
 あなたが完璧な女性だと考えているためにあなたとデートするボーイフレンドたちがいて、そして、全ての記事、インタビュー、外見、そして非公認のバイオグラフィーから、既にあなたについて沢山のことを知っています。彼らは、2、3の異なる方向に問題を抱えています。
 一つには、誰が完璧になりたいでしょう? 私は違うということは、私自身が知っています。そして、ボーイフレンドにも、私がそうだと考えてほしくありません。そうだったらどうなると思いますか? 私がいつも完璧に美しくいるわけではなく、ベッドから出てすぐにput together(訳注:まとめる、組み立てる、の意。化粧の婉曲表現?)である事に彼は失望するでしょう。私が歯磨きを片付け忘れるのを見て動揺することでしょう。私が下品なジョークに笑ったらショックを受けるでしょう。私が時には座って、ボール一杯のバターとブラウンシュガーを食べたいというのが信じられないでしょう(クッキーやクッキー生地を作るのが面倒な時は、バターとブラウンシュガーだけを混ぜます)。
 私は彼の失望に対応したくなんてありません! リラックスすることも、私らしくあることもできないなんて、考えたくもありません!
 また一方では、何が何でもあなたの行い全てが完璧だと主張し続けるボーイフレンドもいます。あなたがどれくらい優雅に歯を磨くかについて喋りまくる人。あるいは、レポーターに好きな食べ物はと訊かれてムラサキ(訳注:原文 "purple")だと答えてしまった、あなたの間抜けさ加減に気づくのを拒否する人。または、あなたの足は臭くないと主張する人。聴いてください皆さん--長い一日中靴の中で汗をかけば、誰の足だって臭くなるんです! そういうものなんです。
 この二つのボーイフレンドシナリオの悪いところは、彼が本当の私を何も知らないという事です。そして、さらにひどいのは、それを知ろうともしない事です。全ては彼が信じたがっているもの、彼が私にそうあってほしいと思うもの次第なのです。実際の私とは関係ありません。でも、彼らだけが罪を犯しているとは思わないでください。私のスーパーヒーロー仲間に対して、大勢の女性が同じ振る舞いをするのを見たことがあります! あなたは、Kinetikが昨年デートしていた大学院生を見たことがあるかもしれません!
 スーパーヒーロー、もしくはロックスターである私に興奮しすぎているらしい人とはデートしてはいけないと、私は学びました。既に言ったように、彼らが想像するあなたのことが全てであり、あなたが誰であるかは関係ないのです。そしてもちろん、世間に注目されるためにあなたとデートしたいと思う人々もいます。最後の1つについては、あまり話していませんでしたね? 適当に取り繕ってしまいました。
 自分の評判を上げることになると思って、私とデートしたいと考える人が沢山います。その場合、私はトロフィーみたいなガールフレンドで、彼らにとって実在する人物ではありません。しかし、私の知る最高の例は、Ironcladに起こったことです。ああ、なんてことでしょう、それはとても可笑しかったのです! この裕福で、髪をキッチリと撫でつけて、高級ファッションに身を包んだNew York社交界の名士は、彼が彼女にとってのアームキャンディ(訳注:パーティなどに付き添う異性の事)となる事を望んだのです。本当に大爆笑ものでした。
 私たちがチャリティ・ディナーに出席した時、このプレデター--彼女は、シルク・サテンと香水に身を包んだ完全無欠のプレデターでした--が、Ironcladの前にZone Inしてきました。彼女はその晩の全てを彼といちゃつくことに費やし、彼の気を惹こうとして、自分の人生においていかに強くて自立した男性を探しているかを語りました。ディナーでは、腕にしがみついて、彼の種族にどれほど魅了されているか告げました。彼女はDorvalan人についてもっと学びたがっていました! それから、彼に、その睫毛を震わせてみせました。さて、Ironcladは異星人かもしれませんし、人前では幾分寡黙かもしれませんし、社交的とは言えないかもしれませんが、バカではありません。彼女の目的に気づいていました。彼は、彼女の言葉を額面通り受け取ったふりをして、Dorvalanの人々の農業、歴史、芸術について全てを話すと強く主張しました。彼女は逃げられませんでした!
 彼女がまるで興味津々というように微笑もうとしたので、私はそれを台無しにするために全ての時間を遣いましたが、私は彼女が死ぬほど退屈していることを知っていました。でも、本当に面白かったのは、その後の夜、彼が私に言わなければならなかった事でした。
 「彼女が一晩中大騒ぎするのを、あなたが我慢していたなんて信じられないわ!」私は彼に言いました。
 「Sapphire」と彼は言い、「俺は彼女の企みを気にしなかったよ。彼女は、俺を仲間にすることで、自分のコミュニティの中でより高いポジションを得ようとしていた。自分の状況を向上させたいという彼女の欲望と、プロセスにおける独創的な考え方を、俺は尊敬する。同じようなことを企む人は沢山いるが、悪意ではないのはめったにない。今夜彼女と一緒にいたから、しばしば誤解されると思う。彼女は、俺に必要な交際を提供したと信じていた。彼女が知る限り、これは公正な取引だ。彼女が提供してくれたものを俺が評価しなかったのは、別に彼女のせいじゃない」
 それは愉快で、信じられないくらい鋭いアドバイスでした。彼は、彼女がしようとしたことを正確に理解しており、しかも気にしていませんでした。彼はまた、それについて怒ったり、狭量になったりしませんでした。私はかつて、自分の見栄えをよくするために私とデートしようとした男に怒ったことがあります。でも、もうそんなことはしません。彼らは、自分がやれるあらゆる方法で頭角を現そうとしており、私を実際に傷つけようとしているわけではありません。彼らは私を理解していないだけです。それをかわす最良の手段は、Ironclad方式のようです。礼儀正しく、そして根気よく、彼らを退屈させてやります。そうして先に進むことにします!
 ではまた次回!

