美しい事件、美しい痕跡、美しい推理とは

Last-modified: 2015-09-23 (水) 10:52:58

上手く完結する気はしないが、表題について論じたいと思う。犯人とトリックの結びつき、痕跡が残るトリックしか使用できない、どのどういう痕跡を信じるか、信じていいのかという後期クイーン問題、
叙述トリック、フェアアンフェア、唯一解。こういったミステリの様々な様相をこれまで検討してきたが、それらの根源的な答えとして、
ミステリのあり方・・・痕跡や情報から犯人やトリックを追い詰めていくという論理的構造体における理想的な形―――美しい構造が存在するのではないのかと思ったのである。
美しいとは主観的でしかないが、ダヴィンチが黄金比を発見したように、ある程度万人共通なパターンは存在すると思う。
なお、名探偵の姿や事件の要素等の、そういう物語的な点ではなく、あくまで論理的構造体としての(論理の結びつきとしての)、美を考えてみたい。




ミステリという論理的構造体

・事件 incident


(6w3h群)
・犯人 who done
・トリック how done
・動機 why done
・被害者・共犯者 whom
・時 when
・場所 where
・謎の行動 what,whatmean
・数量・金額 howmuch,howmany


・情報・条件・痕跡 trace
・情報・痕跡らを結びつけた推理 reasoning


・ミスリード用の犯人や情報・痕跡 mistrace
・ミスリード用の推理 mislead



上記の項目らの組み合わせによって、ミステリの論理的構造は構成されている。一番シンプルな構造を例にとれば、以下のようになる。

I(事件)
 →XT1(Xに関わる痕跡の1つ目)
  →R(推理)
   →X(犯人)


とこういうアプローチで様々な構造をパズルのように組み立ててみて、点対称な2つの事件の構図、複雑に見えているものの、
最初の事件の痕跡とある事件の痕跡をあわせると一気に実はゴールまで飛べてしまう構造等、美しい構造を発見できないだろうか。






ミステリの基本的な構造

基本的に問題となる事件には、6w3h群の1つ以上の不明な点が用意される。犯人がわからなかったり。動機がわからなかったり。どういう方法でこの事件を起こしたのか説明がつかなったりするのである。
あるいは、一見すべて筋が通り不備なく見えるが、実は不自然な点や傷が用意されていて、その痕跡を発見し、推理をすれば、別の出来事や別の真相を導けるという構造になっている。