松山の悲劇

Last-modified: 2021-04-21 (水) 13:29:56

2012年7月3日の阪神タイガース対広島東洋カープ戦(松山坊っちゃんスタジアム)、9回表に起こった出来事の総称。

「松山の悪夢」「松山の喜劇」とも言われる。


概要

この日の阪神は効率的に3得点、先発のジェイソン・スタンリッジから筒井和也→渡辺亮と繋ぎ、広島の反撃を1点で食い止め最終回へ。

 

しかし榎田大樹が順調に2アウトを奪い、あと1人で勝利というところから空気が一変する。
榎田は迎祐一郎・天谷宗一郎菊池涼介*1に3連打を浴びて1点差に迫られ、さらに重盗を決められ二死2・3塁とピンチは拡大。続く梵英心のバットは6球目に空を切り、何とか三振で試合終了…と思いきや、捕手の小宮山慎二が痛恨の後逸でボールは一塁ベンチ方向へと転がってしまい振り逃げが成立*2
その間に3塁ランナーの天谷だけではなく、2走で当時大卒ルーキーの菊池までもが生還。逃げ切り勝ちの寸前で逆転という悪夢に阪神は意気消沈したのか、そのまま試合に敗れてしまった。

 

なお、テレビ中継では一瞬で勝ち星が消え凍りついた表情のスタンリッジ*3、動揺を隠せない阪神ナイン、そして動揺のあまりヘラヘラ笑いしてしまう小宮山という気まずさ全開の映像が次々と電波へ乗ってしまう事態に。
中継していたサンテレビの解説・広澤克実は信じられないといった様子で「何やってんのぉ…」と呟き、実況担当・谷口英明アナウンサーは一連の過程を「松山の悲劇です」と表現、そのまま名称として定着した。また「野球は9回2アウトから」ならぬ「野球は9回2アウト3ストライクから」という言葉も誕生した*4


画像

最大の被害者・スタンリッジの表情。


類似プレー

3年前

広島はこの試合の3年前にあたる2009年7月3日、対横浜ベイスターズ戦(横浜スタジアム)でも牛田成樹から振り逃げで2得点をマークしている。なお、2009・2012年とも広島の先発投手は大竹寛である。

福岡の悲劇 その1

2014年5月6日のソフトバンク対日本ハム戦(ヤフオクドーム*5)でも、似た事例が発生。
日本ハムはソロホームランのみの1得点で、1-0のままで9回裏、抑えの増井浩俊をマウンドに送る。しかし、一死後に内川聖一李大浩長谷川勇也の3連打であっさり同点、長谷川にも盗塁を決められ一死2・3塁とサヨナラのピンチを迎えてしまう。
続く松田宣浩は増井の投じたワンバウンドの変化球に空振り三振。しかし捕手の大野奨太(現中日)が弾きファウルゾーンを転々、その間に3走の代走・明石健志が生還。日本ハムは逆転サヨナラ負けを喫した。

 

なお、この日のソフトバンクの先発投手は同年に阪神から移籍してきたスタンリッジである。*6

松山の悲劇2016

2016年4月17日、坊ちゃんスタジアムで行われたヤクルト対DeNA戦ではDeNAが9回表終了時で4-2とリードしており、9回裏のマウンドには守護神・山崎康晃が登板した。
二死一塁の状況でバッターのバレンティンの打球はサードへのゴロとなり、試合終了かと思われた。しかし三塁手の白崎浩之(現オリックス)のエラーで走者が生還し1点差に。
そこから雄平に二塁打、荒木貴裕に四球で二死満塁となり、西浦直亨が同点タイムリー。
さらに続く中村悠平が左中間へサヨナラタイムリーを放ち、ヤクルトが9回二死から2点差をひっくり返して逆転サヨナラ勝ちとなった。

仙台の悲劇 その1

2017年6月26日の楽天対オリックス戦でも、楽天がスコア2-4で迎えた9回裏二死1・3塁から藤田一也が空振り三振も、平野佳寿の暴投が振り逃げとなり1点差。次打者・松井稼頭央が同点打を放ち、上述と似たケースで敗戦を免れた。