 

原文

 

To Date or Not To Date(2009.7.16)

by Sapphire

 

 質問です。
 スーパーヒーローであるのは辛い仕事です。そして、一日の終わりに、暖かく、柔らかで、可愛い誰かの所へ帰りたいとあなたが思っても、驚くようなことではありません。あなたを愛していて、あなたが毎日戦い、護るのは何のためかを思い出させる誰か。
 その特別な誰かを見つけるのが簡単でないのも、驚くようなことではありません。
 最初の質問は、もちろん、あなたが本当にデートしたいのかどうかということです。私はここで他のスーパーヒーローの代弁はできませんが、私自身がかなり頻繁にこの問題を討議することは知っています。認めなければなりませんが、私は、そばに寄り添ってくれるボーイフレンドが欲しいと思います。電話が鳴って、それが私の特別な人からかどうかわからない、そんなスリルが欲しいと思います。ハンサムな男性に夢中になって、ディナーに連れ出されて、そしてイヤというほど二人でいちゃいちゃしたいです。でも。
 でも。私と付き合う誰かは、Supernaturals Weeklyの最初のページに載ることになりそうです。リポーターは彼がスーパーパワーの持ち主かと邪推もしそうですし、それは悪党志望者が彼を仲間に引き込もうとするかもしれないことも意味します。あるいは、彼の友人や家族が、私のミュータント・パワーが何らかの形で彼を汚染しているのではと心配するかもしれません。それとも彼が、パパラッチがゴミ箱を漁って、彼の冷凍ディナーのカタログを作っているのを発見するかもしれません。更には、彼の元カノが突然、Christine Hewittの暴露本インタビューを受けるかもしれません。
 多くの人々は、そんなことは出来ません。なぜそうしなければならないのでしょう? それは彼らのプライバシーを酷く侵害することだからです、私のキャリアのせいで。世間の注目を集め過ぎたせいで、ほとんどそうなる前に関係が終わってしまっても、驚くに値しませんが。それから、認めなければなりませんが、私はかなり用心深いです。私とのデートについての暴露インタビューを受けることでお金を取ろうとする一部の人たちがいることを、私は知っています! 二人で過ごした時のビデオテープを元カレが売るという、Talismanみたいな結末は迎えたくありません。
 たとえあなたが世間の詮索に対処できる人を見つけたとしても、恋愛関係には時間が必要です! スーパーヒーローであることは、私から沢山の余暇を奪います。それから、スケジュールだって全然予測できません。Purple Gangがいつ暴動を起こすかとか、MindslayerがCliniqueのカウンターで強盗をしようとしているとかは、私にはコントロールできません。デートに出かける暇なんてありませんし、そうしたいと思っても、私はなにかを救いに行かなければなりませんから、デートは中断されるか、無期延期になってしまうでしょう。
 少しの間、私はとても颯爽として陽気な政治家とデートをしました(もちろん名前は挙げません、皆さんありがとう!)。彼は人目があるということをよく理解していました、それは既に彼の人生の一部でしたから。同じ理由で、慎重さについてもよくわかっていました。彼自身がとても注意深い人でしたので、一緒にいて注目を集めることについて、私が心配する必要はありませんでした。彼も同じように感じていました。私たちは、公人としての経験を共有することができました。彼も同じように多忙でしたから、私がどれくらい多忙であるかについてわかっていました。
 でも。私のスケジュールがあまりに予測不可能で、結局彼の手には負えませんでした。私たちはなんとか、彼が会議ではなく、私がツアー中ではない時間を見つけて、一緒に夕べを過ごしましたが、Armadilloが私たちのお気に入りのレストランの隣で銀行強盗をやらかそうとしていました。そして、このハンサムで陽気な政治家は、私の気持ちをそんなに引き付けてはおけないと認めました。難しすぎる、と彼は言いました、カップルの片割れがクレイジーな生活を送っているのでは。二人ともそうだったら、ほとんど不可能だと。そして、私はそれを否定できませんでした。私は、彼のためにスーパーヒーローであることを諦めるわけにはいきませんでした。彼は、私のために政治家であることをあきらめるわけにはいきませんでした。そうして、私たちは別々の道を歩むことになりました。
 今回はデートについての短いコラムのはずでしたが、こんなに複雑な話になるとはこれっぽっちも理解していませんでした。次回も、こんな話を続けなければなりません!
 ではまた次回!

 

原文

 

Nexus of Chaos?(2009.7.9)

by Sapphire

 

 時々、スーパーヒーローであることが、この世のカオスと結びつくことになるのではないかと感じることがあります。あなた行く先々に、トラブルがあなたを追っていきます。Murder She Wroteという番組を憶えていますか? Jessica Lansburyの行く先々に、殺人犯がつきまとっていました(訳注:Murder, She Wrote(ジェシカおばさんの事件簿)の主人公はジェシカ・フレッチャー、演じたのはアンジェラ・ランズベリー。役名と俳優名がごっちゃになっていますが……)。その番組を観た時は笑ったものですが、今は彼女にシンパシーを感じています!
 時には、あなたは全ての緊急事態から離れたくなるでしょう! 読書もしたいし、映画も観たい、キャンプにも行きたいでしょう。どういうことかというと、もし座って読書をしても、何かが起こって中断されてしまうことをあなたは知っているからです。Twilight Zoneの1エピソードの、かわいそうなBurgess Meredithのように。また、もしあなたが映画を観に行くなら、同じ日にスーパーヴィランも映画を観に来ている事に私は賭けますし、あなたたち二人は道義上最後まで戦う義務があると感じることでしょう、本当は、夏の超大作を観たかっただけなのに。それから、キャンプに行ったら何が起こるかなんて、私に言わせないでください!
 私は認めます、時々不思議に思うことがあるのです、もし私がいなかったら、例えば、Chicagoで開催されるコンサートに、そしてもしArachneがAmerican Gothic強奪のためにシカゴ美術館に侵入したりしなかったら!
 論理的には、世界は私を中心に回っているのではないことはわかっています。彼女はおそらく、いずれにしても美術館に侵入していました。どっちにしろ、これは現実なのです、TV番組ではなく!
 しかし、私が話したことのあるスーパーヒーローはみんな、同じことを感じていました。Witchcraftは、彼女の周囲でおかしなことばかり起こるようなので、大好きな図書館のためにスーパーヒーロー向け特別災害保険に入るべきだとジョークを言っていました。Defenderは、親族会へ出席することが気がかりだと私に告白しました、超犯罪者(訳注:原文 "supercriminal" )は騒乱を引き起こすために姿を現すと知っていたので--たとえ、ほとんど誰も彼の正体を知らなかったとしても。
 先週、Mayte Sanchezと一緒にペディキュアをしながらGirly Dayを過ごしていた時、このことについて話しました。
 「それがもし本当だったら?」彼女は訊ねました。「スーパーヒーローはその周囲に不思議なカオス・フィールドを持っていて、行く先々で災厄を引き起こしているとしたら、どうするの?」私はこの話題に熱中して、多分何か素晴らしい哲学的真実に気づいたと思います。「スーパーヒーローには世界を変える性質があるんじゃない? それってカオスの一種だと思わない?」
 Mayteは笑いました。「まあ、Spphire。誤解しないでね、あなたがなぜそんな風に思うのか、私にはわかっているわ。でも、人間はカオスの源。地球上の人間一人一人が、世界を変える能力を持っているし。それは、フォーカス、献身、タイミングと運の問題よ」彼女は手を伸ばして、私の腕に触れました。「考えてみて。スーパーヴィランは、きっと私たちと同じことを感じてるわ。彼らの行く先々に、私たちの一人が現れて計画を台無しにするって」
 私も笑いました。「その通りね」
 「スーパーヴィランと出遭わなくなったら、その方が心配よ。だって、それは彼らが騒乱を企んでいないという意味じゃないんだから。それを巧く隠しているってことでしかないのよ」
 私はまた笑いました。彼女の言う通りです。まったくその通りで、彼女にそう言おうと思いました。ところがその瞬間、Mind Slayerがネイルサロンの正面の窓をぶち破ってやって来たのです。
 Mayteは私に向かって眉をつり上げました。私は肩をすくめました。「あなたがやる? それとも、私がやらなきゃいけないのかな?」つまり、いわゆる閑話休題というやつです。
 じゃあまた次回!

