ニンテンドーDSのゲームソフト『パワプロクンポケット11』にて発せられた台詞。
なんJにおいては、シーズン序盤に負けが込んで極めて低い勝率を推移するチームに対して用いられる。
概要
サクセス開始1年目、新規参入球団ナマーズのオーナーを務める神条紫杏が、ライバル球団のホッパーズとの開幕戦で初勝利した後の発言。野球はプロスポーツの中でもシーズン試合数が非常に多く、一人の選手に出来ることが限られているため、最終的に勝率が3割を切るケースはほとんど無い*1*2。
NPBにおいて勝率3割を切った例(2リーグ制以降)
日本のNPBでは2リーグ制以降は下記の9例のみである。
| チーム名 | 年 | 試合 | 勝 | 負 | 分 | 勝率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 広島カープ | 1950 | 138 | 41 | 96 | 1 | .299 | 球団ワーストタイの13連敗を記録。 |
| 松竹ロビンス | 1952 | 120 | 34 | 84 | 2 | .288 | この年のセ・リーグは「勝率が3割未満のチームには 何らかの処罰が与えられる」という取り決めがあった*3。 シーズン終了後、大洋ホエールズと合併して大洋松竹ロビンスとなる。 |
| 近鉄パールス | 1952 | 108 | 30 | 78 | 0 | .278 | |
| 洋松ロビンス | 1954 | 130 | 32 | 96 | 2 | .250 | シーズン終了後、松竹が球団経営から撤退して大洋ホエールズに戻る。 |
| 大洋ホエールズ | 1955 | 130 | 31 | 99 | 0 | .238 | 歴代最低勝率タイ、セ・リーグ最多敗戦記録。 |
| 近鉄パールス | 1958 | 130 | 29 | 97 | 4 | .238 | 歴代最低勝率タイ、当時の引き分けは0.5勝0.5敗扱い。 現在の計算方法では.230で単独ワースト記録。 |
| 近鉄バファロー*4 | 1961 | 140 | 36 | 103 | 1 | .261 | NPB最多敗戦記録かつ、唯一のシーズン100敗以上。 |
| ヤクルトアトムズ | 1970 | 130 | 33 | 92 | 5 | .264 | 歴代2位タイの16連敗を記録。*5 |
| 東北楽天 ゴールデンイーグルス | 2005 | 136 | 38 | 97 | 0 | .281 | 平成唯一の勝率3割未満。 |
- チーム名の赤字:参戦初年度、青字:参戦から10年以内*6
NPBで勝率が3割を切る要因
- ドラフト制度導入前(~1964年)で戦力均衡ができていない。
→9例中7つが1961年以前。
- 新規参入した球団の戦力が不十分。
→9例中6つが参戦から10年以内、2つが参戦初年度*7。上述のように本来の元ネタのナマーズもこれ*8。
MLBにおいて勝率3割を切った例
球団数が多く歴史も長い米国のMLBでも、勝率3割を切った例は下記の16例のみである。そのうち勝率1割が2例あるが、どちらも19世紀に記録されたもの。
| チーム名 | 年 | リーグ | 試合 | 勝 | 負 | 勝率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ルイビル・カーネルズ | 1889 | AA | 138 | 27 | 111 | .196 | |
| セントルイス・ブラウンズ*9 | 1898 | NL | 150 | 39 | 111 | .260 | |
| クリーブランド・スパイダーズ | 1899 | NL | 154 | 20 | 134 | .130 | ナ・リーグ最多敗戦記録かつ最低勝率。シーズンオフに解散。 |
| ワシントン・セネタース*10 | 1904 | AL | 151 | 38 | 113 | .252 | |
| フィラデルフィア・アスレチックス*11 | 1916 | AL | 154 | 36 | 117 | .235 | 20世紀以降の最低勝率。 |
| ボストン・レッドソックス | 1932 | AL | 154 | 43 | 111 | .279 | |
| ボストン・ブレーブス*12 | 1935 | NL | 153 | 38 | 115 | .248 | |
| セントルイス・ブラウンズ*13 | 1939 | AL | 154 | 43 | 111 | .279 | |
| フィラデルフィア・フィリーズ | 1941 | NL | 154 | 43 | 111 | .279 | |
| ピッツバーグ・パイレーツ | 1952 | NL | 154 | 42 | 112 | .273 | |
| ニューヨーク・メッツ | 1962 | NL | 160 | 40 | 120 | .250 | |
| デトロイト・タイガース | 2003 | AL | 162 | 43 | 119 | .265 | 45年ぶりの勝率3割切り。ドラフト制度導入後初の例。 |
| ボルチモア・オリオールズ | 2018 | AL | 162 | 47 | 115 | .290 | 露骨なタンキング*14とされている。 |
| デトロイト・タイガース | 2019 | AL | 161 | 47 | 114 | .292 | |
| シカゴ・ホワイトソックス | 2024 | AL | 162 | 41 | 121 | .253 | ア・リーグ最多敗戦記録。 ロッタリー方式後初の例。翌年ドラフト指名順位を決めるロッタリー参加不可*15。 |
| コロラド・ロッキーズ | 2025 | NL | 162 | 43 | 119 | .265 | 21世紀初の1000失点。 ナ・リーグでは63年ぶりの勝率3割切り。来年のロッタリーにも参加不可*16。 |
- チーム名の赤字:参戦初年度、青字:参戦から10年以内。
MLBで勝率が3割を切る要因
- ドラフト制度導入前(~1965年)で戦力均衡ができていなかった。
→16例中11つが1962年以前。
- 新規参入した球団の戦力が不十分だった。
→16例中3つが参戦から10年以内、1つが参戦初年度。
- そもそも勝とうとしていなかった。
→一時期のMLBにおいて問題化した、完全ウェーバー制であったドラフト指名順を有利にするために意図的に勝率を下げる行為のことであり、これは「タンキング(Tanking)」と呼ばれる。これが発端となり2022年のドラフトからはロッタリー方式*17に切り替える対策が為された。それでもドラフト導入後からウェーバー廃止までに勝率3割を切ったのは僅か3例のみである。
ちなみに元々MLBでは一部球団を除き、契約金が高額な選手などを大量放出(つまり戦力をわざと大幅に落とした状態)した上でドラフトやトレードで得た有望な若手(プロスペクトと呼ばれる)を数年掛けて育ててチームを再建する方法が一般的である。
セイバーメトリクスの観点からの考察
セイバーメトリクスで用いられる指標「WAR」で定義される「代替可能選手(=一軍向けに二軍からの昇格やトレードなどですぐに用意できる選手)」だけで1シーズン*18を戦った場合の想定勝率は.294とされており、セイバーメトリクス的には「どんなに弱いチームでも2割9分4厘は勝つ」と考えられている、すなわち偶然にもある程度近似した数値が出ているとも言える(なお前述の3割切りの例のうち1950年の広島以外は.294も切っている)。
(参考)1リーグ制時代の記録
- 最低勝率(公式):.214(1937年春、後楽園イーグルス、12勝44敗0分)参考
- 最低勝率(非公式):.000(1936年春夏、大東京軍、0勝13敗1分)※春のリーグ戦×3回と夏のトーナメント戦×3回の合算。参考1参考2
詳細は割愛するが、2リーグ時代より戦力差が大きく試合数も少ないため、勝率3割以下は多数発生している。