ドイツ軍パンター戦車シリーズ

Last-modified: 2018-01-10 (水) 02:26:38

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第二次世界大戦後半のドイツ主力戦車パンターは、「T-34ショック」により生まれた。それまでのドイツ戦車とはデザインを一新してる。パンターもT-34の設計思想などを取り込みつつ作られた。
ちなみにパンターの前身に、VK3002というのがあるのだが、これは要はそのままパクったものであり、諸般の事情で没になった。


 

パンター中戦車D型

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Ⅴ号戦車パンターは、T-34の出現に驚いたドイツ軍が、計画を前倒しして急遽開発された戦車だ。D型は初期型に当たる。戦局の挽回を期待された主力戦車で、デビュー戦はクルスク戦である。当初はⅢ号戦車に続く軽快な機動戦車とされていたのが、T-34に対抗し圧倒するためと欲張るうち、総重量30t級の予定が40tを越えてしまう。しかし、主力のⅢ号戦車と生産ラインがかぶりなかなか完成せず生産が遅れ時間がなくなり、クルスク戦に間に合うよう急かされた結果細かいテストを省いて未完成(実に50箇所にも及ぶ問題点)の状態でいきなり実戦投入されることになる
(もちろん生産メーカーは限界まで改良・問題解決に当たった、具体的には生産中の車体に逐次フィードバックを行ったが当然作戦開始までに間にあう事はなかった、というのも1942年10月に試作車V2が納入された僅か2ヵ月後に量産化が決定という性急過ぎた計画の為)
ギリギリまで配属部隊も決まらず地図を見る時間もない。量産品なのに個体差が結構あるのも、出来た端から納品したからだという。
部隊編成が開始されたのはなんと半年前であった第33戦車連隊第2大隊を母体とし最初のパンター装備部隊第51戦車大隊が発足したのである、約2ヵ月後に第52戦車大隊も発足している。
主砲は大好評だが、排煙が悪く、3発撃つと車内は煙だらけに。車内はキチキチで座ると動けず、坂道だと砲塔が回らない。ギアボックスもすぐに壊れるわ防弾板もすぐに取れるわ車輪のゴムもすぐに外れるわ、エンジンもすぐに壊れるが遠くて手が届かず、斜めになると燃料に火がつき、排煙管は火を噴き夜は目立ってしょうがない。
とにかく実戦場にまず着かなかった。燃えちゃったりエンコしたり...。部隊マークも途中の駅で買ったラッカーで書いたそうだ。訓練も大変だった。実車も揃わないし秘密兵器だからメモも禁止。
実戦ではパンターは秘密兵器だったため存在を知る人は殆どおらず、形の似ているT-34と間違えられて味方に誤射されたりと、みるみる壊れて部隊が消滅してしまったのであった。
熟成されていればティーガーを上回るほどの攻撃力と良好な機動力、強靭な装甲を併せ持つ恐るべき新戦車となるはずだったが、容量不足の動力伝達系と足回りを始め、信頼性のなさが露呈してしまう。そしてこのイメージは、大戦後期にそれらが改善されたあとでもつきまとうこととなった。(改善までに1年近く費やしている)

但しクルスク戦時はある程度まで稼働率が下がった後は、乗員、整備員が慣れて行ったのか稼働率が上がり、終了時には十分な数が動く状態にあった、言われているほど故障で全部駄目になって全く使い物にならなかったわけではないのである。
なお半数以上が戦闘以外の理由にて脱落し作戦開始2日後には資料によって様々であるが40輌以下あるいはそれ以下に低下してしまう。
しかしながらパンターを装備した第48装甲軍団隷下の2個パンター大隊は10日間で559輌のソ連戦車を撃破・鹵獲しておりその半数がパンターの戦果であった。
因みにこのパンターの75mm砲、高初速砲の為か榴弾の炸薬量が少なく、威力が低かったので、歩兵にとっては
4号より怖くない相手と思われてたという話がある。
補足:改良型のA型が出るまでに実に4社から842輌が量産されている
1943年9月にD型生産中止が命令されるまでに5ヶ月で10箇所以上に及ぶ細かい仕様変更がなされている。
当初目標では月間生産数600輌を計画していた。


