2022年の阪神タイガースのチーム全体に浸透していた概念。阪神関連の縁起スレも指す。
読みは「よしゅく」。
集合スレや「○○ホームランwww」系のスレが事前に立てられることもこう呼ばれる。
本来の意味 
〘名〙 あらかじめ祝うこと。前祝い。
(精選版 日本国語大辞典)豊作や多産を祈って,一年間の農作業や秋の豊作を模擬実演する呪術行事。農耕儀礼の一つとして〈予祝行事〉が行われることが多い。あらかじめ期待する結果を模擬的に表現すると,そのとおりの結果が得られるという俗信にもとづいて行われる。小正月に集中的に行われ,農耕開始の儀礼ともなっている。一種の占いを伴うこともある。庭田植(にわたうえ),繭玉(まゆだま),粟穂稗穂(あわほひえぼ),鳥追,成木(なりき)責めなど地方色豊かなものが多い。
(世界大百科事典 第2版)
出典:コトバンク
阪神タイガースにおける「予祝」の概要・経緯 
2019年~2022年に阪神監督を務めた矢野燿大は就任当初から、試合前にあらかじめ選手の活躍予想を書く等といった予祝への傾倒を明らかにしており*1、テレビの取材に「自分が考える日本シリーズ優勝の瞬間*2」を語ることもあった。
この本来の予祝からかけ離れたカルト概念を持ち込んだのは矢野と交流がある自称メンタルトレーナーの大嶋啓介で、高校野球でもいくつかの高校が取り入れているとされている。
このため矢野と予祝はかねてからしばしば話題となってきたが、2021年の大逆転V逸をヤクルトに決められタガが外れてしまったのか、翌2022年に大ブレイクする。
まず春季キャンプ中、矢野の予祝胴上げが行われた(後述)*3。また知人のメンタルトレーナー等による「予祝レッスン」講演や、模擬MVPインタビューなどが行われたことも報道された。
そしてシーズンが始まると対ヤクルト開幕戦(京セラドーム大阪)にて7点差からの大逆転負けを喫し、その後も一向に勝てずセ・リーグワースト記録となる開幕9連敗を喫した。さらに17試合目にしてプロ野球史上最低勝率.063*4を叩き出し、2022年の阪神は歴史的なスタートダッシュ失敗を演じてしまった。
これらから「予祝が不足している」「実際には予呪なのではないか」と揶揄されたり、阪神の試合前には「【朗報】阪神勝利」などといったスレが立ち、スレ内は「予祝」で埋め尽くされるなどネタにされるようになった。
また、実際には開幕からやっていたとも指摘されているが、4月12日のバンテリンドームの試合では試合開始直前に「予祝ハイタッチ」を行っていることが発覚、15日の連敗明けには突如として詩の書かれた色紙を披露する(どちらも後述)など、その後も阪神の縁起モノは順調に追加されていった。
記事・コピペ 
阪神の公式YouTubeにアップされた、ミーティングの様子の動画。
阪神・矢野監督 感謝の“予祝”超異例「うれしいサプライズ」発案の西&糸井は絶妙“漫才”
- デイリースポーツ
豪雨に見舞われた宜野座のドーム内で突然、拍手が湧き起こった。西勇の「どうぞ真ん中へ」の呼び込みに、矢野監督が歩を進めた次の瞬間、大きく両手を広げたその体が3度、宙に舞う。より一層の大拍手の中、指揮官の「ありがとう!!」の大声が響き渡った。
直前には、この日のワンデーキャプテンを務めた糸井、西勇の漫才を思わせる絶妙な掛け合いがあった。
西勇「僕は予祝を持ってきました。ルーキー、桐敷、意味分かるか?*5」
桐敷「…」
糸井「いや、分からんやろ!」(と西にツッコミ)
西勇「未来の姿を先に喜び、祝ってしまうことで現実を引き寄せることを予祝と言います。みんな予祝で、ただ一つできてないことがある。分かる?テル、馬場」
佐藤輝、馬場「分からないです」
西勇「糸井さん、分かりますか?」
糸井「一つしかないやないか!優勝に向けて練習してるわけでしょ。でもこれは練習してないと思うねん(Tシャツに書かれた『胴上げ』の文字を見せ)今から監督を胴上げしようかなと思います。いいですか?これは予祝です!」
突然の胴上げを「うれしいサプライズで気持ち良かった。もう感謝しかない」と振り返った矢野監督。表情を引き締めながら「俺がいつも描いているのは優勝、日本一のチャンピオンフラッグを持った選手たちが歩いていく姿を俺が一番後ろで見るというもの。そういうイメージが湧いている」と言い切った。
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練習前の円陣でナインから胴上げされる矢野監督(撮影・山口登)
特に「ルーキー、桐敷*6、意味分かるか?」は汎用性が高く、意味不明な行動や言動に対して「ルーキー、桐敷、意味分かるか?」と付け足す改変ネタが流行、あらゆる場面で桐敷が困惑させられるようになったばかりか、2年目の2023年以降も桐敷はルーキー扱いされるようになってしまった。
縁起モノ一覧 
予祝ハイタッチ*7 
公式動画 
上の動画と同じく阪神の公式YouTubeにアップされた、「波」の監督インタビュー(インタビュー開始は8:44~。色紙の場面は10:55~)。
『波』色紙 
4月15日、あと1075球で勝利した時の勝利監督インタビュー中に公開した、友達の文字職人・杉浦誠司氏に書いてもらったもの。
引きて満ちる潮
波が起きるのは
浮いて良し
沈んで良し
その波に選手皆が乗り
楽しみ出したら
流れに乗れる
これから起こる
ビッグウェーブ
インタビュー原文 
記者「相手はジャイアンツ、明日以降2戦目3戦目とありますが、タイガースファンとしましては熱い試合を期待してると思います。監督からはメッセージお願いします」
矢野「ちょっと時間大丈夫ですか?」
矢野「あの~今日僕の友達の文字職人の杉浦誠司さんに今日来ていただいて、365枚ある札の中から、漢字を一文字引き当てるんですけど、僕がチームに、えーイメージしながら引いたのが、波!という、えー字でした」
(六甲おろしが流れる)
矢野「えーそれを、えー出してくれたメッセージなんですけど、波も引く、えー潮もね引いて、えー波が起きる、浮き沈みもあるけど、みんなで大きい波を作っていこう、それが楽しむことが一番大事じゃないかっていうメッセージをもらってね、今日戦ってきました。誠司さんありがとうございます」
交流戦でバファローズポンタにネタにされたほか、「誠司さんありがとうございます」の部分だけを名前が同じ小林誠司(巨人)や川越誠司(西武→中日)に対して使われることも。
- 【勝ち】西武ファン集合【誠司さん】
- 2022年9月7日の巨人対DeNA戦(東京D)のヒーローインタビューで勝利投手の山崎伊織が「ありがとうございます誠司さん」と発言
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