怪文書(AA-12)

Last-modified: 2020-11-03 (火) 13:34:38
ハロウィン
 

AA12は後悔していた
何故ならハロウィンというヨーロッパの奇祭に浮かれたグリフィン基地の中を出歩いてしまったからだ
「AA12!トリックオアトリート!お菓子ちょーだい!」
仮装したFNCが楽しそうに呪文を唱える
「はいはい…」
自分のいつも常備している飴をいくつか分け与える
「わーい♥ありがとー!これあげるね!」
FNCは嬉しそうにしながらいつも食べているチョコレートを一つAA12に渡し走り去っていく
AA12はこの日コスプレした人形達に妙に声をかけられお菓子をせびられていたのだ
糖分不足で重い頭、最後の飴はFNCにあげてしまった
手元にあるのは苦いチョコレートだけ
限界を迎えて中庭のベンチに座り込み目を閉じる
「何やってんのよAA12…体調でも悪いの?」
MP7の声が聞こえ半目を開けるAA12
糖分不足のメンタルモデルが思考を半分停止している中に現れた飴を舐めている人形の姿に無意識部分が反応し体を勝手に動かした
「ん!むぐ…んんん~~♥♥♥…ぷはっ…なにすんのよ!」
MP7はその場に押し倒され口の中の飴を口移しで奪われた
「しょっぱ…」
AA12はゴリゴリと音をたてて飴を噛み砕きフラフラとした足取りでその場を去っていった
その後ハロウィン中にキス魔のZOMBIEが現れという話題が掲示板を盛り上げていた

 
雌犬め…
 

「…きも」
AA12は辟易していた
何故ならここ最近MP7が指揮官に執拗に絡んでいたからだ
「飼育員飼育員!今度は街に出来た新しいクレープの店に一緒に行こうね!」
カリーナから作戦報告書を受け取りにデータルームへ向かっている最中にまたあの雌犬が指揮官にまた絡んでいる様を見てしまったAA12はさっさと用事を済ませ宿舎へ帰った
「…きも」
沸々と胸の奥から湧き上がる感情を必死に堪えようとするも心の器からは感情はあふれるばかりだった
AA12は居ても立っても居られなくなり宿舎を飛び出し走り出した
(あの雌犬め…私をよくもコケにしやがって…見せつけやがって…まだ処女の癖に…!)
溢れ出す感情は怒りなのか憎悪なのかも分からなくなっていたAA12は目標を捉えるとその場に組伏せ身体を重ねた
「ちょ…!いきなり何すんのよAA12!」
MP7は抵抗しようともがくがタガが外れたSG人形の腕力に敵わず抜け出せない
「原始人みたいに暴力で解決するなんてバカバカしい事はしないから安心していいよ…最先端の人形として最先端な方法で問題を解決するだけだから…」
そう言ってAA12はMP7の唇に自分の唇を重ねた
「しょっぱ」