D&Dに登場するキャラクター、モンスターたちは様々な呪文や特殊能力を持っていることがあり、それにより自身や敵味方を様々な状態に変えてしまう。こういった変えられた状態にはそれぞれ名称が付けられていることがある。
D&Dを始めとするRPGが知られると、こういった「状態」もしくはステータスは小説や漫画で描かれたファンタジー作品でも見られるようになっていった。
クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ
新和から翻訳販売されたベーシック・ルール・セットでは、ダンジョンマスターズルールブックに「特殊攻撃」という項目があり、そこでは毒、パラライズ、チャーム、ブラインドネス、エネルギードレインが記されている。
さらにルールセットやアクセサリーの拡充で様々な特殊攻撃やそれに伴う状態が導入されていったが、似たような効果を持つ状態であっても別の名称が付いているなど、ルールとしては監督・整備されているとは言い難かった。
ルールサイクロペディア
ルールの翻訳自体が途中で終了したが、キャラクターが陥る異常な状況とその影響に関してある程度まとまった解説がされている。
ダンジョンマスターズ
「ダンジョンマスターズ」の262ページ「キャラクターの陥る特殊な状況」という項目で、いわゆる「状態」に関する記述が解説されている。
モンスターズ
「モンスターズ」の42ページ「特殊攻撃」の項目では、上記にない「状態」に関連する記述が解説されている。
アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ
日本語版が出たAD&D第2版では様々な冒険や戦闘、あるいはそれに関連する状況を扱っている。AD&D第2版そのものの出版がクラシックD&Dよりも遅かった事もあり、クラシックD&Dと比べればある程度の整理はされている。ただし膨大な選択ルールを持つAD&Dは、取捨選択されるルール次第ではかなり面倒なことにもなっていく。
基本ルールの1つ、ダンジョンマスターズガイドでは所謂「状態」は毒、麻痺、魅了に関する解説がされている。
ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版
これまでのデータの蓄積を整理していった結果、様々な状態に関する情報がまとめられている。まとめられた情報のうち、特にキャラクターに有害となる状態はダンジョンマスターズガイド83ページの「状態一覧」で解説されている。
第3版では複数の状態による影響は全て被ることとなる。ただし組み合わせ不能の場合は最も酷い状態が優先して適用されると明記された。
状態一覧
- 打ち倒された状態
強風により転倒した状態で、これに陥ると「伏せ状態」となる。 - 押さえこまれた状態
組み打ちで動けなくされた状態。 - 金縛り状態
心術効果などにより能動的な行動が出来ない。呼吸や精神的なアクションは行える。「無防備状態」として扱われる。 - からみつかれた状態
何らかの物により拘束されている。攻撃ロールなどにペナルティを被る他、移動速度が半減以下に低下する。呪文発動も難しくなる。 - 過労状態
「疲労状態」が悪化した状態。複数の判定にペナルティ修正と移動速度が半減する。休息により回復可能。 - 気絶状態
気を失う。ヒットポイントがマイナス値に達している時の状態。 - 恐慌状態
「恐怖状態」が悪化した状態で、対象はすぐに逃走してしまう。手に持つ物を落としたり、逃走経路はランダムに決まるなどのペナルティがある。 - 恐怖状態
「怯え状態」が悪化した状態。可能な限り逃走しなければならない。様々な判定にペナルティを被るものの、逃走のために選択できる手段は比較的融通がきく。 - 釘付け状態
何らかの影響で前進できない状態。 - 幻惑状態
自身の身を守る以外、大半の行動ができなくなる。多くの場合、この状態は1ラウンドしかもたない。 - 混乱状態
行動がランダムに決定されてしまう。 - 死亡状態
肉体から魂が離れ、活動を停止した状態。この状態でいる限りヒットポイントは回復しない。 - 生命力吸収状態