”For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”
 

原文

 

Through Harsh Winters(2009.7.2)

by Sapphire

 

 スーパーヒーローにとっての散々な一日というのがあると思いますか? 散々な月は? 散々な年は? スーパーヒーローが落胆していたり、洞窟で宿敵の罠にかかった後閉所恐怖症になったり、緊急回線のベルが鳴るたび痙攣したりすることがあるでしょうか? スーパーヒーローは、PTSDにだってなるんです。
 告白します。私は経験済みです。ストレスが溜まりまくってしまい、今すぐにも非常事態が起きてそうで、誰かを助けなければならないと感じていました。ツアー中にそんなことになってしまい、新しいローディ(訳注:コンサートのスタッフ)が装置を動かしているのを見て、彼は私の行動を逐一追うためにRaksashaが送り込んだスパイではないかと突然考えたものでした。また、初老の男性が11歳の少女と会話しているのを見て、彼は少女を誘拐するのではと思ったりもしました、彼は本当は少女の祖父だったのに。かつて、薬局の行列で、私の正面にいた青年が銃を抜こうとしたのを確かに見ました。正直に言わなければなりませんが、彼を壁へとぶっ飛ばし、そして彼が本当はポケットのティッシュに手を伸ばしていたのだとわかった時は、とても恥ずかしかったです。
 それは私たち全員に、色々なポイントで起きます。私たちはあまりそういう事について話しませんが、それはスーパーヒーローのイメージにそぐわないからです。でも、それはあるのです。通常、私たちは冷静に対処しようとしています。
 一部のスーパーヒーローたちは、その間中も力強く活動しています。私は、Witchcraftが姉妹の攻撃に全て対処し、なんとか気持ちを保ち、前進し続けることに本当に畏敬の念を抱いています。彼女は、本当はTalismanが好きです。たとえT(訳注:Talisman)が真の邪悪で、何のためらいもなくWitchcraftを殺しても、彼女は愛し続けるでしょう。これは驚くべきことです。私は、Talismanに完勝しながら泣いている彼女を見たことがあります。でも毎回、彼女は立ち直り、素晴らしい戦いを見せます。
 他方、一部のスーパーヒーローは、行き詰まり、理由を明らかにするために沢山の自己分析をしなければなりません。例えば、2、3年前Ironcladは、他のChampionsと一緒の活動がなかなか出来ないようになりました。私たちは計画を立て、それを堅持しますが、突然、彼は持ち場を離れてDefenderが戦っていた相手にタックルしました。また、私を押し出して、自分が隠れている場所を完全に明かしてしまい、私たちは奇襲のアドバンテージを失ってしまったこともありました。私たちは全員で大変な言い争いになりました。最終的に、彼は何度か深い瞑想をして、それを明らかにしました。彼は、MalvaのGladiatorial Arenaで再び戦うことを夢見ていたのです。そこにいた頃、彼はただ生き延びるために戦いと、あらゆる種類の人々を殺すことを強制されていました、たとえそれが好きな人であったり、友人であったとしても。悪夢の中では、他人でなく、友人たちと戦いました。そして、ある夜はDefenderと、別の夜は私と、また別の夜はKinetikと戦っていたのです。それが、戦いの間私たちを守ろうとした理由でした。時間がかかりましたが、その間も彼は活動を続けました。
 一部のスーパーヒーローたちは、セラピストを訪ねます。実は、これはあなたが考えている以上に難しいのです! もし敵が、あなたがセラピストに通っていることを知ったら、彼らは5秒フラットでそこに行き、可哀相な人たちを痛めつけるでしょう。誰かに秘密を打ち明けるのは本当に難しいのです、彼らが殺される可能性がある以上。そしてあなたも。でも時には、専門家の助けが本当に必要になります。私の大好きなSilver Avengersの一人、Mayte Sanchezにこれが起きました。
 戦いの最中、Dark SeraphがMayteを生き埋めにするかのようにDarkness Powerを使いました。何年か後、彼女は言いましたが、彼女は狭い閉所を非常に恐れるようになりました。さらに悪化したと彼女は言いましたが、彼女の夫は、彼女がシャワーを浴びようとして、しかしそんな狭所に入ることができずにすすり泣いているのを見つけました。こういった恐怖症は、スーパーヒーローのキャリアを終わらせます。これは最悪のタイミングであなたを弱らせ、誰かの命を奪う結果になります。
 Mayte Sanchezは、閉所恐怖症に対処するためにセラピストを訪ねました。しかし、彼はどんなセラピストとも違っていました。彼は元スーパーヒーローだったのです;エンパス(訳注:他人の感情を読む超能力者。テレパスは他人の思考を読む超能力者)のInsightです。彼は、Dr. Destroyerの何体かのBattlebotとの戦いで傷を負い(連中には感情が無く、彼は戦いにそれを利用できませんでした)、スーパーヒーローを引退していました。彼や、引退した他の数人の元スーパーヒーローたちは、他のスーパーヒーローを助けることで身を立てているのです。
 これは、私たち全員に起こります。色々なポイントで、スーパーヒーローであるあなたにも。でも、大丈夫です。あなたはゆっくり回復し、頑張って元の道に戻らなければなりません。でも、これが最も効果的なのです。もちろん、小売店セラピーはいつだって私の味方です!
 ではまた次回!
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

