あなたは初めてのAD&Dゲームの準備をしているDMだろうか?それとも独自のキャンペーンゲームをプレイしているベテランDMだろうか?そのどちらにも重要な事柄が、この「キャンペーンガイド」には記されている。また、キャンペーンゲームの計画準備、アドベンチャーのデザイン、NPCの創造などをよりよく行うための、多くの有益な助言を含んでいる。加えて、特色あるダンジョンセッティングを幾つか掲載している。つまり、AD&Dゲームシステムへのこのエキサイティングな追加は、全AD&DDMにとって参考となるアドバイスが満載されているのだ。
このサプリメントは、「DMGR 1 キャンペーンソースブック&カタコームガイド」の日本語版である。「キャンペーンガイド」裏表紙より
原題は「Campaign Sourcebook and Catacomb」。
TSR社の商品コードはDMGR1、ナンバーは4301。原語版は1990年に販売された。
著者はPaul JaquaysとWilliam W.Connors。
本文モノクロイラストはThomas Baxa、Valerie Valusek、George Barr。
カラーイラストはKeith Parkinson、Dean Morrisey、Jeff Easley。
日本語版は1991年に新和から「キャンペーンガイド」の邦題で発行されている。当時の販売価格は3800円(税抜)。
黄土色のエンボス状の表紙には青い箔で「Advanced Dnugeons & Dragons 2nd Edition キャンペーンガイド」印字されている。
翻訳は走馬優。監修は大貫昌幸。
奥付の発行は1991年3月。全120ページ。
内容
「DMGR」のコードの通り、ダンジョンマスターを担当するプレイヤー向けの内容が詰まっている。
本書の内容はほぼ5/6を占める、ダンジョンマスターを行う際の様々な助言や忠告と、残る1/6にはダンジョンの例に大別される。
助言や忠告はAD&Dに限らず、テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲームを遊ぶダンジョンマスター((他のゲームではゲームマスター、キーパーなど別の名で呼ばれる。))だけでなく、プレイヤーにも読んでほしい内容が記載されている。
ゲームを進める上での技術や知識といった部分だけでなく、遊ぶ際に配慮すべきエチケットやマナーについても触れられている。
キャラクターの生死についての処理や対応、TRPGで起こり得る様々な不都合な事象や状況、ワールドの設定に関する注意などもある。
ただ、こうした記事は大なり小なり、TRPGが日本でもある程度知られるようになる頃に幾つかの非電源ゲームを扱う雑誌などで類似した記事が掲載されたこともある。また追加ルールなどについても記載されていないこと、このサプリメント自体のターゲットが完全にダンジョンマスター向けであること等もあったためか、あまり注目されないままAD&Dの日本語版の展開が唐突に終了してしまった。
日本語版スタッフサイドとしては、第4章「判定の適用」で述べられる状況の例を雑誌で紹介するなど積極的にオススメしていた。実際、TRPGを遊んだ経験のあるプレイヤーたちにとっては心当たりのありそうな(笑える)事例があり、人によっては古傷をえぐられるかもしれない。
1991年に翻訳販売されたサプリメントではあるが、TRPGのプレイに際しての注意や助言としては21世紀の視点で見ても通じる部分が少なくない。
目次と各章のタイトル
- 序文
- プレイを支えるもの
- アドベンチャーをプレイするスタイル
- テンポと演出法
- 判定の適用
- キャンペーンの創造
- ワールドの創造
- マップとマップの作製
- アドベンチャーの創造
- NPCに生命を吹き込む
- ダンジョン・セッティング
- ダンジョン・キャンペーン
- 汎用ダンジョン
- 大ピラミッド
- 原始的神殿
- 近代的神殿
- 鍾乳洞
- はちの巣とりで
- 湿原地にそびえる城
- 典型的マップ・シンボル
- 投影図用グリッドパターン