序盤の主力艦整備方針と海上封鎖戦略に関する考察

Last-modified: 2021-08-03 (火) 23:10:01

1.はじめに

 1900-1910年は、前ド級戦艦から超ド級戦艦まで、戦艦が飛躍的に進歩した時期でした。ゲームとしても時期によってバランスが大きく変わるため、多様な設計ができる楽しい期間だと思います。このページでは、筆者が設計時に考えていることや、戦力整備方針を紹介したいと思います。攻略上おすすめというわけではなく、一つの考え方として参考になれば幸いです。
(ver1.23環境を前提としています。設計例はフランスプレイ時のものです)

2.システムや砲性能などに関する考察

 ここでは、筆者の個人的な考えを書いていきます。誤りや一般的でない考え方も含まれると思いますので、参考程度にお考えください。

2.1 排水量、速度と機関重量の関係について

 RtW2の排水量・速度と機関重量の関係は一定の計算式で決まっているのではなく、ゲームデータの所要馬力テーブルを用いて算出されています。このテーブルですが、値の設定がなめらかではなく、特定の排水量・速度の組み合わせが有利・不利といった偏りを生じています。
 例えば、9,000-14,000t,16000tの19-20knは不利な領域で、速度のわりに多くの所要馬力を要求されます。一方、15000tの19-20knは若干有利な値に設定されています。設計画面で14000t,20knに設定し、そこから16000tまで排水量を増やしていくと、14000t→15000tでは排水量が増大しているのに機関重量は減少し、15000t→16000tでは機関重量が急増することがわかります。

2.2 海上封鎖と戦力値

 海上封鎖(Blockade)は、本国海域において両海軍の戦力値にある程度差があれば成立します。海上封鎖を成立させることが可能ならば、Raider任務で敵商船を狙わなくても敵を戦争疲弊に追い込むことができます。
 戦力値の計算は、艦種ごとに1隻あたりの戦力値が決まっており、排水量で若干補正を受けるようです。排水量の小さい艦、同排水量ならより大型に分類される艦のほうが、コストのわりに戦力値を稼げるようです。また、戦力値は、ActiveFleet(AF)またはTradeProtection(TP)の場合にのみ加算され、RF,MB,R,WUの場合は戦力値を得られません。
 筆者は欧州プレイの場合、海上封鎖用の艦艇群(以下、封鎖艦)を整備し、敵の本国海域にTP任務で配置しています。これにより、封鎖艦により戦力値をかさ上げしつつ、戦闘力の低い封鎖艦が戦闘に動員されるのをある程度防ぐことができます。

(参考)1隻あたり戦力値の例
KE(600t):0
DD(500t):1
CL(2100t):3
CL(4000t):4
CA(4100t):5
CA(8000t):6
B(6000t):8
BC(8100t):11
BB(8100t):11

2.3 ROF(射撃速度)と挟夾(straddled)

 まずシステム上の問題として、挟夾前はROFに-20の補正が、挟夾後はROFに+20の補正がかかります。補正値の単位が不明ですが%単位であると仮定すると、挟夾前後で1.5倍(120%/80%)も差が出ると考えられます。ところが、1900年時点では他の要因からROFが低い上に命中率が低いため挟夾が得にくく、敵味方どちらかがきつい変針を行うとすぐに挟夾がくずれます。結果的に、同航戦以外では挟夾を得られないまま交戦している時間が多くなります。このため、筆者は、序盤はROFの低い大口径砲が不利になりがちであると考えています。
 BasicROFは、交戦距離が短いほど上昇するようなので、ROFの低い大口径砲でも近距離同航戦ならば挟夾を得やすくなります。筆者は、序盤から14in砲を採用している場合、魚雷射程ギリギリまで寄せて砲戦をする場面も多いです。逆に、序盤の中遠距離戦では、11in砲(HE弾)も有効であると考えています。

2.4 主砲口径

 筆者は、前ド級(B)の主砲としては、前ド級を14in世代のド級戦艦(BB/BC)と併用する予定であれば13in/14in砲を採用し、早期に廃艦予定の場合は11in砲または12in砲をHE運用前提で採用しています。
 1900-1905年は対戦艦ではAP弾の貫通も期待できないため、HE弾を中心としています。1907年ごろには、ドクトリンはAP弾中心に切り替えています。AP弾中心になると、AP弾の貫通が見込めない11in/12in砲艦の打撃力が大幅に低下するため、廃艦を検討しています。13in砲艦は砲の換装さえできれば戦力外にはならないものの、14in砲に比較すると劣ると考えており、戦力に余裕があるなら廃艦候補と考えています。
 英仏プレイであれば、14in砲の早期開発により前ド級を14in砲艦で統一することも可能です。

