怪文書(M14)

Last-modified: 2020-12-27 (日) 23:28:15
朝から…

「指揮官!私…もう我慢出来ません!一緒に鐘を鳴らしに行きましょう!」
「あ、朝からか…?まあ君がそう言うなら…」
若干困惑の表情を見せた指揮官であったが、同意を示すとM14の肩に手を置いた。
きょとんとしたM14は指揮官に唇を奪われるとそのままベッドに押し倒された。
………
「ああっ!指揮官っ!いっ…なんっ、でっ!んんっ!」
M14は困惑と疑問の声は後背位で挿入された指揮官の肉棒から与えられる快楽で上書きされる。
状況を理解しようと頭を働かせても耳に入る水気が存分に混じった注挿音を己の秘部が上げているという事実が羞恥を煽り、それがまた快楽をかき立ててしまう。
「いや、鐘を鳴らすくらい君を鳴かせてくれってことかと…」
「そんな、わけっ…んっ!ないじゃない、ですかっ、ぁ、あぁ!!」
字面だけは否定していたが、自分でもその声は男を高ぶらせるための嬌声にしか聞こえない。
「だから、声は我慢しなくていいよ」
激しいピストンとは裏腹にさわさわと優しく頭を撫でる指揮官の手と囁き声。
彼の優しさにM14は完全に流されることにした。
「いいっ!そこっ、そこ、好き…ですっ!!もっと激しくていいですから…!!」
腕を捕まれたまま腰を突き上げられ、指揮官の男根が秘部をかき分ける。私はここを弄ってほしいです、という肉欲と恋慕の思いを乗せて指揮官が突き易いように腰をゆらゆらと動かせば、指揮官は即座にその箇所を剛直なモノで抉る。快楽と共に彼が応えてくれる充足感にまた嬌声を上げる。
「指、揮官っ、ぃき、ます、私もう、無理ですっ!いかせてっ!指揮官も、一緒にぃっ…!」
喉が押し潰されるような快楽と懇願の声を上げると指揮官が一際強く突く。
「ぃぃいっ!ぁっ、あああっ!!!」
ただオルガスムスだけに任せて叫びながら、己の中に注がれる指揮官の欲情の溶岩の感触を懸命に味わった。
………
ベッドに突っ伏し肩で息をするのに必死でいつからか指揮官に頭を撫でられていたのに気付いた。
「…どうでしたか?」「すごく良かったよ」
無意識に自分の「味」の感想を確かめてしまったM14に、指揮官は少し気恥ずかしげに満点を出した。
また深呼吸に戻るM14の感覚センサーはベッド由来の指揮官の匂いで満たされる。大好きな人の、大好きな匂い。
でも、少し物足りない。すぐ隣に本人がいるのに、ベッドの匂いだなんて。
「…M14は満足できた?」
指揮官の問いの意味を思考回路に掛けて意図を導き出すその前に、彼女は自分の顔が淫らに笑みを浮かべてしまうのを自覚した。
「…もっと鳴かせて欲しいです」
キスで応えた指揮官を脚で絡み取りながら、M14はベッド越しではない彼の臭いと味に再び没頭した。

鐘ちゃんとクリスマスin2020
M14は疲れ果てていた。

せっかくのクリスマスに激務が与えられたからだ。
いつものゴミ掃除かと思いきや、蔓延する感染者に加え、見慣れない白い連中や訳のわからない主義主張で狂って頭のイカれた反乱軍。
その上にまるでネームドのような塗装をした鉄血までもが入り乱れ、街一つを舞台にしてクリスマスパーティと相成った。
それでもM14は成し遂げた。
飛行場を守って味方の傷ついた部隊を撤退させ、死都と化した街でイキる反乱軍に銃弾で十字を刻み込んで鎮圧し、汚染された地域を駆け抜け、ついでに無意味になった浄化塔を重装部隊の援護で叩き折ってきた。
それができた理由は、一重に指揮官の存在である。
基地の中で指揮官を敬わない者はいない。
この世界で誰よりも"私たち"を愛してくれる唯一無二の人…とは言いすぎだろうか。
作り物の私たちを、親が子にするように育み、尊び、過ちを叱り、成果を褒め、兵器としてではなく一つの個として生かしてくれる。
だからM14は指揮官のために戦った。何よりも、M14は指揮官を守りたかったからだ。

皮肉の効いたクリスマスパーティから帰還し、皆が着の身着のまま安息を貪って夜明けが近づいた頃。
M14は指揮官を探していた。
指揮官の私室を尋ねたが、乱雑に脱ぎ捨てられた制服と石抱きに処され悶えるマゾ豚の置物となったMk48があるだけだった。
「どこにいるんだろう…」
胸の内がちくりと傷んだ。
別に特別な関係があったというわけではない。そもそもこの基地の人形は指揮官と繋がった竿姉妹である。そんな事は今更だ。
どんな戦いをしたのか、どれだけ助けたのか、どれだけ敵をやっつけたのか。
そういう話をして、あの人に褒められたかった。
まるで飼い犬にするようにわしゃわしゃと撫で回されて、褒め言葉を浴びながら抱きしめられたかった。
大切な一日をクソッタレな任務に費やしたのだから、指揮官に頑張った事を認められたかった。
ただ、それだけのために指揮官を探していた。

