セイバーメトリクス

Last-modified: 2021-10-01 (金) 22:13:08

統計学的に野球を分析する手法の総称。研究分野そのものの名称としても使われる。

概要

ビル・ジェームズという野球ライターが1970年代に統計学の知見を野球に持ち込むことを提唱したのが発祥である*1
2000年代にオークランド・アスレチックスがセイバーメトリクスを活用して安価に常勝チームを作り上げたことでMLB全体でセイバーメトリクスがブームとなり、現在ではセイバーメトリクス学会と呼ばれる学会が組織され、セイバーメトリクス学者たちによる研究が進められているほか、各球団がセイバーメトリクス学者を雇用してチーム作りや采配の助言を求めるのが常態化している。
日本ではアメリカほどの浸透はしていないものの、一部の球団がセイバーメトリクスの導入を発表するなど、徐々にアメリカから知見を輸入する動きがある。

なんJにおけるセイバーメトリクス

なんJでは主に煽りの道具として活用されている。これは一言で言えばセイバーメトリクスによって選手を多面的に数値化できるようになったことが原因である。様々な数値の中から自分に都合のいい数値を提示し、自分に都合の悪い数値を無視することで煽りの道具とするのである。
またセイバーメトリクスを使って野球通を気取るケースもあり、マウントを取る為のダシにされるケースも多い。

注意点

当然のことながらセイバーメトリクスは煽りの道具ではないし万能の指標群でもない。野球は元来様々な数値指標(例えば打率や防御率など)で選手が評価されてきたスポーツである。セイバーメトリクスは統計学を使ってさらに指標を精密化したり数値の新しい見方を提示するものにすぎない。数字には現れない選手の特性(例えばリーダーシップなど)を否定するものではないし、一つの数値で選手の全てを表すものでもない。
更に言うと、セイバーメトリクスは結果の集計である。傾向は存在するとは言え、単純な横流しは禁物である。また統計学の宿命として、平均程度の選手の評価には非常に優れているが、平均から外れた極端な成績の選手の精度はどうしても落ちてしまう。
より正しく選手を知りたいと思うならば、指標をベースに「何故、この成績になったのか?」と技術的な分析を行うべきであろう。

なお、セイバーメトリクスに近い采配を行った監督経験者としては、岡田彰布が挙げられる。2005年の日本シリーズにおいて33-4を招いた原因の一つとして、岡田がセイバーメトリクスに拘りすぎたためとされており、対戦相手のロッテを率いたボビー・バレンタインから「10年前の私を見ているようだ」とも発言されている。ただし、岡田は自身の著書『頑固力』にで、セイバーメトリクスに関する本は読んだことはないと発言している。

なんJで煽りに使われることの多い指標

  • WAR
    走攻守投の指標を総合的に評価して、平均的な能力を持つ(この場合「代替可能な」と呼称される)選手と比べてその選手がどれだけ勝利に貢献したかを推定した指標。選手層にもよるがマイナスが大きいと控えの方がマシでは、ともされる。発音は「ウォー」に近い。
  • WPA
    WARは状況によらず選手個人個人で考える指標に対して、WPAは状況によって付加価値が加わるというもの。要は大ピンチの場面で抑えた場合は大きくプラス、逆に大チャンスで凡退した場合は大きくマイナスとなる。なんJにおいては専ら戦犯探しの指標として用いられる。
  • wRC+
    打撃指標の一つで、100をリーグ平均、これ以上ならリーグ平均以上の打者、以下なら平均以下の打者となるもの。投手などは100以下を通り越してマイナスになることもある。
  • IsoD
    出塁率-打率によって計算される四死球による出塁の率。待ち球タイプの打者は高くなりやすく、積極的に打つ打者は低くなりやすい他、選球眼の良さも影響を受けやすいとされる。
  • BABIP
    運の影響を受けやすいフェアグラウンドの打球がヒットになった率を計算して、成績の変化が運か実力かを見分けるための指標。一般には3割程度に収まるとされているため、打者では高すぎる場合は運が良く、低すぎる場合は野手の正面を突いたりして運が悪い(たまたまアウトにされている)(投手はその逆)と考えられている。大きく上振れている場合は以降成績の悪化が、下振れている場合は成績の良化が予想されることから、「バビる」「バビってる」と煽りの対象にされやすい。ただし常に3割を大きく超えていたイチローのような打者もいるほか、ホームランか三振か四球かといった打者は例年低くなりやすく、当然チームの守備力にも左右される。
  • RC27
    その打者を9人並べて9イニングプレイした際、平均で何点取れるかを統計的に推計した指標。あまりに貧打の選手の場合、本来はありえないマイナスの数字になってしまうこともある。*2
  • UZR
    打球の弾道を計測し、平均的な野手ならば何割の確率でアウトにできるかを統計的に求めた上で、結果的にアウトにできたかどうかでその野手の総合的な守備力を測定する指標。本来はトラックマンやステレオカメラによる客観的データ分析から算出するものだが、NPBにおいては算出を行うサイト*3が選んだデータアナリストによる評価が行われている*4。故に主観が先行し人為的な差異が生じるのでは?と言う疑問も残り、過信は禁物だと言えよう(ただしなんJでは上述の通り煽りの道具として用いられるため、この疑問はほぼ無視される。また逆にこの点を理由に、「主観で出されたデータなど無意味」などと反論される場合もある)。似た指標としてDRSがある。
  • フレーミング
    キャッチャーの技術。ストライクかボールか際どい球を工夫して捕球し、審判にストライクとコールさせるテクニックを言う。こちらもMLBとは違い、NPBにおいては客観的なデータ分析では無く主観的な人による評価が行われている為*5、盲信するようなことは避けたい。「ボール球をストライクと判定させる」訳ではないので注意。
  • FIP
    奪三振や被本塁打といった野手の守備に影響されない要素のみで計算される擬似的な防御率。防御率が悪くてもFIPが良ければその投手は野手の守備に泣かされているということになる。

これらの指標はIsoDのように簡単に算出できるものもあれば、WARやUZRのように算出が極めて困難(というか企業じゃないと無理)なものもある。
DELTAが2021年頃に有料化してからはWARやUZRを煽りの材料にしたスレが立てられることは少なくなり、立てられた際にはデータのスクショを要求されるようになった。

関連項目



Tag: なんJ MLB


*1 野球は他のスポーツと異なり、1プレーごとにプレーが止まって結果が記録され、打率や防御率のように様々な数字が算出されてきたという特性があるため、統計学との親和性が非常に高かったことが背景にある。
*2 2017年の岡田幸文など。
*3 現在はDELTA社のみ
*4 https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53487
*5 https://1point02.jp/op/gnav/column/bs/column.aspx?cid=53468