タイトル画面で流れる穏やかなピアノ曲。キングダムハーツを象徴する曲とも言える。
8小節の非常にシンプルなメロディから展開されていき、シリーズ毎に曲調が違う。
- 短調の曲なので、基本的にどのアレンジも切ない。
意訳は「親愛なる者」。「心から大切な人」と訳した方が、KHらしいのかもしれない。
作曲の下村氏は「愛しい人よ」と訳している(KHOパンフレットより)。
- 野村ディレクターは当該パンフレットにおける下村氏との対談まで、意味を知らないままだった。
実に15年もの間「名曲だと思うが名前が覚えづらいし意味もわからない」と思っていたようだ…。
タイトル画面で流れる際、後ろに波の音が入るのはナンバリングタイトルのみ。
- スタッフいわく、この理由は謎らしい。
- ナンバリングタイトルはタイトル画面の絵が海に関係あるからではないだろうか。
アレンジ版の「Dearly Beloved -Reprise-」はエンディング後のリザルト画面で流れる。
いっそ物悲しいほど静かなメロディは、激しいラストバトルが終わったという安堵感と物語が終わったという一抹の寂しさをもたらす。
この曲のフレーズを用いて作られている曲は多く、その中には原曲のしっとりした印象とは大きく異なるボス戦の曲も多い。
- ゼムナスとのバトル曲「A Fight to the Death」、シオン最終戦の曲「Vector to the Heavens」、アクア編ラストバトルの曲「The Key」等。
実は元々イベントシーン用に作られたが「使う場面がない」という理由からお蔵入りとなっていた曲。
試遊版を出すにあたりタイトル曲を探していたディレクターの目に留まり、急遽タイトル曲に抜擢された。
ディレクターがもっとも好きな曲であり、「運命的なものを感じる」と語っている。
- 開発中の曲名は「タイトル」だったそうだ。
下村氏はこの経緯から「一度ボツになった曲がタイトル曲になった」と話していたが、当の野村氏は「俺はボツにした覚えはない」と言っており、実際にはディレクターに話が行くまでの間の現場レベルでの判断だったようである。
また、タイトル曲となることを想定していないシンプルな曲ゆえに、下村氏はこの曲がタイトルに決まった後に曲に手を加えるべきか迷ったが、「この曲には何を加えても余計だ」とそのまま使用されることとなった。
Re:codedまでテレビCMで流れた曲は主題歌だけだったが、3DではついにCM曲に選ばれた。
FFBEのUχとのコラボイベントのCMでも使用された。
「Piano Collections KINGDOM HEARTS」では通常の「Dearly Beloved」の他に「Concert Paraphrase on "Dearly Beloved"」というピアノアレンジがある。
また、下村氏の25周年ベストアルバム「memória! The Very Best of Yoko Shimomura」にて、ピアノアレンジが収録された。
2019年と2020年に行われたディズニーアンバサダーホテルとKHのコラボ期間中は、ホテルのフロントにある自動演奏のピアノでこの曲が演奏されていた。
KH
オリジナル曲なので、上記のように一番単純な構成で仕上がっている。8小節で1ループするので、非常に短い。
- タイトル画面で流れる波の音は、サントラでは存在しない。
- このバージョンの特色として、メロディーは次の音の後にディレイで前の音(の1オクターブ上の音)が鳴る。ピアノアレンジバージョンはこれを踏襲しているのだが、弾いてみると結構大変である。
この曲のアレンジに「Friends in My Heart」や「Always on My Mind」があり、どちらも感動的な楽曲となっているが、特に後者はイベントシーンとの相乗効果も相まって心に響いたプレイヤーは多いだろう。
BbSのゲームクリア画面や、3Dのシンフォニー・オブ・ソーサリーのイベントシーンでも流れる。
KH1.5
生演奏にアレンジされて登場。装飾音の動きが微妙に異なっている。
KHFMのタイトル画面だけでなく、起動タイトルを選択するランチャー画面でも流れる。
- 公式HPで聴ける他、χのβテストの際はデッキ編成などのページで聴くことができた。
COM
この作品から、KHIの「Always on My Mind」のメロディが使用されている。
