33章
顔を真っ赤に泣き腫らした
■日本語版 33章 p.409
顔を真っ赤に泣き腫らしたジニー
■UK版 p.531
Ginny, whose face was swollen and blotchy,
■試訳
「目のまわりを真っ赤にしているジニー」
■備考
- 顔を赤くして泣き腫らすって変だよね。
- 「泣き腫らす」だったら「目」だよね。
- 多分、原書じゃ実際「顔を赤くして泣く」と書かれているんだろうけど
繋がりの言葉を「泣き腫らす」にして可笑しくなっているんだと思う。 - 「泣き腫らした」っていうと、一晩泣いた後の目みたい。
- 「目のまわりを真っ赤にして」とか日本の作家ならそう書きそうだね。
- swollenは「腫れた」、blotchyは「しみのある、炎症をおこした」みたいな意味。
姉妹問題
7巻における代表的な誤訳を参照。
「たんま」の場所
■日本語版 33章 p.414
二人の姉妹は反感という気持で団結し、ブランコの支柱が鬼ごっこの「たんま」の場所でもあるかのようにつかまって、スネイプを観察していた。
■UK版 p.533
The sisters considered him, united in disapproval, both holding on to one of the swing poles as though it was the safe place in tag.
■試訳
- (略)鬼ごっこの「安全地帯」の場所でもあるかのようにつかまって(略)
■備考
- 昔の子供が「タイム」を「たんま」と言った様な気がするが、「たんま」の場所とは面妖な。
- 今時の子供が「たんま」って言うんだろうか…
- 鬼ごっこで鬼に捕まらずに済む「安全地帯」の事だね。
「たんま」も可笑しいけど、「タイム」は一時中断の要求だから安全地帯とは関係無いと思う。 - 因みにこのtagは鬼ごっこの事。
- 携帯版・電子版では試訳と同じ内容に修正されている。
生まれそこない
■日本語版 33章 p.421
「――私が、なんでそんな――そんな生まれそこないになりたいってわけ?」
「わたしは生まれそこないじゃないわ」
■UK版 p.537
"- you think I want to be a - a freak?"
"I'm not a freak,"
■試訳
「――私が、なんでそんな――そんなバケモノになりたいってわけ?」
「わたしはバケモノじゃないわ」
■備考
- 上段がペチュニア、下段がリリーのセリフ。
- SFやFTでは「化け物」と訳されることが多い。
「奇人・変人」では言葉として弱すぎるし、
「生まれ損ない」「出来損ない」はひたすら劣ったイメージで
特殊な能力を持った「変種」にはふさわしくない。
- ちなみに賢者の石で同じくペチュニアがリリーをfreakと表現するシーンが有るが、そこの邦訳は「奇人」(p.83)。
残忍な、しかし苦悶に満ちた顔
■日本語版 33章 p.438
ダンブルドアは、スネイプの残忍な、しかし苦悶に満ちた顔を見下ろしながらため息をついた。
■UK版 p.545
Dumbledore sighed, looking down into Snape's ferocious, anguished face.
■備考
- 7巻の過去の場面で、リリーを失ったスネイプがハリーには何も言わないという条件で
校長への協力を約束するシーン。
- ferociousは「残忍な」と訳される事も有るけど、
日本語で「残忍な顔」と言ったら元々野蛮な猛獣の様な顔立ちという印象になってしまうので、
その訳は可笑しいと思う。
ここはスネイプの厳しい顔が葛藤で一層怖くなっていたという事だろうから、
「非常に険しい」位が自然じゃないかな。 - あと原書は"ferocious, anguished face."なのに、
邦訳は「残忍な」と「苦悶に満ちた」の間にある「しかし」が意味不明。
これのせいでますますスネイプは生まれつき残忍な顔立ちだが、
(それにも関わらず)今は辛そうに見えるという感じになってると思う。
ちょっとした奉仕
7巻における代表的な誤訳を参照。
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- 日本語として変な表現がちらほらあるよなぁ -- 2023-11-17 (金) 22:01:19