仙台の悲劇 その2

2018年5月4日の楽天対西武戦(楽天生命パーク)で、またも同じような事例が発生。
楽天は2点ビハインドの4回、今シーズン無敗の菊池雄星から一挙4得点を奪い逆転に成功。その後、再逆転されるものの、茂木栄五郎のソロホームランで同点に追いつき、試合は9回の攻防へ。
楽天は抑えの松井裕樹を9回表のマウンドへ。松井は木村文紀にヒットと盗塁を許し、二死2塁のピンチで打者・源田壮亮を迎える。
この場面で松井は低めの変化球で源田から空振り三振を奪うが、このボールを捕手の足立祐一が一塁側へ大きく弾き痛恨の後逸(記録は松井の暴投)。足立が一瞬ボールを見失ったこともあり、この間にランナーの木村は二塁から一気に生還、西武に勝ち越しを許し、楽天はそのままこの試合に敗れた。
「9回表2アウトから」「一塁側にボールを弾いた結果」「振り逃げにより」「二塁ランナーが長駆生還」「勝ち越しを許し」「そのまま敗北」といった点が本家と酷似しており、楽天のチーム状態も相まって大いにネタにされた。

 

また松井裕樹はこの試合「1イニング4奪三振」を達成しつつ敗戦投手となってしまった。

幕張の悲劇

2020年8月20日のロッテ対ソフトバンク戦(マリンスタジアム)で発生。
2対2で迎えた延長10回表、ソフトバンクはチャンスから栗原陵矢の2点タイムリーで勝ち越し、裏に泉圭輔を送る*7がその泉が2アウト一塁からレオネス・マーティンに一発を浴び同点、この時点でソフトバンクの勝ちが消滅してしまう*8
サヨナラ負けだけは避けたいソフトバンクは次打者の安田尚憲に対し嘉弥真新也を送るが安田はヒットで出塁(直後に安田の代走に鳥谷敬が送られる)。ワンポイント登板の嘉弥真はすぐ降板、代わって椎野新がマウンドに上がるも井上晴哉に四球を与え2アウト一・二塁。
そして次打者の岡大海の代打・佐藤都志也に対してのフルカウントからの6球目を椎野が暴投*9、捕手・甲斐拓也がボールを見失う間に鳥谷が二塁から激走、ヘッスラで滑り込みサヨナラのホームイン。*10
ロッテファンはもう後がない状況からの同点、そしてサヨナラ劇に沸く一方、ソフトバンクファンは延長で2点勝ち越しておいてその裏に3人も中継ぎを送り込んで敗戦という酷い展開を見せつけられてしまい、試合後には工藤公康監督の采配を疑問視する声も聞かれた*11。また阪神ファンも鳥谷が活躍したとの報に傷心を癒していた*12模様。

福岡の悲劇 その2

上記と同カードで起こった悲劇。こちらは2020年10月29日のソフトバンク対ロッテ戦(福岡PayPayドーム)で発生。
3対2で迎えた9回裏、ロッテは守護神の益田直也を送り出すが先頭の柳田悠岐に二塁打を許すと続くジュリスベル・グラシアルも四球で出塁させてしまう(グラシアルには代走の釜元豪が送られた)。次打者の栗原陵矢は送りバントを成功させ1アウト二、三塁とし一打サヨナラの場面で松田宣浩を迎える...が二球目を捕手の田村龍弘が後逸(記録上は益田の暴投)したことにより三塁走者の柳田生還の上、田村の返球がちょうど松田の尻に直撃してしまい、二塁走者の釜元が一気に生還*13しサヨナラ負けを喫してしまった。
この敗戦によりロッテはソフトバンク相手では実に2018年5月1日~3日以来の3連敗を喫してしまい、さらには益田も3連敗を喫する事となった*14*15
一方でソフトバンクはこの試合に勝利したことにより球団新記録となる月間20勝を達成した。

松山竜平の悲劇

この試合のインパクトが強烈過ぎたため、広島・松山竜平のプレーが試合の展開を左右するミスを引き起こしたときも「松山の悲劇」というフレーズが使われるようになった。
当の本人は「松山の悲劇」に一切関わっていなかったため、風評被害のような扱いだったが、松山自身守備に難がある選手であるため松山自身のやらかしを「松山の悲劇」というようになった。特に2020年は守備範囲がさらに狭くなったことから悲劇を頻発させている*16