忘却の城でピアノを鳴らすとしたらこんな感じだろうか。
KHII
アレンジの中では一番王道をいっているだろう。
終始しっとりとした雰囲気に涙を誘われ、この曲のせいで、しばしばタイトル画面で手が止まりそのままOPデモに突入、という経験をしたプレイヤーも多いと聞く。
タイトル画面の演出が従来と異なっているのは下村氏の要望で、イントロ部分と映像の切り替わりを合わせるためにスタッフにかなり調整をしてもらったらしい。
この曲のフレーズを使用した曲にトワイライトタウンのバトル曲「Working Together」やゼムナス戦の曲「A Fight to the Death」があり、今作からはバトル曲にもアレンジが登場することとなった。
今作のEDや3Dのラスボス直前のイベントでもこの曲が使用された。
Days
フルートの音色から始まる切な気なアレンジ。
これまでの第二フレーズから音楽が始まるのが特徴。
ソラが主人公ではないということで、いつものピアノでスタートするパターンではなく、フルートやハープの旋律から始まるようになっている。
フルートからの主旋律とストリングスの伴奏が美しい。不思議と夕焼けが目に浮かぶ曲である。
シオン戦のBGMの一部にもこの曲が使用されている。
KH1.5
生演奏にアレンジしなおされたことにより、より情緒深いメロディを奏でるようになった。
BbS
今までのシリーズの中で一番儚げなアレンジ。遠く夢見るような雰囲気を意識したらしい。
COM以降使用されてきたメロディが流れないのは、BbSがKHIより前の時系列である事を表現するためである。
繊細なヴァイオリンソロからの、未来に希望を持つかのような曲の盛り上がり具合は、シークレットムービーを見ると特に顕著に現れている。
- 因みにこの曲以外にも、本作のBGMにはヴァイオリンが印象的なものが多数ある。ヴァイオリンはBbSを象徴する楽器とも言えるだろう。
続編にあたるKH0.2でも同じ曲が使用されている。
ゲームクリアのリザルト画面ではKHIのものが流れる。
- BbSのクリア画面でオリジナル版が流れるのは「KHIに繋がる」という意味。
アクア編ラストバトルの曲も、この曲を元にして作られている。
coded
少し明るい曲調に。メロディの前にちょっとしたピアノアレンジが加えられていて、この部分だけでも今までと違った、元気な印象を与えてくれる。
- 余談だが、Re:codedのパッケージのイラストでも、みんなが笑っている。他の作品に比べ、明るい印象の作風であることは間違いない。
- codedのオフィシャルアートは逆にシリアスな雰囲気の物だったりする。
- さらに、メモリアルアルティマニアに載っているcodedのオフィシャルアートはカイリがいなかったりする(本人もラストを除くとほぼ出番がない)。
- codedのオフィシャルアートは逆にシリアスな雰囲気の物だったりする。
ハープのアルペジオがかなり特徴的であり、全体的にエコーが効いたアレンジ。
- また、裏で入るピチカートも印象的。3Dに並び、可愛らしいイメージを与えてくれる曲である。
3D
今作のコンセプトはずばり、「3D」とかけて「3拍子」。途中からワルツ調になっているのはそのためである。
3連符もふんだんに取り入れられている。
可愛らしく光る高音や体の奥まで響くような低音が、まるで夢の中で遊園地で遊んでいるかような雰囲気を醸し出している。
- 中盤までは、芯の通ったピアノが他の作品に比べゆっくりしたペースで進む。3Dにおけるリクの決意も表したような曲。
シンフォニー・オブ・ソーサリーのイベントシーンではKHIの曲が流れる。
片方だけでは足りなかった「音の力」が、現れたもう片方の「音の力」と合わさる事によって、「Dearly Beloved」という音楽が完成するという演出になっている。互いの事を思いあう二人の姿がその曲の意味ともマッチしている。
- ちなみにソラの「音の力」はストリングスで、リクはピアノ(伴奏も含む)。
ラスボス前の不思議な塔で、リクがソラの夢へのダイブを決意するシーンでもKHIIの曲が使用された。
イベントシーンで流れる「Link to All」はこの曲のアレンジだが、その希望溢れる曲調からファンの間でも人気が高い一曲となっている。
χ/Unchained χ
Dearly Beloved -Unchained χ Version-
