阪神タイガースの蔑称。金本知憲政権の2018年シーズン終盤における阪神の急失速、および最下位転落に由来する。
概要
榎田大樹は2010年に大石達也の外れ1位で阪神に入団。元々は先発型だったがチーム事情もありセットアッパーとして活躍するも、2012年に酷使の影響で怪我をしてからは大半が二軍暮らし*1だった。
しかし2018年のオープン戦中に岡本洋介との交換トレードで西武に移籍すると、シーズン通して先発の座をほぼ守りきり、キャリアハイの11勝をマークし、リーグ優勝に貢献した。
そして2018年9月30日の西武リーグ優勝会見では、
「正直、去年の今頃の自分を考えると天国と地獄じゃないですけど、すごい差なので西武に来られてよかったなと思います」
この発言をそのまま読み取れば「天国と地獄」は自分に対し掛かっている言葉だと分かるが、なんJでは「リーグ優勝した西武は天国、この年セ最下位に沈んだ阪神は地獄」といった古巣侮辱に受け取れるとして騒ぎになり、一部阪神ファンから名誉外様認定された。
なお、榎田は後に「阪神時代はチームに貢献出来ず、地獄のような野球人生だった」と改めて発言の真意を語っている。
蔑称「地獄」の誕生
この発言以降、結果の出せない金本政権および首脳陣や球団フロントに失望した阪神ファンが自虐ネタとして「地獄」を使うようになり、集合スレタイも「阪神ファン」ではなく「地獄」と書いたり、「ちな獄」と名乗るなどのケースも増えている。
この年の天国(西武)と地獄(阪神)
西武は野手能力が非常に高く、多少の失点ならすぐに野手が取り戻していた。そのためバッテリーも思い切った攻めが可能になり、シーズン後半は投手成績も向上する好循環が生まれ、10年ぶりのリーグ優勝を果たした。
一方の阪神は、オープン戦は最下位を爆走。シーズン中も投手指標は良いものの、打撃指標・守備指標は共に12球団中最下位レベルで藤浪晋太郎*2以外がムエンゴに苦しむ。さらに9月以降は野手陣に故障者が続出し、ただでさえ援護されにくい投手陣が更に勝ちにくくなる悪循環に陥った*3*4。下旬からはAクラス争いなど無かったかのように負けを重ね、最後はついに17年振りのペナントレース最下位に転落してシーズン終了となった*5。
途中まではAクラスが狙えたにも関わらず、急失速で最下位に転落したことに当然阪神ファンは激怒。親会社の阪急阪神HDもこの年のオープン戦とペナントの最下位を問題視して、金本知憲監督の3年契約を1年で破棄して更迭。加えて坂井信也オーナーも解任され、後味の悪い形でのシーズン終了となった(事の顛末はこちらも参照)。
国際試合での地獄
2018年11月7日、日本代表の壮行試合(台湾戦)で登板した岩貞祐太は1回5被安打5失点の大炎上で敗戦投手となる。
しかも台湾側で最後に登板した投手が元阪神の鄭凱文(ジェン・カイウン)であったがこちらも出来が悪かったため、なんJでは【地獄】スレが乱立し大荒れ。岩貞は散々叩かれさらに阪神そのものが戦犯扱いされた。
阪神選手の地獄の反応
2019年1月30日放送の『戦え!スポーツ内閣』(MBSテレビ:関西ローカル)で、能見篤史が新加入の西勇輝に「いばらの道に来たな。オリックスの選手たちは楽しくやっているという感じを受ける。阪神ではそれは無理」と発言。横浜からオリックスを経て入獄した桑原謙太朗も「オリックスにいたときは(野球が)楽しかった」と発言するなど、この頃の阪神からは横浜の暗黒時代に近い声すらも度々聞かれるようになっていた。
ただしこれらは「阪神が人気球団であるがゆえに特にマスコミやファンの目が厳しく、常に緊張感を強いられるため楽しんでいる余裕などない」という、戒めの様な意味の発言であるのかも知れない。
余談
- 阪神は2018年シーズン開幕直前、「平成最後の覇者は、俺たちだ」というフレーズをテレビCMなどで展開したが、終わってみれば「平成最後の最下位は、俺たちだ」とファンからネタにされる格好になってしまった*6。
- 2018年シーズンのチームUZRは、12球団中トップの西武が+68.5、11位のDeNAが-40.0に対し、阪神は-71.2。DeNAの約1.8倍、前年(-56.9)の約1.25倍という驚異的な指標を叩き出している。
- 榎田の交換相手の岡本は西武時代は謎の勝ち運投手扱いされながら、阪神時代は勝ちに恵まれなかった挙げ句2019年に戦力外通告を受けそのまま引退*7したため真の地獄を味わったとネタにされた。
- 2018年オフに西武・浅村栄斗がFA権を行使、楽天へ移籍した際に同僚の山川穂高が「ライオンズで10年やったし、仕方ない」「おめでとうございます」と、まるで西武から脱獄したような発言をしたことから、「阪神が地獄ならウチは監獄」と自虐する西武ファンも一部いた。
- 元阪神監督の吉田義男は、第2期監督時代(1985年~1987年)のコーチ陣(現在は当時の在籍選手も加わっている)と共に「天地会」という親睦会を作っているが、天国(1985年の優勝・日本一)と地獄(1987年の最下位、勝率.331、現在でも球団史上最低勝率)の双方を体験したことがこの名前の由来である。
2019年以降の地獄関連
- 2019年序盤、広島東洋カープが開幕ダッシュに失敗し、「赤ヘル打線」を捩って「赤HELL」という蔑称が誕生した。
その他の用例
創成期の東北楽天ゴールデンイーグルスを指すこともある。こちらの元ネタは田尾安志(阪神OB)が楽天球団のフロントから初代監督就任を打診された際、「俺を地獄に落とすのか」と発言して一度は就任を拒否したことから。