フィンランド軍車輌

Last-modified: 2016-11-03 (木) 18:47:38

BT-42

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 フィンランド軍は継続戦争の初期にカレリア(旧フィンランド領)に攻め込み、冬戦争でソ連に奪われた領土を回復した。その過程でフィンランド軍はT-34・KV-1を含む多数のソ連軍戦車を鹵獲した。フィンランド軍は鹵獲兵器で機甲師団の編成を行ったが、それに合わせて突撃砲の大隊の編成が予定された。このとき突撃砲大隊の装備として開発されたのがこのBT-42である。
 BT-42は新たに開発された車両ではあるが、そのほとんどは有り合わせの物で構成された。まずベースは鹵獲したソ連のBT-7が選ばれた。そして主砲は冬戦争の時に供与されたイギリス製(ただし設計が骨董品)の4.5インチ榴弾砲を(結構無理矢理)搭載、さらに照準器はソ連の76mm野砲、76k/02(骨董品)についていたダイヤル式照準器を取り付けた。主な改造場所は砲塔で、BT-7オリジナルの砲塔には野砲が収まりきらないので、かなり大型に改造された。
 こうして計18両のBT-42が改造・生産された。フィンランドでの愛称はクリスティー式懸架装置にちなんで「クリスティー」。
 しかし、BT-42の設計はとても成功とは言えなかった。特に砲塔は大型にしたものの砲塔内部は狭く、弾薬の取り扱いは難しかった。さらに砲の仰俯角ハンドルと砲塔旋回ハンドルが別々の操作員によって操作されるため素早い照準も困難だった。榴弾砲のため装甲貫通力も低く(一応ドイツ軍に開発してもらったHEAT弾はあった)、対戦車戦闘能力は限定的だった。
 主な実戦は、1944年にソ連軍がフィンランドへの侵攻開始後の「ヴィープリ防衛戦」である。主要都市ヴィープリに迫りくるソ連軍を迎撃するために布陣したが、ソ連軍はT-34-85やIS-2を装備していたため勝ち目はなかった。あるBT-42はKV-1Sに15発も命中弾を与えたが、ほとんど損害を与えることができなかった。結果として8両のBT-42が撃破され、残り10両は撤退した。
 この戦いでBT-42はソ連軍相手に戦力にならないことが明らかになったため、以後の戦闘では投入されることはなく、第2次大戦を終えた。
 第2次大戦後もしばらくはフィンランド軍の装備品として使用された。除籍後1台のみ残され、パロラ戦車博物館にて静かに余生を送っている。

・・・がそれで終わらなかった!

 フィンランド軍より除籍されて遙か64年後の2015年。再びBT-42が注目されることとなる。場所は日本。
そう、ガールズ&パンツァー劇場版において継続高校の装備車両として映画の中で復活を果たした!
 再び活躍の場を与えられたBT-42は戦場を縦横無尽に駆け回った。別働小隊の一員としてカール自走臼砲撃破のために尽力。自ら囮となるが愛称の由来でもある「クリスティー式」を活かし高い機動性で敵を翻弄。遙か格上であるM26パーシング3台を相手に一歩も退けを取らなかった。現実では頼りなかった主砲も接射することで威力を発揮、そのままパーシング3台を撃破した。最後は3台目のパーシングとの相撃ちで自らも行動不能となったが、現実での鬱憤を晴らすような輝かしい活躍を見せた。


 
  • 劇中では履帯無しでの装甲を見せていたが、あれ、確か駆動輪と転輪をチェーンで接続しないといけなかった気が -- 2016-07-29 (金) 17:02:49
  • その通りです。しかも用意に結構手間かかりますがそこはテンポ重視の演出ということでw -- 2016-07-29 (金) 18:07:48
  • 恐らく、試合前に接続済みだったのかと思われ -- 2016-07-29 (金) 21:11:04

コメント欄

  • 「戦車研究室」のページを元に加筆しました。 -- 2016-07-29 (金) 05:01:06