ドイツ軍超重戦車

Last-modified: 2021-08-10 (火) 00:31:25

Ⅷ号戦車マウス

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 いわずと知れたドイツ軍の超重戦車。あらゆる砲弾を弾き返し、あらゆる敵戦車を一撃で撃破することができる最強の重戦車を目指してポルシェ博士に開発が持ちかけられた。
 前面装甲200mm、側面ですら180mm、後面も150mmと全周隙のない装甲が施された。そして主砲は12.8cm/L55・同軸に7.5cm/L36.5が搭載された。鉄壁の装甲と最強の主砲を装備した代償として戦闘重量は188tにまで達した。この大重量に耐えられる機械式変速機などなく、マウスにはガソリン・エンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリット機関が採用された。試作車には1080hpのエンジンが搭載(後に1200hpに換装)されたがそれでも出力不足であり最大速度は20km/h程度であった。史実では2輌がのみが完成した。
 試作2号車は1945年4月頃にクンマースドルフ射撃試験場近辺のツォッセン防衛戦に投入されたが、同試験場からの移動中に何かしらの理由(おそらく過大すぎる重量による足回りの破損か燃料切れ)により行動不能となり爆破処理された。試作1号車は砲塔が無い状態でクンマースドルフ射撃試験場内で放置されていたものを鹵獲された。戦後に無事だった試作2号車の砲塔と放置されていた試作1号車の車体を組み合わせて1輌のマウスとして仕上げられ、ソ連内で試験が行われた。現在はクビンカ戦車博物館に展示されている。

 

余談としてマウスの砲塔旋回速度は最大で1周たったの15秒で回ったらしい....(常用速度とは思えないが)。ゲーム中でもあの巨大な砲塔がグリングリン回る異様な姿を見ることができる。


E-100

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 マウスとよく比較されるドイツ軍のもう1つの超重戦車。Eシリーズの1つとして開発された。マウスのように実車が残っておらず、走行試験なども行われていないため資料が少なく謎多き超重戦車である。
 前面装甲200mm・側面120mm・背面150mmとマウスにはやや劣るが全周に渡って厚い装甲が施された。砲塔は1944年3月時点ではTiger-Mouse計画の名残であるような、15cm砲搭載を考慮したオリジナルの形が設計されていた。しかし、15cm砲の搭載はキャンセルされたため、そのオリジナル砲塔案は破棄された。1944年5月17日の時点の設計図では、マウス砲塔ではなく、クルップ社がマウスⅡ用に設計していた砲塔を搭載予定だったことがわかっている。しかし、戦後連合軍の要求に応じて、アドラー社が提出した図面では何故かマウス砲塔が搭載されている図面が提出されている。主砲はマウスと同じ12.8cm/L55・同軸副砲に7.5cm/36.5・同軸以外に独立してMG34の装備が予定された。
 エンジンはマイバッハHL230系でEシリーズ向けに新規に開発されたマイバッハHL234を搭載する予定だった。このエンジンは800~900馬力が出力できると期待され、ターボチャージャーを付けると1100~1200馬力が出せると期待された。終戦までに実用化は出来なかったようで、接収後のE100の試験走行ではティーガー2と同じマイバッハHL230が搭載されたと思われる。マウスと違い従来のリアエンジン・フロントドライブ方式が採用された。E100は他のEシリーズ同様特徴的な外装式のサスペンションが採用された。E100の場合は、サスペンションアームにコイルスプリングを外装しているため、車内スペースへの影響がトーションバーサスペンションと比べると小さくなっている。戦闘重量はマウスと同じく140tと非常に重くなった。
 E-100は完成することはなく、終戦時には不完全な試作車体のみが製作されるに留まりアメリカ軍に接収された。その車体も走行することができず、興味を失ったアメリカ軍は試作車体をイギリス軍に提供した。E-100を受け取ったイギリス軍はボービントン戦車試験場でテストしたが、まともに動かなかったのかイギリス軍も興味を失い、1950年代ごろまでは存在していたそうだが、以後の記録に登場しないことからスクラップになったと思われる。
 試験走行ではそれなりに動き、戦後も残されたマウスと比べると相反する運命を辿った。


E-100(クルップ社砲塔案(マウスⅡ砲塔))

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 クルップ社設計のマウスⅡ砲塔を流用した砲塔を搭載したバージョン。1944年5月17日にE100の設計図はこの砲塔を搭載していたことから、E100はマウスⅡ砲塔を搭載予定だったと思われる。
 この砲塔は1944年頃に設計されたマウス砲塔の「軽量化」案である。砲塔正面装甲は200mmあるものの、側面は80mm、後面150mmとなっており、マウス採用砲塔と比較して、マウス採用で問題となった砲塔正面のショットトラップが改善されているが、砲塔側面装甲は大幅に削られている(マウスの砲塔は55t・・・軽量化したくなるのも分かる)。そのためマウス砲塔E-100よりも多方向からの耐弾性は劣るが、砲塔旋回速度や砲塔旋回装置への負荷は軽減されたと思われる。天井のハッチなどの配置はマウス採用砲塔と似たようなものになったと予測される。
 搭載予定の主砲は12.8cm砲が予定され、副砲として7.5cm/L24が採用されている。変わっているところとして、副砲の7.5cmが主砲の上にあり、主砲と副砲が2段積みの配置になっている。
 光学機器は、パンターF型にも搭載されていたステレオスコープが追加されている。測距精度が向上していると予測されるため、遠距離戦においても高い命中率を発揮できたかもしれない。
 ただこの砲塔、設計図を見る限りどこをどう見ても周辺確認をするキューポラもペリスコープも無いのである。確認できる照準用ペリスコープとステレオスコープでは前しか見えない。左右後方の視界が全く取れないのである。恐らく、マウス計画・E100計画が正式に生産されることになった場合に、もっと設計を詳細なものとし、実戦的な設計にしていくのであったと思われるが、今となっては闇の中である。
設計図通りでは戦闘に支障をきたすので、ゲーム中ではマウスと同様のペリスコープを付けて視界を確保した。


E-100(ヘンシェル社砲塔案)

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 いわゆる「ヘンシェル社砲塔」と呼ばれる砲塔で、ティーガーⅡの砲塔を大型化したような形をしている。E-100幻の砲塔として他2つとともに挙げられることも多いが、この砲塔には明確な設計図や確かな証拠がなくソースは不明である。いつからかヘンシェル社砲塔と呼ばれるようになったが、ほぼ架空と言っても違いは無いだろう。

ゲーム中において

 JCMではあったかもしれない形としてエンジン出力の強化(最終計画の1,200hp)とともに実装したが、ぶっちゃけマウス開発者の重戦車大好き症候群により作られたものであり、開発者の趣味である。「史実重視」の本ゲームにおいて過度の架空要素はあまり推奨されるべきではないとは思うが、MOD開発陣の数少ない「お遊び要素」や「デバッグ車両」と思って割り切ってもらえれば幸いである。