 筆者の主観ですが、主力艦の主砲口径に関して以下のように考えています。

8in砲:序盤はROFにペナルティがかかり、9in砲よりROFが低くなるため、序盤のCAには採用していません。
9in砲:10in砲よりかなりROFが高く、近距離貫通も10in砲に匹敵するため、序盤の主力砲として採用しています。
10in砲:9in砲より遠距離貫通に優れるため、交戦距離がのびる1920年以降のCAで採用しています。
11in砲:大口径砲としてはROFに優れ、軽量です。戦艦に対してAP弾による貫通は期待できませんが、序盤のHE弾主体の時期であれば使い勝手が良いと思います。
12in砲:11in砲よりROFが低下し、貫通力、特に近距離貫通が大きく向上します。バランスの良い主砲ですが、AP弾の貫通力は戦艦に対しては不足と考えています。
13in砲:12in砲よりROFが低下し、遠距離貫通が大きく向上します。貫通力の観点から14in砲艦と運用を合わせやすいかと思います(12in砲と比較して)。
14in砲:13in砲とROFは同等、貫通力は大きく向上します。バランスの良い優秀な砲として採用しています。
15in砲:14in砲よりROFが低下し、貫通力の差も大きくはありません。14in砲より劣るわけではありませんが優位性が小さいので、筆者はあまり採用しません。
16in砲:15in砲とROFは同等、貫通力は大きく向上します。筆者は非常に優秀な砲と考えており、中盤を通じて主力砲としています。

(補足)
 砲質(Gun Quality)が-2の場合、ROFに-20の補正がかかるため、13in砲(砲質-2)はHE運用でも額面通りの火力を発揮できません。初期艦に13in砲(砲質-2)を採用する場合、将来的に主砲換装する前提になります。
 主砲の貫通力、距離減衰や射撃速度などはテーブルで決まっていますが、実際には様々な補正がかかっているようです。上記の主砲口径に関する考察は、テーブル上の性能値を参考としています。

3.設計例

 機関重量で若干有利な15000t 19/20kn、18000t 19knを使ってみようという趣旨で主力艦を設計したものです。
 主力艦については、後述の主力装甲巡洋艦が序盤の正面戦力を担います(戦艦は主戦力ではありません)。
 封鎖艦については、潜水艦や機雷の脅威が小さい序盤は前ド級戦艦を封鎖艦の主力として、対潜・対機雷は旧式駆逐やKEに任せています。1905年以降、潜水艦が増えてくると封鎖用駆逐艦などを順次生産して対応します。
 ForeignStationsは600t級KEのみで条件を満たしています。

3.1 装甲巡洋艦 15000t, 20kn

EarlyDesignsWithBlockade_CA-1900.png
 分類上は装甲巡洋艦ですが、事実上の前ド級戦艦です。CruiserBattle等に前ド級戦艦を持ち込むことを狙っています。
 B装甲だけでなくBE装甲も戦艦の12inAPを防げる厚みとすることにより、全体防御を完全に成立させる設計を採用しています。主な交戦距離は4000-7000ydとしています(1900-1907年)。砲戦での生存性は非常に高く、対巡洋艦に限れば1920年でも通用します。喪失要因としては、火災、被雷/衝突による浸水が主になります。
 D装甲は、序盤は1inあればほとんどのAP弾を防げるものの、後の時代のことも考えて1.5inを使用しています。DE装甲へも命中する機会は多いのですが、重量の問題から非装甲としています。TT装甲(主砲塔上面)は、重量が軽いこともあり2.5in装甲を採用しています。序盤はAP弾よりHE弾のほうが水平装甲への貫通力が高く、6inHEでも2inを貫通される恐れがあります。このHE貫通で主砲塔誘爆が生じうるかは知りませんが、念のため重装甲としています。
 副砲防御は2inとしています。2in未満の場合、断片により被害で副砲が無力化されてしまうためです。また、重量の問題で厚い装甲を施すことも難しいため、主砲の直撃で破壊されることは許容します。副砲口径が増大すると、破壊されたときに副砲誘爆を引き起こす可能性が出てきます。そこで、副砲誘爆の恐れの小さい(ない?)6in砲を副砲に採用しています。
 コンセプトとして15000t,20knの採用が先にあっての設計ですが、実用的には、15700t,21knなどで設計したほうが使い勝手は良いかもしれません。

3.2 初期前ド級戦艦 15000t, 19kn

EarlyDesignsWithBlockade_B-1900.png
 将来的に14in前ド級級と艦隊を組むため13in砲を搭載していますが、主砲換装するまで火力は期待していません(序盤はHE主体のため貫通力は問題なし)。1910年ごろまで通用する装甲厚として12inのB装甲を備えています。装甲範囲はnarrowであり、BEも非装甲であるため、上記の装甲巡洋艦よりかなり損害を受けやすくなります。