事例1

2016年6月26日の広島対阪神戦(マツダスタジアム)に先発した阪神・岩貞祐太は8回1安打2失点の好投も、9回に2安打と敬遠などで二死満塁。あと1アウトで完投勝利というところで不振だった會澤翼の左前打で追い付かれ降板。ここで金本知憲監督は抑えのドリスをマウンドに送り、緒方孝市監督は代打に松山竜平を起用し互いに勝負を賭ける。
松山は左中間へ平凡なフライを放つが、レフト・俊介とセンター・中谷将大が激突して落球*17し、3走・赤松真人が生還。阪神は3タテを食らう3-4の逆転サヨナラ負けと、再び松山の悲劇を味わった。一方の広島は9連勝とまさしく松山の喜劇である。

 

一方、他球場では同年ロッテに移籍したスタンリッジが登板し、勝ち星を挙げていた模様

事例2(正真正銘松山竜平の悲劇)

2016年10月25日の日本ハムと広島による日本シリーズ第3戦。1点リードの8回裏に4番手のジェイ・ジャクソンが二死1・2塁のピンチを招くと、4番・中田翔の浅いフライをレフト・松山がスライディングで後逸逆転を許してしまう
元々守備に難のある松山にとって難しい打球であり、試合終盤のリード時に守備固めを行っていない緒方采配に批判が集まったが、広島ファンがいつかはと恐れていた「松山の悲劇」と呼ぶべき出来事がよりによって日本シリーズで炸裂してしまった。
この時点で、前年は「隙あらば野間」と揶揄される程に起用していた野間峻祥が控えていたため「今こそ野間の出番だったのに」「何故ここで使わない」と話題になった。

 

なお、この後広島はホームで2連勝した勢いは何処へやら、前年に戻ったかのような試合運びを繰り返して日本ハムに4連敗を喫し日本一を逃した

事例3(松山が仕掛けた悲劇)

2017年6月23日の広島対阪神戦(マツダスタジアム)の1回裏、先頭打者・田中広輔の打球はレフト・福留孝介*18が頭上にかざしたグラブをかすめた末に行方不明になってしまったため、当初はホームランと判定。
しかし阪神ベンチからビデオ判定を要求されリプレー映像で確認した結果、ラバーの裂け目からフェンス内部へ打球が飛び込んだことが判明、エンタイトルツーベースとなった。その後田中は続く菊池涼介の内野安打で3塁へ、そして丸佳浩の二塁打で生還。試合終盤にも打線が爆発した広島は13-3で大勝した。
後にサンケイスポーツ取材で、松山が過去にラバーフェンスへ登って打球処理を試みた際、スパイクの刃がラバーに当たった影響で偶然できた裂け目にボールが入ったことが判明。一連のプレーで一切関わっていないにも関わらず松山がこの悲劇の黒幕と認定されるなど、阪神は3度目の「松山の悲劇」を味わったのである。

事例4(松山竜平の悲劇 その2)

2017年8月1日の広島対阪神戦(マツダスタジアム)の7回表、上本博紀のレフトオーバーの打球を松山が追うも捕れず、フェンスで跳ね返った打球はセンターに流れてランニングホームランを献上。阪神は一点差に迫った。
なお、上本は線犯と化した模様。

事例5(松山竜平の悲劇 その3)

2019年4月10日の広島対ヤクルト戦(マツダスタジアム)の10回表、9回から回跨ぎ中崎翔太は、先頭の中村悠平にヒットを打たれて無死1塁、続く荒木貴裕はファーストへのゴロに打ち取るが一塁手の松山が併殺を狙って2塁へ悪送球してしまい両走者を残してしまう。これを皮切りに打者16人に対して延長戦での1イニングでの失点記録を更新する12失点*19を食らい、その前2試合と合わせて34-4という記録を打ち立ててしまった。

事例6(松山竜平の悲劇 その4+おまけ)