パンター中戦車A型

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D型への相次ぐトラブルから不信感を強めた軍は先に発注していたパンターⅡとは別の計画を行った。
要するにⅡが出来るまでの繋ぎとしてD型をさらに改良するものであったがD型後期生産型では先の欠点が大幅に改善されておりA型移行の際の改修点は最小限となっている。(それでも逐次10箇所以上に及ぶ仕様変更がなされている)
外見の差であるが車長用キューポラの変更とボールマウント式機銃架の新設である。
砲塔前面と側面の結合部も簡易化、砲塔旋回速度を2段式に変更、エンジン強制始動装置、44年1月以降であるが機関室から戦闘室内に暖房を送る送風装置を追加等D型での経験を踏まえたマイナーチェンジを行っている。
序に43年12月以降より照準器がこれまでの双眼タイプから単眼に変更となっている。

パンターA型およびD型には知ってる人間にしか狙われないが、しかし致命的で、G型で改善されてしまった箇所がある。
それは正面から見て履帯の上、側面装甲の張り出しの下のわずかな空間・・・ここに砲弾が飛んでくると装甲なんてほとんど無いエンジン側面の張り出しにぶち当たるのである・・・そう、ここには燃料がはいってる。
真正面かつ真っ直ぐ砲弾が飛ぶ状況(近いとか)かつ比較的平らなところに相手がいないと狙えないなどの制約はあるものの、当たれば即撃破間違いなしの秘孔である、射撃に自信のある戦車兵の方々は是非狙ってみよう。
A型の総生産数は2200輌となっている。


パンター中戦車G型

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1943年のデビュー戦において新兵器にありがちな初期不良でみんな壊れてしまったD型だが、その後数多くの欠点を修復したパンターの決定版がこのG型である。
実はG型生産前にパンターⅡが完成予定ではあったが砲塔部分の実用化に手間取り量産の見込みが立たなくなってしまった。
一方A型の防御力がD型と大差なく強化を求める現場の意見が増えその解決策としてパンターⅡ開発で養った技術活用しパンターⅠ(D型~A型)を改良する計画が出たのである。
主な変更点、改良点といえば、まず砲周りが「アゴ付防盾」に変わった点だ。それまでのかまぼこ型防盾は、敵弾が下に滑って斜体の天井を突き破る被害が続出したからだ。また、射撃後排莢すると箱に薬莢が落ちて蓋が自動で閉まり、ホースで排煙するという排莢システムも搭載。エンジンは過熱すると自動消火装置が働く。(誤動作が多かったが)
他にも冬用にエンジンの熱を利用した車内暖房装置も取り付けられた
(6分割されたカバーをかぶせることにより暖気を車内に送風できる簡易なもの駆逐戦車ヘッツァーにも似たような機能がある)
操縦用の前方にあるペリスコープを旋回可能な構造に変更し直視バイザーを廃止した。
車体もこれまでと違い直線車体を採用し車体下部も一直線となるように修正・一体化された