P.S. 小売店セラピー(訳注:ショッピングで気晴らしすること)は冗談ですよ。

 

原文

 

A Word From Our Sponsors(2009.6.25)

by Sapphire

 

 私が言ったら、マスカラを買ってもらえますか? それとも、Witchcraftが言ったら乳液を? あるいは、目にしたビルボード広告の中でDefenderがPowertoolsを使っていたら、それを?
 それは、数え切れないくらい沢山の企業があてにしていることです。
 あなたは最初に予想もしなかったでしょうが、これはスーパーヒーローのもう一つの仕事なのです。しかも、驚くことにこれは頻繁にやってくるのです。ちょうど今も、私はあるものを承認する所です。私は物凄く幸運です。CM契約をしたくないと思ったら特に悩まずに断れるくらい、自分の曲で充分なお金を稼いでるからです。でも、そんな贅沢を言えないスーパーヒーローは沢山います。
 Cavalierを見てみましょう。彼は良いアイディアを持っていながら、それを実現させるだけの資産を持っていないという、非常に貴重な一例です。彼はこのカッコいいパワーアーマースーツを開発しましたが、破産してしまいました。そこで、彼はスーパーヒーローになって企業と契約し、企業のコンポーネントの使用と販促をすることになりました。彼はまた地元企業の保安要員として雇われ、彼のウェブサイトの広告スペースを提供し、Nar-Cola(訳注:詳細不明)とスポンサー契約を結びました。彼は素晴らしい功績を為していますが、企業の後援を受けなければできなかったでしょう。もちろん、一部のスーパーヒーローは、彼は真のヒーローではないと文句を言いますが、彼は今も人々を救い続けています--彼らがお金を持っているかどうかに関わらず。
 CM契約をしているスーパーヒーローのほとんどは、Cavalierほど多くはしていません。例えばIroncladはこの間、面白がって2、3のArmor-Coat(訳注:詳細不明)の広告と契約していました。この広告で、彼が容器を開けて味見をした事を私は未だに忘れられません! もう可笑しくって! それから、Amphibianは、Greenpeaceのための素晴らしい広告になっています。Kinetikは風変わりで楽しいスニーカーのキャンペーンをやっています--彼がスニーカーを履いて、それをすり減らすために世界中をビュンビュン走り回るのを見るのが、私は大好きでした!
 私は沢山の化粧品の広告をやりました、Long Last Mascaraをつけて、コンサートからスーパーヒーロー的戦闘までやってもマスカラがにじまない、といったようなものなど。あと、Whitchcraftは、もっと沢山の人が図書館の使用に興味を持ってもらえるようにデザインされた印刷物キャンペーンに、もうすぐ登場するでしょう。
 私や友人達が宣伝したこれらの製品が、私たちにとって意味のある、そして私たちの主義に反しないものであることに注意してください。これは誠実なスーパーヒーローであることの一部なのです。私たちは、自分たちが支持するものに対して人々が注意を払うことを知っていますから、自分たちが宣伝しているものは何でも、尊重できるものであるかどうかを確かめたいと思っています。
 製品の宣伝をしないスーパーヒーローも沢山います。Defenderは、例えば、そんなことは時間の浪費だと思っています。彼が仕事(Championsの活動とか!)を続けるためには他にも沢山のものが必要ですから、アフターシェイブローションのCMをするなんて彼のレーダーには届きません。他に、これはスーパーヒーローとしての評判を完全に悪用しており、私たちは商業広告から距離を置くべきだと考える人もいます。
 もちろん、スーパーヒーローたちはそういったオファーを受けません。スーパーヴィランがします、当然。正直に言うと、私はイライラしています。企業がスーパーヴィランに金銭を提供している事を見るのは大嫌いです。ご存知の通り、このお金が良い事に遣われることはありません! Talismanはアイシャドウの宣伝をしているかもしれませんが、彼女は自分の利益に見合ったアイライナーなど買っていないと考えた方がいいでしょう。彼女は、Witchcraftを追い回すためにそのお金を遣うに違いありません! それから、Mind Slayerの乳液の広告は、狂ったサイオニクスによる世界征服の追求のための資金調達です! 私は、でも、Armadilloが腋の下の消臭のためにPitpourriの宣伝をしていた時は爆笑してしまったのを認めなければなりません。消費者にはまったくうけませんでしたけどね! その後彼は、Pitpourriの本社に侵入するためにお金を遣いました。こういうのを、安物買いの銭失いと言うのだと思いますよ!
 ではまた次回!
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex in the City(2009.6.18)

by Sapphire

 