ゆったりしたフレーズが流れた後、アップテンポで個性的なリズムを打つ曲調に転換している。
χではマイページなどで聴くことができ、Unchained χでも同じ楽曲が起動時やホーム画面などで流れる。
χとUnchained χで同じ曲を使っているが、収録されたサントラがUχ名義だったためか、曲名が「Unchained χ Version」となっている。
Uχに実装されたBGMつき予知者メダルの曲は全てこのχのアレンジのDearly Belovedになっている。
- このため、パートナーメダルに設定するとUχのホーム画面でもχ版アレンジを聞くことができる。
Union χ
Dearly Beloved -Union χ Version-
ホーム画面で流れる曲がUnion χへのリニューアルから新曲になった。
ピアノとヴァイオリンの音色が美しく、「χのその先」を感じさせる曲。
Uχ、DRのスタッフロールにて、上記とは違う長いバージョンが使用されている。
主旋律としては大まかに「KHI」→「Unchained χ」→「KHIII」の順番だが、「χBC」「Union χ」「3D」などを思わせる旋律や伴奏も混ざっており、総合してそれまでの作品の「Dearly Beloved」を混ぜたような豪華なものに仕上がっている。
残念ながら今のところサントラには収録されていない。
χBC
Dearly Beloved -χ Back Cover Version-
イントロ部分などピアノの旋律に一部大きくアレンジが加えられている上パイプオルガンの音色が入り、儚さと荘厳さを抱かせる曲になっている。
ピアノの音程が下がっていることにより重苦しさも感じさせるが、途中の盛り上がりや終わり方に一縷の希望が残されている。
KH2.5
ランチャー画面で流れるものは「Piano Collections KINGDOM HEARTS」のバージョンが使用されている。
KH2.8、KH1.5+2.5のランチャー画面でも同様に使用されている。
KHIとKHIIのメドレーになっており、王道ながらピアノの美しい音色が胸を打つ曲へと仕上がっている。
KHIII
2種類の新規アレンジが用意された。
Dearly Beloved -KINGDOM HEARTS III Version-
タイトル画面で流れるバージョン。
壮大なピアノコンチェルトとなり、生演奏で収録されている超絶技巧のピアノに感動もひとしおの一曲となっている。
イントロに大幅なアレンジが加えられ、第一印象では「Dearly Beloved」ではない別の曲と思った人も多いかもしれないが、下村氏曰くあえてそう思わせるように作ったとのことで、「全然違うように聴こえる曲からDearly Belovedに帰っていくのがコンセプト」と語っている。
シリーズ初となる終結部を持つアレンジで、2ループが基本のサウンドトラックでも1ループで終了する。
- 「NEW GAME」や「CONTINUE」を選択して画面が遷移する際、曲の展開に関わらず終結部のピアノフレーズが流れるようになっている。恒例の演出も相まって非常に印象的。
- イントロ後のいつものフレーズは長調にアレンジされており、終結部も含め非常に希望に満ち溢れて聞こえる。
Dearly Beloved -Forest Memory-
秘密の森のイベントシーン「手紙と涙」で用いられているアレンジ。
- KHOにおいてKHIIバージョンの演奏を背に披露されたカイリの朗読を聞くことができる場面だが、今作では新たにそのシーン専用に独自のアレンジが用意された形となる。
KHIIのものを基本としつつ、BbSや3Dのバージョンのフレーズも取り入れられたシリーズ集大成とも言えるアレンジとなっている。
こちらのバージョンは有料DLC「Re Mind」の早期購入特典として入手できたPS4テーマのBGMとしても使用されている。
MoM
Dearly Beloved -Swing Version-
全体的にアップテンポかつジャジーな雰囲気であり、これまでのアレンジとは打って変わって非常に明るく楽しさを感じさせる曲調になっている。
このスウィング・ジャズアレンジは下村氏の悲願でもあったらしく、以前にKHCのアンコールでジャズアレンジが演奏されたことはあったが、ゲームのBGMとしても作りたいという思いがあったのだという。