3.3 後期前ド級戦艦 18000t, 19kn

EarlyDesignsWithBlockade_B-1901.png
 英仏プレイであれば艦砲を優先的に研究することで、運に左右されるものの1902年前後には14in砲を開発できます(本プレイでは1901/9に開発完了)。14in砲を搭載しつつ、1910年以降の敵主力戦艦とも戦えるよう、B装甲は15.5in厚としています。

3.4 封鎖用前ド級戦艦 6000t

EarlyDesignsWithBlockade_BR-1900.png
 海上封鎖を目的とした非戦闘用前ド級戦艦です。6000t級を採用した理由は、敵Raider艦を撃退するためと、対日米でRaider艦に転用する可能性もあるためです。戦力値あたりのコストでは、4100t級のCAよりも若干安くすみます。
 運用上の利点として、敵のRaider艦が撤退を選択するため、艦の損失を避けつつ通商破壊を阻止できることがあげられます。欠点は、対潜能力を持たず、機雷戦にも貢献できないことです。
 政府から戦艦建造を要求されたとき、本級を追加建造すれば負担は小さくてすみますので、少数のみ生産するという手もあります。

3.5 封鎖用駆逐艦 500t

EarlyDesignsWithBlockade_DE-1902.png
 海上封鎖を目的とした非戦闘用駆逐艦です。
 運用上の利点として、コストあたりの戦力値が高いこと(6000t級前ド級戦艦の2倍弱)、対潜、対機雷にも対応可能なことがあげられます。欠点は、敵のRaider艦を撃退できないことです。体感的にTP任務でも戦闘に引き込まれやすいように思いますが、よくわかりません。大量建造した場合、名前のストックがつきて1隻ずつ命名しなければ建造できなくなります。

4.フランスプレイでの運用例

艦隊規模 Super Large、初期艦手動設定あり、にて開始。

4.1 初期艦

建造済み:装甲巡洋艦14隻、前ド級戦艦1隻、封鎖用前ド級戦艦3隻、他DD/KE
建造中 :封鎖用前ド級戦艦25隻

1900-1907年までの主力は装甲巡洋艦です。対英戦を考慮しなければ初期艦の14隻だけで十分なので、原則として追加建造はしません。封鎖艦は戦争までに数が揃えば問題ないのでのんびりと拡張していきます。
(初期艦の前ド級戦艦は、15000t,19kn艦を配備するために(筆者の遊びで)作っているだけで、早期に14in砲前ド級戦艦を建造開始する本プレイ方針においては完全に不要です)

4.2 14in砲の開発

1901年9月 14in砲開発完了、後期型(14in砲搭載型)前ド級戦艦の整備開始
14in砲が完成したら、18000t,19knの前ド級戦艦戦艦を順次建造開始します。後期型前ド級戦艦が配備開始された時点でDoctrinの大口径砲をHE主体からAP主体へ徐々に変更しています。

4.3 実戦:仏墺戦争(1907/9-1908/9)

対独・対伊開戦を目指して外交的挑発を繰り返すもほとんどTensionが上がらず、現時点では戦いたくないイギリスのTensionが危険域に。やむを得ず対墺戦を開始しました。戦争を通じて、墺海軍のCA11,CL4,DD17を撃沈、仏海軍はTP任務のDD1のみ喪失。常時海上封鎖することにより、1年で革命が発生し終戦しました(勝利ポイント10Pもらっても4Pのダルマチアしか割譲対象がありませんが)。決戦はすべて墺海軍が回避したため、残念ながら戦艦の出番はありませんでした。
独伊墺が相手なら封鎖用前ド級戦艦をそろえれば、十分に海上封鎖できます。フランスは北ヨーロッパ海域と地中海海域の両方にHomeAreaを持っているので、敵本国海域への展開が楽です。

4.4 装甲巡洋艦の戦術運用について

 RtW2において、主砲を両舷配置しても1隻しか砲撃できませんが、副砲は左右両舷で独立して戦闘可能です。つまり、主砲、左舷副砲群、右舷副砲群、で合計3隻を同時に攻撃可能なシステムとなっています。そこで状況によっては、左右両方に敵を置くことで副砲火力の最大化を狙う機動も有効だと考えています(特に追撃時)。
 基本的には砲戦で速力が低下した敵を追撃・撃沈していきます。本戦略においては、戦争の勝敗は主に海上封鎖で決まること、敵が戦闘を回避することでVPが入ってくるため、戦闘でVPを稼ぐ必要がないことから、敵を無理に追撃する必要はあまり感じません。

5.参考情報(ゲームデータ)

 上記の設計で参考にした情報(ゲームデータ)について、リンク先に追記しています。内部的なデータの解析になりますので、別ページに分離しております。

グラフで見るゲームデータ