 全てのスーパーヒーローが、そのキャリアの中でぶつかるだろう最大の問題の一つは、正体を隠しておきたいか、それとも公表したいか、ということです。どちらの場合にも沢山の理由がありますし、語る価値があります。
 私は、間違いなく、公表する方です。実際の所、選択肢は多くありませんでした。世界中が知っているように、悪党志望者(訳注:原文 "wannabe bad guys" )の集団が私のコンサートの一つを襲撃して、私は自分でも知らなかった電撃Powerで彼らを撃退しました。それはもう大々的に報道されました! でも、とにかく、私はスーパーヒーローとしてのステータスについて、公表することを選んだと思います。個人的には、自分の生活を守るために秘密にし続けるなんて出来ません!
 私はおしゃべりが大好きな女の子です。でも、悪党と戦うより刺激的でエキサイティングな話題なんてあるでしょうか? そして、私をパワーアップさせてくれるでしょうか? それ以上に、ツアーの間中ずっと私を取り囲む人たち全員から、どうやって悪と戦う私の姿を隠せるというのでしょう? マネージャーは、インタビューと出演のために私を予約したがっていて、もし私がMorning in Millenniumのインタビューをすっぽかしたら快くは思わないでしょう。それから、衣装のこともあります。私には衣装に精通したスタッフが沢山いますし、彼らは私の衣装が無くなっていたり、焼け焦げた痕がいっぱい付いていたりすることに気づくでしょう。それからメイクアップ! 私のメイクアップ・アーティストは既に、私が寝不足で目の下に隈を作っていることを責め立てています。私が、前夜放射性物質貯蔵庫に忍び込んだこそ泥と殴りあったことは隠して、擦り傷や打ち身について釈明しなければならなくなった所を想像してみてください!
 ほとんどの人々には、そういった懸念はありません。でも彼らには、なぜ出勤が遅れたのか、あるいはどこに姿を消したのか、またはどうして目の周りに黒アザができたのかを不思議に思うボスや同僚がいます。彼らには、心配し始める友人や家族がいますし、彼らが本当にスーパーヒーローだというのに、彼らが落ち込んでいたりドラッグをやっているのではないかと友人達は勘違いして干渉し続けるのです。以前目にしたことがあります。
 公表するというのは、私の両方のキャリアを管理する、より簡単な方法です。私のマネージャーは、私が悪との戦いに出かけても平然としていますが、それはほとんどあらゆるインタビュアーを受け入れることを正当化するためのものです--その後、インタビュアーたちが独占インタビューを獲得するのを見る限り! 衣装スタッフたちは、悪と戦う時のコスチュームに対して凄い提案を実際にしてくれて、本当に素敵で丈夫な素材を私のコスチュームに組み入れてくれました。メイクアップは、切り傷や打撲傷を上手に隠してくれました。口うるさい人ばかりです、でも、みんな私を助けてくれるのです。だから、みんな素敵な人たちです。
 他方、正体を公表していることで沢山の問題も起こります。例えば、どんな悪党も、そいつのイルマ叔母さん(Aunt Irma)でも、私がどこにいるか知っています。つまり、私は襲撃されるということです。沢山。プラス、悪党どもは私の友人や家族のことも知っています。ですから私は、私の大好きな人たちが予防策を講じているか確認しなければなりません。ボディガードやセキュリティシステムです。あと、デートをしたい私にとってどれだけの災難であるかについてはお話しできません。私を怖がらない男性を見つけるのは限りなく難しいと思います。悪党を叩きのめし、世界を救うためにデートをすっぽかす私の手綱を握ってくれる人を探すなんて、無理難題もいいところです!
 正体を秘密にしている人なら、最初のデートを取り付けるのは簡単です:あなたは怖がられたりしないでしょうし、誘惑してくる素敵な相手が本当は名声を望んでいるだけじゃないのかとか、実は変装した悪党じゃないのかとか、そんな心配をする必要もありません。その一方で、あなたがどこに行っていたのか、何をしていたのか、なぜ記念日のディナーをすっぽかしたのかを説明できないと、関係を維持するのは難しいでしょう。
 このように、どちらの選択肢にも利点はあります。あなたに都合のいい方を選ばなければなりません。忘れないでほしいのは、正体を隠していれば、後でいつでも公表できるということです。そして、公表したなら、再び隠すことは出来ません。
 ではまた次回。
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex in the City(2009.6.11)

by Sapphire

 

 悪と戦うというのは汚れ仕事です。あなたがどんなに慎重でも、自分のコスチュームを引き裂いてしまうことになります(訳注:冒頭の汚れ仕事は、原文 "dirty business" 。「汚れ仕事」と「コスチュームが汚くなる仕事」をかけたジョーク)。返り血を浴びたり、草汚れや泥、ライムゼリーがあなたのコスチュームを汚します(ライムゼリーの件でFoxbatを非難しましたが、それは違います、けど、それについては話したくありません)。コスチュームは、悲しいことに、自分自身を魔法のように綺麗にはしません。もちろん、それがあなたのスーパーパワーの一部でない限り、ですが。
 洗濯物問題を取り扱う方法は色々あります。一つは、もちろん、あなたが自分でお洗濯することです。でも、そのつもりなら、蓄積した汚れの除去技術を開発する必要があります。あなたはあらゆる手を使って、コスチュームをきっちりと、そして清潔感溢れるようにしておく必要があります。私の戸棚は、酢、炭酸水、塩、過酸化水素、スポットリムーバー、カーペットクリーナースプレー、漂白剤、アンモニア、シャンプー、ピーナッツバター、とにかくあらゆるものでいっぱいです!(訳注:ピーナッツバターについてぐぐったら、髪の毛についたガムを取るのに使えるそうですが、ここでは単なるジョークだと思います)
 ここで問題となるのは、戦闘直後にこまめにお洗濯をするという点で、あなたは疲れ果て、シャワーを浴びて1週間くらいの休暇が欲しいと思っていますし、いずれにしろあなたは多分明晰な思考もしていないでしょう。でも、洗濯物を寝かそうものなら、汚れは固まってしまい、別のコスチュームに着替えるしかなくなるでしょう。
 別の解決方法としては、他の人にお洗濯をしてもらうというのがあります。まあ、あなたがお金持ちで、使用人(通常は、あなたが素顔(secret identity)でいる時しか働きません--これ以上は別の機会に)のいる家をお持ちなら素晴らしい方法でしょう。スーパーヴィランは手下や部下を使います。この場合、あなたには汚れ落としが得意な手下が必要ですね。そんな都合のいい手下が見つかるかどうかわかりませんけど!
 ドライクリーニング・サービスを利用するという選択肢は常にありますし、私はそれが好みです。ですが、それでさえ複雑な事情だらけです。ぬるぬるした毒物やバイオハザード性の物質にまみれた衣装を持ち込んだら、ドライクリーニング・サービスをずっとやり続けてくれるのがどんなに困難になるか、あなたはご存知ですか? 信じてほしいのですが、ほとんどのドライクリーニング屋は、そんなものは絶対に対処したくないのです。もう、ほとんどのドライクリーニング屋には、そういう厄介な物に対応する能力はないんですからね。ごく少数は、とんでもない値段で引き受けてくれますけど(早めに言っておきますけど、文字通りの意味ではありませんよ)。(訳注:「とんでもない値段」は、原文 "charge an arm and a leg" 。支払いの時、本当に片腕片脚を取られるわけではない、というジョーク)
 私の行きつけのドライクリーニング屋はとても素晴らしいんですよ! Radiotron、既に引退したスーパーヴィランですけど、彼が、元スーパーヒーローである奥さんのSpell Keyと一緒にやっているお店です。本当に凄いんです。二人のどちらか、あるいは彼らの子供の一人は、どんな大きな戦闘の後でもあなたたちの下に現れます(彼らは警察無線を聴いていますから、どこで決着がつきそうか正確にわかっているのです)。これが秘密裏の戦闘で、公表したくないのであれば、電話で彼らを呼び出すこともできます。彼らはとても口が堅いのです。そして、あらゆる種類の問題のために、ランドリーバッグを持ってきています。ぬるぬるの放射性物質? ノープロブレム。呪いの糸(Cursed threads)? 簡単です! なぜなら旦那さんは放射能を帯びていて、通常ならあなたが処分するためにHazmat(訳注:Hazardous-Materials。危険有害物質)に加えなければならないであろう、あらゆる種類のアイテムを取り扱うことができます。また、奥さんはあなたの衣類に残存する邪悪な魔法を祓うことができます。彼らは仕事が早く、有能で、口が堅いのです。ですが、決してお安くはありません!
 最後に2つの選択肢が残っていますが、どちらも私の好みではありません。あなたは、1回着たものを全て破棄すると仮定して、クローゼットいっぱいの同じコスチュームを買うことができます。使用は1回だけ。私にすれば物凄い無駄遣いです。または、汚れて裂けているコスチュームをもう1回着ることもできます。多分、運がよければ、あなたの粗野で乱暴な出で立ちに敵は怯えることでしょう。運が悪ければ、あなたは馬鹿にされるでしょうね。
 いつも清潔に! ではまた次回!
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex in the City(2009.6.5)