またごく一部だが、夜間でも戦えるように赤外線暗視装置も取り付けた車両もある。

そして正確に狙えるようにステレオスコープをつけた型も試作された。これが後のF型になる。
ただ、操縦は難しかった。ティーガーのようにハンドルではなくてレバーで操向する。しかもレバーの角度が変なのだ。
砲塔は途中からどんどんトーチカに転用された。(やたら強力)生みの親のT-34/76と同じ運命を辿ったのであった。
当時、ロシアの主力戦車T-34/85と出会うと、たいがいパンターが先に命中弾を見舞った。装甲の厚さや大砲の性能、速度や、航続距離などを比べると、むしろライバルのT-34/85のほうが優れていた。ではなぜパンターが勝つか? ペリスコープで車外がよく見えたので先に敵を発見でき、照準器は優秀、戦車兵はよく訓練され、車内の造りも良かったので砲弾を次々に速射できたからだ。事実、ロシアの戦車兵も分捕ったパンターを高く評価、自分らで乗りたかったとか。するとなぜドイツは戦争に負けたのか。高級乗用車のようなパンターは凝りすぎで大量生産に向かず、うじゃうじゃ来る大衆車T-34/85を2~3両はやっつけても、後続の返り討ちにあってしまった。ドイツの戦車はこんな話ばかりだ。
ちなみに、シュルツェンの面白い話がある。
シュルツェンというのはもちろんご存知と思うが、これは元々はソ連の対戦車銃対策に取り付けられたものだ。(後にバズーカ砲などにも効果があることがわかった。)
このシュルツェンを、足場固めに川底にばらして敷いたというエピソードが残っている。防弾用装備でも、使いようによっては川を渡る補助具になるのだ。
最終的にG型は総生産数2953輌でありパンターで最も数が作られた。
夜間戦闘仕様車の補足
7枚レンズで構成される焦点距離9㎝レンズユニットと5倍の単眼式拡大鏡からなる200wの暗視装置・望遠照準眼鏡を装備するタイプである。砲塔・車体には取り付け金具が追加されている。
車長用キューポラ・主砲照準開口部・操縦手ペリスコープに暗視装置を取り付ける、車長用キューポラに取り付けた写真が有名
その他の外見的な変更は後方雑具箱を廃して機材収納ケースが追加され砲塔内砲弾ケースを外して発電機・バッテリーが設置された。
上記の装置ZG1221を点灯した場合の性能は雨天以外では600mとされている。
このタイプは1944年9月からパンターG型に対する装備が始まっている
運用に関しては装置を積んだ車両のみでは赤外線の照射範囲が足りない為60cm探照灯に赤外線フィルターを装着した投光機FG1251を搭載するSdkfz251/251・20ウーフーの支援を必要としている。
完全編成では夜戦型パンター5輌とウーフー1輌となっている。(支援としてハーフトラックにZG1221を取り付けたSdkfz251(ファルケ)が歩兵を輸送し随伴する)
当ゲームでも実装されれば非常に楽しいと思います…。


パンター中戦車F型

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戦争には間にあわず砲塔のみが現存するF型。
パンターⅡの代案として、1943年にラインメタル社によって開発が行われた。
独特のシュマルツルム(狭幅型砲塔)は、パンターⅡ用に開発されていたがパンターⅡそのものの実用化が頓挫した為に砲塔技術をパンターⅠ(D~G)に活かそうとした車両であった。
1943年3月に、基本設計が完成しG型にシュマルツルムを載せたような設計であったようである、砲塔性能も良好であり防御能力は正面120mm、側面/後面ともに60mmとシリーズで最も厚いにも関わらず重量はG型と殆ど変化がなかったのである。
主砲は、7.5cmKwK42または7.5cmKwK/1の搭載が予定されていた後者の砲は発砲時の反動を低く抑える補助シリンダーを備えた先進的な砲であった。もしも、戦争が長引いた場合自動装填装置付の8.8cmKwK44に換装する計画もあった。
試作型のV2からマズルブレーキは廃止されたのも複座力が向上したKwK/1を搭載を前提としたものであると裏付けられる。
照準器にはジャイロ式安定装置(上下方向の車体の揺れに対して砲がジャイロによりぶれず砲手は安定して目標を捕らえられる装置)のSZF.1、もしくはSFZ.1bを予定していたが1945年段階においてSZF.1bは僅か4基ほどしか納品できなかった、同様にステレオ式測遠機(戦後M47パットンも採用したが衝撃で射線軸が狂う欠陥を露呈してしまった)も当時の技術力ではとても実現する見込みは少なく、これら光学機器の開発がF型の開発を遅延・頓挫させてしまったものであるといえよう。
車体に関しては、ハッチの開閉機構の変更・車体上面の装甲強化など多少行われたがG型後期型と大差はなかった。
エンジンについては、将来的に燃料噴射装置を備えたHL234(800hp)もしくはディーゼルエンジンのT8M118(700hp)への換装が検討されていた。
ドイツが持てる最新技術の塊であったF型であったが、遂に日の目を見る事はなかった。