エネルギードレインなどにより、1以上の負のレベルを得ている状態。 - 石化状態
肉体が石と化した状態。行動不能な上に知覚自体も機能しない。石化した部分が欠けても、欠けた部分を繋ぎ合わせていれば問題なく回復可能。 - 戦慄状態
恐怖の余り、凍り付いた状態。行動できない上に、防御が疎かになる。 - 退散状態
主にアンデッドに適用される。これにかかったアンデッドは逃走する。逃走不能の時は「戦慄状態」となる。 - 立ちすくみ状態
戦闘開始直後、行動を行っていない者に適用される。アーマークラスにペナルティが課せられる。 - 聴覚喪失状態
ものを聞くことができなくなる。〈聞き耳〉判定が不能になる他、イニシアチブにペナルティが付く。さらに、音声要素のある呪文を発動する際には失敗確率が適用されてしまう。 - 通常状態
特に害を受けていない状態。ただし怪我の有無は別問題。 - 組みつかれた状態
レスリングや素手の組み打ちに参加している状態。組みつかれた状態では様々な行動に制限やペナルティが発生する。 - 能力値吸収状態
能力値を恒久的に1以上失っている状態。何らかの能力値が0になると、それに応じたペナルティが発生する。 - 能力値ダメージ状態
能力値を一時的に1以上失っている状態。何らかの能力値が0になると、それに応じたペナルティが発生する。 - 吐き気がする状態
そのままの状態。大半の行動が不能になり、多少の移動のみ可能。 - 非実体状態
物理的な肉体を持たない状態を指す。通常の物理的な攻撃などの非魔法的な攻撃手段に耐性がある。 - 疲労状態
【筋力】と【敏捷力】にペナルティがかかり、疾走や突撃が不能になる。更に疲労すると「過労状態」に悪化する。十分な休息により回復する。 - 瀕死状態
ヒットポイントがマイナス状態になり、「気絶状態」になっている。容態が安定するかどうかの判定に成功すると「容態安定状態」に移行する。 - 不可視状態
視覚で捕捉されない状態を指す。不可視状態の者が攻撃する場合は攻撃ロールへのボーナスと目標のアーマークラスへのペナルティが同時に発生する。 - 吹き飛ばされた状態
強風に吹き飛ばされることにより起こる。「打ち倒された状態」よりも激しく、非致傷ダメージを被る。 - 伏せ状態
地面に横たわっている状態を指す。自身が行う攻撃ロールにペナルティが付き、自身に対する命中判定にボーナスが付く。移動相当アクションを費やすことにより、立ち上がることができる。 - 麻痺状態
その場で立ったまま硬直したままの状態。「無防備状態」として扱われる。移動も攻撃も不可能。 - 満身創痍状態
酷い負傷によりヒットポイントが0か、それ以下に低下した状態。行動に制限がかかり、部分アクションしか行えなくなる上に激しい行動を取るとさらにダメージを受けてしまう。 - 無防備状態
縛られていたり眠っていたり、金縛り状態、麻痺状態、気絶状態といった状態にある者がこれに該当する。この状態に陥っている者は、敵からの攻撃に対して有効な防御手段を取れなかったり、「とどめの一撃」で一撃死させられる可能性がある。 - 無力化された状態
「無防備状態」と同じ。 - 目がくらんだ状態
激しい閃光などにより、目が良く見えなくなった状態を指す。攻撃ロールにペナルティが付く。 - 盲目状態
一切の視覚が機能していない状態。〈視認〉判定が不可能になり、攻撃ロールや【筋力】、【敏捷力】を基準とする判定にペナルティを被る。さらに一定確率で戦闘行動が失敗してしまう。 - 朦朧状態
意識が混濁したような状態。アーマークラスにペナルティを被り、積極的な行動が選択できなくなる。 - 容態安定状態
瀕死状態から容態が安定しているが、「気絶状態」にある。何らかの治療が成功している場合は自力で「満身創痍状態」へと移行できる可能性がある。何の治療も受けられない時は、意識を取り戻す判定に失敗すると更にダメージを受けてしまう。 - よろめき状態
非致傷タメージが現在のヒットポイントと同じ数値になった場合に陥る。負傷と消耗により、行動に制限を受ける。