by Sapphire

 

 私は初めてスーパーヒーローになった時、自分が誰かを攻撃するとか、誰も自分をディーヴァだと言ってくれないとかいうことを除いては、ロックスターになるのとあまり変わらないと思い込んでいました。私が決して考えなかったことの一つは、それがどうやって私のロックンロール・ライフスタイルを変えるのか、ということでした。
 考えてもみてください。ロックスターのほとんどは世界中を周り、色々な場所でコンサートを行い、アシスタントやボディガードなどの大勢の取り巻きと一緒に、ホテルの一室やツアーバスの中で暮らしています。でも、あなた自身がボディガードより強くなってしまったら? 多くの理由から、あなたは彼らを解雇したくはありません。一つ目は、あなたは既に彼らをよく知っていて、彼らが好きで、そのまま雇用したいから。二つ目に、彼らはトラブルメーカーをあなたから遠ざけてくれることで、本当に役に立っているから。でも、戦いになったらあなたが彼らを守る側になることを、彼らはわかっていますし、あなたもわかっています。あなたならそう出来るから。そして、それはおかしな話だと、どちらも感じているのです。
 それから、ファンもいます。一部のファンは、あなたがスーパーヒーローであることはとってもCOOLだと思っています。そして彼らは、コンサート中にスーパーヒーローっぽい事をして欲しいと思っています。ターゲットを撃破したり、氷のブロックを爆発させたり、精神の力でスプーンを曲げたりとか(冗談ではなく、私も精神の力でスプーンを曲げてと言われたことがあるのです--私は念動力者じゃないのに!)。
 他方、あなたが悪と戦う事に憤慨するファンもいます。彼らはあなたに、全ての時間を音楽活動とニューアルバムのレコーディングに遣って欲しいと思っていて--悪党と戦うことに時間を取って欲しくないのです! その上、やれやれ、彼らはあなたにそう告げてきます!
 さらに、アンチファンとでも言うべき人たちもいます。彼らはあなたのコンサート会場の外でデモを行い、あなた宛の長い手紙を書き、ロックスターを諦めてスーパーヒーローに専念すべきだと説得するための嘆願書をまとめようとします。それはやはり、あなたが人々を救うことができるからです。従って、あなたは目覚めている全ての時間をより素晴らしい善行に捧げねばならない、という理由なのです。
 しかし、私が遭遇した最大の問題は、コンサートへの乱入です。何が起こったのかを書きましょう。私は有名人です(既知の事実です)。ですから、ほとんどのスーパーヴィランや、スーパーヴィラン気取りの連中は、私が誰だか知っています。その上彼らは、私がコンサートを行っていれば、私がどこにいるか知っています--広報されていますから。ああもう、世界中に私の居場所を公表するビルボードがあるんですよ。一部のスーパーヴィランは、私を襲撃するためにそれを見ています。何か名声を欲しがっているのであれば特に。一緒に写っている写真を見て私たちが親友同士だと考えたのでしょうが(訳注:おそらくSapphireとWhitchcraftのこと。原文では "look hot" なので、同性の恋人同士と誤解した、という意味かも)、Talismanに襲撃された事がありました。また、更衣室へ行く途中でOgreと戦ったことがありましたが、やがて私をじっと見て、 "可愛い、" とつぶやくと、ふらふらとどこかに行ってしまいました。あと、Foxbatが一体何回コンサートに乱入してきたのかは憶えていません。
 そしてこういう事実は、別の種類のヴィランもコンサートに乱入させるようになります。時には、私のファンの一人がスーパーヴィランだったりもします。彼らは、私のボディガードなど脅威ではないとわかっています。私が直接対峙するだろうと知っています。私は連中をぶっ飛ばす準備が出来ていますが、連中は写真をさっと取り出して、サインをねだります。もしくはデートを(Foxbatは既に両方ともやらかしましたが、私は彼のサイン帳を調べて、幸いにも、その下に本物の結婚許可書がある事に気づきました。その日彼は、私のサインを手に入れられませんでした!)。
 フラストレーションは溜まりますが、ツアー中少なくとも2、3回は襲撃されるだろうと私は心得ています。もちろん、これはスーパーヒーローとしての沢山の訓練にもなります。時折、正体を秘密するという選択があってもよかったなと思うこともあります。私がどうやって自分のスーパーパワーを発見したか(コンサートが襲撃された時のことだというのは、皮肉すぎます)ということを考えると、正体を秘密にするなんて無理な話なんですけどね。
 全体的に見て、私はスーパーヒーローでありロックスターであることを嬉しいと思っています。でも、そうなるだろうと想像したことは一度もありません!
 ではまた次回!
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex in the City(2009.5.28)

by Sapphire

 

