元阪神タイガース・赤星憲広の発言に基づいて考案された盗塁指標のこと。
英語名は「Red Star Style Stolen Bases」(R3SB)。
計算式は【赤星式盗塁=盗塁-盗塁死×2】。
概要 
赤星式盗塁の原案は、「盗塁は、成功数だけでなく失敗数にも着目して評価して欲しい。具体的にはいくら盗塁が多くても、それが盗塁死の倍と等しいならば価値はゼロ、下回るならば価値はマイナスである」という趣旨の赤星の発言である*1。この発言を、2014年になんJ民が数式に起こしたものが「赤星式盗塁」である。
元々、盗塁王というタイトルについては、盗塁数自体は最多だが、盗塁死も多く、技術や貢献度に疑問符の付くような選手が受賞するケースが後を絶たないことが問題になっていた*2。
赤星式盗塁は、盗塁死を抑えつつ盗塁を増やしていくのが真の盗塁王ではないかという古くからの疑問に答える指標である。
赤星式盗塁には、
- 盗塁数と盗塁成功数を両立している選手ほど高い数値になるので真の盗塁王を明らかにすることができる
- 最終的に「プラスならば良い」「マイナスならば悪い」という基準が分かりやすい
- 電卓を使わなくても暗算で容易に計算できる*3
- 現代野球における盗塁の第一人者として名高い赤星の発言が原案である
- セイバーメトリクスによる統計的分析結果とほぼ一致している(後述)
- 盗塁死には「走者がいなくなること」と「アウトカウントが増えること」という2つのデメリットがあると考えると盗塁死を2倍して引く計算式が直感的に理解できる
という長所があり、なんJでは盗塁指標の決定版として定着している。
なお、赤星式盗塁の名前は、片岡式本塁打から取られたと思われるが、片岡式がもっぱらネタとしてバカにされている*4のに対し、赤星式はまともな指標として肯定的に扱われている。
分析 
赤星の発言に依れば「赤星式盗塁が0ならばチームへの盗塁での貢献は0であり、マイナスならば走ってアウトになった損失のほうが大きい」ということになる。
赤星式盗塁が0になるのは盗塁成功率が2/3(約67%)の場合となるが、この数字はセイバーメトリクスでの研究結果(盗塁の損益分岐点は約70%)と近い数値であり、盗塁のスペシャリストである赤星の体感とセイバーメトリクスによる統計学的分析結果が同じ答えをはじき出したということになる。実際にセイバーメトリクスで使われる様々な指標の計算式を見てみると、どの指標でも盗塁死の係数は盗塁の係数のマイナス2倍前後になっており、これらの指標から盗塁部分だけを抜き出したものが、盗塁死をマイナス2倍して盗塁に足すという計算で求める赤星式盗塁だと言うこともできる*5。つまり、赤星式盗塁は単純に見えて最先端の統計学とも合致する極めて精度の高い指標である。
なお、式を変形すると【赤星式盗塁=盗塁×(3-2÷盗塁成功率)】となり、盗塁と盗塁成功率の双方を考慮してチームへの得点貢献度を数値化していることが分かる。
赤星式盗塁の応用編として赤星式盗塁阻止も考案されている(赤星式盗塁阻止=盗塁阻止×2-許盗塁)が、こちらは強肩である事が知れ渡っている捕手の場合にはそもそも走者がなかなかスタートを切らない事から盗塁阻止数も増えず、強肩であるほど赤星式盗塁阻止の数字が伸びにくくなるというパラドックスがあるのではないかという難点が指摘されている*6。また、盗塁を防ぐためには投手のクイックモーションも重要であり、捕手の成績として評価することに対する疑問も見られる*7。
赤星式盗塁の記録 
- 通算記録
福本豊(467赤星式盗塁 = 1065盗塁 - 299盗塁死*8×2) - シーズン記録
福本豊(1973年 63赤星式盗塁 = 95盗塁 - 16盗塁死×2*9) - 通算ワースト記録
宇野勝(-114赤星式盗塁 = 78盗塁 - 96盗塁死×2) - シーズンワースト記録
小玉明利(1956年 -32赤星式盗塁 = 16盗塁 - 24盗塁死×2)
なお、赤星自身は通算205赤星式盗塁(= 381盗塁 - 88盗塁死×2)で第4位、シーズン41赤星式盗塁(2003年 = 61盗塁 - 10盗塁死×2)で第11位にランクイン。また、5度の赤星式盗塁王*10に輝いている。
盗塁死の記録が公表されるようになった1942年以降の赤星式盗塁王はなんJ民の調査によって全て明らかにされている。
年度別赤星式盗塁王一覧表できたンゴwww [転載禁止]©2ch.net
https://orpheus.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1422728796/
(1942~2014年)
また、赤星式盗塁に関するデータを扱う個人サイトも多数存在する。
2020年の赤星式盗塁ランキングとその他盗塁関連データまとめ
https://baseball-datajumble.hatenablog.com/entry/2020/12/04/220000
その後 
赤星式盗塁は、計算しやすく有用ということですっかりなんJに定着。毎年シーズン終了後にはその年の赤星式盗塁ランキングがなんJ民によって集計され、赤星式盗塁王が発表されるのがお馴染みになっている。さらには、その優秀さゆえになんJ外にも広まり、2015年には全国紙の産経新聞でも取り上げられた。
https://www.sankei.com/smp/premium/news/151004/prm1510040009-s.html
野球は「失敗のスポーツ」といわれる。成功の陰には失敗の繰り返しがある。以前、ネット掲示板で考案されて話題になった「赤星式盗塁指標」というユニークな物差しがある。赤星とは元阪神の赤星憲広のこと。50メートル5秒6という俊足を武器にセ・リーグで5年連続盗塁王に輝いた。引退後、野球解説者となった赤星の「盗塁は成功数だけでなく、失敗数にも注目してほしい」という発言をもとに編み出されたユニークな評価法だ。例えば「100盗塁成功しても50盗塁死なら価値はゼロ」ということになる。
2020年にはテレビ番組『戦え!スポーツ内閣』の「セイバーメトリクスを徹底解析SP」に赤星とともにセイバーメトリクス企業DELTAの社長・岡田友輔が出演。岡田による盗塁の統計学的分析とともに、赤星式盗塁を紹介するVTRが流された。岡田は「素晴らしいと思います。本当に合理的な盗塁をされています」と赤星を絶賛した。
そして2021年、ついにベースボールチャンネル(Yahoo!ニュース等にも配信される大手野球メディア)にて「注目を集める有力な盗塁指標」として特集記事が組まれるなど大出世を果たした。
価値ある盗塁王は誰だ! ”赤星式盗塁” で見る歴代盗塁ランキングトップ10、2020年ランキングトップ5は?
https://www.baseballchannel.jp/npb/91061/
足のスペシャリストとして名を馳せた赤星憲広氏の発言をもとに生まれた“赤星式盗塁”が有力な盗塁指標として注目されている。計算式は以下の通りだ。
赤星式盗塁=盗塁-盗塁刺×2