パンター改造M10駆逐戦車

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パンター戦車の派生車両の中で最もユニークかつ特異な経歴を持つのがこの「M10パンター」であろう。
本車はドイツ軍が44年12月に実施された米英軍に対する反攻作戦「ラインの守り」において米軍部隊に
偽装しミューズ川に掛かる橋を奪還する「グライフ」作戦専用に用意されたパンター戦車で早い話が
「パンターをアメリカ製M10駆逐戦車風に改造した戦車」この一言に尽きるであろう。本来ならば
ドイツ軍もM4を始めとした鹵獲米軍車両を投入することを考えていたが、最終的に集まったのはジープ
数十両,M4中戦車に至っては1-2両程度と全くもって足りていなかったのである。
そのため、ドイツ製トラックやパンター,果ては米軍に類似車両のないⅢ号突撃砲も動員され米軍車両風に
改造されることとなったのである。M10パンターはそれらの改造車両の中でもかなり凝った改造が施されており
砲塔及び車体に18-19mmの鉄板を追加してM10駆逐戦車の傾斜装甲の形状を再現,背の高い車長用キューポラ
を撤去し背の低いハッチに交換,塗装はもちろんオリーブドラブ一色に変更され米軍所属を表す星マークを追加
米第5装甲師団第10装甲連隊を思わせる部隊番号まで書き込んであり後の調査で米軍を驚かせている。
なお、これらの車両を装備した第150機甲旅団は作戦の初動において出遅れてしまい投入すべきタイミング
を逃してしまった。そのためやむなく通常の機甲部隊として運用されマルメディをめぐる戦いにおいて投入された。


コメント欄

  • パンター解説入れてみました。おかしいところあれば直します。至らないところあれば追加して欲しいです。参考:ワールドタンクミュージアム -- SZS? 2014-01-16 (木) 23:04:17
    • 追記有難うございます。パンターには、まだ車内グラフィックがないため操縦手視点を堪能出来ません。なので、ちょっとだけ修正しました。 -- 2014-01-17 (金) 14:27:07
  • D型にちょい加筆 -- 2014-05-14 (水) 09:17:20
  • M10パンター追加しました -- 61式? 2014-05-20 (火) 04:38:14
    • こちらも解説追加ありがとうございます! M10パンターは、グライフ作戦にて最も成功した車輌だと持っていたんですが、活躍の機会を逃してしまった不運な車輌だったんですね・・・。他のゲームWikiにはないような大変詳細な記述は本Wikiの誇りです。本当にいつもありがとうございます(`・ω・´)! -- ぱんふろ@記事主? 2014-05-25 (日) 23:31:08
  • A型に・・・弱点を加筆 -- 2014-05-21 (水) 00:59:41
    • 追記ありがとうございます!下部側面は全ての戦車の泣き所ですね・・・ -- ぱんふろ@記事主? 2014-05-25 (日) 23:32:16
  • 各パンターの細かい説明・補足を入れさせてもらいました -- 詠み人知らず? 2014-05-27 (火) 18:14:40
    • たくさんの追記ありがとうございます!凄い情報量です。皆様の御蔭で、本シムに触れていない人へも十分参照価値のある戦車Wikiになりました。 -- 2014-05-27 (火) 18:31:30
  • 僭越ながらF型の記述をさせてもらいました -- 2014-07-25 (金) 19:25:23
    • 追記ありがとうございます!誤字があったので少し修正しました。 -- 2014-07-25 (金) 19:53:43
  • パンター中戦車がとにかく大好きで、某携帯戦車ゲームでもパンターを愛用してます! -- 名無し戦車兵? 2016-08-29 (月) 00:33:18
    • 途中送信失礼しました。ゲームで愛用してるうちにパンターってどんな戦車だったんだろうと思って色々と調べてまわっていたのですが、このページほど分かりやすく解説されているページはありません!とても助かりました!ありがとうございます! -- 2016-08-29 (月) 00:36:11
      • Steel Furyも是非 -- 2016-08-29 (月) 02:22:47
  • パンターFのジャイロ安定装置の説明で、「現行の戦車が搭載している~」という説明があったのですが、この頃の砲安定装置は1軸であり、現用戦車は2軸安定装置であるため、説明を変更しました。 -- 2018-01-10 (水) 02:26:38