司令室で今回の諸々を確認しているかと思ったが、指揮官のワイシャツを抱えて丸まったG41が寝息を立てているだけで指揮官はいなかった。
カリーナさんと一緒に倉庫で基地の備蓄をチェックしているのではと思ったが、そこにはいたのは手当り次第に貪るSPAS-12とせせこましくチョコを貪るFNC、そしてFNCを見て涎を垂らすSaiga-12だった。
データルームには書類を偽造するPx4が、格納庫には目をキラキラさせながら重装部隊を見つめるThunderが、宿舎ではFALとFive-seveNが今夜の指揮官を賭けてレズバトルをしていた。
物音がした妖精宿舎も覗いたが、妖精がルイスから逃げまわっているだけだった。

作戦後に指揮官が向かいそうな施設を一つずつ探したが見つからなかった。
「はぁ、早く指揮官に会いたい…」
そんな言葉が心から漏れていた。
通信でたくさん声を聞いたけれど、あの忌々しい街に行ってから顔を合わせていない。
指揮官へ思いを馳せているうちに、朝日が登った。
清々しい晴れ空に曙光が輝いている。
こうなっては仕方がない、スプリングフィールドのカフェにいこう。
店は開いてないだろうが、スプリングフィールドはいるはずだ。
そこで手伝いをしながら、指揮官を待とう。
できれば、スプリングフィールドに代わって指揮官のために美味しいコーヒーを淹れよう。
指揮官の朝はあそこから始まる。
待っていれば、きっと会えるはずだ。

M14が自慢の健脚でカフェに到着するとそこには、
―Closed―
一枚の掛け看板だけがあった。
だが、鍵は開いている。
いつもなら準備中の立て看板が出ているはずなのだけれど…
M14は訝しみながらも、ドアを開けた。

「…~~…」
「―…――…」

バックヤードから、話し声がする。
あぁ、指揮官はスプリングフィールドと…
それなら、邪魔をするべきではない。

戦闘能力なら負けないが、それ以外は彼女に勝てそうもない。
そうして、我慢を決め込んだ。

「あら、M14ちゃん。いらっしゃい♥」

振り返ると、バックヤードの扉からスプリングフィールドが顔を覗かせていた。
その顔だけでもう分かった。
「指揮官がどこにいるか、知りませんか」
一応、質問をする。ここは彼女の城だから。
「…うふふ♥」
帰ってきたのは、笑顔と手招き。
少し考えたが、行為の最中なら混ぜてもらればいいと気づいて中へ進む。
意外なことに、指揮官の衣服や呼吸は整っていた。…卑しい勘違いをした自分が恥ずかしい。
「M14じゃないか、どうかしたのかい?」
指揮官の声が聞こえると、もう自分をントロールできなくなった。
ゆっくりと歩みを進め、指揮官の胸に縋り付いた。
優しく抱きとめられると、ふわりと指揮官の匂いがする。
(あぁ、すごく安心する。)

「…どうしたんだい?作戦中に何かあった?」
「いいえ、何も…。指揮官のおかげで全てが順調でした。あれがゲームなら100万点くらいは貰えそうですよ。」
「それなら良かった。私も頑張ったかいがあったよ。」
「ちょっと話をしたくて探してたんです。せっかくのクリスマスですし、指揮官と一緒にゆっくり過ごしたかったなぁ、なんて」
そこから咳を切ったように任務での話をした。ELIDが相手でなんか嫌だったことや戦車を解体したことや最近まで苦労していた敵の障壁を今回は貫けたこと。
自分が、あの任務でどんな働きをして、どれだけ頑張ったのかを、思いつく限り話した。
指揮官はその全てを、一つ一つ丁寧に相槌を打ちながら、ちゃんと聞いてくれた。
「そうか…とても頑張ってくれたんだね。ありがとう、M14。」
「えへへ…」
頬がだらしなく緩むのが自分でもわかった。
指揮官の指が髪を梳く感触、指揮官の体温。指揮官の声。
撫でられる度に体の中からぽかぽかと暖かくなる。
そうして、ひたすら緩みきっていた時、背後からも柔らかく包まれた。
「M14ちゃんも、こんなに強くなったんですね。とても嬉しいですが少し寂しくも感じますね…子供が成長するってこんな気分なのでしょうか。」
スプリングフィールドにも抱きしめられた。
前からは少し野性味の感じる仕事明けの安心できる指揮官の匂い。
後ろからは焙煎したコーヒー豆と甘い焼き菓子のようなほのかに甘く心地良いスプリングフィールドの匂い。
とても幸福度の高い空間で二人の手が頭を、顔を、遠慮無く撫で擦る。
「M14は偉いなぁ、いい子いい子。」
「立派になりましたね。いい子いい子♥」
尻尾があったら千切れんばかりに振り回していただろうな、と他人事のように考えた。
前から指揮官に後ろからスプリングフィールドに抱きしめられて。たくさん撫でて、褒めてもらって。とても暖かくて、心地よくて、幸せで、嬉しすぎてちょっと涙がでた。
もう、クリスマスが戦場でのパーティーだったことなんてどうでもいい。

この瞬間のために、私はあの街で戦ったんだ。

M14は二人に抱きしめられて、頬ずりをされ、勢いでキスもされた。

「えへへ…M14、これからもがんばりますね!」

M14は間に挟まれながらとても幸せな一時を過ごした。
大切な一日を投じるに足る、最上のごほうびをもらえたM14は一日中笑顔だった。