 率直に話し合いましょう!
 つまり、食べ物の話をしましょう、ということです。でも、違います、お気に入りのレストランの話をするわけではありません(BohemeのErnesto del’Scafidiの4つのチーズのリゾットは大好きですが)。違うのです、悪と戦うあなたが定期的に食べるだろうものの必要性について話したいと思います!
 その通り、クライムファイターにとって食物は、本当に忌々しいくらいとても大事な事なのです。考えてみてください。スーパーヒーローの平均的な一日は、定常的な活動に時間を取られます。アパートの火事と住人の救助要請を告げるBiselle市長からの電話で、あなたは深い眠りから叩き起こされます。朝食の事など考える暇もなく、あなたはMillennium Cityのダウンタウンに急行します。歯磨きを忘れなければ幸運というところでしょう。
 3時間後、あなたと仲間はビルの住人を救い出し、消火を完了し、ビルの改修を始めます。最後にランチタイムです。そして、何があると思いますか? WEGG(103.9MHz, The Egg)であなたが毎週やっているトークショウの収録時間です。ラッキーですね、なぜなら今日は超美人で私の大親友でもあるWitchcraftがゲストで、邪悪な魔女集団を回避しながらの魔術修行への挑戦についてのインタビューです。あなたはなんとか休憩室から2、3枚のクラッカーを頂戴しますが、ラジオのインタビューの間にバリバリ食べるというわけにはいきません。オンエアで流れたらどんな酷いことになるか考えてください!
 インタビューが終わり、あなたの胃袋は大きく4回鳴っただけで、あなたはこう思います、 "ついに、食事の時間だ!" と、しかし、Witchcraftが、New Purple GangとCult of the Red Bannerの衝突を制止するための応援として、あなたのお尻をひっぱたいてWestsideまで連れてくるように、というDefenderからの電話を受けます。あなたは抱えていた中華弁当のメニューを落とし、そちらへ急行します。
 衝突が阻止される頃には、血は拭き取られ、無害な野次馬も帰路につき、逃げ遅れた数人のギャングメンバーはパトカーに押し込められて拘置所に送られ、あなたは餓死寸前です。あなたは、多くのギャングメンバーを取り逃がしてしまったのは、空腹で疲れ切っており、最悪のコンディションだったせいだと気づきます。さらにDefenderは、「ええと、連中を追跡して、ギャングどもの間で一体何が起こっているのか調べた方が良さそうだな」。あなたは精一杯元気に、「ナイスアイディア!」。その一方で、あなたはこれが完全に間違ったやり方でも彼らに感銘を与えることがわかっているので、連中を追い詰めるまでに自分が低血糖で気絶しないようにと願っています。
 あるいは、スーパーヒーローとして活動するには本当に栄養が必要なのですが、そんなこともわからないほど愚かなのだとしたら、あなたはいつもこういった毎日を過ごしているのでしょう。
 あなたが何を食べるかについては、さほど心配してはいません。ですが、ジャンクフードはあまり沢山摂らないようにすることをお薦めします、なぜなら根気が続かなくなるからです。私が心配なのは、しかし、あなたが充分な食事を摂るかどうかです。真面目な話。
 朝、本当に朝食を作る時間もない時は、私はプロテイン・シェイクを持っていきます。手早くタンパク質と脂肪(ええ、健康な脂肪は必要ですよ)を摂取するために、アーモンドを一袋、財布に忍ばせています。仕事が早くて比較的ヘルシーなサンドイッチショップの場所だったら全部知っていますから、私は絶えず活動しながら食べ物を手にすることができます。自宅では、新鮮な果物と野菜のストックを切らさないようにしていますから、欲しい時はいつだって食べられます。私は計画的にやっています。そして、あなたもそうしなくてはなりません。
 思い通りに進む日など無いと、どんなスーパーヒーローでも知っています。あなたはそれに備えなければなりません。そして全てのスーパーヒーローは、悪党を追いかけている時に初めて空腹のあまり倒れた後、あらゆる活動を維持するためには定期的な食事が必要だと学んでいます。私と同じような経験をする必要はありません、私を信じてください。
 そして、忘れないで、お腹を空かせては悪と戦えません!
 ではまた次回!
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex In the City(2009.5.22)

by Sapphire

 

 衣服は重要です、そうでないなんて誰にも言わせません!
 私たちの服、もしくはコスチュームは、外界と接触するための最初の方法です。私たち人類と超人類は視覚が大事な生き物です(Sonic Superpowerは別として)。私たちはお互いを見て、誰もが口を開くより先にお互いを評価します。私はスーパーヒーロー用衣装を身に着けるけど、当日出会った人が私の見た目で判断を下しているとわかっています。
 まず最初に、私は女の子らしい女の子です。それを否定するつもりはありませんから、より良く見せたいと思います。やはり、自分の魅力で敵の気を惑わせることができるなら、するべきだと思うのです。あなたも魅力的な人なら、やってみて! でも、見た目のために機能を犠牲にするのは馬鹿げています。私には動きやすく、素早く動けるものが必要です。
 さて、私は近接戦闘タイプの女ではありません--私のEnergy Powerは、敵から距離をとっていられます。でも、私はできるだけ素早く動きたいのです。だから、自分のコスチュームに動作を制限されたくありません。誤解しないでほしいのですが、きらびやかでフリルのいっぱい付いたものだって、superchick(訳注:?)っぽいものと同じくらい大好きですが、悪と戦う時イブニングガウンを着るつもりはありません。4インチ・ヒールも大好きですが、悪と戦うにはふさわしくありません。そこで、代わりに3インチ・ヒールを履いています。その上、私は飛ぶこともできますから、ヒールを履いていたって必要な時には逃げることができるのです! それはまた、私が戦いの時はミニスカートを避けてショートパンツを履いている理由でもあります。
 それでは、素敵なヒーロー、Defenderを見てみましょう。この人は、自分のスタイルで服を着る術を知っています。彼は体にフィットしたボディスーツを着て--そして、ここで言わせてもらいますが、彼がどうやって汚れないようにしているのかを知って、私は驚きました! 大部分の人にとって、白はいけないものです。あまりに簡単に汚れてしまうからです。彼のパワーアーマーは洒落たブルーのスーツに組み込まれていて、全て流線形です。それがどれくらい彼の瞳のブルーを強調するかについては、言うまでもありません! とても格好良いですし、過剰に派手でもなく、しかも素早く動作できます。
 それから、私の親友Witchcraftは、Defenderや私とは全く異なるアプローチをしています。とても可愛いグリーンのドレスを着ていますが--あまり長すぎないので、彼女が走らなければならない時に掴まれたり、動きを妨げたりはしません。彼女は美しいケープもまとっています。告白しなければなりませんが、私はケープ娘ではありません。私にはそれが邪魔になるのが明白ですし、何にもまして取り扱いに苦労するでしょう。でも、これはWitchcraftにピッタリです。そして彼女は神秘主義者ですから、戦闘の際に分厚いものを着ない傾向があります。つまり、彼女にとって大した問題ではないのです。更に、気持ちを整えるために重要なアイテムです。彼女は非常に劇的な効果を与えるようにケープを使うことができます。そして皆さんもご存知のように、駆け引きの半分は敵を心理的に追い詰めることです。
 しかしその一方で、センスの無いスーパーファッションもあります。Armadilloについて見てみましょうか? 彼がヴィランだから虐めようというのではありません(理由の一部ではありますが!)。その度を超えたボディアーマーを見てください! まったく流線形ではありません。しかも、大部分は冴えない茶色です。念の為に言っておきますが、砂丘や、泥だらけのエリアで隠れるためには役立ちます。そして夜の仕事においても。しかし、いかなる場合もダッシュはしません! そして、外見から彼の首を伺い知ることはできません。絶え間なく怒っていて、よそよそしく見えます。もちろん、それはArmadilloの個性を正確に反映したものかもしれませんが!
 ですから、あなたがスーパーヒーローのコスチュームを選ぶ時は、あなたがどう戦うのか、人々があなたを見た時どう反応するのかを考えてください。なんてカッコイイんだと衝撃を与えたいですか? 恐怖に身震いさせたいですか? それとも、相手があなたを見くびるように、頼りなく、可愛らしく見せたいですか? これらすべてが、本当の意味での選択ということです。
 あなたの個性を磨き続けてください。私はブルーが好きなので、よく着ています。そして、あなたは私を一目見たら、私がロックンロールな女の子だとわかると思います。Foxbatみたいな人なら:一目見たら、クレイジーで間抜けなガジェット使いだとわかるでしょう。とはいえ、ブラウンのピッタリしたコスチュームのおかげで、逞しい男性であることもわかるでしょう。
 私がここで言いたかったのは、とても様々なスタイルがあるということです。あなたの役に立つものを選んでください。でも、悪と戦っている事を忘れたみたいに、COOLになることにこだわりすぎないでください。そして、楽しむことを忘れて、純粋に機能だけを追求しないでください。
 じゃあまた! それから、忘れないでいて:
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文