2019年4月16日の巨人対広島戦(鹿児島)、鹿児島出身の松山*20はプロ入り後初めて地元開催の試合に出場したが、打っては3打席無安打で4打席目に代打を送られ、レフトを守っては2回裏二死一・三塁でクリスチャン・ビヤヌエバの正面へのフライを捕ろうとして照明狙撃を喰らい後逸。走者を一掃してしまった。

 

また、この試合の6回裏無死一塁、打者・小林誠司の場面、投手菊池保則暴投で走者の山本泰寛を三塁まで進めてしまうと、次の投球で小林を空振り三振に取るがこれまた暴投に。その間に山本が生還し失点を喫した。

 

結局、「松山竜平の悲劇」と本家本元の「松山の悲劇」が夢の共演を果たすこととなった。
さらにこの日、阪神は坊っちゃんスタジアムでヤクルトに敗れた模様

事例7(松山竜平の悲劇 その5)

2021年の開幕戦、3月26日の広島対中日戦(マツダ)にて、広島は序盤に中日先発の福谷浩司を攻略し7回終了時点で4-0とリードしていた。
しかし8回表、広島先発・大瀬良大地が一死満塁のピンチを招くと阿部寿樹にレフトにヒットを打たれる。これをレフトを守っていた松山がファンブルし中日に2点が入る。
これを皮切りにその後も代わった投手が次々と打たれ、8回に5点を奪われ逆転される。更に直後の裏の攻撃では、無死一二塁の反撃のチャンスで松山が打席に立つも併殺打。結局広島は開幕戦を逆転負けで落としてしまったのだった。
試合後、松山の守備が一塁外野どこでもお粗末なことを知る広島ファンからは松山及び松山に守備固めを出さなかった佐々岡真司監督に対し非難が集中した。

関連項目


*1 これが菊池のプロ初打点である。
*2 記録は梵の三振+榎田の暴投。暴投の原因はサイン違い説が有力。
*3 この年のスタンリッジは援護率1.98と凄まじいムエンゴ。中継ぎにバッテリーミスが出たことで貴重な勝ち星が消えてしまったため、こうなるのも残当といえる。
*4 なおこのワードが出た際に「試合終わってるやん」などと突っ込むと確実にお客さん扱いされるため注意。
*5 現在の名前は「福岡PayPayドーム」。
*6 スタンリッジは2007・2008年にもソフトバンクに所属しており、6年振りの復帰となった。
*7 クローザーの森唯斗は9回に送り込んでしまい回跨ぎもさせにくい状況だった。
*8 この年はコロナの影響で延長は10回の表裏まで。
*9 なお、佐藤はバットを振っていないため、打席結果的には振り逃げではなく四球扱いである。
*10 鳥谷は安田の代走だったため、敗戦投手は嘉弥真である。
*11 特に同点弾のマーティンも安田と同じく左打者なのに、その場面で嘉弥真を出さなかった点が批判されることが多い。
*12 この日の阪神は巨人の先発・戸郷翔征ら投手陣の前に打線が沈黙し完封負け
*13 9回表には荻野貴司が本塁で刺殺されてしまっていたため対比されることとなった
*14 ちなみに3連敗のうち前者2敗は、10月20・21日に行われた西武戦でのサヨナラライトフライと翌日のサヨナラ。2020シーズンにおいては、西武戦を除くとこのソフトバンク戦が益田の唯一の黒星。
*15 更に田村はこの翌30日の楽天戦でも、1-1の同点で迎えた8回表1死1・3塁の場面3ボールから、澤村の低めの球を受け止められず股をすり抜ける形で後逸してしまい、3塁の浅村栄斗が生還した事で勝ち越しを許しこれが決勝点となってしまう出来事も起きている。
*16 守備範囲もそうだが、それ以上に捕球技術が一塁手としては致命的である
*17 記録は中谷失策。ちなみに俊介は担架で運ばれ退場、翌日に右膝打撲で一軍登録を抹消された。
*18 余談だが、この時まで福留のレフト経験は1999・2001年に僅かしかなかった。
*19 幸いなことに最大の被害者である中崎の自責点は0。
*20 榎田の小学校の1学年先輩でもある。