 

Spandex in the City(2009.5.15)

by Sapphire

 

 Millennium Cityには全てがあります:魅力、勇気、スーパーヒーロー、スーパーヴィラン、セレブ、そして、セレブのゴシップを書くコラムニスト。おそらくそういうわけで、私はここが大好きだから、ホームと呼んでいます。そう、私はセレブのゴシップだって好きなんです。
 私は、少女の頃からのChristine Hewittの "The Goods" の定期的な読者でした。最新のSilver Avengerが、あるハンサムな刑事と出会ってからどれくらいバラ色で幸せそうだったのかを読むのが大好きでした。また、ミステリアスで孤独なShadowboxerが愛を求めていたのに、悲惨な過去を断ち切るのにふさわしい女性をどうして見つけることができなかったのかも。
 Christine Hewittはその炯眼を、かなり後になるまで私の人生に向けなかったのに、Wow! 彼女の毎週の憶測記事に私の名前があることを知って、実の所、私はちょっと興奮してしまいました。 "ハンサムなHarmon、Sapphireを求める! Cavalier、歌うSapphireに求愛! Foxbat、セクシーなSapphireに大興奮!" (訳注:Cavalierは、Millennium Cityで活躍する一匹狼のヒーロー) 誓ってもいいです、彼女のコラムを読む時が、私の人生の最良の時間だったと。
 あの時、私は人生で最良の時間を過ごしていることを実感しました。
 しかし、私は思い至りました、あなたが本当に聞くべきスーパーヒーローの人生の別の面--私が毎週のゴシップコラムに夢中だった子供の頃に聞きたかった、別の面があることを。
 もしあなたが、Millennium Cityのスーパーヒーローみたいなもののことを知りたかったり、スーパーヒーローがコスチュームを着る時の命令事項および禁止事項を読んでみたかったり、マスカラを落さずに悪人と戦う事の内部スクープが欲しかったりしたら--このコラムはそんなあなたのためのものです。
 無茶苦茶で素晴らしい、スーパーヒーローとロックンロールとファッションとロマンスの世界へようこそ!
 この頃、Millennium Cityでは色々なことがあります。DefenderとWitchcraftがデートをしている事を知りたくないのであれば、岩の下にでも隠れていた方がいいです。イエス、私も保証します。二人は長い間お互いの周りでダンスして、熱い眼差しを投げかけ、必要ならばMissionについてちょっと相談して、互いにフランス語で会話して、とてもとてもキュートでした!
 Foxbatが私とデートしようとしている事についても聞きたくないのであれば、やっぱり岩の下に隠れているしかありません。これは、全てのゴシップ・コラムニストにとって、最近のお気に入りの話題になりました。そう、イエス。彼は私につきまとっています。私に宝石をプレゼントして、秘密のFoxbat Lairツアーに招待し、さらに青いバラと青いスイセンと青いユリを贈ってきました。けれど。私はこのスーパーヴィランとはどんなデートもしていません。誤解しないでほしいのですが、女の子はこういった心遣いが好きですし、彼は間抜けな方向にカワイイと思います……。けど、スーパーヴィランがこのスペイン娘(訳注:原文 "chica" 。スペイン語でGirlの意味、だそうです)にデートを承諾させるには、もっともっともっとかかるでしょう。
 ご存知の通り、ロマンスは素晴らしいけど、悪と戦い、世界を救うこととは比べられません。これは、私たちChampionsの全員が同意していることの一つだと、あなたもわかるでしょう。確かにDefenderとWitchcraftはお互い愛し合っているけど、それは二人を一つにした犯罪との戦いから生まれた愛です。二人がその情熱を共有しなかったら、この関係はありえなかったと思っていいです。
 そして、私にとってこれが意味するのは、私にはスーパーヒーローのボーイフレンドが必要だということでしょう。私は他のロックスターとデートしたこともありますし、それはとても楽しかったです。他の人と音楽を共有できるのが好きでした。だけど……、それでは物足りなかったのです。何かが欠けているような気がしたと、あなたにはわかってもらえるでしょうか? それは、私たちみんながほしいと思うもの--本当に私たちと、私たちが大事だと思うことを理解してくれる誰かです。そしてその人は、何が私たちを動かすのかを知っています。
 だから私は、Championsの仲間であるIroncladやKinetikとデートしたのでしょうか? いいえ。必ずしもそうではありません。私はデートのことばかり考えているのでしょうか? それも違います。時々はファッションのことだって考えてますよ!
 完璧なスーパーヒーローコスチュームを作るためには、あなた個人のスタイルと機能のバランスを取らなければいけないと思いますから、来週、私と一緒に来て下さい。
 その時まで、憶えていて:
 “For Justice, for Fashion, for Rock’n’Roll!”

 

原文